B2 > アイオーン

+ 目次

アイオーン Aeon

 激情、慈悲、理由を超えて、終わりなき労苦を管理する名も無きものは静かにもがきながら、全ての存在の上にあるバランスのわずかなゆらぎを維持している。このような声なき力こそ、多次元宇宙を創り出し破壊する計り知れない存在、アイオーンである。彼らはほとんどの定命のものの理解を超えて存在し、多くの次元界における最年長の住人でさえ理解できない目標に向かって終わりなく努力し続ける。アイオーンは混沌界メールシュトロームの混沌から秩序を構築し、不毛の世界に新しい命を撒き、厚かましくも育った力の暴走を終わらせる。彼らは蒸発させるために国家を引き裂き、宇宙の塵へと星を分解し、惨禍への道を舗装する。彼らの手段はあるときには利益を与え、次には徹底的な破壊となる。しかし常にそこには熱狂も同情も恨みもない。個々のアイオーンは公平であり、断固として同じ目標に向かって努力し続ける――複数の次元界の平衡の追求を変え、修正し、見直しながら。この永遠の、そしておそらくは不可能な追求の下に団結したアイオーンは、比喩的な全能の時計職人の諸次元界に広がる手の体現である。そして究極の完成という目的のために、永遠に現実世界の無数の歯車を調整し整備し続ける。
 アイオーンが全てのものに探し求めるバランスは彼ら自身から始まる。アイオーンは平衡を持続させる強力な二分法を具現化させる。アクァナが意味する誕生と死の可能性からテレートスが具現化する運命と自由の哲学まで、存在の働きが形を取り、生きた顕現の中に意思を持つ。下級のパラクレトスでさえ様々な創造の要素をその複雑な軌道の中に統合している。そのような安定性はアイオーンの形状を超えて彼らの精神に霊感と指示を与え、それぞれに単一の目的と制御範囲を注ぎ込む。つまり、それぞれはその個体が求める均衡の現実的領界の体現であり、全てのものの上に自身の物質的な姿と同じように完璧なハーモニーを無理やり奏でさせようとしているのだ。様々な種類の形態は、その能力と目的を直接に表している。例えばプレローマ・アイオーンの場合、作成と消滅の力に由来しており、豊富に育つか全く育たないかのいずれかの形でその影響力を使用する。
 アイオーンは悪意のあるクリーチャーではないが、彼らは個々の存在も、大抵の生命にとって核である葛藤も感情も考慮しない。町まるごと一つが壊滅したり広大な森が燃えるようなことは、彼らの対称性の操作にしてみれば同じように些細なことだ。同様に、新しい命を生み出すことと差し迫る災害に対して防備を固めることは等しく個性的な行いである。アイオーンにとっては最終的な勘定だけに意味がある。人型生物が過剰に住む土地は、ちょうど貪欲な菌類がいっぱいになった土地のように間引きが必要なのだ。肉体の免疫機構が侵入しようとする寄生者に慈悲も悪意も抱かないように、アイオーンも自らの目的を感情を淀ませることはない。そのような公平性はアイオーン同士の交流にまで及ぶ。多次元宇宙が当面必要とする以上の文化も、社会も、記憶さえない彼らは関係を築かず、通常自動機械のように目的に直進することを除いて一切の個性を持たない。アイオーンには緩やかな階級システムが存在する。下位の同胞によって優れていると認められたより大きな多次元宇宙の原理が影響力を持つ。しかしこの階級制度が、実際の指示や服従といった形で現れることはほとんどない。上位のアイオーンの行動が下位のアイオーンの多数の働きや命さえ台無しにするものであれ、より力のあるアイオーンの行いがためらいもなく実行される。複数のアイオーンが協力するのは重大な存在に関する懸念による場合のみで、彼らの種族と多次元宇宙自身の統合された意識に基づきそれをするよう指示される。そしてそれも長く続くことはほとんどない。
 アイオーンを自然や自らのクリーチャーの友や仲間と見なそうとして、多くのものが失敗した。時にはこれが真実となることもある――そして物質界を全体として広大で単一の有機体であると見なす場合、確実に真実である――が、アイオーンは森の中の木であるというよりは、都市の塔なのである。彼らにしてみれば、生は全て生であり、死はすべて死であり、それぞれの形にかかわらず守るものであり磨くものなのだ。
 非常に稀な事態では、アイオーンは多次元宇宙の気まぐれから逸脱することが知られている。そのような自分勝手に行動するアイオーンは他の種族に対する過度の興味、自らの寿命を超えて生きること、突飛な考えの暴露、他のアイオーンならば熟考もしない行為の強制によって目覚めることが普通である。このようなアイオーンは他のものよりも彼らの存在の一面を好むため、通常は極端な個性を持つ――アクァナが大量殺人者として命の芸術家となるように。通常のアイオーンはこの種の同胞が多次元宇宙のバランスにおいて高確率で障害になると認識しており、可能な限り早くこのような例外を破壊する機会を探している。

