悪意に満ちたナイトシェイドたちは筆舌に尽くし難い悪と闇が等しく混ぜられた、真に恐るべき壊死が神秘の力で形を取ったものである。彼らは生ける死であり憎悪であり、彼らは存在するだけで周囲の光、熱、そして生命を奪い、彼らの通った後には墓標すらない墓という、重苦しい絞首台の空気しか残らない。ナイトシェイドたちにとって、生命とは堕落であり荒廃である。創造はそうした混乱から切り離さなければならず、切り離せばすべての存在は闇と死の甘い抱擁に包まれることができる。最終的には、ナイトシェイドたちはすべての物の過去、現在、そして未来から、虚無としか表現しようのないものしか見いだせなくなるだろう。
ナイトシェイドたちは自分たちはアンデッドと影の精霊の部隊であると喧伝している――彼らは燃える太陽と非現実的な生命の一瞬の閃光を、これ以上できないというほど憎む。彼らが生きている存在と手を組むことはその存在が太陽を消したいと、そして立ち塞がる者を殺しつくしたいと望んでいてさえ稀であるが、そのような同盟の記録は実在するし、そして時には発生する。地上、空、海、そして世界の下の深奥といった、あらゆる環境と状況で死を振りまくために自分の種族の姿を適応させることで、ナイトシェイドたちは自分たち、非生命の軍勢を各所に配置している。目的が1つしかないにも関わらず、彼らは精神のない獣ではない。彼らは聡明かつ入念な計画者であり、自身の有能さを証明している限り、ナイトシェイドたちは仲間や下僕に愛情を示し、そして彼らの有用さが底を突いた瞬間、態度を翻しその者を破壊し、その痛ましく殺された精神を不死の奴隷へと変える。
ナイトシェイドたちは現実そのものが消滅する負のエネルギー次元界と影界の結合点の最深部の虚空で産まれる。そこには茫漠たる暗い深淵が広がっており、究極の存在の重力が、非生命を素材とした虚無と、影の本質で紡がれたつかみ所のない蜘蛛の糸とを圧縮し、散逸を濃縮した光沢のない透明な板と欠片へと変えている。究極の破壊を求める輩の多くがその力を自己の目的のために利用しようとこの場所を探しているが、その大多数は、その不純物のない散逸の力は取引するにはあまりに強大すぎると理解することになる。彼らのちっぽけな心身は摩滅し、最初に精神が無へと変わり、次に肉体が改造され、もはや血肉を持たない、純粋な闇が形を取った生命のない不死の存在へと鋳直される。心身を鋳直された完全な散逸の姿(現実の究極の終わりで長らく幽閉されていた闇の存在によって鋳造されたのだと囁く者もいる)となった少数の者たちの1人となると、そうした不滅の魔物じみた霊魂は無情な悪の凍れる火で依然として焼かれはするが、もはや散逸へと孤独に尽くした年月によって濾過されており、不純物はなくなり一新されている。死霊術的な肉体へと変成し、魔物じみた魂が姿を得るナイトシェイドは技術的には正しいと言えるが、その変成自体は愚かしい悪行の結晶であり、言葉では言い表せないほど忌々しいものだ。
ナイトシェイドたちのほとんどはそのような魔物的な傲慢さによって生まれてはいるが、それはこの強力なアンデッド・クリーチャーの発生源がこれのみであることを示すわけではない。ナイトシェイドたちの多くはあらゆる種族の不滅の魂と愛情を収穫し、収穫された者の壊れ砕けた肉体を、それらに残った神授の要素の滓をゆっくりと夜の深淵へと落とし凍らせる場所である負の虚空へと投げ込むことに従事している。収穫された者の出自に関わらず、ナイトシェイドの闇の心臓の中にある魂はすべて破壊を内包している。ナイトシェイドの不滅の魂のエネルギーの量が臨界に達した時、新たなナイトシェイドが生み出される。負の次元界へと消えた定命の者の魂は引き上げられアンデッドとして生まれ直し、そのずっと後に深淵の中へと取り込まれる;定命の者の霊魂はナイトシェイドの従者であるが、その不滅性はナイトシェイドの非生命に火を灯す霊魂的な燃料として提供されるだけである。
最も一般的なナイトシェイドはナイトウォーカーであり、アンデッドの軍勢の最前列で時折見られる、昔からいる巨人の魔物である。彼らはナイトシェイドの軍隊の将軍であり、軍勢の司令官であり世界の死の組織者である。
