Abquhbah (詳細・ネタバレ編)




  クエストをはじめ、ミッションや昇級試験等、冒険者(プレイヤー)との接点の多いアブクーバ。その立場は職務を(わずかながら)超え、「人事と社員」だけでは片付けられない仲間へと発展していく。ちょっと情けなくて、ちょっとズルくて、でも異常なほど一途なアブクーバ。今日も会社と社長の為にがんばっている。

傭兵会社最強の助っ人・人事のメガネ

  アトルガンに来て間もない冒険者は、サラヒム・センチネル社との契約をほぼ義務付けられている(実質的にアトルガンコンテンツの大半に参加するには入社が条件)。そこで出会うのが雇い主となるNaja Salaheem社長と、人事担当のアブクーバ。基本的にナジャ社長はあくまで「社長」なのでイベントに関しては積極的に登場するものの、日常的な業務は基本的にアブクーバを通すことになっていく。
  業務の基本的なシステムや、仕事について、社訓や社内での評判等、子と細かく教えてくれるアブクーバは、アサルトや昇級試験等で頼もしいサポート役として活躍してくれる。社員全ての業績・評価・給与明細等を扱う彼は、細かく冒険者にアドバイスをくれる。そして、昇級試験を合格し社内でも昇級していく冒険者にちょっとした社内の秘密を漏らしてくれたりするようにまでなる。


一見、チュートリアルキャラとも取れる、初期のアブクーバとの関係。

  冒険者は基本が「冒険」である。モンスターと戦い、問題を解決し、報酬を得る。その中で共に戦ってくれたり、援護してくれるNPCも少なくは無い。勿論、アブクーバのようにシステム的な助言で支援してくれるキャラもいる。でもアサルト(お仕事)による細かく変動する「傭兵」家業の中、マメに状況に応じて反応も変えてくるNPCはそうそういない。それだけにアブクーバに言い知れぬ仲間意識が芽生えるプレイヤーも多いのではないだろうか。
  やがて昇級試験等の、サラヒム・センチネル社関連のクエストが始まると、社内の日常も見え隠れしてくる。アブクーバの場合、冒険者は当然ながら、ほかの所属傭兵に関してもケアを怠っていない場面がより多く登場するようになる。特に臆病で、人が良く、業績が伸び悩んでいるプレイヤーの同僚Falzumの事を心配し、冒険者に助っ人をコッソリお願いする優しさを見せる。


ほかの傭兵たちへのケアを忘れない、人事の鏡。

  一方ミッションでは、冒険者はサラヒム・センチネル社の代表としてアトルガン皇室直々の勅命に乗り出していくシナリオ。ナジャ社長も社運を冒険者に賭して、時には厳しく、時には激しく援護してくれる。この際のアブクーバは主に冒険者に任務の詳細を伝えたり、感情的なナジャ社長のフォローをしたり、忙しい。時には失敗を冒険者になすりつけてしまうお茶目さがあるが、基本的には冒険者の心強い味方だ。


社長に代わって給与明細や請求詳細、任務の詳細をこと細かく説明してくれる。

  また、冒険者自身が異国出身者であり、まだアトルガンの常識に慣れていない事も忘れない(むしろ興奮しやすく説明を省きやすいナジャ社長のフォローとして常日頃情報を補完するのに慣れているのかもしれないが)。これは、まだ冒険者にとって馴染みが薄いアトルガンの伝承や歴史、現状を説明してくれるという意味でもありがたい存在だ。そのお陰で冒険者は社内業務、そして依頼された任務を着実にこなしていくようになっていく。


冒険者の成功を、まるで自分のことのように喜んでくれる。

  社会人のプレイヤーなら判ると思うが、社員を生かすも殺すも人事次第。それはゲームの世界ヴァナ・ディールでも変わらない。アブクーバは、腕力では冒険者に遠く及ばないだろうが、人事としては、非常に優秀と言える。「アトルガンの秘宝」での名脇役と言える存在なのだ。

伝家の宝刀・謝罪
  激情家であるナジャ社長は、時には理不尽にキレてしまい、例え冒険者や他のNPCが無関係であっても当り散らしてしまう場面がある。更に時には冒険者自身、何を怒られているかすら判らない事さえある。そしてそのきょとんとした表情が更にナジャ社長の怒りを加速させる結果になる。そんな時アブクーバは状況を円満にする為に(時には意味も無く)謝罪をして、深々と頭を下げる。


「す、すみません!」と速やかに謝罪。社員として模範的な、美しすぎるおじぎ。

  勿論、アブクーバ自身の失態だったりする場合もあるが、それでも何の躊躇も無くこんなに見事な謝罪は、逆にすがすがしさすら感じる。現実世界でも何かと理不尽なトラブルが社内でも起きるものだが、管理人はかつて知人にこういわれたことがある。「日本の会社で上手く立ち回るには『挨拶』と『謝礼』と『謝罪』をしっかりすればいい」。アブクーバというキャラクターは、私事ではあるが、その教えを見事に体現してみせてくれた。
  しかしアブクーバの凄いのはそれだけではない。上の写真の謝罪のおじぎさえ、丁寧すぎるくらいなのだが、そんなツッコミが吹っ飛ぶ芸当を時々見せてくれる。


アトルガンの流儀と思われる、手を前に伸ばした、更に丁寧な荒ぶる謝罪のポーズ!

