ハレグゥエロパロスレSS保管庫@ Wiki

070901_10

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
小麦色の白雪姫_10(三:004-013)
<<13>>

「こ、ここでいいのかな……?」
「ん……多分」
 ピタリと、グゥの膣孔にオレの分身が押し当てられる。
 ベッドに背を倒し、膝を立て大きく開くグゥの股の間に下半身を割り込ませ、それっぽい位置を
検討しながら分身をスリットに擦り付けているだけで既にオレの心臓も一物も爆発寸前だった。
 必死で性教育の授業内容を思い出す。女の子のココには男の子のアレを受け入れるための小さな穴が
開いている。それは一応、発見できた。ついでに、女の子のココにはもう一つ穴が開いてる事も今、
はじめて気が付いた。
 ……しかし、そのもう一つの穴ほどでは無いとは言え、小さすぎるんじゃないか、いくらなんでも。
こんな所に本当に入れて大丈夫なのだろうか。無理にこじ開けて、裂けでもしたら大惨事だ。

「そう言えば、女の人の最初って、すごく痛いって聞いたんだけど……」
「うむ、あれはかなり痛かったぞ」
「……え? うぇえええ!?」
「冗談だ」
 けろりとした表情で、こんな時にまで冗談をかますその芸人根性は認めるが……マジでそーゆーの
勘弁してくださいませんかね。自分でもビックリするくらいでかい声出たわ。
「なんだ、ホントだったらそんなにショックか?」
「怒るぞー」
「……すまん。まぁ、女ならば誰しも通る道なのだからな。最悪でも死にはすまい」
「そりゃそうかもしんないけどさ……本気で無理そうだったらちゃんと言えよ?」
「……任せろ」
「なんでそこで無駄に男前……」
 キラリと白い歯を見せグッとサムズアップする様は現在のシチュエーションと如何にも噛み合わない。
うっかり萎えてしまいそうになるくらいいつも通りなその態度からはしかし、グゥなりの気遣いのような
ものを感じる。グゥもきっと緊張してるはずなのに、オレに比べれば平素そのものだ。ちょっと、悔しい。

「それじゃ、いくぞ……」
「ん……いや、ちょっと待て」
「な、何?」
「その……もう一度、ハレの気持ちを聞きたい。二文字でな」
「……ったくもう。……好きだよ、グゥ」
「うん……うん。来て、ハレ」
 グゥは胸の前で手を握り、オレに身を預ける。
 小さく深呼吸し、腹に力を入れるとオレはグゥの小さな孔に向かって、グッと分身を突き込んだ。
「……あれ?」
 ……が、どれだけ押しても前に進まない。と言うより、どうやって入れるんだ、コレ。
 体勢が悪いのか、分身を押し当てる、膣に挿入する、のツーステップの間に大きな隔たりがある。
押し当ててから、少し身体を前に傾けて腰を入れて……ああ、ややこしい。なんだこれは。
授業ではここまでは習っていないぞ。
 ってか、一人じゃ無理だ。ぼけっと寝そべってる目の前の少女にも協力してもらわねば。
「あの、グゥ、ちょっと起きて」
「……台無し」
「すんませんねっ」
 肘を立て、少し上体を起こし腰に体重をかけてもらう。どうも突き入れる際にグゥの腰が
逃げるのが問題のようだ。ベッドに敷かれた高級そうなシーツの異常な滑らかさも手伝って、
グゥが寝そべったままではどうにも具合が悪い。まったく、蝋燭もそうだが高級品も良し悪しだ。

 気を取り直して、再度グゥの秘所に一物をあてがう。先ほどよりもずっと安心感のある手応え。
「今度は大丈夫そう」
「致す前から一苦労だな。……それじゃ、もう一回」
「……好きだよ、グゥ。大好き」
「うん、うん。また失敗しても良い気がして来た」
「今度はちゃんと決めるっての。……んじゃ、いくよ」
「……うん」
 グッと強く突き込むと、先端が僅かにその入り口にめり込んだ。瞬間、グゥの身体がぎゅっと
強張る。……やはり、キツイ。全て収まるのか不安だが、ここで止めるワケにもいかない。
 腰に力を込め、オレは一息にずぐり、と膣内に一物を突き入れた。
「───ひッ、ぎ……ッ!!」
 目を見開き、グゥが張り裂けそうな声を上げた。歯を食い縛り、シーツを握り締める手が
ぶるぶると震えている。
 事前の濃厚な愛撫によりそこはトロトロに蕩け、確かにオレのものを受け入れる準備は
万端に整っているように思えたが、それでもなおそこは固く、狭い。ピッタリと閉じた壁を
無理やりこじ開けて侵入しているようだ。一物を、温かでぬめった肉にみっちりと咥え込まれ、
全体を隙間無くきゅうきゅうと圧迫されている。そのはじめての感覚に、オレは快楽を感じる
余裕すら無かった。

