Elysia (詳細・ネタバレ編)


  • ヒューム♀、NPC専用中年女性フェイス、タブナジア地下壕 2階G-10
  • 記憶喪失のPradiulotを看護し、見守る女性。


この物語は、戦争に翻弄されてしまった二人の物語であり、その後の20年に出した結論、同じ話に向き合う二人の対照を描いた生き様が垣間見れる。



20年越しの想い(クエスト『秘めたる想い』)

  タブナジア地下壕を訪れた冒険者(プレイヤー)は、失くし物をして困っている中年の女性に出会う。亡くなった友人の為に祈りを捧げに出かけたところ、そのお供え物の髪飾りを落としてしまったらしい。彼女の慌て方を見ても、とても大事な用事だというのが伺える。


そこに彼女を見知っているらしい男性が話しかけてくる。

Pradiulot:おう、エリシア。何やってんだ、こんなところで。
Elysia:プラデューロ……!
Elysia:あの、ええとね、そう……旅のお方に、いろいろな話を聞かせてもらってたの。ねぇ?
Pradiulot:ふーん、お話ねぇ……

  男性、Pradiulotが話を信じたか以前に、既にエラジアと呼ばれるこの女性の様子が引っかかる。失くし物をしていた、という内容の会話だったのをすっかり誤魔化しているのだ。そしてPradiulotも、突然冒険者に向かって不思議な発言をするのだった。

Pradiulot:冒険者さん、つかぬことを聞くが……俺の知り合いじゃないよな?いや、からかってるわけじゃないんだ。気を悪くしないでくれ。20年前の戦争で、俺は瀕死の大怪我を負ってな、それ以来、戦争前の記憶が、すべてなくなっちまったんだ。だから、知らない人に会うたび、そう声をかけてるというわけよ。
Elysia:プラデューロ、今は、町の見回り?
Pradiulot:ん? ああ、これから女神様の周りをぐるっとな。若い奴にばかり任せられないしよ。
Elysia:そう……。
Pradiulot:っと、じゃぁ、そろそろ行くとするか。おふたりさん、どうぞ、ごゆっくり。そうだ、エリシア。今晩の飯はシチューがいいな。とびっきり美味いの食わしえてくれ。
Elysia:はいはい。


記憶喪失と語るPradiulot。二人のやりとりは夫婦のようにも取れてしまう。

  そういって、町の見回りに出かけていったPradiulot。エリシアは無言でその後姿を眺めていた。そして、改めて冒険者に再び髪飾りを探したらもってきて欲しい、と頼んだ。
  エリジアの発言をヒントに、冒険者は純白の髪飾りを地下壕の三階で見つける。彼女にそれを渡すと、その髪飾りと、亡くなった友人について語ってくれた。

Elysia:……私の話、聞いていただけますか?……言いましたよね。これから、亡くなった友人のために祈りを捧げに行くところだと。友人の名は、ミシャーノといいます。ミシャーノは、20年前の戦争で命を落としました。
Elysia:いいえ、本当は……私が殺してしまったんです。
Elysia:当時、ミシャーノは新婚でした。ただ彼女は昔から体が弱く……。その日も私は、彼女の夫の留守中、ミシャーノの看病をしていました。すると突然、軍の猛攻撃が始まって……私は、病弱だった彼女の手を引き、必死で逃げました。そのときでした。逃げ惑う人の波に押され、私は彼女の手を放してしまったんです。あっという間に彼女は、私と、はぐれてしまいました。すぐに戦場に戻り、必死で彼女を探しました。でも、途中で町の人に引き戻され……そのまま彼女は……彼女のことを思い出さない日はありません。毎年、この時期になると、私は彼女が好きだった髪飾りを持って、お祈りに行くんです……

