Zonpa-Zippa/魔導士団団長時代(詳細・ネタバレ編)




  「アルタナの神兵」では在籍しているウィンダス手の院で開発した新兵器「魔動兵(カーディアン)」のプロトタイプを試運転し、データ収集を目的とした実験部隊のような理由で戦場に現れている。カーディアンの量産にこぎつける為に当事はその性能を証明するのに必死のようで、命令を無視して出撃することもあるという。常時エプロン姿なのも、研究の最中でもカーディアンの戦闘データを手に入れる機会が訪れるとなりふり構わず戦場にそのまま走ったからである。




ゾンパジッパ、脚光を浴びる(「憂国の使者」「降臨、異貌の徒」)

 ウィンダス元帥Robel-Akbelが魔導師団の団長達を一同に集めて開いた会議。そこではクリスタル大戦で変わっていく戦況に対応して今後のウィンダスの動きを考慮した彼の方針が発表されていった。新キャラクター達と共にカンパニエにも参加している団長達も当然出席しており、その中にゾンパジッパの姿もある。


  カルゴナルゴ城砦の重要性を説くRobel-Akbelだが更に長年敵国でありクリスタル大戦で共通の敵を持つ同盟という形を結んだばかりのサンドリアへの援軍要請、そして防衛だけでなく、ヤグードの本拠地オズトロヤ城へも攻め入る攻略作戦の決行も発表し、一同はどよめいた。
  更にオズトロヤ城攻略作戦にはRobel-Akbel自ら赴くと宣言した。そして、彼が不在の間の聖都防衛の全権を委ねた者こそがゾンパジッパだった。


Zonpa-Zippa : !? …ふ……ふははは! 貴公、やっと我が能力に気づきおったか?任せろ! 何なら元帥を代行してやってもよいぞ。
Robel-Akbel : いや、それは遠慮しよう。

  さすがに元帥代行はサラリと断った。しかしRobel-Akbelが不在の時にウィンダスが万が一敵に襲われたとしたら、その時聖都防衛勢の司令官はゾンパジッパになる事は決定した。

ゾ ン パ ジ ッ パ 始 ま っ た な


科学者が権力を持つ時
  数多くのゲームやマンガ、アニメ等、特にSF色が強い創作もので登場するキャラクター(特に悪役に多い気もする)の中で「科学者」という肩書きの者は少なくない。元々科学(テクノロジー)と政治等は密接した関係にあり、それによる民衆の生活水準の向上(医学の発展等)、武器の開発改良、不明快な事例の解明・説明(伝説の真実味から天災の説明、星読み、等)、その他諸々、需要は多彩である。そして権威と呼ばれるに至るまでは並大抵の努力と研究が繰り返されているのは容易に想像がつくものである。そして「科学者」というものは、大抵「オタク」的な一面を持っている。それはすなわち一つの物に没頭する集中力と欲望ともいうべき果てしないモチベーションを維持出来る事とも言える。逆に言うと、それに集中するあまり、他の生活の一部(人間関係・自己の健康・社会への影響・一般常識等)に欠けている場合も多く、キャラクターとして登場する人物の大半は、この後者の部分を膨張させた「ステレオタイプ」に沿ったものである。
  そして世の中には「マッドサイエンティスト」という言葉がある。正確なマッドサイエンティストについてWikipediaを見ると、「科学的知識・技術などを悪用する人物、あるいは常軌を逸した理解しがたい人物としてよく現れる」と書かれており、キャラクターとしてのマッドサイエンティストについてはこのようなタイプに別れるという。

  1. 超絶的な頭脳を持つが、往々にして歪んだ信念や理解しがたい価値観、あるいはとんでもない欲望を持つ
  2. 超絶的な頭脳で物凄い発明をするが、その発明が周囲に及ぼす影響や迷惑を何も考えていない

  そしてその行動パターンは以下のように分類され、その思考をもって主人公達と対立したり、パニックへと追いやったりするトラブルメーカー的な役割を果たしていると書かれている。

  1. 人倫から外れた領域の知識を探求する。
  2. 自らの研究がもたらす社会および自己への影響、あるいは研究の倫理的側面を考慮しない。
  3. あまり倫理的ではない野心のために、その知識を積極的に利用する。

