Garuda (詳細・ネタバレ編)


  • 神獣、通常配置無し。
  • 全8属性のうち風の力を司る神獣。
  • ヴァナ・ディールで語り継がれる伝説の登場人物。南東の空に浮かぶ星座。


  今回は「仲間」として初登場となるガルーダ。「百鳥の女王」と謳われる彼女の物語とはどんなものなのか。ヴァナ・ディールでは星座としても登場し、その物語は愛されていると思われる。

愛の為に生きた一羽の小鳥の伝説

遠いむかしのこと。ベッフェル湾に面した小国に、鳥の大好きな幼い王子がいました。

病弱だった王子は庭園に巣箱を幾つも設置させ、訪れる鳥を眺めるのが何よりも楽しみだった。中でも翠色をした雌の小鳥は、王子が雛のときから「ガルーダ」と名づけて育てていたため、肩に乗るほどになついて、いつも彼の側を飛んで心を和ませていた。

ある日、王子が城を抜け出して、ひとりで鳥の観察に出ていた時の事だった。王子の肩に止まり、翼を休めていたガルーダを狙い、毒蛇が忍び寄っていた。それに気付いた王子は、ガルーダを守る為に咄嗟に毒蛇を払いのけたが、逆に王子が毒蛇に噛まれてしまったのだ。

倒れた彼を助ける為にガルーダは城へ飛び、家臣達を呼び寄せた。王子は城へ運ばれ、薬師たちの看病を受けた。しかし元々病気がちだった王子の顔色はみるみるうちに悪くなっていった。そして毒蛇の毒は、今まで薬師達が見たことの無いものだったのだ。

その様子を窓から眺めていたガルーダは、仲間の鳥達に相談した。すると物知りのアクババがこのように語りだした。

「雲と星の間に住まう我らが“鳥の王”は、人に似た美しい姿をしているらしい。王は麗しき翼でビチャープという奇跡の風を起こし、病もたちどころに治すという話だが……」

それを聞き終わる間もなく、ガルーダは「鳥の王」を探しに飛び立っていった。大好きな王子様を助けたい、ガルーダの胸にはその気持ちしかなかった。

しかし飛んでも飛んでも、そこに広がるのは空と、自分の羽の音だけ。何日も飛び力も抜けていく中、彼女は絶望を感じた。体力だけでなく気力も途絶えたガルーダの羽根は羽ばたく力を失い、そのまま空からオソロシイスピードで落ちていくしかなかった。

遥か下に海が迫り、いよいよ死を覚悟したガルーダの脳裏に浮かんできたのは、王子の笑顔だった。卵から殻を破り、はじめてこの世界でみたのが王子の優しい顔だった。次々と蘇る王子との思い出、そして今も毒に侵され苦しむ王子。

「大好きな王子を助けたい!」

最後の力を振り絞って羽根を動かしたときにガルーダは異変に気付いた。力がみなぎり、足は人の腕のように変化していた。彼女自身の姿が「鳥の王」のそれに酷似していた。そう、彼女自身が「鳥の女王」として目覚めたのだった。



王子のもとに舞い戻ったガルーダはその新たな翼で奇跡の風「ビチャープ」を起こし、体の毒を取り除いた。目を開く王子を見て安心したガルーダだったが、同時に今の彼女では、もう王子の肩に止まる事は叶わないと気付いた。やるべきことを果たした彼女は、悲しそうにその場を飛び去った。

その後、たくましい青年へと成長した王子は、彼を癒した不思議な女性の姿を忘れることができず、長い歳月を費やして彼女を探し求めた。そしてついにガルーダと再会を果たし、妻に娶ったとされている。

ガルーダの慈愛と勇気に感動した女神は、彼女の死後、その魂を天界に招き入れた。そして百鳥の女王の称号を与え、鳥たちの飛行を導く道標として天にその姿を飾ったという。


異種族の恋愛の成就、とも言えるんだろうか。なおヴァナ・ディールの「ガルーダ座」でもっとも強く輝いている星の名前は「ビチャープ」。

最終更新:2008年06月27日 09:55