「070901_8」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

070901_8」(2007/10/15 (月) 11:08:19) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

****小麦色の白雪姫_8(二:279-288) <<10>> 「……疲れた……ドッと疲れた……」  部屋に戻るやいなや、ベッドに備え付けられた大きなソファに持たれかかる。 グゥもオレの隣にちょこんと座り、オレの肩に体重をかけた。 「なんか、デジャヴを感じるな」 「……んじゃこの後も、似たような展開になる?」 「お前は……まったく」  呆れ顔で小さく溜息を吐く。しかしすぐに笑顔をくれ、オレの胸元にトン、と額を寄せた。 「……熱い」  胸に顔を付けたまま首を捻り、オレの左手にじっとりとした目を送る。  そこには先ほどアシオに手渡された蝋燭の瓶が律儀にも握られたままだった。 ……どうしよう、コレ。  ───あの後、オレの最後の叫声と共に、怪談大会は無事幕を閉じた。  パチンと電気が点くとついさっきまで部屋に漂っていた重苦しい空気が一気に晴れた気がした。  時計を見ると、夜中の一時を回ろうとしている所。随分と長い間やっていた気がする。確か、 談話室に入る前に見た時刻が八時ちょっと前。……軽く五時間くらいあの空気の中にいたって事だ。 よく精神が崩壊しなかったものだ。自分を褒めてやりたい。  語り部の四人は皆、凝り固まった身体を解しながら実に晴れ晴れとした笑顔を見せていた。 それでいて、まだ物足りないといった寂しそうな声もちらほら。今度はあんたたちだけで 勝手にやってくれ。  火の消えた蝋燭の瓶や飲み物、お菓子の入っていたトレイなど、テーブルの上は一部を除けば パーティーの後のような結構な散らかりようだった。後片付けを手伝おうとも思ったが、ベルや アシオたちにやんわりと断られ、部屋から追い出されてしまう。おばあちゃんも外に出され、 名残惜しそうにオレとグゥにお休みなさいを言うと一人で自分の部屋に帰っていった。  アシオは母さんとアメを部屋に送ろうと背中に背負い、次の瞬間ベルにリアル無限コンボを 食らって昇天した。あれこそが百番目の怖い話として相応しいだろうと思ったのだが、蝋燭の火は 消える気配を見せなかった。あれ以上に恐ろしい事が待っているのかと思うと泣きたくなる。  母さんとアメは、ボロ雑巾のようになったアシオの代わりにベルに背負われて部屋に帰っていった。  ロバートはそんなアシオを背負って医務室に向かったようだ。アシオ、お大事に。  ……そうしてオレとグゥは二人でオレの部屋に戻り、今に至る……というわけだ。  その間、ずっとオレの手には蝋燭の灯るガラス瓶が握られていた。そしてそれは今も手の中にある。  さて、これをどうしたものか。アシオの話を信じるわけじゃないが、全く無視するのもなんだか 憚られるものがある。  あれだけ長時間火を灯していたのに、この蝋燭はまだ半分くらいしか減っていない。丁度、瓶の 真ん中あたりでランタンのようにチロチロと淡い灯りが揺らめいている。  さぞ高級なものなのだろう。これなら普通の蝋燭のように蝋が垂れる心配も、倒してしまったり 火が燃え移らないか、なんて事にも気を回さずに済む。 「どうしよう、これ」 「さっさと火を消してそのへんに転がしとけばいいだろ」 「いや、そーゆーワケにもいかないだろ……」 「なんで」 「なんでって……とにかく、どっかその辺に置いとくよ、コレ」 「…………」  ソファから降り、部屋を見渡す。広いわりに殆ど家具の無いこの部屋で置く場所と言えば、 暖炉の上かベッドに備え付けられた小さな机の上くらいだ。オレはベッドに座り、机の上に 置かれたランプを少しずらし蝋燭の瓶を置いた。ここなら、ベッドに横になっても常に 蝋燭の火を確認する事が出来る。 「……随分と大事そうにしおって」  オレの隣に座り、ぱたんと背中を倒しグゥはつまらなそうに呟いた。 少し持ち上がった服の隙間からちらりと小麦色のおへそが見える。  グゥは今、前止めの半袖シャツに長ズボンというパジャマ姿に着替えている。襟は無く、首元は 丸くカットされたシンプルな形。上下共に薄いピンク色で統一されており、袖や裾など末端部分だけ 少し濃い色で太いラインが入っている。第一ボタンまできっちり留めているため、着替える前よりも ずっと肌の露出が減っているのが少し哀しい。  ちなみにオレは寝巻きもTシャツに短パンだ。……オレって、変わり映えしないなあ……。 「聞いてるのか」 「あだだだッ!!」  言いながら、グゥは寝転がったままオレの耳を引っ張る。そのまま無理やり引き込まれ、 オレはグゥの隣に勢い良く身体を倒した。 「アシオに言われた事、本気にしてるのか?」 「いや、本気って程じゃないけど……でも気になるじゃんか」 「気にするな」 「え、でも……」 「気にするなと言っている」  平坦な声で、命令するようにオレに言葉をぶつけながら、真っ直ぐに見詰めてくるグゥの瞳は 何故か不機嫌そうに見えた。 「そんな事が、そんなに気になるのか?」 「そ、そりゃあ、だって……」 「グゥよりも、気になるのか……」 「…………え……」  一瞬、グゥが何を言っているのか解らなかった。それを理解するよりも早くグゥの口が再度開く。 「もういい。ずっとソレ眺めてろ」  言ったきり、グゥは背中を向けて黙り込んでしまった。何度呼んでも、肩を揺すっても、 グゥは何の反応も示してはくれなかった。  そのうちに、むぅむぅと静かに寝息が聞こえ出す。……この気分屋め、と毒づくも自分に全く 否が無いなどとはとても言い切れない。  時計を見るともう一時をとうに回っている。普段ならとっくに寝ている時間だ。どちらにしろ、 それほどグゥと共に過ごす時間も無かったか。  オレは部屋の電灯を消すともう一度グゥの背中をちらりと見やり、おやすみ、と小さく呟き グゥの隣に横になった。  ……明日、グゥにちゃんと謝ろう。微妙に納得いかないがそれが多分、一番良いんだ。 <<11>>  ……眠れない。  カチ、カチと規則的に時を刻む時計の音が煩わしい。  ジワジワと身体にまとわりつく様な熱気は、いくら寝返りを打っても離れてはくれない。 背中や首筋を伝う汗もとにかく不快だ。  今は夜中の何時くらいなのだろうか。  明かりを消し、ベッドにその身を倒してからどれほどの時間が経ったのか解らない。  部屋を淡く照らす常夜灯の光に紛れ、ゆらゆらと揺らめく蝋燭の灯りは寝る前に見た位置よりも 随分と瓶の底に近づいている。  数時間は経過しているようだが、窓の外はまだ真っ暗で、僅かに部屋に差し込む月明かりは まだ沈む気配を見せていない。  ベッドの後ろの棚に立て掛けてある目覚まし時計を見る動作すら億劫で、身体が言うことを 聞いてくれない。このままでは明日に支障をきたすことは明白だ。  別に明日は何を予定しているワケでもないが、今日はあまりにも色々な事がありすぎて 身も心もへとへとに疲弊しているのだ。  少しでも体力を回復しておきたいと思い目を固く瞑る。……しかし、どうにも身体が火照り 目が冴えてしまう。  都会の夏も確かに熱いが、湿度を考えれば体感気温はずいぶんと涼しい。  ジャングルで生まれ育ったオレにとって、この程度の暑さはむしろ快適と言えるものだったはずだ。 それなのに何故こんなにも、寝苦しいほどに身体が熱を帯びているのか。  ……考えられる原因は、一つしかなかった。  自分の隣で寝息を立てる少女を見やる。  オレに背を向け、小さくゆっくりと肩を上下させているその様子から、少女は疑いようも無く ぐっすりと安眠しているように見えた。 「グゥ……」  ぴたり、とオレの手が少女の首筋に触れる。グゥの身体はひんやりと心地よく、オレの火照った 体から熱を奪い取っていく。  そのまますべすべと肌の上をなぞり、手触りの良い柔らかな感触を楽しんでいるうちに、 オレは身体の熱がある一点に集中していくのを感じていた。  ……起きてない、よな。  ぐっとベッドに肘をつき半身を起こす。グゥの顔を覗き見るように自分の顔を近づけ、その横顔に かかっている髪をそっと指で梳き耳の後ろに回す。  小さな耳。自分のものと何が違うのかも解らないのに、何故こんなに愛らしく感じてしまうのか。 