ながされて藍蘭島エロパロSS
『寝取られて』 第8話
1
同居人の履き物ともう一つ小さな草履が上がり框の前に揃えてあるのを見て、居間に上がりながら、
「すず帰ってるの? 誰かお客さん?」
と、行人は家の中を見回した。
室内は再び片付けられ、蒲団は庭で干されているので痕跡は残っていない。
「い、行人……!?」
浴室の方からすずのくぐもった声がした。
「あれ? こんな時間からお風呂入ってるんだ」
そう言った行人だったが、大の風呂好きな少女が日中から入浴してても特に疑問は感じなかった。
「う、うん、今日は畠仕事でかなり汚れて――うにゃあっ♥!」
すずの言葉が急に途切れ、悲鳴のような声が聞こえた。
「ん? どしたの?」
行人は箪笥から新しい上着を取り出すと、居間と脱衣所を仕切る襖の前に立った。
「――な、なんでもないのぉ……ぉ……♥!」
すずはすずで、温泉から出て脱衣所と湯殿を隔てる戸の前にいたのだが、その背後にぱん太郎がやってきて細腰を引き寄せ、そのアケビの裂け目に肉頭を当て、後ろからずにゅっと挿入してきたのだ。
剛塊の侵入をするすると簡単に許してしまうすずのふやけた肉洞。湯に入って洗い清められた膣内だったが、すぐ前まで責められまくっていた肉粘膜からは昂奮がまだ引いていなかった。
すずの胎奧まで容易に到達すると、ぱん太郎は引き返さずにそこで止め、からだをわななかせる青リボンの少女の様子を楽しそうに見下ろした。
「なんか声が苦しそうだけど……転びでもした?」
「……う、うん……にゃぁ……♥ い、今ちょっと……お……おしり……あぁ……大きくて硬いのがはいっ、じゃなくて、ぶ、ぶつけて……♥ ちょっと……苦しいかも……♥」
ぱん太郎がゆっくりと抽送を始め、すずの子宮の壁に何度もキスをする。
「う、にゃ……あ……お……ぉ……♥」
「大きくて硬いのって……床?」
「そ、そう……ぜんぜん激しくないけど……ゆっくり……奧まで……痺れちゃう……うぅ♥」
行人は首をひねった。すずの言葉はとりとめもないが、要約すると、滑って転んで床にお尻でも打ち付けて鈍痛に見舞われているということだろうか、と、彼なりに解釈した。確かに何か堪えているような声音だ。
「骨を痛めちゃったのかも知れないよ。薬持って来ようか?」
「うう、ん……だっ、大丈夫……だから……♥」
「そ、そう? ――ところで、そこに誰かいるの?」
「えっ」
抽送も止まる。
「玄関に履き物があるし、さっきから別の人の息遣いが聞こえるような……」
すずの中で冷えたものが落ちた。
掃除はしたし蒲団は干したし、ぱん太郎の履き物も脱衣所の籠に衣類と一緒に入れた。ここに東のぬしがいることはまだ分かっていないはず――
(どうしよう、ばれちゃうよぅ……!)
「私がいるわよ♥」
すずの後ろからしたその声は、まちであった。
いつの間にか彼女も湯から上がっていて、ぱん太郎の太腿に秘芯を擦り付けながら彼に抱きついていたのだ。
「あ、まちだったの? いたんだ」
「そうよ、行人様……すずと一緒に入ってるの♥」
「そうだったんだ」
「行人様もご一緒にどうかしら?」
「あはは、遠慮しとくよ」
動じず受け流すように即答する行人。入浴の誘いを断るのはもう手慣れたものだった。
「あら、残念……♥」
まちは淫らに微笑み、上体を曲げ顔を下げてきたぱん太郎と舌を絡め、唇を重ねた。
ぱん太郎はぱん太郎で行人とまちの会話の途中から腰の動きを再開していて、その律動にすずは手で口を押さえ、下半身から湧き上がる淫感に必死で堪えていた。
さっきあれだけやったというのに、すずの中の肉慾も抑えが効かず、また性懲りもなく昂ぶってきてしまうのだ。
(ああ、行人がいるのにぃ……♥!)