モナド、万物の状態 Monad, the Condition of All

 アイオーンは皆、彼らが「万物の状態」もしくは「モナド」として知る、彼らの種族全てと多次元宇宙そのものの上位の調和である状態によりつながっている。そのため、アイオーンは多次元宇宙の延長として存在している。骨、筋肉、そして様々な体液が死すべき定めの存在を形作るのにも似ている。彼らはより上位の存在の一部として存在する。破壊されたり特定の目標を成し遂げたりした際、彼らのエネルギーは単に消散し、モナドへと再度吸収されるのである。彼らは死ぬことはないが、その代わりに再利用される。彼らは識別できるような記憶を持たず、バランスを補強するために必要となる現在の情報のみを持つように見える。アイオーン以外との関係は普通は存在しないし、興味も悔恨も復讐その他の感情を感じることもない。アイオーンはそれぞれの任務を自らの行為として扱い、他の任務全てから独立している。そのため、以前あるアイオーンと争ったものが、次の遭遇ではそのアイオーンの完全で怯むことのない支援を受けることもある。

アイオーン:アクァナ Aeon, Akhana

巨大な一つ目に似た回転する塊から灰色の腕が4本と、尾のような付属物が1本突き出している。

アクァナ 脅威度12 Akhana

経験点19,200
N/中型サイズの来訪者アイオーン他次元界
イニシアチブ +10;感覚 暗視60フィート、デスウォッチ〈知覚〉+19
防御
AC 27、接触18、立ちすくみ21(+9外皮、+2反発、+6【敏】)
hp 148(11d10+88);高速治癒5
頑健 +17、反応 +11、意志 +14
完全耐性 [冷気]、クリティカル・ヒット、抵抗 [電気]10、[火]10;SR 23
攻撃
移動速度 30フィート、飛行40フィート(貧弱)
近接 (×4)=+16(1d4+5、加えて“つかみ”)
特殊攻撃 魂抜き取り
擬似呪文能力 (術者レベル11;精神集中+15)
一般データ
【筋】21、【敏】23、【耐】26、【知】16、【判】21、【魅】18
基本攻撃 +11;CMB +16(組みつき+20);CMD 34(対足払い38)
特技 《イニシアチブ強化》《頑健無比》《神速の反応》《鋼の意志》《ホバリング》《迎え討ち》
技能 〈威圧〉+18、〈隠密〉+20、〈呪文学〉+17、〈真意看破〉+19、〈知覚〉+19、〈知識:次元界〉+22、〈知識:宗教〉+22、〈治療〉+19、〈はったり〉+18、〈飛行〉+2
言語 心象
その他の特殊能力 虚空形態、万物への伸張
生態
出現環境 気候問わず/地形問わず(外方次元界)
編成 単体、2体、または集団(3~6)
宝物 なし
特殊能力
魂抜き取り(超常)/Soul Siphoning 1回の即行アクションとして、アクァナはそのを使って組みついた敵から命のエッセンスを吸い出すことができる。アイオーンのターンの開始時に、対象は1d4の負のレベルを得る(DC23の頑健セーヴに成功すれば無効となり、24時間の間このアクァナからの魂抜き取り能力に完全耐性を得る)。負のレベルの総計が目標のヒット・ダイスと等しくなったなら、目標の魂はその定命の肉体から解き放たれトラップ・ザ・ソウル呪文のようにアクァナの肉体に取り込まれ保持される。目標の肉体はその魂がアクァナに囚えられている限り、ジェントル・リポウズ呪文を掛けられたかのように腐敗せずそのままあり続ける。アクァナは魂を無期限に囚えておくことができるし、1回の全ラウンド・アクションとして解き放つこともできる。そのようにしたなら、解き放たれた魂は肉体が300フィート以内にあるならば直ちにその肉体に戻る。その時肉体は命を吹き返し、アクァナから受けていた負のレベルは全て取り除かれる。肉体が300フィート以内に無い(あるいはすでに破壊されている)ならば、魂が解放された際にそのクリーチャーは死亡する。ウィッシュミラクルリミテッド・ウィッシュを使用すれば、その肉体に返すために魂を呼び戻すことができる。アクァナが殺されたならば、その肉体に囚えられた魂は自動的に解き放たれる。アクァナは一度に1つの魂のみを囚えておくことができる。このセーヴDCは【耐久力】に基づいている。