耳の淵をそっと指でなぞると、トクンと、また自分の身体を包む熱の温度が上昇するのを感じた。  吐息のかかるほどに顔を近づけても、グゥはむぅむぅと規則正しい寝息を立て目を覚ます様子は無い。  ぷっくりと丸みを帯びた頬に軽く唇を当ててみる。唇を離す際にチュ、と、わざと少し大きな音を 立てるがグゥに変化は見られない。  耳たぶを優しく唇で噛み、耳の裏に舌を這わせ、軽く口付けをし、首筋にも何度もキスを重ねる。 なおも規則正しく安らかな寝息を立てる少女とは対照的に、オレの鼓動はドクドクと高まりその速度を 上げていく。  たまらず、ギュウ、と己の股間を押さえる。そこはもうズボンの上からでもはっきりと解るほどに膨らみ、 ズキズキと疼きその存在を主張していた。  ……グゥ。オレ、もう……。  荒れる呼吸を抑え、コクリと小さく喉を鳴らすと、グゥの肩に置いていた手をゆっくりと その身体に這わせる。その手は脇を通り、腰を通り、少女の下半身へと滑り降りていく。 やがて服の上からでもその柔らかさが解る、ぷるんと肉厚なヒップへと辿り着いた。  まずは指先でその双丘の周りをくすぐるように周回し、その手触りを確認する。下着のラインを示す 段差はあるが、その生地は薄い。柔らかく張りのある感触が十分に指に伝わってくる。  少し力を込めただけで、くむくむとどこまでも指が埋もれ不定形物のようにその形を歪ませて行く。 指に込めた力を抜くと、プルンとすぐに元の形に戻る。  身体を横に倒しているせいか、ベッドに圧迫された側の尻肉はモチモチとより一層の張りがあり、 また違った感触をその手に伝える。尻肉の谷間に埋めた指を戻した際も、スカートの生地がその肉に 挟まったままにまりムッチリとその形を浮き上がらせていた。  ゾクリと、何かが背筋を通るような快感を覚える。オレは我を忘れてその身体をただ夢中で貪り続けた。 「ん……ふ…」 「────ッッ!!」  突然、耳に届く吐息。その少女の反応に、オレは瞬時に我に返りビクンと身体を引きつらせた。 慌ててグゥの身体を弄んでいた手を離し、目を瞑りたぬき寝入りを決め込む。 「…………」  しばらく凍りついたように硬直し、そのまま時の過ぎるに任せるが少女からはそれ以上の反応は 見られなかった。  何やってんだよ、オレ…これじゃ、まるっきり変態じゃないか……。  はぁ、と小さく溜め息を吐く。  いつの間にか動悸は幾分穏やかになり、身体の熱も引き始めていた。  もう、このまま寝てしまおう。そう思い心を落ち着けるが…どうしても一箇所、熱の引いてくれない 箇所がオレの心を悩ませる。  きゅう、と股に力を込める。自らの太股で強く圧迫するが、それは益々にジンジンと疼きを増していく。  トイレで、済まそう……。  身体を起こし、最後にグゥの寝顔を確認しようと覗き込む。 「うん……ん」  その時、小さな呻き声と同時に、グゥはゴロンと寝返りを打ち身体をこちらに向けた。 ただそれだけの事に、オレの心は大きく高鳴った。普段なら気にも止めないような小さな事に 今のオレは気付いてしまった。気付いてしまったばっかりに、トクン、トクンと、治まりつつ あった鼓動がまた速度を上げていく。  グゥの胸元。ボタンとボタンの間に開いた小さな穴。寝返りを打った際に服がベッドに挟まれ 巻き込まれたのだろう。そこはくっぱりとひし形に隙間を開け、その向こうに真っ白なグゥの肌が 少しだけ覗いていた。  まだオレが見ていない部分の、日焼け跡。海での行為や、風呂に入る前に見たグゥの可愛いお尻が フラッシュバックのように頭を過ぎる。  喉に溜まっていた唾を静かに飲み込み、オレはもう一度身体をベッドに倒しその胸元に顔を近づけた。  ちらりとグゥの顔を見上げる。先ほどと変わらず寝息を立て、ぐっすりと眠っているように見える。 オレはまた目の前のグゥの服に開いた穴に目を戻すと、ゆっくりとその隙間に人差し指を挿し入れた。  くにゅ、と指に心地よい弾力が伝わる。じっとりと汗ばんでいるのはグゥかオレの指先か。  少し指を浮かせ、また押し付ける。それを繰り返しながら、指を段々と隙間の奥に侵入させていく。 指が服の影に隠れる度に、指先に受ける感触は柔らかさを増していく。それに比例するように、オレの 鼓動も跳ね上がっていく。  そのまま指全体が根元まで隠れた時、指先に違う感触が触れた。屈伸するように指を曲げると こりこりとした固い突起が柔らかい肉に埋まる。中指も奥まで挿し入れ、二本の指で摘みきゅ、と捻ると グゥは身体を一瞬、ぶるっと震わせた。いよいよ心臓の音が身体全体を揺する程に昂ぶっていく。  もう気付かれても良い。そんな開き直りも手伝い、オレの指先はその動きに激しさを増していく。 突起を摘んだまま、親指をも服の中に侵入させ、反対の乳首に押し当てる。両方の突起を指の腹で撫で上げ、 くにゅくにゅと円を描くように揉み込む。  自らの股にあてがわれた指はズボンを盛り上げる膨らみの形を浮き上がらせるようにギュ、と強く握り、 その痛いほどに腫れ上がった己の分身全体を指で揉みこねるように動かしながら手のひらで擦り上げる。 もはや荒れる息や時折う、く、と漏れる呻き声もそのままに、オレは夢中で自らの身体を慰めていた。 「グゥ……グゥ…ッ」  グゥの寝顔を見上げる。その名を呼ぶと、益々その少女に対する想いがキュンキュンと昂ぶっていく。  しつこく弄り続けた乳首はピンと大きく勃ち、その固い膨らみが服の上からでも確認できる くらいになっていた。  オレは服の上からその突起に舌を這わせ、チロチロと舐め上げる。たっぷりと涎を付けて何度も 舌を擦り付けているうちに、うっすらと透けた布地に乳首がピタリと張り付き、その形や色が浮かび 上がっていく。  ゴシ、ゴシと厚手の生地を擦る音が耳に響く。オレはいよいよ股間に押し当てた手の動きを 早める。その動きに合わせ、ハッハッと荒い息を吐き出すオレの唇が、少女のしっとりと濡れた 突起へと吸い寄せられる。  そうして少し舌を出したその口が、グゥの乳首に吸い付いた瞬間…… 「────んぅ?」  不意に首に何かが巻きつき、グゥの胸にぎゅっと顔を押し付けられた。慌てて飛び退こうと するが、今の体勢で頭を押さえられていては力が入らない。  まさか、グゥが起きたのか。ついさっき気付かれてもいいと思ったばかりなのに、実際に その状況に直面すると頭から血の気が引いていく。  グゥの顔を見たくても、頭を上げる事も出来ない。なんとか振りほどこうと頭をぐりぐりと 動かすがオレを押さえつける力は益々強まっていく。 「慌てるな……落ち着け」  穏やかな吐息が頭にかかる。やっぱり、いつの間にかこの少女は目を覚ましていたらしい。 興奮の熱が引いていくにつれ、重い罪悪感が心にズシリと圧し掛かる。  ……しかし、その声からは何故か、オレを咎めるような色は微塵も感じられなかった。 「それと、あまり激しく動くな。そこはグゥも敏感なんだぞ」  オレの頭にかかっていた力が緩み、何かが髪をさらりと撫でつける。顔を上げると、 グゥの優しげな微笑がオレを迎えてくれた。 「あ、あの、ごめん、オレ、その……」  いまだ状況を完全に把握し切れてはいなかったが、とにかく何か弁解せねばとしどろもどろに 口が動く。そんなオレの様子にグゥはくすりと笑い、額にちゅ、と唇を合わせまたオレを強く 抱き締めた。 「謝らなくてもいい。別に、ハレの夜這いなぞ今日がはじめてでは無いしな」 「ぅぇえッ!?」  首筋を冷たい汗が流れ落ちる。もしかして、これまでの行為も気付かれていたのか。 いや、夜這いなんて大それたものじゃあないつもりだったのだが。  この少女とは毎晩、並んで寝ているのだ。その無防備な寝姿にこれまで何の劣情も催さなかったと 言えば嘘になる。寝惚けたふりをして、寝返りを打ったふりをしてその身体に軽く触れた事は何度も ある。だけど、次の瞬間には果てしない後悔と自己嫌悪に苛まれそれ以上は何も出来なかったのだ。 「ごめん、グゥ……で、でも、ここまでしたのはこれがはじめてだから……」 「…………」 「……だから……」  グゥの沈黙に、言葉が遮られる。どう言い訳をしても、自分のやった事は最低だ。  本当に、これほど大胆な行動を取った事はこれまでに一度も無い。しかし、程度の差はあれ 無抵抗な状態のグゥを好きに弄んでいた事に変わりは無いのかもしれない。 「グゥ……」  もう一度、声をかけようと口を開いた瞬間、グゥはオレの頭をぎゅうと強烈に抱き締めてきた。 