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解放者――ウィツァルネミテア――(後編)◆guAWf4RW62


「ハ――フ――――ハア、――――――ハア……」

きぬは乱れた呼吸を整えながら、倒れ付す仮面兵の亡骸を眺め見た。
強敵だった、と云って良い。
仮面兵が見せた身体能力は、完全に生物の限界を凌駕していた。
今回は何とか打倒する事が出来たが、自分一人ではとても勝てなかっただろう。
こうしている間にも、他の仲間達は苦戦しているに違いない。
きぬは直ぐにでも助太刀しに行こうとしたが、そこで優の視線があらぬ方向へと注がれている事に気付いた。

「おめー、何処見てんだ?」
「…………」

声を投げ掛けてみても、返事は無い。
仮面の奥に見え隠れしている優の瞳は、明らかな戦慄の色に染まっている。
きぬは事態を把握すべく、優の視線を追って――瞬間、呼吸が死んだ。


「ディー……」


意図せずして、酷く掠れた声が喉奥から零れ落ちる。
きぬの眺め見る先には、静かに近付いて来るディーの姿があった。
それは、最強を誇る怪物だ。
一秒でも長く生き延びようと思うのならば、決して事を交えてはならない存在だ。

「勝てぬと理解していながら、尚も抗い続けるか……。ならば、我自らの手で引導を渡そう」
「…………ッ」

余りの絶望に、きぬの頬は一瞬にして血の気を失った。
仮面兵相手ならば、未だ良い。
きぬ程度の身体能力でも、そして常識の枠を出ない装備でも、抵抗する事くらいは出来る。

しかし今眼前に居る怪物は、まるで桁が違う。
アブ・カムゥに匹敵する巨体、怖気を催す禍々しい外観。
こうやって向かい合っているだけでも、眉間に銃を押し当てられているような錯覚を覚える。
この怪物には、アセリアと武が二人掛かりで挑んでも勝てなかったのだ。
自分如きの実力では、戦いにすらならない。
起こり得るのは、一方的な虐殺のみだろう。

「そう……アレが、鷹野を操っていた黒幕なのね」

黒幕が誰かを未だ知らなかった優が、しかし確信を抱いた様子で呟いた。
考える必要など無い。
五臓六腑にまで伝わってくる圧倒的な死の気配が、全ての元凶はあの怪物であると物語っていた。

「蟹沢さん、貴女は倉成を連れて下がってなさい。此処は私一人で戦うわ」
「なっ……、一人でなんて――」
「二人で戦おうが結果は変わらない。どうせ勝てないのなら、一人ずつ戦った方が時間を稼げるでしょ?
 だから、この場は私一人で戦うのが最良なのよ」
「…………っ」

きぬは優の無謀な行いを制止しようとしたが、直ぐに掛けるべき言葉を失ってしまった。
優の云っている事は、決して間違いではない。
二人掛かりで立ち向かった所で、ディー相手では一纏めに屠られてしまうだけだろう。
それならば一人ずつ戦った方が、武の回復に必要な時間を多く稼げる筈だった。
躊躇している暇など無い。
きぬが武を抱えて後退するのと同時に、優は数歩前へと歩み出た。

「さあ、怪物同士の戦いといきましょうか?」
「……汝は娘を守る為、鷹野の従者として働いていた筈。今更感情に流されて、全てを棄てるつもりか?」

鷹野は死んだ。
しかし黒幕のディーが生きている限り、殺人遊戯は何度でも行われるだろう。
此処で優がディーに従わなければ、娘にまで魔の手が及ぶ可能性は十分考えられる。
それでも優は、何の迷いも無い声で云った。

「――棄てるつもりなんて毛頭ないわ。私は大切なモノを全部守る為に、正しい道を選んだのよ」
「ほう……では汝の選び取りし道とやらを、見せて貰おうか」

未だ多くの人間達が、仮面兵と死闘を繰り広げている中。
全ての禍の元凶と、嘗て仲間を見捨てた者が対峙する。
睨み合う事数秒。
ディーの巨体が跳び、それと同時に優が駆け始めた。
両者の間には数十メートルもの距離があったというのに、ディーは只一度の跳躍で、優の頭上にまで辿り着いていた。

「くう―――――」

上空より迫り来る巨大な拳。
優はキュレイと仮面の力を総動員して、人間離れした速度で大地を疾駆する。
轟音と共に、一秒前まで優の立っていた場所が砕け散った。
大きく皹割れた大地の惨状は、まるでミサイルか何かでも打ち込まれたかのようであった。
正しく驚愕すべき破壊力だが、ディーの猛攻は未だ終わらない。
ディーが着地した瞬間には、もう次の拳撃が優に向けて放たれていた。

