Romualdo(詳細・ネタバレ編)
- ヒューム♂、2a(黒髪)、バタリア丘陵〔S〕I-7
- 大工房の砲台塔を担当している軍人。
- クリスタル大戦中は「バタリア丘陵に、この人あり」と謳われた名砲手だった、らしい。
「アルタナの神兵」時代関連事項
- アルタナ連合軍に配属されて、バタリアの丘陵の砲手として参加。
- 実は砲撃にもたついて班に迷惑を掛けていると落ち込んでいる。
- その理由には亡くなった父親の最期の言葉が聞けなかったからと言う。
- 男手一つで父親に育てられた。
- 毎回戦線に出るときは「必ず戻る」と言い残していたという。
風に乗って聞こえる声(クエスト『追憶の風に抱かれて』)
現代・バストゥーク大工房にある大砲塔。ここを担当するロムアルドはクリスタル大戦時代から軍に所属していたと冒険者(プレイヤー)語る。
Romualdo : 俺は今でこそ腕前を披露する機会はないが、大戦中は「バタリア丘陵に、この人あり」と謳われた名砲手だったんだぜ。 あんたにも見せてやりたいよ。あのころの俺の勇姿を。
20年前、すなわちクリスタル大戦時代に旅ができるようになった現在の冒険者。そんなロムアルドの勇姿を見に行くことが可能な現在、早速20年前のバタリア丘陵に向かった。
Romualdo :……はぁ。また砲撃にもたついて班に迷惑かけちまった。最近集中力がなくて、失敗つづきだよ……。
がっくりとうなだれるのは若いロムアルドだった。やはり現代のロムアルドは大戦時の「活躍」を若い冒険者に大げさに伝えたのだろうか。しかし若きロムアルドの話は続く。失敗つづきには理由があるようだ。
Romualdo : 集中できないのはこのあいだ任務で行ったグロウベルグで、死んだはずの父さんの声を聞いてからなんだ。 父さんは、もうずいぶん前グロウベルグでみつかった上質なクリスタルの調査中に事故で死んだんだが、そのとき俺になにか言い残そうとしたらしいんだ。父さんは最期に、なにを言おうとしたんだろう……。きっと、今でも俺になにかを伝えようとしているんだ……。確かめに行きたいけど、俺はここを離れられないし……。ああ、父さんのことが気になって、いてもたってもいられないよ。
亡くなった父の遺した最期の言葉、が気になるようである。事故によりグロウベルグで命を落としたというロムアルドの父。現在はアルタナ同盟軍の一員としてこのバタリアに配属されているロムアルド自身は持ち場を離れることが出来ず、しかし父親を想うと気もそぞろ、といった感じのようだ。グロウベルグに彼の父に関する情報が残っていないか、冒険者が代わりに行ってみると申し出る。
現在では閉鎖され通行不可能になっている地区、グロウベルグ。闇雲に探し回っても手がかりを探すのは不可能に近いであろう、非常に広く岩山や崖が点在する、地形的にも危険な地域でもある。まずは情報を手に入れるために冒険者が向かったのはグロウベルグの南西にある、バストゥーク軍の駐屯地だった。
Childerich : ん?ロムアルドという兵士の親父の声を聞かなかったか、だって? またその手の話か。そいつの親父は、何年も前に亡くなってるんだろ?声なんて聞こえるわけねぇよ。 あんたの他にも、死んだ身内の声をこの山で聞いたっていうヤツがたくさんいるんだよな。前線への補給や見回りで忙しいってのに、勘弁してほしいぜ。
冒険者の話にぶっきらぼうに返事する
Childerich。グロウベルグはクゥダフ軍の本拠地に近い地区でもある。常にカンパニエ等の臨戦状況に陥る場合も多い。確かにこのような話をしても邪魔になるだけかもしれない。立ち去ろうとする冒険者だが、不意に背後から声をかけられる。
Bhoratz : ロムアルドの父は以前、ここに立ち寄ったことがある。隊を組みこの山を登るうち、中腹の崖で命を落とした……。お主も山を登るつもりなのか?この山は危険だ。行ってはならん。
とうとうロムアルドの父親についての情報を得られた。危険という事だが、そこは数々の冒険をこなしてきた冒険者。
Bhoratzの注意を気にも留めない様子で山道に向かって歩き出した。その背中を怪訝そうに見つめる
Bhoratz。
Bhoratz : やはり、お主も私の話を聞かぬか……。
