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市街地の冒険  Urban Adventures

 壁と扉と部屋と通路が組み合わさってできているあたり、都市は一見してダンジョンに似ている。だが、都市での冒険にはダンジョンでの冒険と大きく違う点が2つある。キャラクターたちが活用できるリソースが多いことと、司直の目にさらされることだ。
 リソースの活用:ダンジョンや野外と違い、キャラクターたちは都市にいるとすぐに装備の売り買いができるのである。大きな都市や巨大都市には、おそらく高レベルのNPCや細かな知識分野の専門家がいて、力を貸してくれたり手がかりを読み解いてくれたりする。そしてPCたちは打撲や生傷を受けても、すぐに居心地のいい宿の一室に引っこむことができる。
 撤退がきくことと、すぐ市場に着けることで、都市ではPCたちが比較的自由に冒険のペースをコントロールできる。
 司直の目:都市での冒険とダンジョン探索との、もう1つの大きな違いは何か。ダンジョンは定義上ほぼ無法の地であり、そこにある掟はただ一つ、弱肉強食のジャングルの掟だけである。一方、都市は法律によって維持されており、そして法律のうちの少なからぬものは、まさに冒険者たちの日常の活動、すなわち殺しと死体あさりを防止するために作られている。とはいえ、多くの都市の法律は、モンスターを都市の安定に対する脅威と見なしており、殺しを禁じる法律は異形や悪の来訪者などには適用されないことが多い。だが邪悪な人型生物の多くは、全市民を保護する同じ法律によって保護される。悪の属性を有することは犯罪ではない(魔法の力が秩序を支えている重度の神権国家なら犯罪になるかもしれないが)。邪悪な“行為”のみが法に背くのである。たとえば冒険者たちが、悪党が市民に凶行をはたらく現場に出くわしたとしよう。そのとき冒険者たちが悪党に勝手に裁きを下して、その結果悪党が死んでしまったり、その他何らかの理由で裁判で証言することができなくなったなら、法律はこれを喜ばない。

武器・呪文の制限

 公共の場での武器の携行や呪文の制限に関する法律は都市ごとに違う。
 都市の法律はあらゆるキャラクターに同程度の影響を与えるとは限らない。モンクは武器を封印されてもさほど影響を受けないが、クレリックは聖印をすべて城門で没収されてしまうと大いに弱まる。