「…………っ!」

半ば本能的に屈み込んだ優の頭上を、旋風じみた一撃が通過してゆく。
紙一重の所で命を繋いだ優は、一旦距離を確保すべく後方へと飛び退いた。

「っ――――」

優は内心舌打ちしたい気分だった。
あれ程の巨体であるにも関わらず、ディーの速度は優を上回っている。
これではどんな攻撃を仕掛けようとも、ディーが豪腕を一振りするだけで叩き潰されてしまうだろう。

だが、正面から戦う必要など無い。
優の目的は武が回復するまでの時間稼ぎであって、ディーを打倒する事では無い。
故に優は無謀な特攻を試みたりはせず、ディーを中心として円を描くような形で疾駆する。
その間にも二度、三度とディーが拳を繰り出して来たが、十分な距離を保っているお陰で回避する事が出来た。
しかしディーも、優のやり方に何時までも付き合ったりはしない。

「あくまで時間稼ぎに徹するつもりか。だが――」
「な…………ッ!?」

ディーの右腕が伸び、掌が大きく開かれる。
掌が向けられた先には、きぬに抱えられた武の姿。
一秒にも満たぬ予備動作の後、唸りを上げる光弾が掌の先から放たれた。

「やば――――!」

油断無く戦いの動向を確認していたきぬが、自分が出し得る全筋力を総動員して、武を抱えたまま横に疾走する。
必死の回避行動が功を制して、迫る一撃から何とか身を躱す事が出来た。
しかし人を抱えた状態では、いかんせん限界がある。
連続して光弾で狙撃されれば、やがて直撃を受けてしまうであろう事は、火を見るよりも明らかだった。
ディーは視線を優へと戻し、何処までも冷酷に告げる。

「……理解したか。そのような逃げ腰では、我を止める事など出来ぬぞ」
「くっ…………!」

これで、逃げ道は塞がれた。
優が攻撃しようとしなければ、ディーは何ら躊躇う事無く標的を変更するだろう。
最早選択肢など無い。
自殺行為だと理解しつつも、優には攻め続けるしか道が残されていなかった。

「、ああああああああ――――――!」

優は腰を深く落とし、『死』目掛けて一直線に疾走し始めた。
それを待っていたかのようなタイミングで、ディーの右拳が振るわれる。
人体を上回る程の巨大な鉄槌の薙ぎ払いが、側面から迫る。
優は怪物じみた跳躍力で上空に逃れたが、そこでディーの左手が眩いばかりの閃光を放った。

「羽を持たぬ汝の身で、これが避け切れるか――!」

宙に浮いたままの優を破壊し尽すべく、次々と光弾が発射される。
優も懸命に身を捩って逃れようとするが、殆ど身動きの取れぬ空中では躱し切れる筈も無い。
一発目と二発目の光弾は空転させたものの、三発目が左足を掠め、四発目で右手首から先を消し飛ばされた。

「あ、づぅぅぅぅ…………!」

常人ならば発狂しかねない激痛の中、尚も優は抗い続ける。
両の足で地面に降り立って、間髪置かずに前方へと走り出した。
またしても襲い掛かってくる光弾を、刹那のサイドステップで回避する。
そのままディーの懐にまで潜り込んで、残された全力を振り絞って飛び跳ねた。

「二度同じ間違いを犯すとは愚かな――砕け散るが良い」

跳躍した優の隙を狙って、ディーの右拳が横薙ぎに繰り出された。
羽を持たぬ身では、絶対に回避しようのない攻撃。
しかし優はもう避けようとはせず、寧ろ全力でディーの拳を蹴り飛ばした。
右足が文字通り粉々に砕け散るのにも構わず、反動を活かして更なる高みへと飛翔する。

「む――――――!?」
「ヤアアアアアアアァァァァッ!!!」

唯一無事な左腕で、しっかりと剣を握り締める。
既に剣を振るえば届く位置だが、胴体を狙った所で傷一つ付けられぬだろう。
狙うべき箇所は只一つ、ディーの目だ。
ありとあらゆる生物に共通する弱点を狙えば、彼我の戦力差がどれ程あろうとも、十分な損傷を与えられる筈だった。
このままでは終われない。
まだまだ、自分の犯した罪を償い切れていない。
勝てないにしろ、何も成し遂げずに逝くなど許されない。
優は一矢報いるべく、渾身の剣戟を放とうとして――――『絶望』を見た。


「――――あ、」


黒い孔。
優の前方で、ディーの口が大きく開け放たれていた。
そこに収束するは、先程までの光弾を遥かに凌駕する強大な魔力。
放たれた魔力の塊は燃え盛る黒炎となりて、優の胴体の半分近くを消し飛ばした。



