【質問】 公益法人の収入に占める寄付金・補助金等の割合はいくら位ですか?


【回答】
「平成20年度版公益法人白書」の「第1章 公益法人の現況 第2節 個別事項の分析 2. 財務・会計の状況 (p26)」(http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/hakusyo/koueki/2008_honbun.html)によれば
社団法人、財団法人の双方において事業収入が年間収入の約6割と最も多くを占めている。また、社団法人、財団法人を問わず、寄付金、行政や民間助成団体等からの補助金等も得ているが、これらの合計額が総額に占める割合は社団法人・財団法人ともに8%前後である。
「図表1-2-20 年間収入構成」より

                 国所管           都道府県所管         合計     比率(%) (百万円)
 内訳          社団      財団      社団      財団
会費収入          370,060  129,859  230,174  136,337   865,436     4.7
財産運用収入   49,286   216,163   25,101   135,547   425,830    2.3 
寄付金収入    22,332   190,649  9,004   57,060    278,840   1.5
補助金等収入   219,177  328,150  189,489  435,452   1,169,672   6.4
内
国        101,411  149,011  23,917   23,858    298,167   1.6
都道府県     37,794   51,390  54,673   228,666    371,196   2.0
市区町村      3,810   11,984  51,376   154,416   221,188    1.2
独立行政法人等  51,321   59,814  23,221   5,557    139,687    0.8
その他      24,587   55,299  34,406    20,701   134,389    0.7

事業収入    1,994,045 4,459,941 1,350,083  3,516,038 11,243,285   61.6
その他      369,529 1,910,638  472,687  1,519,906  4,265,274   23.4
合計      3,024,438 7,234,702 2,276,539  5,800,467  18,247,755  100.0

また、収入の内訳の項目に関しては
公益法人の年間収入は、大きく分けて、
◆ 会費収入(民法上の社員及び賛助会員等からの会費収入を指す。)
◆ 財産運用収入(基本財産・運用財産の区分を問わず、財産の運用から得た収入を指す。)
◆ 寄付・補助金等収入(寄付金、補助金、助成金等の反対給付を伴わない性質の収入を指し、拠出元は個人、企業、公的機関等のいずれであってもよい。)
◆ 事業収入(事業活動を行った結果として得た収入を指す。なお、ここでいう事業は、定款又は寄附行為上の目的事業である事業(指導監督上の公益事業)であっても、公益活動を行うために付随的に収益を目的として行う事業(指導監督上の収益事業)であってもどちらでもよい。)
等からなっている。
また
この年間収入に、前年度からの繰越金(前期繰越収支差額)を加えたものが、当該年度の総収入となる。なお、年間支出に次年度への繰越金(次期繰越収支差額)を加えたものが当該年度における総支出であり、「総収入額=総支出額」の関係になっている。
(略)年間収入額の合計は18 兆2,478 億円であり、1法人当たりの平均年間収入額は7 億4,033 万円、中央値は5,801 万円である。平均と中央値との間には大きな隔たりがある。
規模別に見ると、1千万円以上5千万円未満の法人が6,436 法人(26.1%)と最多であり、以下、1億円以上5億円未満が6,016 法人(24.4%)、1 千万円未満が5,235 法人(21.2%)と続くことから、収入が小規模な法人が多いことが分かる。一方、平均を超える区分である10 億円以上の法人は2,373 法人(9.6%)に過ぎず、極めて収入額が大きい法人の存在により平均が引き上げられている。

【質問】 公益法人の支出はどのようになっていますか?


 【回答】
「平成20年度版公益法人白書」の「第1章 公益法人の現況 第2節 個別事項の分析 2. 財務・会計の状況(p27) 」(http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/hakusyo/koueki/2008_honbun.html)によれば
年間支出額の規模別法人数を示したものが表1-2-21 である。これによると、年間支出額の合計は18 兆2,292 億円、1法人当たりの平均は7 億3,958 万円、中央値は5,756 万円であった。
100 億円以上の年間支出額がある法人が247 法人(1.0%)ある一方で、年間支出額が100 万円未満の法人が1,216 法人(4.9%)あった。無償の役務の提供(ボランティア等)もあるため、金銭的な支出規模がその法人の活動状況をそのまま示すものとは言えないが、支出額が極めて小さい法人については、十分な活動が行われていない場合もあるものと考えられる。
年間支出の構成状況を示したものが図表1-2-22 である。事業費が65.8%と大きな割合を占めている一方、管理費は7.8%となっている。

