ハレグゥエロパロスレSS保管庫@ Wiki

070124

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hgpink

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ハレ×ワジに萌えられるかどうか試してみるテスト(一:>161-164)
あくる日の朝。
いつもの和やかなジャングルの学校の朝は、一人の少年の登場で崩壊した。
誰あろう、それはハレだった。

「おはよう……」

か細い声で形ばかりの挨拶をするハレを一目見たクラスメート達は、一様に言葉を失う。
ハレの姿を見て皆の和やかムードが凍りついた理由は、大きく二つだ。
一つは、常夏のジャングルにはそぐわない片袖のない真っ黒いコートを羽織り、踵に
拍車のついたブーツを履くという気の違った格好をしていたこと。
そしてもう一つは、普段他人に気を遣って無理にでも明るく振舞ってみせるハレが、
今日に限っては、目を合わせることすら憚られるような陰鬱でやさぐれたオーラを周囲に
振りまきまくっていたことだ。
席に座って、死んだ魚のような目でボーっと黒板を見つめるハレを、皆遠巻きに見る。
教室の隅に集合(というより避難)したクラスメート一同は、グゥに事の次第を質した。

「ねえグゥ、ハレどうしちゃったの?  元気がないというか生気がないというか……」
「普段ハレがツッコミやから、ハレがボケても誰もツッコまれへんねん……」
「ん~?  まあ、心当たりがないでもないが」
「なあ、教えてくれよ。ハレに何があったんだ?」
「アハハハ、ハレ変なカッコ~」
「お前は黙ってろワジ!」
「グゥが推測するに、ハレは辛い現実に疲れて全てを放棄し、やさぐれキャラに転向したの
  ではないかと考えられるな」

ハレにとっての辛い現実……というと、第三者の視点からも色々と心当たりがあるから困る。

「母親は家事をせず酒に溺れ、父親はあの通りの無節操な女好き。その他諸々の事情もあり、
  ハレはすっかりツッコみ疲れてああなってしまったのではないか」
「マジか!?  俺らじゃハレの代わりは無理だぞ!?」
「ていうか、この村にハレの代わりが務まる人間なんていてへんやろ」
「ハレ……あんな反社会的な感じになっちゃって……」
「と、とにかくさっ!  何とかハレを元気づけてあげようよ!」

半径数m以内に近づいただけで不幸が感染りそうな雰囲気のハレに近づく事の出来る者は
皆無だったが、それでも彼らに友人を想う情の持ち合わせはあったのである。

「ね、ねえ……ハレ?」
「ん……?」
「き、今日はどうしたの?  イメチェンとか……?」
「……ラヴェンナはいいよなぁ……」
「え?」
「ラヴェンナの家には、大酒飲みで大喰らいで下着姿でも平気で外出する恥じらいのない母親も、
  無計画で無責任で無節操で子供に冷たい保険医も、オレが困ってる姿を見るのが大好きな居候も
  いないんだろ……」
「えっ、い、いや……に、賑やかそうでいいじゃない?  アハハ……」
「ああ、賑やかだよ……保険医はオレの寝てる横でよろしくやろうとするしさぁ……あの家に
  オレの居場所なんて……」
(き……きっつ~……)

○  ハレ
(1分43秒  家庭不信)
×  ラヴェンナ


「よ、ようっ、ハレ!  いやぁ~、聞いてくれよ!  昨日オレの部屋にゴキが出やがってさ~、
  朝方まで大掃除だったぜ!  あれはホントに焦ったよな~」
「ゴキブリ……か……どうせオレなんか、ゴキブリみたいに真っ黒な人間だよ……」
「あー、そうそう!  部屋を掃除してたらよ、失くしたと思ったゲームが出てきてさー、今度一緒に
  やらねえか!?  あれ対戦が出来るやつだからよー……」
「ゲームか……いいよなぁ、ゲームしてるとさぁ……」
「そ、そうだよな!?  楽しいよな!?」
「ゲームやってるとさ、辛い現実を一時でも忘れられるしね……」
(も……もう限界だ……)

○  ハレ
(2分11秒  現実逃避)
×  グプタ


マリィ、トポステ、ウイグル……他の誰と話しても、ハレは徹頭徹尾この調子であった。
「お前はいいよなぁ」「どうせオレなんか」と自分を卑下して他人を嫉む、普段のハレと一線を画す
卑屈なキャラクターに呑まれ、普通の会話がまるで出来ないのである。

