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はかないゆめ。きれいなゆめ。やさしいゆめ◆UcWYhusQhw


そしてボクは帰ってきた。
ボクが生きている世界へ。
大切な人達に生かされて戻ってくる事ができた。
大切な人を見つけ、失ったけど大事な事を教えてもらえたから、きっと大丈夫。
大切な人――純一が教えてくれたこと。
「どんな時でも諦めず、そして進み続ける事」
苦しい事もあるけどきっとこれを信じて生きていきる。
そう思うから。

でも逢いたいな。
もう一度。
あの純一に、理想を語ってくれる純一に。
あの優しい言葉でもう一度。
できる事ならあいつが言ってくれた夢。
できるのなら……もう一度。





ボクが連れ去れてから戻ってきたのにかかった時間は一ヶ月ちょっと過ぎだった。
唐突に失踪した竜鳴館の生徒会メンバー7人+鳥。
最初1週間ぐらいは彼らの悪ふざけだろうと世間はそう思っていた。
でも、なごみの証言でそれはありえない事になる。
なぜならなごみが失踪当日、用事で生徒会室出た時には全員揃っていたらしい。
が、忘れ物に気付いて戻った時、ボクらはいなかった。
その時間、約3分。

時間が短すぎる。
その短すぎる時間に何があったか、警察は調べ始めた。
だけど手がかりなど見つかるわけも無く捜査は混迷。

そんな時ボクが帰ってきた、一人で。
唐突に、生徒会室に寝てたらしい。
その後すぐにボクは警察に何があったか取り調べを受けた。
でもボクは「覚えてない、よく分からない」だけしか言わない。
あんなこといえる訳が無い、あんな事言えるもんか。
絶対信じてもらえないし。
変な目で見られて思い出を崩されるよりも大切に一人で憶えていたかった。

今は警察が、何者かが拉致、監禁と決め付け事件を調査を続けている。
でも、ボクは言った、もう他のメンバーは帰ってこないと。
そして事件は拉致、監禁、殺人事件とされた。
でも解決する事は無いだろう。
だって違う世界での話なんだから。
ボクにとって意外だったのは両親がボクが帰ってきたのを泣きながら喜んでいた事。
本当に予想外だった。
いなくなってそんな家族の思いを知るなんて何て皮肉。
とても滑稽な話だった。


そして、今。
3年の新学期。
ボクが何をしてるかというと……

「ほら……会長……何寝てるんだ。まったく……いつまでも甲殻類は甲殻類だな」
「おお……つーか甲殻類って言うんじゃねーよ! このココナッツ!」
「ふん……変わらないな……さあ新入生に挨拶だ。先にいってるぞ」

なぜか姫のあとをついで生徒会長をしている。
姫がいない後竜鳴館はガタガタ。
元の生徒会の人達が戻ろうとしたけどボクはそれを許したくは無かった。
あの大切な空間を崩したくない。
その一心でボクは立ち上がった。
当初は凄まじい反発。
当然かもしれない。前のボクからはできそうもなかったのだから。

でも諦めるなんて事は無い。
それは純一から教わったから
そしてボクも成長したんだから。
徐々に人望もついていきそして遂には会長に。
副会長ににはココナッツが。
最初は激しく拒絶されたが、諦めずずっと説得していた。
そして遂に折れ就任。

あの姫が作った空間は姫を初めとする殆どのメンバーがいないけどしっかり残ってる。
ボクが伝えていく。
それが残されたボクの使命であるかのごとく。

不意にあのまえの生徒会の風景が頭をよぎった。
もう、戻ってこない。
でも、大切な思い出。
レオもスバルもフカヒレもいないけどきっと大丈夫。
しっかりと進んでいけるはず。
そう思って。

だからボクは精一杯仕事をこなす。
それが蟹沢きぬ新生徒会長の責任。
だから行こう。

そして部屋を出る時にふと見えた新聞の記事がすごく目を引きボクの予定を決めるものとなる。

『枯れない桜が咲く初音島。桜のシーズンでも変わらず満開』





「やっと……ついたか……暖かいなここは」
ボクはフェリーから降り一息つく。
空は快晴。
とても澄んだ空気だった。
ボクが今いるのは初音島。
そう純一が住んでいた所だった。
まさかここにもあるとは思わなかった。
新聞記事を見なきゃ気付かなかったかもしれない。
ボクはゴールデンウィークを使ってここまで来ていた。
理由は単純。
純一の住んでいたところに見てみたかったから。
ばあちゃんに終わった事を告げたいから。