図表1-2-22 年間支出構成
            事業費   管理費 事業に不可欠な固定資産取得費 その他の支 出   合 計     (百万円)
  国所管  社団  2,348,679  250,299     45,034         347,441   2,991,446
       財団  4,584,419  356,777     133,722        2,157,172  7,232,112
都道府県所轄 社団  1,502,428  295,948     48,108         429,458   2,275,969
       財団  3,628,361  533,516     147,758        1,509,449   5,817,449
        合計        11,994,640  1,427,687      371,099             4,437,335   18,229,170
        比率(%)       65.8        7.8           2.0                  24.3        100.0
   前年合計    13,068,436  1,491,798   427,431        5,226,205   20,213,883
    比率(%)   64.7      7.4      2.1           25.9      100.0

また支出の内訳の項目は
公益法人の年間支出は、大きく分けて、
◆ 事業費(公益法人が事業遂行のために直接要する支出で管理費以外のものを指す。なお、ここでいう事業費には法人の目的事業(指導監督上の公益事業)のみならず、付随的に行う収益事業(指導監督上の収益事業)に支出された費用も含む。)
◆ 管理費(法人の各種の業務を管理するために、毎年度経常的に支出する経費を指す。)
◆ 事業に不可欠な固定資産取得支出(法人の各種の業務を遂行するために不可欠な什器備品等の固定資産の取得に要する経費を指す。)
等からなっており、土地の購入や退職給与引当預金の積立ても支出に当たる。。これら当該年度に支出した合計が年間支出額であり、総収入額との差額が次年度への繰越金(次期繰越収支差額)となる。

また、指導監督基準より
公益法人の事業(付随的に行う収益を目的とする事業を除く。)は、次の事項のすべてに適合していなければならない。また、これらの事項に適合する事業の規模は、可能な限り総支出額の2分の1以上であるようにする。
① 当該法人の目的に照らし、適切な内容の事業であること。
② 事業内容が、定款又は寄附行為上具体的に明確にされていること。
③ 営利企業として行うことが適当と認められる性格、内容の事業を主とするものでないこと。
その基準に対しては
公益法人本来の事業(付随的に行う収益を目的とする事業を除く。)の規模が総支出額の2分の1以上となっている法人は10,199 法人で全法人の41.4%であった。
なお、今後移行する新たな公益法人制度における公益社団法人及び公益財団法人の公益認定においては、「公益目的事業比率が100分の50以上となると見込まれること」が基準の一つとされている。

管理費に関しては、指導監督基準では
管理費の総支出額に占める割合は過大なものとならないようにし、可能な限り2分の1以下とすること。また、人件費の管理費に占める割合についても、過大なものとならないようにすること。
その基準に対しては
管理費の割合が、総支出額の2 分の1以下となっている法人は22,450 法人で全法人の91.1%であった。
管理費の割合が総支出額の2分の1を超える法人に対しては、管理費のうち何が過大な負担となっているかを把握し、役職員の削減、事務所経費の見直し等により、管理費の削減を図るよう、適切な指導を行う必要がある。

【質問】 公益法人の給料をもらっている常勤役員の給料はどの位になりますか?


【回答】
 「平成20年度版公益法人白書」の「第1章 公益法人の現況 第2節 個別事項の分析 1. 役職員の状況(p21) 」(http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/hakusyo/koueki/2008_honbun.html)によれば
公益法人の定款又は寄附行為においては、常勤の役員については有給とすることができる旨定められていることが多い。このような有給の役員(役員としての報酬を支給されていないが、職員としての給与を支給されている者を含む。)に対する年間報酬の1人当たり平均額の規模別法人数を示したものが表1-2-12 である。

これによると、有給の役員がいる法人は9,934 法人(全法人の40.3%)であり、常勤役員がいる法人数(12,018 法人)よりも少なく、無報酬の常勤役員も相当数存在していることが分かる。有給役員がいる法人の中では、平均年間報酬額が400 万円以上800 万円未満の法人が3,594 法人(有給役員がいる法人の36.2%)と最も多く、次いで400 万円未満の法人が3,414 法人(同34.4%)であり、800 万円未満の法人で7 割程度を占めている。一方、平均年間報酬額が2,000 万円以上の法人も83法人(前年比9 法人減)あった。

