Kamolo-Domilo (詳細・ネタバレ編)


  • タルタル♂、3b(抹茶色)、通常配置無し
  • 人馬戦闘魔導師団団長。


  クリスタル大戦で、ウィンダスが一番被害を受けたとされている。現在のウィンダスは、石の区を除いて大分復興している様子だが、20年経った今もその傷跡が残っていると言える。そして「アルタナの神兵」で過去の世界に迷い込んでしまった冒険者(プレイヤー)は、そんな戦乱の中のウィンダスを目の当たりにしていく。ウィンダスが目にする過去のウィンダスも、ほんの数日前にヤグードの襲撃にあったばかりで、街並みも痛々しく焼けたままだ。
  そんな過去のウィンダスを守っている魔導師団。三国の中でも劣勢と史実に記されていたウィンダスの命運は彼らに掛かっているとも言える(史実で結果は分かっているが)。それぞれ戦う理由を秘めているが、戦争というものは単純なものでもない。願いと同じ位、野望や陰謀が潜んでいるものでもある。カモロドミロは、そんな戦争の裏側にある、「汚い部分」を再確認させるキャラクターといえる。

戦争の裏に隠れた陰謀(クエスト『憂国の使者』)

  ウィンダス元帥Robel-Akbelが魔導師団の団長達を一同に集めて開いた会議。そこではクリスタル大戦で変わっていく戦況に対応して今後のウィンダスの動きを考慮した彼の方針が発表されていった。特にヤグード達とは長年戦い続けたウィンダスにとって、今後カルゴナルゴ城砦は防衛の要になっていくと踏んだRobel-Akbelは、長年敵国だったがこの大戦により同盟国となったサンドリアに救援を要請する事を宣言。一同は驚きを隠せずにその作戦を聞いた。カルゴナルゴ防衛だけでなく、留保されていた「オズトロヤ城攻略作戦」も同時に決行することを宣言した。


その中で指名される今回初登場のカモロドミロ。

Robel-Akbel :それから、人馬戦闘魔導師団長カモロドミロ(Kamolo-Domilo)。
Kamolo-Domilo :はっ。
Robel-Akbel :貴下をカルゴナルゴ城砦司令に任ずる。白兵戦の可能性に備え猛虎義勇団とコブラ傭兵団を連れていけ。
Kamolo-Domilo :……。
Robel-Akbel :どうした?不服があるなら申せ。
Kamolo-Domilo :……いえ、仰せのままに。
Robel-Akbel :魔法防壁に万一のことあらば、カルゴナルゴは存外もろいぞ。要所へのミスラ傭兵の配置、くれぐれも怠るな。

  この時Robel-Akbelは直接「不服があるなら申せ」と言っている。微妙な沈黙に何か感じたのかもしれない。しかし、カモロドミロは「仰せのままに」と返している。そして「最後の頼みの綱」と表現されたカルゴナルゴ城砦の司令に、カモロドミロは就くことになる。
  しかし上記の会話の「……。」に込められたと思われる感情は、会議の後、腹心(と思われる)Lukka-Lakkaと二人になった時に明かされる。

Kamolo-Domilo :……何を考えているのだ、ロベルアクベルめ……。また手柄を独占するつもりか?
Lukka-Lakka :しかし、先だってのヤグード教団の聖都襲来、あの方の力なくして、撃退は不可能でした。
Kamolo-Domilo :そうやって何かと前線に出しゃばりすぎるのもいただけん!いくら大魔元帥でも、あの専横ぶりは目に余る。就任してから、領内のミスラ傭兵は増える一方。その上、オルジリアの傭兵屋にはさらなる出兵を打診していると聞く……。あげくは策に事欠いて、サンドリアに援軍要請など……後先考えず、いらぬ火種ばかり増やしおって……!


