ながされて藍蘭島エロパロSS

 

『寝取られて』 第19話

 

 

 

 

 

 

 

 

  1

 

 

 

 極彩色の縞馬模様が宇宙の彼方まで耀(かがよ)うサイケデリックなトンネルを落ちたのか、吸い込まれたのか、爆ぜ散ったのか……一転して静と死を想起させる沈淪とした漆黒の虚空を浮遊しながらくぐり終えると、にわかに重力を感じ四肢があるのを思い出し、知覚が喚起され、自我が萌芽したようにぼんやりと色褪せた景色が顕(あらわ)れた。それでもまだ外界と接する感覚と時流がどこかで遮断されているような、まるで透明の繭か殻にでも包まれているかのような儚い幻視感。壊れたテレビが横倒しに打ち捨てられたような視界。朦朧とする意識の中、頭を真っ直ぐにしようと思って──躰が動かないことに気付いた。

 なんだろう。これは。まるで異次元にいるみたいだった。頭がひどくぼやけて思考が定まらない。そのくせ気分はそう悪くなく、陽気めいたおかしな浮揚感の中にいる。こんな体験は生まれて初めてだ──

 が、視えてきたものは嫌と言うほど既出の出し物であった。初めは生産機械か何かが繰り返し動作していると思った。その次にやっと、輪郭がネオンのようにチカチカと虹色に明滅するそれが人間の肉体だと判り、性の歓喜を隠そうともせずに夢中で交わっている男と女だというのが解り──

 それでも誰だっけ、と認知能力がうまく働かないほどボクの脳は混濁していた。

 『いつもの二人』だと『認識』したのは、数瞬遅れてのことだ。

 

 

 

 ──すずとぱん太郎。

 

 

 

 途端、それまである種の心地好さすら感じていたフワフワとした気分がハエのように地の底まで叩き落とされた。

 現実では絶対有り得ない筈の組み合わせ。それも見せつけるようにこちらを向いての背面座位で、胡座をかくぱん太郎の膝上で蕩け顔のすずが積極的に腰を振っていた。

 そういうわけか──またこんな夢を見ているのか──と、ボクはげんなりしてつくづく嫌になってしまう。畳に頬を付けたまま全身がうんともすんとも言うことを聞かないのもそれを裏付けていた。

 ただ、焦点のはっきりしないぼやけた舞台の端にはもう一人の登場人物がいて、その後ろ姿が無感動の凪海が広がるボクの心にギザギザのさざ波を立たせた。

 すずと比べると肉の薄いお尻をへたり込ませながら、眼前で行われるいやらしいセックスをじいっと見入っているツインテールの女の子──。

(なんで…………あやね………………)

 彼女はすずとぱん太郎が淫らに交わる様を食い入るような眼差しで観劇していた。そんな友人の視線を真っ向から受けながらもすずのいやらしく悶える様は収まらず、いやむしろ見られて熱が入るように豊かに突き出た胸をぶるんぶるんと揺らし、妖しくくねる腰は止まらない。

 すると、早々にぱん太郎がすずの両脇を掴んでがっつくように腰を打ち付け出し、すずも嬉しそうに動きを合わせ始めた。いつもは“お楽しみの時間”がもっとうんざりするほど続き、ぱん太郎の情婦に堕ちたすずの痴態をさんざん見せつけられるのに──。

 二人は最後にキスをしながらあっという間に絶頂に達した。ボクたちなど無視して、すずは悶えまくった惚けた顔でぱん太郎に種付けられる時間を長々と過ごした。

 その表情は残酷なほどに官能的で、満ち足りていて美しく、ぱん太郎しか見ていなかった────

 

 

 

 

 それが終わると、立ち上がったアイツの足元にすずと入れ替わるようにあやねが傅(かしず)き、出したての性液がドロドロと滴り落ちる肉刀に手を伸ばした。

(あ……やね…………!?)

 裸同士で主従のように向き合うあやねとぱん太郎。

 今度はこの二人がセックスする……誰の目にも明らかであった。

 ぱん太郎と何か言葉を交わしていたような気もするが、この時はまだ音が遥か遠くにあって聞こえて来なかった。

 ただ、聞こえていてもボクの頭には入らなかったかも知れない。

 なぜならボクはただ、仁王立ちしたぱん太郎の股間に顔を近づけたあやねの艶やかな黒髪のツインテールを凝視していたから──。

 なぜ。どうして。なんであやねまでもがアイツと──この時のボクは彼女とぱん太郎が肉体関係を結ぼうとしている現場にただただ混乱するばかりで、一歩退いて周囲を見回そうとするどころか、まずはこの状況を整理しようとさえ思い付かなかった。

 けれども当然とも言える。明晰夢を見たとしても、「なんでこんな夢を見てるんだろう? ここはどこだろう? 今の自分は一体どうなってるんだろう?」などと冷静な分析を始められる人はいないだろう。それはもう脳が活性化している。

 まるで水底に沈んだような粘つく重圧で動かない全身。現実味を喪失した希薄な五感。深く働かない思考。それらが今の“状況”との乖離感を生み出していたし、性の小宴に戯れる三人の眺めようは、近くとも遠くにいるような感覚だった。

 それに快楽に負けた淫蕩ぶりがすっかり板についたすず、そして関係したという話は聞いたことがないのにアイツと裸の付き合いを始めたあやね──両人の振る舞いを見て、これがいつものたちの悪い夢以外の何ものでもないと無意識に決め付けていたのである。

 だから、悪夢の中に出て来るのは初めての筈のあやねに対しても、

(ああ……あやねがぱん太郎のペニスを…………あやねも…………アイツとこんなコトする仲だったのか…………)

と、最初こそ驚きながらも、大した抵抗もなくそう結論付けてしまったのかもしれない。ぱん太郎とあやねが男と女の営みを始めたのに違和感も覚えず、この光景が答えの全てなのだと、すぐに疑念を放棄してしまったのかもしれない。

 そんな屈辱的な、破滅的な、意識がしっかりしていれば到底理解不能な考えを、最近こんな夢ばかり見ているからと、夢の出来事だからと、何もかも夢のせいにして、まったく頭を働かせずにすんなり認めてしまっている自分がいた。

 これでこの村でぱん太郎に抱かれていない適齢期の女性はいなくなる。夢の中では女盛りの全員がぱん太郎と関係を持ったことになる。

 特に──そう、ボクが特に親しくしている女の子もすべて。

 ゆきのが。りんが。みちるさんが。ちかげさんが。しのぶが。梅梅が。まちが。すずが。

 

 

 

 そして、あやねが──────

 

 

 

 彼女たち全員がぱん太郎の性奴隷に。アイツと所構わずセックスする存在になるのだ。アイツのあの巨根の虜になり、アイツとの肉慾に溺れ、アイツに種付けられて、ぱん太郎の子供を宿す母胎にされるのだ。

 

 

 

 ……夢ではすずですらアイツに開発されまくって特等の肉人形と化し、先程のように嬉々としてぱん太郎と愛慾にまみれた子作りセックスをしているのだから──あやねもアイツとセックスすることを、心の奥底ではおかしいと思わなかったのかもしれない。どこかでこれが当然の帰結だとすら思っていたのかもしれない。

 でも、ボクは………………。

 

 

 

 ──あやねがどこか待ち望んでいたような表情でぱん太郎のペニスにゆっくりと舌を這わせ始めたのを、ボクはじいっと食い入るように見つめた。そうすることしか出来なかったのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  2

 

 

 しばらくはぱん太郎の股間に張り付いた頭が緩慢に揺れ動いているだけだった。

 が、肉棒の脇に舌を這わせる時にはあやねの横顔が伺い知れた。どこかぎこちない手つきで肉茎や亀頭、玉袋などをさすり、眼を細めながら舌を動かし、あるいは唇を直に触れて這わせるその表情は、ドキリとするほどの情感を湛えていた。緊張しているような面持ちだったが、厭々やっている風にも見えなかった。それどころか、一種の感動すら覚えているような気もした。そんな表情を眺めているうちに、次第に濡れた舌が立てる、ぴちゃぴちゃ、ぺちゃぺちゃという音が耳に入って来た。

 途中、ぱん太郎がボクの方をチラと見て躰の向きを横にすることがあった。あやねもそれに従って動く。そのため、アイツのペニスを弄っている彼女の姿が──恭順したかのように、化物への供物になったかのように、アイツの足下にひざまづいた裸体が真横からとくと眺められてしまうようになる。

 決してたわわに膨らんでいるとは言えない──あやねが聞いたら怒るだろうけれど、あくまで客観的な視点で述べるとしたら、『平たい』と称した方が近い胸の膨らみ。あやねのからだつきは、肉付きや凸凹のメリハリにおいて確かにすずに敵わないかもしれない。より小柄なまちと比べても。

 でも、シミ一つない綺麗な肌やくびれた腰つき、ドキッとするラインを描くお尻、姿勢の良い背すじ……女性を感じさせるには十分すぎるほどのなよやかさがあったし、艶やかな黒髪やぱっちりとした眼はちづるさんやまち、すずにだって負けない、まぎれもなく美少女と断言していい容姿であった。

 だから……だからこそ、その端麗な顔が明らかな性的昂奮を宿らせ、気持ち悪がりもせずに黒光りする巨大なペニスに触れ、口をつけ、舌まで這わせている光景は──胸を鈍器で乱打されるような沈鬱な気分にさせるものだった。

(くそう…………あやねまで………………)

 夢であることを忘れてしまいそうになる。

 それにしてもこうしてフェラチオしているところを見ていると、陰嚢部分も含めた全体で比べるとあやねの顔面以上もあるアイツの性器は、呆れるほどのサイズであるのが改めてよく解る。象、いや、マンモス級というか……奉仕という言葉がこれほど似合う男性器もないんじゃないか──とすら思ってしまうほどだ。その奉仕する女性があやねであることがボクの苦しみを増大させるけれども……。

「いいよあやねちゃん、上手のん♥」

「んぅ……んむぅ……」

 褒められて悪い気はしないのか、あやねの手つきや舌遣いは段々と積極的になっていく。時おりぱん太郎の指図が入ると、「こ、こう……?」と、あやねはそれに従って動く。

 ゴツゴツとした肉胴を手で盛んに擦ったり、超高層ビルを昇り降りするエレベーターのように何遍も舌を上へ下へと冗長に這わせたり、陰嚢を舐めたり……。

 悔しがるボクとは裏腹に、

「なんて熱さなの……火傷しそうよ…………」

 と独り言のようにうっとりと呟きながら、あやねは握った手がCの形にしかならないほど太い肉棹を両手で掴み、シャーベットを食すようにカウパーまみれの亀頭を舐める。目がとろんとなってきている。昂奮の朱に染まった顔には嫌悪感はない。男根に対しても、ぱん太郎に対しても……。こうしてアイツの性器と接触するのを彼女自身待ち望んでいたような表情……。

 唇の外に伸ばされたあやねの舌が鈴口から溢れ出る肉汁を掬い取って口の中に含み、喉が嚥下するのが確認できた。ぱん太郎の体液があやねの体内に入ってゆく……。

「のふふ……どう、ボクのチンポのお味は?」

「……ニガい……けど、どこか甘さがあるわね……こんなおかしな味、初めてだわ……これが、精液……ってやつなの?」

「これはガマン汁のん。女の子の愛液と同じでコーフンすると先に出て来るの♥」

(初めて……?)

