スレ住民配布の俺妹小説本

見た目はかわいいけどやたら俺にムカつく態度をとる妹・桐乃。
あいつは俺をゴミみたいに嫌ってるし、俺だって大っ嫌いだ。

あいつの間抜けな失敗から始まった「人生相談」を通して、
俺は知ろうともしていなかった妹のいろんな面を知った。
どこにでもいるいまどきの女子中学生に見えた妹が、実は
重度のアニオタで妹もののエロゲが大好きな、女子中学生
どころか人間としてとしてアウト過ぎる趣味を持っていたこと。
こと。それでいて成績優秀スポーツ万能、おまけにモデルまで
やってるスゲー奴だったこと。

「人生相談」はまた、平凡そのものだった俺の日常を変えた。
誰にも自分の秘密の趣味を話せず苦しんでいた妹のために、
俺はアイツがそっち方面の友達を作る手助けをしてやった。
学校の友達にオタバレして、絶交されそうになった妹を助けて
やったり、あいつが苦労して書き上げたケータイ小説が奪われた
のを取り戻したりした。
これがエロゲなら、とうにフラグが立ってるころさ。
それに俺自身、あいつとの関わりの中で黒猫や沙織や…いろんな
人と出会い、色々な体験をすることができた。桐乃の奴とも、
以前からは想像もできないほど沢山の思い出を作ることができた。

だからといって、俺と妹の関係は何も変わりゃしない。
相変わらず桐乃は俺のことを毛嫌いしてるし、俺だってアイツの
ことをちょっとは見直したけど、ムカつく妹のことなんて
どうでもいいと思っている。

その、つもりだった……


桐乃が俺に告げた「最後の人生相談」とは、その日アキバで深夜
販売されるエロゲを買ってきて欲しいというものだった。
エロゲは確保するものの、終電を逃してしまう俺。だが電話に出た
桐乃の声に何かを感じた俺は、なりふり構わず頼み込んで他人の
自転車を借り、妹の待つ家へ帰ってきた。
くそ、何で俺、大っ嫌いな妹の為に、こんな必死になってんだろな?

「お、おい……あんまくっついてくんなよ」
「しょうがないでしょ!こうしないとあたし画面見えないし!」
ー無事エロゲを渡した俺に、桐乃は一緒にこのエロゲをやらないかと
誘ってきやがった。だから、妹と一緒に妹もののエロゲなんかやれる
かっての!…だが、なぜか断りきれない俺。俺は…
あー……くそ……妹から妙にいい匂いがする。
まさか寝る前だってのに、香水でもつけてんのかな。
「アンタ顔赤くない?」
「ふ、風呂上がりだからじゃねえの?」
フゥ~…。ようし……その調子だ……静まれ…っ……俺の海綿体……。
…きゅ、9か月前には、上にのしかかられても何とも思わなかったの
にな…今は、どうして、こんなに……


桐乃の嬉しそうな解説を聞きながら、ゲームを進めていく俺。
桐乃とこうしているときは、普段嫌い合ってる関係じゃなく、いつだっ
たか覚えていないほど昔の俺たちに戻れてるような気がして…嫌じゃ
ない。
やがて、プレイしているエロゲの中で、主人公の兄とヒロインの妹は
無事結ばれ、喜びの中口づけ合い、そしてエロゲのお約束通りナニを
おっぱじめだした。
だーっ!だ、だから、妹もののエロゲは嫌なんだっつの!
こいつは本当に恥ずかしくないのかよ!と思って桐乃の方を見ると、
微動だにせず画面を集中して見てやがる。へえ…、いつか言ってた
ように、本当にそういうの気にしないんだな…

