2011年9月11日に開催された第111回例会の様子を報告します。
今回の例会は最近の時流に乗り、午前からの開催にしてみました。
幸いにも人の集まりも良く、ほっと胸を撫で下ろした次第です。
本日のゲーム置き場。これでも全体の3分の2程です。
・「パトリツィア / Patrizier」 3人
次第に高くそびえてゆく建物を見る喜びは、たとえ今までの所、
その建物にわずか一粒の砂を運んだに過ぎない人でも、必ずや心の渇きを癒してくれるはずである。
―― ドストエフスキー(Fyodor Mikhailovich Dostoevskii, 1821 - 1881)...ロシアの小説家
中世イタリアでの建築競争をテーマにしたゲーム。M・シャハト作。
最近のゲームが複雑化する中、シンプルながらキレのあるゲームを創り続ける稀少なデザイナーです。
ものすごく好きなデザイナーという訳ではないですが、そういう意味では立派な仕事をしていると思います。
このゲームもまさに「シンプルながらキレのある」ゲームに仕上がっていて、安定した面白さがあります。
この作者のゲームに共通する弱点として、人数が多くなるほどキレがなくなる点は注意が必要ですが。
・「クォーリアーズ! / Quarriors!」 3人
賽の一振りは決して偶然を排さないだろう。
―― ステファヌ・マラルメ(Stéphane Mallarmé, 1842 - 1898)...フランスの詩人
デッキ構築ゲームのカード部分をサイコロにしたゲーム。
アイデアは非常に良く、大量のサイコロを振って戦略を組み立てる部分は面白いのですが、
サイコロの目が偏るとまるで勝負にならないという危うさも内包しています。
個人的には結構好きなゲームで、何回かプレイしてみたいゲームです。
・「ビール侯爵 / Fuerstenfeld」 3人
ビールにワイン、こいつはお勧め。ワインにビール、これには手を出すな。
―― ドイツのことわざ
F・フリーゼ流デッキ構築ゲーム。
巷でよく見るデッキ構築とはまるで構造が違います。
いくつか戦略がありそうで、これも何回かプレイしてみたいです。
・「フィレンツェ / Firenze」 4人
建築は凍った音楽である。
―― ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe, 1749 - 1832)...ドイツの作家;詩人;哲学者;科学者;政治家
奇しくも「パトリツィア」と同じ、中世イタリアでの建築競争をテーマにしたゲーム。
様々な効果を持つ特殊カードで味付けしたリソースマネジメントで、「パトリツィア」とは対極にあるデザインです。
強烈な効果の特殊カードで場がひっくり返ったりするので、人によっては好き嫌いが分かれるかもしれません。
・「ル アーブル / Le Havre」 3人
港にいる船は安全だが、それは船が本来造られた目的ではない。
―― ジョン・A・シェド(John Augustus Shedd, 1859 - ?)...アメリカの作家
ローゼンベルクの収穫シリーズ第2弾。(第1弾は「アグリコラ」)
様々な要素が詰め込まれた最近のゲーマー向けゲームの代表格と言えます。
誰にでも薦められるゲームではありませんが、好きな人なら強烈な面白さを感じるでしょう。
ちなみに私は間違いなく「好きな人」の部類に入ります。
・「A Few Acres of Snow」 2人
戦争は、すべて盗むことのみを目的とする。
―― ヴォルテール(Voltaire, 1694 - 1778)...フランスの作家;哲学者
M・ワレスが時折リリースする、史実を基にしたウォーゲーム風ゲーム。2人専用。
写真からはとてもそうは見えませんが、デッキ構築ゲームだそうです。
詳細は不明ですが、プレイされた方からは絶賛されていました。
ちなみにこのゲーム、日本国内では取り扱いショップがないのに会場には2セットありました。
・「百科審議官 / Encyclopaedist」 3人
物事の意味は、それ自身に内在するのではなく、物事に対する我々の姿勢のなかにある。
―― アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ(Antoine Marie Jean-Baptiste Roger de Saint-Exupéry, 1900 - 1944)...フランスの作家;飛行士
国産のワードゲーム。3人専用。
初めてプレイしたときは、こんなゲームデザインがあるのか、と目から鱗が落ちる思いでした。
・「スーパーヒーロー vs 悪の帝国」 3人
悪は必要である。もし悪が存在しなければ、善もまた存在しないことになる。
悪こそは善の唯一の存在理由なのだ。
