ハレグゥエロパロスレSS保管庫@ Wiki 070317_3

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Jungle'sValentine.3(二:27-32)
<<3>>

 思い返してみると、全てはグゥの掌の上だったってコトが良く解る。ここまで入念に凝った世界を作っているんだ。
グプタとのやり取りもほとんど予測の範囲だったのだろう。たとえあの通りの流れにならなかったとしても、どうにかして
この展開に持って行ったに違いない。オレや周囲の人間をイジって楽しむためなら本当に労力を厭わないヤツなのだ、この悪魔は。
「女はみんな小悪魔なのよ」
 お前は正真正銘の悪魔そのものだろ。それもかなり上級のそれに違いない。もう魔貴族とかそんな偉そうな称号を持ってても
オレはちっとも驚かないぞ。

「せっかくグゥが男の欲望を具現化してやったと言うのに、そんな言われ方は心外ですな。ハレももっと素直に楽しんで良いんだZE?」
 …なぁ、もうあんまり無意味な事を考えるのは辞めようぜ、オレ。
 何も考える必要なんて無い。このイキイキとした楽しげな声が全てを物語ってるじゃないか。
 ちくしょう、ここから出たらどうしてくれようか。

「だから、オレはさっさとこの魔窟から脱出したいんだっつーの。もう全員攻略しただろ?」
「何を仰る、まだ一人残ってますよ?」
「そんなはずないって! えっと……」
 オレはイベント回想画面が映し出されているウィンドウに目を向ける。まず最初にクリアしたのはマリィだ。
 マリィの攻略は実に簡単だった。なんせ、最初からオレに好意を持ってくれていたからだ。年下の幼馴染で、家族ぐるみの
付き合いで一緒に育ってきたってのも同じ。…何故かオレの事を「お兄ちゃん」と呼ぶのだけは慣れるのに苦労したが……。
環境の違いのせいか、オレへの接し方も本当の兄妹のようで少し戸惑ったけど、でもそれ以外は現実とほとんど同じだったおかげで、
普通に仲良く日々を過ごしているだけで何の苦も無くクリア出来てしまった。
 …ただ、他のキャラを攻略している時のマリィだけは本当に洒落にならんかった。何度マリィの手によってゲームオーバーに
なった…と言うかされてしまったことか。

「ああ、あの時はハレの未来が垣間見えたよね~」
「いいよな、お前は傍観者でよ……。ってかいくらなんでも、現実のマリィはあんなことしねーっつの!」
「いやいや、グゥはハレがプレイ中の時はハレの状態は解らないんですよ」
 だから、ここにオレが戻って来たときの状態で判断したまで、とグゥは言う。
 どんな状態だったのか、気になるけどやっぱり怖いから聞きたくない。なんせ、目が覚めたらここに帰ってきていたのだ。
恋シミュにもゲームオーバーなんてもんが存在するのか?……GameOverと言うか、DeadEndと言うか。
現実でも浮気だけは絶対にしないようにしよう、と固く心に誓った瞬間だったな、アレは……。

「えっと、次は……」
「リタですよ、リタ」
 そうだ、マリィに比べてちょっと難しかったけど、リタも攻略しやすい方だったと思う。と言うか、他のキャラに比べて
マリィの次に「攻略しても良い」と思えるキャラだったと言うか……。
 リタはオレのクラスに転入して来る帰国子女って設定だった。同じクラスのお友達って意味では、これも現実とほとんど
同じだな。何故か妙なカタコトで喋っていたのが良く解らなかったけど。
 最初は、攻略対象の中では一番の難関キャラだろうと思っていた。現実でもヨハンの事もあったし、人当たりは良いけど
その気さくな態度の裏側に何が潜んでいるか解らない所がある。でも、こうして向き合って見ると実は誰よりも素直で解りやすい
性格の持ち主だって事が良く解った。
 それに仲良くなるにつれ、思った事をちゃんと真っ直ぐに伝えてくれるようになった。逆にあまりに率直に
サラリと意見を口に出すせいで、キツイ事もいろいろと聞かされてしまったが……。
 心を曝け出してくれるのは嬉しいけど、極端なんだよな。まぁ、基本的にはそんな事も苦にならないくらい
素で優しい子なワケで、リタと一緒にいて悪い気なんてほとんど起きやしなかったのだが。
 強いて言えば…リタの方が背が高いって言うのが、ちょっと痛かった。それにその顔も、改めて見るとやっぱり
ありえないくらい可愛い。オレなんかとあんな関係になるなんてちょっと考えられなくて、最後まで現実感が持てなかったな。
「そう自分を過小評価するもんじゃないぞ? ハレだってリタの自己顕示欲を満たすくらいの役には立つさ!」
「お前のその心遣いだけはどれだけ過小評価してもし足りんな」
 現実感なんて無くて当たり前だ。むしろそんなものを感じてしまったら本当の現実に帰った時が心配だ。