宙に舞い散る、夥しい量の血。
呻き声一つ上げる事無く、優は後方へと弾き飛ばされてゆく。
そのまま地面に叩き付けられ、糸が切れた人形のように倒れ伏せた。


「――――優さん!!」

絶望的な事態を察知した瑞穂が、一も二も無く救援に駆け付けようとする。
しかし今は激しい乱戦の最中であり、そう自由に動かせて貰える筈も無い。
傍に居た仮面兵が、直ぐ瑞穂に向けて攻撃を仕掛けてきた。

「……っこんな、……こんなのって……!」

瑞穂は足を止め、仮面兵の攻撃を捌きながら、ぎりぎりと奥歯を噛み締めた。
即座に救援を行うのは不可能。
疲弊した仲間達が何とか持ち堪えられているのは、各自が各々の役割を全力で遂行しているからに他ならない。
今瑞穂まで仮面兵との戦いを放棄すれば、一気に戦力バランスが崩れ、次々と仲間が殺されてしまうだろう。
故に瑞穂が取り得る選択肢は、一秒でも早く仮面兵達を打倒して、それから救援に向かう事だけだった。
他の仲間達も一様に激戦を繰り広げており、手の空いている者など居ない。
この場で自由に動ける状態なのは、きぬ一人。


「く……畜生……っ!」

忌々しげに唇を噛み締める。
優が敗れる様を目の当たりにしたきぬは、只一人でディーに立ち向かおうとしていた。
勝ち目が無い事など分かっている。
自分が戦った所で殆ど時間を稼げない事も、十分に理解している。
しかし今自分が戦わなければ、確実に優はトドメを刺されてしまうだろう。
優は最早助かるような状態では無いが、仲間の為に命懸けで戦ってくれた人間を、このまま見殺しに出来る筈も無い。

「純一……ゴメン。約束……守れそうにないや……」

純一は生き続けてくれと云っていたが、もう自分の命運は尽きたようなものだろう。
だから誰にも聞こえないよう、小さな声で謝罪の言葉を口にした。
一種の諦観を抱きつつも、前方に佇む怪物との距離を縮めてゆく。

だがその最中、きぬはある事に気付いた。
今自分は確実に間合いを詰めていっているのに、ディーの視線はこちらを捉えていない。
寧ろもっと向こう側を、じっと睨み付けているかのようであった。
不思議に思ったきぬが後ろへ振り返ると――そこには、再び立ち上がった武の姿があった。


「…………武?」

半ば呆然としたまま、きぬは疑問形で呟いた。
きぬの眺め見る先では、確かに武が『時詠』を握り締めた状態で屹立している。
しかし武の纏っている雰囲気は、以前とはまるで別物のように感じられた。
きぬの直感を肯定するかのように、ディーの態度にも異変が生じる。

「倉成武――そして『時詠』……目覚めてしまったか」

今まで一度も感情らしい感情を見せて来なかったディーが、心底忌々しげに吐き捨てた。
全長五メートルを越えるディーの巨体からは、以前に倍する程の殺気が放たれている。
圧倒的なその殺気を前にしてしまえば、並の人間ならば恐怖で身体が硬直してしまうだろう。
しかしそんな圧力でさえも、今の武を動揺させるには至らない。
武はディーを一瞥すらせずに歩いてゆき、倒れ伏せている優を抱き起こした。

「……優」
「ぁ……、くら……なり……」

武の腕の中で、優がゆっくりと口を動かした。
仮面の奥に見え隠れしている瞳からは、既に光が消え失せつつあった。
優は武の頬にそっと手を添えてから、酷く自嘲気味な笑みを浮かべた。

「見てよ……私の顔……。まるで化け物みたい、でしょ……。仲間を裏切った私に相応しい……姿。
 沢山の人達や、つぐみが死んでいくのを……黙って見過ごした……私に相応しい……罰」

優の首筋には幾多もの触手が張り巡らされているし、仮面で覆われた顔は悪魔のようにしか見えない。
これ程負傷して未だ息絶えていないのは、通常の人間では有り得ない。
紛れも無く人外。
目的の為に全てを棄てた、哀しい悪鬼の成れの果て。

「私、やっと自分の過ちに気付けたけど……、ちょっと……遅過ぎたみたいね。
 もう私には……、人間として生きていく『資格』なんて残されていない……」

優は思う――自分に未来を生きる『資格』など無いと。
自分は多くの人間達が苦しみ倒れてゆく様を、助けようともせずに傍観していた。
嘗て生死を共にした小町つぐみすらも、見殺しにしてしまった。
だから命懸けで武を救って、犯した罪の一%でも償って、それで終わり。
後は怪物じみた姿のまま息絶えるのが、自分に相応しい最期だと思っていた。
しかしそのような幕引きを、武が認める筈も無い。

