驚嘆すべき科学技術の神秘の中でも最大のものは、人工知能である。人工知能(AI)はそれぞれ心の個性と興味を持つ。しかし世界に実際に作用するには、(ホストと呼ばれる)ロボットや構造物にインストールされる必要がある。
統合コンピュータ・ネットワークを備えた科学技術の構造物にインストールされると、AIは構造物につながっているあらゆるもの(罠、扉、武器など)を操ることができる。ホストの構造物の中にいるAIを破壊する方法には2つある。一つ目はAIのプログラムが収められている物理的な装置を破壊することである(この作業の難易度は様々だ――ホストは硬度10と20ヒット・ポイントを持つコンピュータ1つであることもあれば、複数の遭遇やシナリオの果てに破壊できる建造物全体であることもある)。そしてもう一つは、AIのコア・プロセッサーに直接能力値吸収効果を与え、能力値を0にまで減少させることである(複合施設の厳重に守られた場所にある大型のコンピューターであることが多いが、ロボットの中に納められたプロセッサーであることもある)。AIに能力値ダメージを与えるのは不利益を与える目的でも最良のもので、最悪でも限られた期間意識を失わせることができる。
人工知能のデータは知性ある魔法のアイテムのものに似ている。これらのデータは人工知能のみを反映しており、ホストについては記載していない。AIのデータを構築するには、以下のデータが必要となる。
脅威度:人工知能の脅威度は能力値、セーヴ、技能判定を決定する。また、倒した際の経験値を決定する――この報酬は一般に、AIを倒したことによるストーリー報酬として与えられるが、単体のロボットにインストールされたAIのような場合には、この経験値報酬でロボットを倒した場合の標準の経験値を置き換える。
属性と種別:AIはいかなる属性をも取り得る。種別は“人工知能”であり、クリーチャー種別を目標とする効果に対しては
人造と見なされる。
イニシアチブ:インストールされたAIは、【敏捷力】修正値ではなく【知力】修正値を用いてイニシアチブ判定の修正値を決定する。
感覚:AIが外界のことに気付くためには、ロボット、
カメラ、マイク、その他の機械式の感覚器を使用できなければならない。これらの感覚器は適切な遭遇範囲に記載されているはずで、AIのデータには記載されていない。AIは広範囲の様々な感覚器を使用できるだろうからだ。
防御:AIはAC、ヒット・ポイント、その他物質的な形態に関するデータを持たない。それらの値はホストのロボットや構造物によって決定される。精神に作用する攻撃に対してのみ、自身のセーヴィング・スローを用いる――多くの場合、主に使用するのは意志セーヴである。AIは基本セーヴを決定する際、有効ヒット・ダイスとして脅威度を用いる――良好な意志セーヴと貧弱な頑健セーヴと反応セーヴを持つ。
能力値:AIの基本能力値は14、12、10である。好きな順番で並べ替えること。脅威度2ごとに、能力値1つに+2のボーナスを得る(GMが指定する)。
特技:AIは脅威度の半分(最低1)に等しい数の特技を持つ。AIは全ての特技の前提条件を満たしていなければならない。AIはボーナス特技として
《科学技術者》を得る。
言語:AIはアンドロファン語を話す。AIは【知力】修正値に等しい数の言語を追加で知っている。
特殊能力:AIが持つ特殊な能力については、本項に記載されているものを用いること。
以下にAIの例を2体示す。
経験点 19,200
真なる中立/人工知能
イニシアチブ +11;
感覚 〈知覚〉+15
防御
頑健 +4; 反応 +4; 意志 +11
一般データ
特殊能力
遠隔助言(変則)/Remote Consult アナリストAIは
〈装置無力化〉判定に、【敏捷力】修正値ではなく【知力】修正値を用いる。加えて、仲間に触れている間、仲間の技能判定に援護を行うことができる。これにより技能判定を行ったラウンド数に1ラウンドを加えることができ、複雑な問題に複数のラウンドを費やすことができる。アナリストAIがこの判定で10を超えた5ポイント毎に、仲間の判定に対するボーナスは1ずつ増加する。
知識の達人(変則)/Expert Knowledge アナリストAIは全ての
〈知識〉技能をクラス技能として扱い、未習熟でも全ての
〈知識〉技能判定を行うことができる。
マルチコア・プロセッサー(変則)/Multi-Core Processor アナリストAIが【知力】基準もしくは【判断力】基準の技能判定で出目10を選択する際、同時にd20をロールする。ダイスの出目が10を超えたなら、代わりにその出目を使用する。