―― アナトール・フランス(Anatole France, 1844 - 1924)...フランスの詩人;小説家
また懐かしいゲームを・・・。昔の国産カードゲームです。
基本はノリだけでプレイするバカゲーです。
作戦名を大声で叫びながらプレイしてみよう。
・「War on Terror」 3人
アメリカ市民は民主主義の為の戦いなら太平洋も越えて行くが、投票の為に通りを渡ろうともしない。
―― ビル・ヴォーン(William E. ("Bill") Vaughan, 1915 - 1977)...アメリカのコラムニスト
「911」10周年企画。(所有者談)
テロ支援国家や独裁国家へのアメリカの軍事制裁をテーマにしたカードゲーム。
これもどちらかというと「テーマが好きな人」向けのゲームですね。
ボードゲーム版が存在するみたいですが、詳細は不明です。
・「ダンジョンレイダース / Dungeon Raiders」 5人
自分の足を引っ張ることなしに、人の足を引っ張ることはできない。
―― 加藤 諦三(かとう たいぞう, 1938 - )...日本の社会学者;作家
剣と魔法のファンタジー世界でのダンジョン探索。
プレイヤーはチームを組んでおり、一見協力しているように見えますが、
実際は他のプレイヤーを出し抜いて自分だけ利益を得るように動く「黒い」ゲームです。
・「ロール スルー ジ エイジ / Roll Through the Ages」 4人
文明とは、要するに自然に対する一連の勝利のことである。
―― ウイリアム・ハーヴィー(William Harvey, 1578 - 1657)...イギリスの医師
青銅器時代における文明の発展をテーマにしたダイスゲーム。
短時間で拡大再生産を味わえる良ゲームですが、これからという時にゲームが終わるのが残念。
公式バリアントの「後期青銅器時代」はこの点が改善されていて、評判が良いと聞きます。
初心者はダウンタイムが長くなりがちなので、慣れてきたら採用すると良いでしょう。
・「クワークル / Qwirkle」 4人
色を見るものは形を見ず、形を見るものは質を見ず。
―― 夏目 漱石(なつめ そうせき, 1867 - 1916)...日本の小説家;評論家;英文学者
2011年ドイツ年間ゲーム大賞受賞作ですが、初版は2006年。それなりに良く出来たパズルゲームと言えます。
色々と言われていますが、個人的嗜好からならともかく、大賞云々でこのゲームを悪し様に言うのは止めましょう。
悪し様に言うのはゲーム大賞の選考委員会に対してだけで十分です。
・「モダンアート / Modern Art」 4人
絵画は私の妻で、私が描いた絵は私の子供だ。
―― ミケランジェロ(Michelangelo di Lodovico Buonarroti Simoni, 1475 - 1564)...イタリアの彫刻家;画家;建築家;詩人
クニツィア博士による競りゲーの傑作。4つの競り形式が盛り込まれた贅沢なデザインです。
プレイヤーに直接支払う競りの場合、オーバービットをするとゲームが壊れかねないので注意が必要です。
このゲームもルールの単純さとは裏腹に、プレイヤー全員にそれなりの熟練を要求します。
・「世界の鉄道 カードゲーム / Railways of the World - The Card Game」 4人
世界を導いてゆくものは、機関車ではなくて思想である。
―― ヴィクトル=マリー・ユゴー(Victor-Marie Hugo, 1802 - 1885)...フランスの詩人;小説家;政治家
鉄道会社経営ゲーム「世界の鉄道 / Railways of the World」をコンパクトなカードゲーム?にした作品。
「世界の鉄道」(とリメイク元の「レイルロード タイクーン」)は手軽にプレイできるボリュームではないですが、
本作はオリジナルのエッセンスを詰め込んで上手く短時間にまとめているようです。
・「ノートルダム / Notre Dame」 5人
病を知れば癒ゆるに近し。
―― 日本のことわざ
中世フランスにてペストの恐怖に怯えながら名声を得ていくゲーム。カードドラフトがメイン。
ペストをもたらすネズミの処理に四苦八苦し、フェルドお得意の「ペナルティがきつい」デザインが如何なく発揮されています。
戦略自体はそこまで多彩ではないですが、分かりにくいながらもインタラクションはしっかりとあり、
追加カードもあることから、まだ当分「私的定番ゲーム」の座にとどまり続けることでしょう。
以上、例会報告でした。
次回は10月9日(日)午前9:30開始となります。
午前のみ、午後のみの参加ももちろんOKです。
皆様の参加をお待ちしております。
写真・文 : 池田@代表補佐見習い?
最終更新:2011年09月17日 12:44