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翡翠摂政プレイヤーズ・ガイドJade Regent Player's Guide

彼方の国ティエン・シアでは無限の神秘と心を奪う絶景が約束されているが、未知と信用できない恐怖が潜む謎の土地もある。つまるところ、ゴラリオンにおいては全ての物が目に見える通りの存在ではなく、世界の一部である、慈悲深いカミに護られるのと同時に悪魔的なオニに見舞われる、土地そのものが絶えず移り行くように見えるそこにも二重の真実がある。慎重な冒険者はごくありふれたクリーチャーでさえ注意深く調べるべきであることを知っている、それは圧倒的な体格をした怪物にも平等に容易に変身できる何かなのかもしれないからだ。ティエン・シアの変わり続ける自然にも関わらず、1つの重大な法は変わらないままだ:目を開き続けること。

翡翠摂政アドベンチャー・パスにおいて、PCたちは生き生きとしたNPCの仲間たちと共に慣れたヴァリシアの地から出発し世界の反対側を目的地に叙事詩級の距離を旅することになるだろう。結果として、君がキャラクターを作成する際に心に留めておくべき重要な要素は、サンドポイントでこのアドベンチャー・パスは開始するが、そこにはとどまらないという事実だ――この閑静な町を離れて世界の何処かに冒険を求めるキャラクターを構築し、心構えをしておこう! この手引書の目的は、異なる大陸への道中で直面することになる挑戦と試練の備えができるよう、プレイヤーのキャラクターの作成と装備を手助けすることにある。PCが伝説的な旅路でまず遭遇するであろう範囲についてのネタバレのないこの手引書は、キャラクターの背景を肉付けするキャンペーン特徴を提供し、種族とクラス、そして共に旅することになる重要なNPCと隊商との関係に関するルールについて助言している。

種族

ティエン・シア周辺の謎の風を考える限り、あらゆる種族の変わった背景を持つ個々人がヴァリシアの快適な土地から龍諸帝国に旅するのは驚くに値しない。

エルフ

よそ者にとって、エルフは自分の長い人生を静かに瞑想しくつろぎながら生きたいように見えるかもしれないが、実際は多くのエルフが1つの土地に長く留まり続けることに飽いてきている。この真実に加え超常に惹かれる気性のため、時に彼らは彼方の国に誘惑される。エルフはヴァリシアのミエラニ森で栄えているが、その多くは自分たちの住居に嫌気が差しており、古のエルフの都市セルウィンヴィアンを取り戻し、その地に逃げて自分たちが失ったものを思い出せればと考えている。ヴァリシアの不幸な孤児エルフは彼方の国へ移動する隊商に参加することで己の悲惨な生活から逃れ、そうすることで親しくなりすぎた周囲から距離をおいて、どこか単調な日常に希望の光を取り入れたいと思うかもしれない。自然との親和性、そして時に神秘的な機微を持つエルフは、交易人や他の隊商の統率者に、不自然なことや、時折ある鬱蒼とした下生えやヴァリシア北の足場の悪い交易路にある場違いなものに目端が利くことで高く評価されている。

ドワーフ

彼らが広く住まうリノーム諸王の地はヴァリシアと世界の冠の狭間にある関門である。そのため、ドワーフは危険な旅という発想について門外漢ではなく、過酷な国々を行き来する旅人として、そうした考えと親密な関係を持つ。コパーバーゲットの広大な鉱山から採掘される銅はリノーム諸王の地から輸出される大流行の交易品の1つだ。金属は時にヴァリシアの南へと輸出され、そこでジャンダーホッフの大広間で精製されてから隊商に買われていく。ドワーフの傭兵やウォリアーは時にヴァリシアの南に向かうか北の雪山を縦断する交易人たちに隊商の護衛として雇われる。この旅生活はドワーフに放浪への渇望を目覚めさせることがあり、この種族でも特に頑丈な者たちは特に隊商の旅の厳しさに適している。

人間

ヴァリシア社会の大部分を占める人間は内海のあらゆる地域からこの荒野の開拓地へとやって来る。誠実な芸術家にせよ、神秘的な占い師にせよ、頑強な冒険者にせよ、人間は常にヴァリシア内で地位を持っており、群れて大小様々な居住地を作っている。人気の社会には交易の要衝マグニマールや、穏やかな(しかし時に災難に見舞われる)サンドポイントの町が含まれる。冒険者への需要は常にあり、そこに定住できると考えた者の多くは、利益と興奮が同等に約束された輸送形態である隊商で再び道を往くことになる。ヴァリシアとその北の国々に広がる交易路の多くを作り再発見したのは人間であり、ゴラリオンの大陸中を探検し広がっていく人間は旅への冒険を続けている。好奇心旺盛で世界中で独自の生き方を見つけたがる人間は異国への旅という大冒険に本能的なまでに惹かれ、見事な工芸品に焦がれ魅了され、異国の人々の伝統文化や見慣れぬ作法に恍惚とする。

ノーム

不可思議への愛と経験すべき全てを経験したいという抑え切れない欲望を持つノームは彼方の地へとゆく隊商に参加するとても多くの理由を持つ。多くのノームがヴァリシアを故郷と呼んでいる――明るく色彩豊かなサノス森の林を言っているにせよホイッスルダウンの快適な小屋暮らしにせよ――が、ヴァリシアのような極めて発展した国の快適さは冒険好きなノームにとって息苦しく感じられることがあり、隊商に参加して彩り豊かな(そして恐らく僅かな危険もある)外国への旅行はそうした緊張を感じるのに素晴らしい方法となる。ヴァリシアは独自の驚くべき光景を持つ故郷であるが、隊商の一員としての生活は放浪癖のあるノームにとって本当に比べようのないものであり、そうしたノームの新しい経験への嗜好は長く危険な旅において身を良く助けることだろう。

ハーフエルフ

ハーフエルフは内海では珍しく、ヴァリシアでも例外ではない。エルフと人間の居住地が近ければ2種族の間の合いの子ももっと産まれるようになるが、ハーフエルフを育てるほど長い間付き合う者は少ない。にも関わらず、ヴァリシアで暮らす数少ないハーフエルフは海岸の大きな都市に惹かれる傾向があり、そこでなら彼らは他よりも受け入れられ多くの人々と関われるが、1つの家族と余り接近することはない。ハーフエルフは本当の幸福を掴め溶け込めるような場所を求めて旅する傾向がある。鋭い機知と冒険への愛を持つハーフエルフは時に斥候としてか、その鋭敏な洞察力で旅する相方の助っ人として隊商に徴集される。

ハーフオーク

怪物として大抵の土地で忌避され軽蔑されるハーフオークは、彼方の国でさえこの一般的な憎悪から逃れられることはまずない。彼らのゴブリンのような相貌はムカつくものと見做され、世界中の共同体で恐れられる。にも関わらず、ハーフオークは常に暴力的な筋力と原初の力が優れており、時に内海から旅する交易人に隊商の護衛として求められる。ヴァリシアにおいて、ハーフオークは法のないアーグリン都市で一番一般的に見られ、そこで彼らは他の過酷な存在を支配しているという感覚を得ようと毎日のように戦っている。故郷――これは自らの不幸な起源を常時思い出させるものだ――から離れて旅をするという展望は、時にハーフオークが異国の地に向かう隊商に参加するのに十分な動機となる。

ハーフリング

ハーフリングは旅する傾向があり、旅人にとって有用な、自らの類を見ない特性によって快適さを感じ、ヴァリシアの人間が運営する貿易圏で最善を尽くして生計を立てる。臨機応変な道徳心を持つハーフリングは、ヴァリシアから他の国への交易路に沿って副業として良くない品々を密売しながらそれ以外は誠実な功績を容易に打ち立てられるやり方を見つけられる;しかしながらもっと褒められる個々人は、代わりに道中で遭遇することになる詐欺師や山賊を追い払う技能を使うかもしれない。バスルウィーフのような共同体から来たハーフリングは、採掘した鉱石をヴァリシアの他の地域や北方の国々相手に後ろ暗いところなく交易することによって利益を上げられる。隊商は時に料理人や斥候、伝令としてハーフリングに優れた有用性を見出すことがあり、そうしてこのような才能ある個人を雇おうとすることがある。

ミンカイの概観

ティエン・シアの広大な大陸は多量の別個の国々で構成されており、それぞれが独自の伝統文化と豊かな歴史を持つ。1世紀以上前のロン・ワ帝国の崩壊によって、大陸本土の殆どで無秩序と内戦が勃発したが、僻地の国々はそうした内乱からは無関係で居続けている。ティエン・シア最大の国の1つであるミンカイ皇国はロン・ワ帝国の崩壊後も存続し続けている最強の土地であろう、ロン・ワのように独自の権力構造の終焉が素早く始まらなければの話だが。ミンカイの公権力の長である不動の帝シグレ・ヒガシヤマは最近翡翠の玉座から引きずり降ろされ、ヒガシヤマ家で隠棲している、恐らく身の安全の為だろう。ヒガシヤマ家は彼の地位に一時的な権力者を据えてその国が分離しないよう維持しているが、その翡翠摂政の権力者像の悪い噂は広まっており、この不安定な国がどれだけ存続できるかは誰も分からない。

クラス

あらゆるクラスのキャラクターはヴァリシアから出る旅の隊商に参加する理由を見つけられるが、そうする者が持つ長く危険な行程で実行可能で有用な技能と能力は、この旅に最高に適しているだろう。

アルケミスト

彼らと同様に奇抜な調合に煎じる、珍しい希少な物質を永遠に探し求めるアルケミストは、旅を珍しい調合用の化学物質と調薬を得る重要な機会だと考える。しかしながらヴァリシアの北は、吹雪が新しい煎じ薬を調合するのに有用な植物を枯らすため、薬師にとって危険が増し恩恵の減る地である。

推奨:多才で多芸な一行の一員であるアルケミストは、このアドベンチャー・パスでの旅において多くの時間有用性を示せるだろうが、このクラスは最初の冒険2つのプレイでは難しいものとなるかも知れない。アルケミストのお奨め技能には〈知識:自然〉、〈呪文学〉、そして〈生存〉が含まれる。

インクィジター

内海からの無慈悲な正義の追求者は、一番親しい一行の者がその熱狂的な態度をどれだけ憂慮しようが、時に彼方の地へと進んで異端と冒涜者を狩ろうと望むことがある。インクィジターは隊商を解体しようとする者と遭遇する時に極めて有用であることが明らかな技能を持っているため、時に歓迎される。不動で士気の高い決意を持つ確かな精神のインクィジターは協調を強いられる一行にとって、特に不安が高まった時に価値ある財産となる。

推奨:協力の絆の維持に集中するインクィジターは隊商のような親密な関わりを持つ旅人たちの集団で快く受け入れられるだろう。熱心で時に率直に言って妄想狂な態度になることもある点は仲間と緊張が高まった時には歓迎されないが、いずれにせよインクィジターの多芸さは殆どの状況で有用さを証明するだろう。お奨め技能には〈交渉〉、〈知識:自然〉、そして〈生存〉が含まれる。

ウィザード

常に学習を続け時に秘密主義なヴァリシアのウィザードは翰林院――ガルドゥリアにある輝かしい黄昏翰林院のような――から遠くはなれるような旅はしないが、適切な宥めすかしや、更なる知識と重要な魔法のアイテムが世界の反対側で獲得できるという約束があれば、旅に納得する者もいるかも知れない。未だ認識されていない恐ろしい力を解放する助けになるであろう更なる知識を求め続けるウィザードは、彼方の領土への旅路に個人個人を赴かせる隊商に参加する多くの理由を持つ。

推奨:呪文、巻物、様々な有用な能力を持つウィザードは、このアドベンチャー・パスで結成されるような旅する一行に重要なものを与え、奇天烈な旅人の集団に問題を起こすこともなく加入し、使える様々な技を下せるだろう。総合術士を望まない者の間では防御術と心術が一般的な選択かもしれないが、あらゆる魔法系統は平等な有効性を持って働く。お奨め技能は〈知識:地理〉、〈言語学〉、そして〈呪文学〉である。

ウィッチ

世界中の文化でウィッチは恐れられ誤解されているが、旅する占い師の逸話はヴァリシアの文化に根付いているため、ヴァリシアから出る隊商は他の文化よりは多少ウィッチを恐れない。しかしながら白魔女たちが人々の夢に現れるという話のあるイリセン付近の地域ではウィッチはいい目で見られず、開業医の多くがそこに留まる理由を見出だせないでいる。彼らの不気味な技は緊張の高まった時において重要であり続け、一向に彼らが加われば占いの力が求められる状況において恩恵となるだろう。

推奨:あらゆる背景のウィッチは警戒心の強い者が居住する彼方の領土への旅を困難と感じるだろうが、不可能とまでは思わない。フォックスやウルフのような小さな哺乳類の使い魔は最高に似合うだろうし、動物、持久、あるいは判断といった守護者はウィッチに旅の間の切れ味を与えるだろう。お奨め技能には〈治療〉、〈知識:自然〉そして〈呪文学〉が含まれる。