駐屯地から徒歩でゆうに一日を費やす山道を冒険者は歩き続けた。やがてバストゥーク軍の砦の傍にある断崖絶壁にたどり着いた。おそらくここ「中腹の崖」なのだろう。切り立つ壁に、遙か下に見える大地。真下の谷は、崖の間を掻い潜るように狭く続いていった。そしてそこから冒険者のたつ崖の上へと向かう風の音に混じって、人の嘆き声らしきものが、かすかに聞こえるようだった……。
Bhoratz :……この崖で多くの者が命を落とした。危険だからと止めたが、誰も私の言うことを聞いてくれなかった……。
振り返ると、冒険者にいつの間にか追いついたのか
Bhoratzが立っていた。
Bhoratz : この声は、亡き者たちの叫びだ。お主が探している者の声も聞こえる……。わかるか?……ロムアルドに伝えてくれ。「お前をひとりにしてすまない」、と…………声はそう言っている……。
本当にこの風に乗って聞こえてくる不気味な音は、この地で命を落としてしまった者達の声なのだろうか?現実的に考えると「ありえない」。しかし何かを尋ねようと振り返った冒険者の後ろにいた筈の
Bhoratzはいつの間にか居なくなっていた……。
今の出来事は真実なのか、
Bhoratzと名乗る兵士は一体何者なのか……。残る謎の手がかりを求めて冒険者は再び駐屯地を訪れた。兵士であるなら、ここで
Bhoratzに会えるかもしれないし、少なくとも情報は手に入るかもしれない。しかし駐屯地には
Childerichらヒュームの兵士の姿しか見当たらなかった。
Childerich : ん?ガルカの兵士を見なかったかって?ここにガルカの兵士はいねぇよ。あんたこの前、ひとりでぶつぶつ言ってたから変なヤツだと思ってたんだよな。
Childerich :……でも、待てよ。何年も前、この展望哨にガルカの兵士が駐屯してたって話を聞いたことがあるな。そいつは、山を登ろうとするヤツらを止めていたらしい。でも、誰も言うことを聞いてくれなかったんだとよ……。……もしかして、あんたが会った兵士はそいつの幽霊なんじゃ……。 オレ、他の駐屯地に異動したいよ……!!
不可解な出来事もあったが、ロムアルドに伝えるべき父の最期の言葉と想われる情報は手に入れた。早速バタリアの大砲台のロムアルドにその言葉を伝えに向かう。
Romualdo : えっ?グロウベルグで父さんの声を聞いたって? からかうのはやめてくれ……。君に父さんの声がわかるわけないだろう?
常識で考えるとロムアルドの反応はもっともである。しかし今回は冒険者が実際に不可解な出来事を実際に体験してしまったのだ。グロウベルグでの一連を彼に話してみた。
Romualdo :……そんなことがあったのか。そいつは本当に遺言を伝える幽霊だったのかもな。……だって、その幽霊のメッセージは間違いなく父さんの言葉だもの……。
Romualdo : 父さんは俺を男手ひとりで育ててくれた。そして任務の前、いつも俺に約束してたんだ。かならず戻ってくるぞって……。父さんは約束が果たせなかったことを悔やんでたんだな……。
Romualdo : たしかめてくれて、ありがとう。俺もその幽霊にいちど会ってみたいな。俺、天国の父さんに心配かけないためにも、がんばるよ。
少し吹っ切れたような表情でロムアルドは大砲台から、まるで亡き父の死を受け止めるように遠くを見つめた。これからは気持ちの整理もついて、やがて現代でロムアルドが言っていたように「バタリア丘陵に、この人あり」と言われるような活躍を見せてくれるのかもしれない。
「追憶の風に抱かれて」(クエストおまけイベント)
上記の段階で、実際にはロムアルドからプレイヤーは報酬をもらい、クエスト自体は終わってしまう。しかし物語としてはこの後も特殊イベントがあり、その後のロムアルド、そしてグロウベルグでの体験の謎についてもう少しだけ見ることが出来る。
現代に戻り、ロムアルドを訪ねる冒険者。「俺もその幽霊にいちど会ってみたいな。」と語っていた過去のロムアルドが、本当にその後幽霊に会いに行ったのか確認するためだった。
Romualdo : なに、グロウベルグで幽霊に会えたかだと?あんた、なんでその話を知ってるんだ?
