'To be Nikkeijin or... not to be': Identity formation dilemmas among Brazilians of Japanese ancestry migrating to Japan)

ウーゴ・ケーロ
上智大学研究員、カリフォルニア大学大学院

要旨
バブル経済期以降、日本には多くの外国人労働者が流入してきた。その中で、30万人もの日系ブラジル人が日本に移住したとされる。日本にルーツを持つこの日系ブラジル人たちは、ブラジル社会では独自のアイデンティティを保持していた。しかし、日本では「日本人」として認識されることなく、彼らは新たなアイデンティティの再定義を迫られたのである。
 本稿では、日本に移住した日系ブラジル人のアイデンティティ構築のプロセスを考察の対象にする。移住者が立ち向かう問題は、言葉の壁のようなものだけではなく、ブラジルで社会化された日系人としてのアイデンティティを具体的に再評価・再交渉することである。その結果は、文脈や個人経験によって差異があるが、いずれにしても権力関係の過程と外部からのカテゴリー化に対する自己定義を内包するものである。


最終更新:2008年02月13日 12:40