オラクル

多くの者が深く沈思できるような神秘的な「他者」と調和するオラクルは、時に素直に従う事しかできない、旅せよという呼び声を聞く。ヴァリシアにおいて、占い師と馬鍬札師は受け入れられているだけでなく、信じる者によって擁護されており、オラクルも諸手を挙げて歓迎され、神々しい自然からの伝言を読み取る彼らの能力は多くの旅人にとって恩恵となる。ヴァリシアは以前から我が侭だったり誤解を受けていたりする魔法使いの故郷となっており、それには多くのオラクルが含まれている。そうしたオラクルの多くはストーヴァル高原やコダー山脈といった野蛮な地域からやってきている。それらの地域よりオラクルの出身地で多いのがベルクゼンの領土であり、そこで彼らは時折オークの部族の奴隷の人型シャーマンとして働いている。世界を股にかける事はオラクルが持つ目的としては魅力的でないかもしれないが、異国に隠された知識と手の付けられていない力の源泉という予測は心を惹かれるものだ。

推奨:このアドベンチャー・パスにおいてあらゆる種類のオラクルは有用だろうが、曇った視界や悪霊憑きといった特定の呪いを持つ者は妨げに対処するのが楽になるだろう。あらゆる神秘が良い選択であるが、一般的なものには闘争、自然、あるいは疾風が含まれる。お奨め技能には〈治療〉、〈真意看破〉、そして〈呪文学〉が含まれる。

ガンスリンガー

内海地域の大胆不敵なガンスリンガーは時に異国の環境を旅する挑戦で歓迎され、親しい相棒の乗組員たちと共に隊商で旅することはそれで保証されたようなものだ。ガンスリンガーは危険な敵を大胆不敵な方法で倒そうとする時、旅生活に楽しみを見出す。

推奨:才覚を持つあらゆるガンスリンガーはこのアドベンチャー・パスでうまく行動するだろうし、短距離と長距離の火器を持つ彼らの勇猛さは戦闘中でもロールプレイングでもやりやすいものになるだろう。お奨め技能には〈軽業〉、〈知識:地域〉、〈知覚〉、そして〈生存〉が含まれる。

特記:このアドベンチャー・パスにおいて火器は全く役割を果たさないため、君はガンスリンガーを選ぶ前にこれのプレイについてGMと話すべきだ――火器への補助が欠けているため、君のGMがこのアドベンチャー・パスを調整して埋め合わせない場合、用意されている利用可能な宝物はこのクラスの魅力をずっと引き下げるだろう。

キャヴァリアー

誇り高く忠勇なキャヴァリアーは隊商の速歩に連なる多数の理由を持て、仲間の冒険者集団への献身はこの恐るべき旅に恩恵をもたらす。異国の際立って勇敢な(あるいは単に頑固な)キャヴァリアーは名声を打ち立て大きな賞賛を受ける為にヴァリシアを訪れ、自らの野望は更に彼方の国でさえもっと成功するであろうことを認識することになる。キャヴァリアーは自らの大義に従う新たな者をいつでも求めており、隊商まるまる1つの徴集を単なる転向候補者をなだめすかせる大旅行の始まりと見做せる。他者からの助けを求める必要のないより孤立した者たちはこの彼方の国への旅を、この叙事詩級の旅を達成したという個人的満足以外には報酬のない個人的な試練と見做す。

推奨:ドラゴン騎士団かシールド騎士団に参加するキャヴァリアーはこの北へ旅する固い絆で結ばれる一団で最も団結できる一員となり、彼らの戦闘で仲間を助ける力は北方の極寒の危険な地域において価値あるものとなるだろう。お奨め技能には〈はったり〉、〈交渉〉、〈騎乗〉、そして〈真意看破〉が含まれる。

クレリック

旅するクレリックは既に内海地域において極めて一般的であり、彼らの存在は目的地に到着できるほど長生きしたい隊商にとって必須と見做されることも時々ある。ヴァリシアのクレリックはデズナを崇拝する傾向にあるが、リノーム諸王の地出身のクレリックはゴルムに惹かれる。そうした神格のクレリックは、善行を求めるが自然との釣り合いを維持しようともする他の神格のクレリックと同様、隊商において自らの技は極めて重要だと気付くだろう。外国の毒と病の危難は旅人にとって常に脅威であり、クレリックの信仰の治癒の力は価値あるものになっている。

推奨:どの領域のクレリックでも一行に有用だろうが、特定の専門は恐らく他よりも有用であり、特に治癒と保護の力を持つものか来訪者といった悪の勢力と戦闘する力を持つものがそれにあたるだろう。強力な領域の選択には善、保護、そして旅の領域が含まれ、有用な副領域には探検と革命が含まれる。お奨め技能には〈治療〉、〈知識:貴族〉、そして〈真意看破〉が含まれる。

サムライとニンジャ

このアドベンチャー・パスでプレイヤーは魅力的な外国であるティエン・シアへと行進していくだろうが、これは君はニンジャやサムライでゲームを開始できないことを意味するわけではない。遠方のティエン・シアからアヴィスタンへと旅したカイジツ家と同様、君の家系も長旅をして、彼の国の古の伝統を携えてここまで来たのかもしれない。勿論、君はニンジャやサムライになるのにティエン・シアから来ている必要さえない――これらのクラスや伝統は内海地域で珍しくはあるが、未知とは程遠い。ニンジャかサムライ(あるいは同様に問題となる、芸者バード、武道家、他のUltimate CombatUltimate Magic、または違うパスファインダー・ルールブックにある同等の主題の選択肢)として翡翠摂政アドベンチャー・パスを開始したい場合、君のGMと話し合って君のキャラクターがどうやってそのクラスに就いたかの詳細を決定すること。

サモナー

サモナーは北方の戦で血が滾る部族では一般的とは言えないが、その存在は知られておりどこか恐ろしいものと見られる。彼らは自らにまつわる悪評によって旅を強要されることがあり、社会から押し出され道を往かなければならない事態には慣れている。隊商内にいるサモナーとその幻獣の存在は士気を高め旅の間にこなす必要がある様々な仕事を手助けするため、サモナーは旅路において信じられないほど有用だ。

推奨:動物形態の幻獣を持つサモナーは、ヴァリシアでの広範な国々を通る旅が他者よりも容易だろう。悪魔じみた生き物に似た幻獣を持つサモナーは恐ろしい精霊の仲間と間違えられ、旅することになる様々な居住地で辛い時を過ごすことになるかも知れない。お奨め技能は〈知識:地理〉、〈言語学〉、そして〈呪文学〉を含む。

ソーサラー

ヴァリシアの比較的高地や国境近い場所にはソーサラーと分類される秘術能力の才能が眠っており、彼らの多くが自分たちの不可思議な力に慣れ始めているこの地から気分転換に離れたいと思っているかも知れない。一部のソーサラー――特にウィザードやアルケミストのようなより学術的な魔法使いの才能と教導を纏め上げる黄昏翰林院があるガルドゥリア付近の居住地からやってきた者など――は未だ息苦しいと感じ、そうして彼方地への旅への期待を最高と感じる。隊商は常にソーサラーの便利な力を歓迎し、才能によって彼らは隊商内のいくつもの仕事に適している。

推奨:隊商で長旅をする冒険者一行にとってどのソーサラーも恩恵となり、もっと旅をする気になるような特定のアーキタイプには極北と星の魂が含まれる;磨けば最も利益があるかも知れない技能には〈知識:神秘学〉と〈呪文学〉が含まれる。

ドルイド

多くのドルイドは気儘に旅をするため、既に社会の端にいる。ヴァリシアでも更に未開の土地は一度は自然の鑑賞者を楽しませるかもしれないが、より強力な自然の予想は時にドルイドを旅に駆り立てる。隊商は通常、普通よりも自然と密接した生き方をしている者たちで構成され、ドルイドは様々な理由で文明の忌避を選んだ遊牧民たちと関わる傾向がある。サノス森かコダー山脈で暮らしているヴァリシアのドルイドは、他の遊牧ドルイドから、北の森と山を見守る偉大なるカミの話を聞くことがあるだろう。自然を冒涜しようとする裏切り者のオニの話もドルイドの耳に入り、それらの噂はそうした敵を譴責しようとするドルイドの正義の心に火を点ける事になる。

推奨:このアドベンチャー・パスにおいてあらゆる種類のドルイドはとても素晴らしく、極地か山岳のアーキタイプは自らの才能が特にこの旅に嵌ることに気付くだろう。このアドベンチャー・パスの一部で寒冷な地形を長距離旅する事になるため、寒冷な気候に容易に適用できる動物の相棒を選ぶことは良い計画だ。お奨め技能には〈知識:地理〉、〈知覚〉、そして〈生存〉が含まれる。

バード

叙事詩的な旅の話で聴衆を楽しませ彼らの心(か財布)を鷲掴みにしようとするバードはヴァリシアの地を横断しその先へも進むような隊商の長旅以上のものを望む必要はない。ヴァリシアの文化は豊かだが、慣れてくるとバードの心に旅への欲求が芽生えることがあり、過酷な時に士気を高揚し勇気を鼓舞する彼らの能力は隊商の一行で歓迎される。リドルポートやマグニマールといった都市で長居して飽きられてきた狡猾なヴァリシアのバードたちは北かそれより先の僻地へと避難しようとするかもしれないし、コダー山脈やストーヴァル高原のような高地から降りてきた部族のバードは時に北の国々の物語に精通しており、自らの好奇心を満たそうとする。そうでないバードの多くは自らの持ち歌と名声を増そうという欲望によって長旅に対する動機を保つ。

推奨:バードの技能一式はこのアドベンチャー・パスの大半において有用さを証明するだろうが、一部の能力は他よりもこの旅においてバードを助けるかも知れない。このアドベンチャー・パスの一部では長距離を踏破する旅があるが、バードは依然として社会や文化の種々雑多な要素と関連を持つ無数の機会を持つだろう。お奨め技能には〈軽業〉、〈はったり〉、〈言語学〉、〈隠密〉、そして〈魔法装置使用〉が含まれる。

バーバリアン

野蛮なウォリアーはヴァリシアの東にあるストーヴァル平原全土で一般的であり、その暴力的な力と鋼の決意は時に旅する隊商において歓迎すべき特徴となる。北からアヴィスタンへとやって来るショアント人とケーリド人のバーバリアンは道行く旅人や往来の交易人にとっては珍しい者ではなく、交易隊商や彼方の国への使節団を先導して実のある収入を獲得できる人種である。

推奨:あらゆるバーバリアンはヴァリシアから遠方へと旅する理由を持てるが、馬上の猛威アーキタイプは乗馬して山々を越える長旅を容易に行えるだろう。不死身の激怒者アーキタイプを使い極地への持久力能力で寒冷地に対する不死身効果を選んだバーバリアンは北方の極寒に最高に耐えられるだろう。お奨め技能には〈登攀〉、〈知覚〉、そして〈生存〉が含まれる。

パラディン

パラディンは旅する隊商にとって信じられないほど有用な財産であり、攻撃や試練を蒙る乗客たちは、時に熟練の癒し手や悪の懲罰者の助けを求める。ヴァリシアより北の道中に棲まう様々な悪霊は聖戦士の助けがあればずっと対処しやすくなる。旅への欲求を持つパラディンは時に道中で悪人を倒したいと願いながら道を進むことがあり、ほぼ間違いなく隊商の集団に歓迎される。

推奨:旅したいと思いその地方と特に強い結び付きを欠いているパラディンは長旅において極めて役立つ。過ちを正そうとし祖先を誇る者もこのアドベンチャー・パスにとても合うだろう。しかしながらパラディンは教会のない荒野の只中で二本の足で立つ準備をしなければならないだろう。お奨め技能には〈交渉〉、〈知識:貴族〉、そして〈真意看破〉が含まれる。

ファイター

隊商の護衛として雇われたか旅する外交官を守るよう命令された傭兵となったファイターは様々な交易路を通って絶えずヴァリシアを旅し出入りしている。独自に目的を持つウォリアーは数え切れないほどの宝物と富が未開の地深くで発見されるのを待っている、彼方にある魔法の国で自らの運命を見つけようとしているだけかもしれない。霜の降り積もるイリセンや傭兵のうろつくリノーム諸王の地やヴァリシアを含むあらゆる地域から来るファイターは、快適な故郷を背に放浪生活を追い求める理由を見つけられるだろう。

推奨:ファイターの子は忙しいだろうが、このアドベンチャー・パスにおいて素晴らしい活躍をするだろう。片手一刀流戦士と荒ぶる闘士を含むアーキタイプは手堅い選択であり、お奨め技能には〈動物使い〉、〈威圧〉、そして〈生存〉が含まれる。

メイガス

ヴァリシアは魔法と近接の芸術を鍛えようとする放浪メイガスの鍛錬場となることがあるが、彼らの訓練は時に絶えない移動と頻度の変更が要求されるため、彼方の地への旅路はそのどちらも十分に満足させるものになる。メイガスの多くは東方からやって来るが、にも関わらずヴァリシアにいる占い師と魔法を使える旅人たちはメイガスの心を惹き、メイガスはこの地の無数の都市に停留し、有用な伝承と技術を土地土地で拾い集めてから再度移動する。全く異なる戦闘と魔法様式の広まる土地への誘惑は抗い難く、その両方に熟達しようとしているメイガスは冒険でいっぱいの旅路と隊商との長旅をどちらも等しく好む。

推奨:このアドベンチャー・パスにおいてあらゆる種類のメイガスは有用であり、剣技も魔術もこの叙事詩級の旅路において中核となる技になるだろう。お奨め技能には〈登攀〉、〈知識:神秘学〉、そして〈魔法装置使用〉が含まれる。