本心ではRobel-Akbelに並ならぬ不快感を抱いているようだ。

Kamolo-Domilo :このまま奴の好きにはさせておかぬ。我とて秘策はあるぞ。出し抜いてくれるわ、ロベルアクベルめ……
Lukka-Lakka :……。

  一見革命的ともいえる大魔元帥Robel-Akbel。自ら司令にあたり現場を仕切り、窮地だったウィンダス軍にとってはカリスマ的存在ともいえる。しかしそれ故に保守的な思考が全体的に目立つ(個々の強烈な個性はともかく)ウィンダスにとっては異端とも言えるし、反対するものも居るのは想像できる。そして、このカモロドミロもその一人なのだ。今回の数々の過激ともいえる作戦で、我慢できななくなったのか、カモロドミロは不穏な空気を残してその場を立ち去る。

「カルゴナルゴ城砦防衛」への不満とは?
  上記にもある通り、カルゴナルゴ城砦はウィンダスにとって最後の砦であり、ヤグード教団が構えるオズトロヤ城とはメリファトを挟んで存在している、いわゆる戦線の、まさに最前線である。そこを任されるのは、逆に大変名誉な事ではないのか?特に今後の展開を考えると、カモロドミロの行動は理解し難いものがある。そこで、彼の登場シーンでもある、この段階で一旦彼のRobel-Akbelへの反抗心、そしてカルゴナルゴ城砦の(二人の対立上の)重要性についてまとめてみようと思う。
  まずは上の記事の通り、元々Robel-Akbelとソリが合わないからの、感情的な部分が強い。クエストの内容からすると、大半が、この嫌悪感から来ると思える程衝動的なものである。これに関しては下記でも触れるつもりであるが、戦争において、数多くの人の命を預かっている(自分のはもちろん一般市民だけでなく、部下のも)立場の人間が本来してはいけない、個人的な感情による暴走に近い。


強い感情は原動力にもなるが、浅はかな思案や凡ミスにも繋がってしまう。

  その暴走の引き金となったキーワードこそが「カルゴナルゴ城砦」ではないだろうか。この城砦防衛において、カモロドミロとRobel-Akbelの思想の違いを分ける要素もほかにある。
  その一つは、会議後のカモロドミロの発言の「ミスラ傭兵団」がポイントとなっている。元々ミスラ傭兵団は、ウィンダス港に居た海賊だった一団を、傭兵団として連邦国が抱え込んだ形で結成されたとされている。加えてミスラはタルタルよりも運動神経等に恵まれている為肉弾戦に長けている。脅威になりそうだった一団を逆に味方につけた、と言った方が正確とも思える。保守的な(考えが古い)ウィンダス民からしたら、ゴロツキに近いイメージなのかもしれない。しかもミスラの同胞の為に遠征して来ている傭兵団も増えているようだ(猛虎団のように)。
  Robel-Akbelは、クエスト「禍つ闇、襲来」の終盤で、ミスラ傭兵団と魔導師団の連携を今後視野に入れている事を明かしているし、傭兵団の戦力を重要視している部分がある。ミスラ傭兵団が増えている(居やすい環境にある)のは、Robel-Akbelが容認する事による部分も強いと予想できる。カルゴナルゴ城砦の防衛において、要所にミスラ傭兵団を配置するように促すRobel-Akbelは、カモロドミロから見たら、価値観の押し付けをされた感覚だったのかもしれない。
  更に後の展開で明らかにされる部分ではあるが、カモロドミロは魔道士タイプのキャラクターであり、おそらくはカルゴナルゴ城砦に施された「魔法防壁」を過信している部分があるようにも見える(詳細は下記参照)。その為ミスラ傭兵団に頼らないといけない理由が理解出来ない。
  そしてもう一つのポイントは、「留保されてたオズトロヤ城攻略作戦」の同時決行。これに関してはRobel-Akbelの「指をくわえて待っているだけでは退屈」発言で、恐らくは攻めに出る作戦であり、非常に前衛的なものであると予想され、しかも敵の本陣を攻略するものである。そのような派手な作戦は自ら指揮をし、一方地味に見える(非常に重要なポジションであるが、そこが見えていないのがカモロドミロの浅い部分)カルゴナルゴ城砦を「押し付けられた」とカモロドミロは感じたのではないだろうか。自分にはそのような仕事を押し付けておいて、Robel-Akbelは派手な先陣で「手柄を独占する」という、嫉妬にも近い被害妄想を抱いてしまったと思われる。
  挙句に数百年もの間敵国だったサンドリア援軍要請を発言したRobel-Akbelは、カモロドミロの理解の範囲を超えてしまったようだ。そもそも「サンドリア」や「ミスラ傭兵団」という、ウィンダスの歴史では重要ながらも「過去」の話に執着しているカモロドミロは「古臭い頭でっかち」なイメージを受ける。そんな彼から見たらRobel-Akbelの発想は斬新過ぎて理解出来ないものなのだろう。
  そして理解出来ない物は言い知れぬ恐怖と嫌悪の対象にもなる。カモロドミロはそのように感じたのか、この後暴走を始める。