  ナジャ社長も、正式な場面ではアトルガン特有と思われる敬礼を見せるが、アブクーバのこの動作も流れが非常に美しく、初めて見た時は驚いたプレイヤーも多いのではないだろうか。しかも現在のところアブクーバ固有のモーションとなっている。静止画にしてしまうと、まるでプールにでも飛び込むようなポーズに見えてしまうのが残念である。
  いずれにしろ、時には進撃に、時にはその場を収める為に、時には(冒険者等の)他人の為に、こんなにも潔く頭を下げられるアブクーバはやはり社員の鏡と言える。

アトルガンの名コンビ?迷コンビ?社長と人事を超えた二人

  アブクーバは判り易い程ナジャ社長に心酔している。基本的には(社訓通りに)ナジャ社長の命令には親切丁寧・かつ迅速に応えるが、時には自分の非を冒険者になすりつけて逃げようとする。社長が落ち込めば全力で励まし、有頂天になれば盛り上げ、怒り狂えば必死でなだめる。ここではそんな二人の日常をすこしまとめる。
  上記の通り、アブクーバは非常にマメに、ナジャ社長の感情や動向を見守ってフォローを入れる。それ以外にも、社長と共に来客の接待から皇室からの伝令の受け取り・報告等、もはや人事の仕事を超えた業務もこなしている。人事と言うより、秘書と言った方が実際のアブクーバの立場にはあっているのかもしれない。


皇室からの使者も、ナジャ社長と共に出迎える。


社長が出かける際は身なりをしっかりチェック!

  このような業務を任せている事もさることながら、上にある下部分の写真に至っては、社長自らが背中を預けてチェックを任せている。冒険者が入社するより前からの二人の信頼が感じられる。二人の連携があるからこそ、一見無茶にも見える会社の運営もそれなりに上手く回っているのかもしれない。

珍プレー・社長へのフォロー失敗!
  いかに社長といえども、業務が円滑に進むとは限らない。時には計算外の出来事で、ナジャ社長の思惑通りに事が進まない時だってある。そんなときは相棒のモーニングスターを振り回すナジャ社長の姿が。


ブンブンブンブン!

しかし勢い余って……!

  この時は、あまりに勢い良くモーニングスターを振り回したが為に、モーニングスターはナジャ社長の指からすり抜けていったのだ。しかもそのときタイミング悪く冒険者が出社、社長のデスクがある広場へ入ってきたときだった。大事故の予感に眼を丸くするナジャ社長。だが、そこで冒険者、そしてナジャ社長を助けるべく体を張ったのがアブクーバだった。冒険者めがけて勢い良く空を舞うモーニングスターをキャッチすべく、アブクーバも飛んだ。


しかし咄嗟の判断も空しく

「相棒」は腕をすり抜けて冒険者へ……

  結局、モーニングスターは状況が理解出来ないまま冒険者に当たり、冒険者は気絶してしまう結果に。

社長の為なら何でもします……!
  女王気質のナジャ社長とMっぽい言動がしばしば見られるアブクーバは非常に相性も良く、業務中の会話は時には漫才のような展開も見せる。そしてアブクーバ自身が、ナジャ社長に上司と社員というだけではない感情を抱いているのはミッションでも見られる。判りやすく言うと、社長に萌え、なのだ。
  皇室に赴く際にファッションショーを繰り広げる社長に心の中で相槌をうち、仕舞には卒倒するアブクーバ。モーニングスターを指揮棒のように振り回し、社歌を要求するナジャ社長に、全身全霊を込めた歌で応えるアブクーバ。挙句には、昇級試験の一環として士官学校を思いつくナジャ社長に乗せられ、教頭の変装までしてしまう。しかもその一連の出来事の中でこんなことまで口走っている(詳しくは「Arcuhbah(詳細・ネタバレ編) 参照)。

Arcuhbah :……もう、いいですよ! 僕だって給料とか命とか愛とか、いろいろかかってますから負けるわけにはいきませんからねっ!