グゥの胸元に頬が埋まり、その鼓動が耳に直接伝わってくる。 「ホントに、してたのか。……夜這い」 「ぐはっ……!」  しまった……またも、盛大な自爆をかましてしまったのか。 「いやそのっ、違っ!」 「違うのか?」 「……違、わない、けど……ごめん……」  何を言ってももう遅い。まんまと誘導尋問にハマってしまったオレに今出来る事と言えば、 ただひたすら謝罪の言葉を綴るくらいのものだ。 「もう、馬鹿だな、お前ってヤツは。……ホントに、もう……ッ」  グゥは両腕でオレを抱え、これ以上ないくらいに力を込めてオレをその胸に押し付ける。 そのせいか心臓の音は先ほどよりもずっと高く鳴り響き、その速度も増しているように思えた。 「ぐ、グゥ?」 「いいから、謝らなくていいから……」  グゥは押し殺すように細切れの声でそれだけを言うと口を紡ぎ、ただオレを抱き締める。 時折ふるふると身体を震わせ、足下からパタパタとシーツを叩くような音が聞こえる。  そうしてしばらくすると、はぁぁ、と大きな溜息と共にその身体から力が抜けていった。 「もっと、早く気付いていればよかったな……」  腕を離し、ずりずりとオレの目線まで滑り降りてくる。久々に真正面から見た その表情はどこか残念そうに、寂しげな微笑を浮かべていた。 「……今日は、気付いたんだよね。どの辺から起きてたのさ?」 「む? 最初から寝てなどいなかったが?」 「ぐふっ……!」  ……グゥは、就寝時も目はばっちりと開いているので寝ているのかどうかの判別が付き辛い。 それでもオレは長年の経験でだいたい見分けがつくようになってはいたのだが、たぬき寝入り までを含められてしまうともはや判別は誰にも不可能だ。 「じゃ、じゃあ何でオレの好きにさせてたの……?」 「ふむ……。どのタイミングで声をかけたら一番ダメージが大きいか見計らっていたのだが」 「……へぇ、なるほどねぇ……」  こんな時でもこの少女はそんな事を冷静に計算していたらしい。何とも末恐ろしい……と言うか、 今現在既に十分恐ろしい。こうやってオレは今後もこの小悪魔に手玉に取られ続けるのだろうか。 「しかしな。その……あんまりにも、ハレが夢中だったから、邪魔するのも悪いと思えてな……。 ……落ち着くまで、愛でていようと思っていたのだが……」  胸の前で両手を揃え、気恥ずかしそうに目を泳がせながらグゥは途切れ途切れに言葉を重ねる。 「結局、グゥの方が最後まで持たなかった。まさかハレがあそこまでするとは思っていなかったからな……」 「……ごめん……」 「だから、謝るなと言うに。……まだ、最後までしていないのだろう? その、グゥは別に、構わんのだが……」  オレを真っ直ぐに見据えたまま、グゥは自らの胸元、パジャマのボタンとボタンの隙間に指を 引っ掛け、小さく開く。 「こんな所から指を入れたのか。まったく、よく思いつくもんだな」 「……すんません」 「それに、パジャマが涎でベトベトだぞ。よっぽど夢中だったのだな?」 「……すんません」  うう、冷静に思い返してみれば、オレと言うやつはどれだけ必死だったのやら。 惨めというか哀れと言うか……人としてかなり情けない。 「……もう少し頭を使っていれば、服を汚さずに済んだかも知れんと言うのに」  そう言って小さく微笑むとグゥは少し腰を浮かせ、ボタンの隙間に入れた指をぐっと引っ張り、 服をずらしていく。強引にずらされた隙間が腋の下あたりまで到達した時、その穴からぷるんと 小さな突起が零れ出た。 「────ッッ!」  ……ドクンと、心臓が飛び跳ねる。  半そでのシャツに長ズボン。普段よりもずっと露出の少ない格好をしているのに、ボタンだって きっちりと全て留められているのに。その小さな隙間から、女の子が最も隠さなくてはならない 部分の一つ、艶やかな桃色の突起だけがてらいなく晒されている。 「ほら、こうすれば……直接、出来るだろ……」  胸を張り、ずり、ずりと少しずつオレの顔に胸元を寄せる。  オレはその様子に身動き一つ取れず、ただ目を皿のようにして見守る事しか出来なかった。 「……ンッ」  そうしてすぐ眼前まで迫ってきた突起が鼻の先に僅かにかすり、ぷるっと揺れた瞬間…… プツンと、頭の中で何かが切れた音が聞こえた。 「わぅっ? ハ、ハレ!?」  オレは弾かれたようにグゥに飛びつき、圧し掛かる。ベッドに背中を倒したグゥの腰をまたぎ、 その小さな隙間からツンと見える突起に唇を寄せた。 「おっ、落ち着……ふぁぁッ!」  隙間に指を掛け、限界まで穴を広げその中に舌を挿し入れる。ぷくんと桃色に膨らんだ乳輪と、 その中心で固くしこった乳首を、舌全体を使って大きく舐め上げる。  突起の周囲の膨らみは乳房よりもなお柔らかく、舌を這わせると乳首が一瞬その中にくぷ、と 埋まり、すぐに舌の動きに引かれて戻ってくる。  そのまま先端部分にちゅぷ、と吸い付き、啄ばむようにちゅうちゅうと音を立てて吸い上げながら、 口内ではただ夢中でペロペロと、何度も何度もグゥの乳房に唾液を擦り付ける。舌の上に伝わる全ての 感触が、オレを興奮させた。 「……ふふ、赤ん坊みたいだな」  グゥはオレの頭を優しく撫で付け、吐息交じりにそう呟いた。 その手が少しずつ、スムーズに身体を滑り降りていく。 「ここは、しっかり男の子なのにな」 「───うぁっ!?」  グゥの手はあっと言う間にするりとズボンの中に侵入し、オレの分身を直接、きゅ、と握り込んだ。 ビクンと腰が跳ねるが、その拍子にぬるりと指先に先端を摩擦され身体の力が一気に抜ける。 「随分と濡れているな……」 「ふっ、うんん……、んむぅぅ……っ」  既に十全に先走りの汁が溢れていた先端部分を、ちゅくちゅくと音を立てて擦り上げられる。 その遠慮の無い無骨な動きに包皮が捲られ、腫れ上がった肉傘に指の段差がコツコツとぶつかる度に 自分の意思に関係なく肩や爪先がぴくんぴくんと跳ね上がる。  それでもオレの口はグゥから離れず、思わず嬌声を吐き出してしまう時にも下唇や舌は グゥの桃色の肌に這わせたままだった。 「いやらしい事を考えるとこうなるのか?」  分身の先端から分泌される粘液を塗り込むように撫で付けながら、ボソボソと耳元で囁く。 オレは乳首に吸い付いたまま上目遣いでグゥを見やり、ただコクコクと頷いた。 「ふむ……つまりグゥの事を考えるとこうなると」 「…………」  ニヤニヤと口端を歪め、ぎゅっと強く分身を絞り込み、オレに返答を促す。……このドS。 オレは顔を真っ赤にして強く頷いた。グゥも満足げにふむふむ、と頷き返し目を細めて微笑む。 「正直者にはご褒美をやらねばな……」  熱を帯びた瞳がゆらりと波を打つ。  グゥの手がオレの分身から離れたと思うと、グゥはもう片方の手もズボンの中に侵入させ トランクスごとするりと膝元まで下ろした。  オレは何の抵抗も出来ず、ただグゥの所作に身を任せる。もう、羞恥心なんてどこにも 残ってはいなかった。長く焦らされ続けたオレの分身はもはや限界まで張り詰め、その解放を 待ち詫びているのだ。  窮屈な場所から解き放たれ、外気に晒された粘膜部分は空気の流れすらも敏感に感じ取り、 ピクンと跳ねる。粘液に塗れた表面はスースーと涼しいが、内部に蟠った熱は上昇する一方だった。  グゥはそのまま両手を自らの腰に当て、身をよじりながらスルスルとズボンを下ろしていく。 パンツは残しているのか、と一瞬思ったが、違う。そこに残っていたのは真っ白な水着の跡だけ だった。勿論、オレの目には水着の跡だけじゃなくもっと大変なものも映り込んでいたのだが、 すぐに顔を上げた。今そこを凝視してしまったら、視覚刺激だけでオレの分身は簡単に爆発して しまうだろう。  ……ってか、何でいきなりグゥまで脱いでるんだ、おい。 「グ、グゥ……オレ、そこまでするつもりは……」 「馬鹿。何を勘違いしてる」  ブンブンと首を横に振るオレに、グゥは呆れ顔を返す。 「そのまま出されたらパジャマが汚れるだろう」 「……あ、そ……」  ……どうやら、オレの早とちりだったようだ。  確かに、このままじゃグゥのパジャマもズボンも、オレの熱情の迸りにベッタリと汚されて しまう事だろう。自宅ならともかく、それを洗濯するのはこのお屋敷のメイドさんたちなのだ。 そのまま手渡すわけには当然いかない。かといってこっそり洗面台などで洗うにしても、その 様を誰かに見られたらおしまいだ。