 そう言う意味では次に攻略した、もっと現実じゃあり得ない人物の存在は助かった。
ってか、そもそもどこにあの人の入る余地があるのかすら疑問に思うわ。
「いやいや、メイドキャラはもはや常識ですよ」
 たとえ本当にそんなのが世の常識だったとしてもオレの中の常識ってやつがそれと別物だってことを
むしろ誇りに思いたい。最初は攻略対象だなんて思っても見なかったっつーの。
「いや~、グゥもまさかベルがハレになびくとは思っても見なかったわ」
「お前は自分のやってる事にもうちょっと責任感を持つべきだとオレは思うぞ?」
 ベルはオレの家で住み込みで働いていて、基本的に学校では逢えないキャラだった。学校が終わってからや休日を狙って
接触を試みる必要があるのだが、最初はどう手を付ければ良いのか本当に困惑したもんだ。
 そもそもベルは母さんにベタ惚れしてる人物だ。そんなキャラを攻略対象にされたらこちらとしてもどうアクションを
起こしたらいいのかわからんだろう。
 だいたい、これまではグゥの腹の中のキャラクターは実際の団体・人物とは一切関係ありません、だったはずなのに、
この世界の人物は本物と性格も嗜好も、全てがまるっきり同じにしか見えないんだ。それどころか、本物の記憶すら
持ち合わせているような気がする時さえある。
「今回のウリはリアリティですから」
 …だ、そうだ。本物の記憶があるならこの無理のある場面設定にも何かそれらしいリアクションを見せてくれても
いいんじゃありませんかね。都合の良い部分だけリアルに作りやがって。
「いやーグゥもがんばりましたよ」
 だから、そのがんばりをもっと人類の明るい未来のために活用する気にはなれんのか、と問いたい。

 とにかく、ベルを攻略するのは本当に苦労した。
 元々ベルには悪く思われていなかったし、都会でも良くしてくれた人だ。あの暴力的な性格も、オレに発露したことは一度も無い。
 …だけどこのゲームじゃ、何故か親しくなるにつれにその暴力性が徐々に現れて来て、そのうちちょっと機嫌を損ねたら
即座にあの反則気味のリアル無限コンボが飛び出すまでになってしまった。その後の介抱もベルがしてくれたのだが、
正直気が気じゃなかったぞ。
 でも、最後には本物のベルが母さんにするみたいな態度をオレに取ってくるようになって、ちょっと怖かったけど
あんなのも悪くないかも、なんて思ってしまった。なんだかんだ言って、献身的なんだよな、ベルって。
 …ただ、オレの事を「ご主人様」とか呼ぶのだけは本当に勘弁して欲しかった。お風呂にまで入って来られたし……。
背中を流してもらっただけ、って言うか背中を鼻血で汚されただけだったけど……。

「年齢差を考えるとどう見ても犯罪だよねー」
「そう思うなら攻略キャラからはずしてもらえませんかね……」
 っつーか、それを言うならもう一人のあのオバハンのがダメだろ。ってかもう何て言うかここに存在する事が犯罪だろ。
「いや~、メガネキャラが他にいなかったもんで」
 そんな無意味なこだわりはこの際、底なし沼にでも放り捨てて頂きたい。
 とにかく、四人目は思い出したくない。次いこ、次。

「ほほう、こんなにいろいろな思い出を作っちゃって、よっぽどお気に召したようですね」
「召してたまるか。作ったんじゃなくて勝手に作らされたんだよ」
 イベント回想画面には何やらモジャモジャしたのとオレのツーショットがずらりと並んでいる。実に全体の7割を占める量だ。
……ホントに思い出したくは無いが、あれは地獄だった。あの拷問こそ、このゲームの(グゥにとっての)メインイベントに
違い無いとオレは確信している。
「攻略は楽だったっしょ」
「何より苦労したっつーの。正常な精神を保つのによ」
 保険医と同じかそれ以上のトラウマを植えつけられたぞ、オレは。あの特徴的な髪型を思い出すだけで寒気がするわ。
……ダメだ。この事を考えると今こそオレの脳が破滅を選んでしまいそうになる。次だ、次。
 最後は、さっき攻略したばっかのラーヤだな。