「グゥ……大丈夫……?」
「……はは、ハレでお腹、いっぱいって感じ……」
 目に雫を浮かべ、それでもニヤリと口端を歪める。どう考えても平気そうには見えないが、
その精一杯のやせ我慢にオレも応えないといけない。
「ハレはどうだ……はじめての女の味は」
「言い方をどうにかしろ。……キツキツでいっぱいいっぱいだけど、温かくてなんか安心できるって感じ」
「ふ、ふむ……。動かないのか?」
「もうちょっと、このままでいよ」
 柔らかな頬に唇を寄せ、涙を舐め取る。そのままちゅ、ちゅと首筋や肩にもキスを降らせる。
グゥと共にゆっくりとベッドにその身を倒し、身体を密着させ、唇を重ねる。下唇を軽く咥え、
つぅ、と舌を這わせて淡く吸い付く。過度に口内には侵入せず、その薄く色づいた表面を合わせ、
たまに舌を軽く寄せ優しく愛撫する。互いの口内粘膜を舐り合わせるような濃厚なキスでは無く、
唇同士を啄ばむような可愛いキス。
 腋の下から後頭部に手を回し、抱き締める。グゥもオレの首を強く抱き、互いに出来る限りの
場所を密着させる。腰は動かさずに、しばし夢中で唇を交わし合った。


「……ちょっと、楽になった」
「よかった。でも、今日はさ。動くの、やめとこうね」
「む……いいのか? せっかくジューシィな獲物にありつけたと言うのに」
「何の比喩だ、それは。……オレより、グゥだよ」
「むぅ……。ケダモノのくせに」
「ケダモノになるのはもうちょっと後にとっとく。今は、こうして繋がってるだけで嬉しいよ」
「あっ、グゥの台詞だぞ、それは。先に言うな」
「グゥも、嬉しい?」
「……聞くな、いちいち」
 唐突にぐいとオレを抱き寄せると、グゥはその顔を首筋に埋める。
そこから伝わるグゥの体温は、やけに熱かった。

 そうしてしばらくの間、繋がったまま抱き合い、互いの頬や首筋、もちろん唇にも
キスを重ねながら静かに時を過ごした。
 繋がりを解くタイミングは意外にも解りやすかった。互いが満足するより先に、オレに
限界が来てしまったからだ。いくら動かなくても、そこは粘液に塗れた肉壁に包まれ常に
刺激を受けている。唇や指先の愛撫による感覚的、視覚的な刺激も加わり、身体の熱が急速に
分身に流れ込んで行くのが解りオレは渋々とグゥから離れざるを得なくなった。

 グゥの蕾を責めている時からずっと張り詰めていたオレの分身はグゥの膣で更にキンキンに
膨れ上がり、そこから少し引き抜くだけでぷっくりと広がった肉笠がその内壁に引っ掛かり
カリカリと擦り上げられ、その度に猛烈に襲い来る射精感に耐えなければならず、しばらく
動けなくなる。
 長い忍耐の果てにようやく外に出た瞬間、キツキツのグゥの入り口に強烈に摩擦されたのが
止めとなり、グゥの身体をまた盛大に汚してしまった。
 グゥは「堪え性の無いヤツだ」などとまた遠回しに男のプライドを傷つける発言を繰り返して
いたが、オレがまたその身体を綺麗に拭いている間も、グゥの要請で服を着せてやっている間も、
終始ニコニコと上機嫌な様子だった。
 グゥの身体を拭いている時、はじめての時は血が出るらしい、というのを思い出したのだが、
グゥのその部分にも、シーツにも血の跡は無かった。ただ自分のものにうすべったりと朱色の
液体が付着している事に気が付いた時は軽く眩暈を覚えてしまったが。よく解らないがとにかく、
そんなに大量に出るものでは無かったようだ。