「ねえ」
「…は?」
不意にこっちを見られて、瞬間息が詰まる。
…あれ?今は顔が赤いように見えるな。さっきは平気そうに見えたん
だが…。
「この2人、すっごい幸せそう」「そ、そうだな…」
「キ、キスって、そんなにいいものなのかな…?」
「え」な、何言ってんだこいつ…一瞬焦っちまっただろ!
「い、いや、俺に言われてもな…経験ないし」
「うそ、アンタ地味子とキスもしてないの?」
「だからあいつとはそんなんじゃないって言ってんだろが!ぶっとばす
ぞ!」「そ、そうなんだ、へええ…」
まったく、どいつもこいつも俺と麻奈実をくっつけたがる…
あいつは本当にただの幼馴染だって言ってるのに…
「……」「?」
気がつくと、桐乃がやや上目遣いになって俺をじっと見ていた。
「……んだよ?」
「……あの、さ…」
「?はっきり言えよ」
「うん…あの、あのね…」
こくんと一回つばを飲み込む音が聞こえ、
「っキッ…キス……っ」
「お?」
「キス、……して、みたいな」
「へー…っておまえ、彼氏もいねーのに、一体誰と…」
「ア…ア…っ、アンタ…と…」
「なあああっ?!ナニ、何言っちゃってんの?!桐乃さんっ?!」
「ばっ、ばかっ!声大きいって!お父さんたち起きちゃう!」
なっ…何を言い出すかと思えばコイツっ…!う、嘘だろ?!
「(小声で)どっ…ど…どういうつもりだよっ!」
「んべっ…別にそのっ…じ、人生相談っ!人生相談よっ!」
「じっ…人生相談ったって限度あんだろっ…!だ、大体おまえ、
お、俺なんかとで…いいのかよっ…」くそっ、焦って口がうまく
回らない。頭が真っ白だ。な、何で俺こんなに動揺してんだよ…
「いっ…いいのっ…!ア、アタシがいいって言ってんだから…っ!
そ、それとも、アタシとじゃ…不満なわけ?
……じ、地味子とじゃなきゃ嫌だっての…?」
「ちっ、違うっての!と、とにかくこの問題はじっくり考えよう、な?
お、お互いクールダウンしてだなっ…こういうことは時間をかけて…」
「…っ、ばか。いくじなし…」「ぐっ…」不満を吐きつつも、とりあえ
ずは諦めてくれたようだ。嫌いな妹なんかと誰がするか…なんてことは
何故か全く頭に浮かばなかった。きっと9か月前の俺ならそう即答して
いただろうな。今の俺はただ………怖かった。

若干盛り下がりつつも、ゲームを再開し、なんとかエンディングを迎え
たところで、俺は仮眠するべく自室に帰ろうとしたが、またしても桐乃に
引き留められた。オイまた人生相談かよ!いったいいくつ最後の人生相談
あるんだよ!ま…まぁいいさ。乗りかかった船だ。最後までやってやるよ。
だ、だが、桐乃の秘密の押入れ、その中でも今まで未公開だったスペース、
そこから転がり出てきたのは、なんとスカトロゲー。
ちょっ!桐乃先生そりゃーないっスよ!
しかも本題はこれからだと?い、一体何があるってんだ!
桐乃が出してきた段ボールの中に収められたアルバム。
俺はそれをー
        ピッ σ ・見る
             ・見ない