モンク

常に自己完成への旅を一歩踏み進めようとしている者であるモンクは、時に隊商の仲間に入りたがる、自らの気力を鍛えられるであろう無数の経験ができるであろうからだ。アヴィスタン西方はヴァリシアの修道院が多くある地であり、蒸気海の群島には島内修道院も多く、友人たちや異邦人たちの集団に参加して彼方の地へ聖地巡礼する事は修道院で次の階級に達する為の一般的な通過儀礼である。

推奨:どのような試練が待ち受けていようと、モンクは落ち着きながら隊商と長い旅路を進み、絆が固く結ばれた旅人の集団の中で働く。一般的なアーキタイプには蓮華拳士、聖山拳士、そして弓道家が含まれる。モンクのお奨め技能には〈軽業〉、〈知覚〉、そして〈真意看破〉が含まれる。

レンジャー

自然からの呼び声に耳を傾けそこを探検したいと願う者にとって、旅する冒険者の隊商に参加するのは合理的な判断であり、北の悴むような土地は不屈の闘志を持つレンジャーにとって究極の挑戦と見做される。アヴィスタンを横断して来たレンジャーはツンドラと、そこを旅する旅人とそこで生きようとする者に対する類を見ない試練に順応できる。リノーム諸王の地やその隣国であるイリセンから来たレンジャーはそうした野外を旅する際の暗黙の受難を理解しており、危険な山々を通過する旅の隊商にとって素晴らしい案内人になる。目端が利くレンジャーは時に斥候として雇われることもあり、隊商の統率者に目前にある異国のモンスターや危ない地形といった脅威を伝える。

推奨:翡翠摂政アドベンチャー・パスをプレイするレンジャーの秀逸な得意な敵の選択には動物、人型生物(人間)、来訪者(悪)、来訪者(原住)、そしてアンデッドが含まれる。得意な地形においては、良い選択には森林、寒冷地、山岳、そして都市が含まれる。適しているアーキタイプには案内人、変身能力者、精霊レンジャーが含まれ、お奨め技能には〈知識:地理〉、〈知覚〉、そして〈生存〉が含まれる。

ローグ

ローグはいつも遠い国の噂に惹かれ、それがその土地の富や克服不可能な不思議について言及しているなら尚更だ。そうした宝物の予測は時にローグがアヴィスタン北部を横断して隊商とともに異国の地に旅するのには十分な魅力となる。ヴァリシアのリドルポートにあるちゃんとした旅籠屋で語られる曖昧な噂でさえ、海賊や盗賊の興味を唆ることができる。権力者から逃げている者や犯罪の代償としてローグになろうとしている者の場合、移動し続け法の目の外にある、放浪する隊商以上の保護はほとんどない。

推奨:あらゆる種類のローグは冒険者の隊商にとって大いに使える者となり、富を求める者には誰のものでもない富の約束を超える探索の参加の理由は必要にならない。ヴァリシアから旅に出るのに特に役立つ一般的なローグのアーキタイプは軽業師、巾着切り、そして斥候だろうが、ランクを振るべき有用な技能には〈知識:地域〉、〈真意看破〉、そして〈隠密〉が含まれる。

サンドポイントでの開始

翡翠摂政アドベンチャー・パスはヴァリシアの西海岸にあるサンドポイントという小さな町で始まる――しかしそこに留まる予定はない。翡翠摂政アドベンチャー・パスではキャンペーンの最初の冒険が完了する前に快適な町サンドポイントから離れるだろう。君のキャラクターはサンドポイントの町から開始するべきであるが(君のキャラクターは4人の重要なNPCの1人と関係を築いているということを説明する為、少なくともその地の出身であるべきだ)、君のPCが町に居続けることを要求するような長期間のキャラクターの目的を作ることは避けるべきである。キャンペーン特徴の多くはこの冒険の感覚と旅への欲求とサンドポイントを離れ世界を見聞したいという欲望を強化するものであるが、覚悟する責任の一部はプレイヤーである君にある。君がアドベンチャー・パスのプレイに加入する時、君はその物語に加入していることを覚えておくこと。君は依然キャラクターの設計において莫大な自由を持っているが、君が長旅というこのアドベンチャー・パスの主題に合う設計選択に集中した場合、最終的にもっとずっと楽しめ実りの多い経験ができることだろう!

キャンペーン特徴

キャラクター特徴はPCの背景を改造するのを助け、彼らを特定の冒険の主題や出来事と結び付ける実質的な半分特技である。キャラクターそれぞれは2つの特技を持ってプレイを開始すべきであり、その1つは下に記述する翡翠摂政キャンペーン特徴から選ばなければならない。一般的な特徴についてはPathfinder RPG Advanced Player's Guideか、http://paizo.com/traitsで無料でダウンロード可能なPDFであるCharacter Traits Web Enhancementを参照すること。加えて、多くのPathfinder Player Companionにはゴラリオン固有の、翡翠摂政PCの使用に適した種族、地域、そして信条特徴が含まれている。

キャンペーン特徴は特定のアドベンチャー・パス用に仕立てられたものであり、君のキャラクターに新しいキャンペーンの最初の冒険を始める生来の理由を与える。翡翠摂政において、これらの特徴は君のキャラクターの、このキャンペーンの多くで君と同行することになるであろう4人いる重要なNPCのうち1人との関係を明文化するものでもあり、多くの意味でNPCたちの成功と失敗は君独自のキャラクターの成功と失敗に密接に関わることになる。

キャンペーン特徴は通常の特徴よりももっとずっと君のキャラクターの背景を想定しており、自分たちのキャラクターの詳細で面白い経歴を作ろうとするプレイヤーに霊感を与える助けとなるようになっている。君は自分にあった特徴を選択した時、キャンペーン特徴が予定している背景を多少調整できる;修正した歴史を持つキャラクターをプレイする前に、確実にGMの認可を得ること。

下記の特徴全てはキャラクターが翡翠摂政アドベンチャー・パスの4人の主要なNPC――アメイコ・カイジツ(人気の地域密着型の旅籠屋の主人であり、町の権力者の1人)、シェイレル・アンドサナ(町周辺の野外の守護者にして才能ある狩人)、コヤ・ムヴァシュチー(神秘的な占い師)、そしてサンドル・ヴィスキ(隊商の所有者であり、町で更に悪名高いならず者のうち1人を兄に持つ)――の1人を知ることができる手段について解決するものだ。君はこれらの特徴を一瞥して一般的でネタバレのない、君のキャラクターがこのアドベンチャー・パスを通して遭遇することになるであろう敵や挑戦の種別の発想を得て良い。舞台は亜細亜のファンタジーの要素がある場所、寒冷な環境、隊商の旅、超常的な敵との衝突、政治といったものとなることを知れば、君が参加するつもりのキャンペーンに編入するのによりはまったキャラクターを構築する助けになるだろう。

キャンペーン特徴の選択に加え、君は自分のキャンペーン特徴で君と関係することになる4人のNPCのうち1人を選ぶ必要が出るだろう。4人のNPCの記述は、サンドポイント町での彼らの簡潔な役割の説明も添えて以下にある。

アメイコ・カイジツ(女性の人間バード)

アメイコは美しいがどこか不遜な、サンドポイントの錆竜亭を運営するティエンの血を引く女性であり、サンドポイントを成立させた家系の一員となっている。彼女の両親と兄貴たちはここ数年で不幸な死を迎えており、カイジツ家唯一の生き残りとして若い身空の彼女を町に残した。アメイコは町の貴族の中に身を置いているが、彼女が本当に貴族制というものを斟酌したことはない――彼女はいつも探検に恋い焦がれており、冒険や大胆な偉業の話を聞くのが大好きだ。彼女は友人のサンドル・ヴィスキと共に1年ほど実際に冒険者になったことさえある。短い冒険者の経歴によって彼女は錆竜亭を即金で買えるほどの十分な金銭を得、今や彼女は「引退」して女将となっている。しかし君は、冒険者人生の放棄は彼女の選択では全くなかったのではないかと感じている――彼女は最後の冒険で何が起きたか、あるいは彼女の集団の他の者に何が降りかかったかについて多くを語ろうとはしない。町に多くの友人と賞賛者を持つが、アメイコは誰も友人以上の者であると認めたことはない;彼女は個人的な質問を避け、口説きの話術を回避し、サンドポイントにいる恋人の座を狙う数人は不満に思っている。彼女は才能ある歌手であり三味線弾きであり、アメイコは望むならサンドポイントで確実に快適な生活を送れる。しかしながら君は彼女をよく知っており、それは彼女が「安全な町」で「安全な生活」しかなさそうな人生を送ることに対する退屈と不満が貯まっていることを知れるほどだ。叙事詩級の旅路や他のそれ自体が大冒険となるような行事に行く機会があれば、アメイコは錆竜亭をすぐ売り払って胸を高鳴らせながら自らの運命を求める、というのは君には納得の行くことだ。

コヤ・ムヴァシュチー(老年の女性の人間デズナのクレリック)

ほんの1~2ヶ月前に老衰するまで、マダメ・ニスカ・ムヴァシュチーはサンドポイントの最長老であった。このヴァリシアの予見者の正確な没年齢を知る者はいない(サンドポイントが成立した時に彼女は既に40歳を超えていた)――が、その唯一の娘であるコヤ本人も老女であるのは紛れもない事実だ。コヤは人生の大部分でいくつもの隊商と共にヴァリシアを旅しており、若い頃は治療者として、もっと最近は占い師として働いていた。ここ数年間、彼女は養子のサンドル・ヴィスキと共に、年に2~3回リドルポート、マグニマール、そしてコルヴォーサを巡回する一般的な隊商で旅をしてきた。しかしその隊商は多くの時間を比較的サンドポイントに近い場所を過ごしており、年老いた母を介護する時間を取りやすかったためそれはコヤにとって都合のいいものだった。

しかしながら老いたニスカの死以来、コヤの最初の悲嘆は不機嫌な陰鬱へと変化した。生まれてからデズナを崇拝し続けている彼女はヴァリシアの低地を広範に旅したが、この地の国境を超えたことはないことに気付きはじめた。他のデズナ信仰の旅人の話は長い間コヤを楽しませてきた――彼女の母でさえ、北のリノーム諸王の地やカディーラといった遠方まで隊商で何度も足を伸ばしたことがあると評判だ。結果としてコヤはこの年になって危機感を抱き始めた――未だ隊商での長旅をしたことがないという失意が育ってきた。母が死に、コヤにはヴァリシアに留まる理由がほとんどなくなり、サンドルにすぐにでも長旅に出ようと強く誘うようになった:「思い立ったが吉日、長く待っていられないもの!」コヤは還暦を迎えた女性としては驚くべき体型をしている――明らかに、長命さは彼女の血筋に因るものだろう――が、年を経るほどに好みの物語にあるような本当に叙事詩級の旅ができる可能性は減っていく。

サンドル・ヴィスキ(男性の人間ローグ)

あとほんの1~2年で中年になるサンドル・ヴィスキは魅力的で男前で不遜であり、それらは彼の兄ジュブレイルがサンドポイントにおける地元のスクザーニの統率者と言われている事実を考慮に入れなくてさえ、彼を極めて成功した詐欺師にできたかもしれないほどのものだ。暴力の嵐の中での両親の死は悲しいものだったが、その時ジュブレイルは自立できるような年齢であり(そして彼は完全なスクザーニとなった)、サンドルは未だ少年であったため、皮肉にもそれがサンドルをスクザーニとしての人生から救った。彼の養母は家族ぐるみの友人であったコヤ・ムヴァシュチーになり、若いサンドルの実質的な叔母となった。彼女の教導と支援により、サンドルはスクザーニに落ちることを回避でき、成人した時、彼は代わりに隊商の護衛として雇われることを求めた。

数年の間サンドルはサンドポイントに戻るのを避けていたが、隊商事業の職を失った後、彼はムシュフェンス、チャールウッド、そして靄傷山脈を探検しようとする冒険者の集団に参加した。奇遇にも、別のサンドポイントの元住人であるアメイコ・カイジツもその集団の一員だった。サンドルとアメイコは即座に意気投合し間もなく親密な友人となった――しかしどちらもそれ以上の関係ではないと言っている。アメイコと同様、サンドルも短い冒険の日々の間に十分な量の金を得、これもアメイコと同様、彼もこの人生を捨てた理由について語ろうとしない。冒険を引退した時、彼は旅籠屋を買う代わりに自分の隊商を買い、後日コヤを自分の旅に誘った、彼女は世界をもっと見たいと思っていることを知っていたからだ。ここ数年の間彼は兄と衝突したことは殆ど無く、コヤの長旅がしたいという願いを叶えようと、そして兄ジュブレイルの問題と、彼のスクザーニの同胞の危険な影響から距離を置こうと、サンドルは通常よりも長い隊商の契約について考えることが多くなっている、と君は耳にしている。

シェイレル・アンドサナ(女性のエルフ・レンジャー)