だからここへやってきた。
そして夢で見た桜公園に向かう。
早く逢いたいなー。
なんだけど
「……迷ったよ。ここどこだ?」
例の如く迷っていた。
神社みたいけだけど……。
あ、あそこに巫女さんがいる。
きいてみるか。
「すいません……ちょっと聞きたいんだけどさ」
「はい? なんでしょう……っ!?」
その巫女は長い黒髪をした綺麗な人だった。
なにやらボクを見て驚いてる。
如何したんだろう?
なんか顔についてんのか?
「ん……? ボクの顔になんかついてんのか?」
「いえ……なんでもないです……それで何か?」
「ああ……桜公園ってどういくんだ?」
「それなら……」

その巫女―環というらしい―は直に行き方を教えてくれた。
いや、近いじゃん。
何で迷ってんだよ、ボク。

「ありがとうな」
「いえ……たいしたことではありません」
環にお礼を言って僕は去ろうとする。
さあ行こう。
「あ……ちょっと待ってください」
行こうとするボクに環が止める。
なんだろう?

「その朝倉様は……最期はどうでした?」
「!?」
どうしてそれを!?
ボクは信じられない風に口をぽかんとあけ驚く。
どうして誰も知らないことを?
「私は予知能力があるんです……一年前ぐらいに朝倉様が死ぬという予知をそして彼は失踪しました……
 そして昨日、朝倉様の最期を知り、彼が大切にしたオレンジの髪をした少女来ると予知したんです」
「まさか……」
「本当です……それで朝倉様は?」

ボクは隠せない、と思って話し始める。
だってこんなにも熱心なんだから。
「純一は……最期まで諦めなくて最後まで進んでいたよ。そしてボクを救った、ボクの大好きな人だよ」
「そうなんですか……朝倉様は最期まで……そう」
「だからボクも諦めずに生きていくんだ……そう誓ったから」

環は悲しそうにでもどこかふっきったような顔を浮かべ
「ありがとうございます……朝倉様は最期まで朝倉様だったのですね……なんか楽になりました」
「環……」
「いえ……いいんです。それでは失礼します」
環はそのまま去っていった。
最期に涙を浮かべながらも笑いながら。




ボクはそのまま教わった通り桜公園に辿り着く事ができた。
何も変わらない。
ボクが夢に見たとおりの桜公園。
もう五月だというのに桜がまっている。
とても不思議な風景だった。
そしてボクは夢に見たとおりのままクレープを買う。
夢の通り甘く美味しかった。
純一は傍にいないのが少し寂しいのだけど。
そしてだんだん奥へと進む。
何もかも夢で見たままの風景だった。
変わることのない桜が咲いている。

そして辿り着く。
「うわあ……相変わらずすげーな……あの時と変わらない」
純一の祖母の桜はかわらず大きく咲いていた。
あの時枯らした筈なのに。

でも直に答えは辿り着いた。
バラレルワールド。
時深が言ってたのだと思った。
だからすんなりと納得がいって
「ばあさん……終わらしたぜ……しっかりと全部……全部」
桜の樹に話しかける。
まったく違う祖母さんなんだけど伝えたかった。
どんな風にボク達が頑張ってきたかを。


ボクはそのまま一人で話し続けていた。
ディーに対してどうしたか……間違って瑞穂のやつをみてしまったとか。
ずっと……気の済むまで。
どれくらいたったのだろうか。
すこし日が落ちてきた気がする。

「まあ……そんな感じでさ……きいててありがと」

そして話し終える。
なんか凄く疲れた。
でもとても充実している。

唯一つ不満があるというのなら
「純一に逢いたいな……もう一度……できるのなら」
純一に逢いたい。
話してる間にもっと逢いたくなった。
もう一度。
……もう一度だけ。