 アクァナは誕生と死の二重性の管理を担当する。彼らは宇宙規模のバランスを管理するために、極めて重要なものとして生あるものの存在を把握する。また、彼らは生あるものがこの宇宙に大きな影響力を持ち、放置すれば甚大な事態を引き起こす能力があることを理解している。この場合には、命は死に取って代わるに違いない。
 アクァナは多次元宇宙の裏道をさまよい、命のバランスの崩れを定期的に刈り取る。アイオーンでない存在にとっては、彼らがそのバランスの崩れをどのように判断したのかはよく理解できない。そしてその判断について尋ねられたとしても、アクァナは自らの決定が正当なものだと説明する強い動機を持たない。結果として彼らの攻撃はグループの最も強いものや弱いものに常に集中するわけではないので、アクァナの攻撃と興味が向かう先はほとんどのクリーチャーにしてみれば、恣意的であるかランダムなものであるとさえ受け取られる事が多い。
 アクァナが立つとその高さは5フィートで、体重は120ポンド。その中央にある奇妙な体にはガスが充満しているように見えるが、触れてみると奇妙に固くネバネバしている。

アイオーン:テレートス Aeon, Theletos

曲がった4本の脚(それぞれはひじから2つの3本の指のついた脚に分かれている)がこのクリーチャーの水晶のような肉体から生えている。

テレートス 脅威度7 Theletos

経験点3,200
N/中型サイズの来訪者アイオーン他次元界
イニシアチブ +6;感覚 暗視60フィート;〈知覚〉+16
防御
AC 20、接触15、立ちすくみ17(+1回避、+5外皮、+2反発、+2【敏】)
hp 76(9d10+27);高速治癒5
頑健 +9、反応 +5、意志 +12
完全耐性 [冷気]、クリティカル・ヒット、抵抗 [電気]10、[火]10;SR 18
攻撃
移動速度 30フィート、飛行30フィート(貧弱)
近接 叩きつけ(×2)=+13(1d6+4)、触手(×2)=+8(1d4+2、加えて“運命吸収”)
接敵面 5フィート;間合い 5フィート
特殊攻撃 運命のリース
擬似呪文能力 (術者レベル9;精神集中+10)
一般データ
【筋】18、【敏】14、【耐】17、【知】11、【判】19、【魅】12
基本攻撃 +9;CMB +13;CMD 28(足払いされない)
特技 《イニシアチブ強化》《回避》《鋼の意志》《鋼の意志強化》《ホバリング》
技能 〈威圧〉+13、〈隠密〉+14、〈呪文学〉+12、〈真意看破〉+16、〈知覚〉+16、〈知識:次元界〉+16、〈飛行〉-2
言語 心象
その他の特殊能力 虚空形態、万物への伸張
生態
出現環境 気候問わず/地形問わず(外方次元界)
編成 単体、2体、または集団(3~12)
宝物 なし
特殊能力
運命吸収(超常)/Fate Drain テレートスはクリーチャーの破滅や運命の感覚を吸収する事のできる水晶のような伸び縮みする触手を一組持つ。この触手を使用して敵への攻撃が成功すると、そのクリーチャーはDC17の意志セーヴを行わねばならず、失敗すると1d4ポイントの【魅力】ダメージを被る。この能力からの【魅力】ダメージが回復するまで、この効果を受けたものはすべてのセーヴィング・スローに-2のペナルティを被る(実際に受けている【魅力】ダメージの総量には関係ない)。このセーヴDCは【耐久力】に基づいている。
運命のリース(超常)/Wreath of Fate 1d4ラウンドに1回、1回の全ラウンド・アクションとして、テレートスは自身の腰から60フィート円錐形にエネルギーを放射することができる。この円錐形の範囲に収まる全ての知性あるクリーチャーはDC15の意志セーヴを行わねばならず、失敗するとテレートスが保持している様々な運命の知識に圧倒される――それらの無数の破滅と恩恵を表す言葉はなく、その結果、目標はよろめき状態となる。この状態が続く限り、効果を受けたものは攻撃ロール、セーヴィング・スロー、技能判定を行う際、2回ロールを行う――2つのロールのうち悪い方を選択しなければならず、そのようにすればその魂から運命のリースを取り外すことができ、この能力によって受けたよろめき状態は解除される。運命のリースは[呪い]効果であり、ブレイク・エンチャントメントリムーヴ・カースなどの効果で解除できる。この呪いの有効術者レベルはテレートスのHDに等しい(ほとんどの場合、術者レベル9である)。このセーヴDCは【魅力】に基づいている。

