19550704・22回衆 - 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会(花村法務大臣等答弁)

質問:山下春江、島上善五郎、受田新吉、(発言)辻政信

答弁:(法務大臣)花村四郎、(厚生大臣)川崎秀二、(引揚援護局長)田邊繁雄

○山下(春)委員
 今法務大臣が見えておりますので、法務大臣にお願いいたします。聞くところによりますと、両三日前から、第三国人で現在巣鴨に拘禁中の戦犯者の人が、いろいろの条件を申し入れて総理大臣その他関係各省に陳情をいたしておるようです。それに対しまして法務省ではこれの対策を御協議なさる御準備ができておるようでございますが、こういう問題に対しまして、私は、私なりに、長い間こういう問題を扱ってきた関係上考えがあるのでございますが、今どうしようということは、先ほど聞きましたら本日午後から御協議をなさるということで、法務大臣としてもただいまどういうふうにきまったという御返事はないと思いますが、一般に第三国人の戦犯者に対する扱いについて、法務省としてどういうふうなお考えを持っていらっしゃいますか。

○花村国務大臣
 ただいまの御質疑の点でありまするが、それは、過般、次官会議において、この第三国人の取扱い方を、どうすべきかということをあらゆる観点から検討されまして、その結論を出されまして、そうして閣議にもこれを報告せられたのでございます。それによりますると、大体、職業及び住宅のあっせんは、法務省なりあるいは厚生省なりが骨を折りまして、この二点は解決をしてやるように努める。それからなお、三国人の戦犯者の方からは、ただいま申し上げました二点のほかに、三十万円の金の支出を要請いたしておるのであります。この点については、いろいろ検討した結果、日本人は、巣鴨を出まする場合においては、三万円を支給されて仮出所をするということにきめられておるそうでありまするが、その日本人の受くる待遇よりもよりよく考えなければならないということで、その三万円のほかに、戦争受刑者世話会並びに国際善隣クラブ等から三万円を提供してもらいまして、六万円だけを支給するということでがまんをしてもらうよりほかに方法がないではないかということの結論が出まして、その旨実は閣議にも報告がありまして、これを了承したような次第でございます。
 しかるに、二、三日前に、それではどうも不服だということで、総理に面会を求めて、そうして第三国人の人々が陳情をいたしたそうであります。きのうは私のところへも参りましたし、厚生大臣のところにも行ったようであります。これはなかなかむずかしい問題でありまして、またむずかしい問題でありまするがゆえに、長い間はっきりした結論も出ずに来ておるというような次第でありまするので、私といたしましても、これは、個人的の気持を申し上げますれば、彼らの言い分も無理からぬことである、何とかできることなら通してやりたいものだという念願は持っておる一人でありまするが、しかし、これを国家的見地から考えると、なかなかそう簡単に参りませんので、従いましてこのことは関係官庁において事務的に一つもう一度慎重に検討を重ねて、そうして何かもっとよい結論を出してもらいたいものだということで、実は先ほど官房長官にもその旨相談をして了解を得、法務省の次官にもその相談をいたしましたが、次官としても――実はきょう次官会議がありまして、そのときに厚生省の次官等も来ておれば話をする機会があったのでありますが、厚生省の次官が出てこなかったというようなことで、その問題に触るる機会がなかったので、私の先ほど申し上げましたような趣意に基いて、関係官庁において事務的にこれをもう少し検討するということに相なっておりまするから、その結果があるいはよくなるか悪くなるか、その辺はここで私が申し上ぐるわけには参りませんが、かような次第で、この問題に対してはあらゆる努力を傾倒して善処をいたしておりますることだけは、御報告申し上げてよろしいと思います。