「んあ……ここは?」
ボクが目を開けるとそこはなんか霞がかった世界。
これは夢なんだと直に理解できた。
何度も経験してるし。
何だ寝ちゃったのか……また。

そして辺りを見回した瞬間ボクは見つける。
もっとも逢いたい人に。
そう
「純一!」
純一だった。
変わらない姿で。
いつものようにそこにいた。

ボクは駆け寄った。
やった逢えた。
夢でも十分。
だって約束したんだから。
夢で逢おうって。
やっと叶う。
嬉しい……とても、とても。
大好きなんだから。

「純一!」
純一は振り返る。
どんな事、話そうかな。
少しでも長く話せたらいいな。
夢が醒める前に。

「純一……あのな」
「……お前、誰だ?」
……え?
どういうこと?
どうして?
純一はボクの事知らない?
解らないぜ……

「だれってきぬだよ……蟹沢きぬ! おめーそんな事も忘れたのか?」
「いや……知らないって」
「おい……嘘だろ」
違う……こんなの純一じゃない。
ボクの知ってる純一じゃない。
違う!
嘘だよ!

……ああパワレルワールドなのか。
これも。
ボクのことを知らない純一なんだ。

なんだよ……こんなんだったいいよぉ。
見せなくて。
……切なくなるだけだよ。
だって、だって、だって!
もっと逢いたくなるだろう!
あの純一に!

「用が無いなら帰るぞ」

いや……
いやだ。
いかないで、こんなん嫌だ。
こんな夢見たくない。
嘘だ……。
嫌だよぉ。
馬鹿ぁ……

馬鹿ぁ……

「夢であうなんか……嘘じゃんか! ばか……ばかぁぁぁ!!!」

ボクは泣き叫ぶ。
ただ悲しくて。
こんなん見たくなかった。
切なすぎるよ。
もっともっとあいたくなる。
だから
「うわあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ボクはただ泣くだけ。
泣き止むことなく。
ただ悲しみに染まるだけ。

ああこんな夢なんか見たくなんか無かった。
こんな悲しみを味あうならいっそ綺麗な思い出のままで。
なのに、どうして……
苦しすぎる。

そして目の前が明けてくる。
夢の終わり。
悪夢が醒めるんだ。

目を明けた先には変わらず大きな桜が。
憎たらしいぐらいに咲き誇ってる。
ボクは怒り、悲しみどっちも同居したような感情に襲われ

「テメー……ふざけんなよ。こんなの見せんなよ……こんな悲しいんだったら……苦しいんだったら! 綺麗なままでいさせろよ! 
 こんなん見たら……逢いたくて……逢いたくて……止まらなくなろだろう! うあ……うあああああああああああぁぁぁぁぁ」

目の前の桜を殴りつけ始めた、泣きながら。
なんで……だよ。
ボクはささやかな夢を持っちゃ駄目なんかよ。
こんな……苦しい思いをするなら。
ボクはもう何も求めない。

悲しい……苦しいよ。

……純一。







私は焦っていた。
目の前の少女の笑顔が見たくて私は力を使った。
そう純一の投影を見せる為。
でも私が知っていた純一は失踪する直前のもの。
だからその純一は彼女の事を知らなかった。
たぶん……きっと失踪した後にあったものだと思う。
そして彼女の話した話によると私は枯れていたらしい。
考えられるのは一つ。
パラレルワールド。
そこに純一は連れて行かれこの子に出会ったんだと思う。

だとしたら彼女には悪い事をした。
如何すればいい……私は。
彼女に笑顔を見せるにはどうすれば。
……おや?

彼女の持つボタン。
懐かしい魔力が感じる。
これは……純一!?

もしやそこに純一が……!
だけど純一の意志は全く感じない。
なら何故?

そしてふと優しい気持ちが感じられた……ボタンから。
これは……思い出。
彼女と純一がすごした優しくとても綺麗な思い出。
それはなんとも儚く美しい。
そういえるものだった。

……これならいける。
彼女に笑顔を。
もう一度純一を。
今度は間違えない。
望んだ姿を。

さあ今こそ魔法使いの優しい魔法だよ。

御覧なさい。

優しい魔法を。






ボクがまた目を開けるとまたどこか霞がかったような場所にいた。
また夢?
いやだ。
もう……苦しい思いなんかしたくない。
ボクはせめて優しい思い出だけでいいんだ。
辛いおもいなんかいらない。

そんなボクの想いとは裏腹に見覚えのある影が。
そう純一。
でもきっとボクの事知らない。


嫌だ。
怖い。
もう、あんな想いしたくなんか無い!
やめてよぉ。
お願い……お願いだから。

純一は笑いながらこっちに来る。

ねえ……やめろよ。
辛い思いなんかしたくない。
怖いよう……。

そして

「頑張ったな……蟹沢」

え?