 この奇妙なテレートスは自由と運命の二重性の守護者である。テレートスにとっては奴隷制度はもはや、真なる自由と同じように問題ではない。しかし一方がなければ、他方は存在することができない。奴隷制度がはびこるある地域では、テレートスは奴隷何人かを解放することを目標とするだろう。しかし奴隷制度が廃止されたところでは、この奇妙な存在は自らの[精神作用]呪文に似た能力を使用して多くのクリーチャーを支配下に置こうと動く――しばしば、将来奴隷制度を始めようとするものたちと協力しながら。テレートスはまた運命と予言の守護者でもある。未来を垣間見るクリーチャーがいる一方で、アイオーンの物理的な痛みの原因となるような未来を見出す者もいる。なぜある者が未来を予言することができるのに、他の者ができないのか、テレートスは説明することができない――予言者はその追求は否定されるべきだということを知っているだけである。
 テレートスは立つと5フィートの高さがあり、重量は100ポンド。


アイオーン:パラクレトス Aeon, Paracletus

チラチラとした光の小さな群れが宙に浮かんでいる。その周りを複数の鮮やかな水晶や宝石が周回している。

パラクレトス 脅威度2 Paracletus

経験点600
N/小型サイズの来訪者アイオーン他次元界
イニシアチブ +2;感覚 暗視60フィート;〈知覚〉+7
オーラ 感情のオーラ (DC12、30フィート)
防御
AC 14、接触13、立ちすくみ12(+1外皮、+1サイズ、+2【敏】)
hp 13(3d10-3)
頑健 +4、反応 +3、意志 +6
完全耐性 [冷気]、クリティカル・ヒット、抵抗 [電気]10、[火]10;SR 7
攻撃
移動速度 飛行40フィート(良好)
近接 叩きつけ=+3(1d3-1、加えて1d6[電気])
擬似呪文能力 (術者レベル3;精神集中+4)
回数無制限:サンクチュアリ(DC12)
3回/日:カーム・エモーションズ(DC13)
1回/週:コミューン(術者レベル12、6つの質問)
一般データ
【筋】8、【敏】14、【耐】9、【知】11、【判】13、【魅】12
基本攻撃 +3;CMB +1;CMD 13(足払いされない)
特技 《頑健無比》《鋼の意志》
技能 〈威圧〉+7、〈隠密〉+12、〈真意看破〉+7、〈知覚〉+7、〈知識:次元界〉+7、〈知識:神秘学〉+7、〈飛行〉+8
言語 心象
その他の特殊能力 虚空形態、万物への伸張
生態
出現環境 気候問わず/地形問わず(外方次元界)
編成 単体、2体、または共同体(3~12)
宝物 なし
特殊能力
感情のオーラ(擬呪)/Emotion Aura それぞれのパラクレトスは特定の感情の二重性を具現化させたものとして存在している。1日に3回、パラクレトスは以下に示す2つの組み込まれた感情のうち、1つのオーラを作り出すことができる。このオーラの中にいるクリーチャーはこのオーラに抵抗するため、DC12の意志セーヴを行わなければならない。このオーラのセーヴに成功したものは以降24時間の間、そのアイオーンによるオーラの影響を受けなくなる。この効果から除外するために、パラクレトスはそのオーラの中にいるクリーチャーのうち1体を選択することができる。このオーラの効果は10分の間持続し、このアイオーンから30フィートを超えて離れることで終了する。このオーラは[精神作用](強制)効果である。このセーヴDCは【魅力】に基づいている。特定の感情の二重性とその力は以下の通りである――あるパラクレトスは以下の3つの二重性のうち1つしか使用することはできず、他のものに変更することもできない。
勇気/恐怖:このオーラはブレスあるいはベインとして機能する。
共感/無関心:このオーラはクリーチャーの行う 〈威圧〉〈交渉〉〈はったり〉判定に+2のボーナスか-2のペナルティを与える。
希望/絶望:このオーラはクリーチャーの意志セーヴに+2の士気ボーナスを与えるか、意志セーヴに-2のペナルティを及ぼす。