シェイレル・アンドサナはサンドポイントの住人にとってどこか謎めいている人物だが、間違いなくこの町で最も賞賛される防衛者の1人である。実際にはこの町で生きているわけではないが、彼女は時折アメイコ・カイジツとの友情のお陰で宿泊費無料で錆竜亭で夜を過ごすことがある。町にいる誰もがシェイレルは一匹狼でサンドポイント周辺の未開地を放浪し探検するのが好きであることを知っている。彼女は定期的にこの地から数週間あるいは数ヶ月さえ消えてヴァリシアのどこかにいる友人(特に鉤爪山付近か北部のエルフの葉泣き村付近と言われている)を訪れているが、サンドポイントに戻らなかったことはない。なぜ彼女が戻り続けるのかを正確に理解している者はいない。理由を聞かれた時に彼女はまれにこう答えることがある、「皆いつだって誰かに見られているものよ。」彼女の適時のゴブリンの活動報告は待ち伏せから民を救っており、町や周辺の農地への襲撃の可能性を何度も民兵に警告している。しかし最近、保安官ヘムロックは周辺地域への巡回活動を活発化しており、彼の民兵はかつてないほどの練度を持つようになったため、この田舎にシェイレルが目を光らせる助力の必要性は減ってきている。しかしながら彼女はこの改善にどちらかと言えば心から喜んでいるようで、自分がもはや必要とされないことに失望するのではなく、まるでサンドポイントが自立を始めたことを誇りに思っているかのようだ。彼女はいつかの将来サンドポイントを離れる長旅に出ようかと考えていることさえ仄めかし始めているが、詳細を突っつかれても、彼女はただ肩を竦めて話題を変えるだけだ。翡翠摂政アドベンチャー・パスの4人の鍵となるNPCにおいて、シェイレルは最も縁が薄く彼女の動機は最も謎めいているが、彼女はそれ以外では十分に友好的で協力的だ。

NPCのプレイ

唯一無二のPCを作って隊商のNPCの側でプレイするのは楽しいものだが、翡翠摂政アドベンチャー・パスの間にこれらの流行りのサンドポイントのキャラクターを単にプレイすることに、いつもとは違った興奮を見出してもよい。この方法でプレイする場合、君は仲間のプレイヤーと協調して君たちが同じプレイヤーを選ぶことがないようにし、そのキャラクターの背景(上記)とすぐ下にある一般的な指標を気に留めながらキャラクター用紙を作ること。

アメイコ:女性の人間バードであるアメイコはきっと混沌にして善であり、恐らく以降ローグのレベルを取得するだろう。

コヤ:女性の人間デズナのクレリックであるコヤは老年であり、それによるボーナスとペナルティが発生している。

サンドル:男性の人間ローグであるサンドルは屈強で名誉を重んじ、以降ファイターのレベルを取得してもよい。

シェイレル:女性のエルフ・レンジャーであるシェイレルは道徳心が強く、混沌にして善が一番ありそうだ。

特徴

以下の特徴それぞれでは上に書いた重大なNPCを1人から4人並べている。キャンペーン特徴を選ぶ時、君の特徴と絆を持つ関連したNPCを誰にするかも選ぶ必要がある。

〔英雄崇拝〕/Hero Worship:町の誰もがアメイコとシェイレルを賞賛している――つまるところ彼らは英雄であり、サンドポイントを見舞った最近の問題でも重要な役割を果たしていた。しかし君はこの賞賛を新しい段階へ持っていく――君は2人のうち1人を熱狂的に崇拝しているから。過去いつかの時点で2人のうち1人が極めて印象的な勇気ある振る舞いをしていたのを君は見たからかもしれないし、君が若く感受性が強かった数年前に君に適切な励ましの言葉か優しい贈り物をあげたことがあったからかもしれない。いずれにせよ、君は最善を尽くして自分の英雄の呪文発動か戦闘の技を真似ている。英雄がアメイコである場合、君は精神集中判定に+2のボーナスを得る。英雄がシェイレルである場合、君は機会攻撃に対するACに+1のボーナスを得る。加えて、君は自分の英雄を機会攻撃範囲内に収めている敵に対するあらゆる攻撃ロールに+1の特徴ボーナスを得る。NPCの選択:アメイコ、シェイレル。

〔家族ぐるみの友人〕/Friend of the Family:生まれた頃から、君の家族はムヴァシュチー家と親しい仲だった。老いたニスカ・ムヴァシュチーの最近の死は予測できないものでは全くなかった――君たちの知る限り、彼女は確実に上寿に達していた――が、にも関わらず意気も消沈するような事態であった。しかし君以外の家族は誰も知らなくとも、死ぬ数週間前からニスカは自らの余命を知っていたに違いない、その頃に彼女は君を家に招いてある約束をさせたのだから:娘のコヤが長旅へ出るなら、あなたも付いて行って身を守ってあげて。コヤが長旅へ出る確率は微小に思われたが(結局のところ、彼女は少なくとも還暦を迎えているのだ)、そんな出来事がやってきたら娘に同行するという約束を君はニスカと結んだ。この約束をして以来、君には運命が未来に漂っているという奇妙な感覚があった――娘を助けてやってくれという願いを見届ける為にニスカが草葉の陰から見守っていると感じさえした。監視されているというこの不気味な感覚の結果として、君は常よりも危険な状況でより素早く反応できるようになっている。コヤが生きている限り、君は〈知覚〉判定に+1の特徴ボーナスを得、〈知覚〉は君のクラス技能となる。加えて、君はコヤを機会攻撃範囲内に収めている敵に対するあらゆる攻撃ロールに+1の特徴ボーナスを得る。NPCの選択:コヤ。

〔生存主義者の学徒〕/Student Survivalist:サンドポイントの町民の多くにとってどこか神秘的に見られているが、君にとってシェイレルは本当に全く神秘的に見えない。勿論、それはきっと彼女が君を育ててくれたからだろう。シェイレルが何故自分を弟妹として扱うと決めたのかははっきりとしないが、君は確実にそれを好んでいる――君は何年も彼女が見せてくれた生存術の全てを熱心に吸収している。結果として、君はあらゆる〈生存〉判定に+2の特徴ボーナスを得、〈生存〉は君のクラス技能となる。加えて、君は自分の教師を機会攻撃範囲内に収めている敵に対するあらゆる攻撃ロールに+1の特徴ボーナスを得る。NPCの選択:シェイレル。

〔隊商の護衛〕/Caravan Guard:君は最近護衛としてサンドルの隊商に雇われたが、支払いはよくてもその仕事は実際に危険な縄張りまで旅することはなかったため、君の冒険したいという疼きまで掻いてくれることはなかった。サンドルがより危険な経路を避けている理由を君は理解しているが、理解しても君の冒険をしたいという欲求は満たせない。君はサンドルに冒険してみたいから仕事を辞めたいとサンドルに告げたばかりだ――彼は理解したように見え、その重大な挑戦を生き延びる最高の方法についていくらか助言さえしてくれた。君は〈生存〉判定に+1の特徴ボーナスを得、〈生存〉は君のクラス技能となる。NPCの選択:サンドル。

〔弟妹〕/Younger Sibling:君はこれまでの人生の間、君が自分もと望んでいた冒険でいっぱいの人生を過ごしているようにみえる兄姉の影を踏んで生きてきた。君の兄姉はいつも君を世話してきたが、冒険者になりたいという君の欲望を支持したことはない――兄姉は理由は説明したことはなく、こう言うだけだった、「冒険は成功と富がやって来るのと同じくらい容易に苦痛も大量に起きるものさ。」サンドポイントの町民により影響力のある1人の弟妹である君は、そのNPCの冒険の才能と技の一部を共有している。君がアメイコの弟妹である場合、自らの凄まじい独立性と自信によって意志セーヴィング・スローに+1の特徴ボーナスが与えられる。君がサンドルの弟妹である場合、自らの心の強さによって君にはあらゆる頑健セーヴィング・スローに+1の特徴ボーナスが与えられる。君がシェイレルの弟妹である場合、敏い反射神経によりあらゆる反応セーヴィング・スローに+1の特徴ボーナスが与えられる。注意:君は鍛えられたNPCの弟妹だが、そのNPCと同じ種族に固定する必要はない――兄姉として選んだNPCと君が異なる種族であったり民族性であったりする場合、君は両親からその一家へと養子になったのだ。加えて、君の兄姉を機会攻撃範囲内に収めている敵に対するあらゆる攻撃ロールに+1の特徴ボーナスを得る。NPCの選択:アメイコ、サンドル、シェイレル。

〔被救助者〕/Rescued:過去いつかの時点で、君は恐ろしい死に瀕したことがある。町を襲撃しているゴブリンに殺されかけたのかもしれないし、巨人の投石による倒壊に巻き込まれたのかもしれない。どのような災難であれ、折良く現れて君の命を救ったコヤかシェイレルの迅速なアクションがなければ君は確実に死んでいた。君はこれを忘れたことはなく、いつも救ってくれたNPCに心底から忠誠を誓っている。恐らくそれより重要なのは、彼女が君を助けたやり方は君独自の技術に衝撃を与えていることだ。コヤが君を救った場合、彼女は君が死ぬ前に治癒呪文を発動することで助けていて、結果としてダメージを治癒する為にキュア呪文を使う時に君は+2の特徴ボーナスを得る(訳注:精神集中判定にか、機会攻撃に対するACにか、SR克服の為のCL判定にか、回復ロールにか、それ以外にかは不明)。シェイレルが君を救った場合、彼女は君を襲いかけていた災厄を倒しながら君を安全な場所へと引き倒すことで助けていて、結果として〈軽業〉判定に+1の特徴ボーナスを得、〈軽業〉は君のクラス技能となる。加えて、君は自分の救世主を機会攻撃範囲内に収めている敵に対するあらゆる攻撃ロールに+1の特徴ボーナスを得る。NPCの選択:コヤ、シェイレル。

〔無二の親友〕/Best Friend:君はNPCの1人と無二の親友だ;君たちは共に育ち、君の友人は君よりもずっと興奮するような人生を送ってきたが、君はいつか友と共に世界を見聞したいと願っている――冒険者になりたいとさえ思っているかもしれない。君は友から多くを学んだが、お互いとの会話で磨き上げた技術は著しい。アメイコが無二の親友である場合、君は〈交渉〉判定に+2の特徴ボーナスを得る。サンドルが無二の親友である場合、君は〈はったり〉判定に+2の特徴ボーナスを得る。特徴ボーナスを得た技能がどちらであろうと、そちらの技能は常に君のクラス技能となる。加えて、君の無二の親友が危険な状況では、君は友を機会攻撃範囲内に収めている全ての敵に対する攻撃ロールに+1の特徴ボーナスを得る。NPCの選択:アメイコ、サンドル。

〔養子〕/Foster Child:コヤ・ムヴァシュチーは君の祖母としては十分なほどの年齢だが、君にとって、彼女はいつだって母さんだった。君の両親が死去して以来、コヤは母親であるかのように君の世話をしてきた。コヤが何故自分を育ててくれたかの理由を本当に理解したことはないが、――最近は君が兄弟と考えているサンドル・ヴィスキと共に――育ててくれたことを君は知っている。成長と共にコヤは可能な限り最高な教育を君に施していて、1つの話題についてはそれが際立っていた。〈知識〉技能から1つ選択する――君はその〈知識〉技能の技能判定に+2の特徴ボーナスを得、その技能は君のクラス技能となる。加えて、君は養母を機会攻撃範囲内に収めている敵に対するあらゆる攻撃ロールに+1の特徴ボーナスを得る。NPCの選択:コヤ。

〔幼少期からの恋慕〕/Childhood Crush:君は実行に移すような気概は持ち合わせていないが、物心ついたころからずっと、NPCの1人にぞっこんだ。今ではないいつか、君がNPCから愛を勝ち取ってそのNPCと寄り添えれば、あるいはそのNPCが君に感謝の言葉か笑顔をくれてさえ、君は満足する。1日に1回、君はDC15の【魅力】判定によって君がぞっこんのNPCから何らかの言葉か笑みを得る試みをしてよい。成功した場合、感情の昂ぶりと喜色によって君はその日の残りの時間あらゆるセーヴィング・スローに+1の特徴ボーナスを得る。君がNPCの愛を勝ち取れるほど幸運な場合、このセーヴィング・スローへの+1特徴ボーナスは君の関係がまだ生きている限り常に適用される。これら3人のNPCの場合性別は問題にならない。GMが何も言わない限り、これらのNPCはこの特徴の含意に関する限り3人全員両刀使いと見做される。同じNPCを選んでしまえば一行に不和をもたらすであろうため、君がこの特徴を取得する場合、NPCの選択は他のこの特徴を取得した他のプレイヤーと足並みを揃えた方がいいことに注意。勿論……君と他のプレイヤーが望むのであれば、恋の鞘当てをやるといい! 加えて、君はぞっこんの相手を機会攻撃範囲内に収めている敵に対するあらゆる攻撃ロールに+1の特徴ボーナスを得る。NPCの選択:アメイコ、サンドル、シェイレル。

瞬間移動の問題

翡翠摂政アドベンチャー・パスの重要な主題の1つに神話的で英雄的な旅という考えがある。無数の古典的な物語がこの題材を扱っている――指輪物語未知なるカダスを夢に求めて、そしてオデッセイは全てこれで思い浮かぶものだ。これらの物語全てにおいては旅そのものが結末の役割ほどに重要な出来事だった――主役が旅を飛ばしたら、その物語の最高の部分の多くを取り逃すだけでなく、物語の最高潮で待つ者と準備もせずに関わらなければならなくなるほどに。

翡翠摂政もまさしくそうした筋書きに当て嵌り、キャンペーンの進行において踏破の旅が重要な役割を果たす。結果として、テレポートウィンド・ウォークシャドウ・ウォークのような呪文で重要な踏破の長旅の項をひとっ飛びできるとは考えないこと。他の目的でそれらを使えるほど強力になった時、それらの呪文は依然として確かに使用できるが、これらの強力な効果で冒険を結末まで「早送り」することに使うとは計画しないこと!