抱きしめられた?

え?

まさか?
これって……

そう考えた瞬間、唇が塞がる

「!?」

……キス……された。
純一に。

ああ。

これはあの純一なんだ。
間違えることなく。

嬉しい。
ただそれだけ。
たとえ夢でも。

ボクの願いは叶った。
うん……かなった。

ボクは純一の背中に手を回す。
うんこれでいい。

夢はいつか醒めるけど……でもその時まではこのままで。
ずっと、ずっと。


願いは叶った。
想いは伝わった。

ずっとずっと恋焦がれたもの。

涙が止まらない。

大好き……大好き。

いつか醒める夢。
だけどその時まで純一の恋人で。
ずっとこのままで。

大好きだよ……純一。


夢でまた会って、そして願いが叶った。
最高の魔法。
それはきっと頑張り続けたきぬに対する贈り物。






あれから15年位たったかな。
ボクは今何をやってるかというと

「先生ー! こっちだよー!」
「はい、はい。今行くよ」

ボクは孤児院を開いて院長をやっている。
そうボクは伝える為に。
純一のあの諦めずに進んでいく生き方を。
あのボクが思った夢を。
辛い思いしてる子供達に。
教えている、ここで。

色々大変な事もあるけど充実している。
もう何人か巣立っていった子もいる。
その子達はちゃんとあの生きかたどおりにいきてる。

純一の想いはちゃんと伝わってるよ。

ボクはあの後、親から結婚を勧められたりするけど全部断ってる。
親はこの仕事に理解を示して援助もしてくれる。
感謝の限りだ。
結婚の誘いもその一環だ。
辛さを軽減する為にと。

でもそれだけは受け入れられない。
ボクの好きなれるのは純一だけ。
それはあの夢の出来事から変わらない。
ずっといつまでも好きだからね。

純一。

「ねーね? ママ。このボタンなあに?」
「これはね……レオナは先生の好きな人から貰ったのよ」
「へえ~じゃあパパ?」
「えっ……そう……なんかな」
「じゃあ聞かせてパパの話!」

この子はレオナ。
レオからあやかってつけた名だ。
この子は赤ん坊の時からここに居た。
だからボクの事、ママと呼んでいる。
なんか恥ずかしいけど嬉しい。

「そうね。その人はどんなに諦めずに生きていた強い人だったのよ……準也、貴方の名前もそこから取られたの」
「そうなんだ~」
この子は準也。
純一からあやかった名。
レオナと同じく赤ん坊から。
少しのんびりした子である。

「それって僕の名前から取られた人同じ感じ?」
「そうね。つばめ。命の恩人よ」
つばめ。
ヒエンからとった。
彼の刀は部屋に飾ってる。


「すごい、すごい……もっと教えて!」
「そうねえ……後、優しい人なのよ……貴方達もそうなるのよ」
「うん! パパみたいになりたい! 私!」

ねえ聞いた? 純一?
この子、貴方みたいになりたいって。
嬉しいな。
しっかりと根付いてるよ、貴方の生き方。

大丈夫だから心配しないで。
貴方の生き方はこの子達に。
そしてまたその子達に。
どんどん伝わっていくから。

だからボクがいくまでしっかり見てて。
頑張るからボク。
諦めずにいきるから。

「ねえ~もっと教えて!」
「仕方ないわね……そうね……」

いつまで好きだから純一。

だから今はささやかな幸せを。
この子達に囲まれて。
純一の想いを継ぐ子達の中で。
優しいままで。

ボクは生きる。


【つよきす -Mighty Heart- To the next generation】



218:また、何時の日か 投下順に読む
218:また、何時の日か 時系列順に読む
213:手を取り合って飛び立っていこう 蟹沢きぬ




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