Vijartal(詳細・ネタバレ編)


  • エルヴァーン♂、5b(銀髪)、通常配置無し
  • フルネームはVijartal Caphieux(ヴィジャルタール・カフュー)。
  • オルデール鍾乳洞で発見された謎の騎士。
  • 南サンドリアに居を構えている。恋人の名前はナフュ。


特記事項
  • サンドリア王国の屈指の勇者として語り継がれている歴史上のヴィジャルタール・カフュー本人。
  • オルデール鍾乳洞で起きた不思議な現象により200年後にあたる現代に飛んでしまう。
  • 200年前はバストゥークとの大戦の最中なのでバストゥーク人を嫌う。
  • 現代で知った現実、そして出会ったバストゥーク人のヒュームとエルヴァーン夫妻を見て彼は何を想う…。


時を越えた青年「漆黒の稲妻」(クエスト「稀なる客人」)

盗まれた国宝の王錫の捜索を依頼されたことをきっかけに、冒険者は不審者が現れたと言われるオルデールに急行した。


そこに居たのは漆黒の鎧に身を包んだ騎士。

神殿騎士も到着しており、通報された不審者とは異なったものの、連行された。

冒険者が訪れたドラギーユ城で宰相Halverに尋問される「不審者」ヴィジャルタール。

Halver:第2次コンシュタット会戦の敗北から2年。ルジーク国王は残存する騎士をラテーヌ高原に集め、バストゥークへの反攻の機会を窺っていた。
Vijartal:ああ、そうだ。
Halver:だが王弟フェレナン公爵は、その隙に神殿騎士団を取り込んで、王都を制圧。バストゥークとの講和を主張した、という訳か?
Vijartal:いかにも。
Halver:内乱を憂いたルジーク国王は、自らの持つサンドリア王の証たる王錫をフェレナン公爵に贈り、王位を禅譲しようと考えた。王都を開放することを条件に。
Vijartal:そうだ。我々はその王錫をフェレナン公爵様に届けるために、王都へ向かっていたのだ。
Halver:が、道中、酷い嵐に見舞われたため、オルデール鍾乳洞で雨宿りをしていた、……というわけだな?

Vijartal:これで信じてもらえただろう?早くフェレナン公爵様に伝えるのだ。
Halver:貴様……、そんな話で我々を騙せると思ってるのか?
Vijartal:なんと!まだ私の話が偽りだと申すのか!

Halverがヴィジャルタールの話を信じれないのも無理は無い。200年前の、歴史上の出来事を、二年前と言っているのだから。


明らかに不審者

ヴィジャルタールの話をくだらぬ妄想と切り捨てたHalverは、騎士たちに「つまみ出せ」と指示する。

Vijartal:覚えておくがいい貴様ら!!このヴィジャルタール・カフューへの数々の非礼、あとで詫びを入れても聞く耳もたぬぞ!
Halver:ちょっと待て……おまえ、今何と言った?
Vijartal:ヴィジャルタール・カフューの名を忘れるなと言ったのだ!この屈辱、生涯忘れることはないぞ!
Halver:こいつ、ふざけおって!!この盗賊風情め!言うにことかいて、我が国屈指の勇者、ヴィジャルタール・カフューの名を騙るとは……恥を知れい!
Vijartal:なんだと……?
Halver:愚か者め!200年前、王位騎士団と神殿騎士団の抗争に終止符を打った偉大な勇者の名だと言っている。そのような嘘、子供でもつかぬわ!早々にここから立ち去れ!次に私の前に姿を現せばどうなるか、判っておろうな!
Vijartal:200年前とは何のことだ!説明しろ、なぜ私が勇者……。

ヴィジャルタールが混乱するのも無理は無い。自分自身が200年前の人物であり、しかも王国で英雄と誉れ高い存在になっていた、と言われたのだから。城での出来事を街角の守衛兵と語り合う冒険者。まだすべてを把握出来ていないヴィジャルタールは彼らに声を掛けた。