  ファイナルファンタジーシリーズでもこのようなキャラクターは当然のように登場している。その最たる者がVIIの「宝条」ではないだろうか。そして宝条が示すように、大抵権力を得た科学者は己の研究の為にすべてを注ぎ、結果的に人道を外れる事もある。
  勿論、ゾンパジッパが宝条のような外道ともいえる人物かというと、むしろ逆にコミカルに描かれている。子供たちから抱かれている感情には無頓着であり、自意識過剰、そしてタルタル等の描写により、彼の性格や行動はよりギャグっぽく演出されている。


「研究」や「錬金術」などで暴走しがちなキャラはFFXIにもいるが、正規な「狂科学者」と名乗るにはゾンパジッパが最もふさわしいと言えるかもしれない。本来はプレイヤーと同じフェイスタイプにも関わらず、戦闘中の闘争心むき出しの表情を演出するために、わざわざこのような顔も彼には用意されている。

  クリスタル大戦時のゾンパジッパについてはこのページの上の部分に書いてある設定を参照していただきたい(出典はヴァナ通)。20年前の彼は、磨羯戦闘魔導師団の団長であり、それはすなわち軍の中でもそれなりの地位を与えられている事が判る。この段階で既にウィンダス手の院院長に任命されているようだが(ヴァナ通より)、独断で量産出来るわけも無く、「アルタナの神兵」ではその許可を得るためにも躍起になっているものと思われる。
  この時期に制作されたカーディアンのプロトタイプ。本来は白兵要員が不足になり勝ちなウィンダス軍(ミスラ傭兵団除くと)の戦力を補うために作られた戦争用兵器なのである。睡眠も休憩を必要としない設計のカーディアンが戦力として認められたら、確かに驚異的な軍になるのは現代でのウィンダスミッションをみても想像がつき、主の設定はさておき、それこそがゾンパジッパが描いていたカーディアン軍の姿だったのだろう。
  「アルタナの神兵」時代ではこのカーディアンはまだ完成形ではないらしく、改良を重ねながらその有用性を証明し大量生産を認めてもらう為にゾンパジッパは躍起になっているとのこと(ヴァナ通より)。彼がエプロン姿で戦うのも、カンパニエが始まれば作業着のままカーディアンを引き連れて戦場へ駆け付ける設定であり、戦場は彼にとってはいわばカーディアンの戦闘データを手に入れる最適の場であり、カンパニエ中の台詞にもあるように「絶好のデモンストレーション」場なのだろう。実際に、カーディアンは戦時中にその有用性が認められ、大量生産されている。
  その功績は、現代ウィンダスででもカーディアンが愛用されているのを見ると、多大なものと言えるが、制作の用途はあくまでも「兵器」だった(これで苦悩していたカーディアンもクエストで登場している)。そしてアルタナ・現代でのゾンパジッパでのカーディアンに対する価値観。こちらに関してはほかのページでも触れているが、あくまで「道具」であり「兵器」なのである。カーディアンの原動力は「魔導球」からの魔力と「吹き込まれた魂」であり、ウィンダス手の院の禁書の内容にもギリギリ触れないという、実は結構スレスレの物でもある。彼の娘にして現代でのカーディアン権威のApururuは、その為同じ生命体としてカーディアンを扱っているのに対してゾンパジッパは(特にアルタナ時代)純粋に機械として扱っているようだ。実際生命を宿し、時々自我が芽生えるカーディアン。本来は人造物として作り出された物に自我が芽生えた時……これはFFXIを含めた多くの創作物でも好んで使われているが、その最たるものがかの「フランケンシュタイン」である。
  その危険性等はちゃんと(現代では)把握しながらも、ゾンパジッパの行動・思考回路は基本的に「マッドサイエンティスト」に沿ったものと言える。しかもアルタナ時代はカーディアンを認めてもらおうと無茶をしている時代。このような時期に「聖都防衛の全権」という権力は一時的なものとはいえ、ある意味恐ろしい事である(幸いゾンパジッパのコミカルな特性が生かされて惨事になる前にクエストは終わるが)。

聖都防衛戦、勃発


本拠地に敵軍が攻め入る、窮地に立たされるウィンダス軍。

  クエスト「降臨、異貌の徒」の後半では、ヤグード軍が実際にウィンダス聖都を急襲する事態が発生する。地下の抜け道を使い、突然現れたヤグード軍に戦闘魔導団団長クラスのキャラクターでさえも驚きと困惑を隠せない、そんな混沌に包まれていた。しかし、この男だけは違った。


Zonpa-Zippa ;……ふははははは!いくらでも来るがいい!望むところだ!

