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念術魔法 Psychic Magic

 ウィザードは古代の書物を研究して宇宙に眠る秘術の秘法を解き明かし、クレリックは遠く離れた神格に祈りを捧げて信仰の力を授かる。しかし第3の魔法がある。それはより深遠な魔法の類いであり、自覚した精神から深遠なる欲望まで、生命の力から霊魂まで、単なる魂から宇宙自身まで、クリーチャーそれぞれの混じり合った存在とつながっている。この第3の魔法種別が念術魔法だ。

 念術呪文は他の呪文のように様々な形で機能する。それは秘術魔法や信仰魔法のように、異なる魔法の種別である――実際、念術魔法の使用者は、秘術や信仰の伝統を実践するものだと簡単に誤解される。呪文修正特技やその他の呪文を変更したり呪文に関わるルールは、念術呪文においても通常通り用いられる(ただし後述の構成要素章にいくつか例外が記載されている)。念術呪文の使い手は秘術呪文の使い手あるいは信仰呪文の使い手のみを目標とした効果の影響を受けない。しかし秘術呪文の巻物や信仰呪文の巻物、あるいは秘術呪文の使い手あるいは信仰呪文の使い手が使うよう想定されたアイテムないし特技を使用することはできない。

構成要素 Components

 念術魔法は秘術の術式や神格という存在への懇願ではなく、術者の複雑な存在としての独自の性質から引き出される。そのため、念術呪文は音声要素や動作要素を持つことはなく、高価な物質要素だけを持つ。念術呪文は純然たる精神的行為であり、術者が押さえ込まれた状態麻痺状態であってさえ発動することができる。焦点具要素は他の呪文における場合と同様に、念術呪文に対しても同様に機能する。

 呪文が高価な物質要素によって呼び起こされる場合、念術呪文の使い手はその呪文の物質要素以上の価値と意味合いを両方備えたアイテムで、物質要素を代用することができる。例えば、スピリチュアリストが死亡した夫を墓から蘇らせるためにレイズ・デッドを発動したいと考えたなら、5,000gpの価値がある結婚指輪をこの呪文の物質要素として用いることができるだろう。

 音声要素や動作要素の代わりに、全ての念術呪文は術者の内的存在に関連する構成要素を持つ。念術用の構成要素は2つあり、それぞれ感情要素と思考要素と呼ばれる。呪文の構成要素の項に動作要素が記載されていたなら、その呪文は念術呪文の使い手が発動する際に感情要素を必要とする。呪文の構成要素の項に音声要素が記載されていたなら、その呪文は念術呪文の使い手が発動する際に思考要素を必要とする。念術呪文ではなく、秘術呪文の使い手や信仰呪文の使い手が念術呪文を発動する場合、記載された音声要素と動作要素を通常通り用いる。

 感情要素(感情)/Emotion Components:感情要素は呪文を発動する際に必要となる特定の感情を表す。念術呪文の使い手は呪文のエネルギーへと集中させ解き放つために、自分の欲望を整理する。[感情]ないし[恐怖]の補足説明を持つ無害ではない効果に曝されているならば、呪文の使い手は感情要素を持つ呪文を発動することはできない。その効果の感情が念術呪文を発動する際に必要な感情と一致している場合でも、呪文の使い手は自分の欲望や動物的な衝動を制御下においていないため、感情要素を準備することができない。

 思考要素(思考)/Thought Components:思考要素は呪文の機能に必要な精神構造を表している。例えばビースト・シェイプを発動してウルフに変身するために、ウルフの生き生きとした詳細――顎からこぼれるよだれなど――を思い描くといった具合だ。思考要素は極めて精神的に厳しい内容であり、妨害や気を逸らす行為に極めて弱い。思考要素を持つ呪文の精神集中判定DCは10だけ増加する。思考要素を持つ呪文を発動する念術呪文の使い手は、呪文発動の最初に移動アクションを用いて自分自身に集中することができる。そのようにするなら、増加したDCではなく通常のDCを使用することができる。

 擬似呪文能力が一切音声要素、動作要素、物質要素を必要としないように、これらの能力は思考要素や感情要素を必要としない。念術呪文の使い手は音声要素と動作要素を思考要素と感情要素に置き換えることができるが、それはその呪文の構成要素自身に対してのみである。音声要素と動作要素に関連する他のルールに関しては適用されない。例えば、念術呪文の使い手は思考要素を省略するために《呪文音声省略》を使用することはできない。特技のページに記載されている通り、《呪文思考要素省略》《呪文感情要素省略》がこれらの新しい構成要素に関して同じように機能する。

呪文の下方発動 Undercasting Spells

 念術呪文の中には、下方発動を行えるものがある。これはすなわち、適切な呪文スロットから自分の修得している呪文をそのレベルで発動することもできるし、その呪文の低レベル版を発動することもできるということを意味する。呪文の使い手が呪文を下方発動する場合、効果、セーヴィング・スロー、その他の要素を決定する際にまさに低レベル版として機能する。例えば、エゴ・ウィップIIIを呪文リストに加えている念術呪文の使い手は、エゴ・ウィップIIIエゴ・ウィップIエゴ・ウィップIIエゴ・ウィップIIIのいずれかとして発動することができる。エゴ・ウィップIとして発動する場合、それは全ての意味でエゴ・ウィップIとして機能する。説明文もセーヴィング・スローDCもエゴ・ウィップIのものを用いるが、3レベル呪文スロットを消費する必要がある。

 任意発動する呪文の使い手が下方発動することのできる呪文を修得呪文の一覧に加えると、その呪文の使い手は修得呪文の低レベル版それぞれの代わりに、その呪文を修得する。すなわち、低レベル版それぞれを失い、呪文リストにある同じレベルの別呪文でそれらを置き換えることになる。