 あやねはフェラチオはしたことがないのだろうか、確かに彼女の挙動は他の女性と比べるとどこか拙さがあった。それでもぱん太郎は満足そうに声を漏らしていて、彼女の頭を撫でながら度々褒め言葉をかけていたが。

 ボクの見当違いでなければ、フェラチオを始めた当初、あやねの表情には憂いにも似た暗さがあった気がする。それは初めての行為への緊張だったのか──どちらにしろ、アイツに褒められるうちに次第に愁眉は開かれて生気が宿ってゆき、アイツの気持ち好さそうな顔をちょくちょくと眺め上げては嬉しそうに、また得意そうに鼻を鳴らすようになった。ボクは彼女がおだてるとすぐ調子に乗る性格なのを思い出した。

 この島の人々は根がポジティブだ。どんな人でも気さくで協調的で、あっけらかんとしていて……。藍蘭島のおおらかな自然で育った人たちにはそういう善良な気風があるのだろう。

 そして、思春期とは思えないほど異性に免疫のない女子たちの行動。りん以外は裸になっても誰の目も気にせず平然としているし、海に行けば全裸になって泳ごうとするし、ぱん太郎が来る以前は隙あらばボクと一緒に入浴しようとしたりもした。

 

 ぱん太郎との裸の触れ合いに入っても、彼女たちが過度の緊張や不安感、羞恥などを抱く様子をおよそ見たことがない。今のあやねにしても、多少固さはあるようだったが、やはり根っこでは警戒心なんてものは持ってないんじゃないかと思ってしまうほどの自然的な態度がある。

 だから、

「クチの中に入れられるかな?」

 というぱん太郎の問いかけに、あやねが、

「こ、こんな大きいの無理よ…………」

と、気後れたように鋭峰を仰ぎ見ても、彼女が本当に怯(ひる)んでいるとは思えなかった。ただ、その頂は冗談ではなく子供の握りこぶし大はある。その下に伸びている肉棹も咥え込むには太すぎるぶ厚さとしか見えない。

 だがぱん太郎は、

「ダイジョブダイジョブ♪」

と、朗らかに言った。

「皆んな最初はそうやって尻込みするけど、意外と咥えられちゃうんだよね。めいっぱい口を開けて、太巻を食べる感じで試してみて。先っぽのでっかい部分さえ呑み込めれば後は楽になるから。ふぇらはやっぱ、女のコのクチの中の感触を味わうのが一番気持ち好いんだよねえ♥」

 女性たちは大口を開け、苦しそうではあってもあの巨根を実に美味しそうにしゃぶる。半分も呑み込まないうちに喉まで届くだろうに、えずきもせずに一生懸命咥えるのだ。気持ち好さそうな呻き声を漏らすぱん太郎を嬉しげに見上げながら……。

 美人揃いの村の女性たちが顎を外さんばかりに顔を崩しながらアイツのペニスを頬張り、口内でしごく──すずですらジュポジュポと音を立てながら半眼で咥え込む光景を思い出すと、一瞬それが悪夢の産物であるのを忘れ、堪らない悔しさや悲痛が湧いて来る。

「も……もう……わかったわよ…………仕方ないわね…………」

と、あやねはやむを得ない風に答えた。言葉とは反対にその瞳の輝きは増し、頬の染まり具合も深まる。それは明らかに性的な好奇から来るものだった。怯えてなどいなかった。

 肉厚太棹を両手で握りしめながら鼻先に持って来た亀頭をまじまじと注視したあやねは、

「……ホント、すごい真っ赤……ビクンビクンしてるし……」と驚きを隠せない調子で言ったが、その目尻は蕩けるように下がっている。「変な汁は後から後から溢れて来るし…………ここが一番クサイし…………頭がヘンになりそうな匂い…………」

「でも、イヤなニオイじゃないでしょ?」

「え、ええ……なんでかしら……こんなにクサイのに………………」

「これが男のニオイと味のん。女は男臭さに惹かれるもののん。男らしければ男らしいほどね。だからクサくてもイヤに感じないし、イイニオイに思うのもおかしくないんだよ」

と、ぱん太郎はいやらしい笑みを浮かべながら言った。

「そ、そういうものなの…………」

 あやねは微熱の籠もった目つきで男根の先端をしばらく見つめていたが、前髪を掻き分け、目を離さないまま唇を開き、濁り汁まみれの鈴口付近を齧り付くようにあんむと咥え込んだ。

「ン……! ン、ング……!」

 

 

 

 あやねの口の中に……ぱん太郎の臭いペニスが…………!

 

 

 

「ン……ン……!」

 広げられた唇の中に徐々に先端から消えてゆき、途中から閉じた目端に涙を溜めながら、「んぐ、んぐっ」と苦しそうな嗚咽を漏らすあやねだったが、やがて赤く腫れ上がった亀頭全体が口内に収まってしまった。

 ひょっとこ顔になるあやね……。

「んぐ……ン……ぅぐぅ……!」

「まずは落ち着いて、鼻で息を整えて」

 自分のペニスを咥えながら目を瞑ってじっとするあやねの頭を優しげに撫でるぱん太郎。その顔にこびりつく笑みはボクから見ればいやらしく下卑たものにしか映らなかったが、そんな男をあやねは眼を細く開け、フゥフゥと鼻息を立てながら切なそうな表情で見上げる。

「落ち着いて来た? じゃ、動いてみようか。ゆっくりでいいよ……歯は立てないで……そう、そうのん♥」

 あやねがペニスを口に含んだままのろのろと頭を動かし始めると、途端にアイツの声音が変わった。

「のっ、のの、いいのんっ……のの、あやねちゃんのおクチの中……とっても温かくて気持ち好いのん……♥!」

「ふぅ……ふぐ……んぐぅ……!」

 頬をすぼめたあやねは乱れた鼻息と共に何度も苦しそうに呻いたが、大変そうではあっても切羽詰まるほどの様子にはならなかった。

「どう? 先っぽさえ呑み込んだらそんなに苦しくないでしょ?」

 あやねがコクコクと頷き返すと、「よくやったね」とぱん太郎は褒め、言葉を続けた。

「くれぐれも歯だけは立てないようにね。喉の奥まで入れたらえずいちゃうから、ちょっとしか動けなくてもいいよ。その分、頬や舌をいっぱい使ってね」

 そんなぱん太郎の指示が出ると、咥え込んだままあやねは頷き、鼻で息をしながら頭をわずかに前後させては止め、止めてはまたわずかに動くのを繰り返し出した。

「ん……んむ……んむぅ……!」

 しばらく頭が動かなくなったかと思えば、舌が這い回る様子が頬の膨らみの移動で判る。

「そう、そう、いいよ、ののッ、そこ、先っぽの裏側いいの……♥! もっと舐めて……そう、ののぉ……♥」

 あやねのフェラチオを気持ち好さそうに堪能するぱん太郎に、ボクはみじめな悔しさを感じるしか出来ない……。

「他のコがやってるの見たことある? そういうのもどんどんお手本にするといいのん。ボクの汁に負けないぐらいたっぷりツバを出して音を立てながら舐めるの♥」

 その指令の後でムチュムチュと粘ついた吸い付き音が聞こえてくるのにそう時間はかからなかった。

 時々ぱん太郎を見上げる眼に仄かに浮かぶ、陶然とした色……。

 だが、しばらくしてあやねの動きが止まったかと思うと、「ぷはぁ」と口を離し、タラタラと粘液の糸を幾筋も垂れ落としながらケホケホと咳込んだ。

「あ、顎が痛くなってきたわ……ちょっと休ませて…………」

「よくがんばったのん」

 ぱん太郎はよしよしとあやねの頭を撫でた。

「あやねちゃんのふぇらちお、とっても気持ち好かったよ。初めてでこれだけやれれば上出来の。さすがはあやねちゃん」

「ホント?」

 嬉しそうに笑うあやねが可愛くて、そんな表情がアイツに向けられていることにボクは胸中で呪わしい呻きを上げる。

「嘘じゃないのん。後は回数をこなしていけば自然と上達する。慣れれば慣れるだけ上手くなるよ」

 あやねは、「わかったわ」としっかりと頷き返すと、またアイツの肉棒を再び咥え込み、ムチュムチュと音を出しながら先ほどよりも熱心さに拍車のかかった奉仕でフェラチオを続けた。顎が疲れたら休み、休んではまた大口を開けてアイツのペニスを頬張る──。そんな積極的な奉仕姿を虚しく見守ることしかできなかった。

 そうして、とうとうその瞬間が来た。

「の、出る、出る♥」と、アイツの躰とそれ以上に肉棒が張り詰め、大口径の銃撃の如き猛烈な射精が、あやねの顔と言わず胸と言わず浴びせ掛けられたのだ。

(あやね────!)

 その勢いにたまらずあやねが蒲団に倒れ込むと、放精中のぱん太郎が後を追って上に跨り、背中にまで追い打ちをかけた。あやねはとどめを刺されるかのように悲鳴を上げながら仰け反り、背中の窪みは瞬く間に白濁の河川が集う湖水地帯となる。裏も表も文字通り精液まみれになったあやねのからだは、とても見ていられないほどの有り様だった。

 ところが、どこかしこもぱん太郎のザーメンシャワーを浴び、こちらが目を覆いたくなるほど濃濁な精子に穢されたというのに、酷い最低気持ち悪いなどと怒りもせず、それどころかあやねは逆に恍惚とした様子で呻き、陶酔したように全身を震わせるのだった。どう見ても普段の──ボクの見知っているあやねではなかった。セックス中の人間はこんなにも変わってしまうのか……? それとも、ぱん太郎とのセックスが藍蘭島の女性たちを変えてしまっているのか……?