  彼女の思い、そして髪飾りには20年も前から彼女の心に重くのしかかる罪悪感から来るもののようだった。しかし「私が殺してしまったんです」と言うには自分を責めすぎている印象を受けるかもしれない。無言で暫くうつむいた彼女は、冒険者にひとつお願いをする。先ほど町の見回りに出かけたPradiulotに、「エリシアが井戸で待っている」と伝えて欲しい、というものだった。

Pradiulot:よう、冒険者。どうかしたのか?何だって、エリシアが井戸で待ってる?全くしょうがないな……。いったい何の用なんだか。


Pradiulotは冒険者の言葉を信じ、その場を立ち去っていく。

  Pradiulotが持ち場を離れたのを確認したエリシアは、冒険者にお礼を言う。Pradiulotに向かうように伝えた冒険者だが、彼女はその場に現れた訳だ。

Elysia:すみません。こんなことまで頼んでしまって。井戸ですか? いいんです。私がお祈りしてることを彼に見られたくなかっただけですから……

  そうしてPradiulotが離れた暁の祭壇で静かに祈りを捧げたアリシアは再び冒険者のほうを向いた。友人ミシャーノの話には続きがあった、と切り出す彼女。

Elysia:お話したとおり、ミシャーノは結婚していました。そして、そのミシャーノの夫だったのが……プラデューロだったんです。彼は、もう、そのことを覚えてません。ミシャーノは私の親友でした。だから、彼女が結婚したとき、本当に嬉しかったんです。
Elysia:たとえ相手が、古い友人で、昔から私が好きだった相手だとしても……私は心からふたりを祝福したつもりでした。

  明らかになっていくエリシア、ミシャーノ、そしてPradiulotの関係。三人は結婚前からの昔なじみであり、エリシアはPradiulotに密かな恋心を抱いていた。そして二人が結婚するときに、全ての感情を封印し、二人を心から祝福した。そのはずだった。

Elysia:でも、心のどこかに、暗い影が眠っていたんじゃないか。そんな想いで、彼女の手を放してしまったのではないかと……そう考えると、私は……私は、怪我から目覚めたプラデューロにすべてを話しました。しかし彼は、私のことも、ミシャーノのことさえも憶えてませんでした。

  彼女は、ミシャーノを戦乱ではぐれたまま見つけられなかった自分を責めているだけではなかった。押し殺した想いが、あの時彼女とミシャーノを引き離して、探しはしたものの努力が足りなかったのではないか。だから死なせてしまったのではないか。そんな罪悪感もあったのかもしれない。そして、その夫であり想い人でもあったPradiulotは、記憶が一切なかった。そんな彼を現在も支え続けているエリシアにとっては、それすらもミシャーノへの罪悪感に駆らせているのかもしれない。


懺悔をするかのように祭壇で冒険者に全てを話すエリシア。

Elysia:この先、プラデューロの記憶がどうなるかは、わかりません。それでも私は彼のそばで生き続けようと思います。彼を支え続けること、それだけが今の私にできるすべてですから。

  そういい残し、彼女は冒険者にお礼を述べ帰って行った。Pradiulotが戻ってくる前に、と。
  一方、Pradiulotは持ち場に、ぶつぶつと文句をいいながら戻ってきた。当然ながらエリシアには会えなかったようだ。そんな彼に、冒険者はエリシアを庇うようにその場を取り繕ったようだ。


Pradiulot:なに? うっかり、言い間違えた?しかも、もう用事は終わった?何だそりゃ……。変なことを頼んだエリシアもエリシアだ。今日のシチューは特製じゃないと許さないと言っといとくれ。

  それをエリシアに伝えると、彼女は嬉しそうにこういった。

Elysia:まぁ、プラデューロ怒ってました?それなら、腕によりをかけて作らなくっちゃ。


  なお、このクエストにはここで終わるが、再びPradiulotに話しかけると、話の全貌が見られる。完結編ともいえるこちらの詳細をしりたい人は、Pradiulot (詳細・ネタバレ編)を引き続き見て頂きたい。

最終更新:2008年05月11日 17:27