19520627・13回衆 - 大蔵・厚生・海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会(大谷議員答弁)

 未復員者給与法等の一部改正案について、堤ツルヨ議員(社会党)の質問に、法案提出者である大谷榮潤議員(自由党)が回答。

質問:堤ツルヨ

答弁:(参議院議員)大谷榮潤

○佐藤委員長
 これより大蔵委員会、厚生委員会、海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会連合審本会を開会いたします。
 協議の結果に基きまして、不肖佐噛重遠が委員長の職を勤めます。
 未復員者給与法等の一部を改正する法律案を議題とし、まず提案者より畑旨の説明をお聞きしたいと存じます。提出者参議院議員大谷瑩潤君。

○大谷参議院議員
 ただいま議題となりました未復員者給与法等の一部を改正する法律案の提案理由の説明を申し上げます。
 未復員者給与法は、元の陸海軍に属している者が復員するまでの間、本人に俸給及び扶養手当を支給し、復員傍においては帰郷旅費の支給及び療養の給付等を行うことを規定したものでございますが、従来戦争犯罪人または戦争犯罪人容疑者として逮捕、抑留、処刑された者には、俸給、扶養手当及び帰郷旅費は支給されないことになつておりました。本年四月二十八日に日本国との平和条約の効力発生に伴いまして、連合国軍最高司令官の権限が消滅いたしましたので、今後は新たな戦犯の発生は考えられません。かつ条約発効後においては、戦争犯罪人でありました者の取扱いにつきまして、他の法令、たとえば恩給法におきましても、その権利の復活を認める方向に進んでおりますので、この際未復員者の給与に関しましても、戦争犯罪人に対する特別扱いを改めることといたしたいと存ずるのであります。
 改正案の第一条の改正規定は、未復員者給与法中の戦犯関係条項を削除しまして、戦犯を理由とした差別扱いをしないことといたしたのであります。しかしながら、戦争犯罪人の中には、元の陸海軍に属していない者があり、また内地において拘禁中の者がありますため、未復員者給与法の改正だけでは、すべてが救済されませんので、これらの者を特別未帰還者の中に包含させて、特別未帰還者給与法の適用を受けることができるようにいたしました。改正案の第二条はこのことを規定したのでございます。特別未帰還者給与法は未復員者給与法をそのまま準用いたしておりますので、この二つの法律の改正によつて、戦犯者の以前における所属が旧軍関係であるといなと夕問わず、同一の取扱いを受けることになるのでございます。なお従来未復員者給与法の取扱いとしまして、戦犯が確定いたしますると、元の陸海軍に属していた者も未復員者名簿から抹消する手続をいたしまして、未復員者給与法の適用から除外いたしておりましたので、この特別未帰還者給与法の適用によつて救済されることになるのであります。
 現在拘禁中の内外地の戦争犯罪人は、その数合せて千二百四十一名でございます。これらの者に対しましては、その釈放に関する民間運動も展開されつつあり、また国会におきましても、さきに戦犯在所者の釈放等に関する決議をいたしております。その輿論にこたえる意味において、この改正案を提出いたした次第でございます。
 何とぞ御審議の上御賛同賜わりますようお願い申し上げます。

(中略)

○堤委員
 (前略)
 そこで次にもう一つ質問いたしたいのは、私本会議の場合にも触れましたが、千二百四十一人の戦犯者のうち、九十六人の第三国人がおいでになる。これは台湾人と韓国人でございます。扶養者を持たない単独戦犯者に対しては、給与はいかがであろうという意見をお持ちになつておる方は、考慮の余地はないかもしれませんけれども、これは給与というにしてはあまりにも少い千円である。これはいわゆる二つのものをからみ合せた意向を多分に持つたものとして、千円というものを了承するならば、補償の意味、従つてお出ましになつたときの更生資金の一助にもという考えをからみ合せて考えますならば、当然このお気の毒な第三国人――法務府の見解としても非常に自信のない、日本の戦犯者と同等の立場において、巣鴨または外地において服役さしておくことが、はたして妥当であるかどうかという議論さえも、弁護士会の方々から法務府に対してやられております今日、私は当然この第三国の方方九十六人に対しては、この給与が支給さるべきようにこの中に盛られなければ問題であると思うのでございますが、この点につきまして、提出者の大谷参議院議員の御説明を承つておきたいと思います。

○大谷参議院議員
 (前略)
 もう一つ第二国人の問題は、立案者のわれわれといたしましては、当然やるべきものと考えておるのであります。その理由といたしますことは、戦争に参加をいたしました当時は、もちろん領土内の日本国民としての扱いを受けておることでありますし、またたとい今日それぞれが独立いたしまして、外国人の籍を持つようになりましたといたしましても、実際の取扱いの上におきまして、外地から引揚げて来た場合に、日本人の戦犯の釈放者にはいろいろの手当が出るが、他の台湾人や朝鮮人の人たちには何の取扱いもないというようなことは、人道上から申しましても、また取扱いの面から申しましても、非常にめんどうが起るのではないかということも考えられますので、現在のところではやるという建前のもとにお考えを願いたいと存じます。

○堤委員
 そうすると、この法律では当然適用範囲になると解釈してよろしゆうございますか。

○大谷参議院議員
 その通りでございます。

 

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最終更新:2010年03月17日 02:53
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