しかしナイトウォーカーが容易には到達できない場所、海の深淵や雲上の青などは、他のナイトシェイドたちが支配する。頭上で羽ばたく大きな蝙蝠のようなナイトウィングは彼らの土地において致命的ではあるが、彼らより強力な従兄弟たちの指示には異論を挟まない。これらの怪物たちが物質界に来ると、彼らはまず移動し打ち捨てられた廃都市あるいは広大な地下墓所を仮宿とし、そしてその地域を獲物として行動する。
地上と同様、大地の下の国土もナイトシェイドの通過には恐れ慄く。そこでは、巨大なナイトクロウラーたちが身を捩らせ、這い進んでいる。これらの暗黒のワームが深みから前へと進むことはそうそうなく、忘れ去られた洞窟に住むが、彼らが動くとき、夜のとぐろが身動ぎし人民の間をそれが通るのが不可避になる度に国全体が滅ぶ。
アンデッドの結晶ナイトクロウラーという潜在的悪夢を除けば、ナイトシェイド全員はこの最強のナイトシェイドと比べれば見劣りしてしまうだろう――シャークのようなナイトウェイヴと比べれば。この怪物は光の差さない深海の溝を徘徊し、数えきれないほどの溺死体の魂を収集し、あるいは水棲の種族を餌食としている。しかし浅い所にしがみつく者や海面で生計を立てる者も、この貪欲なナイトウェイヴから安全なわけではなく、夜の最も暗い間これらのアンデッドは船と海岸から魂を収穫するために浮上してくる。
しかし戦慄すべきナイトウェイヴたちさえ、偉大な英雄たちの悪夢を満たすには十分ではない。より強力なナイトシェイドの噂がいくつかの団体で恐ろしげに囁かれている――単に存在するだけで数週間でこの命ある惑星全体を吸収できるほどの莫大な力を持つクリーチャーがいるという噂が。そのような怪物がもし本当にいるのだとすれば、生命というものは永遠の破滅が支配する闇の中で瞬いた、単なる玉響の閃光にすぎないのであろう。
この大きな、蝙蝠のようなクリーチャーは完全な闇が形を取ったものであり、その小さな瞳は最も黒き夜の中で輝く。
ナイトウィング 脅威度14 Nightwing
防御
AC 29、接触12、立ちすくみ25(+17外皮、-2サイズ、+4【敏】)
hp 195(17d8+119)
頑健 +12、
反応 +11、
意志 +17
DR 15/善および銀;
完全耐性 [冷気]、
アンデッドの種別特性;
SR 25
弱点 光に対する嫌悪
攻撃
移動速度 30フィート、
飛行60フィート(良好)
近接 噛みつき=+23(4d10+18/19~20、加えて4d6[冷気]および“魔法吸収”)
接敵面 15フィート;
間合い 15フィート
特殊攻撃 エネルギー放出(7d6、DC28、8回/日)
擬似呪文能力 (術者レベル14;精神集中+19)
一般データ
生態
出現環境 気候問わず/地形問わず(負のエネルギー界)
編成 単体、2体、または小編成(3~6)
宝物 標準
特殊能力
魔力吸収(超常)/Magic Drain ナイトウィングの
噛みつきは魔法的な力およびエネルギーを吸収する。ナイトウィングが敵を噛んだとき、その犠牲者はDC23の意志セーヴに成功しない限り現在彼に影響している呪文効果1つが即座に終了する――その目標が複数の呪文から影響を受けている場合、吸収される呪文は無作為に決定すること。ナイトウィングは吸収した呪文のレベルの倍に等しいダメージが癒される――最大を超過したヒット・ポイントは、代わりに1時間のあいだ持続する一時的ヒット・ポイントとして得られる。ナイトウィングが
噛みつきで魔法アイテムの破壊を試みる場合、魔法吸収の
噛みつきはそのアイテムを1d4ラウンドのあいだ非魔法的にする(そのアイテムが永久的な魔法のアイテムの場合)か、1d8チャージを吸収する(そのアイテムがチャージ数を持つ場合)か、あるいはそれを永久的に魔法でなくす(そのアイテムが使い切りの場合)。そのアイテム(あるいはそのアイテムが身につけられている場合その持ち主)はDC23の意志セーヴでこの効果に抵抗できる。そのアイテムに与えられたダメージは魔力吸収の効果が適用された後に適用される。このセーヴDCは【魅力】に基づいている。