市街地にあるもの

 壁、扉、貧弱な明かり、足もとのでこぼこ――都市はいろいろな点でダンジョンに似ている。都市設定で特に考慮すべきことをいくつか以下に挙げる。

壁と門

 多くの都市は街壁で囲まれている。典型的な“小さな都市”の街壁は、要塞化された石の壁で、厚さ5フィート、高さ20フィート。こうした壁は比較的なめらかで、よじ登るにはDC30の〈登攀〉判定を要する。壁の一方には狭間が設けられており、これにより街壁の上の衛兵が体をむきだしにしなくてすむようになっている。また、街壁の上には衛兵が歩き回れるだけの空間がある。典型的な“小さな都市”の街壁はAC3、硬度8で、10フィートの区画ごとに450hpを有する。
 典型的な“大きな都市”の街壁は厚さ10フィート、高さ30フィート。街壁の上の衛兵のために、両側に狭間が設けられている。それ以外はなめらかで、よじ登るにはDC30の〈登攀〉判定を要する。この種の壁はAC3、硬度8で、10フィートの区画ごとに720hpを有する。
 典型的な“巨大都市”の街壁は厚さ15フィート、高さ40フィート。両側に狭間があり、しばしば街壁の内部にトンネルや小部屋がある。“巨大都市”の街壁はAC3、硬度8で、10フィートの区画ごとに1,170hpを有する。
 より小さな都市と違って、巨大都市は周囲の街壁の他に都市内部にも壁を有する場合がある。単に都市が大きくなったせいで古い街壁が市内に残っているのかもしれないし、都市内部の地区と地区を区切る壁なのかもしれない。こうした壁は外部の街壁と同じほど大きく分厚い場合もあるが、普通は“大きな都市”や“小さな都市”の街壁程度である。
 見張り塔:一部の街壁には見張り塔が設けられている。塔と塔の間隔は不規則である。常時すべての塔に人員を配しておけるだけの衛兵がいる都市は少ないが、外から攻撃が来そうな時は話が別である。塔は周囲の野を見渡すによく、寄せ手に対する防衛の拠点によい。
 典型的な見張り塔は、街壁に組みこまれていて街壁よりも10フィート高く、直径は街壁の厚みの5倍。塔の上のほうの階には矢狭間が並び、屋上には周囲の街壁と同様に狭間がある。小さな塔(厚さ5フィートの壁に付いている直径25フィートの塔)では、塔の階と階、階と屋上は単なる1本の梯子でつながっている。もっと大きな塔だと梯子のかわりに階段がある。
 門が普段から使われているのでなければ、その入り口には、良い錠前(〈装置無力化〉DC30)のかかった、鉄で補強された重たい木製の扉が閉まっている。規定では、塔の鍵は衛兵隊長が身につける。また、合鍵が市内の要塞ないし兵舎に保管されることになっている。
 :典型的な街門には、落とし格子が2つあり、その間には天井に穴が開いていてここから物が落ちてくるしくみの門楼になっている。“町”や一部の“小さな都市”では、正門は街壁に設けられた両開きの鉄製の門である。
 門は通常、昼間は開き、夜には錠前やかんぬきがかかる。通例、夜中も1つは旅人を入れる門があって、正直そうな者やしかるべき書類を持った者や充分な賄賂を出す者(このあたり個々の都市や個々の衛兵によって違う)は衛兵に門を開けてもらうことができる。

兵と衛兵

 典型的な都市には成人人口の1%にあたる専業兵士がいる。加えて人口の5%にあたる民兵ないし徴集兵がいる。専業兵士は市の衛兵であり、市内の秩序維持に責任を負う。言うなれば現代の警察に類する役目であり、加うるに副次的な任務として都市を外敵から守る役目がある。一方、徴集兵は都市への攻撃があるとなった時に召集される。
 典型的な衛兵隊は、8時間ごとの3交代制で勤務につく。部隊の30%は昼の勤め(午前8時~午後4時)、35%は夕の勤め(午後4時~午前0時)、35%は夜の勤め(午前0時~午前8時)である。どんな時も、勤務中の衛兵の80%は通りを見回り、残る20%は詰所に詰めておいて、近くで警報があったら反応する。この手の衛兵詰所は都市の各地区に1つ以上あり、1地域は数個の区画からなる。
 都市の衛兵の大方はウォリアー、うちほとんどは1レベルである。士官の中には高レベルのウォリアーやファイターに加えて、一定数のクレリック、ウィザード、ソーサラー、またファイターと呪文の使い手のマルチクラス・キャラクターもいる。

攻城兵器

 攻城兵器とは、城や要塞を包囲攻撃する際に伝統的に用いられる大型の武器、仮設建造物、装備類のことである。

表:攻城兵器
アイテム 価格 ダメージ クリティカル 射程単位 典型的操作員数
ヘヴィ・カタパルト 800gp 6d6 200フィート(最低100フィート) 4
ライト・カタパルト 550gp 4d6 150フィート(最低100フィート) 2
バリスタ 500gp 3d8 19~20 120フィート 1
攻城槌 1,000gp 3d6 * 10
攻城櫓 2,000gp 20
*……特殊ルールあり、本文参照

カタパルト攻撃への修正値
状況 修正値
目標のマス目まで視線が通っていない -6
連続射撃(最新の失敗の着弾点が操作員に見える) 1回失敗するごとに+2加算(最大+10)
連続射撃(最新の失敗の着弾点が操作員に見えないが、着弾観測員からの報告がある) 1回失敗するごとに+1加算(最大+5)