表1-2-12 有給常勤役員の平均年間報酬額規模別法人
                 有給常勤役員の平均年間報酬額規模別法人数   
        法人数 有給役員なし 400万 400万  800万 1,200万 1,600万 2,000万
                   未満  以上   以上  以上   以上   以上
                           800万 1,200万 1600万 2,000万
                           未満  未満   未満   未満
国所管   
 社団     3,654  1,505     387   862   494    295   89    22
 財団     3,066  1,231     324   447   460    404   188    12
都道府県所管 
 社団     8,963  6,273    1,427  1,028   198    24    6     7
 財団     9,093  5,780    1,283  1,286   524    129   49    42
 合計    24,648  14,714   3,414  3,594   1,668   844   331    83
全法人に
占める比率(%)      59.7    13.9   14.6   6.8    3.4   1.3   0.3
有給役員に占める比率(%)       34.4   36.2   16.8   8.5   3.3   0.8
前年合計   24,893  14,864   3,378   3,685  1,678   853   343   92
全法人に占める比率(%)  59.7    13.6   14.8   6.7    3.4   1.4   0.4
有給役員に占める比率(%)       33.7   36.7   16.7   8.5   3.4   0.9

また、所管官庁出身常勤役員がいる法人に限っての有給常勤役員の平均年間報酬額を示したものが表1-2-14 である。400 万円以上800 万円未満の法人が1,662 法人(所管官庁出身者がいる法人の40.4%)と最も多い。

表1-2-14 所管官庁出身常勤役員がいる法人における有給常勤役員の平均年間報酬額規模別法人数
        法人数 有給役員なし 400万 400万  800万 1,200万 1,600万 2,000万
                   未満  以上   以上  以上   以上   以上
                           800万 1,200万 1600万 2,000万
                           未満  未満   未満   未満
国所管
社団       1,076    21    112   420   257   201    58    7
財団        842    20     48   158   226   247   140    3
都道府県所管
社団       1,098    82    395   539    76   4     2    0
財団       1,127    137   180   565    208   34    3    0
合計       4,110    260   729   1,662   764   482   203   10
全法人に
占める比率(%)        6.3   17.7   40.4   18.6   11.7  4.9   0.2
有給役員に占める比率(%)       18.9   43.2   19.8   12.5  5.3   0.3
そして「平成20年度版公益法人白書」の「第3章 公益法人と行政のかかわり及びその改革 第3節 公務員制度改革に関連する措置等 1. 公務員制度改革大綱に基づく措置 (2)進捗状況(P12)」(http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/hakusyo/koueki/pdf/2008_honbun_3.pdf)によれば、国と特に密接な関係を持つ公益法人(平成18 年度決算ベースにおいて国からの補助金・委託費等の2分の1以上を第三者に交付する所管公益法人、国からの補助金・委託費等による収入額が年間収入額の3分の2以上を占める所管公益法人及び国から検査・認定・資格付与等の事務・事業の委託等、推薦等を受けている所管公益法人をいう)に限ると
役員の平均年間報酬額については、申合せ記3 の対象法人(107 法人)のうち、有給役員がいる法人は92 法人(対象法人全体の86.0%)であり、平均額が1,200 万円以上1,600 万円未満の法人が42 法人(対象法人全体の39.3%)と最も多くなっている(図3-3-1)。なお、平均額が2,000 万円以上の法人はなかった。

図3-3-1 有給常勤役員の平均年間報酬額規模別割合
(括弧内の数値は全体に占める割合(%)を示す。)
有給役員なし         15法人( 14.0 ) 
400万円未満          2法人( 1.9 )
400万円以上800万円未満   19法人( 17.8 )
800万円以上1,200万円未満  11法人( 10.3 )
1,200万円以上1,600万円未満 42法人( 39.3 ) 
1,600万円以上2,000万円未満 18法人( 16.8 )

【質問】 公益法人の給料をもらっている常勤役員の退職金はどの位になりますか?


