桐乃「え?嘘でしょ?」【前編】

先日俺は黒猫と付き合いだしたことをみんなに打ち明けた。まぁ、隠しておく理由もないしね。

桐乃「え?嘘でしょ?」
沙織「まぁ!黒猫氏と京介氏がお付き合いをなさることに!?それではぜひお祝いをしませんと」
京介「いいっていいって、そんなことでわざわざお祝いとかおかしいだろ」
沙織「断固拒否するでござる。せっかく瑠璃ちゃんと京介氏が大人の階段をのぼったというのにこれをお祝いせずにはいられますまい!」
京介「まだのぼってねえよ!」
沙織「フフフ、でもお祝いしたいのは本当なんですよ?私の親友のお二人がお付き合いすることになったんですから」
京介「グッ///…そうか、じゃあ素直に受け取っとくか。ありがとな」
沙織「いえいえ、では日程や場所はのちほどメールにてお知らせするでござる」
黒猫「///」
桐乃「…キモ……」

こんなやりとりの間も黒猫と桐乃は終始うつむき加減だった。黒猫は照れてるだけだろうが桐乃まで不機嫌にならなくてもいいのにな。別に俺が黒猫と付き合うことになったからって黒猫はお前と友達でいることはやめねえだろうよ。

で、今日がそのお祝いとやらの日なんだが…

沙織『今度の日曜日に以前のレンタルルームでお待ちしています』

以前のレンタルルームってのはあいつらが俺を励ます会を開いてくれたあそこのことだろう。
正直、あそこにあんまりいい思い出はなかったりするんだけどな…デレた桐乃は見られたけど。

京介「あんまり、気乗りしねえなぁ…」

俺が前回同様受付を終えて案内された部屋の前まで行くとそこにはこれまた前回同様看板がたっていた。そういえば前回の受付もこのお姉さんだったな。俺を見る目が不審者を見る目だったのは気のせいだと思いたい。
京介「でも今回はハーレムとか関係ないのになんであんな目を…」

『高坂京介様専属ハーレム御一行様』

ちくしょおおおおおお!使い回しか沙織いぃぃぃぃ!!
げんなりしながらも扉を開くと沙織、黒猫、桐乃が座っていた。

沙織「遅かったでござるな京介氏」
黒猫「ふん、さっさと座りなさいな」
桐乃「自分のお祝いなのに遅れてくるとか馬鹿じゃないの?」
京介「いや、すまん。ちょっと寝坊してな」

と、ありがちな言い訳をしたところで沙織がこう切り出した

沙織「さて、全員そろったところで瑠璃ちゃん&京介氏大人の階段記念パーティーを始めたいと思います!」
黒猫「そのネーミングは何とかならなかったの?」
沙織「フフフ、照れなくてもよいのですよ?」
桐乃「私から見てもそのネーミングはどうかと思うけど…」
沙織「む?ではきりりん氏ならどういうネーミングならよいと言うのですかな?」
桐乃「えっ?それは…黒猫ビッチ化記念とか?」
京介「おい!なんてパーティーにするんだお前は!それに大人の階段はのぼってねえって言ってんだろ!!」
桐乃「チッ…なにマジになってんの?」

まったくなんて妹だ…。まぁ、こいつとしても黒猫と遊べる日が減るのは目に見えてるしイライラしちまってもしょうがないかもな。それに俺がデレデレしてんのは気に食わないとか言ってたし。
でも不可解なのは最近黒猫への態度もなんか冷たいように見えるんだよな。ここはストレートに聞いてみるか。

京介「お前この間から黒猫や俺に対して冷たくねえか?いや俺に冷たいのはいつも通りだが」
桐乃「はぁ?なにそれ?そんなことないし、もしそうだとしてそれ今関係あんの?」
京介「いや、関係はねえけどよ…」
沙織「まあまあお二人とも今日は祝いの席ですから…」