両脚の力がまた段々と入らなくなっていく分、おまんこの感覚が高まっていく。膝がかくかくと震え、本当に滑ってしまいそうだった。
と、ぱん太郎が肉棒を引き抜き、すずの躰を回して向き合って抱きかかえると、九十度回転した。戸に向かって二人ともに横を向いた状態になると、すずの片脚を上げて、またぬ"る"りと挿入してきた。
「~~~ッッ♥!!」
つま先立ちでパン太郎の胸板にすがりつきながら、淫惑の涙をこぼすすず。
「どうしたのすず、まだ痛むの?」
行人の心配そうな声がしてきた。
「へ――平気――もう……全然……痛くない、よ…………♥」
「でもちょっと声がおかしいよ? 泣いてない?」
「うん……少し……涙が……出たかも……♥」
上げた脚を抱え、もう片手ですずの尻肉を鷲掴みにしながら、焦らすような速度でぱん太郎の腰が伸び上がり、引き縮みを繰り返す。
淫らな粘水にまみれながらすずの蜜壷に出入りする太長物。堪らずにキュンキュンとその剛茎を締め上げるすずの肉ヒダ。
「……♥! ッ♥!」
ぱん太郎に注がれた夥しい精液を処理するため、膣内の洗浄はいつも指でしているのだが、一番奧までは届かないので、奥まった所はぱん太郎の精液が残りがちだった。
肉棒の先端がそこを往来すると、ねちゃねちゃと粘ついた感触がするのだ。
「無理しないでね。後で突然痛みが襲ってきたり、腫れたりするかも知れないしさ」
「う、うん……うん……♥」
蕩けた顔で返事をするすずの唇をパン太郎は塞ぎ、息音を立てない代わりにすずの舌を口中でねっとりと絡みねぶる。
「……♥! ……♥!」
幾筋も垂れる涎。
キスでさらに昂ぶった膣壁が射精をねだるようにぱん太郎の肉棒を搾る。
再び淫慾に溺れつつあるすずの表情。
その耳元で、ぱん太郎が何かを囁いた。
その途端、夢心地だったすずの目に理性が戻って見開き、信じられないといった風に男を見上げた。
ぱん太郎は口元を歪ませながらも、その目は、「やれ」と命じていた。
促すように最奥が何度も小突かれる。
「んっ……んんっ……♥!」
膣肉がビクビクと反応し、とめどなく愛液が溢れる。
もういつ射精されても、いつでも気持ち良く受け止められる状態であった。
アソコが、頭が、ぼうっと熱かった。すずはもはや、ぱん太郎に逆らう気が湧いてこなかった。
「……ね……ねえ……い、行人…………」
「ん、なあに? やっぱり薬か何か持って行く?」
「ち……違うの……。ちょっと、離れてて……い、行人の声が……聞き取りにくいの…………。も、もっと……こっちに……来て、くれないかな…………♥」
「え? あ、う、うん」
行人は若干戸惑ったが、一緒に入ろうと言われたわけではなかったので、すずの言葉に従って脱衣所に入り、さらにその奧にある引き戸へと足を進めた。
乙女たちが入浴中の風呂に接近するのはドキドキするが、男に免疫がない少女たちの奔放な言動には、この島に来てだいぶ耐性がついたことでもある。
(それが良いことかどうかは分からないけどね、ハハ……)
誰ともなしに胸中で独りごちる行人。
女好きなら願ってもない環境なのだろうが、実際に直面する身としては、甚だ困惑してしまうのだ。
だがそれよりも今は、すずの態度に少し違和感を覚えていた。
(何だろう……?)
それはわからないが、湯殿へと繋がっている戸の前まで来ると、そのすぐ向こう側にすずの気配があるような気がした。
すずはすずで、戸の向こうに行人の気配を感じていた。
――隔てるものは、もう、戸板一枚だけ。
すぐそこに、彼がいる。
戸に鍵なんて付いてない。
軽く指を掛けて引けば、ぱん太郎と繋がっている自分を見られてしまう……!
そう考えると、すずは膣もキュッと緊張に締まり、止まらない肉棒の動きで思わず声が出てしまいそうなほどの肉悦を味わってしまった。
(うにゃああぁん、どうして…………♥!?)
すずは自制を一瞬忘れるほど、心の中を悦惑で掻き毟られた。
(うにゃぁ……♥! ど、どうして……こんな状況なのに……気持ち良いよぉ……♥!)
