ながされて藍蘭島エロパロSS

 

『寝取られて』 第5話

 

 

 

 

 

 

  1

 

 

 ぱん太郎と母ちづるの逢瀬を偶然見てしまったその夜、悶々として寝付けなかったまちは、翌日、この大男の後を尾けてみることにした。

 最近のぱん太郎はすっかり人里に居ついた感があり、梅梅の家で寝泊まりしていることが多いようであった。なので、朝早くにあやねを叩き起こして腰弁当を作らせ、ぶつくさ文句を言う妹を尻目に水車小屋へと出向いた。

 格子窓からこっそり中を覗いてみると――

 なんとそこでは、まだ髪も編んでいない起き抜けの梅梅がぱん太郎の股間に顔を埋め、長大な逸物を口いっぱいに頬張っていたのだ。

(ちょ、こんな朝っぱらから……!?)

 いきなり目撃するとは思っておらず、慌てて気配を潜めるまち。

 ぱん太郎は壁にもたれながら脚を投げ出し、愛らしい中華少女の吸引を気持ちよさそうに堪能していた。梅梅は寝間着の胸元をはだけ、大きな乳輪の乳房を揺らしながら、髪をかき上げつつ、一心不乱に肉棒へむしゃぶりついていた。

 下半身を覆うものは何もなく、肉付きの良くなった尻を揺らしながら、

「ふぁあ……♥ ぱん太郎サンの朝一おちんちん、とっても美味しいデスヨ……♥」

と、青筋が浮いた巨(おお)きな肉根やパンパンに張った陰嚢を、唾液の垂れる舌でしゃぶり回したり、ずっぽりと口中に含んで咥え込んだりと、巧みな淫戯といやらしい仕草で奉仕する。

「張り裂けそうなほど固くて熱くて大きくて……アァ……凄いデスヨォ……♥」

(あの子ったら…………)

 彼女のこんないやらしい姿は初めて見た。普段の様子は以前とさほど変わっていないので、その落差はより大きかった。

(お母様と同じ……いえ、それ以上ね…………)

 昨日のちづるを思い出す。

(梅梅…………前は東のぬしが苦手だったはずなのに…………)

 しかし考えてみれば、梅梅はぱん太郎の一番のお気に入りで、最初に孕まされた女子でもある。こんなエロエロ好色妖怪の傍に一年近くもいれば、別人と思われるほどの変貌を遂げるのも不思議ではないだろう。

 おそらく、もうとっくの昔から、ぱん太郎の前ではこんな風に――

「梅梅ちゃんすまないのん、いつも朝勃ちの処理してもらって。起きたらすぐに2、3発抜かないと落ち着けないのは、ちょっと困ったものなのん」

「毎日あれだけシてるのに、いつでもこんなに元気だなんて……本当、ぱん太郎サンは信じられないぐらい絶倫デスヨ……♥」ウットリとした顔で固く漲った男根を愛おしそうに撫でる梅梅。「でも、全然イヤじゃアリマセン……私はぱん太郎サンの愛人二号さんデスカラ…………♥」

 上目遣いに媚びを含んだ声でそう答える梅梅の表情は、すっかり気を許している“骨抜き”状態であった。

 さらに熱心な口唇奉仕が始まった。

 むっちゅ、ずゅっちゅ、と、いやらしく湿る音は、早朝の冴えた空気には不釣り合いであったが、聞いているうちにむしろ、逆に現在の時刻を忘れてしまいそうになる。

 ぱん太郎もたまらないといった表情でのんのん喘いでいたが、しばらくして、

「ののっ、梅梅ちゃんのおクチ気持ちよすぎるのん……のの~、もう出ちゃうのん……♥!」

と、腰を浮かせ気味に震わせた。

 口をすぼめてじゅぽじゅぽと喉の奥で亀頭を責め立てていた梅梅の顔が笑み、ずるうっ、と出したかと思うと、唾液だらけの肉茎を片手でシコシコとしごき上げながら、

「おちんちん、とってもビクビクしてマス……もう出ちゃうんデスカ?」

と、淫猥な目つきで可笑しそうに尋ねた。

 そんな、楽しく、淫らな顔つきも、まちの知っている彼女からは想像も出来なかった。

(なんていやらしい顔なの…………)

ドキドキと胸を高鳴らせながら、つい見入ってしまう。あれが男を知った、“女”の表情――とても年下とは思えない。

 梅梅の細い指にしごき上げられる逸物は、その剛茎に精気を漲らせ、力強く脈動していた。鈴口はまるで呼吸しているようにパクパクと開き、今にも放出しそうなほど熱く滾り、ビクンビクンと震える様は、まるでひとつの生命体のようであった。

「ののんっ、出るのん、せーえき出るのん♥ 梅梅ちゃんにシコシコされて出ちゃうのんっ♥!」

 梅梅の指に絡まれた肉棒が限界まで張り詰め、ぐんと伸び上がったと思うと、

 

 ビュグググーーーーーッッッッッ!!!!!!!!!!

 ビュグッビュグッビュグッビュグッビュグッッッ!!!!!!!!

 ビュルンッビュルルンッッ!!!!!!!!ビュグンビュグンビュグン!!!!!!!!

 

 “噴火”が始まった。

 なんという凄まじい勢い──まちは驚きのあまりに声を漏らしてしまいそうになり、寸手のところで口を袖で覆った。

 大量の白濁汁が直上に乱射され、天井のあちこちにビチャビチャと着弾していく。

 昨日盗み見た行為は全て膣内射精だったので、実際の“瞬間”を見るのはこれが初めてであった。

(これが……しゃ……“射精”…………!?)

 まったく別の生き物が男の股間に取り付いていると言われても違和感はなかった。

 地中から溢れ出るマグマのような噴流。

 それをうっとりと眺め上げる梅梅は、真下で口を開いて赤い舌を出しながら、降り注ぐように垂れ落ちてくる精液を全身で受け止める。

 みるみるうちに梅梅のからだ中が、口腔が、白濁色に塗りたくられていく。

(――なに……この匂い……栗……?)