知られているナイトシェイド種の中で最も劣っているナイトウィングは、それでもやはり致命的な敵である。ナイトウィングは時に、空の補助としてより強力なナイトシェイドに仕えることがある。また、このナイトシェイドが非アンデッドの主人に仕えているところも良く見られる――ナイトウィングは時に、強力な定命の者に、守護者あるいは尖兵として使用される。にも関わらず、ナイトウィングは仕えている主人がいつか殺されることを願っている。彼らが根本から従者となるのは彼らの大量虐殺の任務を遂行できる破壊や、定命の者の殺害の手段としてである;その仕事が終了するか、あるいはナイトウィングがその主人は殺害の義務を怠けていると感じた時点で、そのナイトウィングは速やかにかつての仲間を目標とする。
彼らより強力な主に仕えていない物質界で見られるナイトウィングとは、典型的には日が昇った時に庇のある場所が多くある、起伏の激しい地形で遭遇する。そのような目的のために、このモンスターは洞窟や打ち捨てられた建物を好む。
ナイトウィングの肉体は体長20フィートだが、両翼を広げれば80フィートになる。その体重は4,500ポンドである。
信じられないほど巨大な、真夜中の黒のような艶のある鮫が、不浄な島がその身を下から押し上げているかのように海から姿を現した。
ナイトウェイヴ 脅威度20 Nightwave
防御
AC 36、接触5、立ちすくみ33(+31外皮、-8サイズ、+3【敏】)
hp 391(29d8+261)
頑健 +18、
反応 +16、
意志 +25
DR 15/善および銀;
完全耐性 [冷気]、
アンデッドの種別特性;
SR 29
弱点 光に対する嫌悪
攻撃
移動速度 飛行60フィート(良好)、水泳60フィート
近接 噛みつき=+35(5d10+22/19~20、加えて4d6[冷気]、“
生命力吸収”、および“
つかみ”)、
尾の打撃=+30(4d8+12/19~20、加えて4d6[冷気])
接敵面 30フィート;
間合い 30フィート
特殊攻撃 エネルギー放出(10d6、DC33、10回/日)、
生命力吸収(2レベル、DC31)、
飲み込み(5d10+28殴打、加えて
生命力吸収、AC25、39hp)
擬似呪文能力 (術者レベル20;精神集中+27)
一般データ
生態
出現環境 気候問わず/地形問わず(負のエネルギー界)
編成 単体
宝物 標準
特殊能力
最も黒き深淵(超常)/Blackest Depths ナイトウェイヴが泳いだ水は深海の奥底のように冷たく、暗く、そして重くなる。60フィート以内の水全ては(
ディーパー・ダークネスと同様に)完全な闇となり、自身のターンの終了時にこの半径内にいた場合、そのクリーチャーは6d6ポイントのダメージ(半分は[冷気]、半分は殴打)を受ける。DC31の頑健セーヴは、これの圧縮によるダメージを無効化する。非実体クリーチャーあるいは水中深くに生息する
(水棲)あるいは
(水)の副種別を持つクリーチャーはこの能力のダメージを受けず、そして
フリーダム・オヴ・ムーヴメントはこのダメージから完全に保護する。ナイトウェイヴのターンの開始時にこの半径内にある魔法的な光は(
グレーター・ディスペル・マジックと同様に)解呪される。この効果は水の外まで拡大しない。このセーヴDCは【魅力】に基づいている。
生命力吸収(超常)/Energy Drain ナイトウェイヴに飲み込まれているクリーチャーは、毎ラウンド2の負のレベルを得る。
ナイトシェイド種の中で最も強力な存在として知られているのは最大級の鯨ほどのサイズがある鮫の姿をした貪欲なナイトウェイヴ、死の冷酷な暴食の不浄なる権化である。ナイトウェイヴの多くは海洋の深みを棲み家としているが、これに呼吸は不要であり、そして常に
フライ擬似呪文能力があるため波を超えて姿を現し、破滅をもたらすことができる。
ナイトウェイヴは体長100フィート、体重200米トンである。
この佇立する夜の黒色をした巨人は羊のような一対の角を生やした悪魔のような相貌をしている。その腕の先端には巨大な刃が生えている。
ナイトウォーカー 脅威度16 Nightwalker
防御
AC 31、接触10、立ちすくみ29(+21外皮、-2サイズ、+2【敏】)
hp 241(21d8+147)
頑健 +14、
反応 +11、
意志 +19
DR 15/善および銀;
完全耐性 [冷気]、
アンデッドの種別特性;
SR 27
弱点 光に対する嫌悪
攻撃
移動速度 40フィート
近接 爪(×2)=+28(3d6+15/19~20、加えて4d6[冷気])
接敵面 15フィート;
間合い 15フィート
特殊攻撃 エネルギー放出(8d6、DC29、8回/日)、恐怖の