「───そう言えば、蝋燭の火は消えてしまったが良かったのか?」
 手を繋ぎ、おやすみなさいの前の他愛も無い会話を楽しんでいると、ふとグゥがそんな事を呟いた。
 すっかり忘れていた。蝋燭の火が消えた瞬間、何かが起こる。そう、アシオに言い含められていたのだ。
目の前の少女の事で手一杯で、すっかり記憶の片隅に追いやってしまっていた。
「結局、何も起きなかったね」
「あったと言えばあったけどな」
「さすがに100話目に加えちゃダメだろう、これは」
「グゥは言いふらしたい気分だが」
「やめてください」
 言いながら、グゥは口に手を当てくふふと不気味に笑う。冗談に聞こえないのが怖すぎる。
「……だいたい、勝手に消えたんじゃなくてグゥが消したんじゃないか」
「ハレが消させたんだろう。アレを持ってきたのはハレだぞ」
「ううん……じゃあ二人で消したって事で」
「……うん」
 オレの言葉に素直にコクンと頷く。ほんのり色づいた頬を少し綻ばせ、その表情は何故か
妙に嬉しそうに見えた。

「二人で共同で消した蝋燭か。記念にもらっておくか」
「いやいや、なんかフレーズ自体は良い感じだけど詳細はちょっと人に話せないエピソードだよコレ?」
「……ダメか?」
「え……」
「ハレが嫌なら、グゥもいい……」
「いやいやいやいや超オッケー!! じゃんじゃん持って帰ろッ!」
 グゥのこの手のリアクションはオレの急所だ。普段の勝気な態度とのギャップのせいか、突然
ふ、と寂しげに俯かれると反射的に全てを肯定してしまう。
 今日一日の事で、その威力もオレの中で大幅に上昇してしまっていた。このままでは、あらゆる面で
グゥに逆らえなくなってしまうのではないか。そんなリアルな未来予想図が脳内に鮮明に展開し頭が痛くなる。
どうせ次の瞬間には、いつもの仏頂面に戻り皮肉げに笑うのだろうよ。

「……うん。大事にする」
「へ……?」
 ……しかし、グゥは本当に嬉しそうにオレの手をきゅ、と握り、目を細めて微笑んだ。
あまりに意外すぎるその行動にしばし呆然となる。
「……なんだ、変な顔して」
「え、あ、いや……えらい素直だな、と思ってさ」
「む……グゥが素直だと変か?」
「自分の胸に聞いてみれ」
 素直だとか正直だとか、普段のコイツの立ち振る舞いを思えばこれほど似合わん言葉もあるまい。
自分自身の欲求に対しては、実に素直ではあるのだが。それでもこの少女は、その言葉に、行動に
常に何か裏を持たせねば気がすまないのだ。……そう、気がすまないはずなのだが。

「むぅ……だから、海で言ったろ。それは反省したんだ、グゥも」
 グゥは少しばつが悪そうに顔を背け、そう呟く。
 海での事。グゥとの関係が一気に進展した切欠の、キス。あの時も、オレはグゥの行動の
裏を読もうとして、グゥを傷つけてしまったのだ。
「グゥも、もう少し自分の気持ちを素直に出せるようになろうと思う。今日みたいに状況に後押し
されなくても、せめてハレの前だけでも……」
「グゥ……」
 両手を胸元に添え、オレを真っ直ぐに見据え静かに言葉を綴る。
 グゥも、変わろうとしてくれているんだ。オレも、グゥの言葉を素直に受け止めてあげなきゃ。
「ありがと、グゥ。でも、無理はしなくていいからね」
「うん。さしあたって、ハレの喜ぶ事が素直に出来るように訓練したいのだが」
「お、大袈裟だな……。例えばどんな事だよ?」
 オレの言葉にグゥは「ふむ」と唸る。そしてしばし中空に目を泳がせると
おもむろにこちらに向き直り、

「ハレっ、だっ、大好き!」
 そう、満面の笑顔で声を張り上げた。
 ……そして次の瞬間には思い切り顔を背け、そのままゴロゴロとオレから離れるように転がり
バタンとうつ伏せに突っ伏した。
「……グゥ?」
「…………ダメ。……まだ、しらふじゃ無理……」
 枕に顔を埋めたまま、呻くようにか細い声を上げて足をバタバタとのた打ち回らせる。
表情はもちろん、こんがり焼いた肌からはその顔色も解り辛かったが、グゥがなんだか
一生懸命自分の中の何かと激戦を繰り広げているって事だけはよく解った。
 オレはその戦いに加わってやれないが、せめて邪魔だけはしないでおこう。腹の底から
込み上げてくる笑いを必死の思いで堪え、グゥの復活を待つ。