 栗の花に似たきつい匂いがまちのところまで漂ってくる。嗅いだことのない異様な匂いだった。

「ああぁ……♥ 凄い……♥ ぱん太郎サンのざーめん…… 熱くて、臭くて……美味しいデスヨォ……♥」

 ぱん太郎はそんな梅梅のからだをひょいと持ち上げ、自らの股ぐらへと招き寄せた。

「イヤァン……♥」

「ののん、もう我慢できないの。朝の元気な一番搾り、梅梅ちゃんのおまんこにも呑ませたいのん♪」

「あぁ……最初に貰えるなんて嬉しいデス……♥」

「梅梅ちゃんの特権のん♥」

 蜜が溢れっぱなしの淫裂に、放出した直後であるのにも関わらず全く衰えを見せない肉塊があてがわれる。

 梅梅の細いからだには、ソレは大きすぎるように見えた。

(さ、裂けちゃうわ……!?)

 まちは静かに喉を動かして唾を飲み込む。以前よりふっくらしてるとはいえ、梅梅の細い足腰と巨根の対比は、無理があるとしか思えなかった。

 だが、母ちづるもそうだが、梅梅はアレより遙かに大きい赤ん坊をアソコから産み落としているのである。

 それにこの男と交わった他の娘達にしても、アソコが裂けたとか潰れたとか、そんな話は耳に届いていない。

 まちは袴の上からそっと下腹部に手を当てた。熱かった。布地越しでも、アソコが湿っているのが分かる。

 その状態から少し指に力を篭めると、

(んっ――)

 痺れるような心地良い細波が、触れた箇所から腰全体に広がった。

(あ……やだ、私ったら……!)

 慌てて指を離す。

 自慰行為については教科書から得た知識を覚えているだけで、実際にやったことはなかった。寝る時にムラムラと“来る”ことは月に何度かあるが、眠れない時は気晴らしに神社の周りを散歩するなどしてまぎらわせていた。

 そのため、今、軽く触ったとは思えないほどの甘美感を覚えたのに、我ながらびっくりしてしまった。

 視線を戻す。

 梅梅の胎内に収まらんとしている、尋常ではない淫気を発する雄々しい偉魁。

 交わった女性全てを“女”にしている、その正体――

 何故か、ソレから目を逸らすことができなかった。

(べ、別に欲しいってわけじゃないわ、あんな気持ち悪いモノ……!――でも…………)

 頬を真っ赤に染めながら考える。

(あんなに大きくったって、私だって受け入れられるってことよね…………)

 梅梅は欲しくてたまらないという表情で、膝立ちしたまま自分から肉棒を握り、外れないように先っぽを当てながら、螺旋を描くように腰を沈ませていった。

 

 ニュグッ、ググ、ニュププ――

 

「あ♥ッ……! ……あ、あ♥……! あァ……♥!!」

 抵抗らしい抵抗もなく、まるで幻術のように梅梅の肉孔が途方もない巨根を呑み込んでゆく。

 グチュン!

 ついに根元まで埋まりきり、対面座位になった二人の身体。

 蕩けそうな吐息が重なる。

「ののの……梅梅ちゃんの中、とっても気持ちイイのん…………♥」

「はぁあぁぁ……♥ わ……私もデスヨ…………♥」

 そうしてぱん太郎と梅梅は熱烈に抱き合い、激しく腰を振りながらお互いを求め始めた。

 梅梅のからだが前後上下左右とグラインドし、彼女の手首ぐらいはありそうな太さの肉棒が秘陰に見え隠れする。

「アッ、アッ、アッ、アッ、アッ♥!」

 喜悦の涙を流しながら、ぱん太郎の頭にしがみつく梅梅。

「お、奥……当たって……っ♥! すごぃぃ……と、蕩けちゃいマスゥ……♥!」

 結合部分からじゅぷじゅぷと淫猥な水音が立ち、梅梅の体奥から無尽に溢れる蜜汁が辺りに飛び散る。

「アアア……♥! お、奧まで……こりこり……擦られてっ……♥! す、すごいデスゥ……♥ すごく感じちゃいマス……♥! だ、だめぇぇ……♥! そ、そんなに擦られたら……っ♥ お、お、おかしくなっちゃいマスゥ……♥!!」

「ハァハァ……梅梅ちゃんの子ども部屋……ボクと梅梅ちゃんの赤ちゃんが出来る部屋に、どぴゅどぴゅ子種注ぎたいのん……」

 二人は傍に我が子が眠っていることも忘れ、快楽を得ることしか考えられなくなったように、ひたすら股間と股間をぶつけ、擦り、貪り合った。

 律動の合間に唾液を振りまく接吻を繰り返し、お互いの上半身あちこちに口づけをし、梅梅のパンパンに張った乳房がいやらしく揉もしだかれ、乳首が弄くられ、母乳が溢れ出る。