例えばソレを見たのがメイドさんだった場合、彼女はまず こう言うだろう。私どもにお任せ下さい、と。そして屈託の無い笑顔で言うのだ。ご安心下さい、 ご他言は致しません。……想像するだに恐ろしい。 「……まあグゥとしては、ハレが獣のように襲い掛かってきたとしても、別にいいのだが」 「グゥ……。その気持ちはすごく嬉しいけど、別にいいとか投げやりな言い方されるとちょっとショックだよ?」 「ハレが父親の二の舞になっても、グゥは本望だぞ。……これでいいか?」 「うん、絶対に暴走しないよ。誓うよ。命に代えてもグゥの貞操は守るよ」  まだ、オレの中の防波堤は完全には崩れていなかったらしい。今さらながらも決意を新たに する事が出来た。ありがとう、保険医。オレは絶対、お前みたいにはならないからね。  グゥは足首まで降ろしたズボンをぺいっと蹴るように放ると、シャツのボタンにも手をかける。 一つ一つ、プチプチと淀みなく外していき、はだけたシャツの襟元に手をかけ左右に開く。  するりと袖から腕を抜き、上体を少し浮かせるとグゥはパジャマを背中から引っこ抜き ズボン同様にベッドの脇に放る。これで、グゥの身を包んでいたものは全て無くなった。  小麦色に焼けた肌。そのほんの一部、胸元の二つの三角形とそれを結ぶ線、そして首筋に 伸びる二本の線のみが本来の肌の色を残し、その透けるような白さや緩やかな丘の頂点に 色づく桃色の艶やかさがより際立って見える。綺麗、と言うより単純に、エッチだと思った。  目の前に今、生まれたままの姿のグゥがいる。そう思うだけで、簡単に先ほどの決意が 揺らぎそうになってしまう。主の気も知らず、びくんびくんと嬉しそうに跳ねる自分の分身が いっそ可愛らしい。 「おい、ホントに大丈夫か……流石に身の危険を感じるぞ、グゥも」 「……うう……だ、大丈夫だよ……ちゃんと、理性はあるから」 「ふむ……これはさっさと発散させてやらねばどうなるか解らんな」 「大丈夫だって……ふぁ!? ンッ……やぁ……ぅんぅぅッ!」  不意に、グゥの指先がつつ、と竿をくすぐるように滑った。そのまま裏筋から雛先までを 指の腹で何度も擦り上げられる。突然の刺激に腕の力が抜け、オレはグゥの胸元にその身を トスンと倒した。  頬の全体を包む柔らかで張りのある感触と、その中に一点だけあるポチっと小さな固い感触。 顔を少し持ち上げる。すぐ目の前にぷるんと飛び出た可愛い突起に迷い無く吸い付くと、オレの 分身を包む圧迫感が一瞬、きゅっと強くなるのが解った。  オレは乳肉に唇を埋もれさせたまま、舌で乳房全体を舐め上げ、ぢゅるる、とわざと音を立てて 吸い立てる。そしながらもう片方の乳房もぐにゅぐにゅと柔肉全体を掌で押し包むように揉み込み、 乳首を人差し指と中指の谷間でしごき上げる。  徐々に吸い付く箇所を敏感な突起のみに絞っていき、強く吸引したままちゅぽっと引き抜く。 水着の跡をなぞるように反対側の乳房まで舌を這わせ、そちら側の乳首にも吸い付き、舌先で ほじくるように突起を責める。  先ほどまで吸い付かれていた乳首は固く勃起し、指先で簡単に摘める程の大きさになっていた。 また唾液でとろとろに滑り、先端部分を摘み上げきゅ、きゅと強く捻ってもぬるりと指が表面を 滑っていく。逆に乳房の中に埋め込むように揉み潰し、先端を指の腹でチュルチュルと唾液を 塗り付けるように摩擦すると、グゥはそれが気に入ったのか絶え間なく漏らしていた嬌声を 一際強め、吐息交じりの甘くくぐもった声を上げる。  それに合わせるように、オレの分身への刺激も強くなっていく。  指で作った輪でカリ首をきゅ、と絞り込み、開いた傘の裏をなぞるように摩擦する。赤く腫れた 粘膜部分を掌で包み込み、すりすりと先端を磨くように撫で付ける。  オレからもカクカクと腰を振り、更に強い刺激を得ようとグゥの手に分身をこすり付けた。 グゥの手で作られた筒に向かって、まるでグゥ自身を犯しているように抽送を繰り返す。そんな 倒錯的な興奮も混ぜ合わさり、脳から直接分身の先端に向かって甘い痺れが流れ込んで行く。  ……いよいよ限界が近い。オレは更に腰の動きを早くし、くちゅくちゅと音を立てて その柔らかい手に粘液を擦り付け続けた。  グゥの胸元と、オレの下半身。二箇所から聞こえていた粘着質な水音にいつの間にかもう一つ、 ちゅくちゅくとテンポの速い、リズミカルな音が増えていた。ちらりと横目でその音のする方向…… グゥの下半身へと目を忍ばせる。  よく見ると、グゥの左手がその部分へ真っ直ぐに伸びていることに気がついた。オレのものを 弄りながら、自分の秘所をも慰めていたのだ。 「う……ぁ……」  急激に身体の熱が高まっていく。  オレはその指の動きに完全に心を奪われ、グゥの胸を責めるのも忘れ魅入ってしまう。 もはや、何もしなくてもグゥのその姿を見ているだけで達してしまうだろう。それでも 腰だけは動きを止めず、分身に物理的な刺激も与え続ける。 「も、もう……グゥ、…出る、よぉ……ッ」  身体中の熱が一気に分身の先端へと昇り詰める。このまま絶頂を迎えるべく、オレは更に強く 腰を振りつける。  ……が、次の瞬間、オレの腰はグゥの手によってぴたりと止まった。 「ちょっと、待て……もうちょっと…だけ……」 「ぐ、グゥ……?」  言いながら、グゥはオレの分身を絞り込むように握り締めてくる。その強烈な圧迫感に、 オレは腰を引く事も押す事も出来なくなっていた。  しかしその手の中で、オレのものは絶え間なくビクビクと脈動を続けている。この圧迫すらも 今のオレには快感としか伝わらない。もう、とっくに限界は来ているのだ。 「ふ、っく……ホントに、んっ、もうちょっと、だから……一緒に……」 「グゥ……」  静まり返った部屋の中で、グゥの左手だけが忙しなく動く。  その指先が激しく自らの秘所をまさぐる度に、ヌチュヌチュと粘液をこねる音が耳に届く。  ぷっくりと盛り上がったほっぺを手のひらで覆い、全体を揉みこねながら、中心にあるスリットを 指でなぞるように擦り上げる。人差し指と薬指で柔肉を押し広げ、中指の腹でちゅくちゅく粘膜をこする。 そうしながら、掌はスリットの上部を強く圧迫し、何かをこねくるように円を描いていた。 「んっ、ク、うン、ふっ、んん……ッ」  身体を小刻みに震わせ、甘い声を漏らす。細切れに吐き出していた息が段々とそのテンポを上げていく。 その様を眺めるオレの息も徐々に上がり、無意識に腰が動く。早く、オレもこの熱を放出したい。 「グゥ、グゥ……」  うわ言のように少女の名を呼びながら、ぐっ、ぐっ、と強く腰を押し付けるが、急所を抑えられ びくとも出来ない。それでも構わず、オレは何度も腰を振り続けた。尿意にも似たもどかしい 感覚に、下半身が麻痺したように痺れる。お預けを食らった犬のように、オレはただグゥのお許しが 出るまで腰をもじるしかなかった。 「い、いいぞ……も、もう、グゥも……ッ」 「───ッくあ!?」  不意に、分身に強烈な刺激が加わった。分身を包み込んでいた圧迫感が僅かに緩んだかと思うと、 グゥはその手に捻りを加えながら強くしごき上げたのだ。  オレは腰を振る勢いそのままに、その中に向かって自ら分身を強く突き込む。 「ハレ……ハレ……ッッ」 「……グ、ゥ……、ぅんんッッ!!」  そうして二、三度の前後運動にも耐えられず、限界まで張り詰めた膨らみはあっという間に グゥの手の中で盛大に破裂した。 「…っく…ふン……ンッ……ん…はぁ……」  かくん、かくんと何度も大きく痙攣する。その脈動に合わせ、分身からはドプン、ドプンと 大量の精液が溢れ出し、その身体をドロドロに汚した。その度にオレは小さく嬌声を上げ、 グゥの胸元に唾液の糸を引かせる。 「ひン……ふっ……ぅ…」  白濁した粘液を身体で受け止めながら、グゥもくぐもった声を漏らす。 視点の定まらない虚ろな目でオレを見詰め、全身をふるふると震わせていた。  もしかして、ホントにグゥも一緒に……?  そう思うと、目の前の少女がより愛おしく思え、今すぐにでも抱きつきたい衝動にかられる。 そんな主人の気持ちなぞそ知らぬ顔で、焦らされ続けたオレの分身はその開放の喜びを全身で 味わっていた。どれだけ溜まっていたのか、いまだ小さく脈動を続けている。 「は…あ……ぁ…」  射精感が完全に止むまでの間、オレはグゥの胸元に唇を這わせたまま弛緩した身体を預け、 余韻に浸っていた。 ****[[戻る<<>070901_7]] [8] [[>>進む>070901_9]]
****小麦色の白雪姫_8(二:279-288) <<10>> 「……疲れた……ドッと疲れた……」  部屋に戻るやいなや、ベッドに備え付けられた大きなソファに持たれかかる。 グゥもオレの隣にちょこんと座り、オレの肩に体重をかけた。 「なんか、デジャヴを感じるな」 「……んじゃこの後も、似たような展開になる?」 「お前は……まったく」  呆れ顔で小さく溜息を吐く。しかしすぐに笑顔をくれ、オレの胸元にトン、と額を寄せた。 「……熱い」  胸に顔を付けたまま首を捻り、オレの左手にじっとりとした目を送る。  そこには先ほどアシオに手渡された蝋燭の瓶が律儀にも握られたままだった。 ……どうしよう、コレ。  ───あの後、オレの最後の叫声と共に、怪談大会は無事幕を閉じた。  パチンと電気が点くとついさっきまで部屋に漂っていた重苦しい空気が一気に晴れた気がした。  時計を見ると、夜中の一時を回ろうとしている所。随分と長い間やっていた気がする。確か、 談話室に入る前に見た時刻が八時ちょっと前。……軽く五時間くらいあの空気の中にいたって事だ。 よく精神が崩壊しなかったものだ。自分を褒めてやりたい。  語り部の四人は皆、凝り固まった身体を解しながら実に晴れ晴れとした笑顔を見せていた。 それでいて、まだ物足りないといった寂しそうな声もちらほら。今度はあんたたちだけで 勝手にやってくれ。  火の消えた蝋燭の瓶や飲み物、お菓子の入っていたトレイなど、テーブルの上は一部を除けば パーティーの後のような結構な散らかりようだった。後片付けを手伝おうとも思ったが、ベルや アシオたちにやんわりと断られ、部屋から追い出されてしまう。おばあちゃんも外に出され、 名残惜しそうにオレとグゥにお休みなさいを言うと一人で自分の部屋に帰っていった。  アシオは母さんとアメを部屋に送ろうと背中に背負い、次の瞬間ベルにリアル無限コンボを 食らって昇天した。あれこそが百番目の怖い話として相応しいだろうと思ったのだが、蝋燭の火は 消える気配を見せなかった。あれ以上に恐ろしい事が待っているのかと思うと泣きたくなる。  母さんとアメは、ボロ雑巾のようになったアシオの代わりにベルに背負われて部屋に帰っていった。  ロバートはそんなアシオを背負って医務室に向かったようだ。アシオ、お大事に。  ……そうしてオレとグゥは二人でオレの部屋に戻り、今に至る……というわけだ。  その間、ずっとオレの手には蝋燭の灯るガラス瓶が握られていた。そしてそれは今も手の中にある。  さて、これをどうしたものか。アシオの話を信じるわけじゃないが、全く無視するのもなんだか 憚られるものがある。  あれだけ長時間火を灯していたのに、この蝋燭はまだ半分くらいしか減っていない。丁度、瓶の 真ん中あたりでランタンのようにチロチロと淡い灯りが揺らめいている。  さぞ高級なものなのだろう。これなら普通の蝋燭のように蝋が垂れる心配も、倒してしまったり 火が燃え移らないか、なんて事にも気を回さずに済む。 「どうしよう、これ」 「さっさと火を消してそのへんに転がしとけばいいだろ」 「いや、そーゆーワケにもいかないだろ……」 「なんで」 「なんでって……とにかく、どっかその辺に置いとくよ、コレ」 「…………」  ソファから降り、部屋を見渡す。広いわりに殆ど家具の無いこの部屋で置く場所と言えば、 暖炉の上かベッドに備え付けられた小さな机の上くらいだ。オレはベッドに座り、机の上に 置かれたランプを少しずらし蝋燭の瓶を置いた。ここなら、ベッドに横になっても常に 蝋燭の火を確認する事が出来る。 「……随分と大事そうにしおって」  オレの隣に座り、ぱたんと背中を倒しグゥはつまらなそうに呟いた。 少し持ち上がった服の隙間からちらりと小麦色のおへそが見える。  グゥは今、前止めの半袖シャツに長ズボンというパジャマ姿に着替えている。襟は無く、首元は 丸くカットされたシンプルな形。上下共に薄いピンク色で統一されており、袖や裾など末端部分だけ 少し濃い色で太いラインが入っている。第一ボタンまできっちり留めているため、着替える前よりも ずっと肌の露出が減っているのが少し哀しい。  ちなみにオレは寝巻きもTシャツに短パンだ。……オレって、変わり映えしないなあ……。 「聞いてるのか」 「あだだだッ!!」  言いながら、グゥは寝転がったままオレの耳を引っ張る。そのまま無理やり引き込まれ、 オレはグゥの隣に勢い良く身体を倒した。 「アシオに言われた事、本気にしてるのか?」 「いや、本気って程じゃないけど……でも気になるじゃんか」 「気にするな」 「え、でも……」 「気にするなと言っている」  平坦な声で、命令するようにオレに言葉をぶつけながら、真っ直ぐに見詰めてくるグゥの瞳は 何故か不機嫌そうに見えた。 「そんな事が、そんなに気になるのか?」 「そ、そりゃあ、だって……」 「グゥよりも、気になるのか……」 「…………え……」  一瞬、グゥが何を言っているのか解らなかった。それを理解するよりも早くグゥの口が再度開く。 「もういい。ずっとソレ眺めてろ」  言ったきり、グゥは背中を向けて黙り込んでしまった。何度呼んでも、肩を揺すっても、 グゥは何の反応も示してはくれなかった。  そのうちに、むぅむぅと静かに寝息が聞こえ出す。……この気分屋め、と毒づくも自分に全く 否が無いなどとはとても言い切れない。  時計を見るともう一時をとうに回っている。普段ならとっくに寝ている時間だ。どちらにしろ、 それほどグゥと共に過ごす時間も無かったか。  オレは部屋の電灯を消すともう一度グゥの背中をちらりと見やり、おやすみ、と小さく呟き グゥの隣に横になった。  ……明日、グゥにちゃんと謝ろう。微妙に納得いかないがそれが多分、一番良いんだ。 <<11>>  ……眠れない。  カチ、カチと規則的に時を刻む時計の音が煩わしい。  ジワジワと身体にまとわりつく様な熱気は、いくら寝返りを打っても離れてはくれない。 背中や首筋を伝う汗もとにかく不快だ。  今は夜中の何時くらいなのだろうか。  明かりを消し、ベッドにその身を倒してからどれほどの時間が経ったのか解らない。  部屋を淡く照らす常夜灯の光に紛れ、ゆらゆらと揺らめく蝋燭の灯りは寝る前に見た位置よりも 随分と瓶の底に近づいている。  数時間は経過しているようだが、窓の外はまだ真っ暗で、僅かに部屋に差し込む月明かりは まだ沈む気配を見せていない。  ベッドの後ろの棚に立て掛けてある目覚まし時計を見る動作すら億劫で、身体が言うことを 聞いてくれない。このままでは明日に支障をきたすことは明白だ。  別に明日は何を予定しているワケでもないが、今日はあまりにも色々な事がありすぎて 身も心もへとへとに疲弊しているのだ。  少しでも体力を回復しておきたいと思い目を固く瞑る。……しかし、どうにも身体が火照り 目が冴えてしまう。  都会の夏も確かに熱いが、湿度を考えれば体感気温はずいぶんと涼しい。  ジャングルで生まれ育ったオレにとって、この程度の暑さはむしろ快適と言えるものだったはずだ。 それなのに何故こんなにも、寝苦しいほどに身体が熱を帯びているのか。  ……考えられる原因は、一つしかなかった。  自分の隣で寝息を立てる少女を見やる。  オレに背を向け、小さくゆっくりと肩を上下させているその様子から、少女は疑いようも無く ぐっすりと安眠しているように見えた。 「グゥ……」  ぴたり、とオレの手が少女の首筋に触れる。グゥの身体はひんやりと心地よく、オレの火照った 体から熱を奪い取っていく。  そのまますべすべと肌の上をなぞり、手触りの良い柔らかな感触を楽しんでいるうちに、 オレは身体の熱がある一点に集中していくのを感じていた。  ……起きてない、よな。  ぐっとベッドに肘をつき半身を起こす。グゥの顔を覗き見るように自分の顔を近づけ、その横顔に かかっている髪をそっと指で梳き耳の後ろに回す。  小さな耳。自分のものと何が違うのかも解らないのに、何故こんなに愛らしく感じてしまうのか。 耳の淵をそっと指でなぞると、トクンと、また自分の身体を包む熱の温度が上昇するのを感じた。  吐息のかかるほどに顔を近づけても、グゥはむぅむぅと規則正しい寝息を立て目を覚ます様子は無い。  ぷっくりと丸みを帯びた頬に軽く唇を当ててみる。