必死に声を抑え涙を零しながら、ぱん太郎を見上げる。
大男はすずの子宮口を上手に探り当て、くりくりと甘く求めるように先端で突き回す。
ズクズクと熱く漲る淫頭と肉茎は、今すぐ発射してきそうなほどの脈動だった。
(ふうぅ……♥! うにゃぁ、はあぁん……♥!)
そんな事されたら、もう……声が出ちゃう……!
忍耐が切れる寸前といったすずを眺めていたまちが、助け船を出した。
「うふ、実はね、私がすずのカラダを弄ってるのよ」
「ええっ!?」
と驚いたのは行人だったが、すずも同じだった。
悪戯っぽく、それでいて妖しい笑みを浮かべたまちが、楽しそうな視線をすずに送る。
「だって、すずのカラダったら、前見たときよりも格段に成長してるんですもの。おっぱいなんて、ほら……」
と、まちは二人の間に手を差し込み、すずの乳房を揉みしだいた。
「うにゃんっ……」
戸のすぐ向こうから聞こえたすずの悩ましげな声に、行人は思わず顔を赤らめてしまった。
「えっ、なっ、何してるんだよまち!?」
「ナニしてるかですって? うふふ、ご想像にお任せするわ……♥ この子ね、ココも……アソコも……想像よりずっとオトナになってるのよ……?」
「ア、アソコって……!?」
思わず大きな声を出してしまう行人。
アソコってアソコのことだろうか。それともアソコだろうか、もしかしてアソコ、いやいやアソコのことかもしれないじゃないか。
まちがぱん太郎に流し目を送ると、男は心得たように抽送を再開した。
行人が想像した箇所に、ぱん太郎の巨大な肉根がいやらしい汁にまみれながら出入りを繰り返す。
それと同時にぱん太郎はまちの股の間にも手を差し入れ、その太く長い指を二本、艶やかに濡れたまちの陰孔に潜り込ませた。
「――ッ……♥!」
まちもからだを甘く痺れさせ、言葉が溶けて消えたような表情になる。
すずの隣で壁に手を付き脚を開いて、尻肉を震わせながらパン太郎の指技に酔う。
二人並んだ美少女の似たような悶え顔。
音を立てないようにほぼ密着しながら中で動く肉棒と淫指。
それでもごくたまに、「ぐちゅっ」とした肉の音が行人の耳にも届くが、ぱん太郎とゆきのが交わっている所を一回見た限りだけの行人は、その小さくくぐもった音が何なのかわからず、脳は雑音として処理してしまうのだった。
声にならない喜悦ですずとまちが震えた。
「……す、すずも……私も……もう、いつでも、じゅ、準備おーけー、よ……♥!」
「な、なにをだよ!?」
「もちろん……決まってる、じゃない……オ・ト・コ……よ♥」
「な、な、なななな」
行人の声が動転している。
ぱん太郎はすずの耳に、「出すの」と微かに囁くと、すずを戸に、まちをその隣の壁に手をつかせ、背面立位で最期の律動に入った。
最期と言っても大きな音や振動を生まないよう、出し入れする長さは必要最低限に止める。
併せてまちへの指の抽送も激しくする。
「「――ッ♥! ――ッ♥!」」
二人の美少女の艶麗な肢体、四つ並んだ桃尻が淫靡に揺らめき、愛液が後から後から零れてきた。
だがたとえほとんど動かなくとも、すずの肉襞の蠢きだけで充分すぎるほどの刺激であった。
目の前の薄い戸板が突然ガタガタと鳴り始め、行人は不審を抱いた。
「な、ナニやってるの……?」
(うにゃあ……♥! 行人にばれちゃうよぉ……♥!)