カルゴナルゴ城砦の不穏な動き(クエスト『降臨、異貌の徒』)

  上記のクエストの続きにあたるカモロドミロの動きは、プレイヤーの行動範囲外なので、実際に片鱗が見えてくるのは次のクエストに入ってからの回想シーンとなる。上記のRobel-Akbelは「白兵戦の可能性に備え猛虎義勇団とコブラ傭兵団を連れていけ」と言っていたにも関わらず城砦は人影がまばらだったようだ。それに関して、城砦配属兵のRotih Moalghettが教えてくれる。カモロドミロが猛虎団にある命令を下していたのだ。



  会議の内容と矛盾した命令、しかも星の神子の発言だと彼は言っている。

Kamolo-Domilo : また、神子さまはこうも申された。「いま、大魔元帥を失うわけにはいきません」……と。
Ghyo Molkot : ホンマかいなぁ?さんざん急かされて城砦まで来たおもたら、こんどは敵の本拠地に乗りこめやなんて。
Kamolo-Domilo : 我が国では神子さまのみ言葉は何よりも優先される。無論、大魔元帥の命令よりな。
Nhiko Rhaabel : はぁ~。こっちの大陸のヒトらはほんまミスラ使いが荒いわぁ。
Ghyo Molkot : あんなぁ、さっきも言うたけど、ウチらがここ空けて、一気に攻め込まれたらどないすんの? 何か策はあるんやろな?
Kamolo-Domilo : フン、魔法で守られた門を破ることなど不可能だ。なれば我々魔戦士の火力の前で、教団軍など鴨の群れも同じ。さあ、わかったら行け!


Ghyo Molkot :……フン! あとで泣き見ても知らんで!

  こうして釈然としない様子で猛虎団のGhyo Molkotらはオズトロイア城に向かう。彼女らからしたら、元々Robel-Akbelから言われた「カルゴナルゴ防衛ようの白兵要員」とはまったく違う指示である上に、高圧的な態度で命じられている。しかし義勇団として参加している彼女らは、その軍の頭とされている星の神子の命令と言われたら従うしかない。
  もちろん、これはカモロドミロの作戦である。上記の、猛虎団とカモロドミロのやりとりについて聞いた冒険者たちは、その直後にカモロドミロを遠巻きに目撃することになる。

Lukka-Lakka : カモロドミロ閣下 やはり、私たちだけでは心許ないかと。猛虎義勇団を呼び戻されては……
Kamolo-Domilo : 心配無用だ。ここは、魔法防壁に守られた難攻不落の城砦。ヤグードどもの羽根先すら、砦内に入り込めぬわ。


作戦とは無関係な兵が居る所で語っている事自体、カモロドミロの浅はかさが見える。

  更に、カモロドミロの本心が、思考としてこのとき明かされるのだ。

Kamolo-Domilo : (……無謀な作戦を断行した挙句神子さまの機転で傭兵風情に救出されたという噂を流せば、大魔元帥の面目は丸つぶれ……たとえ、ヤグードどもが攻めてきたところで、人馬魔導団の魔法で蹴散らされ、我が手柄となるだけのこと……)