Vijartal:……お主、ルジーク国王とフェレナン公爵、この御二方のことを存じておるか?
Deraquien:え? うん。200年前の王様と王弟様でしょ?龍王ランペール様以前の時代の方々だよね。御二人の権力争いが内乱を招いたっていう。
Vijartal:そ、そうなのか!?もしかして、その内乱の始まり……。
Deraquien:えっと……。確か、第2次コンシュタット会戦で、口惜しくも我が軍が壊滅的な打撃を受けてから、何年か経った後じゃなかったかな。フェレナン公爵が神殿騎士団を味方に引きいれて、王都を制圧したんだ。そしてバストゥークとの講和を主張した。でも兄のルジーク王は弟の行為を許さなかった。だって、彼は王立騎士団の残りを総動員して、反攻作戦の準備の真っ最中だったからね。
Vijartal:ではヴィジャルタール・カフューは!?
Deraquien:本当に知らないのかい?我が王国の中でも屈指の勇者のひとりだよ。そのときの内乱で大手柄を立てたんだ。彼を知らない者なんて、この国にはいないよ。
Vijartal:冗談……であろう?ここは未来の世界?そんな馬鹿なことあるはずがない……。

目眩が起きる様な事実を次々と聞き、ヴィジャルタールはよろよろと自宅を目指した。そこには、恋人ナフュの姿もあり安心した彼は、今日の出来事を愚痴りながら奥へと進む。しかし女性は怒り出した。名前はナフュではなくPhilloneだと。再び混乱するヴィジャルタール。そこにとんび込んできたのはヒュームの青年。訛りと種族からバストゥーク人と判り、更にこの家は自分のものだという。


更に追い討ち

堪り兼ねたヴィジャルタールは家を飛び出す。一人で今までの状況を整理した彼。腕の立つな騎士が必要だと言う立ち話が耳に入り、割って入った。

Vijartal:おお、先ほどの方々ではないか。
Vijartal:こんなところで何をやってるのだ?なに? 凄腕の騎士を探してる?……なるほど。それならば恰好の人物を紹介してやろう。
Roido:本当ですか!いったい、その御方はどこに?


Vijartal:我が名はヴィジャルタール・カフュー!誇り高きカフュー家が輩出した天才騎士!古の時代より未来にいざなわれたサンドリアの勇者とは、この私のことだ!
Deraquien:はぁ?
Vijartal:騎士たる者、過去だの未来だので慌ててはならん。私も、この世界では有名な勇者なのだ。どうだ、素晴らしいことではないか。そうだ、異名を考えよう。人呼んで「雷神 ヴィジャルタール・カフュー」などどうだ?本名よりそちらの方が良いだろう。うーん、他に何かいい案はないか?
 ……そうだ! これなんかはどうだ!「漆黒の稲妻 ヴィジャルタール・カフュー」なかなか味のある異名だと思わんか?
Roido:……ヴィジャルタール・カフュー?
Vijartal:「漆黒の稲妻」か……。気に入った!しばし待たれよ、サインを考えるゆえ。
Roido:すいません、話があるんです!ちょっと私の家までよろしいですか?

ポジティブに回復していたヴィジャルタール。その勢いに納得したのか、騎士を欲していた男・先ほどのバストゥーク人はヴィジャルタールを再び家まで引っ張っていった。そしてそのバストゥーク人Roido、の「夫妻」が抱えている問題を聞くのだった。国宝を盗み出した弟Millechairale を助けたいと二人は訴える。

Vijartal:そ、それはそうなのだが……。いくら私が腕の立つ騎士とはいえ、剣の手入れなどそれ相応の準備というものが……
Phillone:勇者と同じ名前なんだから、助けてくれてもバチは当たらないんじゃない?
Vijartal:ナフュ、何もそんな言い方は……。
Phillone:フィヨンです。
Vijartal:……強気なところまで似ておる。
Vijartal:うむうむ、分かった、手伝ってやろう。王錫を取り戻せばいいのだな。騎士たる者、弱き者を助けるのも努めのうちだ。そもそも、あれは私の……。いや、何でもない。

勇者としての現代での自分の知名度と、恋人ナフュに似ているこのPhilloneに弱いらしく、快く引き受けてしまう。しかしヒュームのRoidoが喜んでいると、ヴィジャルタールは猛反発した。Roidoへの暴言でフィヨンもいきり立つ。しかし事は一刻を争う状況。信じなくてもいいから、手伝って欲しいと言うRoidoにしぶしぶ承諾する。