凝視、即行武器破壊
擬似呪文能力 (術者レベル16;精神集中+21)
一般データ
生態
出現環境 気候問わず/地形問わず(負のエネルギー界)
編成 単体、2体、または徒党(3~4)
宝物 標準
特殊能力
恐怖の凝視(超常)/Fear Gaze 1ラウンドのあいだ恐怖で
戦慄状態にする、30フィート、意志・DC25・無効。これは[精神作用、恐怖]効果である。このセーヴDCは【魅力】に基づいている。
即行武器破壊(超常)/Swift Sundering ナイトウォーカーは即行アクションとして、その爪の片方で武器破壊の試みができる。
遭遇する最も一般的なナイトシェイドは巨人に似たナイトウォーカーである。この強力な敵はアンデッドの軍隊を率いて生者たちと立ち向かうが、定命の者の多くの将軍とは異なり、このナイトウォーカーは後陣に立ち安全なところから戦場を観察するようなことはしない。このアンデッド・クリーチャーは試験を目的として戦術を立て計画することに熱心であり、その決断が自己の破滅を意味するものでない限り、可能な限りの機会自身も戦闘に参加する。ナイトウォーカーは戦術的優位を得るために自身の部隊を犠牲にすることは決してない、とは言えない――そのような戦術は、このモンスターが直接参加したいとは思わない攻め手のほんの1種に過ぎない。
ナイトウォーカーは絶望を与えてから殺すこと、特に価値ある品を破壊したり恋人を惨殺してから敵に終わりの一撃を加えることを楽しむ。
ナイトウォーカーは身長20フィート、体重5,000ポンドである。
この巨体の芋虫は漆黒のキチン質の外皮で覆われている。その歯のひしめく大口は、洞窟のようにあんぐりと開く。
ナイトクロウラー 脅威度18 Nightcrawler
防御
AC 33、接触6、立ちすくみ33(+27外皮、-4サイズ)
hp 312(25d8+200)
頑健 +16、
反応 +10、
意志 +23
DR 15/善および銀;
完全耐性 [冷気]、
アンデッドの種別特性;
SR 29
弱点 光に対する嫌悪
攻撃
移動速度 30フィート、穴掘り60フィート
近接 噛みつき=+32(4d10+18/19~20、加えて4d6[冷気]および“
つかみ”)、
針=+32(4d6+18/19~20、加えて4d6[冷気]および“
毒”)
接敵面 20フィート;
間合い 20フィート
特殊攻撃 生命力吸収(1レベル、DC28)、
飲み込み(4d10+22殴打、加えて
生命力吸収、AC23、31hp)、負のエネルギー放出(9d6、DC31、9回/日)
擬似呪文能力 (術者レベル18;精神集中+24)
一般データ
生態
出現環境 気候問わず/地形問わず(負のエネルギー界)
編成 単体または2体
宝物 標準
特殊能力
生命力吸収(超常)/Energy Drain ナイトクロウラーに飲み込まれているクリーチャーは毎ラウンド、負のレベル1を得る。
毒(超常)/Poison 針―致傷型;
セーヴ 頑健・DC28;
頻度 1回/ラウンド(6ラウンド間);
効果 1d4【耐久力】
吸収および負のレベル1;
治癒 3回連続のセーヴ成功。このセーヴDCは【魅力】に基づいている。
ナイトクロウラーは昆虫のような胴体と無数の発光する眼をした巨大で恐ろしげな蟲のようにしか見えないが、実際は信じられないような知性を持つ。地底深くの生命を掃除していないときのナイトクロウラーは、ナイトシェイド全体の世界中から生命を根絶する計画を自身独自の舞台においてどのように遂行するのが最も効率的かを練り、アンデッドの尖兵たちと協議し、そして必要とあれば不可視状態になって遠くから生きているクリーチャーを観察し、見逃しているかもしれない彼らの隠れ里を知ろうとするのに時間を費やす。
ナイトクロウラーが地底深くに残すものが1つあるとすれば、それはその地域にとっての穢れた生命の蔓延であり、世界にない方が良い存在だ。地表で暮らす者にとっては不幸なことに、ナイトクロウラーは時として隧道を這い登り、その荒廃を地上の夜へともたらす。彼らは常に朝日が東の空の色を染める前に地中へと撤退するが、夜毎の僅かな時間につき、信じられないほどの破滅を拡散させる。
ナイトクロウラーは体長60フィート、体重10,000ポンド。
最終更新:2017年06月15日 00:00