  つまり、カモロドミロはRobel-Akbelに濡れ衣を着せ陥れる為に、猛虎団を騙してコマ扱いしているのだ。その為に星の神子の言葉だと偽りを言った事も分かる。自らの手柄にする為に味方を危機に投げ込んだのだ。
  この事実を知った冒険者は、実はヤグード達が魔法に長けているウィンダス軍への対抗策として耐魔防具の開発に成功したという情報を手に入れていた。このままでは単身敵地に送られた猛虎団だけではなくウィンダス自体が危険に晒されてしまう。Ghyo Molkotらを事実を知らせ呼び戻すためにオズトロイアに向かった冒険者らは、そこで偶然Robel-Akbelに会う。ここで冒険者からの情報とGhyo Molkotの発言によりRobel-Akbelはヤグード軍の次の手と、カルゴナルゴ城砦(そしてウィンダス本土)の危機を知ると同時にカモロドミロの思惑も知る事になった。


城砦に来たRobel-Akbelを白々しく出迎えるカモロドミロ。

Kamolo-Domilo : これはこれは元帥閣下。ご無事で何よりでございます。一日千秋の思いで、お待ちしておりました。
Robel-Akbel : 世辞はよい。貴下は何故我が命に背き、猛虎義勇団をオズトロヤによこした?しかも、神子さまの神命を騙ったそうだな……


Kamolo-Domilo :お言葉ながら、我らの精霊魔法と魔法防壁があれば、砦は安泰です。余剰兵力は有効活用すべきかと……
Robel-Akbel :……。

  カモロドミロの罪状はRobel-Akbelが述べている通りだが、カモロドミロは悪びれもせず、逆に言い返している有様だ。計算上ではRobel-Akbelにではなくカモロドミロに手柄が行く事になっている自信があるのだろうか。二人の間に緊迫した空気が流れる。しかしそんなカモドロミロとしては予想外の報告が届く。

Pattna-Ottna :……か、閣下!き、き、来ました!!ヤ、ヤグード……ヤグードの大軍です!!いったい、どこから!?
Kamolo-Domilo :……バカな!?そんなはずはない!
Robel-Akbel : サルタバルタからアラゴーニュにかけて、点々と口を開ける奇妙な洞窟の噂を聞いたことがある……。入口こそ狭いが中は巨大な空洞となっているそうだ。それを利したか……。


「魔法防壁」があるにも関わらずヤグード軍が現れた報せに驚きを隠せない。

  この後はカルゴナルゴ城砦防衛戦に物語は突入していく。Robel-Akbelは自ら総指揮をとり、非戦闘員に避難を命令し、ミスラ傭兵団にも指示を飛ばしていく。一方カモロドミロは指揮権を剥奪されているわけだが、戦闘に(当然)参加する。しかしその思考は固いままだと、登場シーンで分かる。


Kamolo-Domilo : ふん、耐魔装備だと?そんなものが……

Kamolo-Domilo : 喰らえっ、ファイガ!!!

だが、耐魔装備のヤグードには魔法は当然通用しなかった。

Kamolo-Domilo : バカなっ!? くそっ……精霊魔法、打ち方やめ! やめ!! 撤収だ!口惜しいが、強化魔法で傭兵どもを支援するぞ!


その後ヤグードは城砦に入り込み、更に窮地になっていく。

Kamolo-Domilo : ムダな精霊魔法を打つな!非戦闘員は奥の隠れ港へ!
Lukka-Lakka : くっ、ダメですっ……囲まれています!