【回答】
 「平成20年度版公益法人白書」の「第3章 公益法人と行政のかかわり及びその改革 第3節 公務員制度改革に関連する措置等 1. 公務員制度改革大綱に基づく措置 (2)進捗状況(P12)」(http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/hakusyo/koueki/pdf/2008_honbun_3.pdf)によれば、国と特に密接な関係を持つ公益法人(平成18 年度決算ベースにおいて国からの補助金・委託費等の2分の1以上を第三者に交付する所管公益法人、国からの補助金・委託費等による収入額が年間収入額の3分の2以上を占める所管公益法人及び国から検査・認定・資格付与等の事務・事業の委託等、推薦等を受けている所管公益法人をいう)に限られているが

役員の平均退職金額については、仮に常勤役員が勤続2 年で退職した場合に支給される退職金の平均額を見ると、対象法人(107 法人)のうち、平均額が400 万円未満の法人が48 法人(対象法人全体の44.9%)と最も多く、次いで平均額が400 万円以上800 万円未満の法人が35 法人(対象法人全体の32.7%)となっている。

次に、仮に常勤役員が勤続4 年で退職した場合に支給される退職金の平均額を見ると、平均額が400万円以上800万円未満の法人が、32 法人(対象法人全体の29.9 %)と最も多く、次いで800万円以上1,200万円未満の法人が23法人(対象法人全体の21.5%)となっている(図3-3-2)。

図3-3-2 仮に常勤役員が勤続2年又は4年で退職した場合に支給される平均退職金額規模別割合
(括弧内の数値は全体に占める割合(%)を示す。)
2年
支給なし           23法人( 21.5 )
400万円未満         48法人( 44.9 )
400万円以上800万円未満   35法人( 32.7 )
800万円以上1,200万円未満  1法人( 0.9 )

4年
支給なし            23法人( 21.5 )
400万円未満          16法人( 15.0 )
400万円以上800万円未満    32法人( 29.9 )
800万円以上1,200万円未満   23法人( 21.5 )
1,200万円以上1,600万円未満  12法人( 11.2 )
1,600万円以上2,000万円未満  1法人( 0.9 )

【質問】 公益法人の給料をもらっている常勤職員の給料はどの位になりますか?


【回答】
 「平成20年度版公益法人白書」の「資料90 国と特に密接な関係を持つ公益法人の職員の給与等に関する調査の結果(P19)」(http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/hakusyo/koueki/pdf/2008_honbun_si83-90.pdf)によれば、国と特に密接な関係を持つ公益法人(平成18 年度決算ベースにおいて国からの補助金・委託費等の2分の1以上を第三者に交付する所管公益法人、国からの補助金・委託費等による収入額が年間収入額の3分の2以上を占める所管公益法人及び国から検査・認定・資格付与等の事務・事業の委託等、推薦等を受けている所管公益法人をいう)に限られているが
有給常勤職員の平均年間給与額規模別法人数
平均年間給与額            対象法人数
有給職員のいない            1(0.9)
200万円未満               0(0)
200万円以上400万円未満         8(7.5)
400万円以上600万円未満        48(44.9)
600万円以上800万円未満        43(40.2)
800万円以上1,000万円未満       6(5.6)
1,000万円以上1,200万円未満      1(0.9)
1,200万円以上             0(0)
(注)1 合計は共管による重複を除いた実数である。
2 括弧内は対象法人全体に占める割合(%)を示す。
3 有給常勤職員の平均年間給与額は、調査時点における平成19年度支給見込額である。

【質問】 公益法人の評議員はどの位いますか?


【回答】
 「平成20年度版公益法人白書」の「第1章 公益法人の現況 第2節 個別事項の分析 1. 役職員の状況(p23) 」(http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/hakusyo/koueki/2008_honbun.html)によれば
 指導監督基準より
財団法人には、原則として、評議員を置き、また、理事又は監事の選任機関並びに当該法人の重要事項の諮問機関として評議員会を置くこと。
とある。そして
評議員(会)制度がある法人は11,387法人(46.2%)で、評議員の合計は26 万2,812 人であり、当該制度がある法人における1法人当たりの平均評議員数は23.1 人、中央値は14 人であった。このうち、財団法人についてみると、評議員(会)制度を設けているのは9,977 法人(財団法人の82.3%)であった。

国所管の財団法人と都道府県所管の財団法人とを比較して見ると、国所管の財団法人では3,026法人(98.7%)が評議員(会)制度を設けているのに対し、都道府県所管の財団法人では6,990 法人
(76.9%)にとどまっている。
財団法人の評議員規模別の法人数は、10~19 人が4,488 法人(制度を有している財団法人の45.0%)と最も多く、次いで0~9 人が2,426 法人(24.3%)、20~29 人が1,568 法人(15.7%)であった。