  そして実は、昇級試験の一つで、衝撃的な展開になるものもある。それは、「昇進試験~曹長」、内容はたるみきった後輩を冒険者が根性から叩きなおす事をナジャ社長から命令されるところから始まる。そして、その一環として「腕立て伏せ」をさせるイベントが発生する。3人の堕落後輩達をタイミングよく腹筋させる事を要求されるこのイベント、実は最初にちょっとしたチュートリアルが用意されている。

Naja Salaheem :…………。
Naja SalaheemはAbquhbahをじっと見つめた……!
Abquhbah :……?(あぁ、そんな目で見つめられたら……僕は、僕は……。)
Naja Salaheem :……アブクーバ。
Abquhbah :……は、はい。なんでしょうか? ナジャ社長。
Naja Salaheem :あんた、服を脱ぎな。
Abquhbah : え! ええ!? な、なぜですかっ!?(そ、そんなっ、大胆すぎますっ!!!)
Naja Salaheem :だって、いきなり本番ってのもなんだからネェ? まずはあんたが練習台になっておやり。
Abquhbah :はいっ!練習台にですね!……って、それはつまり……僕に腹筋運動をしろ、ということでしょうか……?
Naja Salaheem :他になにがあるっていうんだい? ほら、さっさと!服を脱いで寝っ転がるんだよ。

  突然ナジャ社長は、アブクーバに「練習台」になる為に腹筋をさせる、と宣言したわけである。普段からインドア派というか、決して体育会系の雰囲気を見せないアブクーバにとっては不意打ちだったに違いない。そして「さっさと服を脱いで」と言われたアブクーバはというと、ヒュームが全て装備を脱いだ状態(黒のインナーの上下)よりも更に脱いでしまって登場する。下は白いパンツ(サブリガ)なのである。
  そして、そんなあられもない格好のアブクーバを見守りながら(どう見ても冒険者視点ではない、真上からの角度、すなわちアブクーバを真正面からまっすぐ見下ろす角度から)腹筋を10回タイミングよくやらせるチュートリアルは始まる。これは、実際冒険者が満足するまで何回でも出来る。しかしたとえ10回でも100回でも、やはり体育会系ではないアブクーバには重労働であり、無事に練習が終わるとグッタリしてしまう。


Abquhbah : ハァ……ハァ……お、終わりました……?

  こんな格好で、こんなポーズで、こんな台詞を言われても困る。どこのガチムチパンツレスリングなのかと問い詰めたい(ガチムチ~が判らない人はそのままの君でいて欲しいと心から願う管理人)。ともあれ、アブクーバは業務を超えて、まさに身も心もナジャ社長に捧げているといっても過言ではない。

禁断の忠誠?ここが行き過ぎだよアブクーバ
  このように、アブクーバは業務を超えた感情を抱きつつもナジャ社長の為に日夜努力を重ねている。無理難題にも(パンツを晒してまで)対応する。まさに社員の鏡。そしてそんなアブクーバにナジャ社長も絶対の信頼を寄せているようだ。
  しかし、それでも、アブクーバはやってはいけない事をしている事が判ってしまう。それは、冒険者が数々の昇級試験をクリアして、中尉となったときから雲行きが怪しくなってくる。通常の時からアブクーバに聞ける質問のうちで「ナジャ社長について」という項目があり、当初はナジャ社長の性格や好み等を聞き出し、より気に入られるような振る舞いを教えてもらえる、のだが……中尉で聞ける情報は、ナジャ社長の生い立ちと本名、出身地に触れたものである。いくら冒険者が会社にとってかけがえの無い社員、重役とも言えるポジションに上り詰めたとはいえ、個人情報である。しかし、アブクーバの暴走はそれでは終わらない。これだけの情報を知っているのはナジャ社長と彼だけだ、と言うアブクーバ。その情報の出所とは……。


Abquhbah :……なんでそんなことを知ることができたのかって?やだなぁ、そんなのナジャ社長を尾行したからに決まってるじゃないですかー。でも、深夜に茶屋で若い男を3人もはべらせて親しげに思い出話をしている社長なんてホントは見たくなかったですー……ううう。

  深刻そうな話と見せかけ、サラッとストーカー行為を暴露してしまう。尾行でも危ないのに、社長と他人との話まで聞いてしまっている。いくらナジャ社長を(色んな意味で)心酔していて心配だからってやりすぎである。
  勿論、これらはゲームの中での出来事であり、話の内容も世界設定やナジャ社長のキャラクターとしての裏設定をプレイヤーに伝える為のものである。判ってはいるが、アブクーバの行動があまりに異常である。動機が善意的であっても、このような真似はリアルじゃ良い子は絶対に真似をしないで欲しいものである。まじで。
  なお、更に大尉になり、アブクーバからナジャ社長について訪ねると、全ての完結がみれ、アブクーバも尾行生活をやめたと宣言して終わる。

最終更新:2008年10月22日 20:00