○山下(春)委員
 今法務大師が非常に御苦労をいただいておる点を承わりました。関係各省でありますが、これは私は政府で一大決意をいただくことが非常に好ましいことだと思います。それはどういうことかと申しますと、第三国人はあくまで第三国人で、日本人ではございません。従いまして、日本に今ございますどの法律を持っていっても、ぴたっとうまく合いません。従って、一つの法律を持っていって、それに当てはめて解釈して、いろいろ御努力願っても、それではなかなか納得しないと思います。それでは短かい、それでは足らないで、なかなか話がつかないと思いますので、これはあくまで第三国人であるということを基調にして、しかしながら、戦争中に日本に協力させたことも事実でありますし、そのゆえに拘禁されていることも事実でありますので、これは何とかして国の態度を明確にいたしましてこれに対処するという一つの方途がございませんと、国内の問題、たとえば就職のごあっせんもいいことであるし、住宅のごあっせんも非常にけっこうなことでありますが、しょせんは私はそうではないと思います。住宅をよこせ、就職をあっせんしろ、三十万円よこせということに対しては、今日までは、国の規定いたしました三万円と、戦争受刑者世話会その他のいろいろな団体によって御工面を願って、相当な金額を出しておられましたが、しかし、戦争受刑者世話会等も、今日ではなかなか内部のまとまりも悪く、金もなくなったようであります。こういうものに依存してうまい方法を考えようとしても、なかなか考えつきません。そこで、私は、これは日本国として一本こういうものは当然持っている方がいいのではなかろうかと思いますことは、これに対するいわゆる特例法を作りまして、そうして第三国人に対して、こういう問題が起った場合はこうするという、しっかりしたものがございますことが、いろいろ国際上こういう問題が起ってくる場合にはいいと思います。御承知のように、まだ巣鴨に在所しております君は、朝鮮人二十名、その中の二名はすでに仮釈放の時期が参っておるにもかかわらず、いろいろ条件が整いませんので、出ませんから、従って二十名、台湾関係が三十八名、合計五十八名の三国人がおります。うち台湾人の方は、私もしばし、は会ってもおりますが、日本当局の努力を非常によく承知いたしておりまして、おとなしくございましたが、実は、政府の方で、突然だったかどうか、意見がまちまちだったために、それじゃけしからぬというようなことで、その五十八名が一緒になったような形を作り上げておるようでございます。従いまして、こういうことは、こうもしてやりたい、ああもしてやりたいということで、いろいろ会議をお持ちになりまして御検討願いましても、それは、国の意思でなく、いつでも行政措置とかなんとか陰の仕事でございますので、お骨折りになったことが必ずしも向うに徹底的に通じないというような形になっておりますので、こういうものを処理いたします特例法のようなものを設けて、それによって日本国の国としての意思を明確にこういうことだと打ち出すような措置をやってみようとお考えになりませんか。

○花村国務大臣
 まことにお説ごもっともであります。まことに傾聴に値するものがあると思います。先ほども申し上げましたように、各所管官庁が事務的にこれを検討するということに向ってただいま進んでおりますので、十分に研究をいたしてみたいと思っております。

(略)

○山下(春)委員
(略)
 話が前に戻りますが、先ほど申しましたように、第三国人の処置につきましては、どうか一つ大臣も、関係各省でいろいろ御会議をなさいますときには、そういう踏み切った、割り切った考え方を持ちませんと、あっせんとか、あるいは行政措置でどうとかという、下をもぐり歩くような考え方をいたしておりましたのではいけない。要するに、あちらは貸しがあると考えておりましょう。こちらも借りを返すというような割り切った物の考え方で御処置を賜われば、将来起ってくるいろいろな問題を解決するのに国の態度が一つ決定しておる。国の態度が一つ打ち出してあるということの方が、国としても対外関係に非常にいい影響を与えるのではなかろうか、そうしてまた跡始末の解決としてはそうあるべきだと私は考えますので、どうか、政府におかれましても、そういう点を、こそくな考え方でなく、一つ踏み切って、割り切って御処置を賜わりますことが、今起っておりますさしあたりの問題のみならず、今後のそういったような問題を国家がきれいに片づけるということの一つの定石になると存じますので、その点なお強く要望いたしまして、私は本問題に対する質問を終ります。

○花村国務大臣
 ただいまの御意見を尊重して、でき得る限りの善処をいたしたいと存じます。

(略)

○島上委員
 質問が残ればあとに留保することにしまして、お急ぎでしたら簡単に質問します。
 私は、過ぐる第二次世界大戦の戦争犠牲者一般に対しては、国ができる限りの救済措置を講じなければならぬものだ、こう考えておりますが、とりわけ今日戦犯として巣鴨になお残っている多くの人々の問題、さらにその中で最も気の毒な状態にあるのは第三国、すなわち韓国及び台湾の戦犯者の人々であろうと思います。これらの人々は、巣鴨を一たん出ますと、出たとたんにもう日本人でないというので、日本人の戦犯に適用さるべき一切の保護から除外されております。御承知のように、台湾及び韓国の現地から軍属として戦地に持っていかれて、十数年日本軍の命のもとに忠実に働いてきた人、その現地で戦犯として牢獄に投ぜられ、それが日本に護送されて参りまして、今日巣鴨にいるという状況でありますから、日本人の戦犯とは、そういう点においても非常に趣きを異にしている。そういう人々が単鴨から一ぺん仮釈放もしくは釈放の名によって出されると、そのあとはもう日本人でないから知らぬといったようなことは、これは、人道的にもあるいは国際信義の上からいっても、ゆゆしい問題だと思う。私は、少くとも、今法務大臣は今後のことについてはかなり熱意のあるような御答弁がございましたけれども、今までの扱いについては非常に遺憾なものが多かったと思います。私も、不敏にして詳しい事情は存じませんでしたが、最近聞いてびっくりしました。すでに釈放されてまだ日本にいる者が五十名、帰国した者が四十七名いるそうですが、その在日している五十名の大部分の者が非常に惨たんたる生活をしている。中には巣鴨から残飯をもらって辛うじて露命をつないでいる者がある、こういうことを聞いております。それに対して日本政府が何ら誠意のある措置をとらなかったということが、第三国戦犯の諸君からるる訴えられまして、私どももその一半の責任があるというふうに感じておりますが、すでに戦犯によって死刑に処せられた者が二十二名ある、こういうような人々に対しても、国として何らの措置をとらなかったということを聞いております。私は今後の措置についてもお伺いいたしますが、今まで国として、どのような措置をとったか。たとえば死刑になった二十二名に対してどういうことをやったか。日本人と比較して著しい差別をしているのではないか。それから今まで、今申しましたように、日本へ参りましてから釈放もしくは仮釈放になった人々に対して、国としてどのような措置をおとりになったか。これをまず最初にお伺いいたします。

