かけらむすび ◆tu4bghlMI


私、古手梨花は二つの力を持っている。


一つは首輪探知レーダー。
半径500mという広範囲に接近した参加者の存在を感じ取る事が出来る超当たり支給品だ。
だけど、今この武器は物言わぬただのガラクタに過ぎない。
電池切れ――ありとあらゆる電子機器に須らく訪れる終焉。定められた宿命。曰く、運命。

一つはノートパソコン。
搭載されているCPUやメモリなどのスペックではなくて、争点に上がるのは放送と共に追加される様々な特殊機能。
断言しよう。これはこの島に支給された道具の中でも、一番の当たり支給品であると。
微粒電波発生装置、支給品リスト、留守番電話メッセージ、現在地検索機能、殺害者ランキング……。
どれも状況を一変させるだけの力を持ったものばかりだ。



だけど、本当の力はそんな機械には頼ってなされるものではない――私は、今頃になってようやく理解した。

迫り来る<<本当の死>>の恐怖。
輪廻転生でも、永遠に終わらない昭和58年の夏でもない。一度きりの命のやり取り。
羽入がいない。雛見沢でもない。そうだ、もしも死んでしまったら……次はないのだ。

私は、一人だった。
私は、脅えた。
忘れていた感情。つまり腹の底から湧き上がって来る、純然とした恐れとそして生への渇望。
一人で、心細くて、それでも心の底から信頼出来る仲間を見つけたかった。

私は走った。走った。走った。
そして見つけたのだ。
皆と同じぐらい信用出来る。そう確信出来るような人間を。


「風子……潤……」


もう帰らぬ人となった二人の名前を呟く。
それは虚しい響きだった。
誰にも受け取られず、誰にも聞かれる事のない空気の振動。ただの、自然現象に過ぎない。
二人はもう眼を開かない、怒らない、笑わない……私の名前を呼んではくれない。

木々は私のそんな憂鬱を知ってか知らずか、好き勝手に葉と枝を擦り合わせる。
ザワザワと風が音を奏でる。
太陽も既に昇り、暑苦しいくらいの勢いで私に木漏れ日を投げ掛ける。
風、音……季節外れの北風は太陽に押し潰されたのだ。


現在地はC-5。純一やまだ見ぬ他の参加者など、信用出来る人間を探すのも重要に思えた。
しかし、ひとまず私は実際に廃鉱の別入り口を確かめるために行動していた。
エリアを指定したとしても、実際に探すべき場所は無数にある。
特にこのC-5エリアは山頂に電波塔、そして湖と土地が大きく分断されているのが特徴だ。
最悪山を一回りしたり、登山と下山を繰り返す嵌めになる可能性も存在した。

「ん……?」

とぼとぼと足を進めていた私の視界の先、数十メートル向こうに奇妙な物体が出現した。

<<椅子>>である。

四本足の茶色い木製の椅子、だ。
遠目なので断定はし難いが、おそらく間違いではないだろう。
私はキョロキョロと辺りを見回す。
当然、眼で捉えられる範囲に民家は発見出来ない。
そもそも近くに家があったからとはいえ、椅子だけを持って来るとは思えない。

ならば他の参加者が使用した道具だろうか。
いや、これはプロレスの興行ではないのだ。
パイプ椅子のような凶器ならばともかく、普通の椅子を武器にしたりするという概念は私の中には存在しない。

「どうしてこんな所に……!? ……この臭いっ!!」

首をかしげながら椅子に接近しようとした、その時私の鼻腔はある刺激を感知した。
つまり、刺激臭だ。私はこの臭いに覚えがあった。
不快で、独特で、微かな金属の香り。そして胸糞悪くなるような独特の臭いの正体はおそらく……。


私は、走った。
逃げたのではない、まっすぐその異臭の原因へと向かって思いっきり両脚を動かす。
近くに――死体がある。それは予感でも、悪い想像でもなくて、確証だった。
血生臭い展開には慣れている。それに今の私は大分、クールだ。
突き付けられた現実に足を震わせ、泣き叫ぶだけの少女ではない。きっと。


 ■


それは、おそらく殺戮の跡だったのだと思う。
四本の足に傷一つなく、転がる木製の椅子。
石か鉄にも似た妙な材質の破片が辺り一面に散らばっている。
弾痕が見渡す限り、ほとんどの樹木に見受けられる。
おそらく、マシンガンか重機関銃……そうだ、あの女が持っていたような武器を用いて銃撃が行われた証拠。

ある地点、つまり椅子が転がっている場所から数十センチという場所に赤い池があった。
私がやってきた方向からは茂みに隠れて丁度、見えない角度だったのだと思う。

そして、そこには、血塗れの死体が一つ、前のめりで倒れていた。


「え…………」


私、古手梨花は巫女である。
だがそうは言っても一般的なイメージとしての予言や神託のような確固たる能力がある訳ではない。
通俗上、慣習の上における巫女なのだ。幻視や未来視を実際に行う事など出来やしない。
だけど頭の先から靴の中まで紅く染まったその男に、私は何故か、見覚えがあるような気がした。