少し険悪な雰囲気が漂ってきたところですかさず沙織がわって入る。こいつはほんとにこういうところうまいよな。

黒猫「あなた達そのへんにしときなさい、さっきからまったく話が進まないわ。で、お祝いと言うけれど今日は何をしてくれるのかしら?」
沙織「よくぞ聞いてくれました黒猫氏!実はこれまた前回同様出し物をさせていただくでござる!」
京介「いやな予感しかしねぇ……」
沙織「さりげなくひどいこというでござるな京介氏…しかし、これをみてもそんな口がきけますかな!?」

沙織が自身満々にみせてきたものはシスカリαのディスクだった。おい、俺はもはやこのゲームはトラウマといっていいレベルで恐怖を感じるんだが…。

桐乃「あれ?シスカリαじゃん。まさかまたこいつの前でプレーさせるわけ?」
沙織「さすがに拙者もそんなミスはもう犯さないでござるよ。今回はこのディスクと拙者特製データをプレゼントでござる」
黒猫、桐乃「「特製データ?」」

黒猫と桐乃が興味津々で聞いている。やっぱりゲーマーとしては気になるんだろうな。

沙織「左様、以前はきりりん氏と黒猫氏のキャラを作りましたな。が!今回はなんと!京介氏のキャラを作ったでござる!!」

京介「ぶふぉ!」

思わず吹き出してしまった。なんてものを作ってくれてやがるんだ沙織!じゃああれか?負けると俺そっくりのキャラが触手にあれやこれやされちゃうの?嫌すぎるんだが。これは黒猫や桐乃のこと怒れんな、気持ち悪すぎるし何より見られたくねえ。そら俺をぶっとばすわ。

桐乃「あんた正気なの?」
黒猫「あなたがそこまでの変態だなんて思わなかったわ」
沙織「う…ひどいいわれようでござる。これでも結構頑張って作ったんですよ?約束の日まで時間もないし徹夜したりして……」
京介「ま…まぁ、そんな顔するなって。黒猫もあれで喜んでるって」
黒猫「!?誰が先輩なんかの裸で喜ぶのよ!恥を知りなさい俗物が!!」
京介「いやそういう意味で言ったんじゃねえよ!」

助けを求めて沙織を見てみると腹を抱えて笑っていた。さてはこうなるとわかってやがったな!

沙織「はぁはぁ、ようやく笑いも収まったところで…次はきりりん氏の出し物でござる。はりきってどうぞ!」
桐乃「……」

桐乃は無言で自分の鞄からお祝いの品であろう物を取り出すと黒猫に一つを渡し、俺の前まで来てもう一つを差し出した。

桐乃「ん」
京介「お守り?」

なんだまともじゃないかほっとしたぜ……と思ったが甘かった。お守りを裏返すとそこには安産祈願と綺麗な刺繍で書いてあった。

京介「……え?」
黒猫「…え、あ、あ……」

黒猫は真っ赤になって動揺している。これは俺が桐乃に聞かねばなるまい。

京介「桐乃…これは一体どういうことだ?」
桐乃「…はぁ?見ての通りお守りじゃん。あんたその歳でぼけだしたの?」
京介「いやそうじゃなくてだな…これ安産祈願のお守りなんだが……」
桐乃「えっ!?あたしが買ったのは学業成就のはずなんだけど!」
京介「ま、まぁ気持ちはありがたく受け取っとくよ。な、黒猫?」
黒猫「あ、え?これをありがたく?……!?何を考えてるのこの変態!!」
京介「ちょ…変な誤解をするんじゃない!ちゃんと人の話をきけって!

沙織はここでもまた腹を抱えて笑っていた。しかし桐乃なぜか不機嫌とも悲しいともとれる表情だった。そんな顔しなくてもお前の気持ちは俺にも黒猫にも伝わったと思うぞ?