○花村国務大臣
 ただいまお話しになりましたうちで、法務省の所管のものもあり、しからざるものもありますが、所管に属するもので、戦犯にして今まで出た人にどういう扱いをしてきたかということは、ただいま資料がありませんから、ここで即答しかねまするので、いずれ調べて申し上げたいと存じます。

○高岡委員長
 島上君、なるべく要点を抽出して一つ……。大臣は参議院から呼ばれておられるのですから……。

○島上委員
 どうも資料がないから答弁できないということ自体がずいぶん私は納得行きませんが、私の聞いているところでは、死刑になった二十二名に対しても何もしていない、こういうことを聞いているのです。資料がなければ、あとで資料が整ったときに御答弁いただくことにします。
 それでは、今後の問題でございますが、先ほど大臣は、山下委員の質問に対して、今台湾及び韓国の諸君が要求しておる事項は私個人としては無理からぬことだと思う、こういうお話でございましたが、個人として無理からぬとお考えになられるようでしたらば、私は、個人としてではなしに、今度は閣僚の一人として日本政府の責任において積極的に措置するというふうにお考え願わなければならぬと思います。今第三国の事態というものは非常に緊迫している事態だと思う。もしこのままにして政府が誠意を示さなかったならば、不測の事態が起らないとも限らぬと思うのです。そういうことになりましたならば、これはひいては大きな国際問題にも発展しかねない、こういうことを考えますれば、もし特別の法的措置を講じられるというお考えがありますれば、それは、もっと具体的に、もっと積極的に、すみやかにされるというお考えはないかどうか。何か川越が起ってからあと迫っかけて措置を講ずるというようなことじゃなしに、事前に、不測の事態の起ることのないように、これは政府の責任においてなすべきものだと思うのです。そういう点に対してもう少し具体的な積極的なお考えをお持ちであるならば伺いたい。

○花村国務大臣

 二十二名の、死刑を受けた者に何もしておらないじゃないかという御質問でしたが、それは法務省の所管に属せざることでありますので、私から答弁は申し上げかねます。
 それから、今のその後のお話については、先ほど山下委員に御答弁を申し上げました範囲を出ません。

○島上委員
 あの程度の答弁では、一体いつごろになったらどういうふうにしてもらえるかということが、今待望している第三国人の諸君には全く見当がつかぬことだと思うのです。個人として無理からぬという御答弁のその具体的な内容は――要するに、出たら住宅の世話をしてほしい、仕事の世話をしてほしい、それからさしあたりの生活資金のめんどうを見てほしい、三十万円という金額を出しておりますが、それは支給でなくて貸与でもよろしい、こういう要求があるのに、残飯をもらわなければ生きていけないようなそういう状態の中に放擲しておくということは、私は大きな問題だと思う。次官が事務的に協議しておる、そしてもっとよい結論を出すようにしてほしいという希望を持っておるということでございましたが、私は、その程度の、関係官庁の次官が事務的に協議をする、事務的に検討するという程度のことでは、大軍がもっとよい結論を希望されましてもなかなか困難ではないか、法的に何ら根拠がないということでもって逃げるのじゃないか、こういうふうに心配せざるを得ないわけなんです。たとえば、特別の法的措置を講ずるということになりますれば、急いでやるとしましても、どうしたって多少の時間はかかるわけで、私どもは、その法的措置は法的措置としても、さしあたって、出た人が住宅がない、仕事がない、食っていけない、こういうようなことに対して、先ほど住宅のあっせんを……。

○高岡委員長
 島上さん、発言中で恐縮ですけれども、参議院の本会議で法務大臣の出席を催促しているということで、今保護局長がお見えになっておりますから……。

○島上委員
 それじゃこれだけで……。住宅と仕事のあっせんを次官の方で措置するようにしているという御答弁でございましたが、事実はこれは何ら具体化していない。今のところはさしあたってはたった二人のことでございますけれども、それも全く住むにたえないようなひどいところヘ二人入れというようなことで、それがもつれているというような話でありますが、こういうような問題も、ほんとに日本の政府に誠意があり責任があるならば、もっと積極的にやるべきものでないか。何かお座なりの答弁で誠意が欠けているというような気がしてならない。大臣はこれに対してもっと積極的な施策、措置についてのお考えがあるかどうか。しつこいようですが、これを重ねて伺いまして、またの機会に大臣の御出席の際に若干の質問を留保しておきます。