協力関係の構築

翡翠摂政アドベンチャー・パスの進展とともに、君はこの書類で言及するNPC4人全員と協力関係を構築していく――アメイコ・カイジツ、コヤ・ムヴァシュチー、サンドル・ヴィスキ、シェイレル・アンドサナ(そしてキャンペーン中の以降に君がであるであろう追加のNPC)と。NPCの1人と君のPCの間で協力関係を構築することは最終的に唯一無二の優位と恩恵を君に与えるだろう――その協力関係が対立だろうと友好だろうと。

NPC1人との協力関係は友好でも対立でも良い――君がしたい種類を選ぶ。一部のゲーム内の出来事は協力関係を友好から対立へ、あるいはその逆へと自然に変更できる――君が意図的に自力で友好から対立へと協力関係を変えたいなら、君は協力関係値を半減することでそれができる。

ある意義深いNPCと初めて出会う時、GMは君に、そのNPCと協力関係を構築できることを告げるだろう。君がそのNPCと協力関係を築くことに面白さを感じる場合、そのNPCの名前を君のキャラクター・シートに記録し、そのNPCについて君が持つ現在の協力関係値、その協力関係が有効か対立かもそれに続けて書くこと。意義深いNPCとの君の最初の協力関係値は君の【魅力】修正値に等しい(これは負の値であることもありうる)が、君はキャンペーンの進行とともにその値を上昇する機会を持つことだろう。

協力関係の改善

君は以下の5つの方法でNPC1人との協力関係値を上昇できる。

1)魅力:NPCとの基本協力関係値は君の【魅力】修正値に等しいため、君の【魅力】能力値が永続的に変わる時、NCPとの君の合計協力関係値は適切に変わる。能力値ダメージ、能力値吸収、あるいはイーグルズ・スプレンダーのような呪文のボーナスなどに因る短期間の変化は協力関係値を変更しない。

2)キャンペーン特徴:君はキャンペーン特徴で関連している件のNPCとの協力関係値に+4のボーナスを得る。

3)交友:経験レベルを得る度、君はキャンペーンにいるまだ生きている意義深いNPC1人との協力関係値を1ポイントだけ上昇して良い。

4)贈り物と侮辱/Gifts and Insults:特別な贈り物はNPC1人との友好の協力関係値を上昇でき、完璧に練り上げた侮辱は対立の協力関係値を上昇できる。贈り物と侮辱はなんでも良いわけではない――意義深いNPCそれぞれは、そのNPCに特に効く贈り物に3分類と、同様に侮辱に3分類を持つ。君はプレイ中にNPCを観察することでそれらの多くを知る必要があるだろうが、キャンペーンが開始した時にGMは君に、君のキャンペーン特徴と関連するNPCの、贈り物か侮辱の1つを知らせてくれるだろう。君はキャラクター・レベルにつき1回だけ、あるNPCに贈り物か侮辱をあげられる――自分は適切な種類の贈り物を持っていると感じた(アイテムは見つけた物でも、手作りでも、買ったものでも構わない;大抵の場合、それが誠実な贈り物である限り、アイテムの費用は問題にならない)か適切な侮辱を考えた時、GMに考えていることを報せ、そして〈交渉〉(贈り物なら)か〈威圧〉判定(侮辱なら)を行うだけでよい。贈り物か侮辱を極めてうまく送るロールプレイをした場合、GMは報酬としてこの判定に+4のボーナスを与えるかもしれない。同様に、君がこの交流を貧相にロール・プレイする場合や時期を弁えずにする場合(例えば戦闘中に贈り物を渡そうとするとか)、GMはその判定に-4のペナルティを与えるかもしれない。この判定のDCはそのNPCとの現在の協力関係値に等しい。君がこの判定に成功した場合、君のそのNPCとの協力関係値は1ポイント上昇する。DCを10以上超えた場合、代わりに2ポイント協力関係値が上昇する。

対立者に贈り物をすれば協力関係値は減少し、友人を侮辱しても同様である。君は適切な技能判定(〈交渉〉か〈威圧〉)を依然として行わなければならない;成功すれば協力関係値は上記の通り1か2ポイント減少する。

5)特別な出来事:翡翠摂政アドベンチャー・パス内の特定の出来事は一部のNPCとの協力関係値を変更できる――GMはそれが起こる時に君にその修正を報せるだろう。

協力関係レベル

NPCとの協力関係値が上昇すれば、NPC1人との協力関係レベルも下記の一覧の通りに上昇する。

協力関係
協力関係値 協力関係レベル
5以下 知人Association
6~11 友情Friendship/反目Competition
12~30 親友Fellowship/仇敵Rivalry
31以上 献身Devotion/敵愾Enmity

知人:君とNPCは知り合いだが、お互いについて意義深い意見を十分に交わしていない。

友情/反目:君はそのNPCの良い友人であるか、彼と反目しあっていることが知られている。君があるNPCと初めてこの協力関係レベルに達した時、君は400XP得る。最初のNPC以外の者とこの協力関係レベルを得た時、君は200XPを得る。

親友/仇敵:お互いへの深い尊敬と賞賛にせよ対立と衝突といった強い感情にせよ、君はそのNPCと強い結び付きを持つ。相手NPCが生きている限り、君はあらゆる【魅力】に基づく判定に+1の士気ボーナスを得る。君があるNPCと初めてこの協力関係レベルに達した時、君は1,200XP得る。最初のNPC以外の者とこの協力関係レベルを得た時、君は600XPを得る。

献身/敵愾:君とそのNPCは互いに忠勤であるか、能動的にお互いと敵対している。君がキャンペーン特徴で関係しているNPCとこの協力関係レベルに達した場合、君のキャンペーン特徴から君に与えられる特徴ボーナスは倍になる。君があるNPCと初めてこの協力関係レベルに達した時、君は3,200XP得る。最初のNPC以外の者とこの協力関係レベルを得た時、君は1,600XPを得る。加えて、協力関係が友好だろうと対立だろうと、そのNPCとの協力関係は君に恩恵をもたらすのに十分なほど強い。NPCそれぞれでその恩恵の在り方は異なる――この段階に達した時にGMは君が得る恩恵の種類を伝えるだろう。恩恵の効果はキャンペーン中にそのNPCが生きていて活動している限り持続する。

君はNPC個人から(NPCとの協力関係レベルを下げて戻すなどで)複数回XPボーナスを得ることはできない。

恋愛

全てのゲーム集団がPC/NPCの恋愛という考えを快く思うわけではないため、これらのルールは通常以上に選択的となる。君のゲームで恋愛を採択するかをGMと話し合って決めること。

意義深いNPCそれぞれの恋愛値はGMだけが知っている。NPCと恋愛を始めるには、そのNPCとの協力関係値はそのNPCの恋愛値を超えていなければならない。1レベルに1回、君はそのNPCが君との恋愛の目があるかを判断する〈真意看破〉判定を試みて良い(DCはそのNPCの恋愛値に等しい)。そのNPCが君との恋愛に興味がある場合、君は恋愛を始めるには〈交渉〉判定(DCは10+NPCのレベル+NPCの【魅力】修正値に等しい)に成功しなければならない。君のNPCとの協力関係値がそのNPCとの恋愛値より下がった場合、恋愛は終了する。恋愛が終了する度、そのNPCの恋愛値は5上昇する。

対立の協力関係を持つNPCとの恋愛もPCはできることに注意――つまるところ、時には口喧嘩も魅力的なものだ――、しかし、その種の恋愛は通常よりも開始が難しいだろう。PCの恋愛を開始する為の〈交渉〉判定が成功した場合、恋愛は始まり、そのNPCとのPCの協力関係の在り方は即座に対立から友好へと変わる。この場合この変更は協力関係値を半減する必要はない。

恋愛はゲーム内の追加のボーナスや利益を与えはしないが、通常はGMの裁定によって、冒険の最中に、状況的な利益、機会、紛糾、そして危険さえ与えるかもしれない。恋愛が卓で果たす役割の正確な詳細は君の集団が心地よく感じる程度によって判断されるべきである――GMはこの種の添加をしたキャンペーンを進める前に、心地よい程度を理解しておくべきだろう。GMが違うルールにしない限り、あるNPCは一度に1人のPCとしか恋愛をしない。

隊商

翡翠摂政アドベンチャー・パスの早期から、君の冒険者集団はサンドル・ヴィスキの隊商に参加して長い踏破の旅をすることになる。冒険者たち自身は君たちのキャラクターに起こる遭遇と厳しい試練に集中するが、君はサンドルの隊商が安全に心地よく長旅ができるようにする必要があるだろう。

君は翡翠摂政アドベンチャー・パスの開始時にはサンドルの隊商と共に旅をしているわけではないが、それが変わって最初の冒険に至るまでには長い時間はかからないだろう。サンドルの隊商は最初はその主人が過労で倒れたため比較的小さいが、彼、君の一行全体、そして君と旅を共にする運命を持った3人の他の重要な友人たち――アメイコ、コヤ、そしてシェイレル――と他の乗客数人にとっては十分なものだ。しかしながらキャンペーンが展開していくにつれ、君たち全員を運命が受け入れてくれるよう、サンドルの隊商を改良する多くの機会を持つことになるだろう。道中で発見や君が招集できる新たな仲間という形の機会が訪れるかもしれないし、隊商の交易商品を君が購入できたり使用できたりする機会が訪れたりするかもしれない(下記参照)。

隊商レベル

君は隊商用の経験点を記録する必要はない――PCのレベルが上がれば隊商のレベルも上がる。君の集団のプレイヤー・キャラクターが経験レベルを得た時、そのPCの新しい経験レベルと隊商の現在のレベルを比較すること。キャラクターの現代のレベルが隊商の現在のレベルより高い場合、隊商のレベルはそのキャラクターの経験レベルに合致するまで上昇する。本質的に、君の隊商のレベルは常に君の集団の最もレベルが高いPCのレベルに等しい。

最もレベルが高いPCが死ぬか一行から離脱した場合にも、隊商のレベルは減少しない――単に次にレベルが高いPCが隊商の現在レベルを超え、隊商のレベルが上昇するのにかかる時間が少し長くなるだけだ。

隊商はレベルが上った時に新しい隊商特技を1つ得るが、その特技から与えられる優位性を別にすれば隊商はレベルの獲得から他の利益は得ない。

隊商の性能

キャラクターそれぞれが独自の性能を持つのと同様、一行の隊商も持つ。この書類の終わりに君が翡翠摂政アドベンチャー・パスの進捗に従っての隊商の成功、失敗、そして成長を記録するのに使える白紙の隊商シートを書いている。隊商の性能全ての記述は下にある。白紙の隊商シートは28ページ参照。以下の記述を使って隊商の最初の値を埋めること。

名前:これは隊商の名前である。翡翠摂政アドベンチャー・パスそのものでは隊商を「サンドルの隊商」と言及しているが、実際の名前はプレイヤー・キャラクターたちが決めてよい。

レベル:君が最初にサンドルの隊商と関係を持つ時、それは1レベル隊商である。隊商のレベルは君がそれと旅を続けるとともに上昇する。隊商のレベルが上がるとともに、隊商は性能を上げる助けになる新しい隊商特技を得る。隊商のレベルがこれまでの最もレベルが高いPCの旅人のレベルを超えることは決してない。

主要性能:隊商の主要性能はそれぞれ1~10の範囲内の数字1つを表し、値1は基準線、標準、隊商の飾っていない値を指し、10は隊商が至れる主要性能の完全な上限を指す。全ての隊商は4つの主要性能を持つ:攻勢/Offense(ダメージを与える能力)、防御/Defense(ダメージに耐える能力と修理の効果の速度)、機動性/Mobility(地形を見極め突然の危機に対処する能力)、そして士気/Morale(隊商の旅人全体の態度と忠誠度)。君の隊商の開始時の性能を設定するやり方は下記の隊商の構築の項を参照すること。

生成後性能:隊商主要性能それぞれは生成後性能に影響を与える。生成後性能には固有の上限がない。これらの性能には攻撃(隊商攻撃の時、合計修正値をd20ロールに加える)、アーマー・クラス(クリーチャーが君の隊商に命中を成功させる時に目標となる数)、安全性(隊商が地すべりや道路の泥々した部分、森の火事といった物理的な危険を回避する為のd20ロールに合計修正値を加える)、決意(隊商が暴動や集団恐怖といった精神的あるいは霊的な危険を避ける為のd20ロールに合計修正値を加える)。

攻撃判定/Attack check:1d20+攻勢+旅人、装備、特技、四輪馬車、そして他の源から与えられるボーナス

アーマー・クラス:10+防御+旅人、装備、特技、四輪馬車、そして他の源から与えられるボーナス

安全性判定/Security check:1d20+機動性+旅人、装備、特技、四輪馬車、そして他の源から与えられるボーナス

決意判定/Resolve check:1d20+士気+旅人、装備、特技、四輪馬車、そして他の源から与えられるボーナス

4つの主要性能と4つの生成後性能に加え、独立した性能が存在する:不安。この性能は25ページの不安と暴動の項で詳述する。

速度:この値は拓けた地面や未知を旅する時の隊商の基本速度のことだ。隊商の基本速度は1日に32マイルだ――この速度は多頭立て、《急行》特技、そして車体強化によって上昇できる。

ヒット・ポイント:隊商のヒット・ポイントの数はどれだけダメージを耐えられ機動力を保持したままでいるかを示している。0ヒット・ポイントに減少した隊商は動けなくなる――隊商に与えられる更なるダメージはそれ以降代わりに旅人を傷つける。隊商のヒット・ポイントは四輪馬車が持つヒット・ポイントの合計に等しく、適切な修正によって更に修正される。