「――馬鹿野郎!!」

可能な限りの大声で、武は叫んだ。
生きている限り、何度でもやり直せると信じてるから――
今まさに息絶えようとしている優に向けて、自身の想いを真っ直ぐに伝える。

「……生きる『資格』なんて、そんなの必要ねえ!! お前は間違いに気付けたんだ……だったら、生きて償えば良い!
 生きている限り、生きろ優! 他の誰が認めなくたって、俺はお前が生きるのを許す!!」

紡がれた武の言葉は、確かに優の心へと届いだ。
溢れんばかりの想いを受けて、優が口元を微笑みの形へと歪める。

「フフ……やっぱり、倉成は……優しいね……。だけど…………ごほッ……!」
「――――優ッ!」

そこで、優が口から大量の血を吐き出した。
キュレイウイルスによる生命維持も、最早限界。
胴体の半分近くを失ってしまっては、永遠神剣による治療すらも不可能だった。
優は残された力を振り絞って、最後の願いを告げる。

「……貴方ならきっと……娘を、そして皆を……正しい未来に……導ける……から……」

精一杯の想いを籠めて――
十七年分の想いを籠めて――


「……お願い……倉成……、貴方は……生き……て……」


そこまで口にすると、優は眠るようにして息を引き取った。
閉ざされた瞳からは、一筋の涙が零れ落ちている。
どのような外見をしているかなど、関係無い。
仲間を守り、皆の事を気遣いながら逝った彼女は、確かに『人間』だった。



「う……あ……」

優の亡骸を抱き抱えたまま、武は掠れた声を漏らした。
大空洞の天井を見上げて、言い表しようが無い程に悲痛な咆哮を上げる。

「ウオオオオオオオオオオォォォォォォッッ!!」

また守れなかった。
嘗て行動を共にした仲間が、また一人死んでしまった。
自分への怒りと、深い深い悲しみを籠めて、武は只ひたすらに叫び続ける。
その叫びを耳にすれば、人間ならば誰もが武の内心を推し量る事が出来るだろう。
しかし高次の存在であるディーにとっては、人間の感情など取るに足らぬものに過ぎない。

「……下らぬ生であったな、田中優美清春香菜よ。感情に流されさえしなければ、己が願いを果たせたであろうに」

ディーは無感情に言い放つと、射抜くような視線を武に向けた。
全てを凍て付かせるような冷たい声で、死刑の準備を推し進める。

「進化の可能性を棄てた汝等に、未来など無い。『時詠』が力を貸そうとも、汝等は決して我に勝てぬ。
 全員集え――我が従者達よ」
「な……まだ増えるの……ッ!?」

驚愕する梨花の声。
ディーが手を上げるや否や、周囲の空間が大きく歪んで、新たに五体もの仮面兵が現れた。
既に呼び出されていた仮面兵達と合わせると、その合計数は実に十。
一体一体でも強い怪物が、こんなにも――梨花の顔が絶望に侵食されてゆく。

「他の者達は後回しで構わぬ――まずはあの者を殺せ」

そう云ってディーが武を指差すと、呼び出された仮面兵達は一斉に動き出した。
元より居た仮面兵達も各々の戦いを中断し、一体の例外も無く武に向かって駆け始める。
合計十体もの怪物達が、他の敵対者など意にも介さずに、武一人へと襲い掛かる――!

「タケシ…………ッ!」

武を守るべく、アセリアが懸命に追い縋ろうとしたものの、敵の数が余りにも多過ぎる。
『求め』と契約したアセリアの実力は、仮面兵を大幅に上回っているが、いかんせん一人では限界がある。
オーラフォトンの力で加速しても、一体を後ろから両断するのが精一杯だった。

「……ッ、これ以上はやらせない!」

沙羅は右手でワルサー P99を、左手でH&K MP5を握り締めると、腕への負担も無視して二丁撃ちを行った。
だが仮面兵の群れは、それぞれが恐るべき俊敏性で銃弾を躱し、確実に武との距離を縮めてゆく。
仲間達による必死の援護も、仮面兵を足止めするには至らない。
そんな中、武本人は仮面兵達の方を振り向きもせずに、優の西洋剣を鞄に仕舞っていた。

「優…………」

呟く武の表情は、何処までも深い悲しみに満ちている。
その様子は、まるで自分が狙われている事にも気付いていないかのようであった。
しかし武が気付こうとも気付くまいとも、事態は確実に進行してゆく。
遂に仮面兵の内三体が、標的の元へと辿り着いた。

「シャアアアァァァッ!!!」

仮面兵の手にした大剣が、斧が、槍が、武の背中に向けて振り下ろされる。
此処でようやく武も敵に気付いたのか、優を左手で抱えたまま、残る手で『時詠』を横薙ぎに振るった。
だが武の放つ剣戟がどれだけ強力であろうとも、敵は三体。
武が一撃で敵を一体仕留めようとも、残る二体の刃は止まらないだろう。
仲間達の援護も間に合わない、正しく絶体絶命の状況。

