クラウツ橋の隣人
Kulatz Bridge Neighbors
関連イベント
- キャラクター制作後・案内イベント(所属国バストゥークの場合)
- モンクAFクエスト「そして、めぐりあう」
- クエスト「クラウツ橋の隣人」「冒険者の帰還」等。
支え合う、現在のヴァナ・ディールの象徴
「団体」というには大げさかもしれないが、現在のバストゥーク、そしてヴァナ・ディールを象徴すると思うので、ここでまとめることにした。
クラウツ橋とは、バストゥーク商業区にある、噴水広場前から南グスタベルグへ続く門まで伸びる、巨大な橋であり、道の横にはお店などの施設が立ち並んでいる。その二階は住居になっており、そこで展開する小さな物語がある。
そこに暮らす冒険者
Dalzakkは、20年前のクリスタル大戦直後に戦争孤児となった
Micheaと出会った。戦争で両親を失い、遠いサンドリアの親類に連絡するにはあまりに幼すぎる彼女を、彼は育てることにした。冒険者として、そして修行中のモンクとして暮らす彼だが、彼女に愛情を注いだのは確からしく、彼女はまっすぐ素直に成長していった。やがて彼女の消息をサンドリアの貴族である親族が突き止めたが、ガルカに育てられたと知り、そのまま引き取らなかった(当時若くして当主になった
Femitteは親族を説得して彼女を引き取らなかったことを今も悔いている)。やがて彼女は成長し、隣の部屋に住まい独立した。そして自分の力で想いを形に出来る彫金師を目指すことにし、現在も修行中の身である。
同様に、ガルカの
Gwillは恐らくこの20年で転生したばかりの幼い少年である。同じく子ガルカであるDetzoや
Gumbahよりもまだ言動は幼く、頼りない一面を見せる。そんな彼も
Dalzakkを慕い、クラウツ橋で暮らしている。近所ということで留守勝ちな
Dalzakkの家の番をしながら、彼の書物を読んで知識を蓄えている。そして
Micheaにもよく懐いており、二人で助け合いながら
Dalzakkの帰りを待っている。
必然的にいつも一緒な事が多い。
これだけならただの仲良し隣人なのだが、この2人には共通点があり、2人とも両親が居ない存在である。
Micheaは時代が生んだ天涯孤独の身であり、
Gwillは種族の特徴上親というものが存在しない。そして、2人とも
Dalzakkに子供のように愛情と知識を与えられ、今もなお慕っているのである。そして似たような境遇ということもあり、
Micheaと
Gwillも姉弟のように仲良くしている。そして何より、2人は
Dalzakkへの感謝を忘れない。
Dalzakkの帰りが予定より遅くなると
Gwillは不安になるようで、
Micheaが街で
Dalzakkの所在を尋ねる様子も描かれている(モンクAF2クエストより)。
そして
Dalzakkの帰りが近づくと、二人は日ごろの感謝を込めてプレゼントを用意する。
Micheaは彼の為に、彫金で贈り物を作り(これは御守のようなものを渡しているとも、彼女の彫金師としての成長の成果を彼に見せたい、ともとれる)、
Gwillは彼の為にシナモンを用いた料理を作る(戦士AFクエストの流れを考えると、ヒュームの子供たちにもらって美味しかったらしいシナモンクッキーと思われる)。
その様は、出張から帰ってくる父親の帰りを心待ちにしている姉弟のようだ。
帰っていた
Dalzakkは、残念ながらすぐに出発の準備をして出て行ってしまう。しかし家に戻った短いやりとりでも、2人を気遣う厳しくも優しい彼の素顔が見えてくる。
Michea : お帰りなさい。ダルザックさんに、旅のお守りをプレゼントしようと思って。もう十分に一人前よ。ギルドの奴らなんかに負けないんだから。
Dalzakk : 自分のことを職人だと自覚するなら、タダで仕事をしないことだ。
Michea : はいはい。そういうと思ってたわ。でも、受け取ってね。せっかくだから。
Gwill : 僕もプレゼントを……。いっつも家で本とか読ませてもらってるから。
Dalzakk : 剣の修行を怠っていないか?いくら本を読んでも銃士や冒険者にはなれない。それは夢物語だ。
Gwill : うう、相変わらず厳しいなあ……。
Dalzakk : それとミシェア。 以前聞いた、赤いバラの価値の問いの答えは?