 ぐちょぐちょと肉と肉がぶつかり擦れる音と喘ぎ声、淫雑な空気が薄明の屋内に満ちる。

 深く受け入れ合った、濃密な交わり――

 まちもまた、まばたきも忘れて魅入ってしまった。

 ――やがて、梅梅とぱん太郎は密着し合いながら、同時に喉を震わせた。

「あ……♥! あ……♥! ああぁ…………♥♥!!!!」

「ののんっ♥!」

 動かなくなった二人の繋がった部分から白濁液がどろどろと流れ出て、畳の上に広がっていく。

 梅梅はぱん太郎の胴を蟹挟み、滴る乳液を男の胸にすりつけながら全身を痙攣させ、尽きることのない放出を肉洞いっぱいに受け止めていく。

「ぱ、ぱん太郎サンのせーえきぃ……♥ おまんこいっぱいに、あっ、あっ……♥ は、入って……キマスゥ……♥!」

 長い長い時が過ぎ。

 ――ようやく、

「あぁ……♥」

と、やがてひとつ小さく呻いて、梅梅の背中に張り詰めていたものがくたっと抜けた。

「……ボクのせーえき、オマンコでも美味しく呑めたのん?」

と、いたずらっぽく訊ねられたが、梅梅は言葉を発する気力もないようで、こくりと小さく頷いただけだった。

 梅梅に比べてぱん太郎はまったく平然としたもので、余裕綽々といった態度で梅梅の背や髪などを労るように撫でさすっていた。

 それどころか、

「ののーん、まだチンコの張りがほぐれないのん。梅梅ちゃん、もう一発だけ抜かせてほしいのん」

と言って梅梅を離して布団に俯せに寝かせ、少女の尻を持ち上げてのしかかると、まだ白濁の塊を溢れさせている穴に挿入して再び腰を動かし始めた。

「ああァ……♥!! だめ、だめぇ……あぁ……♥!!」逝く前より淫色が染み入ったような梅梅の喘ぎ声。「だ……だめぇ……♥ い、イッたばかりで……お、お……おかし……く……なっちゃいマスヨォ…………♥!」

「ボクの前では、我慢せずにいくらでもおかしくなればいいのん♥ 梅梅ちゃんはボクの可愛い肉奴隷のん♥」

 始めこそ緩やかに動いていたぱん太郎だったが、徐々に欲望の歯止めが効かなくなってゆき、ピストンが深く、本調子に加速してゆく。

「アアアッ♥!! ハアッ♥!! アハアァッッ♥♥!!」

 快感が強すぎるのか、梅梅の表情は理性が霞み、あらゆる顔汁をこぼし、あらゆる体液にまみれながら、悦楽に悶える。

 それでも拒もうとはせず、嫌気も見せず従順に受け止める姿は、のしかかって淫辱を与えている大男に身も心もすっかり奪われて堕ちていることを、改めてまざまざと示していた。

「の~……出るのん……ッ♥!!」

 今度は早かった。

 気持ちよさげな吐息と共にぱん太郎の腰の動きが緩慢になり、止まる。

「アッ……♥! アッ……♥!」

 引き攣りを起こしたように、からだを断続的に震わせる梅梅。だらしなく舌が垂れ、目の焦点がもうほとんど合っていない。

(出されてるんだ……二回目…………)

 二人が結ばれてる部分の隙間からダラダラと白い粘液がこぼれ落ち、最初のと合わせて畳の上に大きな白濁溜まりを作ってゆく。

 また呆れるほどの量だと、まちは息を呑んだ。一回一回があの量なの……!?

「ののん……梅梅ちゃんのマンコが、ボクのチンポの強張りを絞り取ってくれてるのん…………♥」まだ続く射精の中、呻き声を挟みながら喋るぱん太郎。「梅梅ちゃんの子宮が、ボクのセーエキをゴクゴク飲んでるのん……♥」

「ン……ンア……ンン…………♥」

 膣奥を打ち付ける熱く重い迸りは、赤ちゃんが作られるというこの上ない実感となり、それだけで軽く何度もイッてしまう中、梅梅は微笑み返した。

「二人目…………ンン……♥ と……遠くなさそうデスネ…………♥」

「また元気な赤ちゃんを孕ませてあげるのん……♥」

 ぱん太郎の白い尻がゆらゆらと動くのが妙に艶めかしく、まちは変な気分が湧きそうになるのを必死で抑えた。

 

 日ももうすっかり昇りきった頃、名残惜しそうにキスを交わした梅梅を残して、呑気に口笛を吹きつつぱん太郎は水車小屋を後にした。

(やっとお出かけね…………)

 梅梅の姿が小屋の中に消えると、まちはそろりと道に抜け出て、大男の後を尾け始めた。

(さあ、あなたがどんな一日を過ごしているのか……見せて貰うわよ)

 

 ──四半刻も経たないうちに、別の少女がぱん太郎の腕の中で嬌声を上げていた。

 

 

 

 

 

 

 

  2

 

 

 ぱん太郎に抱かれる女はめまぐるしく変わった。道すがら出遭うと、挨拶もそこそこに腰に手が回るのだ。

 すると、それぞれの反応の仕方に個人差はあるものの、女たちは恥ずかしがりながらも明らかな“期待”を浮かべ、その手をはね除ける者は一人としておらず、手引きされるままに屋内、あるいは草むらや木陰、森の中などに姿を消し、二人きりになって楽しそうに会話を交わし、やがて気持ちよさそうな喘ぎ声が聞こえてくる――といった按配であった。

(よくもまあ、これだけ次から次へと……)さすがにまちは呆れ気味になる。(あんなに腰振り続けて、アイツ疲れないのかしらね……女の方はヘトヘトになっちゃうのに……)

 常に一対一とは限らず、数人まとめての時もあった。また、娘だけではなく、親世代も少なからずいた。

 しかしいずれにせよ、人数や齢など関係なく、誰もが極楽気分で惚け尽くすほど、女たちが濃密な満足感に浸るのが印象的であった。

 ぱん太郎の態度は時々傲然としていて鼻に付くこともあったが、女を必ず喜ばせるマメさとタフさだけは、まちは感心するしかなかった。

(あれが人気者になった秘密かしら)

 東のぬしと言えば軽佻浮薄ともっぱらの評判で、誰もおおっぴらに口に出しては言わないが、他のぬしと比べると実力も性根も大したことはない――そう見られる傾向があった。

(体力と女のカラダの扱いだけはピカ一のようね…………)

 だがそんなことより。

 それとは別にまちが特に驚いたのは、女たちの中に、よく見知った顔――ゆきのとかがみ、そしてしのぶの姿があったことであった。

 しのぶは一人、ゆきのとかがみは母娘一緒の時に、それぞれぱん太郎と出くわしたが、三人とも等しくパッと顔を輝かせてぱん太郎に走り寄り、彼女たちの方からしなだれかかって媚びを売ったのである。

(しのぶもゆきのも、あんなに行人様にあたっくしてたのに…………)

 これで行人様に近い位置にいた娘は何人目? ――と考えただけで、まちは軽いめまいさえ覚える。

 ぱん太郎がにんまりと笑って、彼女たちの服の中に手を突っ込み直接尻や胸をいやらしく揉んできても、むしろ喜ぶ始末。

(遊び好きのかがみさんや影響されやすいしのぶはまだ何とか分かるとしても……まさかゆきのまで…………)

 まだ子どもだと思っていたのに。あの子ですらアレを突っ込まれても平気って事なの……?