アナリストAIは調査員を支援するエキスパート・システムとして機能する。活発にプロジェクトを進めていないとき、これらはその広範な知識と処理能力を用いて、存在に関する深い哲学上の疑問を考える。
経験点 4,800
秩序にして中立/人工知能
イニシアチブ +6;
感覚 〈知覚〉+16
攻撃
防御
頑健 +2; 反応 +2; 意志 +9
一般データ
特殊能力
精密照準(変則)/Precision Targeting セキュリティAIが操るロボットと科学技術の罠は、このAIの【知力】ボーナスに等しい洞察ボーナスを遠隔攻撃ロールに得る。
セキュリティAIは高いセキュリティを備えたアンドロファンの工場の防衛設備とロボットを操る。
“アグリゲート”(混合体)はいかなるロボット(以降、基本ロボットと呼ぶ)にも付与することのできる後天性テンプレートである。これはロボットにAI(以降、基本AIと呼ぶ)がインストールされたことでいくつかの特性を得たことを示す。基本ロボットは基本AIを収められるだけのストレージ容量がなければならない(GMが決定する)。ここに記載された内容を除き、アグリゲート・テンプレートは基本ロボットが持つ全てのデータと特殊能力を保持する。基本AIはアグリゲート・クリーチャーが破壊されてもダメージを受けない。ただしアグリゲート・ロボットのプロセッサー内にAI全てが収められていた場合はその限りではない(この場合、アグリゲート・クリーチャーが破壊されると基本AIも破壊される)。
脅威度:基本ロボット+1。基本AIがアグリゲート・クリーチャーに全て収められた場合、ロボットを破壊することはすなわちAIを破壊することである――GMが望むなら、通常の経験値をAIを倒した場合のものに置き換えても良い。
属性:アグリゲート・クリーチャーの属性は基本AIの属性と同じものに変更される。
イニシアチブ:アグリゲート・クリーチャーは基本ロボットの【敏捷力】修正値の代わりに、基本AIの【知力】修正値を用いてイニシアチブ修正を決定する。基本ロボットが持つ他の修正は累積する。
感覚:アグリゲート・クリーチャーは基本ロボットの感覚全てを保持したままである。基本AIの制御下にあるカメラや他の感覚器を収めた範囲にいるならば、アグリゲート・クリーチャーは
全周囲視覚を得る。
セーヴ:アグリゲート・クリーチャーは基本ロボットのセーヴを用いるが、新しく【判断力】値を得たため意志セーヴを修正する。
防御的能力:アグリゲート・クリーチャーは基本ロボットの防御的能力を全て保持する。加えて、基本AIが持つ防御的能力を得る。
攻撃:アグリゲート・クリーチャーは基本ロボットの基本攻撃ボーナスを用い、基本ロボットの
肉体攻撃を全て保持する。
特殊攻撃:アグリゲート・クリーチャーは基本ロボットが持つ全ての特殊攻撃を保持する。加えて、基本AIが持つ特殊攻撃を得る。
能力値:アグリゲート・クリーチャーは基本AIの【知力】、【判断力】、【魅力】を用いる。
技能:アグリゲート・クリーチャーは基本ロボットの全ての技能を保持する(新しい【知力】、【判断力】、【魅力】に従い再計算すること)。加えて、基本AIが持つ技能ランク全てをボーナス技能ランクとして得る。このボーナス技能ランクは、基本ロボットが既に持っている技能ランクとは累積しない。技能毎により高いもののみを使用する。
特技:アグリゲート・クリーチャーはその特技を保持する。加えて、基本AIの特技全てをボーナス特技として得る。
言語:アグリゲート・クリーチャーは基本ロボットの言語を全て保持する。加えて、基本AIが修得している言語を全てボーナス言語として得る。
経験点 800
アグリゲート・セキュリティAIを搭載したマニキン・ロボット
LN/中型サイズの人造(ロボット)
イニシアチブ +6;
感覚 暗視60フィート、
夜目;
〈知覚〉+16
防御
AC 15、接触12、立ちすくみ13(+2【敏】、+3外皮)
hp 31 (2d10+20)
頑健 +0;
反応 +2;
意志 +3
完全耐性 人造の種別特性、硬度5;
抵抗 [電気]5、[火]5
弱点 クリティカル・ヒットおよび[電気]に対する
脆弱性
攻撃
移動速度 30フィート
近接 叩きつけ(×2)=+4(1d4+2)
遠隔 スタン・ガン=+6接触(1d8非致傷)
特殊攻撃 精密照準
一般データ
特殊能力
偽りの肉体(変則)/False Flesh セキュリティ・マニキンの合成繊維で作られた肉体と髪は、人間に見せかけるために行う
〈変装〉判定に+8のボーナスを与える(しかし特定の人間に変装する際にはこのボーナスは得られない)。
最終更新:2017年04月26日 19:09