Stray Cloud (詳細・ネタバレ編)


  • ガルカ、1a(黒髪)、ノーグH-9
  • ノーグで生まれ育ったガルカ。過去の思い出により慎重な性格。



受け継がれる想い(クエスト「誓いの連鎖」)

  ノーグの港から海を眺め、時々そわそわとするガルカに冒険者は出会った。

Stray Cloud : あの野郎……、いったいどうしちまったんだ……。なんだか嫌な予感が……。たしか、……あの日も嫌な予感が……。んっ? あんた、冒険者か?ちょっと俺の話を聞いてくれないか?心配なことがあるんだ。

  ストレイクラウドと名乗ったそのガルカは、町を飛び出した友人の安否が心配だという。


Stray Cloud : あの岩窟は俺達にとっては、いわば、庭みたいなもんだ。だから、そう簡単には、迷うことはないはずなんだが……。グボッカの野郎、岩窟に行ったっきり、一向に戻ってこないんだ。岩窟の中には、最近になって、頻繁にモンスターが現れるらしく、ノーグの連中はみんな困っていて、グボッカにも、気をつけろって何度も言っていたんだが……。一刻も早く、岩窟へ行き、あいつの安否をこの目で確かめたいのだが、俺ごときが1人で行っても、どうにもならんのだ。

  恐ろしい魔物が徘徊する「海蛇の岩窟」。それはノーグの住人にも危機感を煽り不安を感じさせる存在であり、屈強の戦士たちも捜索に躊躇うようである。友人Gubokkaの安否も気になるものの「ミイラ取りがミイラ」になっては仕方がない。ストレイクラウドに代わり冒険者がGubokkaを探すことになった。

  しかし、その捜査は意外にもすぐ終わってしまう。Gubokkaがノーグの入り口で傷だらけになり蹲っていたのだ。Gubokkaと冒険者の声が聞こえたのか、駆け寄るストレイクラウド。


Stray Cloud : グボッカ!!
Gubokka : ストレイクラウド……!……す、すまん。オレは……。
Stray Cloud : おいっ!! どうした!?岩窟でいったい何があったんだ? 話せるか?
Gubokka :……あぁ。……だいじょうぶだ。はぁ……はぁ……。……ふぅ。

  傷口の痛みか、はたまた走って戻ってきた様子から息が上がっているのか、Gubokkaは呼吸を整えながら、何があったのか語りだした。


Gubokka : さ、最近、岩窟内に現れるモンスターのせいで、ノーグのみんなが困ってるのはストレイクラウドも知ってんだろ?だから、困ってるみんなのために、何かオレにできることはないかって考えて、モンスターを倒しにいったんだ……。岩窟に入ってしばらく歩いた頃……。情けない話だが、歩き慣れたはずの岩窟で、道に迷ってしまったんだ……。それでも、なんとかノーグへ引き返そうと、迷いながらも必死に歩き続けたよ……。


Gubokka :……その時だった。突然モンスターが現れて、オレに、襲いかかってきたんだ。モンスターは聞きしに勝る強さで、まったく歯が立たなかったよ……。次第にオレの足は、恐怖からか、完全にすくみあがってしまい……、あっという間に、追い詰められてしまったんだ……。オレはその時、ここで死ぬんだ……って思ったよ。1人で来たことを後悔し始めたとき、……目の前にヒュームの戦士が現れて、オレを、……助けてくれたんだ。


Vigsterkr : おいっ!大丈夫かっ!?ここは俺に任せていろっ!さぁ! 来いっ!うおぉぉおお~~~!
Gubokka :……ひぃっ、……っ!うっ、……うわぁ~っ!!

