Joker & Fenrir (詳細・ネタバレ編)


Joker
  • カーディアン、通常配置無し
  • 「オバケの家」こと石の区Karaha-Baruhaの庵で眠っていたカーディアン。
  • Pichichi が持っていた魔導球により目覚める。


子供たちの大冒険で目覚めたなぞのカーディアン。その正体は……

  ここではジョーカーの目覚めから、彼の記憶が戻るまで、彼が向かうその先の目標、そしてスターオニオンズ団クエストだけでは語られない、その後の彼とスターオニオンズ団の子供たちとの話をまとめる。

英雄の家で眠っていた秘密

  ここはクエスト「スターオニオンズ危機一髪」に焦点を当てる。詳しくはPichichi(詳細・ネタバレ編) を参照していただきたい。


  きっかけは、偶然の積み重ねと言える。スターオニオンズ団の子供たちは、「泥棒猫」Nanaa Mihgoを追って「オバケの家」と呼ばれているKaraha-Baruhaの庵に出かけた。彼女を捕らえるつもりが、逆にNanaa Mihgoの話術によりスターオニオンズ団は家の中に閉じ込められてしまった。入り口は鍵を掛けられ出られない。スターオニオンズ団は別の出口がないか「オバケの家」を捜索してみることにした。奥で棺(死体)を見つけたとパニックになってしまったスターオニオンズ団のメンバーの一人Papo-Hopoの発言をきっかけに、冒険はミステリーに変貌していった。
  怯えるスターオニオンズ団の中で、唯一平気だったのがPichichiだった。堂々と死体があるといわれた地点まで様子を見に行く。すると彼女が持っていた魔導球に反応があった。それに呼応するかのように棺が開き……。


  魔導球の魔力により蘇った謎のカーディアンは「ジョーカー」と名乗った。そしてジョーカーのお陰でスターオニオンズ団の恐怖心は消え去り、無事に家から脱出出来た。


  意気揚揚と帰っていくメンバーを見送りながらPichichiは立ち止まりジョーカーに問いかけた。ジョーカーの家はそこなのかと。Karaha-Baruhaの庵を見上げ、ジョーカーは違うと言うが、記憶がはっきりしないと語る。永い眠りの中で名前とそこが自分の居場所じゃないこと以外は思い出せないようだ。それを聞いたPichichiはジョーカーに「オバケさんも一緒にかえろ!」と呼びかけ、共にスターオニオンズ団の秘密基地へと戻っていった。

  スターオニオンズ団に追いつき港の秘密基地を訪れた冒険者に、リーダーのKohlo-Lakoloがジョーカーが持っていたというバウンサークラブを渡す。それは、子供たちが持っているには危険すぎるという理由からだった。そして記憶が無い、身元不明のジョーカーが大人に見つかれば手の院に連れて行かれる事を危惧した子供たちは、ジョーカーをこの秘密基地にかくまう事にした。(この最後のエピソードは、外見に変化が無く個性を出しにくいカーディアンであるジョーカーにあえて武器を持たせない事により他のカーディアンと見分けられる配慮もあると思われる。)

ジョーカーを巡る攻防

  ここはクエスト 「泥棒スターオニオンズ団」と「カーディアンはトライマライの夢を見るか?」に焦点を当てる。詳しくはHonoi-Gomoi (詳細・ネタバレ編)を参照していただきたい。


  ジョーカーの体内に核として吸収された魔導球を巡って、スターオニオンズ団はピンチに陥る。本来その魔導球はNanaa Mihgoが所持していて、スターオニオンズ団の罠にはまり気を失っている時にたまたま転がり落ちたのをPichichiが拾って持ち歩いていたものだ。そしてNanaa MihgoHonoi-Gomoi から受けた「仕事」の為に探し当てた宝物だったという。すなわちHonoi-Gomoi は魔導球の所有権を主張し、スターオニオンズ団に魔導球を返すように脅しを掛けていた。しかし当の魔導球はジョーカーの中に核として吸い込まれ、もはや手元には無い。
  子供たちの代弁者として冒険者も(一応)Honoi-Gomoi を説得しに
尋ねるが、Honoi-Gomoi は聞く耳も持たず、逆に「ジョーカーの存在を
手の院に通報する」と脅迫してくる。素性の分からないとはいえ、無許可のカーディアンの所持は大罪らしい。それを聞きスターオニオンズ団は更に困り果ててしまった。
  緊急会議を開いたスターオニオンズ団は、魔導球をどうやってHonoi-Gomoi に返せるか、話し合ったが出る案は無くなったとうそをついたり、魔導球の偽物を用意するという物だった。しかしPichichiは悩む団員たちに呼びかけた。