 定命のものは自由意志という贈り物を持つが、論理と感情は彼らの決定に影響を与える。パラクレトスは定命のものとつながり、感情の影響(特に生の感情の二元的な本質)を定命のものの振る舞いから学ぶ調査員としての機能を果たすアイオーンである。彼らは特に強い感情を持っていたり、特に強い論理的な才能を持つ定命のもの(高い【魅力】や【知力】を持つキャラクター)を探して、次元界をさまよう。ひとたびパラクレトスがそのようなクリーチャーのものに至れば、パラクレトスは目標の感情的あるいは論理的な情報と選択の関係を学ぶために、その近くにとどまる。しばしば、パラクレトスは外部の存在が目標にどのような影響を及ぼすのか学ぶため、自身の感情のオーラを目標に使用する。目標となったクリーチャーにとって不幸なことに、パラクレトスが有益な効果や害を及ぼす効果を使用するかどうかは、その意図と目的の全てのための偶然にすぎない――パラクレトスの複雑な論理にも関わらず、現実に起きる偶然は完璧なものだ。
 選択肢があれば、パラクレトスは直接の戦闘を避け、状況に影響をおよぼすためにその感情のオーラを使用する。自分の身を守る必要に迫られれば、その水晶製の物体をぶつけるだけでなく、敵を叩きつけ電気ショックのエネルギーを放つためにそれらに飛びかかる。パラクレトスを周回している水晶は論理の面を固めたもので、この中心の部分の元となる渦巻く煙と光は生の感情の顕現である――パラクレトスが倒されると、クリスタルと煙の両方が無に帰すことになる。
 パラクレトスは《上級使い魔》特技を持つ中立の7レベルの呪文の使い手に、使い魔として選ばれることもある。パラクレトスの使い魔は現れる感情と論理の観察という自らの目的を諦めたわけではない。しかしその主人の指示に従う――これはパラクレトスの感情のオーラが無作為に使用されるわけではない状況の一例である。
 パラクレトスの体の中央部は光とエネルギーに見えるが、それは実際のところ固体であり、触ると帯電した肉のように奇妙に感じる。