京介「しかし、お祝いが学業成就って…お前のセンスはどうなってるんだ……」
桐乃「うっさい!だってあんた一応受験生なんだからそれでいいじゃない……」
京介「そうだな。ありがとな桐乃」

その後はゲームをしたりプロジェクタでアニメを見たりしてすごした。これなら俺ん家でもよかったんじゃないか?と思いつつもパーティーはつつがなく終了した。

どうもここ最近桐乃の元気がない気がする。どうもお祝いパーティーをした日から様子がおかしいようだ。かれこれ一週間になるか。

京介『最近桐乃元気ないみたいなんだがなんか心当たりないか?』
あやせ『ちょうどよかったです。学校でも桐乃元気ないみたいで、私も一度お兄さんに相談しようと思っていたんです』
京介『そうか、そりゃよかった』
あやせ『本当に桐乃には手を出してないんですね?』
京介『出さねえよ!それに俺にはもう…』
あやせ『…?もう、何ですか?』
京介『いや、とにかく頼むな』
あやせ『…まあいいです。何かあればまた連絡します』
京介『おう、それじゃあな』

彼女がいると言おうとして思わず言いよどんでしまった。黒猫という彼女がいながらも、マイラブリーエンジェルあやせたんルートが諦めきれないのだろうか…。

翌日下校中

あやせ「桐乃最近元気ないよね?どうかしたの?」
桐乃「えっ!?そんなことないけど…どうしたの?」
あやせ「だって最近ずっと何か考え事してるみたいだし、お兄さんの話もしないし。何かあったんなら相談してくれないかな?」
桐乃「うえぇっ!?考え事はともかく、兄貴の話云々はおかしくない!?」
あやせ「そんなことない。桐乃お兄さんの話してるときはいつも楽しそうだったじゃない…文句ばっかりだったけど」
桐乃「いや…でもそれとこれは……」

:: /::::::::::/       `゙==彡 /:::::::::,.イ{_              ‘,::::: 
:/::::: /                 /::::::/  ー===―- _     ‘,:::::
::::::: ′   -―==ミ、 ヽ}  /:::/           `ヽ    |:::: 
:::::,’   / ´         //     {>        ? |::::
: /  /,    〃ハ              ,ィ==ミ、       |:::: 
〈 ー彡      、‘ノ                  `?     |::::  嘘つかないで!
:‘, 丶        /               〃ハ     ‘:,    |:::: お願い、私桐乃の力になりたいの!!
:: ‘,    ー――‐ ..::,             l  、‘ノ    :,   ./::::
∧::’.                     、::.            i  /:::::::
i ?:、          .:/           ?      人, /:::::::::
|   ?             {j           ー― ’  ///:::
|                                /”´ /:::::

桐乃(う、これは逃げられない…)
桐乃「……実はね……」
_______________________________________________
あやせ「ええええ!?お兄さんに彼女があああ!????」
桐乃「そうなの。まぁ兄貴が誰と付き合おうと関係ないんだけどね。」
あやせ「ブツブツ……私には結婚してくれとか言っておきながら……ブツブツ」
桐乃「あ、あやせ?」
あやせ「ブツブツ……しかもお姉さんというものがありながら……ブツブツ」
桐乃「あやせってば!」
あやせ「え!あ、なんでもないのよ?大丈夫」
____________________________________________________
あやせ「そっか、桐乃はお兄さんが取られたみたいで寂しいのね」
桐乃「そ、そんなことない!あんな奴の相手をする機会が減ってせいせいしてるくらいだってば!!」
あやせ「素直になったらいいのに。そんなんだとこれから構ってもらえなくなるよ?」
桐乃「だ、だからそんなじゃないってば!」
あやせ「ふふっ、じゃあ桐乃あたしこっちだから。また明日ね、バイバイ!」
桐乃「あ、うん。バイバイ……」

京介「ただいま?」
桐乃「ちょっと話があるんだけど。あたしの部屋に来て」
京介「え?今からか?」
桐乃「チッ…当たり前でしょ。さっさとしなさいよね」
京介「へいへい、わかったよ」

かわいくねぇなと思いつつも言うことを聞いてしまう俺。ちょっと昔はこんな妹の言動にいちいちいらついてたもんだが今となっては精々かわいくねぇ程度である。いかんな、下僕根性が染みつきつつある。駄目だ俺…早くなんとかしないと……