 大抵の場合、ぱん太郎の射精は溢れ出すのも構わずに打ち終わるまで女性の胎内で行われるが、たまに体外で放つと、アイツはこのように女性のからだをザーメンまみれにすることが多い。野姦している時にも何度かやっていた。まるで動物のマーキングのようであった。まさか精液でそれをするなんて……そんなに自分のモノだと顕示したいのか──と、呆れ果てたものだ。それに、一回の射精で全身に行き渡るほどの量を吐き出せるなんて…………。

 だが、される方もまんざらではなく、アイツの大量の精液を塗りたくられた女性は昂奮しまくるのだ。今のあやねもそうだった──ぱん太郎の底なしの精力の証をそのからだに直接浴び、本物の銃で撃ち抜かれたかのような朦朧とした表情だったが、精液の洪水の中で何かを感じ取っているかのようであった。

 クリームパイをぶつけられたような惨状と化した顔面の白濁を指先で少し掬ったあやねは、熱で浮かされたような眼差しでドロドロと垂れる液体を眺めた後、それを唇に含んでしゃぶった。アイツの精液の味や食感を確かめるように口をもごもごとさせ、ごくりと飲み下しさえする。直後の何とも言えないげっぷしたそうな表情から、手放しで美味しいとは感じなかったようだが……不味いとも思わなかったらしい。

 

 

 

 そうなんだ……あやねもぱん太郎にこんなコトをされて、厭じゃないんだ……。

 

 

 

 ぱん太郎はあやねに覆い被さったまま、今度はぶっかけた白濁液をまるでサンオイルを塗るかのように彼女のからだじゅうに広げ出した。これもよくやる。

「え、なに……やだ、あっ……んっ……ん……♥」

 うつ伏せ状態のあやねの胸に手を回したり、お尻や太ももを撫で回すようにしたりして、彼女の肌という肌に擦り込むようにぱん太郎は自分自身の生殖液をなじませてゆく。ぬるぬるとした生温かい体液を全身に塗り広げられて気持ち悪くないのだろうか。あやねは戸惑いの色を浮かべてはいたが、拒否反応は示さなかった。

 そう考えているうちに──ぱん太郎の腕はあやねの股の間にも遠慮なく入っていった。

(……!)

 精子が付着した手が……あやねのアソコに……!

「あ……♥!」

 条件反射的にあやねの両脚が閉じたが、「ダメのん。ひらいて♥」とぱん太郎が軽く諭すように告げると、

「……あぁ……」

と、あやねは熱い吐息ひとつ漏らし、脚の開きを元通りにしてしまった。そうしてアイツの腕がまた動き出すと、今度は閉じられることはなく……じっと顔を伏せ気味に、小さく喘ぎ続けるだけになる……。

 ぱん太郎の腕はソコだけ異様に長く滞在し、念入りに時間をかけた。激しくするでもなかったが、あやねのアソコへ潜った手は一向に姿を現さなかった。奴の腕の動きに合わせてぬめり光るお尻や太ももがわななき、「あ……ああ……あ……♥!」と、幾度もあやねの腰がわずかに浮き上がった。喉をゴクリと鳴らしてしまいそうな淫靡さ──。

 きっとアイツの指が彼女のアソコを何往復もしていて、その刺激に耐えられないのだろう。あやねのお尻の肉が邪魔をして直接見えないソコからは、ヌチャヌチャ、クチュクチュという淫猥な音が聞こえて来るだけであったが、それがさらなるいやらしさを感じさせた。

 指はアソコの中にまで入っているのだろうか、たまにアイツの腕が上下にではなく前後に動いたりすると、

「んんっ……んあーっ……♥!」

と、ひときわ弾むような嬌声があやねの喉から飛び出し、腕の動きに合わせて背を仰け反らし、お尻や太ももにクッと力が入る。その反応から見るに、あやねの秘裂の中にまでぱん太郎の指が侵入しているのはまず間違いなかった。

 

 

 

 ぱん太郎の精子まみれの指が──あやねのアソコの中に……!

 

 

 

「ん、んん……んん、ん……♥」

 アイツの精子を直に性器に塗りたくられているというのに、それを気にしているとは思えない緊張感のなさで、目を閉じながら甘やかな吐息を漏らし続けるあやね……。紅潮した頬が気持ち好さそうに緩んでさえいた。

 セックス中の女性がいやらしく映るのは今に始まったことではないけれど、ぱん太郎のザーメンで妖しくぬめっているからだろうか、全裸で寝そべるあやねのからだの柔らかな凹凸に、妙齢の乙女の色気を感じて仕方なかった。特に本人が美尻と誇るだけのことはあるお尻の絶妙な膨らみ具合──。

 アイツが手を動かし続けながらあやねの耳元で何か囁くと、彼女の目元に恥ずかしそうな色が浮かび、ふるふると首を横に振った。「さっき────すぐ後ろで────ここを────」と断片的に聞こえるだけで、ぱん太郎が何を言ったのかは分からなかったが、そうやって話しかける度にあやねの態度がいよいよしおらしくなり、呼吸を乱して口を開きっぱなしに喘ぎ声を漏らすようになった。何を話しているんだろうか……。羞恥心と無縁な藍蘭娘を恥ずかしがらせるなんて、一体どんな言葉をかけているんだ──などと訝しんでいると、アイツの手の動きが徐々に前後だけに──そして、ピストン運動そっくりになっていった。あやねの反応も恍惚さが増してゆき、「あ、あ、あ♥」と、まるでペニスの抽送を受けているようになる。両脚もさらに蛙のように開いていって……。

 この瞬間、ぱん太郎がのしかかって本当に腰を振り出したとしても、きっとこの姿勢と声が同じ調子で強まるだけなんだろう──そして最後までぱん太郎を受け入れてしまうのだろう──そう思わせるだけの官能があやねの喘ぎ声には含まれていた。

 だがぱん太郎にとってはこれは軽い幕間劇だったようで、あやねが十分に感じているのを鑑賞し終えると、未練げもなく手を引っ込めて彼女のからだをころんとあお向けにひっくり返した。そうしてやはり表にも全面に精液を塗り広げてゆく。堂に入ったマッサージ師のように、愛撫も兼ねているようないやらしい手つきで……。

 胸も、アソコも、どこもかしこもアイツの目に晒されているというのに、その点ではまったく恥ずかしそうにせず、あやねはからだを開きっ放しだった。

「あやねちゃんのおっぱい、綺麗だね♥」

 片手にすっぽりと隠れてしまう乳房をゆったりと揉みながら褒めるぱん太郎。

「そ……そう?──あっ! はあっ……あっ……ん……♥!」

 答えようとしたあやねだったが、桜色の大豆を双つ同時にコリコリと弄られ、途中から喘ぎ声になってしまった。

「おっぱいだけじゃない。お尻も、顔も、脚も髪も。どこも綺麗だ」

 ぱん太郎の殺し文句にあやねは赤らんだ顔を向こうに背けた。

 濃白な精液は薄く引き伸ばされると透明になり、あやねの肌という肌に淫靡なぬめりを与えることとなった。全身のザーメンコーティング。なんという姿だろうか。行燈の灯火で生まれる光沢は、汗よりも遥かに卑猥で艶めかしいてかり具合であった。

 

 

 

 ぱん太郎にマーキングされるあやね……顔も胸もアソコも尻も脚も……耳の裏から足指の間まで……アイツに覆われる…………。

 

 

 

 贅肉でたるんだ箇所など一つもない細く綺麗なからだに余すところなく精液を塗りたくられる中、あやねは、

「もう……やだ、なにこれ……すごくくさいわ…………」

などと口では言っていたが、本当に厭そうな調子ではなく、結局のところ最後まで抗いもせずぱん太郎の為すがままで、全身くまなく触りまくられて気持ち好さそうに痺れた声を出しさえする始末だった。

 とうとう自分のからだの隅々までアイツの精液の膜で覆われてしまったのを知ると、

「やだあ……くさぁい…………♥」

と漏らしながらも、その表情は性的昂奮さえ感じている様子で、こんな目に遭っているのにも関わらず呆れたり怒ったりせず、それどころか声の顫えには悦感が篭り、顔の紅潮も醒めることはなかった。

 なぜ怒りを発しないのだろう。正気の沙汰かと問い質さないのだろう。平然と受け止めているのだろう──と、ボクは自分自身に呆れた。

 すずとあやね──この二人だけはぱん太郎の毒牙に掛かっていないと信じていたのに。

 その彼女たちまでもが今や淫蕩な性愛の儀式をアイツと執り行っている。

 ボクの前で。

 それなのに、またもや傍観しているだけなのだ。

 特にあやねはこれまで唯一、夢にも出て来なかった。すずと同じくぱん太郎と関係したという話も耳に届いていない。だから、これは初めて彼女が涜(けが)される場面を見ているようだった。もっとも初見の時点でこれほどの昂奮具合でアイツを受け入れているのだから、まさかこれが初めてではないだろうが……。

 ぱん太郎は気が向けばいつでもあやねに挿入できる状態であった。アイツの股間は常にギンギンに漲っている。噴火の如き射精を何度放とうが衰えることを知らず勃起したままだ。よくもまあ四六時中硬くさせていられるなと呆れるほど、いつでも準備万端に怒張しているのだ。活火山から漏れ出る溶岩のように鈴口から絶え間なく溢れるカウパー。今もあやねの股をヒョイと広げれば、秒を数える間もなく結合だろう。今の彼女が拒むとは思えない。精子まみれの手で性器を弄られて悦んでいる様を見て、そう思えるわけがなかった。

 あやねがぱん太郎と子作りする。村じゅうの女性を続々と堕としているあの逞しく精力的なペニスを……とうとうあやねまでもが挿入され、アイツと結合するのだ。

 まち、りん、ゆきの、ちかげさん、梅梅、しのぶ、みちるさん……。

 すず…………。

 そして、あやね…………。

 あやねも堕ちれば、ボクが親しくしている女の子は一人残らずアイツのモノとなる。夢の中では全員がぱん太郎の愛人になるのだ。アイツのザーメンを逆流するほど膣内で放たれる精液便所に。全員が。あやねも。まさに悪夢だ。後背位の好きなアイツのことだから、あやねを犯す時もバックからが多いのだろうか……?

