Isween(詳細・ネタバレ編)


  • ヒューム♂、4a(茶髪)、通常配置無し
  • アトルガンを守る義勇兵団の一人。
  • 争いを好まず、義勇兵団にも周りの薦めで入った。



クエスト「始まりの夜」

  冒険者はアトルガン白門の蛇王広場で、Mishharという男に出会う。街を守る義勇兵団「赤狐隊」の隊長である彼は、部下の事で悩んでいるという。

Mishhar : 俺の部下にイスィーン(Isween)という男がいるんだが、最近、どうも様子がおかしいんだ……。そいつは剣よりも書物のほうが似合う男で、いまだに獣人を見ては膝がガクガク震えるような奴さ。自分の意思なんてものも持っておらず、この部隊にも周りから無理やり入れさせられたと聞いている。だがな……。そいつが近頃、戦闘に参加することを拒み、おまけに義勇兵を辞めたいとまで言い出した。仲間の話によると、夜になると1人で「ワジャーム樹林」のほうへ歩いていっては、日の出とともに街へ帰ってくるらしいのだ。1人でモンスターがうろつく樹林へ行くなんて、どう考えてもおかしいと思わないか?    


  Mishharは隊長として、部隊という名の船の舵を取り、そして、獣人討伐という目的地へたどり着くのが自分自身の仕事だと語る。その上で不穏な動きをしている部下というのは不安要素となる。隊長自ら調べに行くと刺激を与え兼ねないので代わりにイスィーンの様子を見てきて欲しい、と頼まれる。

  ワジャーム樹林の、指定された場所に潜んでいると、言われた通りイスィーンは現れた。しかも獣人・マムージャと一緒だった。


Isween : いったいどういうことなんだ?理由をきちんと話してくれないか?
Gukool Ja : だから、会わない、もう。それだけ。言えない。理由。今、ただ。言えない。
Isween : いっしょに戦いを止めさせようって言っていたじゃないか!?あれは嘘だったのか!?
Gukool Ja :…………!!


Gukool Ja : (来ている、仲間、そこまで、すぐ。逃げる、お前、早く、危ない!)
Isween : (おいっ!どういうことなんだ!なぜ仲間にここで会うことがバレているんだ?)
Gukool Ja :…………。


Isween : (グクージャ(Gukool Ja)!俺達また会えるんだよな?おいっ! 答えてくれよ!)

  呼びかけるイスィーンをよそに、Gukool Jaは樹林の中へと消えていってしまった。立ち尽くすイスィーン。何か事情があるようだが、少なくともMishharの語っていた疑惑は真実だった、という事になる。


  街に戻った冒険者の目に飛び込んできたのは、イスィーンと同じ部隊所属のアトルガン義勇兵三人組が、イスィーンを問い詰め、責め立てる場面だった。イスィーンが森で獣人と密会しているという噂は、部隊中に広まってしまったのだ。激しく罵る義勇兵三人組だが、イスィーンは口を開こうとしなかった。


Mishhar : おい、お前らそのへんにしておけ。
Mishhar : イスィーン。お前が別に後ろめたいようなことをしていないのならわけを話せるはずだ。俺は、お前が夜中にどこへ行って、誰と会おうがかまわない。だが……、会っていた相手が獣人なら話は別だ。この部隊の者達は、街の人々を救うため、己の命をなげうってまで獣人と戦っているんだぞ。 そんな中、お前は獣人と会って何をしていたんだ?皆が納得できるようにきちんと話してくれ。
Isween :…………。……わ……わかりました。……あれは、獣人が大挙して攻めてきたときでした……。


  獣人の襲撃に頻繁に襲われるアトルガンの民、その一人であるイスィーンは友達に誘われるままに義勇兵団に入った。本来争いを好まないイスィーンは、周りに流されるまま自分自身は信念を持たずに戦っている事実が嫌で堪らなかったと語る。しかしこれは戦時であり、街の人々を守る為に仕方のないことだと自分を説得し、戦場にでる日々だった。しかしある日、マムージャに追われ仲間たちとはぐれ、街の外れまで来てしまった。

Isween : はぁはぁ。なっ、なんとか、まけたか……
Isween : !!


Gukool Ja : !!

  思わず剣を抜き、構えるイスィーンだが、マムージャは驚いたまま戦う素振りを見せない。そしてそこに飛び出してきたのは……一人の少女だった。


Briallen : 待って!!この獣人さんが捕まってるところを助けてくれたの……。だから獣人さんをいじめないで!!

  この少女、Briallen は、捕虜としてマムージャ軍に捕らえられていたところ、Gukool Jaが助け出し、街に戻そうと連れて来ていたのだ。

Gukool Ja : 嫌い、戦い。かなしい、戦い。だから、止める、戦い。

  Gukool Jaの言葉に衝撃を受けたイスィーン。信念を持たなかった彼が、初めて共感し、違う意味で戦う理由を得たと語る。「戦いをやめさせればいいんだ」と。


  そして、共通の価値観を持った二人は時々自軍を抜け出し、どうすればマムージャとアトルガンの争いを止められるか語り合っていた。密会はしていたが、決してスパイ行為などではなく、お互い平和を求めて会っていたのだと語るイスィーン。

Isween : 戦いをなくすなにか良い策はないものか……。
Gukool Ja : 無くしたい、戦い、我ラ。無くしたくない、戦い、我ラ。
Isween : ん!?我ラって……戦いをなくしたいのはお前だけだろ?じゃあ「我ラ」じゃなくて「我」じゃないのか?お前はお前だろ?他の奴とは違うお前だけの意思を持っているんだろ?なら「我ラ」じゃなくて「我」だろ?