「……もう少し、難易度を落とそう」
 細く長く深呼吸を繰り返し、グゥの身体から力が抜けていく。なんとか落ち着いたようだ。
枕から顔を上げ、グゥは少し離れた所に座るオレを舐めるように見る。
「……よし、今度ハレの目の保養になりそうな服でも買いに行くか」
「ええぇぇぇいやいやいやいや! 何がどないしてそんな結論に至ったんですかね!?」
「なんだ、嬉しくないのか」
 またコロンと転がり、戻ってくる。そのまま体当たりするようにオレの身体にぶつかり、
胸元に顔を埋めた。
「う゛……そ、それは置いといて。……グゥ的にはそれでいいの?」
「ふふ。言ったろ、女は注目を浴びたい生き物なのだよ」
 あごを持ち上げ、上目遣いでオレを見る。

「……ただし、グゥの場合はどこぞのエロガッパ限定で、だがな」
 そう言って、グゥはオレにそっと唇を重ねた。
 オレの喜ぶ事の第一弾がそれかよ、とか、それって結局自分の為なんじゃないか、とか、
あらゆる突っ込みが脳裏を巡っては消え、最終的に口に出すべき言葉は何も残らなかった。

 この少女は、素の状態でもオレの中でナンバーワンの注目度を誇っている事に気付いていないのか。
これから益々、オレはこの少女から目が離せなくなってしまうのだろうか。
 だらしない格好をした母さんを見た時の、アシオやロバートの姿を思い出す。オレも、彼らと
同じような気分を今後、味わう事になるのだろうか……。
 ちょっぴりの不安感と、多分、それよりもずっと大きな期待感がぐるぐると綯い交ぜになり、
いよいよその少女の存在がオレの心にくっきりと深く刻み込まれる。

 今日という日を境に、オレとグゥとの共同生活はガラリとその様相を一変させた。
 良きにつけ悪しきにつけ、これまでと同じような接し方は出来なくなった。
 それはオレにとって、理想的な関係へ変化したと言えるのかどうかはまだ解らない。
 ……でも、きっと大丈夫だろう。

 少女の名を呼ぶ。すぐに、少女からもオレの名を返してくれる。
 その声、視線、体温。グゥの全てを全身で感じる事が出来る。
 グゥが傍に居る。昨日よりも、ずっと傍に。明日はきっと、もっと近づける。
 これからもずっと、グゥと一緒にいられる。

 何も難しい事なんて考える必要は無いんだ。
 オレはそれだけで十分、幸せなのだから。


<<ep>>

「ちょっとウェダ、またそんな格好でっ」
「なぁによ、母様。家の中なんだからいーじゃないの」
「まったく……あの大人しかった子が、変われば変わるものね」
「母様こそ昨日のアレ、昔の母様からは想像も出来なかったわよ」
「たまの海水浴なんだから、あれくらい普通でしょう?」
「あれが普通? 私でも着れないわよ、あんなの」
「ふっ……でしょうね」
「な、なによそのヤな笑い方……」
「いいえ、何でも? ただ……そんなにお酒ばかり飲んでダラダラしていたら、ウェダが
私くらいの歳になった時にどうなっているか……。ちょっとだけ、心配よね」
「……だーいじょうぶです。ジャングルじゃ、これでも狩りの名人なのよ? お上品な
フィットネスとは運動量が違うんだから」
「ええ、それならハレちゃんに聞いているわ。たしか、最近育児が忙しいって言って1年以上
狩りに出てない……って」
「そっ、それは~……す、すぐに再開するわよっ!!」
「腕が鈍っていないといいけれど。一度、大怪我したんでしょう? あまり無茶しちゃダメよ」
「な、なによ急にぃ。大丈夫よ、ホントに私、強いんだから」
「……本当に、変わったわね。信じられないくらい」
「もう、イキナリしんみりしないでよ。人間、生きてりゃ変わるわよ、そりゃ」
「そうね。変わって、当然なのかもしれないわね」
「……母様だって、変わったと思うわよ」
「そうかしら? 自分じゃよく解らないけれど」
「変わったわよ。私なんかよりずっと変わったわ」
「そう……それじゃ、お互い様ね」
「うふふ。なんか変な感じだけど、でも、そうね。お互い様っ」