 あやねはぱん太郎を体内に迎えて思う存分に擦られ、突かれ、こねくり回されて──女殺しのペニスの気持ち好さに我を忘れるほど善がらされる。最初は痛がろうがたっぷりと時間をかけて馴らされ、ついには愛液が溢れ出るぐらいアイツに感じさせられまくる。あの巨根であやねの膣は奥の奥まで拡げられてしまうのだろう。あやねのオマンコもぱん太郎の巨刀の“肉鞘”にされるのだ。

 

 

 

 そうして万全の準備が整ったところで、あの特濃の子種を注がれる……!

 

 

 

 村の女性たちを孕ませまくっている生殖率の高い精子を──梅梅、みちるさん、りんと次々と孕ませまくっている子種を。この悪夢の中では、という前置きは絶対欠かせないが、すずでさえも容赦なく中出しされまくっているぱん太郎の濃厚な精液を、あやねもその子宮に注がれるのだ……!

 皆そうなのだから、あやねもそうならないわけがなかった。

 これ以上黙視していたら、もはや取り返しがつかなくなる。激情のあまり怒り狂ったり、暴れ回ったり、とにかく二人の間に割って入って妨害しないと……この場を妨害しようと行動に移ったって不思議ではないはずだ。

 

 

 

 ────だけど、実行に移せなかった。

 

 

 

 夢だからなのか……夢なら仕方ない。どうせ指一本動かないのだから。覚醒していない躰はいつものようにだるく重かった。

 それにもうとっくに堕ちているのだとしたら手遅れじゃないか。邪魔に入って、もし逆にあやねに怒られたら……?

 ──だったらいいじゃないか。どれだけあやねとすずがぱん太郎と気持ち好くセックスをしようが、アイツの巨チンで蕩けるほど逝かされまくろうが、妊娠確実としか思えない濃密な種付けをされまくろうが。

 目が醒めれば現実の二人は何ともないんだから────。

 そういう諦めの気持ちが最初から心のどこかにあったのは否めない。生々しいほどの光景に対して、これは所詮夢だからという奇妙な安楽さ。だからこそぱん太郎の肉便器に成り果てたすず達の姿を眺めていても何とか精神が保てているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  3

 

 

 

 本格的な愛撫が始まっていた。ザーメンオイルで淫らにぬめるあやねのからだを、ぬちゃぬちゃと猥雑な音を立てながら粘る糸を引きつつ、下半身は手で、上半身は舌で、アイツは遠慮なく蠢き回る。一度あやねの脚がまた閉じたことがあったが、無駄肉のない内股の間に生み出される股下のデルタゾーンはぱん太郎の太い指でも潜ってアソコを弄くるのに十分な余白があり、実際そうされることによって蕩けそうな淫声と共にあやねの脚はすぐにガニ股に開いていった。

「あっ あっ あっ あっ あっ♥」

 ぱん太郎のペッティングに明らかな快感の声を上げるあやね。スラリと伸びた細い肢体をくねらせ、顔はボーっと惚けたようになり、色っぽい喘ぎを何度も発する。アイツにからだを弄くられるがままに…………。

 形の佳い小丘の乳房がアイツの舌で何遍も舐め回され、処女のように初々しいピンク色の肉塚がアイツの口に含まれた。「あ、あ、あ♥」と、陶然と上擦った声を出すあやね。ぱん太郎がやっとそこから口を離すと、再び現れたあやねの乳頭は赤みを増し、尖塔と化していた。乳輪も昂奮でふっくらと膨らみ、ぱん太郎は舌先で円を描くようにゆるやかに舐め、時間を置いて何度も頂をアタックしてはさらにあやねを喘がせる。

 アイツの前戯はいつもこうだ。まだパンダだった頃の──いや、今でもパンダのはずだが──威圧的にのし歩く様やガサツな性格からの印象とは程遠く、行為中は気色悪いほどにこまやかで、女体を労るように優しく指や舌を遣う。それは女性側にとっても嬉しい扱いのようだった。それでいて女のからだは神秘だ芸術だ……などという形而上めいた思想があるわけではなく、ぱん太郎の内奥から放散する野獣のような慾求を隠しきれていない。パンダは元々肉食動物だというのも納得だ。常にいつ心変わりして結合に進んでもおかしくない淫気の放ち方だし、それが女を貪り食いたいという獰猛な慾望として表れていた。実際、女性が十分に濡れていると判断したら、早々に体勢を取らせて本番へ移ることもよくあった。ぱん太郎にとっては入念な前戯も彼自身が満足できる肉慾を得るための準備に過ぎないのかもしれない。所詮は自分の慾望を満たすためにやっているのだ。女性の方からもう挿れてとねだることも多かったが……。

 そして、アイツにとってまずまずの生殖快楽を堪能した頃には、女性は何発もの膣内射精とそれ以上の回数のアクメを味わい、とっくに理性を蕩かした後だったりする…………。

 あやねも──あやねもそうなってしまうのだろうか────。

 乳首と同時に下では依然、精液がこびり付いた指が彼女の秘められた部分を弄っていたが、やはりあやねにはそれを気にする様子も怖がる気配もなく、ぱん太郎の指遣いにただただ痺れているだけであった。

 それを見て、ああやっぱりあやねも──と、ボクは改めて陰鬱な気持ちになってしまう。そうだよな、こんなにからだを許しているんだもんな……あやねもアイツの洗礼を受けて、とっくに経験済みなんだろうな……と。

 ぱん太郎の指は当初、秘裂の表面を優しくなぞるだけだったが、次第に指先が裂け目を柔らかく割り、ぬるっとなめらかにアソコの中に入ってゆくようになった。アイツはいきなり激しくしない。女性の反応を見ながら始めはあくまでも浅く、じらすようにゆっくりと巧みに、だけど止めることはなく──丁寧な愛撫の裏に雌伏する執拗さで女体を責め上げてゆくのだ。

 こうなるとあやねは顔をさらに真っ赤に染め、いよいよ口を大きく開いて明瞭な喘ぎ声を発するようになり、股の開きも先ほどより拡がってカエルのようになり、ぱん太郎の愛撫を我慢することなく感じ始めた。

 真横から見ていると猛獣がしとめた獲物に喰らいつき、捕食している構図にも思えた。

「あっ……あっ……ああっ……あっ……あっ……♥」

と喘ぎ声を上げながら、天井を眺めているようで眺めていないあやねの顔に浮かぶ、満足気な恍惚とした表情…………。

 常人の一発分以上は優にあるだろう孕まし汁にまみれた太い指が、ぬちゅぬちゅといやらしい水音を鳴らしてあやねの秘裂をなぞり、頃合いを見計らってはクレバスを割って中に出入りする。あやねを存分に喘がせてから指が引き抜かれると、白く濁った太い糸の架け橋が生まれ、あやねのアソコも同じように白濁の泡と膜で秘肉の鮮やかなピンクが隠れてしまっているほどであった。指からも秘裂からも粘り気のある雫がトロリトロリと絶え間なく滴る。それはもうほぼあやねの愛液であった。そしてまた指はあやねの中に入ってゆく──。

 上下の二点責め。あやねが感じやすいのか、それともそこまで昂奮しているのか、ぱん太郎が上手いのか──おそらくすべて当てはまっているのだろう。

 そのうちにあやねは甲高い潤み声を上げながら両脚を踏ん張って腰を浮かすようになり、ついにはぱん太郎の指が半分ほど入ったまま小刻みに動いていた時、

「ひっ、ひぃっ、だめ、だめっ、そっそこっ、そこぉ────ォアァン♥!」

と、最期の瞬間ひときわ高く叫び、アイツの腕をギュッと掴みながら、低いアーチを描いたままの姿勢でブルブルと四肢を強く奮わせた。

 あやねはアイツの手でアクメに達した────。

 

 

 

 

 

 ──ぱん太郎のペッティングで気持好く逝かされた後、指が引き抜かれるとあやねは満足そうに弛緩してくたくたと蒲団に伸びた。

 絶頂後の至幸感で満たされたあやねの表情を眺めながら綺麗な黒髪をしばらく撫でていたアイツだったが、彼女の息が落ち着いてくると投げ出された両脚の間に入り、膝をM字に立たせて今度はクンニをしはじめた。

 例のごとく最初は何秒か置きに軽く舐める程度のところから始まり、「ンッ……ンッ……♥!」と、耐えられないような声を漏らしながらもあやねが拒まずに行為を甘受するのがわかると、秘裂に口をつけてまともに舐め回し出す。

 あやねが引き攣るように震える脚を宙に浮き上がらせながら、再び熱の篭った艶声を上げ出すのにそう時間はかからなかった。

「はあーっ、ああっ、ああっ、ああ~っ♥!」

 ぱん太郎の舐め方はだいぶ軽めだったが、逝ったばかりで敏感になってしまっているのか、あやねはアイツの頭を両手で掴みながら過剰なぐらいにからだをビクビクと震わせ、嬉悦の涙をこぼして仰け反った。浮き上がった両足もクンニに応じてアイツの背中をしきりに叩く。

「かなり感じてきたみたいだね♥」

「っう…………!」

 股の間から顔を覗かせてそう指摘するぱん太郎に、あやねは理性を取り戻したかのような顔つきで一瞥しただけで、すぐに恥ずかしそうに目を逸してしまった。しかし、その色っぽく潤んだ表情が何よりの返答になっていた。

「恥ずかしからなくていいのん。あやねちゃんがいっぱい感じてくれててボクも嬉しいんだよ。もっと楽しもうね♪」

と、ぱん太郎が再び顔を埋(うず)めると、以降、あやねの感じ方と喘ぎ声はさらに高まりと深まりが加味された。本人はできるだけ抑えようと努めているようだったが、かえって艶めかしい声色になっていたし、その声の張りと身体の反応は隠しようがなかった。

「あっ……んっ、ひっ……ひいんっ、ンッ、ンンッ…………♥! アン、アン……♥!」

「気持ち好いと楽しいでしょ。せっくすは楽しまなくちゃ」

「なっ……なんなのよ…………あ、貴方の、舌……あんっ♥! ──ゆ、指も……ザラついてて……ひっ……♥ ……こ、腰が……抜けそうよ…………♥」

 元が熊猫だからネコ科のようにザラザラしているのか──実際に確かめたことのないボクにはそんな憶測しか出来ない。しかし十人が十人、アイツの舌や指に言及するのだから、よほどの気持ち好さなのだろう。何にせよ今のぱん太郎の忌々しい点は、そういった長所に驕って性行為がぞんざいにならないところであり、だからこそ女性たちは異口同音に褒めそやすのかもしれなかった。武器を狡猾に用いているわけだ。女たらしというか、悪魔的というか、以前のコイツとはまるで違うというか……。