Gukool Ja :……我……?我ラ……。我……、無くしたい、戦い。我……ラ、無くしたくない、戦い。……難しい。


  元々の価値観が違うマムージャにとって、自我の意識がないようで、Gukool Jaはイスィーンの指摘を必死に理解しようとしながら自分の意思を伝えるように努めた。そんなやりとりを繰り返すうち、二人はいつしか盟友というより、親友に近い存在になっていった。しかし、イスィーンは言葉をそこで詰まらせた。冒険者が目撃したように、、Gukool Jaは密会を続けられないと言ってきたからだ。その理由は不明なので説明につまるイスィーン。

  しかしそこで悲鳴があがった。非常事態を察知し、走り出す義勇兵団。そこで見たものは……


Briallen に詰め寄るGukool Jaの姿だった。


  目の前の光景を信じられず、何度も呼びかけるイスィーン。Briallen は抵抗する様子もなく、Gukool Jaに連れ去られてしまった。そしてGukool Jaも、振り返らず逃げていった。
義勇兵三人組は再び「話が違う」「情報を得る為に利用されただけ」とイスィーンをなじったが、その言葉が彼の耳に届かないほど、イスィーンにとって今の光景はショックだった。


Isween :……俺、あいつに直接聞いてきます。絶対に何かの間違いです!


  Mishharはテキパキと、義勇兵三人組に「少女の救出」を指示したが、あのマムージャとイスィーンが向かうのは恐らくマムージャ軍の本拠地・マムーク。とても1部隊じゃ歯が立たない。冒険者にも助力を求めてきた。


  一方、マムージャの本拠地・マムーク深部。Gukool Ja自身、人間と密会していたのがバレたようで、自軍の中で疑われていた。そして一度逃がしたBriallen を再び連れ去る事を強いられたのだ。事情を知っていたBriallen は抵抗なく付いてきたのだった。しかし、Gukool Jaはやはりこんな遣り方はおかしい、と苦悩していた。彼の身を案じるBriallen をよそに、逃げるように促す。しかし、その場にGukool Jaの上官が現れた。


Golaal Ja : 懲りない、お前。捨てろ! 考え。なくす、戦い、捨てろ、考え。


Briallen をかばう様に立ちはだかる。

Gukool Ja : 間違い、戦い。諦めない、戦い。考える、戦い。……ボス、考え、間違い!
Golaal Ja : 間違い……!?お前、捨てない、考え、捨てない。我ラ、不必要。お前、不必要。

  初めて上官に口答えしたGukool Jaだったが、当然聞き入れては貰えず、切り捨てられてしまった。その衝撃でBriallen も気を失ってその場で倒れた。そこに現れたのは、Mishharだった。


Mishhar : これでよかったのだよ。だが、子供を巻き込むのはやめてもらいたいな。
Golaal Ja : 返す、子。試した、あいつ。間違い、あいつ。
Mishhar : わかった。……だが、二度とやるなよ。それより、まずいことになった。上層部が俺達の動きに感づきはじめたようだ。注意をそらすため、そいつとイスィーンが密会していたとの噂を流しておいたが、しばらくは行動に気をつけろ。
Golaal Ja : 覚えておく。


  Mishharもまた、密通していたのだ。そして、自分のパイプラインがバレない為にイスィーンとGukool Jaの二人を密告し「売った」のだ。少女らを放ったまま立ち去る二人。イスィーンが現場に到着したのは、その直後だった。


Isween : グクージャ!!大丈夫かっ!?
Gukool Ja : 戦い、止めたい。止めたい、ボス。我ラ、できない、止める。戦い、止める、できない。何故……。


一生懸命自分の言葉を理解しようとしてくれたイスィーン。


Gukool Jaにとっても、二人で居た時間は掛替えのない物であり、イスィーンの事を彼も親友と思っていたのだ。



Isween : しっかりしろっ!! グクージャ!!
Gukool Ja :……我、お前と戦い、いっしょに、止めさせる、できなかった。……すまなかった……。
Isween : グクージャ!!

  それが、Gukool Jaの最期の言葉だった。

  一部始終を見ていた冒険者は、白門に戻り、Mishharを問い詰めた。Mishharは、マムージャ達と内通してるのはあっさり認めた。情報交換は時には役に立つからだ。イスィーンの密会も知っていたが、最初は黙認していたという。しかしマムージャ達はイスィーン達の密会に憤慨した。こちらに被害が出ないように仕向けて、イスィーンの護衛として冒険者をつけたという。あまりに無情なやり方にも思えるが、これがMishharの戦い方である、と彼は語る。


  そして、Mishharはイスィーンがその後、義勇兵団を除隊したと語った。「友人の意志を継ぎ、戦いを止めさせる」と言い残して。

Mishhar : その時のあいつ、隊にいたときとはまるで別人みたいだった。良い目をしていたよ……ふっ。以前あんたに「小さな穴が巨船を沈没させる」って話をしたことがあったよな?もしかしたらあいつが、この忌々しい戦いを終わらせる小さなきっかけになるかもな。
Mishhar : どんなに大きな巨木だって、みな小さな木から育つ……。俺はあいつの成長を心から応援してるよ。そして戦いが終わり、俺の仕事がなくなれば嬉しいね。


  今はもう、ここには居ないイスィーンの面影を描きながら、Mishharがつぶやいた。彼もまた、彼なりに戦を終わらせたい一人なのである。


最終更新:2007年12月24日 10:54