旅人と貨物許容量:これらの値は君の隊商が運搬できる旅人と貨物単位の最大値を示している。これらの値を君の合計旅人数や貨物単位数が超過した場合、君の隊商は移動できない。君の隊商の旅人と貨物単位の合計許容量は四輪馬車の数の合計によって決定され、適切なボーナスやペナルティによって更に修正される。

消費量:この値は君の隊商が毎日消費する輜重の量を示している。隊商の消費量は君の隊商の旅人の合計数に四輪馬車全ての消費量の値を合計したものに等しく、適切なボーナスやペナルティによって修正される。

四輪馬車:君の隊商は3台の四輪馬車から開始し、最初は5台までの四輪馬車を御せるだけの余裕がある。四輪馬車それぞれには御者がいなければならず、御者は君の隊商の旅人でなければならない――御者の役割を果たしている間、そのNPCは隊商内で別の役割を果たせない。

特技:特技は君の隊商の生成後性能や、旅人や貨物単位にボーナスを与え、また別の利益も与える。隊商は特技1つから開始し、レベル毎に追加で1つの特技を得ていく。

旅人:旅人は全員隊商に属するクリーチャーであるが、四輪馬車を牽引するのに使われる役畜は除く。プレイヤー・キャラクター、NPC、動物の相棒、乗騎、そして腹心は全員この目的において旅人と見做される。旅人の人数を勘定するに際し、使い魔は使い魔の一部である。旅人それぞれ(御者を除く)は同じ方法で隊商に利益を与える。隊商シートのこの記入箇所に旅人全員の名前、隊商における役割、そして彼らが隊商に提供するであろうボーナスを並べること。上の端にある四角には隊商にいる旅人の総数を書くこと。

貨物:この範囲は隊商が運搬している貨物や装備を並べるのに使うこと。貨物全ては一定の空間を占める――貨物と装備がどれだけの空間単位をとるかの詳細は隊商装備の下にある貨物の項を参照すること。

隊商マップ詰め

この項に書かれる隊商マップはPaizo出版のMap Pack: Caravansにあるものであり、paizo.comか君の家の近所にある良質なゲーム店で利用可能だ。このマップ詰めがあれば、君は君の選択に合致するマップの板を選ぶことでゲーム机に君の隊商を組み立てられる。模型やおはじきを板に置いてキャラクターを表すことで誰がどの隊商に乗っているかの記録をすること。君はどの四輪馬車に武器の搭載といった強化をしたかを厚紙に直接(厚紙そのものに書くのが嫌なら付箋紙にでも)記入してさえ良い!

隊商の構築

君がサンドルの隊商に初めて接する時、君と他のプレイヤーは隊商の主要性能を選択することで隊商の初期構成を決定できる。

主要性能:君たちは最初に主要性能に割り振れる3ポイントを持つ。主要性能それぞれは数値1から開始し、君たちは3ポイントを好きな組み合わせで攻勢、防御、機動性、そして士気の値に割り当てられる。

開始四輪馬車:サンドルの隊商は1幌馬車、1占い師の四輪馬車、そして1荷馬車から開始する。下にある四輪馬車の性能の区画でそうした四輪馬車の能力を見ること。

追加の装備、旅人、そして四輪馬車:サンドルの隊商は6人の旅人から開始する――サンドル、コヤ、アメイコ、シェイレル、そしてベヴェレクとヴァンカーという名前のヴァリシア人兄弟2人だ(この隊商の追加の御者であり、サンドル本人が3人目の御者を務める)。

最初の冒険の一部として提供された初めの金銭的ボーナスを超える追加の四輪馬車と装備の購入と必要な専門家の雇用の責任は君にある。翡翠摂政アドベンチャー・パスの最初の冒険に初めて参加する時の君は隊商に対し追加の資源を多くもたらすことはできないであろうが、キャンペーンが進むにつれ、君には改良を買ったり見つけたりさえ出来る機会を無数に持てることだろう。

四輪馬車の性能

隊商内の四輪馬車それぞれは隊商の性能――つまり最終目的を果たす為の成功確率――を支える助けとなる特定の目的を持つ。四輪馬車の種類それぞれは同じ規格で書かれており、gp費用、ヒット・ポイント、旅人と貨物の許容量、消費量、そしてその隊商がもたらす特別な利益が並んでいる。gp費用(この費用にはその四輪馬車を牽引するのに必要な馬も含まれる)を費やすことで新しい四輪馬車を買う時、そのヒット・ポイントと容量の合計を、君の隊商のヒット・ポイントと貨物と旅人の許容量の合計に加えること。

君は隊商に多くの四輪馬車を追加できるが、種類ごとにどれだけの四輪馬車を隊商が実質的に維持できるかの制限がある。この制限は四輪馬車の種類によって変わり、それぞれの項目に並んでいる。隊商のこの制限を超過した四輪馬車は追加の特別な利益を与えない。例えば、君が隊商に3台目の箱馬車を追加する場合、隊商は既に箱馬車の上限である2に達しているため隊商のACを+3だけ上昇させるということはない。

最後に四輪馬車それぞれは消費量の数値を持つ――これは四輪馬車を牽引するのに必要な馬の数に等しく、書かれている量だけ隊商の全体的な消費量値を上昇させる。

隊商はいっときに5四輪馬車までしか保持できない。《追加四輪馬車》特技はこの上限を増加する。

占い師の四輪馬車Fortune-Teller's Wagon

費用500gp;hp30

旅人許容量2;貨物許容量4

上限1;消費量1

特別な利益占い師の利益が可能になる

解説

幌馬車と荷馬車の間にある占い師の四輪馬車は隊商の精神的な導き手――占い師――が暮らすよう特別に仕立てられた四輪馬車だ。占い師の役割をこなせる旅人は、この四輪馬車なしに隊商に利益を提供することはできない。

王族用屋根つき四輪馬車Royal Carriage

費用2,500gp;hp30

旅人許容量4;貨物許容量2

上限1;消費量2

特別な利益隊商の決意に+4ボーナス

解説

旅人のうち最低1人が芸人あるいは乗客の仕事を務めているなら、王族用屋根つき四輪馬車は隊商全体の意気を高める美しい四輪馬車となる。

囚人護送車Prisoner Wagon

費用4,000gp;hp40

旅人許容量6;貨物許容量2

上限2;消費量2

特別な利益隊商の安全性に+2ボーナス

解説

この箱馬車は囚人を輸送するよう設計されているが、隊商の全体的な安全性も高める。囚人収容馬車にいる4人までの旅人を囚人に指定できる――そうした旅人は乗客としてのみ扱われ、隊商の仲間になりたいかどうかに関わらず選択肢を持てない。GMの裁定により、一部の強力なNPCは囚人収容馬車から逃げ出せるかもしれない。

多頭立てHorse Train

費用1,200gp;hp10

旅人許容量6;貨物許容量1

上限3;消費量6

特別な利益隊商の速度に1日につき+4マイル

解説

速度を早める馬を君の隊商に追加するが、驚くほど消費が増す。

荷馬車Supply Wagon

費用300gp;hp20

旅人許容量2;貨物許容量10

上限なし;消費量1

特別な利益なし

解説

これらの四輪馬車は旅人でなく貨物を運ぶように設計されている。

箱馬車Armored Wagon

費用5,000gp;hp60

旅人許容量6;貨物許容量4

上限2;消費量2

特別な利益隊商のACに+3ボーナス

解説

箱馬車は幌馬車と同様に機能する――旅人に庇のある場所を提供する。しかしながら幌馬車とは違い、箱馬車は側面が重装甲であり、単なる幌馬車よりもずっと隊商に防備を提供する。

幌馬車Covered Wagon

費用500gp;hp20

旅人許容量6;貨物許容量4

上限なし;消費量2

特別な利益なし

解説

幌馬車は基本位置に庇があれば、旅人に快適さを、隊商の移動中でも野外で夜間停止するときでも提供できる。

旅人 Travelers

隊商に属する旅の道連れである人物それぞれは旅人として知られ、隊商にいる旅人それぞれは隊商が旅している間異なる仕事をこなす――その仕事が単なる乗客であろうとも。個々のキャラクターは一度に1つの仕事しかこなせない。複数の前提条件を満たすキャラクターは1日の開始時にこなす仕事をどれにするか選ばなければならない――24時間が経過してからでないと異なる仕事に切り替えられない。

多くの仕事は攻撃安全性、そして決意判定にボーナスを提供する。これらのボーナスは状況ボーナスと見做される――お互いに累積するが、性能毎に合計で5を超える値になることはない。旅人によって与えられる、+5を超える特定の性能の判定への状況ボーナスは《熟練の旅人たち》特技を持っていない限り実質的に無駄になる。

仕事はPCか、仲間のNPCか、その立場用に雇ったNPCがこなせる。全ての仕事の立場を雇えるわけではないことに注意――占い師や術者といった一部はPCかこのキャンペーンの最中に出会った仲間のNPCのみこなせる。高レベルの旅人は全員、プレイの最中に遭遇した人物を状況に応じて仲間にした者でなければならない;仲間に業務の賃金を払う必要はない。

雇うNPCは1レベル・エキスパートか1レベル・ウォリアーである。雇ったNPC全員は特定の賃金を必要とする――この賃金はNPCを最初に雇った時に全額払わなければならず、以降ひと月毎に再度払わなければならない。賃金を払わなかった雇ったNPCは離れるまで彼はただの乗客になり、最初の機会で隊商を離れる。

アドベンチャー・パスの最中に君は隊商から離れて冒険をする多くの機会(街の中にいるとか探索したい時とか)を持つことになり、君はNPCたちが傷つかないよう隊商の場所に彼らを残しておくことを選んでもよい。

隊商の仕事
旅人 月給
案内人 50gp
占い師 PCか仲間NPCのみ
英雄 PCのみ
御者 10gp
芸人 50gp
交易人 10gp
護衛 100gp
術者 PCか仲間NPCのみ
乗客 なし
斥候 100gp
治療者 50gp
馬車製造人 10gp
料理人 10gp

案内人:案内人は隊商から地理的な危険を遠ざけ、安全性判定に+1の状況ボーナスを与える。前提条件〈知識:地理〉に最低1ランク持つキャラクターは案内人になれる。

占い師:占い師はサンドルの隊商のようなヴァリシア式隊商では唯一無二の役割を果たす――彼らは隊商において助言者であり、霊感であり、母親役である。占い師は伝統的に老女であるが、常にそうであるわけではない。占い師のいないヴァリシア式隊商はあらゆる攻撃安全性、そして決意判定に-2のペナルティを受ける。1週間に1回、占い師はその週の危難にどう対処するのが最善かの助言ができる。加えて、占い師が助言をした後1週間に1回、隊商が攻撃安全性、あるいは決意判定をしなければならなくなった時、君は2回ロールしてより良い結果を選択できる。前提条件占術呪文を発動できるPCかNPCは占い師になれる。

英雄:英雄とは攻勢から防御まで、様々な役割をこなせる高度に訓練されたキャラクターである。英雄それぞれは隊商の攻撃安全性、そして決意判定に+1の士気ボーナスを与え、最大で+4にまでなる。英雄から与えられる士気ボーナスは仕事をこなす他の旅人たちから与えられる生成後性能の判定それぞれへの最大+5の状況ボーナスにおいて数えない。前提条件PCのみが隊商の英雄になれるが、これは仕事の役割として数えない――PCは実質的に英雄と他の仕事1つをこなせる。

御者:隊商にいる四輪馬車それぞれには御者が要求される――御者のいない四輪馬車は動けない。御者は隊商に追加の利益を提供しない。前提条件〈動物使い〉あるいは〈職能:御者〉に最低1ランク持つキャラクターは御者になれる。

芸人:芸人は旅人が休む時に安らかでいられるようにし、旅の間は楽しませ、隊商の決意判定に+1の状況ボーナスを与える。前提条件娯楽に使える〈芸能〉に最低1ランク持つキャラクター。

交易人:交易人は、停留する居住地で隊商が商うことを可能にする。都市に到着すると、交易人1人は隊商が交易品1貨物単位(これは現在いる居住地とは異なる居住地で購入したものでなければならない)を消費することで特別な決意判定を行えるようにする。この決意判定で隊商は判定の結果に等しい数の金貨を得る。5人の交易人までが、隊商が新しい居住地を訪れる度に(判定毎に1貨物単位を消費することで)そうした決意判定を試みれる。前提条件〈はったり〉、〈交渉〉、あるいは〈職能:商人〉に最低1ランクを持つキャラクターは交易人になれる。

護衛:護衛は暴力から隊商を守る手伝いをする。隊商にいる護衛それぞれは隊商の攻勢値に+1の状況ボーナスと、(待ち伏せや隊商が宿営している間に起こる攻撃などの)不意討ちを避ける為の安全性判定に+1の状況ボーナスを与える。前提条件基本攻撃ボーナスが最低+1あるキャラクターは護衛になれる。

術者:術者は隊商内の複数の仕事のうち1つを埋められる臨機応変なキャラクターであり、その仕事の前提条件を満たしているかに関わらず芸人、護衛、案内人、あるいは斥候から選ぶ。術者から与えられるボーナスは他の仕事から与えられるものと累積するが、他のあらゆる仕事と同様、5人を超える術者は追加のボーナスを提供しない。前提条件呪文を発動できるPCかNPCは術者になれる。術者は冒険を通して徴集しなければならない;ただ雇うだけというのはできない。