京介「で、なんだ話ってのは」
桐乃「あんた、いい加減黒いのとあたしの前でイチャイチャするのやめてくれる?ぶっちゃけキモイしウザイんだけど」
京介「イチャイチャなんてしてねえよ!それにお前にそんなこと言われる筋合いもねえ!」
桐乃「はぁ?してんじゃん!!二人きりでベッドの上でイチャイチャしてたんでしょ!!それに兄さんとか呼ばせてさぁ」
京介「あれはゲーム作ってただけだって言ったろ!それにあれは黒猫が勝手に呼んでるだけだ!そもそも俺が黒猫に何て呼ばれようとお前には関係ないだろ!?」
桐乃「かん………い……る」
京介「あん?」
桐乃「関係あるって言ってんの!」
桐乃「あんたはあたしの兄貴でしょ!!それなのに他の奴ばっかり構ってイチャイチャデレデレして!!!」
桐乃「あたしも構ってくれないとやだ!せっかくまた話とかできるようになったのに…もう昔みたいに戻るのはいやなの!!」
京介「な……」

あまりの驚きに声が出なかった。桐乃がまさかそんなふうに思っていたなんて。しかし、驚くのは後でもできる。今は兄貴の義務を果たしてやらんとな。
ぽん、と頭に手を置き撫でてやる。そういえばつい先日もこんなシチュエーションがあったな

桐乃「う…うぇぇ……うわああああん」
京介「悪かったよ、お前がそんなふうに思ってたなんて全然気づかなかった」

俺はいつも桐乃を泣かせてばっかりだ、悪いなこんな兄貴で。でもお前のこと親父とおふくろの次くらいには大事にできる自信くらいはあるんだぜ?

桐乃「ぐす…ぐすっ……」
京介「俺は重度のシスコンみたいだからな、いつでも甘えて来いよ。人生相談だってこれから何回でもきいてやるさ」
桐乃「うん……ありがとお兄ちゃん」

おかしい。最近あの子と先輩との仲が良すぎる気がする。
今までも仲悪そうに見えてお互い内心デレデレなのは透けて見えていたけれど…何か今まで以上にデレデレしているように見えるわね。

黒猫「まさか…妹に浮気してるわけじゃないわよね先輩?」
京介「お前はいきなり何を言い出すんだ。確かに桐乃はかわいい妹だが浮気とかはねーよ」

やはりおかしい。以前なら「あんなかわいくねぇ妹と何かあるわけないだろ!」とか言って全力で否定しそうなものを……これは何かあったわね。

黒猫「そう…でもその割には最近やけにイチャイチャしてるようだけど?」
京介「イチャイチャなんてしてねえよ、どこをどう見たらイチャイチャしてるように見えるんだ?」
黒猫「ふん…どうかしらね」
京介「ははーん。さては嫉妬してるな」
黒猫「な!?誰が誰に嫉妬してるというの!妄想も大概になさいな!」
京介「はっはっは、そう照れるなよ。嫉妬してるお前もかわいいぞ」

このドヤ顔……どうやら完全にスイッチが入ってしまっているみたいね。
駄目だわこいつ…早くなんとかしないと……

黒猫「ところで、今日はどこへ連れて行ってくれるのかしら」
京介「おう、そうだな黒猫はどこへ行きたいんだ?」
黒猫「私は先輩の行きたいところでいいわ」
京介「そっか…じゃあ植物園とかどうだ?」

植物園?なんておじさんくさいチョイスなのかしら…まぁ先輩が行きたいと言うのであればついていくけれど。

黒猫「わかったわ。でももうちょっとましなプランはなかったの?せっかくのデ、デートなのだから///」
京介「う///いや、すまん。」

普段の頼りになる先輩もいいけれど照れて赤くなった先輩もなかなか…
しかし、自分まで赤くなっているようでは駄目ね。

黒猫「植物園に行くのはいいけれど植物園で何をするの?」
京介「えっ?そりゃあ植物園なんだから植物を見るんだろ」
黒猫「…それ楽しいのかしら?」
京介「…やっぱりゲーセンにしとくか」
京介「そういえばゲーセンに来るのも久しぶりだな。桐乃との偽装デート以来か」