アイオーン:ビューソス Aeon, Bythos

チラチラとした色のない塊が、胴体に目のような模様がある4本の腕の生えた人型生物の形に固まっている。

ビューソス 脅威度16 Bythos

経験点76,800
N/大型サイズの来訪者アイオーン他次元界
イニシアチブ +8;感覚 暗視90フィート、非視覚的感知60フィート、夜目;〈知覚〉+30
防御
AC 31、接触18、立ちすくみ26(+1回避、+13外皮、-1サイズ、+4反発、+4【敏】)
hp 207(18d10+108);高速治癒10
頑健 +18、反応 +12、意志 +20
完全耐性 [冷気]、クリティカル・ヒット、抵抗 [電気]10、[火]10;SR 27
攻撃
移動速度 飛行40フィート(良好)
近接 叩きつけ(×4)=+23(1d6+6、加えて1d6[冷気]および“加齢の打撃”)
接敵面 10フィート;間合い 10フィート
特殊攻撃 混乱の凝視、時飛ばし打撃
擬似呪文能力 (術者レベル18;精神集中+23)
一般データ
【筋】22、【敏】19、【耐】21、【知】24、【判】28、【魅】21
基本攻撃 +18;CMB +25;CMD 44(足払いされない)
特技 《イニシアチブ強化》《回避》《頑健無比》《強行突破》《神速の反応》《戦闘発動》《追加hp》《ホバリング》《迎え討ち》
技能 〈威圧〉+26、〈隠密〉+21、〈呪文学〉+28、〈真意看破〉+30、〈知覚〉+30、〈知識:次元界〉+36、〈知識:自然〉+33、〈知識:宗教〉+33、〈知識:神秘学〉+33、〈知識:歴史〉+36、〈治療〉+30、〈はったり〉+26、〈飛行〉+6、〈魔法装置使用〉+23
言語 心象
その他の特殊能力 虚空形態、万物への伸張
生態
出現環境 気候問わず/地形問わず(外方次元界)
編成 単体、2体、または法廷(ビューソス3)
宝物 なし
特殊能力
加齢の打撃(超常)/Aging Strike ビューソスが1ラウンドの間に2回の叩きつけ攻撃を1体の生きているクリーチャーに命中させ目標がDC24の頑健セーヴに失敗すると、ビューソスはそのクリーチャーを加齢させ、次の年齢段階(Pathfinder RPG Core Rulebook』P.169)に進ませる。目標は加齢によるペナルティの全てを受けるが、ボーナスは一切得ることができない。この能力の目標となったものが古希ならば、DC24の頑健セーヴに失敗した場合に死亡する。この効果はウィッシュグレーター・レストレーションミラクルリミテッド・ウィッシュによって取り除くことができる。このセーヴDCは【耐久力】に基づいている。
混乱の凝視(超常)/Confusion Gaze 1d4ラウンドの間混乱状態、30フィート、頑健・DC24・無効。このセーヴDCは【魅力】に基づいている。
時飛ばし打撃(超常)/Temporal Strike 1回の標準アクションとして、ビューソスは目標の時をずらすためにクリーチャーや物体に接触することができる。DC24の頑健セーヴに失敗したなら、目標はただちにその姿を消し、1d4ラウンド後に時が経過していなかったかのように同じ場所に再度現れる。もしその場所を物体が占めていたなら、そのクリーチャーは元々の場所から最も近い空いている場所に現れる――この消失はそのクリーチャーにいかなる追加の害も及ぼさない。このセーヴDCは【魅力】に基づいている。

 ビューソスは時と次元間移動の守護者である――実のところビューソスにしてみれば、加齢とは高度に特殊化した旅行の方法以外の何者でもない。ビューソス自身は時を超える旅行の追加の方法は持たないが、彼らは時間移動の能力を持ちこの能力を悪用するクリーチャーを狩ることで多次元宇宙の汚れを落とす。
 しかし頻繁にビューソスは次元間移動の悪用(物質界の裂け目、次元界が重なった地域、次元間移動を悪用するクリーチャーなど)を探しまわる。このような歪みが無視される場合もあるが、そうでない場合にはビューソス(あるいはその法廷全体)が訪れて評価し、そのダメージを修理する。多くの場合、「修理」とはその歪みの原因となったクリーチャーの死と等価だが、そのようなクリーチャーをテンポラル・ステイシスによる状態に陥らせることでもこの問題を解決することができる。
 ビューソスの肉体は煙やガスで作られているように見えるが、触ると奇妙な弾力があり、乾いた石のように感じられなくもない。ビューソスは全長13フィート、重量600ポンド。