 〈装置無力化〉を使って無力化しようとする場合、攻城兵器は“複雑な装置”として扱う。無力化には2d4ラウンドかかり、DC20の〈装置無力化〉判定に成功しなければならない。典型的な攻城兵器は木製で、AC3(-5【敏捷力】、-2サイズ)、硬度5、80ヒット・ポイントを有する。別の素材で作られた攻城兵器だと異なる値になることもある。攻城兵器の中には装甲が施されているものもある。その種の鎧の価格を決める際には、攻城兵器を超大型のクリーチャーとして扱うこと。攻城兵器は高品質にしたり、魔法の武器として強化することができ、攻城兵器を命中させるための判定にその攻撃ロールへのボーナスを加えることができる。高品質の攻城兵器は表の価格より300gp高い。魔力が付与された攻城兵器は魔力を付与するのに通常の2倍のコストがかかる。例えば、フル・プレートで鎧われた+1フレイミング・ヘヴィ・カタパルトは、AC11となり、23,100gpかかることになる(基本価格800gp+鎧6,000gp+高品質300gp+強化16,000gp)。
 ヘヴィ・カタパルト(重投石器):ヘヴィ・カタパルトは強烈な力で岩や重い物体を投げることのできる大型装置である。カタパルトから投射された物体は高い弧を描いて飛ぶため、視線の通らないマス目にも命中し得る。発射の際には、操作員の長が特殊な判定を行なう。DC15に対して、自分の基本攻撃ボーナス、【知力】修正値、射程単位によるペナルティ、『攻城兵器』表後半の各種修正のみを加えてロールすること。判定に成功すればカタパルトの石は目標のマス目に命中し、そのマス目内のすべての物体とキャラクターに対して表にある通りのダメージを与える。キャラクターはDC15の反応セーヴに成功すればダメージを半分にできる。カタパルトの石が特定のマス目に命中したなら、以後の弾も同じマス目に命中する。ただしカタパルトが狙いを変えたり、風の方向や速度が変われば話は別である。
 カタパルトの石が目標のマス目から外れたなら、どこに着地するかを決めるために1d8をロールすること。これによって、どちらの方向へそれたかが決まる。出た目が1ならばカタパルトのほうへそれる。以下、2~8まで時計回り。その方向へ、攻撃の1射程単位ごとに目標のマス目から1d4マスぶんそれる。
 1基のカタパルトを再び発射可能にするには、一連の全ラウンド・アクションを必要とする。弾を撃ち出す“腕”の部分をウィンチを使って引き下ろすには、DC15の【筋力】判定1回が必要である。大方のカタパルトには巻きあげ用の滑車がついていて、最大2人までの操作員が援護アクションによってウィンチの主操作員を手助けできるようになっている。DC15の〈職能:攻城技師〉判定1回で“腕”の部分をしかるべき位置に固定でき、さらにもう1回の〈職能:攻城技師〉判定でカタパルトに弾をこめることができる。また、ヘヴィ・カタパルトの狙いをつけなおすには合計4回の全ラウンド・アクションを要する(これらの全ラウンド・アクションは複数の操作員が同一ラウンドに行なうこともできる。従って4人の操作員がいれば、わずか1ラウンドでヘヴィ・カタパルトの狙いをつけなおすことができる)。
 ヘヴィ・カタパルトは一辺15フィートの接敵面を占める。
 ライト・カタパルト(軽投石器):ヘヴィ・カタパルトの小型軽量版。ヘヴィ・カタパルトと同様に機能するが、“腕”の部分をしかるべき位置まで引き下ろすのはDC10の【筋力】判定でよく、また狙いをつけなおすには合計2回の全ラウンド・アクションでよい。
 ライト・カタパルトは一辺10フィートの接敵面を占める。
 バリスタ:バリスタとは要するに非常に大きな固定式のクロスボウである。あまりに大きいため、大方のクリーチャーにとってこの武器の狙いを定めるのは難しい。このため中型サイズのクリーチャーはバリスタ使用時の攻撃ロールに-4、小型サイズのクリーチャーは-6のペナルティを受ける。サイズ分類が大型未満のクリーチャーは、バリスタを発射後再装填するのに2回の全ラウンド・アクションを要する。
 バリスタは一辺5フィートの接敵面を占める。
 破城槌:重い棒。しばしば可動式の櫓(やぐら)に吊り下げられており、操作員たちは棒を勢いよく揺り動かして構造物にぶつけることができる。1回の全ラウンド・アクションで、操作員のうち破城槌の正面に一番近いキャラクターが構造物のACに対して攻撃ロールを行なう。この攻撃には、武器に習熟していないことによる-4のペナルティが付く(この装置に習熟することはできない)。『攻城兵器』表にある通りのダメージに加えて、破城槌を操作しているその他のキャラクター9人までが、1回の攻撃アクションによって、その【筋力】修正値を破城槌のダメージに足すことができる。1本の破城槌を揺り動かすには、最低でもサイズ分類が超大型以上のクリーチャー1体か、大型のクリーチャー2体か、中型のクリーチャー4体か、小型のクリーチャー8体が必要になる。
 典型的な破城槌は長さ30フィート。戦闘では、破城槌を操作するクリーチャーたちは同じ長さの隣接したタテ2列になって並び、その間に破城槌が位置することになる。
 攻城櫓:大きな木製の櫓。車輪かコロ(訳注:物を動かすために下に敷いて転がして用いる丸い棒)の上に乗せて移動できるようになっている。これを防壁に近づければ、攻撃側は遮蔽を得つつ櫓を登り、そこから防壁の上に乗り移ることができる。攻城櫓の木製の壁は通常1フィートである。
 典型的な攻城櫓は、一辺15フィートの接敵面を占める。櫓の内側のクリーチャーは、これを押して10フィートの移動速度で動かすことができる(攻城櫓は疾走はできない)。地面の高さで攻城櫓を押す8体のクリーチャーは完全遮蔽を得る。櫓のより高い階にいる者たちは良好な遮蔽を得たうえで狭間窓から矢を射ることができる。