 ぱん太郎の大きな頭を股ぐらに挟みながら、惚け顔のあやねが悲鳴のような声で喘ぎまくるクンニがどれだけ続いただろうか……十数分? 数十分? 時間なんてわからない。

 わかっているのは、ここにもまた、二人だけの世界を構築しつつある男と女がいるということだけだ。

 こうなって来るとただ単調に一箇所だけを責め続けることはせず、時に秘陰から口を離しては先ほどのような二点責めの愛撫も混じえ、ぱん太郎はあやねの昂奮をさらに盛り上げてゆく。

 あやねは──アイツの愛撫以外余計な事など考えられないように目を閉じ、全身から力が抜け、めくるめく官能に浸っていることが多くなった。逆に口とからだは黙っていられなくなったが、彼女がいくら大きな喘ぎ声を上げてからだをくねらせても、ぱん太郎は太ももをしっかり掴んで小揺るぎもしない。

 やがてあやねの唇から漏れるのは快美の喘ぎ声と熱い吐息だけとなり、アイツから与えられる快感だけに埋没してゆく……。

 セックス特有の集中力というか、いやらしさがより強調されてくるというか──その場の空気が雑念のない雰囲気を帯びてゆくのがわかった。恋人が寄り添っている所へは近寄り難いように、肉体関係を結んでいる男女の性の結界というか……。

 あやねの目端に溜まっては緩んだ頬を伝い落ちる涙は、決して悲しみからではなく。

 

 

 

 

 あやねは────いや、あやねも──────

 本気でぱん太郎を感じ始めたのだ…………。

 

 

 

 

 歯ぎしりしたいほど悔しかったけれども、正直、今のあやねには美しささえ感じているのもまた確かだった。こんなにいかがわしい行為をされて、いやらしくなって、どんどんとぱん太郎に蚕食されていっているのに……なんでこんなに綺麗だと思ってしまうのだろう。全身のぬめりが未だ健在で、ほんのりと朱に染まったからだに生唾ものの艶めきを与えているからだろうか。勝ち気そうなところが可愛い顔立ち、ムダ肉のない均整の取れた細い肢体──あやねもまた愛らしい美少女だから惑わされてしまうのだろうか。

 途中からは四つん這いにもさせ、ぱん太郎はあやねのからだへ惜しみなく悦楽と淫惑を与え続ける。ボクにはそれを邪魔することができない。あやねはアイツが手がける肉の彫像になったかのように官能が強まるばかりの淫声を発し、砕けそうなほどからだを震わせながらも、背中は情慾的な曲線を描き、従順な犬のようにバックの姿勢を保っていた。

 やがてぱん太郎は彼女の後ろに回り、いやらしい笑みを浮かべながら美尻を撫でさすって陰部を視姦したが、

「あやねちゃんのココ、もうトロトロのホカホカだね♥」

と、やおら両親指で肉の門を押し開き、舌を伸ばしながら口をつけた。

 

 

 

 じゅるっ、じゅるるるッ

 

 

 

「はぁんっ♥!」

 わざと大きな音を立ててアソコを吸うぱん太郎に、あやねはからだを強く震わせ、ひときわ甘い声で鳴く。立て続けにじゅるじゅる、じゅるじゅると、ぱん太郎は飽くことなくあやねの淫裂を啜(すす)る。舌が入っていくのも垣間見えた。あの分厚くて長い舌が──ザラザラしていて気持ち好いらしい舌が、あやねの秘肉の中でも存分に蠢く……。

「はあっ、いや、だめ、はあっ……そこ、あっ、はぁ~♥!」

 予想通りの淫感溢れる悶え方であやねは痺れたようにからだを暴れさせる。それほどの刺激なのか──たまらないといった風に彼女の腰が逃れようとするが、ぱん太郎は彼女の尻を掴んで離さない。これまでよりも強引さを押し出してクンニを続けた。

 

 

 

 じゅるじゅる じゅるるっ じゅるじゅるじゅる

 

 

 

「ダメ、ダメ、ひいっ……や、やめ、あっ……はっ、あっ、ああっ……♥!」

「どんどん感度良くなるねえ♥」

 少し顔を離してそう言ったぱん太郎はすぐにまたクンニに戻る。

 

 

 

 じゅるじゅる! じゅるじゅる!

 

 

 

「ひいんっ、ひっ、あっ、あっ、あひ~っ♥!」

 あやねはからだを引き攣らせながら、とうとう蒲団を握りしめて突っ伏し、顔を枕に埋めてしまった。

 だが──

 ボクが何も出来ないまま傍観しているうちに、くぐもって聞こえて来る悲鳴に近い嬌声やビクンビクンと弾むお尻や太ももなどの反応は次第に収まってゆき、徐々にアイツの熱烈なクンニを受け止められるようになっていくのがわかった。

 

 

 

 じゅるる ちゅるちゅるちゅる──じゅるるるっ! じゅるじゅるっ!

 

 

 

「あひっ……あーっ……ンッ……んんッ……♥! あんっ、あーっ……あっ……ひっ……ひぃん! あっ、あひっ、ああ~ッ♥!」

 喘ぎ声にも変化が生まれる。つい今しがたまでは過敏な刺激に対する悲鳴だったのが、執拗なクンニに早くも慣れて来たのか声色に余裕が戻って来て、甘やかささえ含まれるのにそう時間はかからなかったのだ。

「あっ、あんっ、いや、あ、あっ……ああんっ♥!」

 いつしか……顔を枕に埋(うず)めたままお尻を高く掲げるあやねは、ぱん太郎にアソコを激しく吸われながらからだを震わせ、甘い悦びの声を上げていた。

 すると、今度は見るからにクンニの勢いが弱まった。顔を真っ赤にして気持ち好さそうに喘ぐようになったあやねが、逆にじれったそうに尻を押し付けるほどに。その度にぱん太郎の頭が動かなくなって離れ、意図的に愛撫を休めているのがわかった。わざとじらし始めたようだ。

 何度目かの中断の時、とうとう我慢できなくなったあやねが、

「ああ……もう、なによ……イッ……イジワルしないで…………!」

と、後ろを向いて涙目ながらに訴えたが、ぱん太郎はおどけたように笑い返した。

「そんなにイきたい?」

「だ、だって…………我慢しなくていいって……言ったのは貴方よ…………」

「まあまあ、そう焦らないで。もっと楽しもうよ、あやねちゃん♥」

 アイツはそう言ってクンニをやめると、その場に尻をついて脚を投げ出し、勃起しっ放しの剛柱を局部の筋肉だけでクイクイと揺らして示しながら、「また舐めてよ」とあやねに要求した。

 火照ったからだから手を引かれてお預けをくらったあやねは、ややうらめしげな上目遣いでぱん太郎を見ながらも、「わ、わかったわよ……」と、言われた通りに四つん這いのまま大男の股の間に入り込み、アイツの肉棒を両手で握って首を落とす。

 二度目のフェラチオが始まった──今度はボクにお尻を向けながら。

 アイツにさんざん舐め回された秘陰がボクの正面に大写しになる。こんもりと膨らんだ二枚合わせの肉貝が作り上げる一本の縦スジ。ソコはもはや精液の代わりにぱん太郎の唾液と彼女の淫蜜の混合液がぬめりの主役となっていた。柔毛の茂みからやや粘り気のある半透明の雫がポター、ポター……と、垂れ落ちていた。

 わずかに開かれた女園の扉は、生まれたてのように変色していない愛らしい肛門と同じく穢れのない綺麗な肌色だったが、ぱん太郎のクンニで昂奮し充血した鮮やかな紅い花肉が細い亀裂の間から覗いて見えていた。

 濡れぼそったあやねの縦スジから目を離せないでいると、向こう側から長い腕が伸びて来て、梨のように瑞々しいお尻をむにむにと揉んだ。次に絹を扱うような手つきになって撫で回されると、

「ンゥンッ……ンンン……♥」

と、艶を含んだ上擦り声をあやねは漏らし、形の良い臀部がピクピクと期待に揺れる。触られて喜んでいるかのような反応で……。

 あやねの腰つきは細くとも女を感じさせるなめらかなカーブを描いていて、そこからスレンダーな脚へと流れてゆく。その一連のラインは本人も自慢するだけのことはあって、幼児体型と馬鹿にするなどとんでもない乙女のからだの造形美であった。

 その中心にあるあやねのオマンコ。今やそこまでもがぱん太郎のモノとなっているのだ。

 アイツが好き放題にできるオモチャと化したあやねの性器が、実際に弄り回されるべく、ボクの目の前に見せつけられる……!

 これは体格差的にほとんどの女性に言えることだが、彼女たちが本当に物質的なオモチャとしてぱん太郎に扱われているような時もある。その傾向は小柄なまちやゆきのが特に強い。だが、彼女たち自身がそういう扱いを許容している面もあった。ぱん太郎に何をされようが嫌がるどころか悦び従う女性たち……。

 尻を撫で終えたアイツの手が下に降り、指先が秘唇に掛かる。初めは勿体ぶるように裂け目の縁を一本指でなぞっていたが、それだけでもあやねの腰はビクビク震えた。やがてクチュリと軽くとも卑猥な音を立てて滑り込むように指が入ると、

「ンアッ……♥! アゥウン……♥!」

 アイツのペニスをしゃぶったままあやねは歓喜の声を漏らした。

 

 

 

 大事な部分をあんな奴に触らせて……指まで突っ込まれて……それもアイツのペニスを咥えながら……あやねは喜んでいる…………!

