日系ペルー人強制収容経験と「ペルー会」――日系ペルー人から「日系ペルー人」へ――

仲田 周子
日本女子大学大学院人間社会研究科現代社会論専攻博士課程

【要旨】

 第二次大戦中、ペルーから約1800人の日系人がアメリカ合衆国内に強制収容され、戦後、ペルーへの再入国を許されたわずかな人々を除き、日本へ「帰国」、あるいはアメリカへ「残留」することとなった。
 本報告では、戦後、ナショナルな枠組みからは抜け落ちてしまった日系ペルー人を捉える試みとして、強制収容所の同窓会的集団である「ペルー会」(Peru-Kai Reunion)に着目する。「ペルー会」は、日系ペルー人の多くが収容されていたクリスタル・シティ収容所を原集団とする集まりで、強制収容経験者の過去と現在を結びつける場である。
 具体的には、強制収容経験者へのインタビューから、個人的な思い出として語られる強制収容所の肯定的な語りをとりあげ、その語りがどのように「ペルー会」と関係しあっているのか、「ペルー会」という視点から日系ペルー人の強制収容経験を検討する可能性について考えてみたい。




最終更新:2008年01月27日 06:08