アイオーン:プレローマ Aeon, Pleroma

このぼんやりとした人型生物の形をした影の中に、渦巻く色と球体が揺れている。まるで夜の空全てを取り込んだかのようだ。

プレローマ 脅威度20 Pleroma

経験点307,200
N/大型サイズの来訪者アイオーン他次元界
イニシアチブ +12;感覚 暗視120フィート、擬似視覚120フィート、トゥルー・シーイング〈知覚〉+41
防御
AC 36、接触24、立ちすくみ27(+1回避、+12外皮、-1サイズ、+6反発、+8【敏】)
hp 324(24d10+192);高速治癒10
頑健 +24、反応 +18、意志 +26
完全耐性 [冷気]、クリティカル・ヒット、抵抗 [電気]10、[火]10;SR 31
攻撃
移動速度 0フィート、飛行60フィート(完璧)
近接 接触=+30(20d8エネルギー)
接敵面 10フィート;間合い 10フィート
特殊攻撃 創造の球、忘却の球
擬似呪文能力 (術者レベル20;精神集中+27)
準備済みのクレリック呪文 (術者レベル20;精神集中+27(訳注:更新;+30))
9レベル:アストラル・プロジェクションインプロージョン(3、DC29)、ゲート
8レベル:アンホーリィ・オーラ(DC28)、クローク・オヴ・ケイオス(DC28)、サモン・モンスターVIIIシールド・オヴ・ロー(DC28)、ホーリィ・オーラ(DC28)
7レベル:ディクタム(DC27)、ディストラクション(DC27)、ブラスフェミイ(DC27)、ホーリィ・ワード(DC27)、ワード・オヴ・ケイオス(DC27)
6レベル:ヴェイル(DC26)、ギアスバニッシュメント(DC26)、フォービダンス(DC26)、リパルション(DC26)、レジェンド・ローア
5レベル:コンタクト・アザー・プレインディスペル・イーヴル(DC25)、ディスペル・グッド(DC25)、ディスペル・ケイオス(DC25)、ディスペル・ロー(DC25)、テレポート
4レベル:アンホーリィ・ブライト(DC24)、オーダーズ・ラス(DC24)、ケイオス・ハンマー(DC24)、スクライング(DC24)、ホーリィ・スマイト(DC24)、レストレーション
3レベル:クレアオーディエンス/クレアヴォイアンスサジェスチョン(DC23)、マジック・サークル・アゲンスト・イーヴルマジック・サークル・アゲンスト・グッドマジック・サークル・アゲンスト・ケイオスマジック・サークル・アゲンスト・ロー
2レベル:アライン・ウェポンアンディテクタブル・アラインメントエンスロール(DC22)、シー・インヴィジビリティゾーン・オヴ・トゥルース(DC22)、ディテクト・ソウツ(DC22)、メイク・ホウル
1レベル:アイデンティファイディテクト・イーヴルディテクト・グッドディテクト・ケイオスディテクト・ロートゥルー・ストライクマジック・オーラ
0レベル:ガイダンスクリエイト・ウォーターディテクト・マジックリード・マジック
一般データ
【筋】24、【敏】27、【耐】26、【知】26、【判】31、【魅】25
基本攻撃 +24;CMB +32;CMD 57(足払いされない)
特技 《イニシアチブ強化》《鋭敏感覚》《回避》《風の如き脚》《頑健無比》《強行突破》《神速の反応》《戦闘発動》《電光の如き脚》《鋼の意志》《鋼の意志強化》《迎え討ち》
技能 〈威圧〉+27、〈隠密〉+27、〈鑑定〉+30、〈呪文学〉+30、〈真意看破〉+39、〈知覚〉+41、〈知識:工学〉+44、〈知識:次元界〉+47、〈知識:自然〉+47、〈知識:宗教〉+47、〈知識:神秘学〉+47、〈知識:ダンジョン探検〉+44、〈治療〉+30、〈はったり〉+32、〈飛行〉+16、〈魔法装置使用〉+27
言語 心象
その他の特殊能力 虚空形態、万物への伸張
生態
出現環境 気候問わず/地形問わず(外方次元界)
編成 単体または法廷(プレローマ1、アクァナ3、およびテレートス2~5)
宝物 なし
特殊能力
エネルギーの接触(超常)/Energy Touch プレローマの接触は接触したクリーチャーが被害を被る種類に合わせて、正ないし負のエネルギーによるダメージを20d8ポイント与える。プレローマの接触は決してダメージを回復することはない。
呪文 プレローマは20レベルのクレリックであるかのように呪文を発動する。しかし領域の効果は持たない。プレローマはいくつかのウィザード/ソーサラー呪文を信仰呪文として発動することができる。
創造の球(超常)/Sphere of Creation 1日に3回、プレローマはその左手の上に、白いエネルギーで作られた半径2フィートの球体を出現させることができる。集中することでプレローマはこの球体を制御することができ、1ラウンドに10フィートの速度でゆっくりと飛行させることができる。この球体は任意の方向に動かすことができるが、プレローマから300フィート以内に存在していなければならず、それより離れると直ちに消滅する。この球体がどこに移動しようとも、それは新しい目的地までの移動経路の跡に、5フィート幅の新しい地形(沼、ツンドラ、砂漠、森など)あるいはある一種類の自然物質(粘土、木、石)で作られた一辺10フィートの壁が残される。なにが存在するにせよ、この球体の中に接触した物体はそれが生きているか命を持たないかにかかわらず、DC30の頑健セーヴを行わなければならない。セーヴに失敗すると吸収され、新しい物質の中に取り込まれてしまう(ウィッシュフリーダムミラクルによってのみ、取り込まれたクリーチャーを救出できる)。セーヴに成功したクリーチャーは新しく作られた物質に隣接する何者にも占められていない場所に押し出される。この球体は不安定で1d4分しか持続せず、眩い閃光と共に破裂する。その閃光から30フィート以内にいる全てのクリーチャーはDC30の頑健セーヴを行わねばならず、失敗すれば永続的な盲目状態となる。セーヴDCは【耐久力】に基づいている。
忘却の球(超常)/Sphere of Oblivion 1日に3回、プレローマはその右手の上に、全くの闇でできた半径2フィートの球体を出現させることができる。この球体はスフィアー・オヴ・アニヒレイションに似た空っぽの無である。この球体に触れたいかなるものも(生きているか命を持たないかにかかわらず)DC30の頑健セーヴに成功しなければならない。失敗したならこの球体の中に吸い込まれ破壊される。この球体よりも巨大な物体(船や建造物など)はこの球体に接触している1ラウンドごとに一辺10立方フィートの速度で破壊される。集中することで、プレローマはこの球体を制御でき、1ラウンドに10フィートの速度でゆっくりと飛行させることができる。この球体は任意の方向に移動させることができる。しかしプレローマの300フィート以内にいなければならず、それより外に出ると直ちに消滅する。この球体は非常に不安定で、ほんの1d4分しか持続せず、それ自身のまわりに害を及ぼさない形で爆発する。その代わりに、プレローマはこの球体を(10フィートの射程単位を持つ)遠隔接触攻撃としてクリーチャー1体に投擲することができる。このようにして投擲されると、この球体は攻撃が解決された後に直ちに爆発する。セーヴDCは【耐久力】に基づいている。