  ここで注目したいのは、上の写真の段階で、ウィンダス軍はかなり圧されている状態だ。この段階でようやっとカモロドミロは「非戦闘員の避難」の命令を出している。しかしRobel-Akbelは戦闘開始前に既にその命令は出しているので、おそらくは既に避難済み。敵が既に城砦内に入り込んでいる混戦状態になってようやっと非戦闘員の避難命令を出していては、ますますカオスなのは戦時を知らない自分でも簡単に想像出来る。これは、「魔法城壁を過信」し尚且つ「魔力自体に頼り過ぎた」カモロドミロの判断ミスであり、詰めが甘い部分でもある。己の手柄と、Robel-Akbelを陥れる事に執着したがために周りが見えなかったのだろう。そんなカモロドミロより一枚も二枚も上手なのを見せ付けたRobel-Akbelは、指揮官としての視野の広さも垣間見せている。
  そしてこの後、援軍は絶望的と思われていたサンドリアからYrvaulairら王立騎士団が援軍に現れ、戦況の流れは一気に変わっていく。そしてRobel-Akbelは、聖都ウィンダスを地下通路を使って攻め入ろうとしているTzee Xicu the Manifestを、ヤグードらが使っている地下通路を逆手にとって追う事にし、カルゴナルゴ城砦は窮地から助かる事になる。

人馬戦闘魔導師団員はいずこへ?
  この一連のクエでカモロドミロは重要なポジションを受け持っているが(悪役的な意味で)、実は彼の部下はLukka-Lakkaくらいしか登場していない。そのLukka-Lakkaも、基本的に発言はカモロドミロの暴走を止めようとする良心的なものだが、カモロドミロは聞く耳を持たず、結果的にカルゴナルゴ城砦およびウィンダス聖都は危険に晒されて行った。戦場でLukka-Lakkaと背中合わせに近い状態で戦うカモロドミロ。「魔法を打つな」と命令を出しているところを見ると他にも部下が居るはずだが、一切描写がない。
  しかしカモロドミロは、このクエストの一連の描写から見れるように、非常に個人的な感情に流されて、守るべき国、味方、そして自分自身すら危機的状況に追いやっている。Lukka-Lakka以外の部下が登場しないのは、そんなカモロドミロのリーダーとしての素質の無さ(少なくともこの状況下で彼が行った行動はあまりにも浅はかでお粗末な作戦である)を浮き彫りにすると同時に、そんな彼に従う部下が既にいない、すなわち部下にすら見限られているのを暗示しているのではないだろうか。

数々の罪の代償

  冒険者の活躍と、Robel-Akbelの機転により、カルゴナルゴ城砦とウィンダス聖都はかろうじて守られた。勝利に沸くウィンダス軍。しかしRobel-Akbelは勝利宣言の時も、戦った者達への配慮を忘れなかった。

Robel-Akbel :……大儀であった! 聖都は守られたぞ!!しばし休んで傷を癒してくれ。……そして死者を丁重に弔え。

  そして映し出されるのは、焼け落ちたウィンダスの建築物、そして倒れた者達……。今回の戦いの全てがカモロドミロのせいではないにしろ、少なくとも彼の見解の誤りの為に被害数が拡大したのは確実だろう。しかも、それは非常に個人的な理由であり、感情に流された利己的な思考から出た被害とも言える。
  当然、このまま何も咎めが無いままでいられるほど生易しい状況でも罪状でもない。カモロドミロは大魔元帥Robel-Akbelに呼び出された。


Robel-Akbel :……人馬魔導団、師団長カモロドミロ……わかっておるな?
Kamolo-Domilo :はっ……
Robel-Akbel : 畏れ多くも神命を騙り、星の神子さまに預かりし兵をオズトロヤ城へ派遣……
Kamolo-Domilo :……も、申し訳ありません。


Robel-Akbel :城砦と聖都を窮地に陥れた罪、何をもって償うのだ?
Kamolo-Domilo :なにとぞ、なにとぞ……!
Robel-Akbel :目を閉じろ。
Kamolo-Domilo :……えっ!?


