19531106・17回参 - 法務委員会(斎藤法務省保護局長答弁)

質問:中山福藏

答弁:(法務省保護局長)斎藤三郎

○委員長(郡祐一君)
 只今から委員会を開きます。
 先ず斎藤保護局長から戦犯者の釈放等に関する交渉並びに措置等につきまして、昨日本委員会で質疑のありました点に関し、質疑の点はすでに御承知だと思いますから、政府としての所見を述べて頂きたいと思います。

○説明員(斎藤三郎君)
 (前略)
 又中山先生からのお尋ねがございました韓国出身の人々の問題でございまするが、現在二十四名単鴨プリスンに在所いたしております。これらの人々は殆んど全部が朝鮮から戦争中に応召されたことによりまして現地に赴いん。そして終戦と同時に戦犯者として抑留され、そして横浜から巣鴨に入つたと、こういう事情でありまして、内地に家族もない友人もないというような人々でございまして、誠に同情に堪えない状況がございます。政府といたしましては、昨年の六月であつたと存しまするが、その当時在所しておりました三十一名全員につきまして、平和条約によりまして、国籍を異にして又朝鮮と日本との交通が遮断され、加うるに朝鮮動乱によつて家族の安否も気遣われるというような状況にあつて誠に同情に堪えないから、特に朝鮮の人三十一名について、同時に中国の人も同様なことでございまして、これはたしか一名であつたかと存じておりまするが、合せましてそれぞれの関係国に特に全員の赦免を勧告いたしたのでありまするが、遺憾ながら希望するような結果を得られないで今日に至つているのであります。政府といたしましては、勿論これらの韓国の人々について差別的に待遇するようなことは全然行いませんで、全く同様に赦免をいたしておるのでありまするが、遺憾ながら家族が朝鮮におつて内地に一人もおらんというような関係から、同じく法律の適用はあるのでございまするが、例えば留守家族援護法の適用においては、内地におる家族に対して月々金を出すと、こういうようなことになつております。その結果としてこの援護法による恩典を受けられないというような関係になつておりまして、結果的に気の毒なような事情もございますので、私どもといたしましてもいろいろと実際の運用の上においてできるだけさような点を考慮いたし適切な処遇をいたして参りたい、こういうようなことで参つた次第でございます。最近もこの戦犯者の問題につきまして、法務省の附属機関がございまして、戦犯勧告の意思決定をいたしまする法務省の中央更生保護委員会の委員長である土田さんが外国に行かれまして、先月の二十三日に東京を発たれまして二十六日にワシントンに着かれ、直ちにアメリカの釈放委員会といろいろ御折衝になり、又今までの調査せられました、実際に調査に当られましたいろいろな体験からいろいろと御折衝になり、相当向う側も考慮をいたしておるような状況が看取されました。今後又土田委員長が帰られましていろいろと向う側の事情もわかり、それに対して適切な手を打つて一日も速かにこの問題を解決し、本院の御決議にお応えを申上げたい、かように存じておる次第でございます。

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国会議事録
最終更新:2010年03月16日 22:21
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