乗客:乗客は隊商の性能に利益を提供しないが、多くの乗客は隊商の目的地に安全に連れて行けば隊商にお金を支払う。君は翡翠摂政アドベンチャー・パスの間に何度もお金を払う乗客を乗せる機会を持つだろう――GMはその機会が訪れた時にそれを伝えるだろう。前提条件どのキャラクターでも乗客になれる。

斥候:斥候は1日を隊商と同行せずその周辺の野外で過ごし、この先の道中で考えられる問題を見張り、水や獲物という形で需品を探す。斥候は1日の間狩りに集中した場合、その日の労働で輜重を2単位提供でき、あるいは1日の間斥候に集中した場合隊商の安全性判定に+1の状況ボーナスを提供できる。斥候は自前で食料を賄い、隊商の合計消費量に数えない。隊商はいっときに3人の斥候までしか働かせられない。前提条件〈生存〉に最低1ランク持つキャラクターは斥候になれる。

治療者:治療者はけが人と病人の治りを早めるのを手伝う。隊商にいる治療者それぞれは長期的な看護(Pathfinder RPG Core Rulebook98ページ)を6人までの旅人に提供できる――受ける旅人たちは四輪馬車で夜を過ごす時に自動的に長期的な看護の利益を得る。前提条件〈治療〉に最低1ランク持つキャラクターは治療者になれる。

馬車製造人:馬車製造人には隊商に修理する場所を要求する。隊商が1日移動することなく過ごす限り、馬車製造人は修理材1貨物単位を消費することで特別な安全性判定を行える。この判定で隊商の決意判定の結果に等しいヒット・ポイントを直す。5人までの馬車製造人が動いていない1日を過ごす度に(判定毎に1貨物単位を費やすことで)安全性判定を試みてよい。前提条件最低でも1ランク〈製作:大工〉あるいは〈職能:技師あるいは馬車製造人〉に最低1ランクを持つキャラクターは馬車製造人になれる。

料理人:隊商が最低で需品を1貨物単位(輜重10単位――22ページ参照)が隊商の貨物に貯蔵してある限り、料理人は隊商の消費量値を2減少する(最低で四輪馬車の合計数に等しい消費量)。隊商1つはこの方法に因る利益を5回まで得られる――5人を超える料理人は追加の利益を提供しない。《熟練の旅人たち》特技を取得する度、料理人の数の上限は+1上昇する。前提条件職能〈パン屋、調合屋、料理人、釣り人、庭師、宿屋の主人、あるいは旅籠屋の主人〉に最低1ランクを持つキャラクターは料理人になれる。

隊商装備

隊商の装備
アイテム 費用 貨物単位
交易品 10gp 1
車体強化 500gp 1
修理材 25gp 1
宿営用の罠 1,000gp 2
需品 5gp 1
バリスタ 500gp 4
防寒具 200gp 1
宝物 可変
四輪馬車の補強 500gp 1

隊商は大量の装着品(PCがプレイの途中で見つけた宝物も含む)を輸送するためだけに使うわけではなく、一部の装備は実際に隊商の性能を強化し、防衛や修理を容易にしたり速度の向上を容易にしたりする。どちらの種類の装備も下記で詳述する。

これらのアイテムそれぞれは書かれている通り決まった数の貨物単位を占める。

交易品:交易品の貨物単位1つは金属、香辛料、衣料、木材、塩といった物の組み合わせで構成されている。交易人の特別な決意判定(上記の交易人の仕事の項目参照)によるが、隊商が道中に訪れた新しい都市で交易品を売ることで驚くような収益が得られる。

車体強化:この改良は補強された車輪、高品質で高技術の車軸、そして他の四輪馬車の速度を向上する強化の組み合わせで構成される。隊商にいる四輪馬車それぞれ用の車体強化を1つずつ持っている限り(多頭立ては含まない)、隊商の速度は1日につき8マイル上昇する。

修理材:修理材は隊商がダメージを受けた後に隊商を修理するのに使われる。馬車製造人はダメージを直す為の特別な安全性判定を行う度に修理材1貨物単位を使い果たす(上記の馬車製造人の仕事の項目参照)。

宿営用の罠:この携帯式の罠ひとまとまりはトラバサミ、鳴子、張った糸に触れることで起動するライト・クロスボウといったアイテムで構成されている。隊商の近くに宿営用の罠を配置することで隊商が宿営している間に隊商戦闘が発生する場合に不意討ちを避ける為の安全性判定に+4のボーナスが与えられ、宿営している間に起こった最初の戦闘ラウンドの攻撃判定に+4のボーナスを与える。

需品:需品1貨物単位は10輜重単位と等価である。25ページの隊商の遭遇の下にある休息の項には消費量と輜重がどう働くかの説明がある。

バリスタ:隊商に設置して使用できる唯一の攻城兵器であるバリスタは隊商の攻撃判定に+1のボーナスを与える。

防寒具:防寒具は毛皮と様々な、隊商の着氷防止を助ける道具で構成されており、雪中行軍を助け、それ以外でも旅人たちに快適さを提供する。防寒具を装備した隊商は極寒の環境を旅する時に安全性決意判定に追加のペナルティを受けない。

宝物:この普通でない貨物の形態は購入できない。宝物とは君が冒険の間で集めたあらゆる種類の略奪品、装着品、宝物、そして拾い物からなるが、君の一行の誰も自分で使いたいとも持ち運びたいとさえ思わないものである。略奪した鎧、武器、硬貨、宝石、そして他の価値ある物品といったものはまとめて1つの大きな宝物として蓄えられる。君は価値の合計を自分で記録しておく必要があるだろう。隊商が文明圏に到達した時、君は欲しくない宝物を売りさばいてPCたちに分配できる儲けにすることを考えて良い。一般的なルールとして、宝物50ポンドは1貨物単位を占めるが、いくつかの状況ではGMの裁定により宝物は更に嵩張るかもしれない。

四輪馬車の補強:これらの追加の木製の補材、金属板、そして余剰の支えは四輪馬車の貨物空間の一部を使うが、そのかわりに四輪馬車のヒット・ポイントを(つまり隊商全体のヒット・ポイントを)+10増加する。

他次元界の倉庫

お金が貯まれば、君はバッグ・オヴ・ホールディングポータブル・ホールさえ買って隊商の貨物の倉庫を増したいと考えても良い。ハンディ・ハヴァサックのようなバッグ・オヴ・ホールディングより小さなものは、貨物の大量の体積を入れられるほど大きくない。

それらのアイテムそれぞれの貨物空間の体積は下記の通り。(多次元界空間に蓄えている物は取り出しづらいため、隊商に何のボーナスも与えられない事に注意――バリスタや四輪馬車の補強をポータブル・ホールに入れることはできない!)

バッグ・オヴ・ホールディング(タイプI):1貨物単位

バッグ・オヴ・ホールディング(タイプII):2貨物単位

バッグ・オヴ・ホールディング(タイプIII):3貨物単位

バッグ・オヴ・ホールディング(タイプIV):4貨物単位

ポータブル・ホール:5貨物単位

隊商特技

隊商はレベルに等しい数の特技を持つ。君がサンドルの隊商に初めて関わりを持つ時、君たち一行は下記の一覧からその隊商の最初の特技を選んで良い――勿論、隊商はその特技の資格を満たしていること!

隊商特技
特技 前提条件 利益
《急行》 機動性5 隊商の速度は4マイル/日だけ増加する
《幸運な隊商》 占い師の四輪馬車 1週間に1回隊商は攻撃安全性、あるいは決意を再ロールできる
《効率的な消費》 消費量は2減る
《熟練の旅人たち》 士気5 旅人によって与えられるボーナスの上限を+1上昇する
《商人体得》 士気3 交易の際に行う決意判定に+5ボーナス
《先制攻撃》 攻勢3 ある遭遇での最初の攻撃判定とダメージに+4ボーナス
《隊商強化》 隊商レベル2 2つの主要性能を+1増加する
《隊商追加hp》 防御3 隊商は20hpを得る
《ダメージ上昇》 攻勢5 隊商ダメージを1d6上昇する
《追加四輪馬車》 機動性3 四輪馬車の最大数を2増加する
《得意な地形》 選んだ地形でのあらゆる安全性判定に+2のボーナス
《能率的な修理》 防御3 修理の為に行う安全性判定に+2ボーナス
《廃材漁り》 旅の間に修理材を集める
《無謀な戦術》 攻勢5 ACを下げることでよりダメージを与える
《勇敢な乗組員》 士気3 [恐怖]効果に対する決意判定に+2ボーナス
《四輪馬車の陣》 防御3 四輪馬車が陣を敷きACに+4ボーナス

《急行》 Faster

君の隊商は大抵よりも速い。

前提条件機動性5。

利益:君の隊商の速度は1日につき4マイル増加する。

特殊:君はこの特技を3回まで取得できる。この効果は累積する。

《幸運な隊商》 Lucky Caravan

君の隊商には幸運の祝福がある。

前提条件:占い師の四輪馬車。

利益:1週間に1回、攻撃安全性、あるいは決意判定を求められた時に2回ロールしてよい。2回のロールのうち高い結果を判定の実際のロールにすること。

特殊:君の隊商が占い師の四輪馬車を失った場合、君はこの特技の利益を占い師の四輪馬車が修理されるか取り替えられるまで失う。

《効率的な消費》 Efficient Consumption

旅人たちは隊商の食料備蓄の管理にとても慣れている。

利益:君の合計消費量を2減らす(最低で君の四輪馬車の合計に等しい消費まで)。

特殊:君はこの特技を3回まで取得できる。この効果は累積する。

《熟練の旅人たち》 Expert Travelers

君の旅人たちは際立って訓練されている。

前提条件士気5。

利益:旅人の仕事が与えられる最大ボーナスを+1上昇する。

通常:旅人が与えられる状況ボーナスの上限は性能毎に最大+5の値である。

特殊:君はこの特技を3回まで取得できる。この効果は累積する。

《商人体得》 Merchant Mastery

君の旅人たちは特に交易で金を稼ぐことに長けている。

前提条件士気3。

利益:君は商品を交易する為の特別な決意判定全てに+5のボーナスを得る。

特殊:君はこの特技を3回まで取得できる。この効果は累積する。

《先制攻撃》 First Strike

隊商戦闘の最初のラウンドにおいて君の旅人たちは敵を傷つけることが本当に上手だ。

前提条件攻勢3。

利益:隊商戦闘の最初の攻撃判定で、君はその攻撃判定に+4のボーナスを得る。敵にダメージを与えた場合、追加で4ポイントのダメージを与える。

《隊商強化》 Enhanced Caravan

君の隊商は普通よりも一所懸命だ。

前提条件:隊商レベル2。

利益:この特技を取得した時、君の隊商の主要性能(攻勢、防御、機動性、あるいは士気)のうち2つは+1上昇し、最大で主要性能の1つの値は+10までなる。

特殊:君はこの特技を複数回取得できる。この効果は累積する。

《隊商追加hp》 Caravan Toughness

君の隊商は普通よりも堅固な造りだ。

前提条件防御3。

利益:君の四輪馬車の1つは20ヒット・ポイントを得る。この利益は君の隊商の合計ヒット・ポイントも上昇させる。その四輪馬車が壊される場合、君はその四輪馬車が修理されるか別の同じ種類の四輪馬車に取り替えられるまでこの特技の権利を失う。

特殊:君は隊商で保有できる四輪馬車の最大数までこの特技を取得できる。

《ダメージ上昇》 Increased Damage

君の隊商は戦闘で極めて圧倒的だ。

前提条件攻勢5。

利益:君の隊商が敵に与えるダメージは+1d6上昇する。

通常:君の隊商は1d6の基本ダメージを与える。

特殊:君はこの特技を3回まで取得できる。この効果は累積する。

《追加四輪馬車》 Extra Wagons

君の隊商は通常よりも多くの四輪馬車を御せる。

前提条件機動性3

利益:君の隊商の四輪馬車最大数を2上昇する。

通常:隊商はいっときに5台までの四輪馬車しか持てない。

特殊:君はこの特技を3回まで取得できる。この効果は累積する。

《得意な地形》 Favored Terrain

君の隊商とその旅人たちは特定の種類の地形を進むことに特に長けている。

利益:レンジャーの得意な地形の一覧(Core Rulebook65ページ)から特定の地形の種類を1つ選ぶこと。君の隊商はその地形にいる間全ての安全性判定に+2のボーナスを得る。

特殊:君はこの特技を複数回取得できる。その度、違う地形の種類を選択しなければならない。

《能率的な修理》 Efficient Repairs

君の隊商は容易に修理する。

前提条件防御3。

利益:隊商を修理するための特別な安全性判定を行う時に君はそのロールに+2のボーナスを得る。

特殊:君はこの特技を3回まで取得できる。この効果は累積する。

《廃材漁り》 Scavengers

君の旅人たちは野外で追加の修理材を漁るのが得意だ。

利益:1週間に1回、君は修理材1貨物単位を得る為にDC15の安全性判定を行える。君はこのDC15の判定を5ポイント超えて成功する毎に追加で1貨物単位の修理材を得る。

《無謀な戦術》 Reckless Tactics

隊商の旅人たちに、よりダメージを与えられるという意気込みを持つよう命令できる。

前提条件攻勢5。

利益:隊商戦闘の任意の時点で、君は隊商のACを-2減少して攻撃判定に+2のボーナスを得ることを選べる。《無謀な戦術》を使っている間にダメージを与える時、君は追加で2ポイントのダメージを敵に与える。