○花村国務大臣
 ただいまいつごろその問題が解決されるかわからぬというようなお話でありましたが、このことについては、先ほども申し上げましたように、直ちに各所管官庁が集まって事務的に話を進めるということに相なっておりますから、従ってその結論の出るのはそう長くかかるとは私は考えません。
 それからなお、その他の事柄についていろいろ御意見でありましたが、これは、ただ単に法務省だけでやるべきものでなく、ほかの官庁との権限が錯綜しております面もありますので、この戦犯仮出所に関しまする処遇等に関するすべての問題を法務省だけで解決ができるかといえば、そうは参りません。でありますから、従って、そこに法務大臣だけで責任を持ってどうこうすると言うことは、はっきり申し上げられない事情が伏在している次第でありますので、従いまして先ほども申し上げましたように、所管官庁と協議を遂げるということを申しておるのでありまして、決してそれがためにそれをただ長引かしていけばいいというような意味に考えておるわけではないということを、はっきり申し上げておきたいと思います。

(略)

○高岡委員長

 (略)
 次に、先ほどの第三国人の問題でありますが、厚生大臣がお見えになりましたので、厚生大臣に対する御質疑を願います。島上善五郎君。

○島上委員
 先ほど法務大臣にもお伺いしましたが、満足な答弁が得られないのと、時間がなくてもうお帰りになりましたので、厚生大臣にお伺いします。
 戦争犯罪人として現在拘禁されておる者、あるいはすでに出所した者も相当ございますが、これらの人々の裁判が公正であったかどうかという点についても大いに議論のあるところでありますし、私どもは、戦争犠牲者全般に対して政府ができるだけのことをしなければならぬ、こういう考えの上に立って、戦争犯罪人も、その一環として、政府は、政府の責任において、できるだけ生活の援護、遺家族の援護及び戦犯者の出所後の生活等について見てあげるべきものである、こう考えております。そうして、その戦犯者については、日本人であろうと、あるいは終戦後第三国人になった台湾、韓国の人々であろうと、日本政府としては、同じ責任において、差別をしないで見てやるべきものではないか、こういうふうに考えておりますが、その点に対する考え方をまず最初に厚生大臣からお伺いしたいと思うのです。先ほど、花村法務大臣は、私の所管外のことは答弁できないと言って多くを答弁しませんでした。根本的な考え方として、日本の戦犯であろうと、第三国人であろうと、日本の責任において戦場に出動を命じて、日本人、特に第三国人の場合には、大部分が日本軍人の命のもとに忠実に働いた人々ですから、差別をつけないで見てやるべきものではないか、こういうふうに私どもは考えております。そういう基本的な考え方について、まず大臣に所見を伺いたい。

○川崎国務大臣
 大東亜戦争におきまして、当時領土でありました関係で、朝鮮、台湾の同胞をともに戦線におもむかしめたということは、これは、今日になりまして考えてみますると、彼らは、戦いの庭におきましては、わが日本のはらからと同じ気持で戦ってくれたわけでありますから、その犠牲に対しては十分に報いるべきであるという考えを私どももいたしております。従って、不幸にして戦争のために受刑の苦しみを受けたという者に対しての政府の取扱いというものは、当然日本人と同様な考え方をもって取り扱うべきものであるという点は、御質問の御趣旨と大体同じ考え方であります。ただし、でき得るならば、やはりなるべく近い将来において祖国に帰り、そこにおいて生業を営むということが理想的でありましょうが、今日台湾、朝鮮の置かれておる客観情勢といいまするか、政治上の非常な変化、ことに南鮮、北鮮はあのように分裂いたしておりまするし、台湾においても当時の状況とは違った政府が生まれておるのでありますから、従って、当時日本の旗のもとに戦ったという環境に置かれておる者が帰りましても、これをあたたかく受け入れることはなかなか困難ではなかろうか、かように考えております。従って、本来は帰るべきでありますが、こちらに残っておる間は、やはり日本人の戦犯をあたたかくわれわれが迎えたと同じような気持でお世話をすべきが当然だと思っております。

