おはぎと仮面と校内放送と私 ◆rnjkXI1h76



 恋太郎たちが体育館へと移動を始めたころ、学校の校門の前に一人の男が立っていた。
 男の名はハクオロ、恋太郎たちが暮らしていた世界とはまた違う――とある世界に存在する国家トゥスクルの皇である。
「学校――つまりは学び舎ということか……?」
 校門に掛けられていた看板にちらりと目を通すと、彼は校舎の方へと目を向ける。
「学び舎にしては随分と大きな建物だが……これだけ広い敷地と大きな建物ならば人の一人や二人はいるだろう……」
 そう呟くと、ハクオロは校門から学校の敷地内へゆっくりと足を踏み入れた。


◇ ◆ ◇ ◆ ◇


 ――場所は少し変わり、学校から少し離れた住宅街のとある一角。
 街灯と月明かりが薄っすらと夜の闇を照らすそこに時雨亜沙はいた。
(シアちゃん……)
 亜沙の脳裏には、あの時見せしめとして殺されたシアの姿とその時自分たちがいたホールに響き渡った稟の絶叫が何度もフラッシュバックしていた。
 亜沙にとって、シアは大切な友達の一人であると同時に、土見稟を巡る恋のライバル――『土見ラバーズ』の一人でもあった。
 ――そんなシアが、なんで殺されなければならなかったのか。
 シア、そして彼女より少し前に殺された、あのフカヒレというメガネ少年はただあそこにいただけだ。それなのに――――
「あのタカノって人は――――人の命を何だと思っているの!?」
 思わず亜沙は空に浮かぶ月に向かって怒りの声を上げた。その声は誰の耳にも届くことなく、月の彼方へと吸い込まれていった。

 ――再び辺りがシンと静まり返ると同時に、亜沙はがっくりとうな垂れた。
「どうして……本当に、どうしてこんなことになっちゃったのかな…………?」
 答えてくれる者などいないと分かってはいたが、亜沙の口からはそのような問いかけが呟かれる。
 ――そして、気がつけば両目からはぽろぽろと涙の雫がアスファルトに滴り落ちていた。
「うっ……ううっ…………!」
 亜沙は泣いた。いや、泣くことしか出来なかった。
 シアが死んでしまったことが悲しくて。そして、そのシアの『死』という結果を受け入れることしか出来ない自分に情けなくて。
 ただ、とても悲しくて……悔しかった。
『泣かないでください、亜沙先輩』
「!?」
 ――そんな時、ふいにシアの声が聞こえた気がした。
「シアちゃん……」
 亜沙はゆっくりと顔を上げる。
 もちろん、顔を向けた先にシアがいる、なんてことはない。
 だが、亜沙は気がついた。思い出した。――まだここには稟やネリネや楓がいるということを。

 ――そうだ。まだ、終わったわけじゃない。まだ全てが失われてしまったわけじゃない。

「そう……だね、シアちゃん。今は感傷に浸っている場合じゃあないよね……?」
 そう呟くと、亜沙はゆっくりと立ち上がり、自身のデイパックを開いた。
 出てきたのはひとつの鉄の塊――――サブマシンガン、イングラムM10。亜沙の支給品のひとつだ。
 もちろん、亜沙は殺し合いなどというこんな状況を認めたくないし、受け入れたくもない。
 だけど――だからこそ自分には出来ることがあるはずだ。

「待っててね、みんな……」
 そう呟くと、亜沙は再びゆっくりと前へ歩き出した。
「まずは学校に行こうかな? ここからなら近いし、みんなも自然と集まりそうな場所だしね」
 ――亜沙には分かっていた。自身のこの一歩一歩前へと進んでいる足が日常への別れを告げ、非日常へと足を踏み入れているものだということが。
「でも、それも未来永劫ってわけじゃあない……」