Robel-Akbel :星月に祈れ……

  背を向けていたRobel-Akbelが振り向き、腰の片手剣を抜き取った。そして画面は暗転し、斬り付けた効果音だけが鳴り響く。カモロドミロは、ここで歴史の舞台から消えることになる。

ここで「死刑」はやりすぎ?
  このシーンでの流れ、演出からしたらカモロドミロがそのままRobel-Akbelに「死刑」にされたのはほぼ間違いないと思われる。クエスト実装直後、このクエストを終えた一部の人(管理人のフレ、某掲示板の世界設定を語る関連スレ等)では「死刑はやりすぎではないか?」という声もあったので、それについて色々と考えてみた。
  まずは上記でも何回か書いた通り、カモロドミロは己の感情に流されウィンダス軍全体の事を視野に入れずに作戦を立てていた。それはRobel-Akbelを貶め、更に自分に手柄が来るようにするものだった。しかもRobel-Akbelは総司令官にあたる大魔元帥。そしてその軽率ともいえる作戦の為に自分が守るべきカルゴナルゴ城砦、更に自軍の本拠地・ウィンダスをも危険に晒した。軍全体のためを思って命に背いたならまだしも、カモロドミロが取った行動は内乱に近い思考が見え隠れしている。そのような危険分子は、軍全体を任されているRobel-Akbelとしても不要なコマである。
  しかも事前に注意を散々促していたのを無視した結果、魔法防壁をかいくぐって実際にヤグード軍はカルゴナルゴ城砦を窮地に追いやり、かつウィンダス聖都にも攻め入った。結果的に必要以上の被害(非戦闘員・戦闘員問わず)出たのは、ウィンダス防衛後の一瞬にもわずかながら描写されていた。


カモロドミロが素直に従っていれば、ここまでの惨状にはならなかったかもしれない。

  当然ながら、戦力に兵数は大きく関わるものである。それを視野に入れない戦略は本来ありえないものと言える。それをカモロドミロの独断によるスタンドプレイにより無益な損失をウィンダス軍は受けたのである。
  そしてもう一つ、重大な要素は「星の神子の騙った」ことである。本来星の神子とは、神に等しい存在であり、政治的中心人物だけでなく宗教的な意味でも崇拝の対象である。現代の我々からしたら似た様な存在が居ないから、これだけだと理解し難い思想かもしれないが、異国人であるGhyo Molkotらですら、その名前が出ただけで(どんなに疑問が拭えない言葉であって渋々であっても)従う威力があるほどの存在である。そしてほんの数十年前、日本にも同じように「天皇」が崇拝されていた事も忘れてはいけない。カモロドミロが行った事は、分かりやすく日本の歴史に置き換えると「天皇からの命と偽って指令を出した」ようなものなのだ。
  実際に、カモロドミロが行った事は、代償が余りに大きく、死刑は正直当然の結果と思える。しかしクエストを終えて「やりすぎだ」と感じる人が少なくなかったのは、恐らくはタルタルという種族の見かけが大きく影響しているのではないのだろうか。子供のような容姿で、大半のNPCは個性に溢れ、天真爛漫だったりマイペースだったり、逆に好戦的な性格をしている者もどこか愛嬌がある部分を持つ者が多い。実際、タルタルはクエストやミッションでもギャグ担当だったりマスコット的な役割を担っている事が多いと思える。だからこそ「死刑」など、生々しい描写がイメージとずれたプレイヤーが疑問に思ってしまったのかもしれない。
  しかし逆に言えばこれはクリスタル大戦であり、戦争なわけである。普段は上記のようにおどけた演出に使われているタルタルも、そのような状況ではない、といった為にプレイヤーのキャラクターに対する先入観を逆手に取った演出ともとれる。それだけシリアスでシビアな時代なのだ、という描写だとしたら、このシーンでショックをプレイヤーが受けるのはまさに「計算通り」なのかもしれない。


少なくともカモロドミロが引き起こした犠牲、そしてその行動自体が、このような結果を招いたのは当然なのは忘れてはいけない。

  それでも「死刑はやりすぎ」や「タルタルにそのような演出はやりすぎ」等と、このシーンを不快に思ったプレイヤーには、「あの時Robel-Akbelはカモロドミロのマゲを切り落とした」という説もある事をここに一応記しておきたい。


最終更新:2008年11月26日 03:59