Pichichi :……だめだよ。ウソをついちゃ、だめなんだよ。人をだますのは、だめなんだよ。
Kohlo-Lakolo : ぴ、ピチチちゃん!
Pichichi : スターオニオンズ団はウソついたり、だましたり、そういう悪い人を許さないんだよ! 許しちゃだめなんだよ!
Kohlo-Lakolo :……。 そうだった!スターオニオンズ団は、正義のイチミなんだ!水の区のオジーチャンのとこ行って、本当のこと話して、あやまろう!

  気持ちを新たに、スターオニオンズ団は全員でHonoi-Gomoi の屋敷を訪れ、すべてを素直に話した。しかし逆にHonoi-Gomoi から「ジョーカーを解体して魔導球を出す」と脅されてしまう。更に子供たちが居ない所でHonoi-Gomoi は冒険者を買収しようと働きかける。汚いことは大人の仕事、と。
  打つ手が無く困り果てる、スターオニオンズ団。そんな状況を察知し、ジョーカーは秘密基地を後にし、あの庵に静かに戻っていった。そこで冒険者にこれまでの出来事についての気持ちを語りだした。ジョーカーはまだ記憶自体は戻っていないが、何かやらねばならないことがある気がしてならないと言う。そしてそれを成すまでは壊れる訳にはいけない気がすると。本来カーディアンとは主人の命令ならば壊れる事も厭わない道具である。しかし本能的に、命令に背いてでも成し遂げるべき「何かが」あるらしい。

Joker :……その コタエを サガス ために チカラを カシテ ください。

  ジョーカーの話を元にトライマライ水路を捜索した冒険者は、古びたカードを見つけてきた。それは【ジョーカーのカード】と呼ばれたものだった……。そしてそれを受け取ったジョーカーは、ついにその記憶が蘇る事になった。


Jorker : ああ……やっと分かった。私が、誰なのか、私が、どうして生きているか。そして、やはり私にはやるべきことがあった。私は見なくてはならない。今、この世界がどうなっているのかを。そして知らねばならない。今、そしてこれから、何をすべきかを。だから。ホノイゴモイがあなたに頼んだように私は分解されるわけにはいかない。あなたにこれを捧げよう。どうかこれを受け取り、私の事を分解せよと言う依頼を断ってほしい。

  使命を思い出したジョーカーはそう言い残し、静かに庵を出て行った。(なお、ウィンダスミッションの進み具合によっては、この場面はカーディアンの専門家・Apururuが登場して進行していくことになる)
  冒険者は事の一連をHonoi-Gomoi に説明するも、納得してもらえず、ジョーカーの解体は別の冒険者に頼むと、追い出すのだった。

目覚めたジョーカーとスターオニオンズ団

  ここはクエスト「ヤクソク」に焦点を当てる。「スターオニオンズクエスト」として知られている連続クエストの一連は、一応これで完結する。

  ジョーカーは行方不明となりHonoi-Gomoi の脅迫はとまらない。しかしジョーカーが解体されないようにとスターオニオンズ団はずっと悩み続けていた。そこで思いついたのがHonoi-Gomoi が解体を冒険者に依頼した場合、その冒険者が追いつけない程遠くにジョーカーを逃がす事だった。しかしそれには重大な問題があり、かつてウィンダスではカーディアンが暴走して手の院の院長が誘拐された事件があって以来、カーディアンのチェックが厳しくされているのだという。これを掻い潜り、ジョーカーをウィンダスから出す事自体至難の業なのである。そこでPichichiは昔母親に作ってもらった探偵7つ道具の「透明シール」を思い出した。
  材料を持ち込み「透明シール」の制作をPichichiの母であるChamamaに依頼したら、彼女は快く作ってくれた。それを見て大喜びのスターオニオンズ団。これでいよいよジョーカーをウィンダスから連れ出して解体から救い出せるかもしれない。……しかし、その希望もすぐに打ち消されてしまう。スターオニオンズ団最大のピンチが訪れるのである。