Gubokka : お、オレは恐怖のあまり、た、助けてくれたヒュームの戦士を独り残して……、自分だけ、……逃げ帰ってきてしまったんだ……。
Stray Cloud : なっ……! なんだと……!?じゃあ今頃そのヒュームの戦士は……?
Gubokka :……わからない。無事だと良いんだが。あのモンスターの強さは、尋常じゃなかったから、……わからない。
Stray Cloud : なんてことだ……。
Gubokka : お、オレは、ただ、み、みんなのために……って思ったんだ。こんなことになるなんて夢にも……。
Stray Cloud : グボッカよ。誰かのために何かをしようと思うことは、大切なことだ。それは、俺も否定しない。だがな、無理はいかん。俺には、幼なじみがいたんだ。誰かのために何かをしたいって、口癖のように言ってたんだが、結局、野垂れ死にしやがった……。もう、友を失うのはゴメンだ。
Gubokka : ストレイクラウド……。
Stray Cloud : 1人で無茶はしないでくれ。俺が言いたいのは、それだけだ。

  ストレイクラウドの話でGubokkaは冷静さを取り戻し、助けてくれたヒュームの戦士の安否が気になりだしたようで、再び戻って戦士の様子を見てくると言い出した。


Stray Cloud : バカヤロウ! 何度同じことを言わせる気だ! おまえ1人行ったところで何ができるっていうんだ!? 冷静になれ!!
Gubokka : うっ……。……し、しかしよぉ……。

  Gubokkaを叱咤するストレイクラウドだが、友人を助けてくれたヒュームの戦士の安否を気にしていたのは彼も同じだった。冒険者の腕を見込み、ストレイクラウドはGubokkaに同行して戦士を探して欲しいと依頼するのだった。

  海蛇の岩窟を、ヒュームの戦士を探してさまよう冒険者の前に、大蛸が襲い掛かっていた。これこそがGubokkaらを襲った魔物である。


  冒険者が魔物を打ち負かした頃、Gubokkaもその場に駆けつけてきた。そこで見つけたのは、傷付き壁にもたれ掛かるヒュームの戦士・Vigsterkrの姿だった。


Gubokka : おっ、おいっ! 大丈夫かっ!? おいっ!! しっかりしろっ!! おいっ!!
Vigsterkr :……うっ……んっ?……おまえは……? ……あぁ。……ど……どうやら助かったみたいだな……。俺は、ご覧のありさまだ……。ふっ……情けないぜっ……。
Gubokka : すまない……。本当にすまない……!あの時、おまえさんを残して、自分だけ逃げてしまった……。
Vigsterkr :……ふっ……気にするな……。あんなバケモノ目の前にして平気でいられるのは、……よ……よっぽどおかしな野郎だけだぜ……。それより……おまえだけでも助かって良かった……。これで、おまえまでやられていたら、……いいお笑い種だぜ……。
Gubokka : お、オレはなんてことしちまったんだ……。ほんとうに、なんてことを……。


Vigsterkr : なぁに……。そんなこと、気にするんじゃねぇよ……。じ……実はなぁ、俺も昔……、モンスターに襲われてるところを、助けられたんだ……。

  傷の痛みに耐えながらVigsterkrは彼の過去を語りだした。かつて岩窟で、Gubokkaと同様に魔物に襲われ窮地に陥ってしまった事。


  そんなVigsterkrを助けたのは、見ず知らずのガルカだった。助かった安堵から、思わずその場を逃げ出してしまったVigsterkr。そのガルカを置き去りにしてしまったのだ。しかし冷静に考え直してその場に戻ってみると、助けてくれたガルカは傷だらけになり倒れていたという。Vigsterkrを助けるために命を落としてしまったのだ。


Vigsterkr : 俺はその時思った……。この男のように、自分の力を誰かのために使いたい、いや、使わなきゃならない、ってね……。


Vigsterkr : なぁ……?ひとつ俺の願いを聞いてくれないか……?……こっ……この剣……。この剣を……、どうか俺と一緒に埋めてほしいんだ。俺を助けてくれた男が持っていた、……大切な剣なんだ。これで……やっと……、つ……償えた気が……。頼んだぜ……?す……少し……眠らせて……く……れ……。


Gubokka : おいっ! しっかりしろっ! おいっ!

