19830303・ 98回衆 - 予算委員会(竹下大蔵大臣答弁)

 

質問:三浦隆

答弁:(大蔵大臣)竹下登

○三浦(隆)委員
 これもちょうど先ほどの朝鮮人の樺太残留者の問題とそっくり同じような感じです。いずれにしましても、日増しに、延びればお年を召していくだけであって、早い解決をしなければどうにもならないことであります。そして同時に、これまた日本が無理やり日本国籍にしたりしながら、そして日本の戦争のために協力させたわけです。
 記録を見ておりましたらば、B、C級戦犯の受刑者となった台湾人百七十三名、うち死刑執行二十四名、獄死二名とあります。あるいは朝鮮人百四十八名、うち死刑執行二十三名というふうな記録もありますし、さらに、アジア各地でのB、C級戦犯として裁判を受けた日本人軍属四千八百五十五名のうち、台湾人及び朝鮮人の元日本兵士、軍属が三千名というふうな記録もあるわけです。まさに日本の戦いの中にこれらの人々を巻き込んでいるわけです。
 そういう意味では、法律論や財政論を超えてでも一日も早く救済しなければならない責任が日本にはあると私は思います。ちょうど自分のうちにだれか悪い人が入ってくる、家族が協力してその外部の敵に当たるのだというときに、自分のうちだけでは足りないからお隣、向こう三軒助けてくれと力をかりた。どうやら事は終わったといったときに、よそ様の人の助けをかりたのに、もう終わったからといって、他人だからといってお礼の言葉も述べないうちに、単にありがとうくらい言うのでしょうか、何もしない。自分のうちの家族、親や子供たちに対してだけ御苦労さんでしたとお金を支給する。これがいまの、たとえば戦に参画した人に対する、あるいは死んだ人に対する、家族に対する何らかのお金をわが国が出している問題だろうと思うのです。とすれば、もし財政難を理由とするならば、申しわけないけれども日本国内の人を仮に詰めてでも、できる限りの処置をむしろそういう人々に対してこそ先になすべきものなのじゃなかろうか、ここに根本的な考え方の違いがあるように思うのです。日本が力ずくで一方的に日本人を名のらせ、一方的にもはやあなたは日本人でない、だから知らないと言って済む問題ではないように私は思うのです。いわゆる日本の戦争責任と信義というものに絡みます。
 そういう意味で、いまここに大蔵大臣もいますので、財政の大変なときではございますが、こうした問題をどういうふうにお考えでしょうか。突然で大変恐縮でございますが。

○竹下国務大臣
 この問題につきましては、私ども、前回の大蔵大臣のとき、それから、やめました後も議論をしたことがございますので、たまたま手元にその際の資料がありましたので申し述べてみたいと思っております。
 この問題は、先ほど橋本さんから御答弁がございましたが、いわば救済措置の対象を台湾人元日本軍人軍属に限定することと仮にいたしますと、在日朝鮮人及び在日韓国人を含む北朝鮮及び韓国の元日本軍人軍属等の問題をどうするか。そこで、韓国とは日韓協定によって請求権問題は一応決着しているが、韓国人が個々に請求を行い裁判が起きた場合、それはどういうことになるだろうか。それから、在台湾の残置財産、これは日本の問題でありますが、台湾人元日本軍人軍属の戦死傷補償請求等の請求権問題とは一連の問題であることから、台湾人元日本軍人軍属の戦死者等について何らかの救済措置を講じれば、台湾に残置した財産の補償問題をどうするかという問題がございます。さらに最終的には、国内、他国内、いわゆる国内外のすべての、たとえば戦災補償でございますとか、そういう問題に波及していくということもあるわけでございます。
 したがって、この問題につきましてはいろいろな面から検討をいたしましたが、いま先生のおっしゃる、いわば人道的な問題という意味を私が理解しないという意味でなく、問題としては非常に困難な問題であるというふうに申し上げざるを得ないのかな、こういうふうに考えるわけでございます。その他、いわゆる政府間協定を前提とする必要があるということになれば、国交のない国との協定は結べないとか、そういう余りにも多岐多様にわたる困難な問題が多かったということを、私が経験いたしました段階について申し上げるわけでございます。

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最終更新:2010年03月16日 23:06
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