ええい、見てやろうじゃないか!もうこうなったら、毒を食らわば皿までだ!
「で、でね!次はこのアルバムなんだけど…………」
「あ、ああ。い、一体どんな最終兵器なんだ、それは……?」
「うん……こ、これ…」何だか固まったような顔のまま、桐乃はアルバムを
俺に広げて見せた。そこに飾られていたものは…
「な、なんだ。フツーの写真じゃないか。中坊くらいか、コイツ。
はっ、何だか地味そうなツラした奴だな。まるでエロゲの脇役みたいな顔じゃ
ねーか…」「それ、アンタなんだけど」
「ぶフォッ!俺っ?!…ど、どおりで見覚えのあるツラだと思ったぜ。……
って、これも、これも…前のページも、その前も…」
「うん…あ、兄貴の…写真…」
「え…これって…え…」
ど…どういう…ことだ…?わからない…何で、ずっと俺のことを嫌ってたはずの
桐乃が…俺の写真を…こんなに…大事そうに…
「こ…この間、家のアルバムを見たとき、俺の写真が1枚も無かったのは、
お前が全部取っちまってたから…なのか…?」
「う…うん。もう結構前の話だけどね。」「な…なんでだよ」「そ…それは…」
俺は改めてアルバムを順にめくっていった。
生まれた頃の俺。
両親と3人で写ってる俺。
まだ赤ん坊の桐乃と俺。
七五三の晴れ着を着て桐乃と俺。
ランドセルをしょって手をつないでる桐乃と俺。
親父の田舎を背景に、虫取り網と籠をそれぞれ持って手をつないでる桐乃と俺。
写真の中の桐乃が隣の俺に向けている笑顔は、どれも今からは信じられない程
無邪気な好意と信頼に満ちて輝いている。写真の中の俺もまた、かけがえのない
相棒に同じ笑顔を返していて…切なくなってしまう。
もう何年も、お互いに無視し合ってきた関係…あいつは俺のことを毛嫌いして
るし、俺だってそんなあいつのことなんて考えたくもない…
そう考えて、近寄ろうとすると威嚇する妹に、それ以上近寄ろうとせず、
干渉しないようにして暮らしてきた。
なのに、なぜ、そんなあいつが、俺の写真なんかを…?
「ずっと前…ホントにちっちゃい頃は、こんな風に、あたしたち、ずっと一緒
だったんだよ。兄貴はいつだって…あたしのこと、一番に見ててくれたし、
二人っきりで遊んでくれたし、とっても優しくしてくれた…。」
桐乃はアルバムを見つめたままで話し始めた。
「すごく…すごく嬉しかった…アンタがいてくれれば、それだけであたしは
幸せだった…このまま、ずっとずっと、二人だけでいられればいいと、本気で
思ってた…」
幸せな思い出を懐かしむように、アルバムを優しくさすっていた桐乃の指が、
「でも…」急に凍りついたように強張った。
「あの女が現れて、アンタは…あの女と…地味子と遊ぶようになって…あたしは
アンタの2番目になっちゃった…あたしは、地味子のおまけみたいになって…
アンタと二人きりでいられなくなってっ…」
「桐乃…」お前…そんな…そんな風に…俺…
桐乃はアルバムの上でコブシを握りしめた。下を向いたままの桐乃の表情は伺えない。
「あたしは…後から来てあたしの居場所を取った地味子にも…あたしのことだけ
を見てくれなくなったアンタにもムカついたのっ…だから…あたしにもっと
構ってくれるように…駄駄こねて…そっぽ向いて…」
「桐乃…」
「そしたら…アンタは…もっとあたしに構ってくれなくなっちゃった…地味子と
ばっかり遊ぶようになって…あたしのことは…置き去りにして…」
「……」
桐乃は、ここでようやく顔を上げて俺の方を見た。
烈しく燃える瞳が、動揺して何も言葉を発せないでいる俺の瞳を
射抜かんばかりの勢いで見つめ返してくる。