 

 

 

 顎が疲れるのか、度々咥えるのを止めてはぱん太郎の肉肉しい剛茎に舌を這わせながら、アソコにクチュクチュと指を挿れられて弄ばれるあやね。それは後ろから見ていてもとても気持ち好さそうな様子であった。アイツの股間に潜っているので表情はたまにしか確認できないが、

「ンン、そこっ、ン、ンンッ……♥!」

と、満足げに鼻を鳴らしながら、アイツの指遣いに痺れるように尻を上下左右に揺らし、夢中で逞しい大剛棒に取り付く。期待していた物を得た充足感というか──本心が曝け出たような晴れ晴れとした表情を浮かべていた。ボクの心に突き刺さるたまらない顔つきだった。

 脚をもっと開いて、とぱん太郎が命じると、あやねはすぐに応えて両脚を拡げる。そのせいでボクはあやねのアソコの具合をさらによく視認できるようになってしまう。

 アイツは両腕を動員して秘裂の肉唇をさらに割り拡げながら中指の抜き差しをなめらかに繰り返した。

「ン、ン、ン、ン……♥!」

 まるでボクに見せびらかすように。たまに指を挿れたままクリトリスやその周囲がやわやわと弄られると、「ンゥッ、ンンンッ……♥!」と、あやねはひときわ切なく喉を震わせ、下半身全体が悦びにわななく。

 ぱん太郎からは裏側になっていて見えない筈なのに、あやねの股間のドコにナニがあるのか、直視しているボクよりも彼女の性器を知り尽くしているような指遣いであった。お陰で肉の貝殻に守られた秘処粘膜がどれだけ充血しているのか、どれだけいやらしく濡れぼそっているのか、どれだけぱん太郎の愛撫を心地好さそうに受け止めているのか──そこまで仔細に眺められてしまうのだ。

 太くて長いところが股間のイチモツによく似ているアイツの指が第二関節まであやねの秘肉の中へヌルヌルと出入りする。勿体つけるようにゆっくりと。

 何度も何度も、何度も、何度も…………。

 あやねは苦痛など感じておらず、アイツの太い指が自分の体内に滑り込んで来るたびに、「ウゥン♥」と心地好さそうな呻き声を漏らし、嬉しげに尻を振るのだ。そしてより熱心にアイツの肉棒を舐めるのだ。

 そんなあやねをぱん太郎は気持ち悪い笑みを浮かべ、勝ち誇ったように見下ろした。

「実物チンポのご感想はどうだい?」

「……デカすぎよ……なんなの、これ…………岩みたいに硬くて、火みたいに熱くて……火傷しそうで…………それに……さっきも言ったけど……このニオイ…………♥」

 肉厚の太竿をさすりながら淫熱を帯びた目でぱん太郎の顔を見上げて答え、また奉仕に戻るあやね。臭いと言いながらも顔をしかめて背けるどころか、クンクンと鼻をひくつかせてさらにその匂いを吸い込み、さらに昂奮したように瞳を潤ませ頬を緩ませるのだから、ボクはこんな悪夢を見てしまっている自分を呪うしかない。

「のふふ……男を体験済みだったコたちも、こんな凄いチンポ知らないって口を揃えて言うね。並の男の何倍もデカくて、固くて、女を気持ち好くする形をしてて、ニオイも持久力もとびきりだって。他の男とは差がありすぎるって」

「そ……そうなの…………」

 舌をちろちろと動かしながら、どこか納得したような顔つきでアイツの話に耳を傾けるあやね。

「行人クンのなんかボクの半分以下で、皮も剥けきってないってさ」

 ボクの心の水面にひんやりと氷が張る。

「皮……?」

「お子様チンポってことだよ。勃起してもたかが知れてるだろうね」

と、ぱん太郎はこちらに視線を移して底意地悪く言った。

 行為の最中にぱん太郎がこういう風にボクを貶めるようなことを言い出すのは夢も現(うつつ)も変わりはなく、今に始まったことではない。特にボクと仲の良い女の子たちに対してその傾向が強い。それはわかっていた筈なのに、ボクは血の気が引く感覚と意識が遠のきそうな寒気を覚えずにはいられなかった。あやねの前でそんなことを言うな……と、弱々しい抗議が虚しく胸中にわだかまる。

 悔しい──悔しい、ちくしょう…………。

 けれども…………間違っていないのも事実だった。ボクのは勃起してもまだ完全に皮が剥けきらず、長さも太さもあれの半分──いや、半分すら至っている自信がない。まだ中学生で成長期だから──という逃げ道はあった。あるけれども、あそこまで育つ自信もどこにもなかった。どうやってあんな規格外のバケモノサイズと張り合えと言うのか。敵に呑まれるな、立ち向かって行け、という爺さんの怒声が聞こえてきそうだったが、同じ土俵に上がれている気すらしないのでは戦う以前の問題であった。……それにしても、なんでボクのペニスのことが知られているのだろう……?

 夢だと思っているはずなのに、その中の会話に過敏に反応してしまう──アイツと比べられたボクの焦りが如実に出ていた。

 だが、そんな風に内向していたボクの意識は、ひときわ大きく聞こえて来たあやねの嬌声で回帰した。

 いつの間にか二人のお喋りは終わっていて、グチュグチュと音が立つほどの勢いであやねのアソコにぱん太郎の指が抜き差しされていたのだ。

「ああっ、そこっ、ああっ、ああっ、あ、あん、ああ、ああ~っ♥!」

 それは男根さながらの抽送であった。あやねは本物の方にフェラチオをしていられず、握りきれないほど太い肉茎を支えにしがみつきながらアイツの下腹に頬を押し当て、多分に潤いを含んだ声を上げながら指のピストン運動に酔い痴れていた。

 

 

 

 グチュ、グチュ、グチュリ、グチュリ

 

 

 

 これでもまだトップスピードには程遠く、指も根元まで入れられていない──けれども、掻き回されたり突き上げられたりと、本物同然の責め立てに翻弄されるあやねの秘陰は今や、彼女のからだの中で最もぬめり光る部分になっていて、出し入れされている指を二枚貝でしっかりと咥え込んでいた。彼女の蜜液でぬらぬら濡れるぱん太郎の指。あやねの腰全体がアイツの侵入を歓迎しているように揺れ動いていた。

 そんな淫猥な光景がすぐ眼前で繰り広げられていたのだ。

「ボクにカラダを触られたり、弄られたりする気分はどう?」

 アイツが指の動きを弱めてニヤニヤしながらそう問いかけると、あやねは敏感な部分を弄っている相手を見つめ上げ、陶然とした面持ちで言葉を紡いだ。

「あっ……あぁっ……お、思ったより……わ、悪く……ない、わ…………あっ、あっ、ああっ……♥!」

 悪くない──あやねらしい気どった台詞。そこに嫌味を感じないのが彼女の可愛らしい点だ。と同時に、あやねの言葉にはどこかぱん太郎に対する刺が残っているような気もした。先ほどの回答もそうだが、他の女の子たちと比べるとまだ心服しきっていないというか……ぱん太郎と一定の距離を置こうという意志をまだ捨てていないようにも聞こえるのだ。

 ──だが、彼女の様子やからだの反応はそうは言っていないのも事実であった。アイツに預けたからだを弄くられて快感に喘ぎ、気持ち好くアクメまで達した。今もあやねはどれだけ顔を蕩けさせ、切なそうな眼をぱん太郎に向けているのか、彼女自身はわかっているのだろうか。もしまだ堕ちきっていないとしても、その寸前であるのは間違いなかった。奴の顎(あぎと)に噛み獲られ、快楽の猛毒を注入されながら丸呑みにされようとしていた。

「ボクのこのぶっといチンポをもうすぐココに」

 グチュグチュと猥雑な音を立ててあやねのアソコを弄くるぱん太郎。長い愛撫を経てほぐれた秘肉はぱん太郎の手の動きに合わせて柔らかく形を変え、滑らかに中へと指を迎え入れる。アイツのオモチャと化している。

「あん、あん、あっ、あっ♥」

「オマンコに挿れてあげるからね。さっきのすずちゃんと同じぐらい、メチャクチャに気持ち好くしてあげる♥」

「あっ、あっ……♥ こ……こんなの……入らないわ…………♥」

 あやねの口から出た言葉が拒絶ではなく、挿れる前提の返答であることに──そして昂奮を覚えたように瞳が潤むのを見逃さず──ボクの絶望感は浅くはなかった。

「ダイジョブのん、皆んな入ってるんだから。心配しないで、あやねちゃんだってこのチンポで気持ち好くなれるよ」

「はぁ……あぁ…………♥」

 あやねは返答しなかったが、熱い吐息には隠しようのない期待が篭っていて、淫惑が増したような陶然とした表情で黙々とフェラチオを続けた。

「のふふ……もっと善くしてあげる♥」

 そう言うとぱん太郎は指をヌチャリと抜いて立ち上がり、あやねのからだをひょいと持ち上げて前後反転させた。

 彼女の顔がこちらに向き、目と目が合った。

「あっ…………!」

 やっとボクの存在に気付いたようにあやねの双眸がたじろいで揺らぐ。ボクも息を呑むような気持ちになる。

 だけど──その快楽に負けた表情ときたら……!

(…………あやね…………!)

 ぱん太郎から与えられる愛撫の心地好さに耽るあまり、意志の強い釣り目はすっかり目尻が垂れ下がり、目元には淫慾の翳りが色濃く浮かんでいた。そしてアイツのペニスを咥え込み、アイツの愛撫で大きな嬌声を張り上げて緩んだ唇……。女性というのは性の悦びを覚えると皆こんなだらしのない顔になってしまうのか。ぱん太郎はここまで女を変貌させてしまうのか……。

 それにしてもご丁寧な位置変えであった。あやねのアソコや表情、あるいはアイツに弄ばれている様などが、いちいちボクから見えやすく考慮されているようだ。なんでこんな夢を見てしまうんだ、くそう……。

 ボクはいたたまれなくなって目を背けたい、この場から逃げたいという衝動が鈍くとも湧き上がるのを胸の奥に感じたが、動こうとしても相変わらず躰はちっとも言うことを聞かなかった。このまま見続けていろと何者かに命令されているようであった。

「薄目開いてるけど、息も立てずにぐっすり眠っちゃってるみたい。安心して続けられるね♥」

「行人様…………あっ!」

 後ろから抱きかかえるようにしてぱん太郎があやねの上体を起こしたかと思うと、膝立ちになった彼女のからだを後ろから絡み取るようにして胸と股間に手を伸ばし、再びボクの前でペッティングショーを始めた。

「あっ、あっ、あっ……♥ だめ、だめぇ、あっ、ああっ……♥」

 ボクを見下ろしながら乱れた声を散らし、ぱん太郎の愛撫を感じてしまうのを抑えられず、からだを切なく震わせるあやね。股間全体がアイツの大きな手で覆われ、マッサージのように掌が波打っていた。同時にもう一方の手は肉付きの薄い乳房を掌で撫で揉んだり、固くなった乳首をコリコリと摘んだりする。

「あ、ああっ、あっ、あっ、ああっ♥」

 顔を真っ赤にさせたあやねは人差し指の甲を甘噛みながら愛撫に堪える仕草をした。陰部からはヌチャヌチャとネトついた音が聞こえ始めていた。

 長く続いている前戯はあやねのからだの芯すら蕩かしてきてしまっているようで、ボクを見て動揺していた表情はみるみるうちに溶け失せ、代わりに色濃い淫悦が蘇って来る。こちらを見つめる双眸は次第に伏し目になって睫毛に隠れるようになり、ボクよりもぱん太郎から与えられる快楽に彼女の意識が持って行かれるのが見ていてわかった。

「あっ……はあっ……はあぁっ……だめ、あっ……ああっ……ああん……♥」

 あやねの股間を弄くるアイツの指の隙間から汗やおしっことは違う透明で粘ついた体液が滲み出て、たらりと一滴、また一滴とたらり、垂れ落ちてゆく──。

「のふふ……この通り、行人クン。あやねちゃんはボクが立派な女にしてあげるからね。他の娘(こ)みたいに♥ のふふふふふ…………」

 唾棄に値する下卑た優越感とボクに対する蔑みの笑みを浮かべるぱん太郎。まるであやねが自分のモノになったとでも言うかのような振る舞い。

「女に生まれて良かったと思えるぐらい、あやねちゃんにたっぷりと男を教え込んで……見違えるぐらい“成長”した姿をキミに披露してあげるよ」

(くそお……調子に乗りやがって……!)