唇を離す際にチュ、と、わざと少し大きな音を 立てるがグゥに変化は見られない。  耳たぶを優しく唇で噛み、耳の裏に舌を這わせ、軽く口付けをし、首筋にも何度もキスを重ねる。 なおも規則正しく安らかな寝息を立てる少女とは対照的に、オレの鼓動はドクドクと高まりその速度を 上げていく。  たまらず、ギュウ、と己の股間を押さえる。そこはもうズボンの上からでもはっきりと解るほどに膨らみ、 ズキズキと疼きその存在を主張していた。  ……グゥ。オレ、もう……。  荒れる呼吸を抑え、コクリと小さく喉を鳴らすと、グゥの肩に置いていた手をゆっくりと その身体に這わせる。その手は脇を通り、腰を通り、少女の下半身へと滑り降りていく。 やがて服の上からでもその柔らかさが解る、ぷるんと肉厚なヒップへと辿り着いた。  まずは指先でその双丘の周りをくすぐるように周回し、その手触りを確認する。下着のラインを示す 段差はあるが、その生地は薄い。柔らかく張りのある感触が十分に指に伝わってくる。  少し力を込めただけで、くむくむとどこまでも指が埋もれ不定形物のようにその形を歪ませて行く。 指に込めた力を抜くと、プルンとすぐに元の形に戻る。  身体を横に倒しているせいか、ベッドに圧迫された側の尻肉はモチモチとより一層の張りがあり、 また違った感触をその手に伝える。尻肉の谷間に埋めた指を戻した際も、ズボンの生地がその肉に 挟まったままにまりムッチリとその形を浮き上がらせていた。  ゾクリと、何かが背筋を通るような快感を覚える。オレは我を忘れてその身体をただ夢中で貪り続けた。 「ん……ふ…」 「────ッッ!!」  突然、耳に届く吐息。その少女の反応に、オレは瞬時に我に返りビクンと身体を引きつらせた。 慌ててグゥの身体を弄んでいた手を離し、目を瞑りたぬき寝入りを決め込む。 「…………」  しばらく凍りついたように硬直し、そのまま時の過ぎるに任せるが少女からはそれ以上の反応は 見られなかった。  何やってんだよ、オレ…これじゃ、まるっきり変態じゃないか……。  はぁ、と小さく溜め息を吐く。  いつの間にか動悸は幾分穏やかになり、身体の熱も引き始めていた。  もう、このまま寝てしまおう。そう思い心を落ち着けるが…どうしても一箇所、熱の引いてくれない 箇所がオレの心を悩ませる。  きゅう、と股に力を込める。自らの太股で強く圧迫するが、それは益々にジンジンと疼きを増していく。  トイレで、済まそう……。  身体を起こし、最後にグゥの寝顔を確認しようと覗き込む。 「うん……ん」  その時、小さな呻き声と同時に、グゥはゴロンと寝返りを打ち身体をこちらに向けた。 ただそれだけの事に、オレの心は大きく高鳴った。普段なら気にも止めないような小さな事に 今のオレは気付いてしまった。気付いてしまったばっかりに、トクン、トクンと、治まりつつ あった鼓動がまた速度を上げていく。  グゥの胸元。ボタンとボタンの間に開いた小さな穴。寝返りを打った際に服がベッドに挟まれ 巻き込まれたのだろう。そこはくっぱりとひし形に隙間を開け、その向こうに真っ白なグゥの肌が 少しだけ覗いていた。  まだオレが見ていない部分の、日焼け跡。海での行為や、風呂に入る前に見たグゥの可愛いお尻が フラッシュバックのように頭を過ぎる。  喉に溜まっていた唾を静かに飲み込み、オレはもう一度身体をベッドに倒しその胸元に顔を近づけた。  ちらりとグゥの顔を見上げる。先ほどと変わらず寝息を立て、ぐっすりと眠っているように見える。 オレはまた目の前のグゥの服に開いた穴に目を戻すと、ゆっくりとその隙間に人差し指を挿し入れた。  くにゅ、と指に心地よい弾力が伝わる。じっとりと汗ばんでいるのはグゥかオレの指先か。  少し指を浮かせ、また押し付ける。それを繰り返しながら、指を段々と隙間の奥に侵入させていく。 指が服の影に隠れる度に、指先に受ける感触は柔らかさを増していく。それに比例するように、オレの 鼓動も跳ね上がっていく。  そのまま指全体が根元まで隠れた時、指先に違う感触が触れた。屈伸するように指を曲げると こりこりとした固い突起が柔らかい肉に埋まる。中指も奥まで挿し入れ、二本の指で摘みきゅ、と捻ると グゥは身体を一瞬、ぶるっと震わせた。いよいよ心臓の音が身体全体を揺する程に昂ぶっていく。  もう気付かれても良い。そんな開き直りも手伝い、オレの指先はその動きに激しさを増していく。 突起を摘んだまま、親指をも服の中に侵入させ、反対の乳首に押し当てる。両方の突起を指の腹で撫で上げ、 くにゅくにゅと円を描くように揉み込む。  自らの股にあてがわれた指はズボンを盛り上げる膨らみの形を浮き上がらせるようにギュ、と強く握り、 その痛いほどに腫れ上がった己の分身全体を指で揉みこねるように動かしながら手のひらで擦り上げる。 もはや荒れる息や時折う、く、と漏れる呻き声もそのままに、オレは夢中で自らの身体を慰めていた。 「グゥ……グゥ…ッ」  グゥの寝顔を見上げる。その名を呼ぶと、益々その少女に対する想いがキュンキュンと昂ぶっていく。  しつこく弄り続けた乳首はピンと大きく勃ち、その固い膨らみが服の上からでも確認できる くらいになっていた。  オレは服の上からその突起に舌を這わせ、チロチロと舐め上げる。たっぷりと涎を付けて何度も 舌を擦り付けているうちに、うっすらと透けた布地に乳首がピタリと張り付き、その形や色が浮かび 上がっていく。  ゴシ、ゴシと厚手の生地を擦る音が耳に響く。オレはいよいよ股間に押し当てた手の動きを 早める。その動きに合わせ、ハッハッと荒い息を吐き出すオレの唇が、少女のしっとりと濡れた 突起へと吸い寄せられる。  そうして少し舌を出したその口が、グゥの乳首に吸い付いた瞬間…… 「────んぅ?」  不意に首に何かが巻きつき、グゥの胸にぎゅっと顔を押し付けられた。慌てて飛び退こうと するが、今の体勢で頭を押さえられていては力が入らない。  まさか、グゥが起きたのか。ついさっき気付かれてもいいと思ったばかりなのに、実際に その状況に直面すると頭から血の気が引いていく。  グゥの顔を見たくても、頭を上げる事も出来ない。なんとか振りほどこうと頭をぐりぐりと 動かすがオレを押さえつける力は益々強まっていく。 「慌てるな……落ち着け」  穏やかな吐息が頭にかかる。やっぱり、いつの間にかこの少女は目を覚ましていたらしい。 興奮の熱が引いていくにつれ、重い罪悪感が心にズシリと圧し掛かる。  ……しかし、その声からは何故か、オレを咎めるような色は微塵も感じられなかった。 「それと、あまり激しく動くな。そこはグゥも敏感なんだぞ」  オレの頭にかかっていた力が緩み、何かが髪をさらりと撫でつける。顔を上げると、 グゥの優しげな微笑がオレを迎えてくれた。 「あ、あの、ごめん、オレ、その……」  いまだ状況を完全に把握し切れてはいなかったが、とにかく何か弁解せねばとしどろもどろに 口が動く。そんなオレの様子にグゥはくすりと笑い、額にちゅ、と唇を合わせまたオレを強く 抱き締めた。 「謝らなくてもいい。別に、ハレの夜這いなぞ今日がはじめてでは無いしな」 「ぅぇえッ!?」  首筋を冷たい汗が流れ落ちる。もしかして、これまでの行為も気付かれていたのか。 いや、夜這いなんて大それたものじゃあないつもりだったのだが。  この少女とは毎晩、並んで寝ているのだ。その無防備な寝姿にこれまで何の劣情も催さなかったと 言えば嘘になる。寝惚けたふりをして、寝返りを打ったふりをしてその身体に軽く触れた事は何度も ある。だけど、次の瞬間には果てしない後悔と自己嫌悪に苛まれそれ以上は何も出来なかったのだ。 「ごめん、グゥ……で、でも、ここまでしたのはこれがはじめてだから……」 「…………」 「……だから……」  グゥの沈黙に、言葉が遮られる。どう言い訳をしても、自分のやった事は最低だ。  本当に、これほど大胆な行動を取った事はこれまでに一度も無い。しかし、程度の差はあれ 無抵抗な状態のグゥを好きに弄んでいた事に変わりは無いのかもしれない。 「グゥ……」  もう一度、声をかけようと口を開いた瞬間、グゥはオレの頭をぎゅうと強烈に抱き締めてきた。 グゥの胸元に頬が埋まり、その鼓動が耳に直接伝わってくる。 「ホントに、してたのか。……夜這い」 「ぐはっ……!」  しまった……またも、盛大な自爆をかましてしまったのか。 「いやそのっ、違っ!」 