ズラッと並ぶカーディアン達。

Zonpa-Zippa ;行けぇ!魔動兵!!鳥の10羽や100羽、いや1000羽来ようがおまえたちカーディアンの敵ではないぞ!愉快!痛快!爽快!すばらしい実験場だな、ここは!

  冷静に考えてみよう。「聖都防衛」がゾンパジッパのこの時点での最大の使命であり、可能なれば未然・もしくは聖都より前の地点で敵を食い止めるのが理想である。更にいうとこの聖都は自軍の本拠時であり、暮らしている「住み慣れた我が家」であり、家族も住む大切な場所である。実際、息子のAjido-Marujidoもここで生活をし、実際にこのイベントで参戦している(オヤジがそれを知っているかは不明)。

しかしゾンパジッパはそんなこと関係ないようである。

  「素晴らしい実験場」にはしゃぐようにポーズを決め、ノリノリでカーディアンと共にヤグードを挑発しまくる。彼にとっては聖都防衛よりもカーディアンの実験のほうが大事なのが一瞬ながらもよく分かる場面である。


実に素晴らしいマッドっぷりだ。

  しかし、ここで思わぬ人物が登場する。カルゴナルゴ城砦の防衛に飛び出し、ヤグード軍の動向を見抜いたRobel-Akbelは、冒険者(プレイヤー)とミスラ傭兵団の一部を引き連れて、ヤグードの地下通路を逆に利用し急遽ウィンダスに戻ってきたのである。劣戦が続いたカルゴナルゴ城砦の戦況が一気にウィンダスに傾き、それまで総司令として指揮をとっていたRobel-Akbelは、登場と共に魔法を解き放つ。カルゴナルゴに攻め込んだヤグードとは違い耐魔装備ではなく、魔法が通用すると分かったRobel-Akbelは、満足げのようだ。

Robel-Akbel :ふむ、通常装備か……。耐魔装備、やはり全軍に支給されてはおらぬようだな。なれば、派手にやらせてもらおう。異国の騎士と傭兵に獲物をとられて少々欲求不満なのでな!
Zona-Zippa :ロベルアクベル!貴重な我らがターゲットを横取りする気か?
Robel-Akbel :ほう、それは悪いことをした。


文字通り(/angryモーション)怒りを露にするゾンパジッパ。

それにしてもタルタルは「臆病」とよく表現されるが、この二人を見るとそんな印象も吹き飛ぶ。

ゾ ン パ ジ ッ パ の 時 代 オ ワ タ \(^o^)/


  最終的にはカリスマ元帥Robel-Akbelの登場とカルゴナルゴからの援軍のお陰で聖都防衛軍の士気も上がったようで勢いを取り戻す。そして派手なゾンパジッパの登場シーンとは対照的に、特にカーディアンの活躍の場もなくヤグード軍は撤退していった。


Zona-Zippa :なに、もう終わりなのか?

気になるゾンパジッパとロベルアクベルの関係?
  このシーンでもそうだが、冒頭の会議でも、この二人は、他の元帥&団長とは違った関係を感じさせる会話をしている。基本的に他の団長がRobel-Akbelを「閣下」と呼ぶなか、ゾンパジッパは彼を呼び捨てにしてる。そして暴走気味なゾンパジッパの自意識過剰な発言に対してRobel-Akbelが冷静にツッコミを入れている。まるで対等、しかも比較的親密な仲を感じさせるやりとりである(一応立場上、上下はくっきりしているのにタメ口だし)。
  まだまだ謎に包まれているRobel-Akbelだが、この二人のやり取り、関係は果たして伏線なのだろうか……?

最終更新:2008年11月26日 04:51