「あたしは…ほ、ホントにムカついて、もうアンタなんか知らない、アンタなん
かこっちが追い抜かして、ずうっと遠くに置き去りにしてやるんだって…
いっぱい、いっぱい頑張ったの…!何もかもアンタに頼ってたあたしが、アンタ
無しでもやれるってことをアンタに見せつけてやるために……っ!」
「………」
「それまで、勉強も運動もろくにできないダメな子だったあたしは、アンタを
見返すために毎日努力して…少しづついろんなことを覚えて、上手くやれるように
なっていったの…」
桐乃がダンボール箱の中から出してきた小学校の通信簿。3年生まで、平均より
遥か下だった妹の成績は、ある学期を境にどれも少しづつ上がりだし、6年生の
通信簿は、ほとんど最高評価のものばかりになっていた。
「もうあたしはなんでも上手くやれる。あたしのことをないがしろにしたアンタ
なんかよりずっと偉くなったんだから…っ、もう、アンタなんてあたしには必要
ないっ…もういらない…っ………!」
激しい憎悪の言葉…けど、そこで俺の生意気な妹の目は、急に火力を弱め、
ふにゃっと悲しげに霞んでしまう。
「ホントに…そう、思ってんのにっ…でも…でも…やっぱり…
寂しいの…」
「あたしのことを、ろくに見てもくれない…気にかけてもくれない…それでも…
やっぱり…アンタがいてくれないとイヤなの…アンタじゃないと…イヤなの…
アンタと…一緒に…いたいの…」
「………っ……!」桐乃…!
桐乃の瞳には…いつしか揺れ光るものが満ち、端からこぼれだし始めていた。
もはや俺には、まっすぐ妹を見ることすらできなくなっていた。くそ…視界が…
揺れやがる…
「……アルバムの写真の中なら…アンタはいつだって…あたしのことだけを見て
くれてるし…あたしだって…何も考えずに幸せなまま、笑ったままでいれる…
そんな写真を見てるだけで…す、少しは…今のあたしも…幸せな気持ちに…
なれるからっ…」
「妹もののエロゲもそう…ゲームの中の妹はみんな…だ、大好きなお兄ちゃんに
いつだって素直に好きって言えて…お、おにいちゃんだって…優しくしてくれて…
ひぐっ…うっ…そっ…それでっ…ずっとっ…いっ…一緒にっ…いられ…て…」
桐乃の頬には、もはやとどめようもなく涙が流れ落ち、寝巻きにこぼれおちて
いくつもの染みを作っていて…こみあげる感情に…話すこともできなくなっていて…
俺は……っ!
「桐乃っ!!!!」
俺は、震える妹を全力で抱きしめた。俺の体もまた、震えが止まらない。
自分の犯した過ちの大きさに、押しつぶされそうな後悔の念に…
「……っ……ひっ……」俺の腕の中で嗚咽をつづける桐乃。
ちくしょう!ちくしょう!ちくしょおおっ!俺なんか、今すぐ死んでしまえばいい!
世界でたった一人の、小さなときからずっと一緒だった大事な妹を、俺が自分のこと
しか考えられなかったせいで、いったいどれほど深く、永く苦しめてしまったのか…!

そうだ、皮肉にも今なら鮮明に思い出すことができる。

はじめて俺が麻奈美に出会ったとき、新しい身近な友達の出現に、俺は一時的に妹の
存在を麻奈美の二の次に捉えてしまっていた。時には邪険にしてしまうことすら
あった。それまで、同じ年頃の子供たちと比べても、俺たち兄妹はおかしいくらい
仲が良かったのに。妹のことが嫌いになったわけじゃない。ただ、少し新しい刺激に
夢中になってしまっただけ。本当は、いつだって妹の桐乃のことが、誰よりも一番
大事な存在だった。それなのに、妹にちょっと冷たくされただけで、こちらから
歩み寄ろうともせずあっさりと大事な存在を切り離してしまった。それによって、
桐乃がどんなに傷つくか想像もせずに…!臆病者の俺は…っ!

そして、それから何年も、俺のことが嫌いな妹なんてどうでもいい、俺だって
大っ嫌いだと、傷つくのを恐れ、現状維持に終始して安穏と生きてきちまったんだ。
その間ずっと、大事な妹が心の痛みをこらえながら努力していたことに気付きもせず…!
それで、自分のことを「凡人」で、「平穏な生活が一番」なんてのうのうと謳って…
馬鹿か俺は!全然「凡人」なんかじゃねえよ!立派な「クズ野郎」だよ!
あの頃、桐乃にもっと歩み寄っていれば…!

俺だって、本当はずっと、大好きな妹と、もう一度前のように仲良くなりたいと思って
たさ!でも、俺を拒絶するあいつに、もう一歩踏み込む勇気が無かったばっかりに…
自分をごまかして…でもそのせいで、桐乃はっ…!
桐乃…!桐乃…!

「ね、ねえ…兄貴…?…兄貴…」

気が付くと、桐乃が涙を残したまま、自分を抱きしめている兄の俺の顔を覗き込んでいた。
俺もまた、いつの間にか涙を流してたんだとそのとき気づいた。

「き…桐乃ぉ…ごめ、ごめんな…俺…おれ…くそ…おまえのこと…何もわからねぇで…、
自分のことばっかで…おまえのこと…助けてやれなくて…ごめんな…っ」

桐乃が俺の弱さのせいで受けた悲しみ…それを、今更俺がどう謝ったところで、
もはや無かったことにできるわけなどないし、わずかでも報いられるとも思っちゃいない。
それでも、土下座してでも、俺の不甲斐なさを詫び、あいつの気が少しでも済むよう、
いくらでも言葉を尽くして、謝ろう。

そう思っているのに、実際には、涙と鼻水をすすりあげながら、途切れ途切れにしか聞こえ
ない声で、ほとんど意味不明なつぶやきを発するばかり…。なんて情けねぇんだ俺は!糞!

