19530707・16回衆 - 厚生委員会(田邊厚生事務官答弁)

質問:山下春江

答弁:(厚生事務官・引揚援護庁次長)田邊繁雄

「戦傷病者戦沒者遺族等援護法の一部を改正する法律案」及び「未帰還者留守家族等援護法案」に関する審議

○山下(春)委員
 この法律のどれにもはずれて来る者の、わずかな数字でありますが、第三国人の援護でございます。これは今度マヌスから帰つて来た五十何人、巣鴨に三十人、かれこれ合せて百人くらいであろうと思いますが、これは日本としてどうしても援護してやらなければならぬ問題だろうと思います。いずれの法律からも除外されておりますので、今御返事をいただかなくてもよろしいのですが、これは国会として援護してやるべきものと思いますが、今お考えがあれば承つておくし、なければ何か考えていただきたいと思います。

○田邊政府委員
 現在戦犯として拘禁されておる方々のうちの第三国人の問題でございますが、これは特別未帰還者として特別未帰還者給与法の適用を受けるのであります。ただ俸給を前渡しする場合におきましては、やはり内地に扶養親族を持つている場合のみに限定して支給しております。これは行政権が内地以外に及ばない関係上やむを得ないのであります。従つて内地に扶養親族を持つておられない方々、つまり第三国人が多いと思いますが、そういう方には俸給の前渡しをしておらないのであります。今度留守家族援護法というものに切りかわりますと、どうしても内地に留守家族を持つておる方々だけが対象になるのはやむを得ないと思います。かりに日本の国籍を持つておる方々でありましても、内地に扶養親族を持つておらない方は適用がない。第三国人でも、内地に扶養親族を持つておる方は、当然この法律の適用を受けるのであります。ただ扶養親族を持つていない方々の問題をどうするかという問題になりますと、これは厚生省の方で取扱う援護の問題とは別の問題になると思いますので、この点は法務省とも連絡をとつて、法務省の方に十分御研究をしていただいております。なお外地から帰つて来られました戦犯の第三国人の方々の援護の問題につきましては、これは特別未帰還者が帰つた場合、今後も未帰還者留守家族等援護法によりまして、それと同じような取扱いをする方針であります。
 それから戦死された第三国人の方方、処刑を受けられた第三国人の方々の問題は、非常にお気の毒でございます。国籍のない方々は戦沒者遺族援護法では対象としておりません。これは恩給法でも同じでございます。これはいろいろの問題があろうと思いますが、何とかひとつその道を講ずるようにしなければいかぬのじやないかと考えております。しかしこれは賠償の問題にも関係があり、また現在進行中の日韓会談の議題にも取上げられておりますので、それらの経過または結果ともにらみ合せて処置すべき問題と思います。将来の問題として慎重に検討を要する問題であろうかと思います。

○山下(春)委員
 この間マヌスから帰られました二十二名の中の本名が第三国人でありますが、その現状はどうなつておりましようか。今お話のように、賠償問題その他の問題ともいろいろな関係があると思いますが、そういうことを乗り越えて、本委員会及び国会としては、何とかしなければならぬ問題であつて、いろいろなことにこだわらずに、当然何らか援護の措置を考えてもらいたいと思いますが、この間帰られました十名の処置はどういうふうになつておりますか。

○田邊政府委員
 私が先ほど申しましたのは戦死者の問題でございます。マヌス島から帰られた第三国人の方は、大部分の方が内地に定着されることを希望しておられるようでありまして、それぞれ職を求められまして、それぞれの定着地にお帰りになつたようでございます。こういう方々に対しましては、普通の一般の内地の方と同じように援護の手を差延べておるわけであります。すぐお帰りになる方につきましては、それぞれ手続をとつていただきまして、船賃は全部日本側が負担いたしまして台湾まで送り届けるわけでございます。

○山下(春)委員
 もうすでにお送りになつた方がありますか。

○田邊政府委員
 あるかどうかちよつと存じませんが、本国へお帰りになるという御希望の方が非常に減つたようでありまして、大部分の方が内地に定着されるようになつたということを聞いております。正確な数字はまた調べまして後ほどお答え申し上げます。

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最終更新:2010年03月17日 02:46
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