○田邊政府委員
 先ほど巣鴨に入っている第三国人と日本人との間で差別があるというお話でございました。実はそういう声をわれわれ聞くのでございますが、差別待遇は法律の上ではいたしておりません。問題となるのは、留守家族手当が日本人の戦犯の場合には出るけれども、第三国人の場合は出ないということにあるようであります。しかし、この点は区別はいたしておりませんで、第三国人でありましても、内地に留守家族が居住している場合におきましては、留守家族手当を渡しております。日本人の戦犯でございましても、内地に留守家族がおらない場合には出さないのであります。ただ、実際問題として、第三国人は内地に留守家族がおられる方がほとんどございませんので、適用を受けられないという結果になっております。そこで、厚生省といたしましては、その特殊性を考えまして、特別に見舞金を出しておるわけであります。一般の日本の戦犯の方々でございますれば、家族手当ももらえ、また家族のもとに帰り、また地元の方々がいろいろ見舞に来てくれるということがございますが、朝鮮人の方々、台湾人の方々はそういう点がございませんので、それにかわってせめて見舞を差し上げまして、これはできるだけ適当な団体を通じて差し上げるのが適当だと思いますが、かわってお世話を願いたいという意味で、千円、盆と暮れに六千円ずつ差し上げているわけであります。これは日本人の戦犯で単身者の方には出しておりません。朝鮮、台湾の戦犯の方々だけに差し上げております。それから、第三国人が出所した場合におきましては、これは日本人の戦犯には出しておらないのでございますが、特別に戦争受刑者世話会その他の団体から合計三万円の手当を差し上げているわけであります。政府としては帰還手当というものを全員に差し上げておりますが、これは、外地に抑留されている人及び巣鴨に拘禁されている人々は平等に扱わなければならぬというので、全部一万円でありますが、その他に、第三国人の戦犯に対しては、政府の方からそういう団体に話をいたしまして、日本側全体として三万円という金を特別に差し上げているのであります。差別待遇というよりは、むしろその点は有利にしてあげてあるわけであります。なお、住宅等につきましては、一般の引揚に準じましていろいろお世話しているわけでありますが、現在もすでに台湾人の方々につきましてそういうお世話をし、今回二人の方につきまして、東京都の引揚者寮というものがございますが、その一室をわれわれの方で準備をいたしまして、提供したのでございます。必ずしも十全とは申しませんけれども、とりあえずそういうところへお入りいただくということでお世話をしたのでありますが、なかなか御満足いただけない関係上、そこに御同意をいただけないという実情でございます。差別待遇しているわけでないということを御了承願いたいと思います。

○島上委員
 差別待遇しているのではなく、むしろ優遇しているのだという御答弁でございましたが、なるほどある部分だけを取ってみれば優遇しているように見える面があるかもしれませんけれども、台湾や韓国から戦地に持っていかれ、十数年戦地で働かされ、戦犯として投獄され、そして日本に護送されてきた人々と、日本に妻子があり、親戚があり、出たら友人もありというような人々とは非常な違いがあると思うのです。それを考慮の中に入れないことには、日本人にやっていないのに千円やるとか三万円やるということでは、実質的に大きな差別をされているという結果になると思うのです。そこで、まず最初に伺いたいのは、今まで出た人、五月三十一日にオランダ関係で仮釈放の恩典に浴した人が今日なお出ていない、全体、伊泉という二人の韓国人がまだ出ていないということを聞きましたが、今のあなたの御答弁では引揚者寮を世話したとおっしゃいますが、これらの人々の御要望によりますと、巣鴨にいるよりもっとひどい、高いへいを張って鉄条網まである、巣鴨からもう一つ巣鴨に移ったような印象を受けるというようなことであります。それから仕事の面も、おそらくぜいたくは言わぬだろうと思うけれども、自分たちがこれならやっていけるし、また生活もどうやらできるというような仕事については世話していただけなかった、そうして今まですでに出た人が非常に悲惨な状態にある、台湾の人のごときは、これは何名か人数は聞きませんでしたが、現在巣鴨の残飯をちょうだいして露命をつないでおる、自分たちが今うかうかと出ると、それの二の舞いになるのだ、こういうことで、二名の人は出ることを快しとしないということを聞きましたが、今までのそういう悲惨な人人に対して、政府は何らかの積極的な救済の方法を講じたでしょうか。