「違うのか?」 「……違、わない、けど……ごめん……」  何を言ってももう遅い。まんまと誘導尋問にハマってしまったオレに今出来る事と言えば、 ただひたすら謝罪の言葉を綴るくらいのものだ。 「もう、馬鹿だな、お前ってヤツは。……ホントに、もう……ッ」  グゥは両腕でオレを抱え、これ以上ないくらいに力を込めてオレをその胸に押し付ける。 そのせいか心臓の音は先ほどよりもずっと高く鳴り響き、その速度も増しているように思えた。 「ぐ、グゥ?」 「いいから、謝らなくていいから……」  グゥは押し殺すように細切れの声でそれだけを言うと口を紡ぎ、ただオレを抱き締める。 時折ふるふると身体を震わせ、足下からパタパタとシーツを叩くような音が聞こえる。  そうしてしばらくすると、はぁぁ、と大きな溜息と共にその身体から力が抜けていった。 「もっと、早く気付いていればよかったな……」  腕を離し、ずりずりとオレの目線まで滑り降りてくる。久々に真正面から見た その表情はどこか残念そうに、寂しげな微笑を浮かべていた。 「……今日は、気付いたんだよね。どの辺から起きてたのさ?」 「む? 最初から寝てなどいなかったが?」 「ぐふっ……!」  ……グゥは、就寝時も目はばっちりと開いているので寝ているのかどうかの判別が付き辛い。 それでもオレは長年の経験でだいたい見分けがつくようになってはいたのだが、たぬき寝入り までを含められてしまうともはや判別は誰にも不可能だ。 「じゃ、じゃあ何でオレの好きにさせてたの……?」 「ふむ……。どのタイミングで声をかけたら一番ダメージが大きいか見計らっていたのだが」 「……へぇ、なるほどねぇ……」  こんな時でもこの少女はそんな事を冷静に計算していたらしい。何とも末恐ろしい……と言うか、 今現在既に十分恐ろしい。こうやってオレは今後もこの小悪魔に手玉に取られ続けるのだろうか。 「しかしな。その……あんまりにも、ハレが夢中だったから、邪魔するのも悪いと思えてな……。 ……落ち着くまで、愛でていようと思っていたのだが……」  胸の前で両手を揃え、気恥ずかしそうに目を泳がせながらグゥは途切れ途切れに言葉を重ねる。 「結局、グゥの方が最後まで持たなかった。まさかハレがあそこまでするとは思っていなかったからな……」 「……ごめん……」 「だから、謝るなと言うに。……まだ、最後までしていないのだろう? その、グゥは別に、構わんのだが……」  オレを真っ直ぐに見据えたまま、グゥは自らの胸元、パジャマのボタンとボタンの隙間に指を 引っ掛け、小さく開く。 「こんな所から指を入れたのか。まったく、よく思いつくもんだな」 「……すんません」 「それに、パジャマが涎でベトベトだぞ。よっぽど夢中だったのだな?」 「……すんません」  うう、冷静に思い返してみれば、オレと言うやつはどれだけ必死だったのやら。 惨めというか哀れと言うか……人としてかなり情けない。 「……もう少し頭を使っていれば、服を汚さずに済んだかも知れんと言うのに」  そう言って小さく微笑むとグゥは少し腰を浮かせ、ボタンの隙間に入れた指をぐっと引っ張り、 服をずらしていく。強引にずらされた隙間が腋の下あたりまで到達した時、その穴からぷるんと 小さな突起が零れ出た。 「────ッッ!」  ……ドクンと、心臓が飛び跳ねる。  半そでのシャツに長ズボン。普段よりもずっと露出の少ない格好をしているのに、ボタンだって きっちりと全て留められているのに。その小さな隙間から、女の子が最も隠さなくてはならない 部分の一つ、艶やかな桃色の突起だけがてらいなく晒されている。 「ほら、こうすれば……直接、出来るだろ……」  胸を張り、ずり、ずりと少しずつオレの顔に胸元を寄せる。  オレはその様子に身動き一つ取れず、ただ目を皿のようにして見守る事しか出来なかった。 「……ンッ」  そうしてすぐ眼前まで迫ってきた突起が鼻の先に僅かにかすり、ぷるっと揺れた瞬間…… プツンと、頭の中で何かが切れた音が聞こえた。 「わぅっ? ハ、ハレ!?」  オレは弾かれたようにグゥに飛びつき、圧し掛かる。ベッドに背中を倒したグゥの腰をまたぎ、 その小さな隙間からツンと見える突起に唇を寄せた。 「おっ、落ち着……ふぁぁッ!」  隙間に指を掛け、限界まで穴を広げその中に舌を挿し入れる。ぷくんと桃色に膨らんだ乳輪と、 その中心で固くしこった乳首を、舌全体を使って大きく舐め上げる。  突起の周囲の膨らみは乳房よりもなお柔らかく、舌を這わせると乳首が一瞬その中にくぷ、と 埋まり、すぐに舌の動きに引かれて戻ってくる。  そのまま先端部分にちゅぷ、と吸い付き、啄ばむようにちゅうちゅうと音を立てて吸い上げながら、 口内ではただ夢中でペロペロと、何度も何度もグゥの乳房に唾液を擦り付ける。舌の上に伝わる全ての 感触が、オレを興奮させた。 「……ふふ、赤ん坊みたいだな」  グゥはオレの頭を優しく撫で付け、吐息交じりにそう呟いた。 その手が少しずつ、スムーズに身体を滑り降りていく。 「ここは、しっかり男の子なのにな」 「───うぁっ!?」  グゥの手はあっと言う間にするりとズボンの中に侵入し、オレの分身を直接、きゅ、と握り込んだ。 ビクンと腰が跳ねるが、その拍子にぬるりと指先に先端を摩擦され身体の力が一気に抜ける。 「随分と濡れているな……」 「ふっ、うんん……、んむぅぅ……っ」  既に十全に先走りの汁が溢れていた先端部分を、ちゅくちゅくと音を立てて擦り上げられる。 その遠慮の無い無骨な動きに包皮が捲られ、腫れ上がった肉傘に指の段差がコツコツとぶつかる度に 自分の意思に関係なく肩や爪先がぴくんぴくんと跳ね上がる。  それでもオレの口はグゥから離れず、思わず嬌声を吐き出してしまう時にも下唇や舌は グゥの桃色の肌に這わせたままだった。 「いやらしい事を考えるとこうなるのか?」  分身の先端から分泌される粘液を塗り込むように撫で付けながら、ボソボソと耳元で囁く。 オレは乳首に吸い付いたまま上目遣いでグゥを見やり、ただコクコクと頷いた。 「ふむ……つまりグゥの事を考えるとこうなると」 「…………」  ニヤニヤと口端を歪め、ぎゅっと強く分身を絞り込み、オレに返答を促す。……このドS。 オレは顔を真っ赤にして強く頷いた。グゥも満足げにふむふむ、と頷き返し目を細めて微笑む。 「正直者にはご褒美をやらねばな……」  熱を帯びた瞳がゆらりと波を打つ。  グゥの手がオレの分身から離れたと思うと、グゥはもう片方の手もズボンの中に侵入させ トランクスごとするりと膝元まで下ろした。  オレは何の抵抗も出来ず、ただグゥの所作に身を任せる。もう、羞恥心なんてどこにも 残ってはいなかった。長く焦らされ続けたオレの分身はもはや限界まで張り詰め、その解放を 待ち詫びているのだ。  窮屈な場所から解き放たれ、外気に晒された粘膜部分は空気の流れすらも敏感に感じ取り、 ピクンと跳ねる。粘液に塗れた表面はスースーと涼しいが、内部に蟠った熱は上昇する一方だった。  グゥはそのまま両手を自らの腰に当て、身をよじりながらスルスルとズボンを下ろしていく。 パンツは残しているのか、と一瞬思ったが、違う。そこに残っていたのは真っ白な水着の跡だけ だった。勿論、オレの目には水着の跡だけじゃなくもっと大変なものも映り込んでいたのだが、 すぐに顔を上げた。今そこを凝視してしまったら、視覚刺激だけでオレの分身は簡単に爆発して しまうだろう。  ……ってか、何でいきなりグゥまで脱いでるんだ、おい。 「グ、グゥ……オレ、そこまでするつもりは……」 「馬鹿。何を勘違いしてる」  ブンブンと首を横に振るオレに、グゥは呆れ顔を返す。 「そのまま出されたらパジャマが汚れるだろう」 「……あ、そ……」  ……どうやら、オレの早とちりだったようだ。  確かに、このままじゃグゥのパジャマもズボンも、オレの熱情の迸りにベッタリと汚されて しまう事だろう。自宅ならともかく、それを洗濯するのはこのお屋敷のメイドさんたちなのだ。 そのまま手渡すわけには当然いかない。かといってこっそり洗面台などで洗うにしても、その 様を誰かに見られたらおしまいだ。例えばソレを見たのがメイドさんだった場合、彼女はまず こう言うだろう。私どもにお任せ下さい、と。そして屈託の無い笑顔で言うのだ。ご安心下さい、 ご他言は致しません。……想像するだに恐ろしい。 