「…ラーヤ、か……」
 ラーヤはマリィと同じクラスの友達で、休み時間や放課後の特定の場所じゃないと逢えない遭遇率の低いキャラだった。
最初はその存在にすら気付かなかったくらいだ。もちろん向こうからオレに話し掛けてくるなんて事も無いから、こちらから
率先して関係を築いていかなきゃならない。ラーヤが最初からオレの事を知っているそぶりだったのが助かったと言えば
助かったけど、なんだかラーヤの居る場所を探して学校中を徘徊する自分の姿がたまにどうしようもなく情けなく感じて
落ち込んだときもあったな。
「これはこれは、ジャングルのカリスマナンパ師とまで呼ばれた男の台詞とは思えませんな」
「そんな不名誉な称号を持ったどっかの誰かと思ってくれなくてむしろありがたいわっ」
 でも放課後、教室の前で待ってくれるようになった時は正直、胸が高鳴ってしまった。それにその全然喋らない口や
何を考えているのか解らない表情にも慣れ、いつの間にかその感情が読み取れるようになっていた。何も喋らなくても、
ちょっとした目の動きや身体の機微だけでだいたいは察しが付いた。そうやって意思が通じたって解った時のラーヤの
少し照れたような笑顔は本当に嬉しそうで、オレもその笑顔を見るためにがんばれたんだよな。

「……惚れちゃった?」

「なっ!?ななななななな!ンなこたあ無いよぉぉぉお!?」
「全く、ゲームから出ても本物とキャラを混同しないで下さいよ?」
「す、するワケねーだろっ!あれはゲームのラーヤなんだからなっ」
 そうだ、あれはグゥが作った架空のラーヤなんだ。現実のラーヤがあんなに……って、ダメだダメだ!
ラーヤの事もあまり考えない方が良さそうだ。オレはマリィ一筋、マリィ一筋なんだ……。

「おやおや、これは重症ですね」
「だから違うって!ラ、ラーヤは攻略が難しかったからちょっと印象が強いだけで……」
 ラーヤは他のキャラに比べて際立った個性も無いし性格も穏やか極まり無いせいで、イベントも事件も何も起きなかった。
その上その表情や口数のせいでどの程度フラグが立ってるのかも全然解らなかった。
 それにラーヤが喋らないせいで、ここに来てはじめて自分から告白の言葉を言う羽目に遭ったのだ。思い出すだけで体中が
真っ赤に火照ってしまう。あの時のオレはどこかおかしかった。きっと極限状態のせいで精神がどこかマヒしていたのだろう。
そうじゃなきゃ、告白なんて事も、あんな大胆な恥ずかしい事も、オレなんかが出来るはずがないだろ。
 そうだ、ラーヤがそんな厄介なキャラだったせいで、ちょっと愛着が湧いてしまっているってだけの話に決まってる。
「そうだよ、ラーヤなんて、マリィに比べたら全然元気も無いしお喋りだって苦手だしさ~?」
「リタのように美人でも無ければベルのように従順でもないと」
「そうそう……って、だからリタもベルも関係ないっての!!」
「そしてあの熟女のようにセクシーでも無いと」
「それは否定する事…と言うか比較対象として話題に出す事自体が他の皆に失礼な気がするからノーコメントとさせてもらっていいかなあ?」
 いかん、またグゥのペースに乗せられてしまう。オレはマリィ一筋、マリィ一筋……ッ!

 オレはマリィ一筋……この世界に来てから、何度も心の中で唱えた呪文だ。このゲーム世界の住人はグゥの作った
キャラクターだってのは解ってる。だけど、テレビの中に居るワケじゃない。実際に目の前に居て、喋ったり、遊んだり、
その身体にも触れ合える、外見も性格も実物と同じ存在がそこに居るんだ。
 オレは心が乱れる度に、この呪文を唱える。そうして現実の自分を再確認しないと、心がこの世界に侵されてしまいそうになる。
「なんや大変そうやねえ……心中お察ししますよ」
「お前は察した上でオレにまだ試練を与えようって気満々ですよね?」
「おやおや試練だなんて。グゥはハレにマリィ以外の女も知ってもらおうと思ってこうして舞台を用意してあげたんですよ?」
「余計なお世話にも程があるわ!お前なぁ、まさかまたマリィとオレの仲を裂こうとか企んでんのかー?」

「グゥはただハレがマリィのことをまだ受け入れ切れてないように見えたもんでね」
「どこをどう見てそう思ったっつーんだよっ」
「少なくとも、明日のバレンタインを素直に喜んでいるとは思えませんでしたよ?」
「そ、それは……そうだけどさ……」
「ほれ見なさい、ハレはまだマリィの愛を受け止める事に迷いがあるのですよ……」
「そんな…そんな、大袈裟な事じゃないだろ?ちょっと恥ずかしいってだけだよっ」