○川崎国務大臣
 私よりも援護局長の方が深く知っておりますから、あとでお答えいただきますが、今の、先ごろオランダ関係の戦犯を解除されて、なお今日巣鴨に残っておる二名の者についての話でありますが、これは閣議で田中副長官が報告をいたしました際に、私も非常にけげんに思っておりまして、その生活の問題についてはやはり厚生省が主体になって相当お世話をしなければならぬものじゃないかという考えをいたしておりまして、あとで実は副長官に聞いて、これはどういうふうに処理をすべきものかという話までしたほどであります。そこで、お答えをいたしておきますが、一昨日厚生省にこの戦争受刑者の方々が見えまして、そうしてこの二名といわず、一般に就職の世話あるいは住宅の世話をしてもらいたい、特に今日差し迫っているのはこの二名の問題であって、巣鴨に長くおるということは精神的な苦痛もあるから、従って早く受け入れ態勢を整備してもらいたいという話でありました。第一には職業をあっせんしてくれ、第二には住宅を世話してくれ、第三には生業資金として三十万円を世話してくれ、こういうことであろうと思うのであります。そこでこれは、先ほど法務大臣はどういうお話でありましたか知りませんけれども、私セクショナリズムで申すのではありませんが、戦争受刑者に対する善後措置につきましては法務省が世話をするということになっておるのであります。しかし、法務省の方で、内容については厚生省だとか、あるいは外務省だとかいうようなことの責任転嫁みたいな話し合いがありますれば、私の方としては、むしろ進んで厚生省が主体となって世話をしてもよいとさえ考えておるほどでありまして、最近では強くこの申し入れをいたし、われわれの方も積極的に問題の解決に当ろうといたしておるほどでございます。ただ、そのうちで一つだけ今お話の点と違うのは、ただいまも援護局長が申したように、住宅の方は、とりあえず厚生省が主体となってお世話をした大森寮というところには、一般の引揚者の方が百人足らず入っておられるそうであります。そこへ、引揚者も入っておられるのですから、戦犯を解除された方々が入れないという理由は私はなかろうと思うのであります。そこで、先ほども答弁をいたしておりますが、この際もっと明確に答弁をいたしますと、この引揚者の寮というのは、戦争中に相当大きな住宅を借りたそうでありまして、その後あまり手入れをいたさない関係で相当さびれてはおるかとも思いますけれども、のら犬が住むようなところだとか、あるいは巣鴨よりも悪いとか――巣鴨は最近内部は非常によくなったそうでありまして、そういう住宅の単なる比較からいえばあるいは悪いかもしれませんけれども、何といったって精神的な苦痛、つまり戦争受刑者といういわば忌まわしい犯罪を着せられたものから解除されるわけですから、雨露をしのぐということが完全であり、ちゃんと骨も敷いてあって、一般の家族が入っておるところにお入り願えないということは私はなかろうと思うのであります。そこでバリケードを築いておるというお話があったのであります。自分は行ってみたことがないから、自分の言うことが正しいかどうかわからないけれども、しかし自分の下僚から報告を聞いておるところによると、その大森寮というものには、なるほどへいはある。しかし、ブルジョアが昔住んでおったところであるからへいのあるのは当りまえで、何も営門とかあるいは巣鴨の門とは違うのだ。従って、門の上に鉄条網があるというのは、鉄条網ではなくて、聞いてみるとガラスのとげを刺した、昔金持ちの家にどろぼうが入るので防御などをする態勢をしくときに、ああいうものをやったことがありますな。あれをしておるのを鉄条網と称しておるのだそうであります。そこで私がそう言いますと、その点については何らの御反駁もなく、その通りだという顔をしておりました。言葉は発せられませんでした。従って、住宅の問題は、この二名の方々が同意をしていただけるならば、今日でも入れる態勢はしいてあるわけであります。
 それから職業の問題につきましても十分ごあっせんをしておるそうでありまして、ただ、今までほかのなにについて十分御同意を得られなかったというような関係でありまして、今厚生省として非常に十分なことができないというのは、生業資金三十万円という問題は、大蔵省の関係もあり、その他財政当局の資金融通の関係もありますので、まだ十分なことはできておりませんが、その他については確信を持っておるわけであります。住宅はもうすでに現に提供できるものもあり、それから職業についても、法務省と相談をしまして、厚生省がむしろイニシアチブをとっても解決をいたそう、こう思っております。生業資金の三十万円ということは、今直ちにこれをやりますと、その方お二人であればよろしゅうございますけれども、五十八名という数が当然問題になるのですから、それもお世話すべきでありましょう。しかし、今これを入れますれば、千七百四十万円という金を直ちに用意をいたさなければならぬ。これを貸し付けるということは、今日では、国民金融公庫などに頼んでみましても、なかなかすぐにはできないというような関係で、しかし、厚生大臣としては、十分御協力を申し上げて、これらの問題の解決に当ろうといたしておるのであります。従いまして、先ほど来御質問でありますが、住宅、職業のあっせん等につきましては、誠意を持って今日までもやってきたということの経過だけは、この際御承知おきを願いたいと存ずるのでございます。

○辻委員
 ちょっと関連して。社会党の諸君が第三国人の戦犯に対して非常にあたたかい取扱いをせよとおっしゃるのは、大へんありがたい御意見だと思います。ただ問題は、一般原則でなく、現実をよく見てもらいたいのであります。私の方へもたびたびやって参りましたが、その内容を詳細に検討すると、玉石混淆であります。まことに順良な気の毒な者がおると同時に、きわめて悪質であって、共産党の手先になって扇動しておる連中もあるのであります。ことに、ただいま川崎大臣がお答えになったように、引揚者の寮に入れてやると、きたないといって文句を言う。また生業資金三十万円をよこせと言う。三十万円やったら、それでどぶろく、密輸をやるにきまっておる。それがいやならば、彼らがいいと思っておる巣鴨にしばらく宿を貸して、自分の適当な住宅があるまで住まわす。日本の勤労大衆が困っておるのだから、それ以上の待遇を求めるということは、私は政府においても十分お考えになって処置をしてもらいたい。ことに、私戦場におって朝鮮出身の兵と台湾の兵を使った者であります。台湾の兵隊に感心しましたことは、日本の壮丁よりも勇敢にまじめに働く者が多いのです。朝鮮の者の大部分はおそらく捕虜収容勤務に充てておったのであります。彼らが戦犯になったのは、責任罰ではなくして、下手人が多いのです。なぐったとか殺したとかいう下手人の方が多い。一般の戦犯は責任罰――部下の兵が起した責任をとるという責任罰が大部分であります。そこで、この処理は、道なる感傷論や感情論でなくして、そういう現実をよくお考えになって、いい者はあたたかく迎え、悪い者はさとしながら、戒めながらやっていかぬと、玉石混淆で、共産党の手先になってストライキをやるような連中に国家が甘い目を見さすことは適当でないと私は思うのであります。その辺はどうか処置を誤まらぬようにしていただきたいと思います。

