Thierride (詳細・ネタバレ編)


  • エルヴァーン♂、老人フェイス、サンドリア港G-7
  • サンドリア港で食堂「錆びた錨亭」を営む老人。


20年前の戦争当時はF8だったようだ。ちなみに当時から一人称は「わし」。

  クリスタル大戦の後、三国の情勢は比較的平和なものとなり、三国とジュノを結ぶ飛空艇が飛ぶようになった頃、サンドリアの港は大きく変わった。飛空艇は飛んでいない時は船のように水に浮かぶ乗り物であるために、比較的強大な水面が必要とされ、サンドリアの場合はルフェ湖を利用して港に飛空艇の乗り場を設置することにした。これにより物流や観光の要となり経済的影響も大きく受けたが、逆にテリードは漁師としてサンドリア港で漁を営んでいた。早い話、サンドリア港に飛空艇が行き来するようになってから魚が取れなくなってしまったのだ。彼は漁師をやめて、逆に人の出入りが激しくなった港に食堂を開いた。
  実は20年前のクリスタル大戦の時もサンドリア港は閉鎖され漁が出来なくなった。テリードにとっては歴史が繰り返されたわけで、当時はマメ料理を騎士団に提供することで生計を立てていた。しかしそれまでの道のりは長い。3//11/08 に追加された新クエストにて、現代では看板料理となったあの「マメ料理」の誕生、そして「錆びた錨亭」の歴史を垣間見る事が出来る。

漁に出られない漁師の挑戦(クエスト『漁師の錨 』)

  人影もまばらな戦時の南サンドリア。民家の前で立ち尽くし悩んでいる風な男性と出会う冒険者。元々漁師だと語る彼、テリードは戦乱で漁に出られなくなったとぼやく。仕事は出来なくては生活に困るわけで、テリードは「漁」がダメなら「料理」で勝負しようと思い立ち、兵士たちを相手に食堂を開こうと思いついた。しかしここでもやはり戦乱の影響が色濃く出てしまい、出店許可はすぐに下りたが、問題は食材の調達。


  当然、食材は簡単に手に入るものなど少なく、国外からの輸入も時代的に不可能。それならいっそのこと、とびっきりのマメ料理を作ろうと、逆境を逆手に張り切るテリードは毎日試行錯誤を重ねているという。しかしなかなか彼が思い描く味にはならないようで途方に暮れていた。もし良さそうな調味料を見つけたら是非持ってきて欲しい、と冒険者(プレイヤー)に頼むのだった。


ガッツはあるが、いまいち決め手になる味にならないようだ。

  マメ料理といえば、現代サンドリア港にある「錆びた錨亭」にて、「マメ料理の隠し味」というクエストがある。そこのスペシャルメニューとなっているマメ料理の隠し味として使われる、ルフェ湖の塩。その存在を思い出した冒険者は、現代からルフェ湖の塩を仕入れ、テリードに渡す事にした。その塩の輝きに感動したテリードは早速料理に取り掛かる。興奮気味に再び冒険者のところに戻ってきたテリード。大分、理想の味に近づいたようだが、少し量が足りなかったようだ。可能ならもう一つ塩の結晶を持ってくる事になる。(ので、実際は二つ「ルフェ湖の塩」をクエスト中は持参したほうが二度手間にならずに済む)。


再びルフェ湖の塩を彼に渡すと、その美しさに再び感動する。

  再びルフェ湖の塩が手に入り、料理の完成を確信するテリードは、是非その「歴史的瞬間」に立ち会ってほしいと冒険者を家に招き入れる。

Thierride : ふむ!思ったとおりの素晴らしい味に仕上がったぞ……。どうだね、この鼻から頭のてっぺんに向かって、螺旋をえがくように入りこんでくるコク深くもまろやかな香りは!

  ついに料理は完成したようで、テリードは思わず某マンガのセリフのような感想を述べている。早速、冒険者にも味見を勧めようとしたところ、パタパタと部屋に駆け込んできたのは近所の子供たち。

Nogelle : なになに、このイイ香り~。
Antreneau : なんだかいつもと違うとてもイイ香りがするよ?

  あまりのイイ香りに釣られて来たNogelleAntreneauは、新しい料理に興味津々のようだ。その様子にテリードもうれしそうである。


  上記のやりとりからも、今までいかに失敗を重ね、苦労をしたかが物語られている。早速味見をさせてほしいとせがむ二人に、テリードはマメ料理を振舞う事にした。「ちょっとアツイから、気をつけて食べるんだよ」と注意する彼だが、二人はあっという間に平らげてしまったようだ(二人の反応についてはNogelle (詳細・ネタバレ編)Antreneau (詳細・ネタバレ編)を参照して頂きたい)。そしてその美味しさに二人とも歓声を上げた。


思わずガッツポーズのテリード。

  二人の反応に手ごたえを感じたテリードは、大きく自信をつけたようだ。食堂を開き商売を始めるのにも、これなら問題なさそうだ。


その為の調味料を持ってきてくれた冒険者にも感謝する。

Thierride : こんなに素晴らしい調味料を見つけてくれたあんたには、足をむけて寝られないほど感謝している。寝所の方角を教えてもらいたいくらいだよ。わっはっはっはっは……

  家の外まで冒険者を見送りながらテリードは、持ってきてくれた調味料の正体はルフェ湖の塩かと問う。あまりにきれいな塩の塊に、その正体を聞くのをすっかり忘れていたようだ。ルフェ湖の塩なら、騎士団に頼んで調達してもらえるかもしれないと思ったテリードは、食堂用の調達を、騎士団に掛け合ってみると話す。
  翌日テリードのもとを訪れると、早速事態は好転したようだ。ルフェ湖の塩について、騎士団の知人に相談したテリード。その出来栄えが良かったようで、マメ料理を騎士団の携行食として納入するのを条件に、ルフェ湖の塩の調達を承諾してくれたのだという。


マメ料理はことのほか好評で、物語は思わぬ進展を見せた。

Thierride : おかげで出店の話は延期になったが、騎士たちがマメ料理で力をつけて、少しでも早くこの戦いを終わらせてくれることを願うよ。そうすれば食堂どころか、また以前のように「漁」で食っていけるってもんだ。



  このクエストは、戦争によって生活の糧を失い、そこから立ち直り、更には兵士として以外の、縁の下の力持ち的な意味合いで戦争に貢献をする一般人が描かれている、興味深いものだと思う。兵士になれなくても、仕事を失っても、道は困難でも、人は何とかやっていけるものなのだ。このクエストは、そんな「歴史に残らない」普通の一般市民の強さを描いた物語に仕上がっている。
  なお、終戦後テリードは一旦漁師に戻り、やがて飛空艇の行き来で港が様変わりしていった後に食堂を営み、現在に至る。このクエストで語っていた夢は、両方とも叶ったといえる。そして味見をした子供たちは、現在では店の常連(文句は多いが)と看板娘になっている。

  ちなみにこのクエストで初めて明らかになるこの自慢のマメ料理(実際料理自体の存在はクエストの中で初期からあるが、「マメ料理」とか登場しておらず、その詳細全てが「マメの料理」以外は不明だった)。報酬である「漁師風カスレー」がまさにそれである。テリード自らが考案した「豆のシチュー」という事が判明した。味の決め手が塩というところをみると、いわゆる「素材の旨みをそのまま生かした」シンプルで奥深いものではないかと思われる。

最終更新:2008年04月21日 10:33