Kohlo-Lakolo :……ああっ!
Shanruru : きゃああああ!きゃあきゃあきゃああああ!
Ace of Swords : やっと……見つけたぞ。タルタルとミスラよ、われらの王の命を返してもらおう。

  突如現れたのは、かつての事件以来ウィンダスに戻らず逆にウィンダスを脅かす存在となった「野良カーディアン」。サルタバルタの塔を根城にし、訪れた者達を襲う、非常に危険な存在である。しかもここに訪れた三体は最強クラスと言われる「Ace」だった。彼らの脅迫にも怯まず勇猛に振舞うスターオニオンズ団だが、人質にされているのはKohlo-Lakoloの妹であるShanruru、とても手が出せる状況ではなかった。

Ace of Swords : 愚かだ……。なぜに、人はこうも愚かなのか……。
Ace of Wands : では、見せしめに……。
Joker :……止めるのだ。


一斉に振り向く一同。

Kohlo-Lakolo : ジョーカー!!!
Joker : その子らは、私を蘇らせてくれたのだ。その子を放してやれ。
Ace of Swords : 王よ!
Ace of Wands : 王よ!


Ace of Swords : 永い間、王の帰りをお待ちしていました。
Joker : エースたちよ。私は戻った。そして、私にはやらねばならないことがある。
Ace of Wands : わかっております。われらは王と共に歩むのみ。
Ace of Swords : われらは王と共に歩むのみ。
Joker : では、行くとしよう。ここは私たちのいる場所ではない。

  突如現れた野良カーディアンのエースたちの目的はジョーカーの奪還であり、ジョーカーもまた記憶が戻りエースたちの事、野良カーディアンたちが目指す「目標」を思い出していた。カーディアンの根本である人間からの命令に背いてまで動き続ける彼らが目指すその先へ歩き出す決意をしたジョーカー。それは同時にスターオニオンズ団との別れも意味していた。静かに去ろうとするカーディアンたちに、思わずKohlo-Lakoloは叫んだ。

Kohlo-Lakolo :……ジョーカー!行っちゃだめだよ! それは悪いカーディアンなんだ!仲間じゃないよ!ジョーカーの仲間は、オレたちだよ!そんなヤツラについてっちゃだめだ!
Joker : ありがとう、友よ。そう、私は、スターオニオンズ団の一員。「いつか再び、君達のそばに戻る」と約束する。「約束は絶対に破らない」。スターオニオンズ団の鉄則に加えるのだ。
Kohlo-Lakolo : 加えるぞ! だから、ぜったい、破っちゃだめなんだぞ!ヤクソクなんだからな!


  じっとその姿を見送るスターオニオンズ団は、ジョーカーと彼の言葉を信じる事にした。そしていつ戻るか、そもそも何を成しに旅立ったのか判らないまま、じっとジョーカーの帰りを待ち続けることになる。ヤクソクが果たされるその日まで。