 それに何より、最年少のゆきのに負けた――まだお子様だと思ってたゆきのにまで──胸中に燻った焦りの火勢がやにわ強くなるのを感じる。

 ともかくも、両方とも近くにあった家屋が事の現場になった。日中はどの家も大半が空いていて邪魔など入らないし、村全体で大きな一つの家族のようなものだから、誰が誰の家に上がり込むのにも遠慮がない。

 勝手知ったる他人の家といった風に床間に手際よく布団が敷かれ衣服が脱ぎ散らかされ、待ちきれないといった感じで行為が始まった。

 母娘もしのぶも積極的に男の上となり下となり横となり、あられもない嬌声を上げながら腰を振り、尻を上げ、脚を開き、目を瞠(みは)るほどの痴態を晒した。

(誰も見てないと思って、遠慮無く凄いことするわね…………)

 しのぶは胸がめっぽう弱いらしく、はちきれそうな肉の山を重点的に弄られては甘い悦びに囀り、何度もイキまくっていた。すっと伸びた背に眼差しもきりりとした、喋りさえしなければ凛々しささえ漂わせる風貌の美少女であったが、欲情に蕩(とろ)けた目尻で喘ぐ今の彼女は、とても侍を目指していたとは思えぬ有り様に変わり果てていた。

 実際、途中まではござる調の武士っぽい言葉を使っていたのだが、行為に夢中になってくると“地”の訛りが出始め、

「あぁん……♥ もっと、もっとおっぱい弄くってえ、吸ってえ……♥ ぎょうさん出して、孕ましてえなあ……♥」

と、自分から貪婪に肉棒を求め、射精をねだっては気持ちよさそうに膣内や胸の谷間などで受け止めていた。

 侍ごっこの次は、男女の営みの快楽の虜になってしまったようであった。

(あの性格と暇人ぶりからして、これはもうどっぷり状態ね…………)

 母娘とぱん太郎の3人での絡みは、しのぶのよりも刺激的であった。

(うわあ……お、お尻の穴まで舐めてる……!?)

 膝立ちで前後から肉棒と菊座への同時奉仕。ぱん太郎が気持ちよさそうに放出して果てると、位置を交代して再び棒と穴にむしゃぶりつく。或いは母娘でからだを抱き重ねさせて交互に挿入したり、二枚の媚肉で怒張をサンドイッチし、両方の淫裂を同時に擦りながら動いたり。母が潤みきった肉奥をさんざん突かれ擦られて色んな汁を流して感じまくる表情を、娘にじっくりと観察させたかと思えば、逆にまだ十代になって数年しか経ってない娘が女になっている顔を、目と鼻の先で母親に見させたり。

 ゆきのの狭い秘窟に絞られて射精を迎えると、ぱん太郎は、

「二人とも自分でマンコ拡げるのん♥」

と、放出中の男根を引き抜き、娘の下で言う通りに秘陰を指で拡げて待ち構えていたかがみの中へ突き入れ、母親の胎内でも白濁汁を撒き散らした。それから再びゆきのの肉腔に戻り、またかがみの中、またゆきのと、射精が続く限り両方の雌孔へ交互に出し入れした。

「アァ……! 娘と一緒に孕まされてるなんて……♥♥!!」

「ぱんぱん変態すぎぃ……♥!」

 同時に種付けられる顔を眺め合いながら、さらに絶頂にイキまくる若い母娘。

 ぱん太郎はぱん太郎で、女からの奔放な要求を上回るほどの絶倫ぶりで三人のからだをしゃぶり尽くした。

 潮を噴くまでイかせまくり、中も外も夥しい白濁液にまみれさせ、ついには三人とも気を失ってしまうまで、彼女達の胎内で果てまくったのだった。

 

 

 その後もぱん太郎が道をぶらぶらしていると、今度は抱っこ紐で赤ちゃんを抱えてあやしている少女と遭った。

「あ……ぱん太郎様……!」

 鴇色の髪を左右に短く三つ編みにおろした少女は、ぱん太郎を見た途端に顔を赤くした。モジモジと腰をくねらせながら流し目を送る。

(あの子……みちるじゃない…………)

 外に出たがらないという横着な性格が災いして存在が忘れられがちな娘であった。人の少ない村で顔を覚えて貰えないというのは余程のことである。

 薬師見習いのみちるは、大きな袂と前垂れが付いた小綺麗な紺の小袖を着ていた。妖怪である雪女の血が混じっているからなのか透き通るような色白の肌をしていて、その点はまちも羨望していた。

「相変わらず淡雪みたいにすごく綺麗な肌ね、羨ましい…………」

 みちると面向かったぱん太郎はというと、黙ったままじーっと彼女を見つめていた。

「…………?」

 奇妙な間。

 三つ編み少女は不思議そうな顔をして小首を傾げた。

と、何かピンと来たようで、やにわ半眼になってぱん太郎をジトッと見返す。

「あの……ひょっとして……私のこと忘れたんじゃ…………」

「え!?」ギョッとするぱん太郎。「い、いや、顔はちゃんと覚えてるのん。え、え~、えっとー…………み……み、みすちー?」

「みちるですっ!! みすちーって何ですか!? 雀ですか!?」

 半ギレ状態で叫ぶみちるだったが、フゥとひと息ついて怒りを収めると、

「まあいいです……それよりほら、ぱん太郎様。私達の子どもですよ……」

と、みちるは胸におぶさった赤子を少し揺すって示した。母親に負けないぐらい体色の薄い嬰児だったが、ぷっくりと肥えていて不健康そうな印象はなく、穏やかな眼差しを母と父に向けていた。