 この先、どのような運命が自分たちに待ち受けているかは、亜沙はもちろん誰にも分かるはずがない。
 ――しかし、そんなものは亜沙には関係無い。
「そう……。この先、どんな運命が待ち受けていようとも、ボクは時雨亜沙だもん……!」


◇ ◆ ◇ ◆ ◇


 舞台を再び学校に戻す。
 双葉恋太郎、そして一ノ瀬ことみ、四葉の三名は先ほどの簡単な打ち合わせの通り、校舎から少し離れた場所に位置する体育館へとやって来ていた。
「よし。じゃあ早速この中を調べていくわけだけど、二人にあらかじめ言っておきたいことがある」
「なに?」
「なんですか先生?」
「――もし、これから先俺の身に万が一のことが起きたときは、すぐに二人はこの校舎の敷地内から離れるんだ」
「な……!? な~に言っているんですか先生、それじゃ先生がすっごく危険なのデス!」
「うん。そんな酷いこと絶対に出来ないの」
 恋太郎の口から突然言われた話の内容にすぐさま二人は反論した。
 それでも構わず恋太郎は話を続ける。

「――確かに、酷な発想かもしれないが……、これから俺たちが突入するこの体育館が本当にタカノたちの拠点だった場合を考えてみろよ?
 俺たちはたったの三人しかいない。だけど、向こうは何人いるかは分からない。だから二人は自分たちの身の安全を第一に考えるんだ。
 俺を助けようとして三人全滅なんてことになってしまったら話にならない。それに――――」
 そう言ったところで恋太郎は話を一度止め、自分の首をチョイチョイと指差す。
 その指先にあるものは、もちろん参加者全員に取り付けられている爆弾つきの首輪である。
「――これがある以上、残念だが俺たちは真っ向からタカノたちに刃向かうことは出来ないしな……」
 そう言って恋太郎は軽く顔をしかめてみせる。
「……わかったのデス…………」
「そうか、それじゃあ早速…………」
「じゃあ、四葉たちは自分の身の安全を第一に考えて行動しながら先生をお守りするのデス!」
「は?」
「うん。それなら恋太郎さんも四葉ちゃんも私もみんな安全」
「あ、あのな……。――まあ、今言ったことは本当に万一の時の話だから別にいいけどさ……」
 そう言いながら恋太郎は体育館の扉に手を掛けた。

「――よし。じゃあ、1、2の3で突入するぞ?」
「はい、先生!」
「わかったの」
「1」
「2の……」
「3!」
 声と同時に恋太郎は勢い良く体育館の扉を開けた。


◇ ◆ ◇ ◆ ◇


「往人さ~ん、どこぉ……?」
 薄暗い森の中を神尾観鈴は一人さ迷い歩いていた。
 彼女がこの狂気の島を一人徘徊する理由はただひとつ、この島における自身の唯一の心の支えである国崎往人を見つけるためだ。
「うう……往人さ~ん……」
 観鈴はもう一度往人の名を呼んだ。しかし、その声も先ほどと同様、暗い闇の中にある程度響き渡るだけで終わる。
 これで往人の名を呼んだのはいったい何度目であろうか? 数十回かもしれないし、もしかしたら数百回かもしれない。
 ――その名前を口にするたびに観鈴の心に不安が広がっていった。

 ――――パァン!
「えっ!?」

 ふと、観鈴の耳に破裂音のようなものがひとつ聞こえた。
 その数秒後、さらに同じ音が続いて二回森に響き渡り、これも全て観鈴の耳に入った。
 ――観鈴はその音があの時ホールでメガネの少年が殺された時に聞こえた音と同じもの――――銃声であることにすぐに気がついた。
(もう殺し合いに乗っちゃった人がいるんだ……!)
 観鈴は恐怖した。もしかしたら、自分もあの時のメガネの少年のような最期を遂げるかもしれないと思ってしまい、身体中が震え出す。
(逃げなきゃ……今すぐここから離れなきゃ……!)
 そう思うや否や、観鈴は一目散にその場から駆け出した。