《勇敢な乗組員》 Courageous Crew

君の隊商にいる旅人たちは際立って勇敢だ。

前提条件士気3。

利益:君の隊商は敗走(隊商戦闘参照)に抵抗するための決意判定も含むあらゆる[恐怖]効果に対する決意判定に+2のボーナスを得る。

特殊:君はこの特技を3回まで取得できる。この効果は累積する。

《四輪馬車の陣》 Circle the Wagons

攻撃された時、君は四輪馬車で陣を敷いて防御的なボーナスを得られる。

前提条件防御3。

利益:隊商戦闘を行っているあるラウンドに攻撃判定を行う代わりに、隊商を移動し防御陣を張れる。これにより隊商のACに+4のボーナスを与えられる。防御陣を張っている間隊商は動けない――隊商が動く場合、即座にACボーナスを失う。

隊商の遭遇

プレイヤー・キャラクターである君は隊商が立ち向かわなければならない特定の種類のいくつかの遭遇はあまり制御できないだろうが、発生した時にそうした遭遇がどう行われるかのルールを知る必要はあるだろう。

隊商の速度は1日に何マイル移動できるかを決定する――隊商戦闘は衝突を解決する為の極めて簡素なルールを活用するため、この速度は実際の戦術規模に影響を与えはしない。隊商の基本速度は1日につき32マイルであるが、これは《急行》隊商特技の取得、多頭立ての購入、あるいは君の隊商それぞれ用の車体強化の購入によって上昇できる。この速度は舗装された地形の道を旅することを想定している――他の種類の地形をのろのろ旅する場合、Core Rulebookの172ページにある表7~8を使って君が1日に踏破できるマイル数を調整すること。

隊商の1日の旅は12時間の旅と12時間の休息を想定している。隊商は概して日中に旅する――日没後に旅する場合、速度は半減する。1日に12時間を超えて前進する隊商は疲労状態になり、あらゆるロールに-2のペナルティを受け、基本速度は半減する。隊商が12時間の区切りを超えて前進する時間毎に、過労を避ける為のDC15の安全性判定を行わなければならない――この判定のDCは成功した判定毎に+1ずつ上昇していく。過労状態の隊商はあらゆるロールに-6のペナルティを受け、全く移動できなくなる。12時間ぐっすり休息すれば過労状態の隊商は疲労状態になり、疲労状態の隊商は通常になる。

危難

隊商が旅すれば、最終的に何らかの形で危難に遭遇するだろう。危険の少ない危難には悪天候、悪路や、地すべり、森林火災、暴動といった局所的な災害が含まれる。より危険な形の危難には竜といったモンスターや、津波といった大規模な災害が含まれる。隊商が危難と遭遇する時、安全性あるいは決意判定を行わなければならない――GMは君がどの判定を行う必要があるかを伝え、判定DCと、判定に失敗した場合君の隊商に何が起こるかも伝える。通常、失敗した判定はただ隊商にダメージを与えるだけだが、一部の失敗した判定は旅人の仕事、輜重、修理材、あるいは他の装備品を喪失させる結果になる(一時的にか永久的にか)。

1つある特に複雑な危難の例は戦闘だ――隊商戦闘のルールは26~27ページで詳述している。

休息

隊商は疲労を避けるには12時間の旅の後に12時間の休息をしなければならない。休息による回復効果を得るには、隊商は合計でその消費値に等しい数の輜重を消費しなければならない;しないなら、休息による利益は得られない。消費を賄うのに十分な輜重を持たない隊商は残る輜重を全て使い、1d6ポイントのダメージを受け、疲労状態になる。輜重の欠けた隊商は、消費値に等しい輜重を使うまで修理も疲労からの回復もできず、ヒット・ポイントが零になるまで毎日2回1d6ポイントのダメージを受け続け、零になった時点で隊商は実質的に破壊される。隊商にいる個々のキャラクターはGMがまだ隊商に残っていると裁定すれば――隊商をまだ見捨てていない者であれば――生き残っているかもしれない。

輜重は需品を買うことでどの居住地でも購入できる――1貨物単位は10輜重単位を提供する。輜重は1日に2単位の周期で斥候が集めることもできる。グッドベリークリエイト・フード・アンド・ウォーター呪文で賄うこともできる。グッドベリー発動1回は1輜重単位を作成する。クリエイト・フード・アンド・ウォーター発動1回は3輜重単位を生成する。ヒーローズ・フィースト発動1回は術者レベル毎に1輜重単位を作成するのに十分だ。この方法で魔法的に作成された輜重全ては作成された同日に消費しなければならない。

不安と暴動 Unrest and Mutiny

PCたちと隊商が対面するような長く骨の折れる旅では、隊商の旅人の間での諍いは避けられない。不安が育てば、隊商の者たちはお互いに反目し合い、統率者の決定に疑問を抱き、後戻りや別の道を行きたがり、あるいはそれ以外で隊商の妨害をする。その結果、隊商は5つ目の性能も持つ:不安。

暴動は隊商の不安値が士気値を超えた時に発生する。それが起こると、隊商は士気を超過している不安ポイントにつきACと、攻撃安全性、そして決意判定に-1のペナルティを受ける。加えて、暴動中の隊商は毎日決意判定(DC=20+隊商の現在の不安値)を行わなければならない。失敗した場合、隊商はその日の基本速度が半減して移動する。隊商がこの判定に5以上の差で失敗した場合、その日隊商は移動することを拒否するか、(PCが望む方向以外の)無作為な方向に基本速度の半分で移動する。

レベルを得た時、隊商は士気の性能を上昇することで不安値を相殺できる。不安には上限がないが、0未満に減少できない。

不安の獲得:以下の出来事のどれかが起こった時、隊商は決意判定(DC=20+隊商の現在の不安値)に成功しない限り1ポイントの不安を得る:四輪馬車か多頭立てが失われる(放棄されるか破壊されるかで)、旅人が殺される(後に命を取り戻してさえ)、隊商のヒット・ポイントが25%以下になる、あるいは反乱の出来事によって12時間の移動の間に進捗がなかった。

不安の減少:隊商の不安値は隊商がレベルを得た時に1減少する。加えて、隊商は以下のアクションを行う時に、現在の不安値に等しいペナルティを受けてDC20の決意判定を試みて良い:隊商に四輪馬車を加える、四輪馬車の補強を加える、1日を休息に費やす(これには1日を修理や別の作業に費やす事も、不都合なイベントや状態によって移動できない1日も含まない)、あるいは1日の間隊商の消費量を倍消費する。これらのアクションが居住地で宿営中に行われる場合、隊商はその決意判定に+5のボーナスを得る。この判定に成功すれば隊商の不安値は1ポイント減少する。失敗すれば変化なし。

加えて、このアドベンチャー・パスを通しての特定の状況で隊商の不安値は増減することがある。

交易品1貨物単位を隊商の乗組員に放出すれば不安は1減少し、一行の宝物1貨物単位をあげれば不安が3減少する。しかしながらこの方法で忠誠を買うと見返りを減らし、これを行う度、同じ量不安を減少するのに放出しなければならない貨物単位は1ずつ追加で要求される。この方法で使用された貨物単位は実質的に消費され、もはや隊商の合計貨物許容量に数えない。

隊商戦闘

隊商戦闘は通常の戦闘ルールのように複雑で細かいことをすることを意図していない――通常の戦闘ルールは実際のゲーム・プレイにおいて何よりもプレイヤー・キャラクターに焦点が当たるようになっている。

隊商戦闘が起こる時、遭遇は活動中で移動していても宿営中で停止していても発生する。遭遇が活動中に発生する場合、戦闘は調整なしで行われる。しかし隊商の宿営中に起こった場合、隊商は不意討ち攻撃されないためのDC20の安全性判定を行なわなければならない――この判定に失敗した場合、最初の戦闘ラウンドにおいて攻撃判定に-2のペナルティとACに-2のペナルティを受ける。隊商は余りに大きく備えが足りないため、実質的に敵を不意討ちするのは不可能である。

隊商戦闘は通常戦闘と同様ラウンドを経過させながら行われる。隊商の戦いの多くは隊商と山賊、人型生物、あるいは他の比較的低レベルの脅威の集団との間で為されるが、隊商と1体の大きな敵との間の戦いも定期的に起こるだろう。君の一行の実際のレベルに適した挑戦がある重要な遭遇は、概して隊商戦闘の規格では表現されない。それらの場合、高い確率で隊商がその敵の手下と平行して戦いを繰り広げている間、プレイヤー・キャラクターはその重要な敵と対面することになるだろう。

隊商戦闘は単純なロール数回で解決するため、隊商戦闘が始まる時に戦闘マットに位置を配置する必要はない。隊商戦闘のラウンド毎に、戦闘の両陣営は攻撃判定を1回行う。戦闘者の攻撃判定が目標のACと同じか超過した場合、その攻撃者はその敵に(隊商の)レベルに1d6を加えたものに等しいダメージを与える。弱い敵の大抵も似たようなダメージを与えるが、より強力な敵は隊商に命中させた場合複数のダイスのダメージを与えられる。攻撃判定が出目20の場合、本来の攻撃が与えるダメージ・ダイスの数や種類に関わらず、追加の1d6ポイントのダメージが与えられる。戦闘は隊商かその敵が0ヒット・ポイントに減少するまで続けられる。

0ヒット・ポイントに減少した敵

0ヒット・ポイントに減少した敵は逃げ出すか散り散りになる――全滅することはまずない。この方法で敵を倒せば君にXPが与えられ隊商は旅を続けられる――戦闘に成功しても1日に隊商が移動できる合計マイルが減るわけではない。この方法で倒した敵によっては宝物や君の隊商が取得できる補給輜重を持っていることがあるかも知れない。

PCの隊商が0ヒット・ポイントに減少する

君の隊商が0ヒット・ポイントに減少する場合、隊商は破壊される。これは勿論君の翡翠摂政キャンペーンは終わってしまったということを意味するわけではないが、君には庇も道中の備えを蓄える安全な場所もなくなってしまい事態が困難になったことは意味する。隊商が破壊された場合、隊商にいる重要なNPC全員(これは概してプレイヤー・キャラクター、アメイコ、シェイレル、コヤ、サンドル、そして他の仲間になった唯一無二のNPCである)は1d20-5ヒット・ポイントに減少する。負のヒット・ポイントに減少したキャラクターは瀕死状態になり迅速な手当てが必要になる。一般的なルールとして、君と重要なNPCは隊商の破壊から免れ、それを破壊した敵から一時的に逃れたことを想定している――GMはこの悲惨な状態の次に何が起こるかに関する情報を持つ。

重要でないNPC全員は隊商が破壊された場合殺され、四輪馬車の牽引に使われていた馬全ても同様である(特別なPCの乗騎や動物の相棒は例外)。隊商用に購入された全ての装備も破壊されるか勝者に奪われる。

生き残ったキャラクターが馬車製造人になれる場合、君は使えるようになるまで四輪馬車を修理できるようになるかもしれないが、君は依然として隊商の四輪馬車を牽く追加の動物を探す必要があるだろう――そうした災害においては、隊商なしで行軍を続けるか、あるいはそれ以上に、最寄りの居住地に逃げて新しい四輪馬車を買って新しい助けの手を雇って再度挑戦する選択肢の方が概して良い。

これら全てが恐ろしいものに聞こえるなら、君の隊商が常に遭遇する大抵の敵よりも頑丈になるようにするよう心掛けること。君が隊商に気を配り、良く修理し、撤退や戦闘を開始する時期を知る場合、君は隊商の全滅という壊滅的な命運に出くわすことを回避できるだろう。

戦闘からの逃走と回避

隊商が既に比較的ダメージを受けている場合、戦闘を回避し逃走することは戦闘よりも良い選択であることはしばしばある。君が敵を避ける試みを望む場合、そのラウンドの間君は攻撃判定を行えない――代わりに、君は敵を振り切る安全性判定を行わなければならない。君が逃走の安全性判定を試みる時、君の敵は依然として隊商に対して攻撃を行える。安全性判定の成功によって君は敵から逃げられる。この判定のDCは10+敵のCRに等しい。GMの選択によって、より強力だったりより機敏だったりする敵は複数の判定を要求できるかもしれない。敵から逃走する場合、隊商は一定距離後退したものと見做され、その日の残りの間それ以上旅を続けられない。

追加の複雑さは欲しくない?

君のルールに隊商ルールを付加すると異なる位相の複雑さが追加される――一部の一行は関わりたいと思わない位相かもしれない。幸運なことに、一行の隊商の性能の記録の問題はゲーム中はプレイヤー1人が代表者となるだけでいい仕事だ――これは宝物を記録するプレイヤーと同一であるべきだろう、隊商は一行の宝物を置く場所としてゲーム内の説明を容易にする存在なのだから。

とは言え、君の集団とGMが翡翠摂政の隊商の要素を雑に説明したい場合、それをして悪くない。その場合、君のGMはただこのアドベンチャー・パスの隊商戦闘と報酬を無視して代わりに冒険そのものに焦点を当てて良い;君はただプレイヤー・キャラクターが生き延びることだけを考えて良く、隊商はそれに沿って前進を続けられる。

訳注:主要性能(攻勢、防御、機動性、士気)のうち、他は初期の3ポイント分配と《隊商強化》特技でしか上げられないのに比して、攻勢のみは旅人で上昇できるのは誤訳ではない。

最終更新:2017年05月02日 00:07