「ののの、元気そうだしキミに似て可愛いのん♪」

「ふふ……♥」

(あの娘まで赤ちゃんをこさえてたのね……いつの間にできてたのかしら…………)

 まちに驚きが湧いたのは確かだった。あれだけ大きい赤ちゃんがいるという事は、手を付けられたのは梅梅と同じぐらいの時期ということだ。それならば話ぐらい耳にしていてもおかしくない気はするが、みちるの噂は聞いたことがなかった。

 妊娠にかこつけて家でゴロゴロしていたのかもしれない。ありそうな事だった。

 それはともかく、ぱん太郎と話しながら我が子をあやすみちるの顔は、幸せそうに輝いていた。

「身体の方はもう大丈夫のん?」

「はい、お陰様でもうすっかり……」

と、頬を染める頷くみちる。

「それじゃあせっかくだし、どこかでゆっくり話すのん」

「あっ!」みちるはパッと目を輝かせた。「そ、それなら、私の家に来ませんか? ちょうど邪魔な大ババ様も回診に出かけてて居ないですし!」

「無論なのん♪」

 ぱん太郎はみちるの横に立つと、その短いスカートの中に手を差し込み、無遠慮に少女の尻を撫で回した。

「あっ♥!?」少女は少し驚いたように身じろぎしたが、すぐにその目尻が蕩(とろ)ける。「だ、だめですよう……こんなところで……♥」

 だが、ぱん太郎の指はパンティの内側まで侵入し、直接尻肉を撫で揉むと、股の間へ滑るように入り込み、少女の秘部にまで到達して前後になぞり上げた。

「あ、あ……♥!」たまらずに媚声を漏らす少女。「だ……だめぇ……家に着いてから……♥」

「ののん、なんか我慢できないのん。ここで軽く済ますのん♥」

「ええ~……」

「だってキミに会った時から勃ちっぱなしのん。一発抜かないと治まらないのん」

と、裾をからげて己がモノを晒した。

 褌を押し退けてヘソまで伸び上がった長大な赤黒茸が、幾筋もの血管を浮かばせながらビクビクと脈動していた。

「わ……!」

 みちるは“ソレ”を見て息を呑んで目を見開いたが、すぐにその瞳は潤み、うっとりとした熱っぽい視線に変わる。

「キミが可愛すぎるからこんなにコーフンしてるのん。キミのおまんこをぐちゃぐちゃに掻き回して、二人目を種付けしたいって♥」

「そんなあ……♥」

 ぱん太郎は少女の手を引いてさっさと近くの木陰に連れ込み、愛撫もそこそこに下着を脱がしてバックに立たせ、脚を開くよう命じた。

 みちるも内心期待していなかったわけではないらしく、言うとおりにして尻を突き上げながら、自らの指で秘裂を拡げた。

 透き通るほど白い肌とは対照的に、鮮やかに充血した牝肉がぬらぬらと蠢き、トロリと蜜が零れ出していた。

「ぱん太郎様ぁ……♥」

と、甘ったるく誘う猫なで声を出し、赤子を抱きながら尻を揺らめかせる少女。

「ぬふふ、赤ちゃんを産んだとは思えないほど綺麗なマンコのん」

「やだそんな……♥」

 嬉しそうにはにかむみちるは、すぐに物欲しそうに表情に戻り、潤んだ目でぱん太郎を見上げた。

「赤ちゃん身籠もったの早かったから、あんまりぱん太郎様に構ってもらえなくて……寂しかったんですよう…………」

「それは悪いことしたのん」みちるの尻を撫で回しながらそう謝るぱん太郎。

「お詫びに、たっぷりと可愛がってあげるのん♪」

 そう言って懐から竹筒を取り出すと、股間から雄々しく衝き立った剛直の上で栓を抜き逆さにした。

 寒天を溶かしたようなネロネロとした液体が肉茎に垂れ落ちてくる。

「なんですかそれ……?」

「眼鏡の子が作ってくれたのん。『ろーしょん』って言ったっけな? ぬるぬるになって入れやすくなるのん♪」

 そういえば、と、まちは思い返した。ゆきのや他の子の時にも使ってたっけ。

(こういうところも気を使ってはいるのね――って……眼鏡の子って……まさか…………?)

 ぱん太郎は両の掌で肉棒全体に塗りたくると、みちるが拡げている指の間に先端を差し込んだ。

 みちるの腰を掴み、ぐっと前に進む。

 

 ぬ”る”っ。

 

「――――アーーッ♥!」

 みちるが抱いた赤子の腕より太い肉塊が、まるで滑り込むように彼女の胎内へと収まっていった。

「ぱ……ぱん太郎様のおちんちん……♥ 来たぁ……♥!」

「いい具合のん♥」気持ち良さそうに息を吐くぱん太郎。「肌はひんやりしてるのに、中はびっくるするほど熱くて……きつくてウネウネしてるのん♥」

そう言うと、ぱん太郎は欲望に促されるままに腰を振り出した。

「あっ、あっ、あっ、あっ、ああーんっ♥♥!!」

 みちるは道まで届く媚声を張り上げ、顔を真っ赤にして涎と蜜液を垂らす。

 二人は盛りまくった猿のように腰を動かし、お互いの淫肉を貪る男と女となる。

 若い一児の母はひっきりなしに甘い嬌声を漏らし、淫悦の歓喜に涙をこぼながら、からだを震わせて久しぶりの気持ちよさを味わうのだった。

「これっ、これえっ……♥ ぱん太郎様のおちんちん……♥! 気持ちいいよお……♥!」

「のふふ、キミのマンコもとってもいい具合のん、赤ちゃん産んだとは思えない締まりのん♪」

 少女の秘唇から溢れ出した愛液は、もう膝裏まで垂れ落ち、肉棹を伝って陰嚢まで濡らしていた。

「もっと、もっと突いてえ♥ 逞しいオチンチンで奧まで突きまくってえ♥」

「のふふふ、勿論のん♥ キミの子宮にたっぷりとボクの精子を注ぎ込むのん♥ 二人目を作っちゃうのん♥」

 みちるは泣き腫らした顔で貪欲そうに喘ぎ、

「くださいっ、くださいぃ♥! ナカに、ナカにいぃ♥! いっぱい出してぇ♥!!!!」

と、ぱん太郎の動きに合わせながら腰を振って叫んだ。

「のぅんッッ♥♥!!!!」

 大男の躰が強張り、腰が浮いた。少女の腰を掴む手にも力が籠もったが、もとよりみちるに逃げようとする意思は欠片もなく、肉奥まで深々と打ち込まれた最後の突き上げに、「あゥンンッッ♥♥!!!!」と、歓喜に仰け反りながら絶叫した。