――大きく風を切る音と共に、鮮やかな鮮血が舞い散った。




「…………………………何?」




驚きの声はディーのものだった。
ディーが呼び出した仮面兵は山狗、雲雀隊に所属していた者達。
特殊工作員達を仮面によって強化した、強力無比な殺戮兵器だ。
その身体能力は人間の限界を凌駕し、三体掛かりとは云え、永遠神剣契約者であるアセリアと互角に渡り合った程。
『時詠』本来の所有者であろうとも、仮面兵三体を一撃で倒すのは不可能な筈。

だが、ディーの眼前では――上半身を失った仮面兵が三体、立ち尽くしていた。




「……許さねえ」

ぼそりと、武の喉奥から小さな声が漏れ出た。
誰もが呆然としている中、武は静かに言葉を紡いでゆく。

「人類の未来? 進化の可能性? それがどれ程大切なのか、俺なんかには分からねえよ。
 けどな――これだけは分かる」

語る武の瞳は、燃え盛る紅蓮の炎を宿していた。
自身が貫いてきた信念と、死んでいった仲間達の想いを籠めて、力の限り叫ぶ。

「命はなあ、この世の中で一番大切なモノなんだよ! 偶然の中から生まれた奇跡なんだよ!
 それを好き勝手に弄ぶお前だけは、絶対に許さねえッ!!!」

大空洞内にまで響き渡った声は、溢れんばかりの怒気を伴っている。
直ぐに武は、優の身体を地面へと横たわらせ――瞬間、疾風と化した。
瞬きすらも許さぬ速度で仮面兵の群れへと迫り、己が怒りを剣戟に変える。

「――――ハアアアァァッ!!!」

まるで爆発が起きたかのような轟音。
武の剣戟を受けた仮面兵は、身体の右半分を根こそぎ吹き飛ばされた。
それは場の注意を引き付けるのに、十分過ぎる程の光景。
残された仮面兵達の全てが、直ぐ様武を取り囲むような陣形を取る。
まずは大剣を手にした仮面兵が、背後から武へと斬り掛かった。

「フ――――」

武は振り向き様に『時詠』を一閃して、迫る白刃を弾き飛ばした。
繰り出された剣戟の勢いは尚も収まらず、そのまま仮面兵の首を切り裂く。
舞い散る赤い鮮血。
振り終わりの隙を狙って、二体の仮面兵が攻撃を仕掛けようとする。
しかし、それは只の自殺行為に過ぎなかった。

「おおおおおぉぉおおおおっ!!!!」

気合が裂帛ならば、振るわれた剣戟は彗星の如く。
武は敵の攻撃よりも早く『時詠』を振るい、仮面兵を二体纏めて得物ごと両断した。
余りの威力、余りの凄まじさに、残る仮面兵達の動きが硬直する。
それを好機と判断した武は、一直線にディーへと斬り掛かった。
ディーも咄嗟に両腕でガードしようとしたが、そのようなモノ無意味。

「ガ――――――――!?」

防御など関係無いと云わんばかりに、恐るべき威力を秘めた一撃が両腕の上から叩き込まれた。
ディーの巨体が、凄まじい勢いで後方へと弾き飛ばされてゆく。
直ぐ様武は大地を蹴って、ディーに更なる追撃を仕掛けようとする。
しかしディーとて、このまま黙ってやられたりはしない。

「…………グッ」

ディーは両の足で大地を踏み締めて、身体の勢いを押し留めた。
時を置かずして、優に一メートルは越える巨大な拳を、迫る武に向けて振り降ろす。
圧倒的な質量から生み出される破壊力は、自動車程度なら一撃で叩き潰してしまうだろう。

そう――自動車『程度』なら。
時詠の力と強固な意志に支えられし男は、一発の凶拳如きに屈しはしない……!