そんな中、ハレとのコミュニケーションを試みていないのは、ついにワジだけになった。

「アハハハ、次はボク?」
「残っとるんはワジかいな……」
「正直、大きな不安が残るが……」
「ま、まあ、やらないよりはやった方がいいわよ」
「それに、案外ワジの笑顔であっさり元気になったりして」
「やってみる価値はあるだろう」

ワジの大きく癇に障る笑い声がハレの神経を逆撫でする可能性は大だったが、それでもワジに託す
他はなかったのである。
もしかしたら、意外と会話が成立するのかも……という希望的観測も、彼らの胸中にあった。
ハレのようなタイプは本気でキレたら怖いし、もしかしたらワジに襲いかかるかも……という絶望的
予測もまた、彼らの胸中にはあったのだが。

「ハレ、おはよっ」
「……おはよう……」
「アハハハ、今日は凄いファッションだねっ」
「別に……」
「やさぐれてる割にはお金かかってそうだしねっ!  アハハハハハハハ!」

ワジが爆笑している間も、ハレは俯いたまま。えもいわれぬ緊張感が教室に走る。
そして、そんな空気を読めないのがワジである。

「ねーねー、ハレぇ。そんな暗い顔してないで笑おうよ」
「なら笑えよ……こんなオレを笑えよ……」
「笑ったら楽しいよっ?  アハハハハハハハ!」

しかも微妙に会話になっていない辺り、クラスメート達の不安は募るばかりであった。

「笑うとそんなに楽しいか……?」
「うんっ。笑ってるとね、毎日色んな事ぜーんぶが楽しくなるんだよ?」
「オレはワジみたいに笑えねえよ……泣きたいくらいだよ……」
「泣くより笑った方が楽しいよ?  だから、辛い時も悲しい時も、笑った方が得なんだよねっ」
「笑うより諦めた方が楽だと、オレは思うけどな……」

ハレとワジの振りまくオーラの温度差は凄まじいものだが、何とかコミュニケーションは出来ている。
事の運びを固唾を呑んで見守るクラスメート達を後目に、ワジはマイペースに言う。

「でもさ、辛い事を辛いって認めちゃったら、余計に辛くなるんだよ?」

……ワジの明るい雰囲気に、僅かな翳りが生じたのを、ハレは見逃さなかった。
ここにきて初めて、俯いていた顔をワジの方に向ける。

「いっぱい泣くより、いっぱい笑った方が、辛くないと思うしねっ」
「ワジ……?」
「あ、ううんっ。こっちの話だよ」

ワジはそう言うが、いつも他人の気持ちを察しその場の空気を読んで行動していたハレには、何となく
察しがついてしまった。
ワジの底抜けに明るい笑顔は、多分、仮面なのだと。
以前グゥが父親との関係をリサーチした中にあった「父さんは僕を殴るので好きじゃないです」という
のは、もしかしたらワジかも知れないと、ふと思った。

「……ワジ」
「アハハハ、なに?」
「オレ……多分、今はお前みたいに笑えないと思う」
「……そっか」

こんな事を感づいてしまう自分が、今は途轍もなく嫌だった。少なくとも笑う気分にはなれない。

「今日笑えなくても、明日からいっぱい笑ったらいいよっ。泣いたり怒ったり、そういうのも大事だしねっ」
「……うん」

ハレはワジの胸に頭を預けた。ハレの気持ちを察したのか、ワジはハレの背中を抱いてやる。
似ていたのかも知れない。他人に気を遣って己の情動を捻じ伏せて笑ってみせるハレと、自分の中の
悲しい気持ちに囚われてしまわないよう、無理にでも笑ってみせるワジは。
ワジの家庭の事情は知らない。辛い事や、悲しい事があったのかもわからない。
少なくとも分かる事は、ワジはどんな事にも負けないで笑っていたという事だ。
そんなワジが、どれほど強かっただろう。諦めてやさぐれた自分が、どれほど弱かっただろう。
ハレは暫くの間、ワジの身体に身を預けて、泣いた。



次の日から、ハレは元通りのキャラクターを取り戻していた。
結局あのコートやブーツの意味は何だったのかとか、家でもあの格好だったのかとか、終わったからこそ
笑い話に出来るネタも多かったが、皆敢えてこの話題には触れなかった。
ただ、ハレが学校で笑顔を見せる回数が心なしか多くなった気がしたのは、クラスメート全員に共通の
認識だったという。

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