○川崎国務大臣
 ただいま辻委員から御注意がありまして、われわれとしてもよくその旨を含んで善処いたしたいと思います。ただ思想の問題について世話をしないというようなわけにも参りませんので、これは、われわれとしては、そのときの話し合いで、無理な問題を持ち出す者は、思想のいかんを問わず拒否したいと思っております。従って、原則としては、島上委員の申されるように、われわれとしては、やはり日本人の戦犯等と同様にあたたかく迎えて、そうしてあらゆる努力をしてお世話を申し上げたいと思っております。従って、一番難関の生業資金につきましても、私はできる限りの努力をいたし、法務大臣とも連絡をいたしますが、たとえば今の住宅問題などで全然話にならぬというようなことでは、せっかくお世話をいたしましても、ことに引揚者が入っておるわけなけなんですから、引揚者が入っておられまして、戦犯として受刑されて出られた方が今度は入れないという理屈は私はないのじゃないか、この点を十分御勘案をいただきまして、今後ともに、辻委員の御注意もありましたので、そういう原則は島上委員にお答え申した通りでございますが、全然話し合いにも乗っていただけないということになりますれば、こちらとしてもこちらの道を進まなければいけない、こう考えております。この点もお考えおきを願いたいと思います。

○島上委員
 私が日本政府の責任において日本人と同様に扱ってほしいと言いましたのは、大臣も御承知のように、台湾及び韓国の人々は、日本人とは非常に異なった不遇な状況にあるということです。私は詳しく聞いてみましたが、たとえば台湾の戦犯などは、自分の郷里に帰りたいと思っても、当時国民政府の捕虜を収容しておったその場所で、日本軍人の下働きをさせられた、そういう関係で、今の台湾におる国民政府との関係が非常にまずい。帰りたくも帰れないというような事情にある、こういう気の毒な状態にある。それから、さっき言ったように、日本には親戚も友人も知己も何もない、こういう状況ですから、今、辻委員が、三十万円やったらどぶろくを密造するにきまっていると言われるようなことは、私は辻委員にしては少し軽率な言葉であると思います。やはりもっとあたたかい心やりをもって考えてやらなければならぬ。(「人種が違うし、考え方が違う」と呼ぶ者あり)それは、大ぜいの人ですから、いろいろ考え方の違いもあるでしょうけれども、やはり、大臣が言われるように、思想の違いでもって待遇を異にするというようなことはすべきでないと私は思います。(辻委員「共産党に援助する必要はない」と呼ぶ)それは見解の相違ですが、どぶろくを密造するとか、共産党の手先になるということは、あなたの独断であって、こういうような長い間日本軍の下で働いて、戦犯となって、あたら青春をほとんど失ってしまった状態にある人に対しては、やはり国家の責任で、もっとあたたかい思いやりをかけなければならぬ、それは日本の戦犯に対すると同様にしなければならぬ、こういうことです。日本の戦犯でも、あいつは共産党だからこれをやらぬとか、こいつは何党だからやれというような区別をすべきではないと私は思う。その人が自由なからだになって、自由な仕事について、その後何をやるか、それは本人の自由意思できめることであって、戦犯に対する国の処遇としましては、やはり同様に見てやらなければならぬ。その同様にというのは、私がさっき言ったように台、湾や韓国の人々が国内で釈放された場合、いろいろな条件が日本の戦犯より非常に不遇な状態にあるということを十分に考慮に入れてほしい、こういうことです。三十万円くれとか、寮ではきたないとか、仕事もあの仕事はいやだ、この仕事はいやだと、非常にぜいたくなように聞えるけれども、そこは日本人よりも非常に悪い条件のもとにあるということを十分考慮してやってほしいということです。私はこのことについては特に答弁を求めませんけれども、それを強く要望して、不測の事態が起ることが万一にもないように――私は、あの中に共産党の手先を勤めて何かやっている人がいるとは思いませんけれども、よしんばそういうことをしておる人がおったとしても、政府がするだけのことをすれば、そういうような不測の事態が起ることはなかろうと思いますので、誠意を持ってなるべくすみやかにこの問題を解決していただくように強く要望しまして、大臣の所見を、もしありましたら最後に承わっておきたいと思います。