三人で訪れたジャグナーの森で三人はPhilloneの弟・Millechairale を見つけることが出来た。


しかし、家族を巻き込みたくないと逃げ去る。

RoidoはこのままMillechairale を追うと言い、冒険者とヴィジャルタールにPhilloneの待つ家に戻ってて欲しいと指示をした。バストゥーク人の指図を受けない、と悪態付くヴィジャルタールに、ずっと耐えてきたRoidoが叫んだ。


Roido:……ヴィジャルタールさん、あなたは知っていますか?サンドリアとバストゥークの未来を憂いながら、戦いの中で死んでいった勇者のことを
Vijartal:な、なんだ……
Roido:それがヴィジャルタール・カフューだ!バストゥークとの講和を主張するフェルナン公爵の命を最後まで守りぬいたお方だ!
Roido:あなたがバストゥーク人を嫌うのも、ヴィジャルタールと名乗るのも構いません!しかし両国の平和を願い、命を落とした勇者の名を汚すような真似はおやめください!
Vijartal:!!
Roido:……冒険者さん、お願いです。我が家で、またお会いしましょう。
Vijartal:戦いの中で死ぬるは、騎士の誉れ。しかし、「平和を願い、命を落とした」とはどういうことだ!?
Roido:ルジーク・R・ドラギーユ国王は、王都を制圧した弟を攻めあぐね、暗殺しようとした。それを阻止したのがヴィジャルタール、暗殺者の手からフェレナン公爵を守るために瀕死の重傷を負い、そして……
Vijartal:な、なんだと!フェレナン公爵の命を守った?両国の講和を願っただと……おい、あいつは確かにそういったな?何かの冗談であろう?……そんなハズは……ない。ヴィジャルタール・カフューは、フェレナン公爵を葬る命を受け、王都に向かっていたのだぞ!それがあろうことか、逆に公爵の命を守った、などと……。そんな馬鹿な……

Roidoが告げたヴィジャルタール・カフュー像に驚愕した。それは今この場に居るヴィジャルタールが存在した、彼にとっての「現実」とあまりにかけ離れていた。フィヨンの待つ家に戻る前に、ヴィジャルタールは事実を確認しようと王国書庫に立ち寄って歴史の書物を読み漁った。Roidoが言ってたことが史実として、載っていた。まだ信じられないヴィジャルタールは冒険者とPhilloneに問うた、自分はどうなるのかと。しかし答えを聞く間もなく、Roidoが駆け込んできた。Millechairale の足取りを、神殿騎士団が見つけてしまって捕まるのも時間の問題のようだ。Millechairale は、ある約束を守りにオルデール鍾乳洞に向かっているという。

Roido:お願いします!再びあなた方の力を貸してください!ミルシェラールの命を救うために!

Vijartal:……断る。   Roido:え?

Vijartal:なんでバストゥーク人の頼みを、この私が聞かなきゃならんのだ!
Phillone:ちょっとあなた!まだそんなことを……
Roido:ヴィジャルタールさんどうしてバストゥーク人をそんなに?
Vijartal:第2次コンシュタット会戦で、私の父上は卑劣な戦法で奴らに倒された!そして敵を討とうと国土防衛戦に参加した兄上は、無残な亡骸として戻ってきた!バストゥークは我が国の敵だ!あの共和主義者どもが、私の大切な人をみんな殺したのだ!両国の和平を願っていただと!?そんなのデタラメに決まっている!私は……いやヴィジャルタール・カフューは、バストゥークなんていっそのこと……


Phillone:それはバストゥーク人も同じでしょ!  Vijartal:え……?