血を吸って、完熟した山葡萄のような色になったツナギ。
それは非常に見慣れた――小此木造園の作業着だった。
鷹野三四が指揮する特殊部隊、山狗。そのリーダーである筈の小此木が好んで身に着けていた服だ。


繋がる。
私の身体から、意識から、いつの間にか乖離していた雛見沢の記憶が、断片が、かけらが……一つにむすばれる。


「あ……か、さか?」


彼は、昭和53年のままの姿でそこに、居た。
足が勝手に動いた。前へ、また、前へ。
よろよろと夢遊病の患者のようにふら付きながら、既に物言わぬ屍体となった彼の前へ私はぺたりと座り込んだ。


「にぱー☆ 赤坂、しっかり……しっかりするのですよ」


私は話し掛けた。造ったその声で、口調で。分かってる、ただの……ただの空元気だ。
彼は何も言わない。
当然だ、死んでいるのだから。
彼は死んだ。運命の連環から抜け出したこの地においても、死の運命から逃れる事は出来なかったのだ。


「まったく、赤坂はダメな奴なのです。こんな所で倒れてしまうなんて……もうボクはプンプンなのです」


私は彼に言葉を投げ掛ける。
返答は無言。行間は木々のざわめきが埋めてくれる。
透き通った風が髪を揺らした。


「ボクが……もう少し早ければ良かったのですか? 
『赤坂、あなたを助けに来たのですっ』とでも言いながら颯爽と登場出来たら、もしかしたら……」


私は何を言っているのだろう。
答えなど返って来る筈もないのに。
こんなもの所詮独善的な呟き、独りよがりに過ぎない。
彼が命を落としたのは一日近く前の話。
位置的にも情報的にも私が、この出来事に介入出来た可能性はゼロに等しい。


涙が、溢れた。
瞼を濡らし、頬を伝い、顎骨を介して二筋の液体は一つにむすばれ、そしてこぼれた。
多分これは風子や潤が死んだ時とは違う種類の雫だ。
孤独でも絶望でもなくて、これは、寂しさだ。


「せっかく、せっかく……運命が変わったのに。生き残るチャンスだったのに……。
 どうして圭一もレナも詩音も大石も、赤坂も……<<私>>を置いて死んでしまったの?」


呟きは森の声に掻き消される、一陣の風と蠢く葉。
運命は覆せる筈ではなかったのか。
皆、皆死んでしまった。定められた結末に抗うこともなく。
あっけなく、夏の羽虫のように。
終わらない夏と終わらない運命を打ち砕く、そんな奇跡を起こす……その為に自分達は力を合わせて来た筈なのに。

結果はどうだ。
ずっと行動を共にしていた人間はほとんど死んでしまった。
仲間達も、出会うことすら出来ずに皆逝った。
私自身も武器にこそ恵まれても、身体はひ弱な少女。


私一人の力では……無理なのだろうか。




――梨花。



「……え!?」

私の背筋に得体の知れない感覚、違う――忘れていた感覚が蘇った。
急に、どうしたと言うのだ。今までは全くその存在を感じ取る事は出来なかったのに。

居なくなっていた、もしかして消されてしまったのではないかと思っていた彼女が……


羽入が、いる。


大慌てで立ち上がり、辺りを見回す。
見えない。だけど、それは当然だ。なにしろ、まだ『聞こえない』のだから。
間違いない。この島の何処かに彼女が居るのだ。

手を額に当て、意識を研ぎ澄ませる。そして思考する。
何故、こんなにも急に?
しかも今のはどこか……妙な、まるで羽入が『突然出現した』ような感覚だった。

でも、明確でざらついていて、どこか懐かしい心が落ち着くような感じだ。
当たり前のような存在だった羽入がいなくなって、私にとってあの子がどれだけ大切だったのか、ようやく理解出来た気がする。


「…………ごめんなさい、赤坂。こんな涙、流している場合じゃなかったわね」


足元の赤坂に軽く頭を下げる。
希望の炎は再度、灯った。羽入と合流する事が出来れば、この状況を打破出来るかもしれない。


「――行って来るわ、赤坂」


当然、言葉が返って来る訳でもない。
だけど、さっきまでの呟きとは違う――もっと大きくて暖かな光が私の中には生まれていた。
皆が残してくれた意志は、私が引き継がなければならない。
何もかもを背負い、そして、この漆黒の闇を打ち消すのは他でもない。私自身なのだから。



 ■


女が、空を飛んでいる。


違う。跳んでいるのだ。
その真っ青な影は、空の色にも似た影は数メートル近い高さまで飛翔し、私の目の前に新体操選手のように見事な着地を披露した。

その腕の中には二人の女が抱かれている。
一人はホテルで私達を襲撃して来た復讐者・坂上智代と同じ制服を来た大人しそうな少女。
一人はゲーム開始時、私が初めて出会った耳の長い人間と同じ制服を来た優雅そうな女性。

そして――人を二人も抱き締めたまま、アレだけのジャンプする事が出来る規格外の能力を有した女性。
青い髪に大きな瞳。華奢な身体を銀色の甲冑に包んでいる。
髪の毛がさらりと揺れた。右耳が、ない。