「……まあグゥとしては、ハレが獣のように襲い掛かってきたとしても、別にいいのだが」 「グゥ……。その気持ちはすごく嬉しいけど、別にいいとか投げやりな言い方されるとちょっとショックだよ?」 「ハレが父親の二の舞になっても、グゥは本望だぞ。……これでいいか?」 「うん、絶対に暴走しないよ。誓うよ。命に代えてもグゥの貞操は守るよ」  まだ、オレの中の防波堤は完全には崩れていなかったらしい。今さらながらも決意を新たに する事が出来た。ありがとう、保険医。オレは絶対、お前みたいにはならないからね。  グゥは足首まで降ろしたズボンをぺいっと蹴るように放ると、シャツのボタンにも手をかける。 一つ一つ、プチプチと淀みなく外していき、はだけたシャツの襟元に手をかけ左右に開く。  するりと袖から腕を抜き、上体を少し浮かせるとグゥはパジャマを背中から引っこ抜き ズボン同様にベッドの脇に放る。これで、グゥの身を包んでいたものは全て無くなった。  小麦色に焼けた肌。そのほんの一部、胸元の二つの三角形とそれを結ぶ線、そして首筋に 伸びる二本の線のみが本来の肌の色を残し、その透けるような白さや緩やかな丘の頂点に 色づく桃色の艶やかさがより際立って見える。綺麗、と言うより単純に、エッチだと思った。  目の前に今、生まれたままの姿のグゥがいる。そう思うだけで、簡単に先ほどの決意が 揺らぎそうになってしまう。主の気も知らず、びくんびくんと嬉しそうに跳ねる自分の分身が いっそ可愛らしい。 「おい、ホントに大丈夫か……流石に身の危険を感じるぞ、グゥも」 「……うう……だ、大丈夫だよ……ちゃんと、理性はあるから」 「ふむ……これはさっさと発散させてやらねばどうなるか解らんな」 「大丈夫だって……ふぁ!? ンッ……やぁ……ぅんぅぅッ!」  不意に、グゥの指先がつつ、と竿をくすぐるように滑った。そのまま裏筋から雛先までを 指の腹で何度も擦り上げられる。突然の刺激に腕の力が抜け、オレはグゥの胸元にその身を トスンと倒した。  頬の全体を包む柔らかで張りのある感触と、その中に一点だけあるポチっと小さな固い感触。 顔を少し持ち上げる。すぐ目の前にぷるんと飛び出た可愛い突起に迷い無く吸い付くと、オレの 分身を包む圧迫感が一瞬、きゅっと強くなるのが解った。  オレは乳肉に唇を埋もれさせたまま、舌で乳房全体を舐め上げ、ぢゅるる、とわざと音を立てて 吸い立てる。そしながらもう片方の乳房もぐにゅぐにゅと柔肉全体を掌で押し包むように揉み込み、 乳首を人差し指と中指の谷間でしごき上げる。  徐々に吸い付く箇所を敏感な突起のみに絞っていき、強く吸引したままちゅぽっと引き抜く。 水着の跡をなぞるように反対側の乳房まで舌を這わせ、そちら側の乳首にも吸い付き、舌先で ほじくるように突起を責める。  先ほどまで吸い付かれていた乳首は固く勃起し、指先で簡単に摘める程の大きさになっていた。 また唾液でとろとろに滑り、先端部分を摘み上げきゅ、きゅと強く捻ってもぬるりと指が表面を 滑っていく。逆に乳房の中に埋め込むように揉み潰し、先端を指の腹でチュルチュルと唾液を 塗り付けるように摩擦すると、グゥはそれが気に入ったのか絶え間なく漏らしていた嬌声を 一際強め、吐息交じりの甘くくぐもった声を上げる。  それに合わせるように、オレの分身への刺激も強くなっていく。  指で作った輪でカリ首をきゅ、と絞り込み、開いた傘の裏をなぞるように摩擦する。赤く腫れた 粘膜部分を掌で包み込み、すりすりと先端を磨くように撫で付ける。  オレからもカクカクと腰を振り、更に強い刺激を得ようとグゥの手に分身をこすり付けた。 グゥの手で作られた筒に向かって、まるでグゥ自身を犯しているように抽送を繰り返す。そんな 倒錯的な興奮も混ぜ合わさり、脳から直接分身の先端に向かって甘い痺れが流れ込んで行く。  ……いよいよ限界が近い。オレは更に腰の動きを早くし、くちゅくちゅと音を立てて その柔らかい手に粘液を擦り付け続けた。  グゥの胸元と、オレの下半身。二箇所から聞こえていた粘着質な水音にいつの間にかもう一つ、 ちゅくちゅくとテンポの速い、リズミカルな音が増えていた。ちらりと横目でその音のする方向…… グゥの下半身へと目を忍ばせる。  よく見ると、グゥの左手がその部分へ真っ直ぐに伸びていることに気がついた。オレのものを 弄りながら、自分の秘所をも慰めていたのだ。 「う……ぁ……」  急激に身体の熱が高まっていく。  オレはその指の動きに完全に心を奪われ、グゥの胸を責めるのも忘れ魅入ってしまう。 もはや、何もしなくてもグゥのその姿を見ているだけで達してしまうだろう。それでも 腰だけは動きを止めず、分身に物理的な刺激も与え続ける。 「も、もう……グゥ、…出る、よぉ……ッ」  身体中の熱が一気に分身の先端へと昇り詰める。このまま絶頂を迎えるべく、オレは更に強く 腰を振りつける。  ……が、次の瞬間、オレの腰はグゥの手によってぴたりと止まった。 「ちょっと、待て……もうちょっと…だけ……」 「ぐ、グゥ……?」  言いながら、グゥはオレの分身を絞り込むように握り締めてくる。その強烈な圧迫感に、 オレは腰を引く事も押す事も出来なくなっていた。  しかしその手の中で、オレのものは絶え間なくビクビクと脈動を続けている。この圧迫すらも 今のオレには快感としか伝わらない。もう、とっくに限界は来ているのだ。 「ふ、っく……ホントに、んっ、もうちょっと、だから……一緒に……」 「グゥ……」  静まり返った部屋の中で、グゥの左手だけが忙しなく動く。  その指先が激しく自らの秘所をまさぐる度に、ヌチュヌチュと粘液をこねる音が耳に届く。  ぷっくりと盛り上がったほっぺを手のひらで覆い、全体を揉みこねながら、中心にあるスリットを 指でなぞるように擦り上げる。人差し指と薬指で柔肉を押し広げ、中指の腹でちゅくちゅく粘膜をこする。 そうしながら、掌はスリットの上部を強く圧迫し、何かをこねくるように円を描いていた。 「んっ、ク、うン、ふっ、んん……ッ」  身体を小刻みに震わせ、甘い声を漏らす。細切れに吐き出していた息が段々とそのテンポを上げていく。 その様を眺めるオレの息も徐々に上がり、無意識に腰が動く。早く、オレもこの熱を放出したい。 「グゥ、グゥ……」  うわ言のように少女の名を呼びながら、ぐっ、ぐっ、と強く腰を押し付けるが、急所を抑えられ びくとも出来ない。それでも構わず、オレは何度も腰を振り続けた。尿意にも似たもどかしい 感覚に、下半身が麻痺したように痺れる。お預けを食らった犬のように、オレはただグゥのお許しが 出るまで腰をもじるしかなかった。 「い、いいぞ……も、もう、グゥも……ッ」 「───ッくあ!?」  不意に、分身に強烈な刺激が加わった。分身を包み込んでいた圧迫感が僅かに緩んだかと思うと、 グゥはその手に捻りを加えながら強くしごき上げたのだ。  オレは腰を振る勢いそのままに、その中に向かって自ら分身を強く突き込む。 「ハレ……ハレ……ッッ」 「……グ、ゥ……、ぅんんッッ!!」  そうして二、三度の前後運動にも耐えられず、限界まで張り詰めた膨らみはあっという間に グゥの手の中で盛大に破裂した。 「…っく…ふン……ンッ……ん…はぁ……」  かくん、かくんと何度も大きく痙攣する。その脈動に合わせ、分身からはドプン、ドプンと 大量の精液が溢れ出し、その身体をドロドロに汚した。その度にオレは小さく嬌声を上げ、 グゥの胸元に唾液の糸を引かせる。 「ひン……ふっ……ぅ…」  白濁した粘液を身体で受け止めながら、グゥもくぐもった声を漏らす。 視点の定まらない虚ろな目でオレを見詰め、全身をふるふると震わせていた。  もしかして、ホントにグゥも一緒に……?  そう思うと、目の前の少女がより愛おしく思え、今すぐにでも抱きつきたい衝動にかられる。 そんな主人の気持ちなぞそ知らぬ顔で、焦らされ続けたオレの分身はその開放の喜びを全身で 味わっていた。どれだけ溜まっていたのか、いまだ小さく脈動を続けている。 「は…あ……ぁ…」  射精感が完全に止むまでの間、オレはグゥの胸元に唇を這わせたまま弛緩した身体を預け、 余韻に浸っていた。 ****[[戻る<<>070901_7]] [8] [[>>進む>070901_9]]

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
記事メニュー
人気記事ランキング
目安箱バナー