「今は、どうですかな?」
「……今?」
「数々の女を相手取り、ハレも随分と鍛えられたのではないか?」
「…あ………」
 もしかしてグゥは、本当にオレのためにこの世界を作ってくれたのかな。グプタもそうだけど、オレも好きな子に
ちゃんと気持ちを伝えるのってすごく苦手だもんな。でもここに来て、確かに随分と鍛えられた気がする。
 そうだ、もうチョコレートを貰うくらい何てことは無い。きっと今ならオレも、ちゃんとマリィに真っ直ぐに想いを伝えられる。
グゥの言う媚薬だのなんだのの話は流石に容認し切れないけど、好き、くらいなら以前よりはずっと自然に言えるはずだ。
「グゥ……お前、ホントにオレのためを思って……?」
「ようやく解ってくれたか……」
 グゥの声が、穏やかに頭に響く。それは、何かの呪縛から解き放たれたかのように本当に優しげで……

「そうだ、ハレよ……女はマリィだけじゃないんだぜ?」

 ……次のその一言の威力を、最大限まで高めるに十分なものだった。
 ああ、オレは何度この魔貴族様に裏切られれば気が済むんだろうね……。
「小悪魔だってば」
「お前が小なら中くらいの悪魔の恐ろしさはどんなだ。少なくともオレの想像では追いつかんな……」
 ……考えて見たら、確かにいくらかは鍛えられたと思うがそれ以上にこの世界はオレの心を惑わせる要素が強い。
むしろ鍛えられる程に自分が汚れて行っている気になるぞ。何だかんだ言って、グゥが最初に言った通りここがやり直しの
効く世界だからあれだけオレも大胆になれたんだし、現実に影響が無いから後腐れ無く他の女の子に目が向けられたんだ。
…そりゃ、多少は罪悪感もあったけどさ。
 このさい言ってしまうが他の女の子にだってそれぞれ魅力があるとは思う。でも現実じゃオレの傍に居るのはマリィ一人なんだ。
こんなヴァーチャル世界で他の子に想いを馳せてしまったら、現実世界に戻った時が怖い。
 とにかく、ここはオレにとって毒が強すぎる。さっさと完全クリアして外に出なきゃそのうち本当にどうにかなりかねん。

「そうだ、まだ一人残ってるって言ってたけど、誰なんだよ?」
「まぁまぁ慌てなさんな。次のプレイで初お目見えですよ」
 他のキャラを全員クリアすると登場する隠しキャラみたいなものか?全く面倒なことを。
もう他には隠し要素は無いんだよな?あるなら頼むからせめて今のうちに言ってくれ。
「大丈夫大丈夫、本当にこれで最後だからね~。まあ完クリ後のオマケみたいなもんですよ」
「オマケねえ……。とにかく、そいつをクリアしたらここから出れるんだな?」
「………………」
「グゥ…?」
 オレの質問に、グゥは妙な間を開ける。オレを不安がらせる演出のつもりか。
しかしグゥから帰って来た答えは、予想外のものだった。

「いや、クリアしなくてもいい」
「は……?」
「言っただろ、オマケだと。そしてもう一つ、言った通りこれで本当に最後のプレイだ。ハレの好きに過ごせばいい」
「好きに、って……何だよ、それ。本当に好きにして良いなら、何もしないぞ、オレ」
「ハレがそうしたいなら、それでも良い」
 一体何を考えているのか、その真意は読み取れないが、その声はいつも自己中心的な彼女のものとは思えない程に軽く、
まるで予想していたかのようにあっさりとオレの言葉を受け入れる。それはその言葉にむしろ安心したかのような反応だった。

「とにかく、次のプレイが終わればこの世界ともお別れと言う事だ。悔いの無いように過ごすが良い」
「悔いも何も、元々この世界になんぞ未練なんてありませんがね」
 ……まぁ、心配するだけ損か。この気まぐれな少女のことだ、どうせグゥ自身そろそろこの世界に飽きてきて、
最後に何か盛大にやらかしてお開きにしよう、なんて腹積もりなんだろうよ。
 とにかく、グゥの言葉をどこまで信じて良いのかは解らないが、今は信用するしかない。
 オレは本当にこれが最後のプレイになることを祈りながら、ふよふよと空中に浮かぶ『Start』と書かれたボタンに手を添える。
 瞬間、周囲に浮かんでいたウィンドウは全て消え去り、この空間も、オレの身体も、真っ白にフェードアウトして行く。

「最後の一人は超難関だ。落とすなら、覚悟をしておけ……」
 身体と共にその意識も消失する寸前、グゥの声がやけに重々しく頭に響いた。

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