028 日向の日記

今日はルリ姉の結婚式
「私が猛アタックして付き合ってもらったのよ」
とルリ姉が公言していて、端から見ると愛情の比重がルリ姉>京介君。

京介君がルリ姉にしぶしぶ従ってるようにも見えたらしい。

姉はずっと実家住いだったのでよく遊んでくれ、
末っ子の珠希が小さかったので
ルリ姉が京介君のうちで遊ぶときはよく一緒に一緒に連れて行ってもらい、
京介君も遊んでくれたりして
妹の私たちにとって大好きなお兄ちゃんとお姉ちゃんだった。

ここから本題。

結婚式にはルリ姉の希望もあって私達妹も呼ばれた。

子供たちだけのテーブル席だったけど、日頃からルリ姉にはマナーを教わっていたし、
大好きなお兄ちゃんとルリ姉の晴れの日なので、みんな行儀よくしていた。

特に妹達からの余興のメインでもあった私は無駄にドキドキしていた。
披露宴も順調に進み、京介君の友人の祝辞となった。
司会者が
「新郎のご友人の赤城浩平様にお祝いのお言葉を頂きます」
と言い、赤城浩平さんらしき男性が立ち上がろうとした時、
何故か新郎友人席の女性がマイクの前に進み出た。
「?」となる会場。
その女性はマイクを掴むなり
「黒猫は京介に相応しくない」
と言い出した。
「!?」となる会場。
式場の人達がマイクのスピーカーをOFFにして女性を退場させようとするが、女性は大声で話し続ける。
内容を要約すると
  • アニメ好きの京介にはアニメキャラ似な私が似合う(確かに女性はメルルにうり二つな人だった)
  • 京介は黒猫にしつこくされて勘違いしてるだけ

  • 京介は黒猫なんか好きじゃない

会場の雰囲気は最悪なものに。
そんな時、珠希が
「違うよ!」
との声が。
私はとっさに次の余興(妹達からのお祝いメッセージ)用に持たされていた
マイクをONにして珠希の声を流した。
「お兄ちゃん、姉さまのこと好きだもん」

「お兄ちゃん、姉さまの写真、いつも持ってるもん」

「お兄ちゃん、姉さまとのデートの前にちゃんと楽しくなれるように調べてるんだよ」

「お兄ちゃん、姉さまに美味しいご飯作ってあげられるように練習してたもん」

「お兄ちゃん、姉さまと結婚するために勉強してたもん」

「お兄ちゃん、試験合格した時、プロポーズできるって泣いて喜んだもん」

「お兄ちゃん、さっき姉さま部屋から出てきてガッツポーズしてたよ」
一気に、ほんわかムードになる会場。
京介君だけが顔を真っ赤にして、ルリ姉はびっくりしていた。

端から見るとルリ姉が京介君にベタ惚れ片思いだったかもしれないが、
私達からは京介君がルリ姉にベタ惚れにしか見えなかった。

最後に
「私達はお姉ちゃんを心から愛している京介君が大好きです。二人で幸せになって下さい」
と私が締めて何事もなかったかのように進行通りに戻った。(この時、心臓バクバクだった)
珠希が興奮していたので私はそこからは中座していたが、
京介君が改めてルリ姉に愛を告白してそれはそれは良い式になったらしい。
式後に、妨害しようとした女性(京介君の妹の友人)を私たちで泣かしたりしたが、記憶に残る結婚式だった。

大勢の来客の前で色々と暴露された京介君とスピーチの準備をしてきたであろう赤城浩平さんには不幸な式だったと思う。
帰るために式場の玄関に集まったら、他の友人達にその女性が責められており、私達に気が付くとこっちに走ってきて
「あんたらのせいで!」
みたいな事を言ってきた。
内心怖かったけど、妙にテンションがあがっていたのもあり
「これ、これが般若だよ!」
と騒いでしまった。

以前、珠希に般若面について聞かれて(漫画か何かにあった)「嫉妬に狂った女のお面」と
言うことは説明できたけど、「嫉妬」がいまいち説明できず
ナアナアにしてたんで思わず、
「般若、これだよ。こういうのが般若だよ」
と連呼して、みんなで般若コール。

女の人は
「何よ。わーん」
と泣きながら去っていきました。
星くず☆ういっちメルルを見るたびに、あの「わーん」を思い出します。

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最終更新:2011年10月06日 22:04