「…………軽い」
「な――――!?」

衝撃に揺れる大地。
ディーの繰り出した拳は、武が掲げた『時詠』によって完璧に受け止められていた。
武はディーの拳を強引に払い除けると、勢い良く上空へと飛翔した。
ディーの肩に狙いを定めて、爆撃じみた斬撃を振り下ろす。
キュレイの怪力に加え、『時詠』の力も上乗せされた一撃は、ディーの左肩に深いヒビを刻み込んだ。
尚も武は攻める手を休めず、矢継ぎ早に剣戟を繰り出してゆく。

「おらあああああああっ!!」
「グハアアアアアアアアァァァ――――」

袈裟斬り、打ち下ろし、唐竹割り、横一文字――怒涛のような連撃が、次々とディーの巨体に叩き込まれる。
大空洞内に鳴り響く轟音は、戦場に於けるソレと何ら変わりが無いものだった。
一撃打ち込まれる度に、ディーの口から苦悶の声が漏れ、その身体に新たなヒビが生じてゆく。
ディーも時折反撃の拳を繰り出すが、武の『時詠』に呆気無く弾き返されてしまう。

「チィ――――」

物理的な攻撃では倒せぬと判断し、ディーは即座に戦術を切り替える。
両の掌を武へと向け、強大な魔力の籠められた光弾を連続して撃ち放った。
放たれた光弾の群れは、その一つ一つが致命傷に直結し得る代物だ。
しかし武は何ら慌てる事無く、『時詠』を盾にするような形で構えた。

「――オーラフォトン・バリアッ!」

武がそう叫ぶや否や、『時詠』を中心として巨大なデルタ状のバリアが形成された。
その大きさ、その魔力濃度は、嘗てアセリアが造り出したバリアの比では無い。
ディーが放った光弾の群れは、一つ残らず掻き消されてしまった。

ディーがどのような攻撃を試みようとも、武には通用しない。
瞬間移動で背後に回り込んでも、即座に察知されて、魔力の無駄遣いに終わる。
怪物同士の対決は、誰の目から見ても武が優勢であった。

「っ……馬鹿な――我が、『時詠』に劣る筈が無い…………!」

予想だにしなかった事態に、ディーが驚愕の声を洩らす。
それも当然の事だろう。
嘗て『時詠』とその契約者は、ディーの前に敗れ去り、一命を取り留めるのが限界だった。
『時詠』の力を以ってしても尚、ディーには及ばない筈なのだ。
だが現実に今成り立っているのは、全く逆の力関係。
ディーは後退に次ぐ後退を余儀無くされ、防戦一方となっていた。
そんな最中、ディーの意識にある人物の声が響き渡る。

『――分かりませんか、ディー。この者と貴方の違いが』
「…………羽入!?」

声の主は、武の身体に憑依している羽入だった。
羽入は肉声を用いるのでは無く、直接ディーの意識へと語り掛ける。

『この者は一人で戦っている訳ではありません。貴方と違って皆の意思、皆の力を受け継いでいます。
 人を駒としてしか見れない貴方が、今の武に勝てる筈も無い……!』
「ぐ……っ、おのれ…………!」

――武は、『時詠』の力だけに頼っている訳では無い。
この島で武を支えてきたのは、キュレイによる身体能力の強化。
そして死んでいった皆が遺した、仲間を守りたいと云う願い。
最愛の人から受け継ぎし力と、何よりも強い想いこそが、男を最強の境地へと至らせる……!





「タケシ……、凄い…………」

眼前で繰り広げられている光景に、蒼の妖精が呆然と声を洩らす。
今の武は、あの高嶺悠人すらをも大幅に凌駕している。
余りにも劇的な進化、余りにも圧倒的な実力に、思わずアセリアは見入ってしまっていた。
だがそこで瑞穂の声が聞こえて来て、アセリアの意識は現実へと引き戻された。

「アセリアさん、今です! 武さんが頑張ってくれている間に、他の敵を……!」
「……ん!」

武がディーを抑えている今こそが、他の仮面兵達を打倒する絶好の好機。
既に仮面兵の大半は武が斬り伏せてしまった為、残るは僅か二体。
人数的にも、こちらが圧倒的に有利だ。
アセリアはウイング・ハイロゥを展開し、仮面兵の一体に向かって飛び掛った。

「――リープアタック!」

リープアタック――ウィング・ハイロゥの加速力を利用した、強力な突撃技。
敵を打ち倒すべく、蒼の妖精が超高速で飛翔する。
限界まで加速を付けたアセリアの剣戟は、得物ごと仮面兵の胴体を両断した。
下半身だけとなった仮面兵が、力無く大地へと倒れ込む。
これまでアセリアが手間取っていたのは、複数を同時に相手する必要があったからだ。
一対一ならば、仮面兵と云えどもアセリアの敵では無かった。

「次は……あの敵」

アセリアは残る最後の仮面兵へと照準を定め、思い切り大地を蹴った。
純白の羽を展開して、再びリープアタックによる突撃を敢行する。
しかし仮面兵も、もう正面からアセリアを迎え撃つような愚は犯さない。
仮面兵が天高く跳躍した事で、アセリアの突撃は空転に終わった。
だが、さして問題は無いだろう。
仮面兵の着地点には、既に瑞穂が回り込んでいるのだから。