王は道化師

  ここからの続きになると思われるウィンダスミッション終盤での展開をここでまとめる。別視点での詳細はKaraha-Baruha(詳細・ネタバレ編)を参考にしていただきたい。
  まずは記憶が戻ったジョーカー、野良カーディアンとのやりとりを整理したい。ジョーカーは記憶を取り戻してから明らかに口調が変わっている事に注目すると、それは「★」を多用した一般的なカーディアンの物とは違う(初期のジョーカーはこれに妥当している)。これは「迎え」に現れたエースカーディアン達と同じであり、自らの意思をもって発言・行動していることを意味している。更に記憶が戻る際に冒険者に話したように「やらねばならない事がある」、つまりジョーカーとして果たすべき目標がある。そんなジョーカーを「王」と呼び迎えに来たエース達からもわかるように、それは野良カーディアンという組織全体が果たす目標でもあり、ジョーカーもまた「王」としての自覚がある。これは、今後ジョーカーをリーダーと掲げ野良カーディアン達が何かを目標とし動き出すことを暗示している。そして、それこそがウィンダスミッションで語られる部分でもある。


ミッションに登場するジョーカーは、既に記憶が戻った「カーディアンの王」である。

  王となったジョーカー、そして野良カーディアン達が最初に行った事は大胆なものだった。ウィンダスの最高権力者である星の神子の拉致だったのだ。組織として動き、このような事をやってのける武力を持った野良カーディアン達は、既にウィンダスを脅かす敵となっていた。しかしジョーカーは星の神子に直接危害を加える意思は無いと彼女に明言する。そして彼女を人質にAjido-Marujido や冒険者らに取引を持ちかけた。

Joker : さぁ、願いの星よ。我は、そなたの最後の導きをここで待つ……「黒き使者」を再び、この星月の地へと導け……!奇跡の「時」を起こすのだ……!


  「黒き使者」とは過去に一度星の神子の前にその姿を現した謎の怪人である。正体不明にして鬼神出没な「黒き使者」をジョーカーの指定通り「満月の泉」に呼び寄せる為には 「神々の書」にあった古代の民クリューの歌によって召喚するというものだった。ジョーカー自身、機能できる時間は限られているらしいが、その限界に「黒き死者」の召喚の期限を設けたのである。
  一方ウィンダスはヤグードの平和条約の破棄という脅迫にも晒されていた。ホルトト遺跡の管理権をヤグードに引き渡さねば条約は破棄されてしまう……そしてその期限は、ジョーカーの寿命が訪れて野良カーディアンに主が居なくなった時ではないかとAjido-Marujido が分析していた。すなわち、「黒き使者」をジョーカーの希望通りに召喚せねばジョーカーは寿命の限界に達し目標を果たせず、ウィンダスはそれにより暴走した野良カーディアンとヤグードの危機に一度に立ち向かわないといけない。

Semih Lafihna :……そんな!しかしそれでは、ますますわからない!ジョーカーは悪なのか善なのか。敵なのか味方なのか……。
Ajido-Marujido : もしかしたら、悪でも善でも、敵でも味方でもないのかもしれない。夜になれば現れ、朝になれば消える……そういった、大いなる意思のように……。


  Ajido-Marujido らは半ば強引に「満月の泉」で待つジョーカーの元まで急いだ。そしてクリューの民の歌により「黒き使者」をその場に呼び出せると伝えた。それを承諾し、歌を奏でる為に近づいてくる冒険者にジョーカーは語りかけた。

Joker :……導きの星よ。よくぞ、ここまで来た。そなたは多くの星々と出会い、その輝きで、約束の地を照らしてきた。星の神子の願いがこの物語の始まりだった。しかし、おまえ自身は知っているはずだ。おまえの意思が、この「時」を導いたことを……。さぁ、その輝きで分かれた我を導いてくれ。もう一度、この空に星月を呼び戻さんがため。

  現れた「黒き使者」をジョーカーの術が襲った。それは、ジョーカーの言葉を解釈するなら、本来ジョーカーと「黒き使者」は一つの存在であり、今再び一つに戻ろうとしているのだ。しかしそのために「ジョーカー」としての野良カーディアンの支配が薄れたのか、カーディアン達は暴走を始め、冒険者やAjido-Marujido を襲うことになる。
  沈黙したカーディアン達を見届けるとジョーカーは残された時間は僅かだと告げる。そして開放された星の神子に、最後の願いを託した。

Joker : では、あとのことは頼んだぞ。神子よ、我らがひとつになった時、新たなる約束を……。
Joker : 新たなる願いを。天かける星々と、天照らす月の光に。
Star Sibyl :……わかりました……神獣さま……。