それを聞いて思い出してしまった。二人で…プリクラを撮ってたわね、しかもカップル専用プリクラで…忌々しい。

黒猫「先輩?あ、あれ…い、いっしょに撮らない?」
京介「あ、あれとるのか?」
黒猫「妹とは撮れて私とは撮れないというの?」
京介「いや…そうじゃないが色々とよくない思い出がだな」
黒猫「兄さん、いっしょに撮りましょう?」
京介「呼び方の問題じゃねえ!それに兄さんはやめてくれせっかく付き合うようになったんだからさ!」
黒猫「ちょっと大声でなんてこと言ってるの!///」
京介「何か問題があるのか?お前は俺のかわいい彼女なんだからさぁ!」
京介「ふははは、俺はこの子と付き合ってるんだぜ羨ましいか!」
黒猫「っ??!!さっさと撮るわよ」

なんて恥ずかしい!なんなの?なんでこんなにスイッチ入りっぱなしなのよ!!
う、嬉しくないといえば嘘だけれど、それはもっと雰囲気のあるところで二人っきりでというのが普通でしょうに!

黒猫「で、どうすればいいのかしら」
京介「まずは、ここに金を入れて…次にフレームを選ぶんだ」
黒猫「この中から選べばいいのね。……これにしましょう」
京介「え…?これか?これはちょっと……もっとこっちの黒猫らしいかんじのがいいんじゃないか?」
黒猫「…あの子とはこれで撮ったくせに」
京介「いやあれは桐乃が勝手にだな…」

出てきたプリクラを見てまた先輩の顔が妙に赤いことに気づく。ひょっとして…これは……

黒猫「先輩、ひょっとして体調がよくないのかしら」
京介「ばれたか。ちょっと風邪気味でな」
黒猫「そんな…ごめんなさい。今日はもう帰りましょうか」
京介「いや、大丈夫だよ。ちょっと熱がある程度だからさ」
黒猫「駄目よ。今日はもう家でおとなしくしてなさいな」
___________________________
京介「で、何をしてるんだ黒猫?」
黒猫「見ての通り看病よ」
京介「いや、それはわかるが…」
黒猫「安心なさい。これでも妹の世話でなれているのよ」
京介「いや、でもうつしてしまっても困るしよ」
黒猫「いいから、先輩は寝てなさい」

全くこのお人よしは…こんな時くらい頼りにしてくれてもいいでしょうに……

京介「悪いな、実はさっきから体が重くて動く気にならんかったんだ。助かるよ」

京介「う?ん?…いかん、寝ちまってた。黒猫?」
黒猫「」スヤスヤ
京介「黒猫も寝ちまってたのか。おい黒猫、そんなところで寝てたら風邪ひくぞ」
黒猫「」スヤスヤ
京介「起こすのもかわいそうか。体も楽になったし、汗もかいちまったしちょっとシャワー浴びてくるか」
京介「黒猫はベッドに移しておけばいいかな」
___________________________
黒猫「……?……!」ガバッ

なぜ私はベッドで寝ているの?先輩は?
慌ててまわりを見渡すと信じられないものが目に飛び込んできた。

京介「げっ」
黒猫「きゃあああああああああああああ」
京介「違う違うんだ黒猫!落ち着いてくれ!誤解なんだ!!」

な…なにを裸になってるのこのけだものは!私が寝てるのをいいことに襲おうとするなんて!!
はっ!心なしかスカートもめくられた形跡があるような……

黒猫「なにが誤解よ!もはや言い逃れできないでしょう!!ええい寄るな変態っ!!」
京介「違う!話をきいてくれええええええ」

俺は何とか黒猫を落ち着かせ説得することに成功した。でもさっきの叫び声でご近所さんが通報してたらどうしよう…超心配なんですけど。

黒猫「で、シャワーを浴びたら着替えが部屋にしかないことに気づいてここで着替えていたと…そういうことね」
京介「おう。その通りだ」
黒猫「なんでちょっと自信あり気に答えてるのよ痴漢先輩」
京介「すいませんでした黒猫様。そのあだ名だけはやめてください」
黒猫「ふん、まあいいわ。そのかわり一つだけ私のいうことを聞きなさい」
京介「ははぁ、何なりとお申し付けください」
黒猫「じゃあ……その…///」モジモジ
京介「どうした?なんでもいいんだぞ?俺の名誉のためになんでも言ってくれ」
黒猫「……抱っこ……///」
京介「え?」
黒猫「何度も…言わせないでちょうだい」