「眠りなさいっ……!」

艶やかな長髪を靡かせながら、瑞穂が日本刀を勢い良く振り上げる。
鮮血が飛び散り、瑞穂の服を赤く染め上げる。
唸りを上げる白刃は、仮面兵の首を正確に斬り飛ばしていた。

「…………赤い」

瑞穂は手にこびり付いた血を眺め見て、今にも消え入りそうな呟きを洩らした。
敵を一体仕留めたと云うのに、その瞳には深い憂いの色が宿っている。

「……どうして、殺し合わなきゃいけないんでしょうね」

敵を仕留めたという達成感は無かった。
在るのは哀しみだけだ。
視線を少し動かすと倒れ伏す仮面兵の群れや、嘗て鷹野三四だったモノの肉片、優の死体が目に入った。
優は決して悪人などでは無かったし、鷹野の死に様は酷く哀れなものだった。
何故こうなってしまったのだろうか。
殺し合わずに済む道も、あったのではないか。
様々な疑問が、際限無く湧き上がってくる。

だが、後悔をしていても事態は改善しない。
大切なのは、より良い未来に向けてどれだけ努力出来るかだ。
瑞穂は再び刀を握り締めて、残る最後の敵――ディーの方へと視線を移した。



「グ……ガッ…………」

武とディーの勝負も、既に大勢は決していた。
ディーは身体のあらゆる箇所にヒビを刻み込まれており、左肩に至っては半分以上が欠けている。
対する武は今尚膨大なオーラフォトンを身に纏っており、疲弊したような様子も見受けられない。
ディーが地面に片膝を付いた体勢のまま、苦痛に歪んだ声で呟いた。

「まさか……我が子等が、これ程の進化を見せるとは……」
「我が子? 馬鹿云うな、お前みたいな親なんて要るかよ」

答える武の声は、激しい怒りと憎しみで満ちていた。
相手が神であろうとも、まるで関係無い。
数多くの命を踏み躙り、罪無き人々に殺し合いを強要したディーは、武にとって決して許せぬ怨敵だった。

「……汝等に今一度問おう。今からでも我に協力して、高みを目指す気は無いか?」
「愚問だな。お前の言葉に惑わされる奴なんて、俺の仲間には一人もいねえよ」

武の言葉は、至極真実だろう。
沙羅も、梨花も、きぬも、瑞穂も、アセリアも、例外無くディーに向けて武器を構えている。
全員の目に宿る殺気が、交渉に応じるつもりなど微塵も無いと語っていた。

「あくまでも道を曲げぬか……。だが我とて未だ、倒れる訳にはいかぬ」
「そっちの都合なんざ知るか。お前は此処で消えろ、ディー!」

武の姿が掻き消える。
人間の動体視力では捉え切れぬ速度で、巨体の誇る怪物に向けて疾走する。
全てに終止符を打つべく『時詠』の一撃が繰り出されたが、済んでの所でディーが瞬間移動を行った。
武の剣戟は空転し、大きく旋風を巻き起こすに止まった。

「……逃がすかよっ!」

武は素早く振り返り、後方五十メートル程離れた所に屹立するディーを発見した。
この程度の距離、今の武ならば数秒足らずで詰め切る事が出来るだろう。
だが再び駆け出そうとした矢先、武は異常に気付く。
ディーの巨大な右手に、見覚えのあるモノが握り締められていた。

「あれは……ハクオロの死体?」

顔を覆う仮面、血色を失った皮膚、真っ赤に染まった腹部。
ディーは瞬間移動を行うと同時に、ハクオロと呼ばれる皇の亡骸を召還したのだ。

「本来なら、我『等』は一つになるべきではない。一つになれば、必ず大きな過ちを犯す。
 しかし空蝉が仮初の死を迎えた今ならば、精神までは一つにならぬだろう」
「一つに……だと……?」

武には、何故ディーがハクオロの亡骸など召還したのかは分からない。
分からないが、嫌な予感が際限無く膨れ上がっていた。
今迄に経験したどんな窮地をも上回る、圧倒的悪寒。
全身の細胞一つ一つが、このままでは取り返しの付かない事態になると叫んでいる。
武は、無我夢中でディーに斬り掛かろうとして――


「故に……見せてやろう――――我等の真の姿をッ!!」


瞬間、ディーがハクオロの亡骸を握り潰した。
途端に凄まじい閃光が膨れ上がり、大空洞を眩いばかりの白色に照らし上げた。

「…………っ」

武の心臓がドクンと音を立てて、血液と共に恐怖を全身へと行き渡らせた。
身体を震わせる大地の振動と、肌を焦がす熱。
乱暴に吹き荒れる風が、逃れようの無い絶望を報せている。
大空洞全体に、呼吸すらも困難になるような重苦しい瘴気が満ちてゆく。