なのに、あいつは、桐乃は…

「ばか…そんなこと、ない…!アンタ、去年、困ってたあたしのこと…助けてくれたじゃ
ない…あたしの悩み…バカにしないで…ちゃんと聞いてくれたじゃない…とっても…
嬉しかったんだよ…?」

俺はその言葉に、目の前が真っ暗になる。

「あれはっ…!!あれは…バカ野郎…ただ、ただ面倒臭くて、早く寝たかっただけでっ…!
お前の気持ちなんかっ…何一つっ…!」
「それでも…それでもね…嬉しかった…なんだか…昔に戻ったみたいで…アンタは…
あたしのわがまま…何でも聞いてくれて…アンタと…しょうもない話…いっぱいして…
あたしが困ったとき、いつも助けてくれて…まるで…夢みたいに幸せだったよ…
ほんとにありがと…兄貴…」

「あ…!ああ…!うあああっ…!」俺に傷つけられてきたはずの桐乃の、その感謝を聞いて
俺は…ひたすらに慟哭した。妹に、こんな想いをさせて、俺は…俺は…

「も、もう…兄貴ってば…泣かないでよ…ほんとに…ばか兄貴…」




どれだけ時間が経ったか…ようやくお互いが落ち着いてから、桐乃はさらりととんでもない
ことを口にした。
「ほんとはね、あたし…明日、アメリカに留学するつもりだったの。その為の手続きも、
もう全部済ませてあったし。」
「んなっ…!ま、マジかよっ!」「うん、マジ」「おまっ…」怒鳴りかけ、不意に俺は、
最近感じていた違和感を思い出した。そうか…それでだったのか…でも。
「今夜はね…その前に、色々区切りをつけようって思って、アンタに…最後の人生相談、
したの。ずっと我慢してた色んなこと、吐き出して、すっきりしようって…」
「そうか…。ごめんな、桐乃…本当に」「ばか、もういいよ、…ったく、アンタが
あんまり大泣きするから、なんだかすっかり予定が狂っちゃったじゃない」
「ぐっ…そ、そんな、泣いたりしたっけ俺?」「はいはい痴呆症乙w」
「でも…やっぱり、あたし行くのやめる。いろんな人に迷惑かけちゃうけど、あたしは
まだ、今はここに居たい。陸上の練習くらい、あたしにかかれば日本でだって余裕で
完全なものにしてみせるわよ。こっちにはあやせや加奈子、黒猫や沙織もいるし…
もちろんお父さんやお母さんとも、離れたくないしね!」
「……」俺は入ってないのかよ!まったくこいつは…
「あーそう、おまけで泣き虫な誰かさんも追加してあげてもいいかなあ~♪」
「おまっ!…い、いい加減そのネタしつこいぞ!まさかとは思うが、オマエ、あやせとか
黒猫たちにその話ばらすんじゃねえぞ?」「え?なんか言った?」
「さっそく携帯でメール打とうとしてんじゃねえよっ!」
桐乃の携帯を奪い取る俺。まったく…完全にいつも通りじゃねえかよ。まあ、いいけどな。
「ばかじゃん?言うに決まってんじゃないこんな面白いこと♪」
「頼むやめてくれ一生のお願いだ」
「あたしの言うこと聞いてくれたら考えてあげなくもないケド」
「な…なんだよ」
桐乃はそこで俺の方に向き直った。いつの間にか、顔が赤らんでるのはー
「キス。してくれたら」
これだよ。全く、困ったもんだ我が家のお姫様には。
でも…俺だって以前とは変わった部分だってあるんだぜ。
そう…この俺のわがままでこんなに可愛い妹を驚かせてやれるくらいにはな!
「んっ?…あ、兄…貴…。ん……」
「桐乃…」
「………大好きだよ、お兄ちゃん♪」


                     完

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最終更新:2009年08月26日 03:55