そう言って黒猫は両手を広げて上目使いで甘えてくる。
やべぇ超かわいい…俺は自分の顔が風邪とは別の理由で赤くなるのを自覚しながらこう言った。

京介「おいで」
黒猫「…」

黒猫は無言で俺のあぐらの上に座り込んだ。そのまま抱きしめてやると、黒猫の体が俺の腕の中にすっぽりと収まった。
なるほどこれは抱っこといえるだろう。

黒猫「ありがとう、先輩」
京介「何がだ?それよりその先輩ってのやめないか?せっかく付き合ってるんだからよ」
黒猫「ええ、そうね…これからもよろしくね…きょ…京介」
京介「おう!これからもよろしくな瑠璃」

お兄さんに彼女ができたと聞いてからお兄さんのことばかり考えてしまう。ちょっと変態だけど基本は優しい人だしできてもおかしくはないけど…

あやせ「それにしてもあのお兄さんに彼女が……どんな人なんだろう……」
あやせ「私には結婚してくれとか言っておいてあの人は…!」ギリ
あやせ「はっ!い…いけないこれじゃあまるで私が嫉妬してるみたいじゃない」
あやせ「違う違うそんなことない。これはお姉さんがかわいそうになっただけだよね」

桐乃「なんか、今度はあやせが元気なくなってない?」
あやせ「えっ?そんなことないよ。私は元気だよ?」
桐乃「嘘だ?、だって露骨に元気ないじゃん。いいからあたしに話してみなよ。相談するだけでも楽になるって」
あやせ「う…うん。実はね……」
桐乃「え?兄貴の彼女?」
あやせ「うん、どんな人なのかなって」
桐乃「ま…まさか……あやせまで………」
あやせ「そ、そんなんじゃないってば!単に気になっただけだってば!」
桐乃「そっか、そうだよね。あやせとあんな地味男とじゃ釣り合わないもんね」
あやせ「……」
桐乃「え?なんでちょっと怒ってるの?」
あやせ「え?そ、そんなことないよ?それよりどんな人なのか教えてよ」
桐乃「う?ん。そうだなぁ、一言で言うと邪気眼電波女」
あやせ「え?」
桐乃「常にゴスロリのかっこして痛いこと振りまいてる危ない感じのやつかなぁ…」
桐乃「まぁ…それなりに気をつかってくれたりするいい奴なんだけどさ」
あやせ「…うそうそ…お兄さんがそんな悪い人に引っかかってるなんて……」ブツブツ
桐乃「あやせ?」
あやせ「桐乃、ごめん!今日は用事があるから帰るね!」
桐乃「う、うん……わかった。また学校でね」

机の上に置いておいた携帯がなる。

京介「誰だよ。こっちは勉強中だってのに」
京介「あやせ!?お…俺なんかしたっけ…どうしよう俺なんもしてないよな…」

うろたえながらもメールを開く。ちくしょう、なんで女の子からのメールをこんなに怯えながら開かにゃならんのだ。

あやせ『お話があります。いつもの公園でまっています』
京介「お話…」ゴクリ

一体俺が何をしたというのだろうか。最近は桐乃とも仲良くやってるし…だがここで無視しようものなら俺は明日の朝日を拝むことはないかもしれん。行くしかないのか。

京介『わかった。すぐ行くよ』
京介「さて、行くと決まったら急がないとな」

あやせ「こんにちは、お待ちしてましたお兄さん」
京介「おう。で、話ってなんだ」
あやせ「率直にいいますが、彼女さんと別れてください」
京介「え?すまん、聞き違いかもしれないからもう一回いってくれるかなあやせさん」
あやせ「だから、彼女と別れてくださいと言ったんです」
京介「い、一体何を言い出すんだあやせ!そもそもなんでお前がそれを知っている!?」
あやせ「桐乃にききました。お兄さんが邪気眼電波女と付き合っていると!」
京介「桐乃め…なんていう紹介の仕方をするんだ……いや…まぁ、外れてはいないんだけどよ」
あやせ「私はお兄さんにこれ以上変態になってもっらうと困るんです!だからそんな人とは別れてください!!」
京介「お、落ち着けあやせ!お願いだからそんな大声で変態とか叫ばないで!すぐそこに交番もあるんだから!」
あやせ「じゃあ別れてくれますか?」ウルッ