  辺りが光に包まれ、倒れたカーディアン達の「心」は一つになっていった。そして……ジョーカーと「黒の使者」は忽然と消えていた。

Ajido-Marujido :……!神子さま、ジョーカーは……!
Star Sibyl : あの光よ……、そしてあの光を、希望の星にするのは私……。さぁ、星月よ、私の願いをきいて……この約束の地に……神獣フェンリルさまの息吹を……

  そして星の神子の祈りに応える声が響き渡る。

……人よ、そう、それが……未来を作る力なのだ。

  ジョーカーの正体、それは永い間ウィンダスからその姿を消してしまっていた月の聖獣にして星の神子との契約によりウィンダスを加護する守り神、Fenrirであった。


Fenrir
  • 霊獣、通常配置無し。
  • 全8属性のうち闇を司る召喚獣。月の力宿りし獣。
  • ヴァナ・ディールに住まう5体の霊獣の1体。


月の導きにより守られたヤクソク

  ここからの続きになるクエスト「月の導き」で展開される、スターオニオンズ団とジョーカーの正体であるFenrirの最後のエピソードをまとめる。なお、このイベントはスターオニオンズ団の関連クエストをすべて終了した状態でクエスト「月の導き」を進める必要がある。

  Carbuncleの導きにより6つの息吹を集めた冒険者。その息吹を「月の呼び玉」に姿を変え、Fenrirのもと、すなわち「満月の泉」へ向かうようにいざなう。


  「月の呼び玉」により「満月の泉」に降り立った冒険者とCarbuncleは、泉に6つの息吹の力を注いだ。

Carbuncle : フェンリル……!ボクの力も受け取って!そして、あなたの力を貸して!ヴァナ・ディールの命を守るために!
Fenrir :……グゥウウウウ!!!ヴァナ・ディールの命よ、試させてもらおう!おまえたちに未来を切り開く力があるか!?

  その雄雄しい姿を現したFenrirは冒険者の力を試すべく襲い掛かってきた。Fenrirを打ち負かしたそのとき、彼はその大いなる力を貸してくれる事になる。そして戦いの中でFenrirは眠っていた時の記憶が蘇っていた。冒険者が勝利した時、Fenrirは冒険者に語りかける。


Fenrir :……そうか、その強さ……おまえだったのか。あの子らに、これを頼む……。約束を待つ……小さなあの子らに……。

※だいじなもの:月の息吹とだいじなもの:からっぽの魔導球を手にいれた!

  その「からっぽの魔導球」は、かつてジョーカーの核として消えてしまっていたあの魔導球だった。ジョーカーとしてその使命を全うし、Fenrirとして蘇ったわけであり、ジョーカーとしての寿命ギリギリまで機能した魔導球にはもはや魔力は残っていなかった。その魔導球をジョーカーの形見、というには、Fenrirとして存在している為正確ではない。しかしいつか帰ってくるとヤクソクをスターオニオンズ団と交わしたジョーカーはもういない。とりあえず冒険者はFenrirの願いの通り、魔導球をスターオニオンズ団に届ける事にした。

Kohlo-Lakolo : なんだ、これ?からっぽの魔導球……?あっ!これ、ジョーカーの魔導球だ!おまえ、ジョーカーをどうしたんだよっ!!!
Papo-Hopo : そんな、まさか……
Pyo Nzon : うわぁん!ジョーカー、死んじゃった!
Gomada-Vulmada : ひどいよ、ひどいよ!ジョーカー、壊されちゃったんだ!
Yafa Yaa : 返せよっ!あたしたちのジョーカー、返せよっ!

  からっぽの魔導球を見て、口々に混乱とやり場の無い怒りを冒険者にぶつけるスターオニオンズ団の面々。待っていたのはヤクソクを直接交わしたKohlo-Lakoloだけではなかった。スターオニオンズ団全員が、ジョーカーを仲間と思い、その安否を心配し続け、ずっと待っていたのである。

Kohlo-Lakolo : ばっか! よせよみんな!ジョーカー、死んだりなんかしてないよ! なぁ、そうだろ?死んだりなんかしてないだろ? ヤクソクしたじゃんか!もどってくるって、ヤクソクしたじゃんか!