○川崎国務大臣
 ただいまのお話は、御趣旨の点は先ほど答弁いたしましたようによくわかっておりますので、十分に善処するつもりでございます。

○山下(春)委員
 関連して。この問題について、私先ほど一番の責任の衝だと思われます法務大臣といろいろお話し合いをいたしました。法務大臣は、私の申し上げたことは非常に参考にもなり同感であるということでございましたので、厚生省としても、いろいろな面でこの仕事に御協力をなさる立場の省でありますので、お聞きしたい。なお、島上委員あるいは辻委員のお話もございまして、そうして厚生省の立場としての御見解も聞きましたが、問題は、第三国人はあくまでも第三国人であります。日本人ではございません。従いまして、どんなあたたかい気持を持って接しましても、日本人と同様の法律をもってしては、なかなか割り切れないものが出てくると思います。ただいまの住宅の問題などにつきましても、私が引揚委員長をしておりますときに、初めてソ連からの引揚げが再開せられましたとき、あまり破れ果てた引揚寮にお入れしてはいけないというので、たまたま大森寮は視察をいたしました。そうして壁の落ちているところ、あまり畳のきたないところ、そういうところを東京都が責任を持って修理いたしたのであります。これは相当大きな料亭でありまして、りっぱな家でありますけれども、使い方が乱暴なために相当いたんでおりましたところを修理いたしまして、大分きれいにいたしました。この状況ではあまりきたなくて住めないというようなお話で、ございましたが、私は思いますのに、これを職業とか住宅とか事務的にいろいろお考えになりましても、それではとうてい解決のつかない問題だと思います。しょせん、やはりこれは日本のために働きまして戦犯に問われて十年の間拘禁されておるということは確かに事実であります。そこで、特例法を政府でお立てになりまして――要するに、この問題は、日本のどの法律かに当てはめて何とか処理しようと思いましても、たとえば、巣鴨を出る人が、三万円ということで、戦争受刑者世話会に頼んでも、受刑者世話会にも今日は金がないようであり、そうして中も分裂したような形にありますし、いろいろな意味で、とてもそういうことで何とかかんとか言っていても骨が折れるだけで、国の大義名分は立たないと思います。朝鮮と台湾とは違うというお話もありまして、事実その通りでございますが、今回のこのやや問題になっております姿は、朝鮮の人に同情をした意味もありましょうし、あるいはこれは当るか当らないかわかりませんが、厚生省等に参りましたら、政務次官かどなたかが、そういう陳情が出ておるとは知らなかったと言われた。あれほど、法務省の人などが、当局にこういうふうに頼んだ、ああいうふうに頼んだと言うのに、何もわかっておらないじゃないかということで、在所者五十八名が一諸になってしまったというような話であります。こういうことでございますので、第三国人も確かに気の毒であります。日本のために働きまして、罪に問われて十年の拘禁生活をしておるということは気の毒でありますが、気の毒だからといいまして、日本人と同じ法律をどこかから探してうまくはめようとしても、それはうまくはまらないことでありますから、この際、政府といたしましては、責任を持ち決意を深めて、そうして特例法を打ち立てられまして、それに対する国の態度を明らかにしてこれの処置をしていただきたい。私は、国際上からいっても何からいっても、今後起ってくるあらゆる問題を処理するのに、何かそういうものを一本立てていくということが非常によい方法だと考えております。法務大臣にさようなお考えはないかと申しましたら、同感であるということでございましたので、厚生大臣におかれましても、そのような処理の方法をお考え願うことが必要じゃないかと存じますが、いかがでありますか。

○川崎国務大臣
 戦争受刑者の中の第三国人は非常にわずかでもありますし、ただいま仰せになりましたことは非常に青紫に値する点が多々あると思いますので、法務大臣と十分協議をいたしまして、もしそういう法律が必要であるという結論に到達いたしましたら、なるべく近い機会に提出いたしたいと思います。

(略)

○受田委員
 仮出所されております第三国人である戦犯の皆さんを大森寮へ一時的に収容しておるということでありますが、これは一時寮で定着寮ではないと思うのです。しからば、まだ巣鴨におります五十数名の第三国人が出た場合に、定着寮を考える用意があるかないか、この点をお伺いいたします。

○田邊政府委員
 今定着寮と一時寮に分けて御質問があったのでありますが、一般引揚者に対する処遇といたしましては、単身でお帰りになった方は、一時寮に一時お入りになる、そのうちに自分の生業その他をお見つけになると、それに対応してしかるべき住居を持って出ていかれる。家族持ちの方につきましては、一時寮にいつまでもお入り願っておきませんで、定着寮あるいは個々の住宅等をお世話しておるわけであります。従来も、一時寮一時寮と申しましても、恒久化すれば定着寮になるわけでありまして、そこは言葉の相違でありますが、多少定着寮的な意味合いも現在の一時寮には入っております。現に常盤寮と申しますところのものは、今までの一時寮という建前のもとで相当長い間入っておられます。今のところはそういう線で現在まで来ておるわけでございます。
 今後の問題につきましては、先ほど法務大臣からもお話があり、また厚生大臣からもお話がありました通り、内閣あるいは法務省を中心といたしまして関係省が集まりまして、いろいろとこの対策に早急に検討を加えようということで、きょうも実はその会議を予定しておったわけでございます。時間がございませんので本日はできませんが、法務省にも積極的に推進いたしまして、できるだけ早く結論を出したいと思います。

 

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最終更新:2010年03月17日 01:58
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