  こうして、一度はガルカに救われたその命をVigsterkrは見ず知らずのGubokkaを救うために使ったのだった。

  冒険者とGubokka、そしてヒュームの戦士の帰りを待つストレイクラウド。戻ったGubokkaは起きた出来事を彼に話した。


Stray Cloud : そうか……。そうだったのか。なんとも惜しい男を亡くしたものだな……。
Gubokka :……くっ。 くそっ!オレにもっと力があれば……!
Stray Cloud : 悔やんでも悔やみきれないだろうが、まずはその男の供養をしてやろう……。……それは、どうしたんだ?
Gubokka : これは、そのヒュームの戦士が使っていた剣さ……。あいつの最後の頼みだから、亡骸と一緒に埋葬してやるんだ。
Stray Cloud : こっ……この剣は……!

  Vigsterkrの形見である剣を見たストレイクラウドは驚いた。そしてそれは、彼の遠い記憶を呼び覚ましていった。


  クエストの冒頭にもあるが、ストレイクラウドには幼馴染のガルカがいた。腕っ節が強かったGomoyaは、実はとても穏やかで優しい性格だった。そんな彼がある夢を持って旅立つとストレイクラウドに告げた。


Stray Cloud : 本当に行っちまうんだな……?
Gomoya : ああ。このオレ様の力よぅ、何でもいいから世の中の役に立てたくてよぉ。もう決めたことなんだぁ。
Stray Cloud : ふっ……そうか。わかった。もう、止めはしない……。ほら、俺の剣を持っていけ。貸してやる。
Gomoya : おっ、 おいおぃ~。いいのかぁ~? それはおまえの大切な剣だろぅ?
Stray Cloud : あぁ……いいんだ。その代わり、ひとつだけ俺と約束だ。 おまえのその馬鹿力を、困ってる人のためにかならず使ってこい!この剣は、きっとおまえの役にたつはずだ!
Gomoya : はは……。はははは!おまえらしい頼みだなぁ。まいったなぁ……。うん。でも、わかったよぉ。約束してやるよぉ。そうだっ。約束を果たして、もう一度おまえに会いにくるよ! きっと、いや、かならずだ!この剣、おまえに返してやるよぉっ!!
Stray Cloud :……期待して待ってるからな。今の約束、ちゃんと覚えられるか?? おまえは昔から、物覚えが悪かったからなぁ。
Gomoya : なんだとぉ~!!馬鹿にしやがってぇ~!!


  そういいながら笑いあう二人。ストレイクラウドの剣で人を助け、いつかそんな武勇伝を土産に再び帰ってくる……それが二人の約束だった。Gomoyaはこの後間もなく旅立ったが、戻ってこなかった。


  Vigsterkrの持っていた「恩人の剣」と、Gubokkaの話で、それがGomoyaだった事を悟るストレイクラウド。

Stray Cloud : なんてことだ……。ヒュームの戦士が助けてもらった奴ってのは……。
Gubokka : ま…まさか……。ストレイクラウド……。あんたが言っていた、幼なじみっていうのが……。
Stray Cloud : ふっ……。ゴモヤの野郎……。あいつ、約束をずっと覚えていたのか……。この俺との約束を……。あ……あの野郎っ……!……泣かせやがって……。

  思わぬ形でGomoyaは剣をストレイクラウドの元に届け、そして約束を果たし人の為にその命を散らした事をストレイクラウドは知った。ストレイクラウドは、その過去の報せを伝えてくれる手伝いをしてくれた冒険者に熱く礼を述べた。


ストレイクラウドの最後の台詞から察するに、この夜二人は酒を傾けGomoyaを偲ぶ話を夜通ししたものと思われる。



最終更新:2008年07月31日 12:34