しかし、ここ数ヶ月で充分すぎるほど淫らな快楽を知ってしまったからだは、そしてメス孔は、ぱん太郎という存在、その雄臭い巨魁を悦んで胎奥まで迎え入れてしまうのだ。
まちはまちで、初めてだとは思えないほどの淫逸さでこの状況を楽しんでいた。
「い、今、二人で戸の前に、い、いるんだけど……♥ ナニ、してるか……わ、わかる……♥?」
「わ、わからないよ!」
「うふふ……すずも、私も、とっても悩殺的な、ぽおず、してるの……♥ 男を悦ばせる、すごく、いやらしい……格好……よ……♥! ……ッ♥、ッ♥!」
ぱん太郎の指が深いところを突き擦り、まちは仰け反って涎を垂らし、声を上げそうになる。
すずも同様だった。音が立たないよう下半身をぶつけず慎重に抜き差ししているぱん太郎だが、椎茸のように傘広くブツブツしている雁首は、発情した膣肉をたっぷりと巻き込んで奧に何度もコツコツと当たり、意識が削り取られそうなほどの淫悦をすずに与えていた。
「な――何言ってんだよまち!」
こんな状況になっても、行人との会話は続いている。
「――ね、ねえ……戸を開けて……みない……♥?」
「そ、その手には乗らないよ……!」
行人は首を振った。そうか、まちの悪戯なんだろう。戸を開いたら、眼前にはどんな光景が待ち構えているか――!
「あ、あら……んッ♥! ――きょ、興味ないの、行人様……? は、……ハァ……♥」
腰の動きを合わせるのに夢中になっていくぱん太郎とすずを尻目に、まちは己が胎内に深く侵入する太くザラついた指を堪能しながら、昂奮した表情で戸の向こう側とやり取りする。
護片の吸引がぱん太郎の指を誘い寄せ、膨らんだ子宮口を見つけられて撫で回されるものだから、まちも言葉を忘れて今にも逝きそうであった。
「な、無いよ! それよりまちもさっきから何かおかしい気がするけど、ふ、ふふ、二人して悪戯しようってならやめなさいっ!」
「いっ、悪戯……うふふ……ふふ……♥ と――戸をっ……♥ あ、開けたら、どんな悪戯か、わかる、わよ……♥」
ぱん太郎の腰の動きがいよいよ佳境に入ってくる。
せっかく綺麗になった少女の膣内に、再び白濁とした粘液がぶちまけられようとしているのだ。
すずの顔は戸面に向かっていたが、その発情し惚けた目は、もはや向こうを見ているようで見ていなかった。
「ぜ、絶対に開けないからね!」
「……ざ……ざんねぇん…………♥」
ガタン!
その瞬間、戸板が外れそうなほど押し揺らされた。
ぱん太郎の腰が突き上がりながら固まり、そして大きく痙攣した。まちの胎内を侵す指にも強張りが伝ってくる。
(あはぁあぁ……♥!!)
戸の音鳴りはそれだけで鎮まり――
行人がいる前で。
すずとぱん太郎は。
同時に絶頂を迎えた────
ぱん太郎とすずが繋がっている部分にまちが目をやると、わずかに覗いた肉茎が青筋を立てながら弾けるような脈動を繰り返し、それと連なり巨大な精嚢も呼吸しているかのように蠕動していた。
(あぁ、すず……♥ 行人様がすぐそこにいるのに、あんなにぱん太郎様の子種を注がれて……♥)
ドクン! ドクン! ドクン!
一つ屋根の下で家族同然に暮らし、いつも一緒で、喜怒哀楽を向け合っていた少年。
その少年と対面しているも同然の状況で、少女は別の男の肉棒を秘洞いっぱいに満たしながら、濃密な精液を膣奥に撒き散らされ、子宮に注ぎ込まれていた。
(うにゃああぁぁ…………♥!!!!)
今までと違う静かな逝き方だったが、絶頂感は鋭く深く、白い雷がすずの頭の隅々、からだ奥深くまで貫き、激しく揺さぶった。
もう何度目かもわからない中出し種付け。
これまでと異なるのは、息遣いがわかるぐらいの距離に行人がいること――!
(行人が……こっち……気に……してるのにぃ……♥!!!!)
何もできない。逝った瞬間(とき)に声を出さなかっただけでも奇跡だった。
ぱん太郎の生殖棒と溶け合って一体化したかのように熱を帯びて蕩ける肉孔。そのぐちゃぐちゃになった膣内にさらに白濁液が叩き付けられるように流れ込み、
「……♥!! ……♥!!」
その淫感に、すずはただ声を押し殺すだけで精一杯であった。
行人は行人で、
「…………?」
不意に途切れた会話に不自然さを感じ、しきりに首をひねっていた。
今、戸がかなり揺れたけど何?
