19570212・26回・衆議院予算委員会第一分科会(石田内閣官房長官答弁)

質問:田原春次

答弁:(内閣官房長官)石田博英、(内閣官房副長官)田中榮一

○田原分科員
 法務省に質問がありますが、それに関連する点で、石田官房長官にまずお答えをいただきたいと思います。詳しいことは法務大臣が見えてからにいたしますが、台湾及び韓国出身の戦犯で――戦犯というからには、戦争に従事しておったわけですが、戦争に従事するというのは、日本側で志願兵をつのって、主として俘虜の監視役をさせたのであります。たまたま二カ年の契約で採用しておるものが、三年以上もおることになり、しかもその残りの一年半以上延期された期間において、俘虜虐待の事実があったということで、多数の者が戦犯に問われ、そのうち四十九名は死刑になっておる。それから二百七十二名が無期刑その他の有期刑に処せられておることは御承知の通り、そのほかこれに関するいろいろな問題があるのでありますが、これらの問題について、石橋首相に直接会って実情を聞いて処置をしてもらいたいという陳情に行ったところ、石田官房長官がかわって会われて近く会わせるということになったのでありますが、もちろん石橋さんは今御病気で会えないことは、われわれはわかるのでありますけれども、この気の毒な戦争協力者の人々の処置、処遇について政府の態度がはなはだしくのろい。彼らは路頭に迷っております。それに対する処置を基本的にきめてもらいたいというのが、われわれの立場からも当然政府に要望したいことでありますが、その後これはどういうことになっておりますか。たまたま副長官も見えておりますし、御両氏からそれぞれの御回答を得たいと思うのであります。

○石田(博)政府委員
 お答えをいたします。あれはたしか一月の八日のことであったと思うのであります。今御指摘の朝鮮及び台湾の方々がおいでになりまして、事情を総理に直接聞いてもらいたいということでありました。私は、かわってお目にかかりまして、その事情を詳細にお聞きをいたしまして、さらに総理にも直接会いたいという御希望が重ねてありましたが、ちょうどそのころ北海道その他へ遊説に出かけるときでありましたので、帰ってから、できるだけすみやかな機会にそういうふうに取り計らおうということをお約束いたしたことは、事実でございます。ところが、その後御承知のように総理が御病気になりましたので、まだ会わせることは実行いたしかねているわけでございますが、事情を伺いました件につきましては、所管が法務省の保護局と厚生省の援護局にわたることでありますので、それぞれ所管の両省に対しまして、特に法務大臣には、直接問題の早急処理方をお願いをいたしておいたようなわけでございます。この問題の経過その他につきましては、田中副長官から答えていただくことにいたしたいと思います。

○田中(榮)政府委員
 ただいまの朝鮮、台湾の戦争中における刑余者の処遇につきましては、一昨年来から実は政府の方に関係者の陳情がございまして、私どももまことに御同情にたえない次第でございます。政府としては、できる限りの努力をいたしておるのでございますが、ただ現在の段階におきましては、巣鴨の拘置所から出た者の住居の問題であるとか、あるいは職業のあっせんの問題であるとか、あるいはまたその他の生業資金の問題であるとか、そうした現実に即した面のお世話をいたしておるのでございまして、これも主管といたしましては、厚生省並びに法務省側の所管事項になっておりますので、内閣といたしましては、なるべく両省の関係者を集めまして、極力連絡協調を遂げさせまして、趣旨に沿うように努力をいたしたのでございますが、ただ財政上の関係から、御期待に沿い得ない点も多々あるかと存じております。なおこれらの人々が、政府に対しまして、あるいはなくなったものに対する弔慰金であるとか、あるいは巣鴨の拘置所に入っておる間のいろいろな見舞金程度の日当幾らに換算した総計、この程度の――中から、これを一つ見舞金として支出してもらいたいというようなことも、かねがね承わっております。これらのことにつきましては、実際問題としまして、他の関係等の比率もございますので、そう簡単にそのままこれを受け入れるということはとうていできません。またこれらにつきましても、彼らは、その当時は一応日本人としての処遇を受けておるのでございますが、現在といたしましては外国人という立場になっておりますので、日本人としての解決ということが非常に困難でございます。これらにつきましては、今後も十分に一つ検討を加えてみたい、かように考えておる次第であります。

 

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最終更新:2010年03月17日 04:30
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