 限界まで膨張した大怒張をみっちりと咥え込む淫唇。

 子宮を、内臓を押し上げられながら、煮えたぎるほどの熱い体液をこれでもかと言うぐらい胎内にぶちまけられる行為に、歓喜を極めた嬉声を発する少女。

 みちるのからだが反り返ったままビクビクと何度も痙攣し、彼女自身もイキまくっていることを示していた。

 既に出産を経験している子宮の穴は、昂奮状態もあって小指大まで拡がり、飽くことなく噴射される白濁液を好き放題に流し込まれる。文字通り子宮が精液に満たされてゆく。

(すごい…………)

としか、まちは思い浮かばなかった。簡単に済ましているとは思えないほど、見ている方の気分もおかしくなりそうなほどの淫らな交わりであった。

 すっきりして事を終えた二人は寄り添いながらみちるの家に向かい、赤子を寝かしつけてからまた淫蕩な子作りを始めた。

 揉まれまくる白磁のお椀とひっきりなしに腰を打ち付けられる尻、両方とも赤く腫れあがり、淫水焼けした黒い剛棒で蜜園をぐちゃぐちゃに掻き回され、いじめ抜かれて何発も何発も子宮に精液を注がれて。新雪のからだは全身淡い桜色に染まり、その上へさらに乳白の体液が夥しく降り注いで穢されていったが、それすら感じているみちるの表情であった。

 死にそうなほど喘ぎまくり、実際に死ぬ死ぬと叫びながらも、少女は無上の幸せに満ちた顔で幾度も昇天した。

 

 

 

 

 

 

 

  3

 

 

 空が黄金色に染まる頃になると、まちはすっかりやつれた顔になっていた。

「な、なんで、ただ尾けてるだけの私の方がぐったりしてるのよ…………」

 蹌踉とした足取りでぶつぶつと呟くまち。

 ぱん太郎は今以て張り付かれてることに気付く様子もなく、彼女の前方を悠々と闊歩している。

 たった半日だけでこの大男が抱いた女の数は優に両手指の数を越していた。

 まちは立て続けに何度も衝撃的な光景を目の当たりにして、すっかり重い疲労感に包まれてしまったのだ。

 しかし、それでも事が始まると、途端に目が離せなくなってしまう。

(確かに……みんな気持ち良さそうだったけど…………)

 顔を赤くして目を伏せ、心の臓がある辺りに手を当てる。

 まだドキドキしていた。

 でもそれは、あまりにも刺激の強いものを見続けたからに決まっている。と、まちは強いて考える。

(アイツにた、種付けされるなんて…………御免だわ…………)そこは意識して否定する。(…………だけど、私もああいうコトをされれば…………行人様に意識して貰えるほど女らしくなれるかも知れない…………)

 ざわめく胸を両手で抑えつける。

(か、覚悟しないといけないわね…………)

 幸い(?)なことに、女――の身体――の扱いは一応確かなようだし、行人様をげっとするための試練と思って、多少の恥辱に耐えれば…………。

 問題は、あの射精だった。

 まがりなりにも子作りという行為である。前に村を歩いていた時、談笑していた娘達の話し声を耳にし、ぱん太郎が“子作りの名人”だというのを立ち聞きしたことがあった。 その時は、

(何の名人だか)

と、呆れる材料が一つ増えたに過ぎなかったが、昨日今日と直に目撃して、その理由が十分過ぎるほど理解できた。普通にやったらまず間違いなく、たちまちのうちに孕まされてしまうだろう。

 だがあの男の愛人の列に加わるつもりはないし、妊娠だけは絶対に避けないといけない。

 なるべく大丈夫そうな日を選ぶ――絶対安全じゃないとちかげに聞いたことがあるし、不安が残る。

 じゃあ、外で出して貰えば…………。

 しかしそう頼んで、果たしてあの男は素直に従ってくれるだろうか……?

 今までの交歓を振り返ってみると、手や口での奉仕などを除けば、外で出された回数は、零――皆無だった。

 ひとたび挿れればことごとく膣内射精。

 女側でも拒む者がおらず、それどころか、「中で出してっ♥」などと言ってせがむほどだった。

 子作りしているわけだから、当たり前と言えば当たり前の話なのだが……。

(そういえば……中で出されるのも気持ちよさそうだったな…………)

 ふと、まちはそんなことを考えてしまった。

 男のアレを出し入れされている時とはまた違い、射精されている間に表情から力が抜け、夢心地のようになってゆくのが印象的だった。

 梅梅の家で天井まで届いた凄い勢いの射精がまざまざと脳裏に蘇る。

(あんなの……お腹の中でされたら…………一体どんな感じなんだろう――――)

 とても想像できない。

 だけど、母や今日見てきた女性たちの、子種を受け止めている時の恍惚に満たされた表情といったら――――

 ――はっ!

 ドキッとしてまちは我に返る。

 それを確かめたら子どもが出来ちゃうじゃない――!