 ――――観鈴は知るわけがなかった。
 先ほどの銃声の正体が、自身の探していた国崎往人が鉄乙女との戦闘により生まれたものだということに。
 そして――――その往人が自身を守るためにこの殺し合いに乗ってしまったということに…………


◇ ◆ ◇ ◆ ◇


 ――――しばらく走ったところで観鈴は学校にめぐりついた。
 コンクリートでできているその建物は、暗い夜空によって不気味に彩られ、観鈴にはまるでファンタジーの世界などに登場する悪魔の居城のように感じた。
「う……夜の学校ってこんなに怖かったんだ……」
 観鈴はそう言いながら、おそるおそる校舎の中へと入っていく。
 もしかしたら、往人や自分のように殺し合いに乗っていない者がいるかもしれないと思ったからだ。

「――それにしても…………」
 校舎に足を踏み入れる直前、観鈴は足を止め、自分のデイパックからあるものを取り出し、それをじっと見つめた。
「なんでこんなもの支給するかなあ?」
 観鈴の手にあるもの――それは紙に包まれたいくつかのおはぎだった。観鈴に与えられた支給品のひとつである。
「食べ物ならもっと日持ちのするものがよかったのに…………」
 はあ、と一度ため息をつくと、観鈴はそれをデイパックに戻し、代わりにランタンを取り出すと気を取り直して校舎へと入った。


 校内に入ると観鈴はすぐに事務室を見つけ、そこで校舎内の案内表を見つけた。
 早速調べてみたところ、校舎は屋上を除いて四階建て。一階には事務室のほかに保健室、職員室、校長室、放送室、食堂が、二階には図書室が、三階には実験室があるとのことだ。
「ここは…………うん。放送室だね!」

 観鈴はなぜ最初は放送室に行くことにしたのか。それは簡単なことである。
 もし学校の敷地内、もしくはその周辺に殺し合いを望んでいない者がいた場合、そういった者たちに校内放送を使って非戦と状況打開を呼びかけるためだ。
 ――しかし、それがこの島においてどれだけ危険な行為であるかを観鈴は考えていなかった。いや、心の奥底に蓄積していた恐怖のあまり考えることなど出来なかった……


◇ ◆ ◇ ◆ ◇


「どうやら地図の通り、この辺り一帯はほとんどが森のようだな……」
 校舎の屋上でハクオロは地図を広げて学校の周辺を見渡していた。
 地図が本当に正確なものかどうかを確かめるためだ。
 そして、ハクオロが今言った通り、学校の周辺は森が広がっており、東の方からは薄っすらと光も確認できた。おそらく地図に載っていた住宅街の町明かりだろう。
「さて……これからどうするか……。オボロたちは多分大丈夫だろうが、エルルゥとアルルゥは急いで見つけ出さねば…………」

 ハクオロは考える。
 おそらくエルルゥもアルルゥも自分から戦おうなどとは思わないだろう。
 ならば、二人はどのような行動をするだろうか――決まっている。自分たちを真っ先に探そうとする。
 ――となると、それは危険だ。
 今は夜――殺し合いに乗ってしまった殺戮者たちにとってはこれほど獲物を狙いやすい時間はあるまい。
 そして、そういった者たちは真っ先にエルルゥたちのような非戦闘員――すなわち、か弱い女子供を真っ先に殺害対象にするだろう。
 あの二人が傷つき、苦しむ姿などハクオロは見たくもないし、考えたくもなかった。
「――――そうだな。私がやるべきことは既に――いや、最初から決まっていたな……」
 自分自身に対してそう呟くと、デイパックから二振りの刀を取り出すハクオロ。取り出されたのは彼の大切な仲間の一人であるオボロの刀。それが自身に支給されるとは、なんとも奇妙なめぐり合わせだ、とハクオロは思った。
(いずれこれはオボロに返さなくてはな……)
 刀を腰の帯に差すと、ハクオロは屋上を後にした。