Pichichi : オバケさん…………もどってきたの?
Kohlo-Lakolo : ううっ、ピチチちゃん……。うん、ジョーカー、もどってくるって言ってたよな。
Pichichi : うん、みんな、オバケさん、もどってきたね!おっきくおっきくなって、もどってきたね!
Kohlo-Lakolo :……え?

  最初からジョーカーを慕っていたPichichiだから気づいていたかもしれない。彼女の言葉に呼応するように、からっぽの魔導球は輝きだし、そして消えた。そして子供達が見上げた空いっぱいに流れ星が瞬いていた……。

子供たちよ……
おまえたちの生きる時、生きる街、すべてを。
見ているよ……
我はこの地に戻ってきたのだから……。

Kohlo-Lakolo : ジョーカー!ジョーカー! ジョーカー!


Kohlo-Lakolo : 僕の声、きこえる!?やっともどってきてくれたんだね!!! ジョーカー! きいて! 僕らも見てるから! 空、街、みんなを……ずっとずっと見てゆくから!ずっと忘れないで!僕らみんな、正義のイチミ、スターオニオンズ団だってこと!

  降り注ぐ流星群を眺めながら、スターオニオンズ団Fenrirとなったジョーカーの心と声をしっかりと聞き届けた。そしてその奇跡の中でそれぞれの思いが溢れ出す。

Kohlo-Lakolo : ジョーカーはヤクソクどおり、僕らのところにもどってきた!もうカーディアンじゃなくなっちゃったけど、僕らはわかるよ。だから僕らのスターオニオンズ団、ふっかつだ!正義と勇気とタマネギと!愛と夢あるカギシッポ! ぼくら、正義のイチミ!スターオニオンズ団~っ!

Papo-Hopo : 魔導球は、この地にある力を封じ込めたものだと聞いたことがあります。それが解放されて、この地にもどっていったから、こんなにいろんなところにジョーカーを感じるのでしょうか。わかりました。僕がいつか、この謎を解いてみせます。そしてこの地の輝きをずっと守っていくのです!

Pyo Nzon : すっごいいっぱい星がキラキラキラキラ、きれいだったニャ!ジョーカーは大魔法使いになったのニャ! それとも大魔法使いが魔法でジョーカーにされちゃってたのニャ?

Gomada-Vulmada : オレっちがぐんぐんおっきくなって、あの空にぐんぐん近くなったらまたジョーカーと話すことができるかなぁ。オレっち、おおきくなろっと。ミスラよりもガルカよりも! エルヴァーンよりも!でっかくおおきくなるんだ!

Yafa Yaa : ビリビリする!シッポもヒゲもミミゲも、ビリビリするよ!きっとみんな感じたよ!この世界には、なんだかすごく大きな気持ちがあること! あれがジョーカーだったんだ!

Pichichi : オバケさん、きっと大人になったんだと思うの。大人になったからあんなにでっかくなっちゃったと思うの。でっかすぎて、ちっちゃいピチチたちには見えないの。でもちゃんといるの。キラキラしてるの。

Shanruru : あたし、シャンルル。スターオニオンズ団のシャンルルです。よろしくね!ジョーカーをさがすためにスターオニオンズ団に入れてもらったの。でもジョーカー見つかったから……次は、悪い人をさがすのよ。あたしたちの手で、ウィンダスの平和を守るのよ!


  こうして小さな子供達と神との物語は、子供達がちょっとだけ大人になっていきながらいつまでも胸に輝き続ける思い出となっていき続ける。


  どこか客観的に人間を傍観し、時には敵として時には味方として、かなり離れた位置に立っているイメージが強い「霊獣」の中でも、その絆を感じさせる珍しい存在・フェンリル。



最終更新:2008年06月01日 12:41