 だめよだめ、絶対にだめ。それだけはだめよ。

「あれ」

 まちは足を止めた。

 道の先を歩いていたはずのぱん太郎の姿が消えていた。

「――っていうか、ここどこ?」

 辺りを見回す。

 先程まで歩いていた場所とはまったく草木の景色が変わっていた。

 どうやら尾行していることをすっかり忘れ、考え事をしながら足を動かしていたようだった。

「私としたことが……」

 どっと疲れが押し寄せる。

 もうすぐ逢魔が刻である。今からまたぱん太郎を捜し回る気力はもうない。

「お腹減った……もう帰ろ」

 そう独り言を言うと、まちは式神を喚んで帰宅の途についた。

 

 

 ごっちらのの背に乗って飛んで神社に戻ると、「今日はちょっと疲れたから当番代わって」と、夕食作りをあやねに押し付けた。

「えー!? お姉ぇ様が頼むから今日は掃除も洗濯も私が代わりにやってあげたのよ!? その上夕飯まで作れだなんて何考えてるのよ!」

 当然のごとくあやねは抗議してきた。

「今日は特別疲れちゃったの。明日はその分やるから、お願い」

「今日は明日はってもう何回目よ!? 今日と言うなら、今日という今日はもうだまさ――」

 お気まりじみた展開で反抗声明を諳んじようとする妹を、

「きょ・う・は・お・ね・が・い・つ・か・れ・て・る・の」

と、一文字ずつしっかりと藁人形に釘を刺し、陸に揚げられた海老のように悶え転ぶ妹の口から、「ヨ・ロ・コ・ン・デ」という言葉が絞り出されると、

「ありがとうあやね。あとお風呂の用意もよろしく」

 無情にそう言い放って厨房に追いやった。

 まちは晩ご飯をいつもの倍の速さで倍の量たいらげると、

「お風呂入ってもう寝るわ」

と、そそくさと茶の間を出ていった。

「……どうしたのかしら? まちさん、なんだか様子がおかしかったような……」ちづるは心配そうに閉じられた障子を見やる。「あら、あやねさん肩が震えてるわ。どうしたの?」

「見てたんだからわかるでしょっ!」

 あやねはがーっと立ち上がりながら諸手で握り拳を突き上げ叫び、ぶんと片腕を振り降ろした。突き付けられた指の先には空っぽのお茶碗や皿。

「あの鬼畜童顔巫女がとぼけた顔していつもの倍食っちゃって! つまり! 私の分が! 無くなったのよ! まだ、まだこれっぽっちも箸を付けないうちにぃ!」

「あら本当。あやねさんの食器もお櫃も綺麗に空ねえ。でも挫けちゃダメよ。涙を拭いて。新しく作ればいいわ」

 ちづるが慰めるように言うと、

「また私が作るんかい! ……トホホ……確かに今日のお姉ぇ様はいつもより数倍オカシイわ……」

 まるで自らの運命を諦観しながら大きな荷物を背負った奴隷労働者のように背中を折り曲げ、あやねは重い足取りで再び厨房に向かっていく。

 に、

「あやね~早くお風呂沸かして。今すぐ」

という容赦ない言葉が飛んできて、蛙が轢き潰されたような悲鳴を上げて妹は前のめりに突っ伏した。

 

「湯加減はどう? お姉ぇ様」

「悪くないわ」

「はいはい。それはようござんした……」

 窓越しにぞんざいな言葉が返ってくる。

 巫女一家の風呂は長州風呂であった。五右衛門風呂に似た形状で、外に火を起こす釜がある。

 まちはお湯をすくう動作を繰り返し、それをじっと見つめながら言った。

「ねえあやね……」

「なあにお姉ぇ様?」

「あなたはアイツと子作りした?」

 ブフォッと竹筒を盛大に吹く音、続けて咳き込む声。

 格子窓の外に黒い煤の煙が舞い上がった。

「と、突然!! 何を言い出すのよお姉ぇ様!?」

「ちょっと聞いてみただけよ。村で流行ってるみたいだから」

「お姉ぇ様はホントに意地が悪いわね。あ痛いたたた痛い痛いやめてそれは無理」

 何処からか取り出された藁人形を猟奇的な体位にするのを止めるよう、同じ姿勢で懇願するあやね。

「ぜいぜい……」身体が自由になる。「今日のお姉ぇ様はす、少し……いやかなりおかしいわよ……」

「だって──」

 まちは風呂場の薄暗い天井を見上げた。「しのぶやゆきのまでアイツに鞍替えしてるのよ。もしかしてあなたも――って思ったのよ」

「あら、その二人だけじゃないわよ。りんとちかげ、あとみちるもよ」

「えええっ!?」

 お湯を跳ね散らかして立ち上がり、まちは窓の格子を握りしめた。

「お姉ぇ様こそ知らなかったの?」

と、あやねも立ち上がった。

「みちるは今日、赤ちゃん連れてるトコ見かけたわ……。でもりんとちかげは初耳……」

「ちかげは持ち前の好奇心で近づいたら、ミイラ取りがミイラになっちゃったらしいわね。知識と実践がとかうんたらかんたら口では言ってるけど、けっこうあのパンダに首ったけみたい。りんなんか妊娠して喜んでる始末よ。ホントにもうね……」

 ヤレヤレと首を振りながら肩をすくめるあやね。

「ええっ。みことはどうしてるの?」

 大工の家に弟子入りしているみことのりん好きは度が外れており、女同士だというのに姉貴分の入浴の覗き見や寝ているりんの蒲団に潜り込み悪戯するほどで、りんが惚れていた行人を敵視している程だ。

「ああ、みことも一緒に孕まされたみたい。りんに手を付けて無事でいるってことは、そういうコトなんでしょうね。今じゃすっかり大人しくなってるそうよ。アレもいちおー女だったってことね」

「あのりん大好きっ娘がねえ……」

 もしもスケベオヤジなるものがこの世に存在するならばきっとこういう人種なんだろうと思わせる素行でりんの尻を追っかけていた忍者の少女。それが“女”になったというのは、ある意味一番信じられない話であった。

(何か経緯でもあるのかしら…………)