 プレローマは全てのアイオーンの中で最も強力な存在である。創造と破壊の対立の顕現として、プレローマは不安定な状態で存在する。その実体のない黒い外套の内側で創造と忘却の間をまさに移り変わり続けている。プレローマをじっと観察したものは、その形が絶えず変わり続けていることに気づくのに何日もかかるだろう。宇宙の中にある天体の変化に似たその変化は、銀河の渦と惑星の崩壊が奇妙な踊りを形作るペースでしか変化しないためだ。
 プレローマは創造と忘却の観念を独立の過程として捉えてはいない。しかし循環する過程の部品2つとしてではなく、存在するものは必ず消滅するという考え方だ。プレローマはこの進行の手助けをする。あらゆるものがバランスを維持する事ができるように、創られたものは壊れるように、この2つの過程がゆっくりと止まることのないように。半ば永続化した状態に到達したものにとって、変化することのないもっと多くのものがあるに違いなく、そうでなければ永続する落ち着いた状態に改善することもできない。プレローマは永遠を信じているが、永遠は循環であり無限はときに自身を繰り返すと理解している。そのためゆっくりでしかないとしても、永遠や無限は変遷し改まる事のできる状態である。プレローマはこのような変化が静的でバランスのとれていないものになること、彼らが啓示として参照する状態、万物の終焉から宇宙を守るために必要なことと理解している。
 すべてのアイオーンにとって、プレローマはその本質とのつながりやモナドとして参照する概念に、もっとも強いつながりを持つ。すべてのアイオーンは自らがこの本質の延長線上にあると信じており、彼らが自由に独立して本質の活動を行う一方で、彼らはその意志と必要性の衝突の中で常に活動している。この振る舞いはプレローマの行動が彼ら自身と彼らの一部である本質の両方において総じて利益があることだという共生関係であり、隷属しているわけではない。プレローマはモナドを多次元宇宙の感覚性として説明する。全てのものは今までに存在してきた全ての者の流転を通して作られるのだと。
 プレローマは通常1体で移動する。ある領域へ彼らが到着することは、常にある種の劇的な変化の予兆である。彼らは他のクリーチャーののぞみや必要性にほとんど関心を払うことはなく、彼らの主要な仕事に全力で取り組む。彼らは道徳、戦争、その他の追求との衝突を避け、そのような出来事を制御することが創造と忘却のバランスを修復する助けになるのであればそれを保つ。彼らの仕事を妨害し揺らがそうとするほどに愚かなものには、その介入がなくなるまで、プレローマは直ちにその著しい力と破壊能力のすべてをもって報復する。
最終更新:2017年05月08日 00:12