 彼の最初に成すべき目標はひとつ――エルルゥ、アルルゥを何としてでも見つけて保護することだ。
 次に仲間たちや自分の他に殺し合いに乗っていない参加者たちとの合流、そして最後はもちろん、この殺し合いの主催であるタカノという女を倒すことである。

「私が行くまで無事でいてくれ、二人とも……」
『あー。あー。え……えっと、この学校とその周辺にいる皆さん、私の声が聞こえますか?』
「む!?」
 ハクオロが階段を駆け下り、一階へと戻ってきたその時、突然校舎中に少女の声が響き渡った。


◇ ◆ ◇ ◆ ◇


「――――どうだ? そっちの方は何か見つかったか?」
「ううん。何もなかったの」
「そうか……。俺の調べていた用具入れの方も何も見つからなかった」

 ――あの後、恋太郎たちが体育館に入ると、そこには誰もいなかった。
 その後、三人で体育館の中の様子を軽く見回してみたが、どうやらこの体育館は先ほど自分たちがいたホールではないということがはっきりした。
 つまり、恋太郎たちの当初の予想は残念ながら外れに終わったというわけである。
 それでも、何かタカノたちの手がかりになりそうなものが無いかと三人は体育館中を隈なく捜索してみることにした。
 ――が、これも残念ながら収穫なしに終わった。

「――さて、殺し合いが始まって一時間くらい時間が過ぎたけど、この後どうする?」
「四葉はすぐにみんなを探しに行くべきだと思うのデス」
「私もそう思うの。やっぱり三人だけじゃあこの先心細いと思うの」
「だよな……。じゃあ、近くの住宅街にでも行ってみるか? あそこなら人も集まりそうだし、商店街とかもあるから役に立ちそうなものが手に入るかもしれない」
 殺し合いに乗った奴も集まりそうだけどな、と付け加えると恋太郎は軽く苦笑いを浮かべてあらかじめ床に置いておいた自分のデイパックを肩に提げた。


『あー。あー。え、えっと、この学校とその周辺にいる皆さん、私の声が聞こえますか?』
「ん?」
 恋太郎たちが自分の荷物を手に取り、体育館を出るのとほぼ同時に、学校中に少女の声が響き渡った。

「……校内放送なの」
「なんデスか、こんな夜中に!?」
「二人ともちょっと静かにしてくれ、聞こえない!」
「はい。ごめんなさい」
 恋太郎の声に二人はすぐさま頭を下げて侘び、口を閉じて放送に耳を傾けた。
『え、え~と……私の名前は神尾観鈴といいます。皆さんと同じ、この殺し合いに参加させられてしまった参加者の一人です。
 私は殺し合いには乗っていません。他の人を殺そうとも、傷つけようとも思っていません。だって――私たちには大切な人たちがいるからです。
 もし、私が誰かを傷つけたら、きっとその傷つけられた人のお父さんやお母さん、友達は私を一生恨み続けるでしょう。
 逆に私が誰かに傷つけられたら、きっと私のお母さんや往人さんはその人を一生恨み続けるでしょう。
 ――そんなの私は嫌です。そんな血で血を洗う悪循環を生み出すことを私は望みません。なぜなら、憎しみは憎しみしか生まないからです。
 だから皆さんも、あのタカノという人たちの言うことを真に受けたりしないで…………
 え!? きゃああああああああああああああ!!』
「!?」
「えっ?」
 突然校内放送で流れてた観鈴という少女の声が悲鳴に変わった。