「もう村で残ってる女なんて、私たちとあと一人ぐらいじゃないかしら。あ、でも、くないさんももしかしたらまだかもね」

 あと一人、というのは聞くまでもなかった。海に面した崖にある家で少年と一緒に暮らしている少女。

「そうなんだ……」

 まちは半ば放心したように湯船に浸かり直した。

 自分の知らないところでどんどんと世界が変わっていく。そんな気がしてならなかった。

「まったく、藍蘭島始まって以来の大珍事よ。大事件よ。なんで皆んなしてあんなおデブパンダに惚れるのかしらね。私には理解不能だわ。……まー、行人様を狙うらいばるが減る分には嬉しいけどね」

「……あやねは見たことないんだ……」

「え、何を?」

「……ううん、何でもないわ」

 赤くなった頬をあわてて湯の中に沈めるまち。あやねはとっくに火番に戻ってしゃがみ込んでるのだが、それでも隠さずにはいられなかった。

 しばらく無言の間があって、

「みんな変わっていくわね……」

と、あやねのしんみりした声がした。

「自分の子どもが出来た子は皆、もう前とは違う感じ……」ふふっと微笑むあやね。「母親ってああやってなっていくのね」

「そうね……」

「まあでも、変わってないところも沢山あるけどね」

「そうね……そういう面を見ると、少し安心しちゃうわね」

「あら、お姉ぇ様」

「?」

 含み笑いが微かに、だがまちの耳にははっきりと聴こえた。

「いえ、安心するなんて、まるで焦っているようでデデデデガァガガッ!! アガガガガガ!!」

 まちは両手で思いっきりへし折った藁人形を浴場の隅に放り投げると、外がやけに静かになったのに頓着することなく風呂場から出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

  4

 

 

 夜更け、小山の頂にある海龍神社はしんと静まりかえっていた。

 だが一人、まちだけは夢の世界に招かれていなかった。

 

 あれだけ疲れを感じていたはずが、いざ横になると目の冴えが取れなかった。

 一番早くに蒲団を敷いたというのに、母も妹ももうとっくに別の部屋で安らいだ寝息を立てている。

いくら寝返りをうってもまったく眠気が来ない。

(どうしちゃったのよもう……こんなに寝れないなんて……)

 湯の温かさが残ってるわけでもないのに身体の火照りが収まらず、頭の中では日中の光景が渦巻いて消えなかった。

 気持ち良さそうな皆の表情と喘ぎ声、絡み合う肉体、濃密な空気、そして極太な男性の象徴――――

(あんなデッカイ棒を身体の中に入れられてキモチイイなんて……信じられない…………)

 今日穿いていた下着はアソコの部分が変色してしまい、風呂に入る前に脱いで隠してあった。

 少しためらった後、まちの手が夜着の裾の中に滑り込み、下着越しにアソコに触れられる。

(んっ……)

 ぴくりと動いてしまうからだ。

 そこは熱く湿っていた。

 さらに下着の中に手を入れ、指で確認する。

 背すじがぞわっとする。

 秘裂の中は少しぬるっとしており、その正体は小水とは違う体液であった。

(ココ弄られて……みんな喜んでたわよね…………)

 今度は上下になぞってみる。

「……!」

 ゾワゾワとからだが震えた。

(ココ……)

 特に感じた部位――陰核を中指の腹で圧すと、「はうんっ♥」と、腰が溶けそうな疼きが走って声が出てしまい、まちは思わず手を離し慌てて蒲団の中に潜った。

(やだ……)我ながら吃驚してしまう。(なんで……? 用を足した後拭くときは何ともないのに……)

 でも、これなのかな……。

 なんだか無性に弄りたくてたまらなかった。

 まちはパンティをずり降ろして脱ぐと、再び股の間に手を入れた。

「ん……ん……」

 蒲団の中で、微かに湿っぽい音が立ち始める。

 中指が動く度に、何とも言えない心地良い感触が全身を痺れさせ、おかしな気持ちになってゆく。

(行人様――)

 頬を紅潮させながら、外界から流れ着いた少年の姿を想像する。

 行人様になら……私のすべて……喜んで捧げますのに……。

 そんな事を考えていると、アソコが熱を帯び、弄くる快感が倍増してきた。

 指の運動が激しくなっていく。

「あ……あ……♥」

 たっぷりと観察した男の腰の動きが脳裏に浮かび、それに行人を重ね、自分と繋がっている場面を夢想する。たまらない悦感が湧いてきて、まちは快楽に染まっていった。

(ああ、行人様……♥)

 陰核を指先で回すと、全身をビクッとさせるような快美感に痺れ、腰が引き攣る。

 でもやめられない。

 それまで割れ目をなぞるか陰核を弄くるだけの単調な動作だったが、孔の位置を探り、まるで抽送を受けているかのように指に力を篭め、リズムよく動かす。

「ん……んあ……♥」

 奧まで入れるのは恐かったので、ほんの入り口辺りに沈めるだけだったが、その程度でもただ触るだけとはまた違った感じに襲われ、声が出そうだった。

(行人様……行人様……♥)

 淫水にまみれてゆく指先。

 動きに合わせて腰も自然に踊る。

 その心地よさにいよいよ何も考えられなくなり、もう片方の手の指を甘噛みして声を押し殺しながら、まちはただひたすら指を動かした。

 からだが、アソコがたまらなく熱い。何かが来る。

 これが“イク”ってこと――?

 生まれて初めて味わう気分だった。

 ほとんど理知的な思考ができなくなった中、恐れよりもそれを越えてみたいという欲求が勝り、まちは陰核を弄り回した。

 頭の中で何かが爆ぜるように真っ白になった。

「――ッ♥!!」

 ビクビクと腰が震え、脚が伸びて突っ張る。

 初めての絶頂――――

 ――だが、甘い気分は瞬く間に引っ込んでいき、蒲団の暗闇の中、まちはクタッと脱力した。

「やだ……なんで………………」

 逝ったばかりの気怠さに包まれ始めた身体を蒲団の中で丸め、呆然とする。

 最後、頭に思い浮かびながら指を動かしてしまったのは、行人ではなかった。

 あの男だった。

 

 

 

第6話に続く)

 

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最終更新:2022年10月10日 02:23