 胸中で憤りを燻らせていると、ぱん太郎は喋り終わった後、一旦あやねから離れて何やら蒲団を畳み出した。W字に折って高座を作り、不思議そうに見ているあやねを少し下がらせて彼女がいた場所に置く。何をやっているのかボクにはすぐに理解した。高さの調整だ。

 ぱん太郎はあやねを再び膝立ちでその上に乗せ、自慢の逸品をしごきながら同じく後ろで膝をつく。二人の腰の高さが合った。後ろから挿入するのにちょうどいい高さに。

「あっ」

 入れられると思ったらしいあやねは、怯えたような声を発して背後を振り返った。まだ慣れていないのだろうか。

「安心して、まだだよ。ボクは女の子を痛がらせて自分だけ気持ち好くなるなんてことはしないからね。もっとーは優しく、楽しく、いやらしく♥ まずはこれはどう?」

 その言葉から何が起こるのか大方想像がついたボクの前で、「あぁん♥」という鼻に掛かった嬌声が上がった。

 あやねの股からペニスが生えて来たかのように、黒々と光る剛棒がヌウと現れた。ぱん太郎のペニスが股下を通って飛び出て来たのだ。擦られた刺激で漏れたあやねの喘ぎ声であった。

「あ……あ……♥」

 自分の股間から頭を覗かせたぱん太郎のペニスを昂奮の籠もった息遣いで見下ろすあやね。

「今の気持ち好かった? 今度はこうやってチンポで擦ってあげるからね。挿入に負けないぐらい気持ち好いよ♥」

 そう言ってぱん太郎は本格的に腰を動かし始めた。パン、パンと打ち付ける音が一定のリズムで鳴り、反り返ったペニスがあやねの股下を擦りながら出たり消えたりを繰り返すと、

「あんっあんっあんっ♥」

と、あやねの表情がたちまち蕩けると共に、そのからだに篭っていた不安と緊張も霧散していった。

 

 

 

 パン パン パン パン

 ヌチュ ヌチュ ヌチュ ヌチュ

 

 

 

「ああっ……あっ……あんっ……あっ……あぁっ……♥!」

 まるで本番さながらの喘ぎと表情、そしてぱん太郎にもたれかかるようにして拒まない体勢。

 

 

 

 あっという間にお互いの体液でぬめり光る二人の性器──。

 

 

 

 ぱん太郎が後ろから腰を突く度に、赤熱に燃える雁高の亀頭と黒ずみ沈む肉太の陰茎があやねの秘陰を切り裂かんばかりに擦り上げながら飛び出して来て、臍に届きそうな所まで来て止まり、またクレバスを擦りながら引き返す。ぱん太郎の巨根はあやねの太ももの奥に姿をくらますということがなく、引っ込んだ状態でも秘裂のすぐ下に亀頭を覗かせていた。

「あっ……あっ……あっ……あっ……♥!」

 

 

 

 パン パン パン パン

 ヌチュッ ヌチュッ ヌチュッ ヌチュッ

 

 

 

「どう? チンポで擦られるとキモチイイでしょ。硬くて、長くて♥」

「え、ええ……ええっ……そ、それに、あっ、熱くて……♥ はあっ……ああっ……こ、これ……いっ、いい……わ……♥ はあっ……ああっ……はあぁあん……♥!」

 出っ腹が邪魔になるほどの勃起度と曲がり具合、そして女性たちを魅了する硬度を持つぱん太郎の男根。加えて太さも長さも申し分ないとくれば、素股であってもさぞや心地好い刺激を与えるのだろう──と、十分に判断できるあやねの悶え方であった。

「あっ、ああっ、ああんっ♥!」

 ぱん太郎の腰振りに力が篭もるとあやねの嬌声も一層高まり、より淫靡な響きを帯びていく。アイツの言葉通り、あやねの股下を擦りながら激しく往来する肉棒の突端からはネトついた体液がピュッピュッと頻繁に噴き出していた。射精ではない、カウパーだ。だが辺りに飛び散るその先走りの汁は常人の射精量に匹敵していた。それでもアイツにとっては取るに足らない程度なのだ。

「あやねちゃんとこんな風にすきんしっぷがとれて本当に嬉しいのん。ボク、キミにも声をかけたこと覚えてない? あやねちゃんが可愛かったからなんだよ。女として意識してたからなんだよ……」

 耳元でそう囁きかけながらぱん太郎が彼女の手を取ると、

「あっ…………♥」

と、あやねは一瞬たじろいだようにも思えたが、その表情にどこか嬉しそうな反応がよぎり、指まで絡められても払い除けようとしなかった。それどころか、これ以降、喘ぎ声の潤みにより切なさが加わり出したのだ。

(くう…………!)

 この情景を見始めてから何度も最悪な気分を味わってきたボクだったが、それでも精神がコールタールにでも沈められているがの如く、まったくと言っていいほど感情の起伏が無かったため、あやねやすずがぱん太郎と大人の交わりをする景色をまるでテレビの向こうの出来事のように傍観できていた。

 が、ここに来てより濃度の高い情動を覚えた。嫉妬。怒り。焦燥──本来ならば初めから渦巻いていて然るべき感情。

 しかしそれでも、覚醒時と比べればあまりにも鈍い揺らぎようで、やはり深い夢の中にいるとしか思えない稀薄な意識状態にいるのには変わりなかった。ぱん太郎に心もからだもどんどん許してゆくあやねに、ボクは何もすることが出来なかった。

 下半身をくっつけ、手も繋いだ二人は、次第にまた言葉少なになりながら擬似本番行為に没頭していった。二人の熱い吐息のリズムも重なりがちになる。アイツの巨体に呑み込まれそうなほど後ろからくっつかれても、あやねはもう怯えていなかった。ボクが視野に入っているはずなのに、その顔は気持ち好さに緩みっぱなしであった。

 そのうちにぱん太郎の剛棒が彼女の割れ目の肉を容易に押し拡げ、陰唇の内側に沈み込むような通過を始めた。最初、そのまま挿入されて本番に移るのかと勘違いしたぐらいだ。あやねの大切な内奥に通じる扉は先ほども指や舌で柔らかく開かれていたし、秘密の入り口はもう十分過ぎるほどほぐれているのだ。

 ぱん太郎もそれに気付き、腰を振る速度が落ち、やや角度を変えてより時間をかけながら秘裂を往復し始めた。ペニスの突端から溢れ出る先走りの汁を赤く充血した粘膜に擦り付けるように……。

 

 

 

 グチュリ グチュリ グチュリ グチュリ

 

 

 

「はあっ……だめ、ああっ……あっ……ああっ……♥!」

 あやねの反応にも微妙な変化があり、ぱん太郎の肉棒がクレバスの内側を擦る度に、電流が走ったようにビクン、ビクンと腰を引き攣らせる。

 カウパーにも精子が含まれている。その知識があるボクにとって残酷極まりない光景であった。挿入する前から既に始まっている生殖行動。ぱん太郎とあやねの子供が作られる現場……!

 快楽に支配されたあやねの表情。彼女も知った上で悦んでいるのだろうか。これだけでも妊娠する可能性があることを──と考えて、ひょっとしたらそこまでは知らないのかもしれない、とふと思った。外ならまだ大丈夫、膣内射精されなければ赤ちゃんは出来ない──などと考えていても不思議ではないかもしれない。

 だが、ぱん太郎の我慢汁の濃さや粘度は尋常ではない。よほど精子が詰まっているのだろう。こんなものを膣の入り口に擦り付けられたら、それだけでもう……!

 アイツの精子まみれの指がうつ伏せ状態のあやねのアソコを弄っている時は直接見えなかったが、今は違っていた。アイツのペニスの突端があやねのクレバスに割り入り、カウパーをボタボタこぼしながら通り抜けるのが嫌というほど観察できてしまっている。

 それどころかぱん太郎はあやねの腰を抑えていた両手を陰部に回し、指で秘唇をグッと拡げ、溝が広がったクレバスの奥にまでペニスを入れ始めた。

「あっ! あぁん、だめぇ♥」

 まるで挿入を試みているようにあやねのアソコへ深く侵入し、秘肉粘膜の窪みに嵌り込んではビィンと飛び出してくるペニス。その度にヌチュリッヌチュリッと強い水音が淫猥に立ち、ビクビクとあやねのからだが弾む。

「のの、あやねちゃんのオマンコ、もうヌルヌルのアツアツ、トロトロで気持ち好すぎるのん……♥」

「だめぇ、入っちゃう、入っちゃう……♥」

「ダイジョブだよ、ボクのデカチンに比べればまだまだまだ狭くてキツいから。すんなり入っちゃうにはすずちゃんぐらい開発しないとね」と言いながらニンマリと笑うぱん太郎。開発する気満々の笑みにしか見えない。

 昂奮してさらに分泌してきたのだろう、肉茎を伝い落ちるカウパーの量が格段に増え始めた。先走りとは思えない、常人の射精以上に精子が詰まっていそうな白さと粘っこさ。それを噴出している亀頭が、あやねのアソコの入り口に嵌るように入り込み、膣口に押し付けられているのだ……!