街路

 都市の典型的な通りは狭く、曲がりくねっている。大方の通りの幅は平均で15~20フィート程度。路地は幅10フィートから、狭いときにはわずか5フィートほど。街路の敷石は、状態のよいものなら移動に何の障りもないが、修理の行き届いていない、わだちのついた泥道は“軽度の瓦礫”と見なされ、〈軽業〉判定のDCを+2する。
 一部の都市、ことに小さな集落からより大きな都市へと成長していった都市には、これより大きな大通りというものが存在しない。計画都市や、大火事からの復興に際して上層部が計画的に(人家のあったところに)新しい道をひいた都市には数本、街区を通るより大きな大通りが存在するかもしれない。こうした大通りは幅25フィートで、四輪馬車どうしがすれちがえるようになっている。加えて、左右に幅5フィートの歩道がある。
 群集:街路はしばしば、日々の暮らしを営む人々でごった返している。ほとんどの場合、都市の目抜き通りで戦闘になったからといって、そこにいあわせた1レベルのコモナーを全員マップに配置する必要はない。そうではなく、単にマップ上のどのマス目に群集がいるかを示せばいい。何か明白に危険なものを目にしたなら、群集は毎ラウンド、イニシアチブ・カウント0で、1ラウンドあたり30フィートの割合で離れてゆく。群衆のいるマス目に入るには、1マスあたり2マスぶんの移動がかかる。群集のいるマス目にいるキャラクターには、群集が遮蔽を提供する。これにより、そのキャラクターは〈隠密〉判定を行なうことが可能になり、またACと反応セーヴにボーナスを得る。
 群集を操る:DC15の〈交渉〉判定、ないしDC20の〈威圧〉判定に成功すれば、群集を説得して特定の方向へ移動させることができる。ただし、このとき群集は試みを行なう者の声を聞くか、姿を見ることができねばならない。この〈交渉〉判定には1全ラウンドを要するが、〈威圧〉ならば1回のフリー・アクションである。
 2人以上のキャラクターが、同じ群集をそれぞれ別々の方向へ動かそうとしている場合、〈交渉〉か〈威圧〉を用いた対抗判定を行なって、群集がどちらの言うことをきくかを決定する。2人の判定結果のどちらも上記のDCに達しなかった場合、群集は両方を無視する。