まち、それにすずも黙りこくっちゃって、一体どうしたんだろう。
すぐそこにいるはずなのに。
この戸の向こうで、いったい、二人は何をしているんだろう……?
開けて確かめたい誘惑が幾度となく行人の心を掠めたが、女性が入浴している風呂を覗くなんて絶対にしたくない。
そういう固い意識だけは、少年の中で異様にはっきりしていた。
だが、何となく落ち着かない気分なのも確かであった。
その気になればいつでも難なく開け放てるはずの軽い戸板が、今は果てしなくそびえる重々しい不動の石壁のようであった。
すっかり蕩けきったすずの女肉は、本人の意志など関係なく“男"を悦んで受け入れ、無数の肉ヒダは歓喜に踊り、ぱん太郎の固くて太い肉茎を嬉しそうに搾りまくって注入を援(たす)ける。
これまでにも増して精子が詰まった粘っこい子種汁が剛棒の先端から無尽蔵に放出されてすずの胎内に溢れ返り、
(ご、ごめんなさい……行人ぉ……♥! 私……行人のこんな近くで……別の男(ひと)に種付けされちゃってるのぉ……♥! わ、私のナカで……この男(ひと)の精液どぴゅどぴゅって……子宮にいっぱい注がれて……この男(ひと)と……子供……作っちゃってるのぉ……♥!!)
力が入らず、くずおれそうになるすずのからだを、ぱん太郎が支えて立たせ続けた。
「……すず?」
戸の向こうから少年が心配そうに声をかけてきたが、返事ができない。
今、口を開いたら、甘い嬌声が際限なく出続けてしまいそうだった。
(やだぁ……こっち気にしないで……あっち行ってぇ……♥!)
尋常ではないほど膨張した大怒張が、すずの子宮を圧し潰さんほどに肉壷いっぱいに広がる。
昂奮で広がった子宮口に鈴口を押し付けられて濃く粘った精液をビュルビュルと叩き付けられると、いかに狭い入り口であっても、一回噴く度に直接子宮内へ勢いよく精子が流れ込んでゆく。
そしてその熱い感触に、小さな絶頂が次から次へと少女の脳内で爆発するのであった。
ところで、すずは排卵していた。
健康美溢れる本人と同じく、瑞々しく艶やかな卵子であった。
だが、卵巣を出てすぐ、異変は起こる。
子宮内はもう既にぱん太郎の精子で満ち溢れており、卵管の終着点まで大河のように連なるぱん太郎の精子群の先頭が、結ばれるべき運命の伴侶を今や遅しと待ち構えていたのだ。
並の男のものよりひとまわりもふたまわりも大きく、何週間でも元気に活動する、あきれるほどの生命力に漲った精子達。
それらが出て来たすずの卵を見つけて一斉に襲いかかったのである。
守ってくれるものなどありはしない。
たちまちのうちに精子の尻尾で無数の触手を生やしたようになるすずの卵子。
一重どころでは済まず、二重、三重、さらに精子の数は増える。
何千という精子で真っ黒なウニのようになり、オスの生殖体より大きい筈の卵子は完全に見えなくなってしまう。
そしてその内側では、獰猛なほどに暴れるぱん太郎の精子が、すずの卵子の透明帯をいともたやすく溶かし突き破っていく。
悲鳴を上げるかのように転がり回るすずの卵子。そのダンスは、狂喜とも驚怖とも取れた。
まるで大物の餌に群がる蟻のような、いやそれ以上の数が織りなす原初的な生命の光景であった。
重ねて言うが、すずの分身を守ってくれるものなどありはしない。
やがて生命の舞踊に終わりの時が来る。
その中の最も元気な精子が、ついにすずの卵子をものにしたのである。
授精────。
ぱん太郎とすずが、本当の意味で一つになった瞬間であった――。
――ちなみに、まったく同様の狂騒が一ヶ月前と二ヶ月前にも行われていた。
