メンデヴ

メンデヴ(Mendev)


メンデヴ は、アヴィスタン亜大陸北方に位置する、ワールドウーンドのデーモンの侵略に立ち向かうための十字軍国家である。

歴史

かつては、カスマロンにあるイオバリアからの追放者とロクデナシの子孫たちの誇り高い王国、“霧と帷”湖の西岸にあるメンデヴについてはほとんどの者が何も知らなかった。
4606AR、エイローデンの死後、マンモス諸侯領東部にあったバーバリアンの国サーコーリス Sarkoris に突如デーモンの軍勢が出現した。
4622AR、それに対抗するため数千の巡礼がアヴィスタン全土から集まり、第1次メンデヴ十字軍the First Mendevian Crusade が結成され、その根拠地としてメンデヴに集結し、奈落の軍団を撃退した。

4638AR、第1次十字軍が撃退したデーモン軍が再び現れ、メンデヴ国境の要塞都市 Drezen が陥落した。第2次メンデヴ十字軍は、ルーンを掘り込んだメンヒル(直立石)ウォードストーン Wardstone の列を作り出し敵を食い止めることに成功した。石を維持するためには注意深い祈りと手入れが必要で、またデーモンとその配下の攻撃に常にさらされることになる。
その後デーモンは戦術を転換し、浸透と誘惑、裏切りによって十字軍を内側から崩そうとした。それに対抗して結成された第3次十字軍は、デーモンと戦うことよりも魔女狩りに力を費やし、多くのデーモン信奉者と、信奉者なのではないかと疑われた地元のドルイド教信者たちが火刑台に登らされた。十字軍指揮官の多くは、軍事的問題にのみ目を向けてその蛮行を見過ごした。
近年、デーモンの再々侵攻がはじまり、現在は第4次十字軍が召集されているが、完全な勝利への展望は失われ、ただ目前の脅威を押し留めることだけが考えられている。

政治

メンデヴは世界中から集まった聖騎士、巡礼、機会主義者の悪漢などであふれかえっており、元からいるメンデヴ人やサーコーリスの遺民の子孫は新参者に下級の市民とみなされ、異端審問官から疑いの目で見られている。
女王ガルフレイ Galfrey は、首都 Nerosyan では大きな力を持っているが、その外はさまざまな忠誠の対象を持つ十字軍の指揮官たちの寄り集まりである。女王とその廷臣は十字軍の資質が非常に疑問符の付くものになってしまったこと、狂信的な審問官と悪漢まがいの“ロー・テンプラー”たちに元々のメンデヴ人たちが迫害されていることを知っており、内部の不協和音はいつ抑えることができなくなるかわからなくなっているが、内的な問題を抑えようとする者はほとんどいない。

地理

ネロシャン Nerosyan:“北のダイアモンド”と呼ばれるメンデヴの首都。エストロヴィアン森林 the Estrovian Forest から流れるエゲルシー川 Egelsee River と、北の凍土の水を集めた西セレン河の合流点にある菱形の要塞都市。明確な目的、不屈の力、冷たい美を備え、川向こうの邪悪に鋭い切っ先を向けている街。
エゲーデ Egede:“霧と帷”湖岸にある港湾都市。メンデヴの玄関口であり、河川諸王国ニューメリアの Chesed、ロガーヴィア家失踪の後はブレヴォイからも交易商人が訪れ、前線からは疲弊した部隊が休養にやってくる。
ケナブレス Kenabres:ワールドウーンドとの境界である西セレン河のほとりにある小さな都市。北部辺境の防衛の重責を負うが、将軍たちは、この地に住む最も原理主義的で影響力のある異端審問官ハルラン Hulrun の、十字軍は内部の敵にこそ向けるべきであるという要求と戦い続けている。
アイスリフト城 Icerift Castle:ワールドウーンドとの境界の北部に築かれようとしていた城。補給と補修の困難さから完成前に放棄されることが決定されたが、工人と守備隊を迎えに行った十字軍が発見したのは、デーモンの痕跡なく、殺されて心臓を抉り取られた彼らの姿だった。メンデヴ先住民たちはウェンディゴの仕業だと言っているが、この地に何が潜んでいるのかは未だにわからない。

参考文献

[1] Erik Mona et al. (2008). Campaign Setting, p. 98. Paizo Publishing, LLC. ISBN 978-1-60125-112-1
[2] James Jacobs et al. (2011). The Inner Sea World Guide, p. 118. Paizo Publishing, LLC. ISBN 978-1-60125-169-2
カテゴリー:内海地域
最終更新:2014年01月11日 00:02
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