驚く現代のロムアルド。当然である。
Romualdo : まぁ、いい。そういえばむかし、幽霊に会ったというヤツに親父の遺言を教えてもらったことがあったな。 だが、それは展望哨の山岳兵たちが仕組んだ芝居だったんだ。俺は、まんまとだまされたわけだな。芝居に気づいたのは、そのあとグロウベルグに行ったときだ。山岳兵が落とした芝居の台本を、偶然拾ったんだ。
驚くべき事実である。しかも一連の「芝居」で一度は父の死から立ち直ったロムアルドがその台本を見つけてしまったとは最悪の事態ともいえる。
Romualdo : 腹が立たなかったかって?まぁ、普通はそうだよな。 だが、芝居はヤツらなりの思いやりだったんだよ。遺族の迷いを断ち切らせるためのな。……そうそう、台本には「追憶の風に抱かれて」なんていうクサいタイトルまでついてたんだぜ。まったく、笑っちゃうよな。
そういって笑うロムアルド。彼は、当時の山岳兵の意思を汲み取っていたようだ。危険な山岳地帯だったグロウベルグ。そこで不幸にも事故に逢い帰らぬ人となった者の遺族たちの為に、芝居をしていたのだろうか。結果的にロムアルドに対して片棒を担いでしまう形になってしまった冒険者。事の真実を確かめに、再び過去世界のグロウベルグに向かった。
Childerich : あんたもしつこいな。ガルカの兵士なんて、知らないって言ってるじゃねぇか。 なに?オレたちが芝居を打ったって?変な言いがかりはよしてくれ。
??? : おい、ちょっと来てくれ。
Childerich : !! お、おう! いま行くよ!
不意に小屋の中家ら聞こえた声に驚き、あわてて返事する
Childerich。明らかに様子がおかしい。それを問い詰める冒険者。
Childerich : ほら、仕事の邪魔だ。あっちへ行けって!どうしてもそこを動かないつもりだな。オレたちが芝居を打ったっていう証拠でもあるのか? 台本? そんなもの知らないな。タイトルまでついてるって?それなら、なんてタイトルか言ってみろよ。
Childerich : お前がみたガルカの兵士は、幽霊なんかじゃない。ここに駐屯している、オレの同僚だ。 崖で、人の嘆き声に似た風の音が聞こえただろう? あれを死んだ肉親の声と誤解して、ここを訪れる兵士が跡を絶たないんだ。 でも、想いはいつか断たなきゃならないだろ? いまは戦争中なんだ。戦場での兵士の雑念は、命取りだしよ。……だから、あいつとひと芝居打つことに決めたんだ。このことは内密にしてくれよ。
なんと「追憶の風に抱かれて」の台本は他ならぬこの
Childerichが作ったものだった。谷を通り、崖を駆け上る「声」を求めて次々と訪れる遺族の兵士達が、死んだ愛するものを求めて危険な山岳地帯を放浪し、同じような末路にならぬよう、そして現在起きている戦争に集中して貰い無駄に命を落とさぬ事を願って
Childerichと同僚の
Bhoratzが共謀した優しいうそだったのだ。
Bhoratz : なんだ、本当のことを話してしまったのか。
そう言いながら、山道から駐屯地に向かって歩いてきたのは
Bhoratzとほかの兵士達だった。
Childerich : えっ!?お前、どうしてそっちから現れるんだよ!?
Bhoratz : どうしてって、見回りから帰ってきただけだが……どうした? びっくりした顔をして。
Childerich : だって、お前さっきまで展望哨の中にいたじゃねぇか!オレと話してただろう!?
Bhoratz : 何を言ってる。俺は、ずっと山を歩いてたぞ。
Childerich : じゃあ、さっきオレが会話した相手はいったい誰だったんだ……! おい、お前オレにまで芝居するのはやめてくれよ。なぁ、そうなんだろう……?
Bhoratz : 芝居? さっきから変な芝居をしてるのはお前だろう?
Childerich : いや、これは芝居じゃないって!たのむよ、芝居だって言ってくれよ。
慌てふためく
Childerich。解明したはずのトリックも、最後の最後で大きな(ホラータッチな)謎を残して終わってしまう。結局、その意図は善意的であっても「嘘はだめ、絶対。」ということなのだろうか。
最終更新:2008年02月26日 13:31