表1-2-16 評議員規模別法人数
         評議員制度 0   10   20   30   40   50人 評議員(人)
     法人数 有り法人数 ~9人 ~19人 ~29人 ~39人 ~49人 以上  合計 平均
国所管   
社団   3,654   603    80   53   60    42   41  327  49,542 82.2
財団   3,066  3,026   607  1,360  551   218   127  163  61,892 20.5
都道府県所管 
社団   8,963   807   279   155  100    62    58  153  24,377 30.2
財団   9,093  6,990  1,823  3,142  1,028  431   231  335  128,000 18.3

全体
社団   12,530  1,410  359   208   160   104   99  480  73,919 52.4
比率(%)       11.3  25.5  14.8   11.3  7.4   7.0  34.0 
財団   12,118  9,977  2,426  4,488  1,568  643  356  4962 188,893 18.9
比率(%)       82.3  24.3   45.0   15.7  6.4  3.6  5.0
合計   24,648  11,387  2,785  4,696  1,728  747  455  976 262,812 23.1
比率(%)       46.2   24.5  41.2   15.2  6.6  4.0  8.6
前年合計 24,893  11,474  2,766  4,681  1,768  774  470 1,015 269,203 23.5
比率(%)       46.1   24.1  40.8   15.4  6.7  4.1  8.8

【質問】 公益法人の国税に関する課税はどのようになっていますか?


【回答】
 「平成20年度版公益法人白書」の「第2章 公益法人制度の概要 第4節 公益法人に関する税制
1.公益法人に関する税制 (1)国税(P19)」(http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/hakusyo/koueki/pdf/2008_honbun_2.pdf)によれば
民法第34 条の規定に基づき設立された公益法人は、その他特別の法律により設立された学校法人、社会福祉法人等とともに、法人税法〔昭和40 年法律第34 号〕上「公益法人等」とされ、法人税法上の「収益事業」から生じた所得についてのみ課税される(法人税法第4条及び第7条)。

その収益事業に係る税率は22%の軽減税率(普通法人の基本税率は30%)が適用されている(同法第66 条)。

公益法人の寄附金の損金算入限度額は、収益事業から生ずる所得の20%とされており、また、収益事業部門から非収益事業部門への支出は、寄附金とみなすものとされている(法人税法第37 条)
表2-4-1 公益法人などの主な課税の取扱い(国税)
項 目      公益法人等       特定非営利活動法人       中間法人
                      (NPO 法人)              
課税対象    収益事業(34 業     収益事業(34 業種)     すべての所得に
       種)から生じた所     から生じた所得に対      対して課税
       得に対して課税      して課税

法人税率     22%           30%            30%      
                    (所得年800 万円まで     (所得年800 万円まで
                     は22%)            は22%)

(1) 寄附金枠    所得金額       所得金額の2.5%     所得金額の2.5%   
当該法人が寄付    の20%         (注2)         (注2)
をした場合の損 (学校法人、社会    (認定NPO法人んじつい
金算入限度額   福祉法人、更生保護   ては所得金額の20%)
           法人、社会医療法人
           人は所得の50%
           又は年200 万円
           のいずれか多い
           金額)

(2)みなし   (収益事業に属す    (認定NPO法人につ    -
   寄附金   る資産のうちか     いては、収益事業に属         
         ら非収益事業の     する資産のうちから
         ために支出した     非収益事業のために
         金額を寄附金の     支出した金額を寄附
        額とみなす。)     金の額とみなす。)

項目       協同組合等      人格のない
                       社団等

課税対象    すべての所得に    収益事業(34 業
         対して課税      から生じた所得に対
                     して課税

法人税率     22%           30%
                       (所得年800万円
                          までは22%)

(1) 寄附金枠   ( 資本金等の    所得金額の2.5%
当該法人が寄付   額の0.25%+      (注2)
をした場合の損   所得金額の
金算入限度額    2.5%)
          ×1/2(注2)

(2)みなし      ―            ―
  寄附金

(注1)政府税制調査会資料を基に総務省で作成した。
(注2)特定公益増進法人等に対して寄附をした場合は、「2.5%」を「5%」とする。

また、所得税は
公益法人が支払を受ける利子等については、一定の手続の下、非課税とされている(所得税法〔昭和40年法律第33号〕第11条)。

消費税は
消費税は、事業者が対価を得て行う資産の譲渡等に対して課され、その消費税相当額は最終的に消費者に転嫁されることが予定された間接税である。そのため、公益法人についても、一般の民間企業と同様に、その行う課税資産の譲渡等について納税義務を負うこととされている。