「――放送室だ!!」
 恋太郎はベルトに差していたS&W M60を手に取ると、すぐさま校舎へ向かって走り出した。
 それを追うように四葉とことみも駆け出した。


【E-4 学校/1日目 深夜】


【双葉恋太郎@フタコイ】
【装備:S&W M60 チーフスペシャル(.357マグナム弾5/5)】
【所持品:支給品一式、昆虫図鑑、.357マグナム弾(40発)】
【状態:健康】
【思考・行動】
基本:ゲームには乗らない
1・放送室へ向かう
2・沙羅と双樹、四葉の姉妹達、ことみの知り合いを探し出してみんなで悪の秘密結社(主催)を倒す
【備考】
※校舎の屋上から周辺の地形を把握済み

【四葉@Sister Princess】
【装備:なし】
【所持品:支給品一式、参加者の術、魔法一覧、虫眼鏡】
【状態:健康】
【思考・行動】
基本:ゲームには乗らない
1・恋太郎たちと放送室へ向かう
2・恋太郎の手伝いをする
3・姉妹達を探す
4・みんなで悪の秘密結社(主催)を倒す
【備考】
※『参加者の術、魔法一覧』の内容は読んでいません

【一ノ瀬ことみ@CLANNAD】
【装備:鉈@ひぐらしのなく頃に】
【所持品:レインボーパン@CLANNAD、謎ジャム@Kanon】
【状態:健康】
【思考・行動】
基本:ゲームには乗らない
1・恋太郎たちと放送室へ向かう
2・恋太郎たちと行動を共にする
3・朋也たちが心配


◇ ◆ ◇ ◆ ◇


 放送室にやって来た観鈴は、早速放送機材を起動した。
 ――――といっても、マイクの近くにあったボタンやスイッチを一通り全てオンにしただけなのだが……
「これで、大丈夫……だよね?」
 電源がオンになったのを確認すると、観鈴は目の前のマイクに向かって早速話しだした。

「あー。あー。え、えっと、この学校とその周辺にいる皆さん、私の声が聞こえますか?」
 自分の声がちゃんと放送されているか確認することもなく、観鈴は話を続ける。

「え、え~と……私の名前は神尾観鈴といいます。皆さんと同じ、この殺し合いに参加させられてしまった参加者の一人です。
 私は殺し合いには乗っていません。他の人を殺そうとも、傷つけようとも思っていません。だって――私たちには大切な人たちがいるからです。
 もし、私が誰かを傷つけたら、きっとその傷つけられた人のお父さんやお母さん、友達は私を一生恨み続けるでしょう。
 逆に私が誰かに傷つけられたら、きっと私のお母さんや往人さんはその人を一生恨み続けるでしょう。
 ――そんなの私は嫌です。そんな血で血を洗う悪循環を生み出すことを私は望みません。なぜなら、憎しみは憎しみしか生まないからです」
 観鈴の放送は順調に校内、及びその周辺に流れていく。
 ――しかしその直後、観鈴が予想もしていなかった事態が発生した。

「だから皆さんも、あのタカノという人たちの言うことを真に受けたりしないで…………」
「誰か、この部屋にいるのか?」
「え!?」
 背後から男の声。そして、放送室の扉が開かれる音――――
 おそるおそる振り返る観鈴。するとそこには――――

 不気味な仮面を付けた一人の男の姿が。

「きゃああああああああああああああ!!」
「いっ!?」
 次の瞬間、観鈴は思わず悲鳴を上げてしまった。
 積もり積もった恐怖心が決壊したダムの水のように一気にあふれ出してしまったのだ。