街路の上と下

 屋根の上:建物の屋根の上に出るには、普通は壁を登る必要がある。もっとも、もっと高いところにある窓なりバルコニーなり橋なりから飛び降りる手もある。平らな屋根の上を走るのは容易いが、こうした屋根はおおむね暑熱気候にのみ見られる(雪がつもると平らな屋根はつぶれてしまうのだ)。斜めの屋根や“へ”の字型の屋根の一番高いところを伝ってゆくには、DC20の〈軽業〉判定が必要になる。屋根の斜めの面を高度を変えずに(つまり一番高いところと平行に)移動するには、DC15の〈軽業〉判定が必要になる。屋根の上で高いほうへ登っていったり、低いほうへ降りていったりするのは、DC10の〈軽業〉判定でよい。
 屋根が尽きたら、隣の屋根に飛び移ったり地面に飛び降りたりするには、幅跳びを試みることになる。隣の屋根までの距離は普通、水平距離にして1d3×5フィート。ただし、この空間のむこうの屋根がこちらより5フィート高い確率、5フィート低い確率、同高度である確率はあい等しい。〈軽業〉技能の記述(水平方向の跳躍の頂点での高さは、水平距離の1/4に等しい)に従って、キャラクターが首尾よく跳躍できたかどうかを判定すること。
 下水道:下水道に入るには、ほとんどの場合、まず下水の格子を持ち上げて(1回の全ラウンド・アクション)から、10フィート下へ飛び降りる必要がある。下水道はちょうどダンジョンと同じようにつくられているが、“すべりやすい床”や水に覆われた床がより多い。そこでどんなクリーチャーと遭遇するかという点においても、下水道はダンジョンによく似ている。一部の都市は古い文明の遺跡の上に築かれているため、そんな土地の下水は、時として過ぎた昔の財宝や危険につながっている可能性がある。

都市の建築物

 都市の建築物の多くは3種に分類され得る。まず大方は2~5階建てで、軒を並べて長い列をなして建っており、通りや大通りがこの列を断ち切っている。立ち並ぶこれらの家々は、普通は1階で家業を営み、上の階を事務所や住居にしている。
 宿屋、成功している事業の拠点、大きな倉庫。それに粉屋や皮なめし屋のような、普通以上に場所をとる仕事の場。こういったものは、概して大きな一戸建ての建物になっており、階数は5階まで。
 最後に、小さな住宅や店や倉庫や物置き場などの、簡単な木造1階建ての建物がある。特に貧しい地区に多い。
 都市の大方の建築物は、下の1、2階は粘土製の煉瓦と石を組み合わせたもので、上の階や内壁や床は木でできている。屋根は板、わら、スレート(石板)を並べてピッチ(訳注:タールを蒸留した後に残る黒いかす)で継ぎ目をふさいだものなど、いろいろ。典型的な下の階の壁は厚さ1フィート、AC3、硬度8、90hpを有し、〈登攀〉DCは25である。典型的な上の階の壁は厚さ6インチ、AC3、硬度5、60hpを有し、〈登攀〉DCは21である。多くの建物の外側の扉は、“上質の木製の扉”であり、商店や酒場などの人の集まる建物でない限り、普通は鍵がかかっている。

都市の明かり

 都市に大通りがあるなら、そこにはランタンが、家々の窓の日よけよりも7フィートほど高いところに連なって灯っている。ランタンとランタンの間は60フィートほどなので、その明かりはまあなんとか続いているといったところ。二次的な通りや路地に明かりはない。市民が夜中こうした道を歩くときはランタン持ちを雇うのが常である。
 路地はまわりの高い建物のおかげで昼なお暗い。昼間に関して言えば、暗い路地といってもほんとうに視認困難を提供してくれるほど暗いことはめったにないが、〈隠密〉判定には+2の状況ボーナスが付く。