消費税の納付税額の計算は、課税の累積を排除するために、原則として、課税売上げに係る税額から課税売上げに要する課税仕入れ等に係る税額を控除する。

しかし、公益法人の場合、一般の民間企業とは異なり、その収入の中に会費、寄付金、補助金等のような対価性のない収入(特定収入)が多く含まれているため、特定収入により賄われる課税仕入れ等の税額について、仕入税額控除の対象から除外することとされている(消費税法〔昭和63 年法律第108 号〕第60 条)。

その他に
印紙税は、一定の文書を課税の対象とし、文書作成者が納税義務者となる。公益法人の作成する金銭等の受取書は、営業に関しないものとして非課税となるが、その他の文書については、文書の種類に応じて課税される。

登録免許税は、登記、登録等を受ける際に課税される税で、登記等を受けるものが納税義務者となる。
公益法人の設立の登記については、登録免許税の課税対象とされていない(登録免許税法〔昭和42 年法律第35 号〕別表一)。
なお、公益法人が不動産を取得し、登記を受ける場合等は課税されるが、次の不動産の取得の登記は非課税である(同法別表三)。
① 自己の設置運営する学校の校舎等又はその校舎等の敷地等の取得の登記
② 沖縄振興金融開発公庫の融資を受けて譲渡のために一時的に所有する建物又は土地の取得の登記

【質問】 公益法人の地方税に関する課税はどのようになっていますか?


【回答】
 「平成20年度版公益法人白書」の「第2章 公益法人制度の概要 第4節 公益法人に関する税制
1.公益法人に関する税制 (2)地方税(P21)」(http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/hakusyo/koueki/pdf/2008_honbun_2.pdf)によれば
表2-4-3 非営利法人等の主な課税の取扱い(地方税)

項目       公益法人等     公益法人等   特 定 非 営 利  人 格 の な い
        (地方税法25    (地方税法25条  活 動 法 人     社 団 等
         条Ⅰ②、296    Ⅰ②、296条Ⅰ  (NPO法人)
         条Ⅰ②に規定    ②に規定されて
         されている法    いる法人以外の
         人)        公益法人等)

法 均 
  等 標準税率  都 道 府 県:年 額 2 万 円 市 町 村 :年 額 5 万 円
人 割      <収益事業を
         を行わない場合>
住        非課税
  法 課税対象 <収益事業を行わない場合>  非 課 税
民 人      <収益事業を行う場合> 収益事業により生じた所得に係る法人税額
  税 標準税率     都 道 府 県 5%、市 町 村 12.3%
税 割

法   課税対象 収益事業により生じた所得に限り課税
人   標準税率 所得     年400万円以下         5%
事               年400万円超800万円以下   7.3%
業               年800万円超          9.6%

項目          中 間 法 人           協 同 組 合 等

法 均
  等 標準税率   都道府県:年額2万円      都道府県:年額2万円~80万円
人 割        市町村 :年額5万円      市町村 :年額5万円~300万円

住 法 課税対象     法人税額              法人税額
  人 標準税     都道府県5%             都道府県5%
民 税         市町村12.3%            市町村12.3%
税 割

法   標準税率   すべての所得に対して課税     すべての所得に対して課税
人   標準税率  所得 年400万円以下  5%    所得 年400万円以下 5%
事            年400万円超           年400万円超  6.6%
業              800万円以下 7.3%
税            年800万円超   9.6%

住民税は
法人の住民税(道府県民税及び市町村民税)には、均等割と法人税割とがある。このうち、均等割は法人の所得の有無や所得金額の多寡にかかわらず一定の税額を納付するものであり、法人税割は法人税額又は個別帰属法人税額を課税標準として税額を計算するものである(地方税法〔昭和25 年法律第226 号〕第23 条及び第292 条)。

公益法人に対しては、道府県民税及び市町村民税が原則として課税されるが、収益事業を行わない法人であれば、法人税は課税されないことから、均等割だけが課税されることになる。

また、同法第25 条第1項第2号及び第296 条第1項第2号に規定されている公益法人に対しては、その法人が収益事業を行う場合以外は、道府県民税及び市町村民税のいずれもが、法人税割、均等割ともに非課税とされている。