声を荒げたのはPhilloneだった。家族だけではない、あらゆるものをバストゥーク人もサンドリア人も、同等に奪い合い苦しみ続けていた、と。同じアルタナの民なのに、お互いを憎しみ殺しあうなんておかしい、と。

Phillone:本当に憎むべきものは戦争よ。戦火に巻き込まれた人々じゃない。人間や国同士の戦いがない今のこの世の中を、私は心の底からありがたく思ってるの。
Vijartal:……。

Vijartal:……あなたは不思議な方だ。私には残してきた恋人がいてな。……ナフュという。彼女が私に質問したことがある。サンドリアとバストゥーク、どうして同じアルタナの民同士が憎しみあう必要があるのでしょう、とな。

長い時間と理解しあう心。互いの距離を縮め、少しずつでも心の壁を切り崩していけたら、いつかきっと解り合えるときが来る。出て行くヴィジャルタールの背中に、Philloneはすうつぶやいた。

オルデールにたどり着いていたRoidoと冒険者は、神殿騎士団達が入り口に待機していて中に入れないで居た。そこで機転を利かせて騎士団の注意を反らして突破口を切り開いたのはヴィジャルタールだった。


中に入って、二手に別れてMillechairale を捜索する。そして、ヴィジャルタールはMillechairale を見つけた。


Vijartal:やっと見つけたぞ。お前がミルシェラールだな? さぁ、早く帰るぞ。お前の姉と義兄が探しておる。
Millechairale:これをアンタに渡すように言われたんだ。……王錫だ。
Vijartal:……話がみえんな?
Millechairale:いいから受け取れよ!今日、この時間、この場所で、最初に会った騎士に渡すよう頼まれているんだよ!
Vijartal:ちょっと待つのだ。私に? いったい誰に頼まれたのだ?
Millechairale:……ヴィジャルタール・カフュー。
Vijartal:何だと?
Millechairale:俺の家には、代々受け継がれてきた秘密の口伝がある。遠い祖先からの約束だ。俺たちには果たす義務があるんだ。
Vijartal:先祖……だと?ま、まさか、お前……。
Millechairale:ああ、俺と姉貴の姓は、カフュー。そう、あの英雄ヴィジャルタールで有名なカフュー家の者さ。
Vijartal:ということは……私が自ら頼んだというのか?王錫のピエールエランを使って、過去の世界に戻るために……。

自分の子孫と名乗ったこのMillechairale は家族に迷惑を掛けまいと姿をくらましてまで、過去の(ヴィジャルタールにとっては未来の)自分が言い残した願いに従って今ここに居た。


ようやく合流して再会を果たすRoidoだったが、神殿騎士団の足音はすぐそこまで来ていた。そこに立ちはだかったのは、Roidoだった。皆に逃げるよう指示をし、自分はここで時間を稼ぐ、と。


Millechairale:に、義兄さん!
Vijartal:お前、気は確かか!ここに残っていて、無事で済むと思っておるのか!
Roido:早く行ってください!口論している時間はないでしょ!
Vijartal:お前、なんでそこまで……
Roido:種族が違っても、血が繋がってなくても、家族を守るのに理由なんていらないでしょ!
Millechairale:義兄さん……
Roido:バストゥークとか、サンドリアとか、そんなことも関係ありません!分かるでしょう? きっとあなたにも、命を捨ててでも守りたい人がいるはずです!……それが僕にとってはフィヨンとミルシェラールなんです。ヴィジャルタールさん、冒険者さん、さぁ早く行ってください!


Vijartal:大切なのは解りあうこと……。本当に憎むべきは戦争、か。
Roido:ヴィジャルタールさん?
Vijartal:皆、神殿騎士に抵抗するな。後のことは全部私に任せてくれ。

Elmemague:もう逃げられんぞ、賊共め!おとなしく王錫を渡してもらおうか!
Vijartal:ロイド、お前を見て思った。バストゥーク人も捨てたものではない。フェレナン公爵の意見も一理ある、と。少なくともあの方を暗殺するなど、あってはならぬ。あの時と同じだ……。この鍾乳洞はピエールエランに反応してしまうらしい。お前たち知っておるか、ここがかつて「還らずの祠」と呼ばれていたことを?
Roido:ヴィジャルタール……さん?
Vijartal:大丈夫、心配は無用だ。フィヨンにも伝えてくれ、礼はいらぬとな。私は「漆黒の稲妻」なのだから……!