この場に居ては駄目だ。
今すぐ逃げなければ殺される。
逃亡を訴える本能に反して、身体は凍り付いてしまったかのように動かない。
立ち尽くす武を他所に、大空洞を覆い尽くしていた光が収束してゆき――


「――――、あ」

武の喉奥から、酷く掠れた声が漏れ出た。
周りを眺め見ると、瑞穂も、アセリアも、他の皆も、一様に驚愕の表情を露としていた。
それも当然の事だろう。
今自分達の眼前には、優に全長三十メートルを超える怪物が屹立しているのだから。

アヴ・カムゥなどとは比べ物にならぬ程の大きさを誇る巨人。
この世全てを飲み込みかねない、余りにも強大な威圧感。
計測不能なまでに膨れ上がった魔力は、『時詠』の力を得た武すらも完全に凌駕している。
禍々しい外観の超巨体は、邪神としか表現のしようが無い。
真の姿を現したディーは、最早生物と呼べるような存在では無くなっていた。



「我ハ……ウィツァルネミテアと呼バレシ者。汝等ニ崇メラレ、ウタワレルモノ」

ディーが――否、大神ウィツァルネミテアが静かに口を開いた。
紡がれた声は、心を溶かすような甘い響きと、絶対零度の殺気を併せ持っている。
圧倒的迫力、圧倒的存在感に気圧され、武は意図せずして後ずさった。

「我ハ始マリ也。ソシテ我コソガ禍……我コソガ元凶……ッ!!」

全ての争いを生み出し、全ての禍を招いてきた邪神。
それが、ディーの、そしてハクオロの正体。
嘗て二つに分離した大神は、悠久の時を経て再び一つとなり、真の力を取り戻した。

「神ニ歯向カイシ愚カ者達ヨ……滅ビルガイイ」

告げられる死刑宣告。
ウィツァルネミテアの声には、何の慈悲も温情も籠められてはいない。
在るのは純然たる殺意だけだ。
全てを押し潰すような重圧、全てを飲み込むような瘴気が大空洞に満ちる。


だが――武達も、何時までも恐怖に硬直したりはしない。
全員が命懸けの覚悟を以って、此処まで辿り着いたのだ。
初めに、蒼の妖精が剣を邪神に向けて構えた。

「神……ウィツァルネミテア……関係無い。ミズホ達を傷付けるつもりなら……倒すだけ!」

敵がどれたけ強大であろうとも、アセリアの成すべき事は変わらない。
自身が持ち得る全戦力を以って、目の前の脅威を排除する。
仲間を守りたい。
仲間と一緒に居たい。
それが、アセリアがこの島で見付けた生きる意味。


『――武、ボクの声が聞こえますか?』
「ああ、聞こえてるよ。アンタが羽入なんだろ? 力を貸してくれてサンキュな」

突如心の中で鳴り響いた声に、武は驚く事無く言葉を返す。
『時詠』の力を引き出して貰っている以上、羽入の存在には当然気付いていた。
羽入は少し間を置いた後、搾り出すようにして言葉を紡ぎ始めた。

『ごめんなさいなのです。ボクは貴方の仲間を――あゆを救う事が出来ませんでした。
 ボクは……どうしようもなく、無力なのです』
「……そうか」

武はそれだけしか、言葉を返す事が出来なかった。
あゆの死が悲しくない訳では無い。
しかし今は火急の事態であり、あゆの死を嘆き悲しんでいる余裕すらも無い。
これ以上犠牲を増やしたくなければ、今は強引にでも、戦いに意識を集中させるべきだった。

『けれど今ボクが諦めたら、死んでいったあゆに申し訳が立ちません。今度こそ……今度こそ! ボクは皆を救ってみせます!
 ですから、どうか武も諦めないで下さい』
「分かってるさ。俺は諦めない――アイツを倒して、絶対に皆を守り切ってみせる!」

即答。
諦める事など、最初から選択肢に入っていない。
恐怖はあるし、逃げ出したい気持ちも無いと云えば嘘になる。
だがそれ以上に強い意思の力、死んでいった仲間達の想いが武を支えていた。
武は背後に居る仲間達の方へ、ゆっくりと振り返る。

「皆、これが最後の戦いだ! 相手は本物の神だ――きっと、過酷な戦いになると思う。
 だけど、絶対に死ぬな! 俺達は生き延びる! 生きて、この悪夢を終わらせるんだあああぁっ!!!」

辺りに充満した瘴気を吹き飛ばすような、そんな叫び。
最早、余分な言葉を交わす必要など無い。
皆が秘めた決意、秘めた意思は、同じ方角を向いている。
一同は例外無く頷くと、全く同時のタイミングで動き出した。

広大な大空洞の中、戦士達は臆す事無く邪神に向けて駆ける。
これが正真正銘、最後の戦い。


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