法人の道府県民税及び法人の市町村民税の税率は、表2-4-3 のとおりである(同法第51条、第52条、第312条及び第314条の4)。

公益法人が銀行等から支払いを受ける利子等については、道府県民税利子割(道府県民税のうち、支払を受けるべき利子等の額によって課すもの。)を特別徴収されることはなく、非課税とされている(同法第25 条の2第2項)。

事業税は
法人の事業税は、法人が行う事業に対し、付加価値割額、資本割額、所得割額及び収入割額によって、事務所又は事業所所在の道府県において、その法人に課する税である(地方税法第72 条の2)。

公益法人の事業の所得又は収入金額で収益事業に係るもの以外のものに対しては、事業税は非課税とされている(同法第72 条の5)。
また、以下に掲げる事業に対しては、事業税は非課税とされている(同法第72 条の4)。
① 林業
② 鉱物の掘採事業
なお、法人の事業税の税率は、表2-4-3 のとおりである(同法第72条の24の7)

地方消費税は
地方消費税は、消費税と同じく、事業者が対価を得て行う資産の譲渡等に対して課される間接税であり、公益法人の取扱いについても、消費税と同様である。

不動産取得税、固定資産税及び都市計画税は
不動産取得税は、不動産の取得に対して、その不動産所在の道府県においてその取得者に課し、固定資産税は、土地、家屋及び償却資産の所有者に対して、その資産所在の市町村が課する税である。

さらに、都市計画税は、市町村が都市計画法に規定する都市計画区域のうち原則として、市街化区域内に所在する土地及び家屋に対して課する税である。

公益法人に対する不動産取得税、固定資産税及び都市計画税の取扱いはほぼ同じであり、公益法人が設置する幼稚園、図書館、博物館、研究施設等で、直接その用に供する不動産等については、非課税とされている(地方税法第73 条の4、第348 条第2項及び第702 条の2第2項)。

特別土地保有税は
特別土地保有税は、土地又はその取得に対して、当該土地の所有者又は取得者に、当該土地の所在市町村が課する税である。

特別土地保有税は、固定資産税及び不動産取得税が非課税とされる土地については、非課税とされている(地方税法第586条第2項第28号及び第29号。なお、同法附則第31条において、平成15年度以降、当分の間、新たな課税は実施しないこととされている。)。

事業所税は
事業所税は、指定都市等における都市環境の整備及び改善に関する事業に要する費用に充てるための目的税である。

事業所税は、公益法人については、その収益事業以外の事業に対して非課税とされている(同法第701 条の34 第2項)。

【質問】 公益法人の寄附金に関する税制はどのようになっていますか?


【回答】
 「平成20年度版公益法人白書」の「第2章 公益法人制度の概要 第4節 公益法人に関する税制
2.公益法人に対する寄附に関する税制(P22)」(http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/hakusyo/koueki/pdf/2008_honbun_2.pdf)によれば
公益法人に対する寄附金のうち、次に掲げるものは寄附金控除等の優遇措置の対象とされている。

① 指定寄附金
広く一般に募集され、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実である寄附金として、財務大臣が指定したもの(所得税法第78 条第2項第2号及び法人税法第37 条第3項第2号)。

② 特定公益増進法人に対する寄附金
公益法人のうち、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するもので、運営組織及び経理が適正であると認められること等につき主務大臣の認定を受け、かつ、その認定を受けた日の翌日から原則2年を経過していないもの(再認定可能)に対する当該法人の主たる目的である業務に関連する寄附金(所得税法第78 条第2項第3号及び法人税法第37 条第4項)。

なお、平成20年4月1日現在における特定公益増進法人(公益法人に限る。)の数は862である。
また、具体的には「寄附税制(国税)の概要:財務省」(http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/217.htm)より
個人の場合、所得税から
 「寄附金(*)-5千円」を所得から控除 (*)総所得の40%相当額を限度
法人の場合、法人税であり、指定寄附金の場合
全額損金参入
特定公益増進法人の場合
 以下を限度として損金参入[参考1]
 (資本金等の額の0.25%+所得金額の5%)×0.5
[参考1]法人の支出する上記の寄附金のうち損金算入されなかった部分については、上記以外の寄附金とあわせて〔(資本金等の額の0.25%+所得金額の2.5%)×1/2〕を限度として損金算入。
また、特定公益増進法人は「平成20年4月1日現在における特定公益増進法人一覧 :財務省」(http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/koueki01.htm)に一覧がある。

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最終更新:2010年02月09日 13:20