グッ…かわいいかわいいが、だからって黒猫と別れるわけにはいかん。そもそも俺がこれ以上変態になったからってあやせは困らないと思うんだが…ならないけどね。まずはその辺問いただしてみるか。

京介「落ち着けって。まずはわけを言えわけを。そもそもなんで俺が変態になると困るんだよ」
あやせ「え?それはだって…桐乃に手を出されたら困るし……」
京介「いや、それならむしろ彼女がいたほうが安心じゃないのか?」
あやせ「う……じゃ、じゃあお姉さんはどうするんですか!」
京介「真奈実か?あいつとはそんなんじゃねえって」
あやせ「……お兄さんってとんでもなく鈍いんですね…どこのそげぶですか…」
京介「そげぶ?」
あやせ「はぁ…いいです。わかりました、正直にいいます。」
あやせ「わ…私はお兄さんにか…構って欲しいんです///」
京介「あやせ!?」
あやせ「私一人っ子でずっと兄が欲しくて…桐乃が楽しそうにお兄さんの話するのをずっと羨ましく思ってたんです!
あやせ「お兄さんのことが、す…好きかどうかはまだよくわからないですけど…」
あやせ「でもっ!お兄さんとお話しするのは楽しかったですし、人生相談に乗ってもらうのもうれしかったんです!」
京介「あやせ…お前そんな風に……」
あやせ「……ごめんなさい。いきなり別れてくれなんて迷惑ですよね」
京介「あやせ……お前の気持ちはよくわかった」

なんてこった。あやせがそんな風に思ってたなんて…どうやら俺は自分が思っていた以上に鈍いらしい。

あやせ「きゃっ」

ようやくわかったぜあやせ…ならば俺は義務を果たさねばなるまい!俺は兄貴なのだから!!
俺はあやせを抱き寄せながら力強くこう言い放った。

京介「俺にまかせろ!しっかりお前の兄貴になってやるぜ!」
あやせ「…はい?」
京介「すまない。今までお前のそんな気持ちに気づかなかったなんて…俺は兄貴失格だああああああ!」
あやせ「死ねえ!」ドスッ
京介「ぐぼ!」

あ…あやせ?お…俺が何をしたっていうんだ……かわいい妹を抱きしめてやっただけだろうに。
さすがの桐乃も地獄突きまではしなかったぞ?

桐乃「ちょっと!さっきから聞いてればなんなのよ!!」
京介「ゲホ……きり…の…?」

なんでこんなところに桐乃がいるんだ?いや今はそんなことはどうでもいい。まずい、さっきのを見られてたとすると殺される……

京介「いや、違うんだ桐乃これはだな……」

最近言い訳ばっかりしてるな俺。なにこの修羅場っぽいかんじ、俺とは一番遠い世界だと思っていたのに。

桐乃「うっさい!前も言ったでしょ!あんたはあたしの兄貴なんだから、いくらあやせでも妹とか兄貴とか言ってんじゃない!!」
あやせ「はい?」
京介「お、落ち着け桐乃!ほんとの妹はおまえだけだ!」

ワァワァギャアギャア

あやせ「…はぁ…………」クスリ
桐乃「私の兄貴でしょ!他の妹にデレデレしてんじゃない!」
京介「お前はエロゲのやりすぎだ!あやせとはあくまでも仮の兄妹としてだな!」
あやせ「じゃあ、私のことは遊びだったんですかお兄さん?ひどい!私(抱きしめられたの)初めてだったんですよ?」
京介「あやせ!?こんな時にシャレにならない発言をするんじゃない!」
桐乃「!?あ、あんた一体何したの!」
京介「違う!話をきけえええ!!」
あやせ「ふふっ、今はこれでいいです。でもお兄さんのこと諦めたわけじゃないですからね」
京介「…?あやせ何か言ったか?できれば桐乃の説得を手伝ってほしいんだが…って、いてぇ!!」

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2011年10月09日 09:20