ここ数ヶ月、排卵される度に、すずの卵子はぱん太郎の精子とすぐ関係していたのである。本人同士が繋がるだけでなく、生命の営みの中枢でも繋がっていたのだ。
二ヶ月前が彼女の初授精であって、セックスを知った日でもあった。
つまり、あの初めて尽くしの青姦の夜、これまでにない昂奮を乗せて何度も何度もすずの胎内に発射されたぱん太郎の特濃精子は、少女の秘やかな花里の至る所に己が精臭をこびりつかせるだけでなく、すずの卵子までさえも奪い取っていたのである。
すずの大事なものがまた一つ失われた瞬間でもあった。
しかしいずれの時も受精卵は上手く着床できず、今回もまた同じく胎外へ流れ出ていってしまう。
ただ、すずの子宮はもはや、彼女自身がそうであるようにぱん太郎という存在に侵され尽くし、完全に彼のものになっていることは明白であった。
――そうして子宮にぱん太郎の精液を注がれ続け、甘い肉悦に囚(とら)えられながらの絶頂を味わう中、すずは行人が間近にいるこの瞬間、ぱん太郎との受精卵さえ作っていたのだ――
2
奇妙な沈黙が気に掛かったが、行人は自分の用事を伝えなければと咳払いをした。
「……そうそう、ちょっと調べ物したいことがあって、今からちかげさん所に行くよ。見廻りするところもまだ少し残ってるし、もしかしたら帰りは遅くなっちゃうかも知れない。だから、先に休んでてくれて構わないからね」
「……うんっ……うんっ……♥」
気が緩めば声を上げそうになるほどの淫悦を何とか我慢しながら、すずは何度も頷いた。
じゃあ今晩はフルコースのんと、ぱん太郎はすずとまちにニタリと笑いかける。
「それじゃあ……すず、まち。すずもまだ仕事残ってたら頑張ってね」
行人は汗を吸った上着を脱ぐと、脱衣所の奧にある空いた籠に放った。
ちなみにそこにはぱん太郎の衣服もあったが、薄暗い上、すず達の脱いだ下着が置かれているだろう所を堅物少年が注視するわけもなく、行人はすぐに視線を外し替えの服を着ながら居間に戻った。
「いってらっしゃい、行人様ぁ……♥」
「い、いってらっしゃああい…………♥」
行人の足音が離れていく。
すずとまちは同時にずるずると滑り、床に手をついた。
ぱん太郎はすずを仰向けにし、その上にまちを乗せると、腰の動きを本格化させて交互に突き挿れた。
たちまちのうちにグチュグチュと淫質化する摩擦音。掻き出されてくる大量の白濁液。
「ああッ♥! あぁッ♥!」
「にゃあ、あ、ああ、だめ、だめぇ♥ まだ家の中にいるよぉ……♥!」
ガラガラと向こうで戸の音がする。
「ホラ、もう行ったのん♥」
「にゃあぁ……♥」
「さ、お仕事に戻る彼に向かって声を出して言うのん。まずは、『私たちもぱん太郎様と子作りのお仕事頑張ります』って」
すずとまちは上と下で互いに戸惑ったような目を見合わせた。
「言わないとオシオキのん♥」
と、ぱん太郎はまちに深く挿入してぐぽぐぽと激しく抽送する。
「あああッッ♥!! だ、だめぇ、そこ感じすぎるぅ♥♥!!」
勢いに押されたまちの顔がすずの間近に迫り、唇同士が触れると、二人は蕩けた目を交わし、舌を絡め紅唇を重ねた。
「すずぅ……♥」
「まち姉ぇ……♥」
「ほらほら♥」
ぱん太郎は今度はすずに挿れる。
「うにゃっ、あっ、あっ、い、言いますぅ……♥」
すずとまちは声を合わせて叫ぶように、ぱん太郎に続いて言った。
「「私たちもぱん太郎様と子作りのお仕事頑張りますっ♥♥!
お子様のあなたじゃ無理だから、ぱん太郎様の大人チンポで種付けして貰うのっ!
私たちのはじめてもこれからも全部! ぱん太郎様のモノなのっ!