◇ ◆ ◇ ◆ ◇


(し……しまったーーーっ! 何をやっているんだ私は!?)
 悲鳴を上げた観鈴を前にハクオロは焦っていた。
 彼は放送を耳にすると、すぐさま一階の部屋から順に校内に自分以外の人がいることを知り、接触しようと観鈴を探していたのだ。
(こんな状況、しかも夜という時間帯で見知らぬ者が私の顔を見れば驚いて悲鳴を上げるなど目に見えていただろうに……!)
 ハクオロはどのような手を使っても決して取れない仮面をしている自身の顔を呪った。
「往人さん! 助けて、往人さあん!!」
 ハクオロがそんなことを考えている一方で、観鈴はと言うと、デイパックを頭の上に乗せ机の下に潜り込んで震えていた。
 どうやらハクオロのことを自身を殺しに来た殺戮者か何かと勘違いしているようだ。
(ま、まずは目の前のこの子を落ち着かせて私が殺し合いに乗っていないということを証明せねば…………)
 そうと決まれば、とハクオロは慌てずに観鈴に声をかけ、彼女を落ち着かせることにした。
「あ、あ~……君、驚かせてしまってすまない…………」


【E-4 学校(放送室)/1日目 深夜】


【神尾観鈴@AIR】
【装備:なし】
【所持品:支給品一式、おはぎ@ひぐらしのなく頃に(残り3つ)、他ランダムアイテム不明】
【状態:健康、恐怖】
【思考・行動】
基本:ゲームには乗らない
1・往人さん助けて……
2・往人と合流したい
【備考】
※校舎内の施設を把握済み

【ハクオロ@うたわれるもの】
【装備:オボロの刀(×2)@うたわれるもの】
【所持品:支給品一式、他ランダムアイテム不明】
【状態:健康、焦り】
【思考・行動】
基本:ゲームには乗らない
1・目の前の少女を落ち着かせなければ……
2・エルルゥ、アルルゥをなんとしてでも見つけ出して保護する
3・仲間や同志と合流しタカノたちを倒す
【備考】
※校舎の屋上から周辺の地形を把握済み


◇ ◆ ◇ ◆ ◇


『きゃああああああああああああああ!!』
「!?」
 学校へと向かって歩いていた時雨亜沙は、学校まであと少しというところで観鈴の放送を耳にした。
 そして、その放送から突然観鈴の悲鳴が聞こえたので、思わず足を止める。
 ――亜沙は考える。

 悲鳴が聞こえた。それはつまり、放送を流していた少女のもとに何者かが襲撃を仕掛けてきたということだ。
 すなわち、今学校には殺し合いに乗ったものがいるということになる。
 ――では、自身はこの後どうする?
 今すぐにでも学校に行って少女を助けに行くべきか、それとも見捨てて稟たちを探しに行くか…………
 確かに、今の自分の装備なら襲撃者を撃退することなんて容易い。しかし、自身が学校に着いたころには既に手遅れかもしれない……だが、それでも――――
「見捨てるわけにもいかないでしょ!?」
 右手に持っていたイングラムを握り締め、亜沙は目の前に見える学校に向かって一気にラストスパートをかけた。


【E-4 学校周辺/1日目 深夜】


【時雨亜沙@SHUFFLE!】
【装備:イングラムM10(9ミリパラベラム弾32/32)】
【所持品:支給品一式、イングラムの予備マガジン(9ミリパラベラム弾32発)×8、他ランダムアイテム不明】
【状態:健康、恐怖】
【思考・行動】
基本:ゲームには乗らない
1・放送を流していた少女を助けに行く
2・稟、ネリネ、楓と合流
3・同志を集めてタカノたちを倒す


【作品備考】
※観鈴の放送は学校の敷地内だけでなく、周辺の地域にもある程度聞こえました


025:傀儡のアセリア 投下順に読む 027:【二人の岐路】
025:傀儡のアセリア 時系列順に読む 027:【二人の岐路】
017:Detective Life 双葉恋太郎 056:連鎖する誤解~chain misunderstanding~
017:Detective Life 一ノ瀬ことみ 056:連鎖する誤解~chain misunderstanding~
017:Detective Life 四葉 056:連鎖する誤解~chain misunderstanding~
ハクオロ 056:連鎖する誤解~chain misunderstanding~
神尾観鈴 056:連鎖する誤解~chain misunderstanding~
時雨亜沙 056:連鎖する誤解~chain misunderstanding~






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