「あん、あん、あーん……♥」

 亀頭がクレバスから外れても、明らかに愛液とは違う泡まみれの白濁の雫がタラタラと落ちるようになる。まるで中に出されたザーメンが溢れ出て来るように……。

(種付けしてるのと……変わらないな…………)

 そう思わずにはいられなかった。

 ただやはり、あやねはカウパーに対する警戒心というか、妊娠の不安を抱いてはいないようだった。この島の娘なら十分有り得るだろう。

 ──だからと言って何だという話だが。

 ボクは絶望で頭(かぶり)を振りたい気持ちになった。

 先程あやねのからだがザーメンコーティングされた時点で、十分すぎるほどアソコに精子を塗りたくられている。しかも執拗に。今さらカウパーのことを気にしても仕方がないじゃないか。こうしてアイツに抱かれている以上、あやねももうとっくに経験済みで、あの濃厚な孕まし汁を膣内でも浴びているはずだし……。

(知らないなんて……こんなセックスしてるのに……妊娠の覚悟してないわけないだろ…………)

 夢の中のあやねはまだ経験が少ないんだろう。ボクが知らないうちにとうにぱん太郎に呑み込まれてしまっているのに変わりはないのだ。ボクの知らないところでぱん太郎に処女を捧げている。アイツと中出しセックスしている。悦びに悶えながら種付けされている……。

 さっきのすずのような愛すら感じるセックスも経験している筈だ。他の子同様、あやねはぱん太郎の子を身篭っても構わないのだ。

 

 

 

 ボクの親しい子たちは……一人残らず……。

 もうボクのことなど気にも止めず。

 

 ぱん太郎と愛し合って子作りする仲なのだ…………。

 

 

 

 夢の世界では──これが夢で良かったというみじめな安堵感にもたれかかりながら、ボクは淫逸な光景を瞳に焼き付け続ける。

 そんな事を考えている間にも、あやねはぱん太郎に腰を打ち付けられ続けていた。傍目からは本当に結合しているのと変わらない動きの二人。真っ白なリボンで結ばれた長いツインテールがひっきりなしに揺れ、あやねは白い喉を晒しながら嬌声を上げ、それは部屋じゅうに響くほど大きくなっていた。挿入されていないとは思えないほどのあやねの喘ぎ方と下半身の密着具合。彼女の表情に浮かぶ淫らさも磨きが掛かるばかりであった。

 半開きになった唇から覗く赤い舌。今にも白く液化しそうな熱い息。焦点の霞む情欲に満ちた目。小さくともしっかりと揺れている乳房。勃ちっぱなしの乳首……。

「ねえ、お願い、せめて、行人様の見えない所でぇ……!」

「気にしない気にしない、ぐっすり寝てるんだから♥」

「でも、でも……! あっ、ああっ、ああっ……♥!」

 ぱん太郎はあやねの願い──それはボクの願いでもあった──を聞き届けず、ボクのすぐ目の前で本番さながらの素股を続ける。

 たまにアイツに手を握られてもあやねは振りほどいたりせず、ピストン運動と共に迎え入れる。何かを堪えるかのように目を瞑る表情は、ただただ快楽(けらく)に耐えている面様だ。

 パン、パン、パン、パンと小気味よい音と共に股間からはヌチュ、ヌチュ、ヌチュ、ヌチュという淫猥な摩擦音がひっきりなしに聴こえ、行灯の光が届く内股や腹部がぬらぬらと濡れているのが映る。

 時折ぱん太郎は先ほどのようにクレバスを指で開き、ペニスの先端を挿し込んでクッ、クッと軽く突き上げる動作をする。回数を経る度に亀頭が徐々に深く嵌り込んでゆくのがわかった。

「どんどん入っていくよ。もうすぐボクたち繋がっちゃうね♥」

「あぁ、あぁ、だめ、だめぇ……♥」

 そう声とからだを顫わせるあやねだったが、今にもぱん太郎に貫通されそうな自分のアソコを見る表情には理性がほとんど窺えず、ボクのことなど忘れ、性の歓喜に満たされていた。

 

 

 

 あやね……君もこれが望みだったのか…………。

 こんな奴に肌を許して、気を許して…………。

 こんな奴と…………こんなセックスを………………。

 

 

 

 夢の中の登場人物とわかっていても、これほど生々しい有り様を見ては、そう思わずにはいられない。

 あやねはもうあまりボクに目を向けなくなっていた。

 それどころか、いい気になったぱん太郎が腰を動かしながら、

「あやねちゃん、あやねちゃん……♥」

と、彼女の耳元で──ボクにとっては気持ち悪い声音で──名前を呼び、ギュッと手を握ると、そうされたあやねは恍惚に潤んだ表情をより深めて享受するのだ。ぱん太郎に親しく名前を呼ばれて嬉しさを感じているのだ。

 あやねは嬉悦の涙が溜まる眼を瞑り、熱い吐息をつきながら、ただぱん太郎の抽送を受けるだけでなく、そのリズムに従って自分からも動くようになった。

 男女が動作を合わせると、途端に親密さが増したように見えてくる。

 ボクの思いとは裏腹に、あやねは対面にいるボクよりも背後のアイツにばかり気を取られ、アイツと息を合わせて、

「あっ、あっ、あっ、あっ♥!」

と、はっきりとした淫声で喘ぐ。

 

 

 

 ヌチュッ ヌチュッ ヌチュッ ヌチュッ

 

 

 

 ボクが苦渋に浸る心で見つめる中、あやねとぱん太郎の本番寸前の情交は無情に続けられた。頭何個分も離れていない所で、ボクを無視してぱん太郎との性愛に興じるあやね……。アイツと、アイツから与えられる快感が今のあやねを牛耳る全てだった。夢だからかも知れないけど、あまりにも無慈悲な情景だった……。

 そして、

「ああ、だめ、だめ、イク、またイッちゃうぅ……♥!」

と、とうとうあやねは陶然とした顔でうわ言のようにそう漏らした。

 それを聞くとぱん太郎は彼女のからだを支えながら腰振りを加速させた。「あやねちゃん、あやねちゃん♥」と名前を連呼しながら、パンパンパンパンと本番同然の勢いで音が鳴り続けたが、

 

 

 

「ダメッ、アッ、アッ、イク、イクッ──イクゥッッ♥♥!!」

 

 

 

と、今度は背中を丸めながら堪え切れないようにあやねは叫び、そのからだをガクガクと強張らせた。ぱん太郎も彼女が絶頂に達したのを察して、腰を押し込んだまま動きを止めた。

 

 

 

「────ッ♥!!────ァッ──────ッ♥♥!!」

 

 

 

 二度目の絶頂────

 

 

 

 アイツにからだを抑えられた中、あやねが激しく身悶えるのがはっきりと見て取れた。

 ……十を数えるぐらいだったろうか。

 その間、刻が止まっていたようにも思えたが、張り詰めていたあやねの全身から次第に力が抜けてゆく。

 俯き加減のあやねの顔を覗くと、頬も唇も緩みきっていて、淫悦の余韻がありありと浮かんでいた。それこそ夢の中を揺蕩っているような解放感のある惚け顔。双眸の快楽の霞みと呼吸の爛れた乱れが収まりきらない様子であった。

 たゆんだ空気の中、肌を重ね合わせたままの男と女──。

(くそう────)

 それを眺めているうちに、ボクは意識の遠のきを感じ出した。やっと悪夢が終わる。力が抜けるように虚無に吸い込まれてゆく感覚は有り難さすら憶えた。こんな光景をずっと眼前で見せつけられ続けるなんて耐えられない。

 薄らいでゆく景色の中、ぱん太郎が動き出していた。爆発しそうなほどに血管がドクンドクンと脈打っている巨根が再びあやねのアソコにあてがわれる。あやねの大陰唇が柔らかく割り開かれ、巨(おお)きな亀頭が傘の端を残してほぼ全て埋(うず)まった。もう二人は粘膜の感触でお互いを感じ合っているかもしれない。

「オマンコの入り口が嬉しそうにキュッキュッって締まってる♥ やっぱりココにボクのチンポが欲しくてたまらないんだね♥」

「あぁ……はっ……はぁぁ…………♥」

 

 あやねは否定しなかった。催眠術にでもかかっているかのように蕩けた表情。今度は明らかな挿入の気配を感じたのか、絶頂のエクスタシーが一度は収まって来ていたのが再び呼吸が乱れ出し、胸が大きく上下し始める。

 

「さっきも自分でオマンコ拡げてたもんね。ボクのチンポ見ながら。犯して欲しかったんでしょ? すずちゃんみたいに。まちちゃんみたいに。他のコみたいに。このチンポを突っ込んで気持ち好くして欲しかったんでしょ?」

 

 意志がほとんど感じられない弱々しい目でコクコクと頷くあやね。その時にはもう、ボクの意識はだいぶ闇に沈んでいて、あやねが自ら秘部を拡げていた場面があったかどうかなど思い返せなかった。

 

「ほら、入っちゃうよ♥」

 

 ぱん太郎が腰を軽く押し込むと、埋(うず)まっていた亀頭がグチュリとわずかに胎内に入り、

 

「あっ……ああ……♥!」

 

と、あやねのからだが痺れたように仰け反った。アイツはすぐに腰を引いて体勢を元に戻したが、ぱん太郎のペニスは傘の部分もあやねの膣口の内にすっかり収まってしまい、鉄骨のような肉茎が姿を晒すのみとなった。

 

「の、カリが引っかかって抜けなくなったのん♥ もうこんなに柔らかくなっちゃって」ニンマリと笑うぱん太郎。「……いよいよだね。イクト君のより欲しくなってきた?」

 

「…………ええ…………」

 

「ボクのチンポが欲しいんだね」

 

「ええ……ほ……欲しいの……♥!」とうとうあやねは喉を震わせながらもはっきりとした声音で言い放つ。「貴方のチンポが……い、行人様より……欲しいわ……!」

 他の女の子も言わせられる言葉を──あやねも口にした瞬間だった。

「あやねちゃんのオマンコ……存分に味わっちゃうよ」

「え、ええ……」

「たっぷりとボクのチンポの良さを教えちゃうからね」

「ええ……」

「オマンコのことしか考えられなくなるぐらいハメちゃうからね♥」

「ええ……♥!」

(あやねぇ…………)

「素直でよろしい♥ じゃ、いくよ……力を抜いて」

 まだ恍惚状態から抜けきってない表情で接合部を見下ろしていたあやねだったが、ひと呼吸の間を置き、「えぇ──」と吐息をつくように小声を漏らし、頷いた。

 

 

 

 あやねは同意したのだ。ぱん太郎と一つになることを。

 あのデカマラを迎えることを。

 ボクの前で──

 

 

 

 完全に意識がブラックアウトする間際、アイツの最後の言葉を聞いたような気がする。

「あやねちゃんの処女もボクが貰ってあげるからね♥」

 

 

(つづく?)

 

 

 

 

 

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最終更新:2018年10月01日 00:59