次元界  The Planes

 ゲームでは終わりのない冒険が待ち受けている。他の大陸、他の惑星、他の銀河…これらを越えたさらに他の世界がある。無限の惑星の存在をすら越えたさらなる世界とは、全く異なる異次元世界であり、“存在の諸次元界”と呼びならわされている。稀にしかない連結点を除けば、各次元界は独自の自然法則を持つ独立した世界として存在している。これら異次元界の総体は“大いなる彼方”として知られている。
 次元界は想像力の限界まで無数にあるが、それら全ては5つの一般的な型に分類できる。物質界、中継界、内方次元界、外方次元界、そして数え切れないほどの擬似次元界である。
 物質界:物質界はもっとも地球によく似ており、我々が住む現実世界と同じ自然法則が働いている。物質界の“広がり”はキャンペーンによって異なる。君のゲームの設定では1つの世界のみに限られるかもしれないが、あるいは他の惑星、衛星、星々、銀河など全宇宙に拡がるかもしれない。パスファインダーRPGのキャンペーンは普通物質界が“本拠地”になる。
 中継界:中継界は1つの共通した重要な特性を持っている。いずれも他の次元界と重なり合っていて、重なり合う世界の間の移動に用いられるのだ。これらは物質界と最も密接に影響しあう次元界であり、様々な呪文によって頻繁に行き来される。こうした次元界を出身とするクリーチャーも存在する。中継界の例としては以下のものがある。
 アストラル界:物質界と内方次元界を外方次元界とつないでいる銀色の虚空であるアストラル界は、魂が死後の世界へと旅するための媒介である。アストラル界を旅する者には、この次元界は、重なり合う諸次元界から生み出された現実のかけらがまるで塵のようにちりばめられた広大な空虚に見える。強力な呪文の使い手は瞬間移動する時にほんのわずかな時間アストラル界を利用している。またアストラル・プロジェクション呪文のような次元間旅行を行う呪文もアストラル界を利用している。
 エーテル界:エーテル界は物質界と影界との間の緩衝地帯として存在するおぼろな世界であり、この2つの世界と重なり合っている。エーテル界を旅する者は、現実の世界がまるで実体を持たない亡霊のようなものとして見え、現実世界からは見られることなく固形物を通り抜けて移動することができる。エーテル界に住む奇妙なクリーチャーは、まる亡霊や夢と同様に、神秘的かつ恐るべき方法で現実世界に影響を及ぼすことがある。強力な呪文の使い手は、エーテル界をブリンクイセリアルネスイセリアル・ジョーントなどの呪文で利用している。
 影界:不気味で危険な影界は、物質界の恐ろしく、色のない“複製”である。物質界と重なり合っているものの、大きさはより小さく、多くの点でねじくれ歪んだ物質界の“投影”であり、一部は負のエネルギー(内方次元界を参照)と融合しており、アンデッドのシャドウやもっと悪い奇妙なモンスターたちの故郷である。強力な呪文の使い手はシャドウ・ウォーク呪文を使って物質界の長距離を速やかに移動したり、シャドウ・エヴォケーション呪文やシェイドのような擬似現実的な効果やクリーチャーを生み出すために影界を利用する。
 内方次元界:内方次元界は現実の構成要素から成り立っている。これは、これらの次元界が物質界と一体であるかのように思わせるが、中継界のように物質界と重なり合っているわけではない。それぞれの内方次元界は1種類の元素ないしエネルギーのみで構成された世界であり、その力が他の全てを圧倒している。内方次元界の出身者の身体は、次元界と同じ元素やエネルギーでできている。内方次元界の例としては以下のものがある。
 元素界:古典的な4つの内方次元界、すなわち風の次元界、地の次元界、火の次元界、水の次元界である。エレメンタルとして知られるクリーチャーはこれらの次元界から召喚されるが、ジンニー、金属喰いのゾーン、インヴィジブルストーカー、イタズラ好きのメフィットなどの奇妙な住人も住んでいる。
 エネルギー界:正のエネルギー界(ここから生命を呼び覚ます火花が降り注ぐ)と負のエネルギー界(ここからアンデッドの不吉な穢れがやってくる)がある。双方の次元界からのエネルギーは現実世界に満ちあふれ、全てのクリーチャーはこのエネルギーの満干によって生から死への行路を進む。クレリックはこれらの世界からのエネルギーをエネルギー放出に利用している。
 外方次元界:死すべき定めのものの世界の彼方、現実の礎である世界の彼方に、外方次元界は存在する。これらの世界は死者の魂の終着点であり、神々自らが統治する領域がある場所でもある。それぞれの外法次元界はどれも属性を持ち、特定の道徳観や規律観を具現している。各外方次元界の出身者たちも、その属しに傾倒しているものが多い。外方次元界は物質界を離れた魂が最後の安息─安らかなる悟りに至るにせよ、永遠に苦しみ続けるにせよ─を得る場所でもある。外方次元界の住人は、エンジェルとデーモン、ティタンとデヴィル、その他考えられる無数の存在の顕現を含む、神話的存在たちである。各キャンペーンはそれぞれの主題と必要に応じて独自の外方次元界を持つべきだが、古典的な外方次元界としては、秩序にして善の天上界ヘヴン、混沌にして悪の奈落界アビス、圧制的な秩序にして悪の地獄界ヘル、移り気で自由と喜びに満ちた混沌にして善の浄土界エリュシオンがある。強力な呪文の使い手は、コミューンコンタクト・アザー・プレインのような呪文を使ってら助言や導きを得るために外方次元界と接触し、あるいはプレイナー・アライサモン・モンスターのような呪文を使って味方を招来する。
 擬似次元界:これは次元界と同じ機能を持つが、大きさが計測可能で、限られた手段によってしか出入りできない異次元空間全てを含む包括的な分類である。他のタイプの次元界の大きさが理論上無限であるのに対し、擬似次元界は直径数百フィート程度しかないこともある。無数の擬似次元界が現実世界を漂い、ほとんどがアストラル界とエーテル界を通じてつながっているが、いくつかは中継界から切り離され、隠蔽されたポータルや適切な呪文によってのみ出入りすることができる。