Michea : 違う色に見えているのなら、なおさらその美しさを共有できる奇跡に感動できる……と私は思います。
Dalzakk : いい答えだ。それがわかれば一流の彫金細工師になれるだろう。
まずは
Gwillとのやり取りを解説すると、
Dalzakkは彼の夢をしっかり理解している。そしてその現実の厳しさも知っており、夢を叶えるならその為の努力をするように指示している。と、同時に去り際に留守を預けていく
Dalzakkの
Gwillへ対する信頼も伺える。そして彼の読書好きを知っているからか、「夢物語」と切り捨てていながらも、「読むな」とは決していわない。体育会系の父親のようである。
そして
Micheaとは大人の親子のようなやりとりをしていることに注目したい。独立して自給自足をしているであろう
Micheaのプレゼントに、「タダで仕事をしないことだ」と言っている。これは職人としての彼女を認め、厳しく諌めてるようにも聞こえるが、大人として自覚するように促しているようにも感じ取れる。そして去り際の問いも非常に興味深い。「赤いバラの価値」とは、彫金師になると決意した彼女に投げかけた「宿題」と思われる。それは、彼女を大人として扱い、哲学的ながら大事な価値観を彼女が自分で見出せるように彼が課した大人の「宿題」でもある。
どちらも、厳しい修行を自ら課しながら生活をしているモンク
Dalzakkらしい接し方かもしれない。決して答えを安易に教えるのではなく、日々の鍛錬の中でその答えを自ら見出していく術を、二人にと問いかける事により教えているのだ。なお、クエスト「クラウツ橋の隣人」は英語版FFXIだと「Father Figure」と呼ばれている。これは直訳すると「父親像」という意味であり、2人にとって
Dalzakkがどのような存在であるか暗示している。
余談だが、
Dalzakkの師匠である
Oggbiも、
MicheaとやりとりをするシーンがモンクAFクエストで見られる。ここでは、帰りが遅い
Dalzakkを心配している
Micheaと
Gwillの様子を聞いて、
Oggbiはこっそりとプレイヤーに、
Dalzakkが早く帰って来れるように
Dalzakkに頼んだ「用件」を代理して欲しいと頼んでくる。現実世界でも師弟とは親子に近い存在であると言うが、この時の
Oggbiは2人の祖父のような態度をしているようにも見えて微笑ましい。
この三人は、決して血はつながっている訳でもない。しかしキャラクターとしてここに存在している以上、その物語にも勿論意義がある。彼らの生き様が示すその意味は、クエスト「冒険者の帰還」からヒントを得られる。
Gwill : ねえ、何?「赤いバラの価値」って。
Michea : グィルはこんな風に考えたことはない?バラの赤い色は、本当に誰にでも同じ色に見えてるんだろうか……?人によって違う色に見えてるのに、ただ「赤」って言葉でくくってしまうから、同じ色ってことになってるんじゃないかって。
Gwill : 炎も、太陽も同じ「赤」だったら、本当は違う色に見えててもわからないってこと?
Michea : そう。それなら、美しいと言われる赤いバラの価値は果たしてどこにあるのか。
Gwill : それでお姉ちゃんは、違う色に見えてても、きれいって思えることが素敵だって答えたんだね!
Michea : すごいわね! グィル!さすがいつもダルザックさんの本を読んでるだけあるわ。
Gwill : へへ……。
Michea : それはね、人の出会いにも言えると思うの。私たち、世代や人種が違ってもこのクラウツ橋の2階で出会い、今日みたいに少しの時間でも喜びを共有できた。
Gwill : それが、奇跡?
Michea : ええ、素敵な奇跡でしょ?
現在のヴァナ・ディールは「冒険者の時代」と呼ばれている。
Dalzakk自身冒険者であり、(種族のこともあるが)家族というものを持つには職業柄困難とも思われる。しかしこうやって、
Micheaと
Gwillと家族に近い関係を築いている。それは、それが許される時代であるから、という風にも感じられる。そのような関係を築ける事こそが、素敵な奇跡である。
最終更新:2008年10月24日 17:53