「……ほれみろ。止める必要、無かっただろ」
「うん。っつーか止めるだけ無駄っちゅーか心配するだけ損っちゅーか……。あの二人にとっちゃ、
アレが普通なのかな。はた迷惑極まりないわ」
「お互いに、遠慮なく対等に意見をぶつけ合える相手が見つかったのだからな。ああやって
親愛の情を深めているのだろう」
「自分の気持ちを素直に出せる……か。母さんとおばあちゃんも、きっとそうなんだろうな。
母さんの場合は、初対面でも誰に対してでもわりと遠慮ないけどね」
「……ハレもそのへん、しっかり受け継いでると思うぞ」
「え? お、オレ? どこが!?」
「幼ウェダや祖母に対して立派に意見していたではないか。ウェダや祖母が変わったのは、
ハレの功績も大きいとグゥは思うが」
「うーん……自覚、無いなあ」
「まあ、自分じゃ解らんものなのかもしれんな。だからこそ、グゥとしては凄く不安なのだがな……」
「……なんでさ」
「ハレは誰とでもすぐ仲良くなるからな…………リタとか……」
「え? ごめん、最後よく聞こえなかったんだけど……」
「……何でもない」

「……あら、ロバート。どーしたの?」
「あ、ウェダさん、奥様も。えっと、その、ハレ様とグゥさん見ませんでした?」
「んー? んーっと、どーだったかなぁ~?」
「……母さん、オレたちがテーブルの下にいるの解っててあんな事……」
「ふむ。あの位置からじゃこっちは見えんからな」
「ってかロバート、何の用だろ?」
「ああ、グゥが呼んだのだ」
「……なして?」
「買い物に行くと言ったろ? ハレの好きなものを選んでくれていいからな」
「昨日の今日で早速かよ。オレが選ぶのはいいけど、変に露出高いのは買わないぞ?」
「む、つまらんやつだ。今ならどんな卑猥なものでも着てやるというのに」
「う゛……いや、だから、それを他の人に見られるのがヤなんだよ」
「ほ、ほほう……じゃあ、普段着とハレに見せる専用の服を買う事にしよう」
「……そうきたか……。でもそれなら、いいかな」
「うむ。これがホントのハレ着だな」
「無理に上手い事言わんでいい」

「ロバート! ここに居たのね」
「え……ベルさん?」
「あら、ウェダ様、奥様も。ご機嫌麗しゅう御座いますわ。もうすぐお三時ですし、今日は
お二人でティータイムになさいますか? 宜しければ、こちらにお持ち致しますわ」
「そうね。そうさせてもらおうかしら」
「私もそれでいーわよ。それより、どうしたの? なんか慌ててたみたいだけど」
「あっ、ええ、ええ。そうで御座いました。先ほどアシオの様子を見に行ったのですが……」
「ああ、大丈夫だった? なんか、酷い怪我したらしいじゃない」
「はい。怪我自体は軽い打撲程度なのですが、精神的に参っているようでして……何があったのか
聞いてもうわ言のように"百物語の呪いが、呪いが"と呟くばかりで……」
「まぁ……何があったのかしら……」
「……それは、ロバート。あなたに教えてもらおうかしら?」
「うぇ!? お、俺は何も……ッ!」
「しらばっくれんじゃないわよ。昨日の深夜、アシオがロバートと一緒に居る所を見たって
メイドの一人が言ってるのよ」
「ううう……で、でも……その……」
「何? 私に言えないような事をしていたのかしら。そう、あなたがそんな態度を取るのなら、
あなたの今後の事も考えないといけないわね……」
「す、すいませんッ! で、でも俺は止めたんですよ!!」
「……何があったのか、話してくれるわね」

「はい……。えっと、どこから話せばいいのか……。百物語が終わってから、その、俺が
アシオさんと医務室に行ったのは知ってますよね」
「え? 私は寝てたから知らないけど……その時からアシオ、倒れたままなの?」
「あ、いえ、それはベルさんが……」
「…………」
「ヒッ! いえあのっ! それとはまた別の、ちょっとした事故がありまして!」
「ふぅん。なんか、アシオも大変ねえ……」
「本当に。こうも立て続けに事故に巻き込まれたのだから、呪いがどうこうとうなされるのも
少し、解りますわ」
「……それで、ですね。医務室でアシオさんに協力を求められまして」
「協力って、何の?」
「はい……あの……俺は、俺は止めたんですよ!」
「解ったから、さっさと続き」
「はぁ……。えっとですね、ハレ様とグゥさんを驚かそう、と……」
「……はぁ? 何でそんな事……」
「ジャングル帰る前に、出来るだけ沢山の思い出を残してもらおう、って事でして」