そう言い残し、王錫にはまった宝石・ピエールエランと共鳴する鍾乳洞の奇跡は再び起き、ヴィジャルタールは再び姿を消した。

「漆黒の稲妻」去りし後

オルデール鍾乳洞に取り残されたMillechairale は、神殿騎士団に拘束された。救う事が出来なかったと嘆くRoidoPhilloneだったが、間もなくMillechairale ルはハルヴァーと共に家に訪れる。ヴィジャルタールが見出した、未来を生きる子孫と彼らを愛する者の為に残したもの、それはHalverの口から明かされた。

Millechairale:奇跡が起きたんだ!やはりヴィジャルタール・カフューは本物だったんだ!
Halver:今年、開封を指示された古の遺言書が王家に伝わっておる。勇者ヴィジャルタールに助けられた、フェルナン公爵が残されたものだ。それは君たちについてである。
Phillone:なんですって?
Halver:それによると、ミルシェラール・カフューと申す者が王錫を盗むが、彼とその逃亡に加担した者たちをヴィジャルタール・カフューの名の下に無罪としてほしい……彼らは、我が国とバストゥークの友好を保ち、サンドリアの未来を担う者となるであろう、と。
Phillone:!!
Halver:……まことに不思議な遺言であるがフェレナン公爵といえば、現ドラギーユ王家の直径の先祖であらせられる。その遺言は絶対なのだ。ところで、おまえたちは知っているか?王錫のピエールエランにまつわる伝説を……。フェレナン公爵の暗殺を阻止したヴィジャルタールは、王都を開放するよう公爵を説得した。そのとき公爵は、ピエールエランの中に、一瞬、未来を見たといわれている。その時、公爵が何を見たのかは定かではない。ただ、敵対していた国どうしが共に手を取り合う……、そんな未来を夢見てフェレナン公爵は王である兄に投降した、という。公爵に従い王都を占拠した神殿騎士団にお咎めなきこと。そして、バストゥークとの休戦条約の締結を条件にな。
Halver:なに、ヴィジャルタールはどうなったか?我が国では子供でも知っておろう。公爵をお救いしようと暗殺者と戦った際に毒を受けて、そのまま……だが不思議なことに、ヴィジャルタールの墓は見つかっていない。あれほどの功績をたてたのだ。後にせよ、立派な墓に埋葬されたと思うのだが……。
Halver:まあ、それはよい。続きを話すと、投降後、フェレナン公爵は監獄に幽閉された。王家の者の血は流してはならぬ、というのが、当時の公のきまりだったからな。しかし、公爵はその3年後に脱獄に成功した。そこからは皆も知っての通り、我が国は100年にも渡る長く苦しい内乱の時代を迎える。…龍王ことランペール様が登場し、再びサンドリアをひとつにまとめられるまでな。そう、ランペール様こそ、そのフェレナン公爵の血を引くお方だ。

Halver:いかんいかん。歴史の話になるとつい長話になってしまう。ヴィジャルタールの家系がまだ王都で存続しておったとは初耳だ。
Phillone:つい最近まで、バストゥークに住んでいたのでございます。
Halver:なんと、バストゥークに?
Phillone:はい、代々ずっと……
Halver:……ふむ。そういえば、フェレナン公爵の脱獄を手引きした騎士が、バストゥークへ逃れたという文献がある。その騎士は、討手に誰何された際、「漆黒の稲妻」などと名乗ったそうだ。そうだ、これは知っているか?……いや、やめておこう。我が国の長い歴史を語り出すといくら時間があっても足りぬゆえ。

Halver:なんだと?私が勇者に一度会っているだと?ハハハ、たわけたことを!そろそろ城に戻るとするか。フィヨンよ。いずれ放免はするが、ミルシェラールとロイドは、しばらく城に滞在してもらうことになるぞ。この一件、不可解な点が多すぎる。じっくり説明を聞きたいのでな。それに、そなたらの祖先の話もぜひ……。
Millechairale:姉さん、安心して。きっと、すぐに戻ってこれるさ。
Roido:ああ、そうさ。また3人で静かに暮らそう。ヴィジャルタールの家があったこの場所で……。
Phillone:……うん。


最終更新:2008年10月09日 10:40