文書/組織としてみた参謀


※以下文書はmixiの日記(2007年12月11日)からの転載+αです。文責:十五夜。

個々人の努力だけではどうにもならない構造的な問題というのがままある。誰が悪いという問題ではなく、運用の仕方に問題がある場合である。きちんと指摘して改善できればよいのだが、内部でスタックしているとなかなか問題に気づけず、指摘すら難しいという場合も多い。そうしたうまく行かなさから個人攻撃になり内部崩壊に至るのは非常に不幸である。

アイドレスにおける参謀はその責務と作業量の重さと時間的制約から非常にシビアな運用を求められていた。このため、それほどシビアでなければ問題とならなかったような組織としての無駄や非効率性が致命的であったのだと思う。人間の作業量にも忍耐力にも限界はある。そもそも限界に達しないような組織運用が必要とされていたにも関わらず、それが難しかった。

以下で参謀組織について、プロジェクトマネジメントの知識から見た分析を述べてみる。むろん正しいとは限らないが、今後の組織運用を考えるときの一助になれば幸いである。

※他にも、参謀への戦時事務の集中、チームビルディングの失敗などという問題もあったが、それについての議論はまた別の機会におこないたい。

まずプロジェクトマネジメントの分野では、組織構造としては以下の3つのものが知られている。

  • 機能型組織:職能による固定した木構造を持つ組織。いわゆる日本的な上意下達の縦割り組織。欠点としては目先の作業に捕らわれがちで目的意識がはっきりしない、別の部門との交流が少なく、柔軟な動きができない、長所としては仲間意識・文化の育成が容易、専門技術が保持できる、と言った特徴がある。

  • プロジェクト型組織:プロジェクトが発生した時点で構成されるフラットな組織。アメリカ的。特徴は、機能型組織の裏返しで、欠点として仲間意識や文化の育成が難しい、専門技術が保持できない、長所としては目的意識がはっきりする、必要な人員を必要なだけ確保できれば柔軟に動ける、というようなものがあげられる。

  • マトリックス型組織:機能型組織とプロジェクト型を混ぜたような組織。ハイブリッド型。プロジェクトマネジャの権限などでさらに数種に分類される。上述の二つのタイプの欠点を補うとうまくいくと言われており、近年このタイプが増加している。

初期の参謀組織の立ち上げは帝国側が幾分早く(と大神氏は主張していた)、機能型組織として構成されていた。組織構成図が存在し、そこに人員が割り当てられていた。共和国参謀も帝国参謀にならい、同様の構成をとっていた。イベントが起こると参謀長もしくは副参謀長が指揮を取る形になっていた。

そして、機能型組織の典型的な問題が発生した。自部門の作業はできるが、他部門の作業はできない。柔軟に対応できない(問合せをたらいまわしせざるを得ない)。イベント実行そのものへの目的意識が薄い。上意下達のため、指揮を採る参謀長および副参謀長が不在あるいは多忙でスタックすると機能停止する、などである。共和国側からでは内部までは分かりかねるが、外部から見る限りにおいて帝国参謀では末期に至るまで混乱していたように見えた。

共和国参謀でも初期は構造が同じであったため、当然ながら同じ問題は発生していた。ただし、これに対して途中から統括システムを導入して改善を図った。統括とはいわゆるプロジェクトマネジャであり、プロジェクトにあたるイベントが起こると選出され、イベントに必要な人員を確保し、イベントに対して全責任を持つ。組織形態としては、背後に機能型組織を持つため、マトリックス型組織にあたる。マネジャ=統括はイベントについて強い権限を持っていた(参謀長らは口出ししない)ため、強いマトリックス型組織であった。

統括システムの試行をおこなったのは広島偵察作戦およびロジャー救出作戦(アイドレスでなかったため途中で停止)であり、広島侵攻前哨戦以降付近から共和国側で運用されるようになる。帝国側では偵察機迎撃作戦で共和国からの出向者による統括をおこなわれたことがある。その後人員派遣などの交流の結果、最末期に統括システムが帝国側にも導入される見込みになったが実施が一時見合わせられ、最後E103において運用された。

※旧システムにおける具体的な業務手順については、組織/統括班に別途記述してあるので見て欲しい。

なお、最末期になると、共和国参謀では機能型組織部分の解体が図られたため、プロジェクト型組織に近づき、逆にプロジェクト型組織の短所が露呈することになる。すなわち、帰属意識の低下、専門知識の散逸、などである。ルール改訂に伴って藩国に作業人員が必要とされたこともあいまって、最末期のイベント(黒&ルージュ以降)ではそれから来る人員確保に慢性的に悩まされることになった。

個人的な意見としては、中期のマトリックス型組織で機能型組織部分をもっと充実させた方が良かったのではないかと考えている(ノウハウ共有のため)。ただし、統括には強い権限と能力そして時間が必要とされ、それに耐えうる人員の確保が難しかったのも事実である。

アイドレス2においてどういう組織運用がなされるかはわからないが、イベント形式である以上は、イベントを運用するためのチームとそのリーダーは必要となるだろう。アイドレス2でも組織運用の経験は生かされて欲しいものである。


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最終更新:2008年01月31日 22:40