ぱん太郎様の精子で孕むから、ぱん太郎様の赤ちゃん何人も産むからっ♥♥!」」
すずとまちは男を見上げた。
「「孕ませてえッッ♥♥♥♥!!」」
その言葉を即実行に移したように、ぱん太郎はすずの膣奥でびゅるびゅると濃い子種を放った。
射精の最中に抜いてまちにも挿れて注ぎ込み、そうして一回の射精が尽きるまで二人の淫肉を存分に往来した。
すずとまちは両手両脚を絡め、豊かに突き出た胸を潰し合い、互いの惚けた顔を見つめ、キスを交えながら、からだを震わせて男の射精をずっと受け止め続けていた。
「?」
何か聞こえてきた気がして、行人は足を止めた。
振り返ると、家の中、というかお風呂の方ですずとまちが何か声を上げているようだった。
何だろうと思い耳を澄ませたが、何を言っているかまでは聞き取れない。
自分に何か用があるのかもしれない、戻ってみようかと、行人は考えた。
しかし、本当に用があるなら声を出すだけでなく、追っかけてくるはずである。この島の娘なら、それこそ裸でもお構いなく――。基本的に恥じらいがないのだ、ここの女の子たちは。
そこまで考えて、行人はふと思った。
「でも最近、すずって女の子らしい行動が多くなったような……?」
前より大人しくなったし、下着や胸が見えていることを恥ずかしがるような仕草をしたり、女友達だけで遊びに行ったり……。
そういえば、お風呂にもあんまり誘われなくなった。
「――気にしすぎかな。ボクがさんざん言ってるから、注意するようになったのかも」
自然な心の変化ということもある。すずだって成長しているのだから……。
二人の声はまだしていたが、誰かが来る気配はなかった。
来ないということは、やはりお風呂の中で二人が戯れているだけなんだろう。
頭を掻き掻き行人は踵を返して家を背にし、また歩き始めた。
空を飛べる物を作りたい。
ここしばらく漠然とそんなことを考えていたが、ぱん太郎の屋敷が出来上がるにつれ、いよいよ具体的に挑戦しようと思い始めていた。
だがそれにはまず、その知識を勉強しなければならない。しかも教師などいないから独学だ。
(ちかげさん家にあるかな……飛ぶことに関しての本…………)
行人は真っ赤な陽を戴いた海に顔を向けた。
いつ見ても圧倒的な夕焼けだった。海原と大空は世界中の黄金を集めても敵わないほどの金色に輝き、遠く遠く、太陽の道は無数の波を越えて水平線の彼方まで続いている。
「…………」
そんな夕焼けを眺望していると、遙か向こうから呼ばれている気がする。
帰れるだろうか。
色んな意味でそう思う。
でも、どれだけ時間がかかってもいい。空飛ぶ試みが失敗したっていい。このまま何もせず、この島にただ埋没してしまうよりはマシだろう。
別に藍蘭島の暮らしに不満があるわけではないが、外界と完全に隔絶された空間で終生を過ごすというのは、何だか想像もつかなかった。外との連絡手段を考えたってバチは当たらないだろう。というか、藍蘭島にはそれこそが必要な気もする。孤絶した環境になってしまったから、ボクの存在が騒がれたり、今回のような事件が起こり得てしまうんだ。
「……よし!」
新たな目標を再確認し、行人は前を向いた。
久しぶりにわくわくと楽しい気分になった。
特別頭が良いわけでもないし、ボクのような子供が達成するのは困難だろうが、それでも頑張れば何とかなるかもしれない。
そう考えながら行人は歩いていった。
家は遠くなり、もう声は聞こえなかった。
行人が去った後は、湯を借りに来た梅梅としのぶも加わり、すずの家は慾望の小宴の場と化した。
すずとまちが食事の準備をしている間にぱん太郎は梅梅としのぶをたっぷりと可愛がり、少女たちの差し出す箸で夕餉を済ませると、四人の尻を並べて存分に乱れさせた。
すず達は夜が更けるまでかわるがわるぱん太郎に抱かれながら嬉声を発し、幾たびも絶頂に登り詰め、ぱん太郎の子種で孕むことを宣誓させられ、むしろ喜んで言い、何度も精液を注がれた。
少女たちの痴態と肉棒への欲求は増すばかりで、家の中は淫汁の残滓と爛れた空気で満ちた。無論、四人の少女のからだ、特に秘陰は溢れ返る白濁で穴すら見えなくなるまで。
行人に恋していた少女たちは、一人残らずぱん太郎の精子を胎内に受け止め、己が子宮に招き入れて。
結局、行人はその日、かなり遅くまで帰って来ず、すずは体力尽きて気を失うまで快楽を貪り、そのまま眠りに落ちたのだった。
(第9話に続く)