ハレグゥエロパロスレSS保管庫@ Wiki

070204

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hgpink

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枕小ネタ(一:>219-221)
「おい、グゥ……グゥ? どこだ?」
「ここ、ここ。どこに目をつけておるのだね君は」
「……また枕になってんのかお前は」

半身を起こして枕から頭を離し枕を見やると、枕カバーからにゅっと頭を出したグゥと
バッチリ目が合った。
ここ数日、グゥはずっと枕になっている。理由? 俺が知るかよ。
こいつの行動原理なんか知らんし、知ったところでオレの理解を超えているだろうし。
ギリギリ理解できるところで言うと、こいつは常に快楽原則に生きてる事と、オレの
困った姿をウォッチングする事を楽しみにしている事くらいか。

「居候の身やし、分を弁えなくてはな」
「別にそんな、自分を卑下する事ないだろ……」
「保険医の所為でベッドが狭いとぼやいていたのはハレではないか」
「今日は母さんも保険医もいないんだし、こっちで寝たらいいだろ」
「まあまあ、グゥの事はお気になさらず」

気にならないわけがないだろうが。
ついさっきまでサッカーをして遊んでいた空き地が実は地雷原だと知ったら、怖くて
そこから一歩も動けなくなってしまうだろう。
人間の恐怖というのはそうした認識から始まるもので、要するにオレが頭を預けていた
枕が実はグゥだったと認識してしまった以上、とても心穏やかではいられない。

「居候だって何だって、お前は別に遠慮なんてしないだろ。特にオレに対しては」
「そうでしたかな? グゥはいつも家主に対する礼儀は忘れてはいませんよ」
「礼節を弁えたふりをしてもダメだ。ほら、こっち来いってば」

オレがいくら促しても、グゥは枕カバーに包まったまま動こうとしない。
グゥに何か企みがある事は明白だ。このまま枕にさせておくのは危険すぎる。
いや、もしかしたらこうやってオレに警戒させておいて実は何もせず、神経すり減らして
グゥを警戒しているのが杞憂に終わった空振り感で虚脱させるのを狙っているとか。
いや待て待て、グゥならオレの裏の裏の裏をかいてくるに違いない。絶対そうだ。
裏の裏の裏の裏は要するに表だ。多分今夜は正攻法で攻めてくる。
なら、オレはオレでそういう方法を取らせてもらおうじゃないか。

「おいグゥ……今、お前は枕なんだよな」
「ああ、実に居候に相応しい姿ではないかね」
「枕だったら、こういう事されても文句は言わないよなっ」

オレはグゥを引き寄せると、全身を使って抱きしめた。そう、抱き枕だ。
今グゥは枕になっていて、文字通り手も足も出ない。オレが寝た後に何かを仕掛ける
つもりなら、身体を包んでいる枕カバーを取り去ろうとするはず。
ならば先手を打って枕カバーを外せないようにし、枕のまま何も出来なくしてやればいい。
枕のグゥを力一杯抱きしめながら、オレは今回はグゥに勝てるという予感を感じた。
一晩中これなら、さしものグゥも何も出来まい。

「枕は頭の下に敷くものではないのか?」
「抱き枕っていうんだよ、こういうの」
「そうか」

グゥは何やら納得したように頭を振ると、暫くオレに抱かれたままでいた
……かと思ったら。

「ふん」
「おぐぅっ!?」

突然のヘッドパッド。鼻面にグゥの額が直撃し、鼻血が吹き出る。
オレは思わずグゥを抱きしめる手を緩め、グゥはころころ転がってオレの手から逃れた。

「な……何しやがる……」
「グゥだけが一方的に抱かれているのは不公平だとは思わんかね」
「はぁ……?」

グゥは枕カバーを取り払うと、身体をくの字に曲げて呻くオレに抱きついた。
突然の行動に戸惑うオレに、グゥは囁きかけた。

「グゥを抱き枕にするのなら、ハレもグゥの抱き枕になれ。これでこそ五分と五分」
「家主への礼儀はどこ行った」
「グゥがハレを敬っているなどと本当に思っていたのか……ハッ」

よりにもよって居候が嘲笑しやがったよ。

「どうした。グゥを抱きしめないのか」
「い、言われなくてもそうするよ」

改めてグゥの体を抱きしめる。
さっきはグゥに勝とうと躍起になっていたし、枕カバー越しだったから気づかなかったけど、
グゥの身体はちゃんと骨が入っているのか疑わしいくらい柔らかくて、ふわふわしてる。
綺麗な白い髪も、何だかいい匂いがする。何ていうか、凄く安心する匂いだ。
こういうのが女の子なんだろうか。まさかグゥに『女の子』を感じる日が来るとは……。

「抱き枕というのはキモチイイな」

耳元で囁くグゥの声。訳もなくドキッとしてしまうような、そんな声。
いつもの抑揚のない声が、酷く艶めいて聞こえた。

「へ、変なイントネーションで言うなよ」
「あらあら、照れてますよこの坊ちゃん」
「うるさい」

完全に見透かされてる。全く、グゥには何でもお見通しか……。
でもここで負けを認めるのも癪だから、オレは何も言わずにグゥを抱きしめる力を強めた。
すると、グゥもそれに応えるかのように、強く抱き返してきた。
オレの胸に顔を埋めて、ギュッと。

「……ハレの抱き枕はキモチイイ」

そんな事を呟いてるグゥの顔は、オレからは見えなかった。
油断してるとついうっかり

(お前も、凄くキモチイイよ)

とか何とか口走りそうなオレをなだめすかして、オレは眠りにつこうと努めるのだった。



まあ結局、一睡も出来なかったけど

……また、たまになら。

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