「……呆れた。ハレ様に蝋燭を渡した時に変だと思ったけど、そんな事を考えていたのね」
「ろーそく?」
「ウェダ様はお休みなされておられましたから、ご存知ありませんよね。百物語の99話目を
終えた後に、アシオが最後の蝋燭をハレ様に手渡したのですわ」
「ふうん。なんか意味あるの、それ」
「元来、百物語は百話まで語り尽くしてはいけないものなのです。99話で止めて、100本目の
蝋燭は完全に燃え尽きるまで放置するのが慣わしなのですわ」
「そうね。……本当に何かが起こってしまったら、大変ですものね」
「はい。ですから、あれは最後にハレ様を驚かせるためのアシオのアドリブだと思っていたのですが。
……アシオは更に何か企んでいたようですわね。そうでしょ、ロバート」

「……はい。ハレ様の部屋に窓から侵入して、驚かせてやろう、と。幽霊の衣装まで用意していました」
「ホントに呆れるわね……。ハレ様のお部屋は二階よね。おおかた、壁をよじ登ってる途中で
手を滑らせてしまったんでしょう」
「その通りです。俺に見張りをやらせて、アシオさんが一人で壁を登っていたんですが、ハレ様の
部屋の窓の真下にまで着いた時、突然その窓が勢いよく開きまして。多分、アシオさんはそれに
驚いたんだと思います」
「自業自得もいいところね。お二人のプライベートに闖入しようとするなんて、ばちが当たったのよ」
「……俺も、そう思います。そう言えば、アシオさんが落ちてくるのと同時にパラパラと水滴が
落ちてきたんですよ。アシオさんの顔や服も所々、ぐっしょり濡れていました」
「窓の隙間に雨水でも溜まっていたんでしょう。あそこの窓は滅多に開けないから」
「なんか、誰かが全力でアシオの邪魔をしようとしたって感じねー。ホント、これって呪い?」
「……それで、俺は急いでまたアシオさんを医務室に連れて行ったんです。その時にはもう、
今みたいにうなされていました」
「まぁ……。私も後で、お見舞いに伺わせてもらうわね」
「人を呪わば穴二つ。野暮な事をしようとするから、自分に災いが降りかかったので御座いますわね。
アシオにとっては、いい薬になったと思いますわ」

「なんか、知らない間に変なコトが起こってたみたいだね。ってか、俺のせい、なのかなあ」
「ハレは闖入者を撃退しただけだ。気にする事はなかろう」
「うーん。それでもさ、オレらも後で一応、お見舞いに行こうよ」
「ハレがそうしたいなら、グゥもそれでいい」
「ありがと。……でもなんか、妙な感じ。ホントに蝋燭の呪いなんじゃないの?」
「蝋燭の火を消した元凶を、アシオが全部かぶったのだからな。ひょっとすると、そうかもしれんな」
「……あの瓶、まだ持ってるんだよね?」
「うむ。益々面白い。是非部屋に飾っておかねばな」
「なんかもう、また変なエピソードが追加されちゃったなあ……」

「あ、あの! この事はどうか、ハレ様とグゥさんには内密に……」
「ふぅ……いいわ。未遂に終わって良かったけれど、お二人もそれを知って好い気はしないでしょうしね」
「うふふふ。わたしもいーわよぉ。黙っててあげる」
「そうね。アシオにもそう伝えておいて頂戴」
「はい。奥様、ウェダさん、ベルさん……ありがとう御座います……」
「……なんか、凄い出辛い雰囲気になっちゃったね」
「ふむ。気付かれる前にここから立ち去った方が良さそうだな」
「んじゃ、部屋に帰る?」
「何を言う。買い物に行くと言ったではないか」
「え、ふ、二人で?」
「何か、問題があるか?」
「…………無い、かな」
「邪魔者がいなければ、変なトコに連れ込み放題だぞ?」
「連れ込まんわっ! ……ったく。それじゃ、いこっか。二人でさ」
「うん。二人で、な」


END

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