階層化された次元界

 無限大はいくつもの、より小さな無限大に分割できる。そして次元界もまた関連性のあるより小さな次元界に分けることができる。こうしてできた階層は、実質上別個の存在の次元界であり、各階層が独自の次元界特性を持つことができる。階層は様々な種類のプレイナー・ゲート(次元門)、自然に存在する“渦動”や“行路”、移動する境界線などを通じて互いにつながっている。
 他の次元界と階層化された次元界との行き来は、次元界ごとに決まった特定の階層――最上層か最下層――を通じてのみ行われるのが普通である。固定された進入ポイント(ポータルや自然に存在する渦動など)は、ほとんどがこの階層に通じており、他の階層への玄関口になっている。プレイン・シフト呪文も、呪文の使い手を第1階層へ連れて行く。

次元界の相関関係

 隔絶している2つの次元界は互いに重なり合うことも直接つながることもない。こうした次元界は異なる軌道をめぐる惑星のようなものである片方の次元界から隔絶したもう片方の次元界に行くには、別の第3の次元界(中継界のような)を経由していかねばならない。
 隣接した次元界:隣接した次元界は、特定の場所で互いに接触している。接触している場所には“連結点”が存在し、旅人たちはそこから自分の世界を後にして別の世界へ行くことができる。
 併存する次元界:2つの次元界が併存しているなら、両者をつなぐ連結をどこにでも作り出すことができる。併存する次元界は互いに完全に重なり合っている。併存する次元界には重なり合った次元界のどこからでも行くことができる。併存する次元界から重なり合った次元界を見たり、互いに影響を及ぼしたりできることも多い。