しかし、どうして――彼女達は山肌の何もない場所を突き破って飛び出して来たのだろう。



軽く状況を確認しよう。

私は赤坂の屍体に別れを告げた後、電波塔を睨みつけながら山頂へと向かった。
風子の遺言の中には、私達には山頂へ向かうという意思を消滅させる暗示が掛かっている可能性があると言うのだ。
ならば、廃坑は頂に近い場所にあるのでは……そんな思考に至った訳だ。

山の中腹辺り、全身に溜まった疲労を解消するために朽ち果てた樹木に腰掛けて休息を取っていた時の出来事だ。
突然背後、つまり<<山の中>>から奇妙な音が聞こえて来たのだ。
私は振り向いた。そこには何も……厳密には露出した断層があるだけだった。
しかし音はどんどん大きくなる。
私は違和感を覚え、サッとその場から飛び退いた。

その直後――トロッコが<<そこから>>飛び出して来た。


閑話休題、


「し……死ぬかと……思ったの」
「……すまない、コトミ。あの場面では……こうするしか手段がなかった」
「いえ……アセリアさん、ありがとうございます。あのままでは私達は湖の中へ――あれ?」


琥珀色の髪の毛の女性が、ようやく私の存在に気付いた。
しかし、それでも遅すぎるくらいだ。
だって私達の距離は数メートル程度しか離れていない。
空中に打ち出されたトロッコから飛び出した時点で私を察知していてもおかしくない筈なのだ。


「あ……ゴメンなさい。驚かせてしまいましたか?」


心臓が、止まるかと思った。
だって目の前の彼女の声は、羽入のソレと全く同じだったのだから。
甘ったるいようでもあり、それと同じくらい可憐で、そして可愛らしいあの独特な声と寸分違わぬ声と……。

「……あなた、羽入?」
「羽入?」

女性は怪訝な顔で質問を反芻した。
当たり前の反応だった。
私は何を言っているのだろう。ただ少し、声が似ていただけなのに。

おそらく脳の記憶のズレか幻聴だろう。
少しだけ声紋が近かったものを、勝手に修正してしまったのだ。
……もしかして、私はそこまで羽入が恋しくなっているのだろうか。

「ミズホ」
「そう……ですね。私は宮小路瑞穂。彼女がアセリアさん、そして彼女が一ノ瀬ことみさんです。
 どちらも、私の仲間です。そして……信じてくれるかは分かりませんが……殺し合いには乗っていません」


<<残り十三人>>の生存者のそのうち三人がここに居る事となる。

宮小路瑞穂
殺害ランキング14位タイ。殺害数一人。殺害者氏名=鳴海孝之

アセリア
殺害ランキング14位タイ。殺害数一人。殺害者氏名=高嶺悠人

そう、私の手にはノートパソコンがある。
つまり、リアルタイムで死者が更新される。だから、つぐみや純一、土永さんが既にこの世にいない事も知っている。
既に直接の知り合いは蟹沢きぬ、ただ一人。

事態は切迫している。

「証拠はあるのかしら」
「証拠……ですか?」
「そう、あなた達がこのゲームに乗っていないという明確な証明」

いざとなればすぐにでも逃げ出せるように重心を踵に移動。
それでも態度は崩さず、悠然とした笑みを保ったまま喉を奮わせる。
私の外見とまるで似合わない口調に戸惑ったのだろうか。彼女達は顔を見合わせた。

私だって彼女達を信じたい。
生き残るため、もう一度奇跡を起こすためには私一人の力では全然足りないのだ。
だから確実に信用出来る材料が欲しかった。


「じゃあ……"あなた達が今までに殺した人間の名前"を教えてもらえるかしら」
「!?」


当然彼女達の困惑の色が更に濃くなる。
出会ったばかりの相手、しかも年端も行かない少女に『自分が今まで殺した相手の名前を教えろ』とせがまれているのだから。

しかも、この質問が行われる文脈には『ゲームに乗っていない証明をしてくれ』という問い掛けが存在している。
まともな頭なら「私は人殺しをした事はあるけれど、ゲームには乗っていません」なんて馬鹿げた台詞を信じるのは難しい。
下手に自らが殺した相手を告げても、それは自分達に不利な状況を作り出す可能性の方がよっぽど高いからだ。
加えて初めて会ったばかりの人間に、そんな核心に近いような秘密を教える事が出来るだろうか。
嘘を付いてもどうせばれない――普通はそう考える。


だから、私は賭けた。
彼女達が嘘をつけば、その瞬間に、全力でこの場から逃げる。
目の前のアセリアという女の身体能力を考慮に入れると、無事に逃げ出せる可能性は非常に低い――それでもだ。
この終盤の局面、初対面の相手を信用するにはソレぐらいの対価が払える人物でなければ難しいと思うからだ。


「アセリアさん」
「……分かっている」
「……二人とも、本当に……いいの?」
「――ええ。状況が状況です。今は一人でも多くの力が必要……信じてもらう為に背に腹は代えられません」
「へぇ……つまり?」

茶色い髪の女性、つまり宮小路瑞穂が一歩前へ出た。
眩しいくらい真っ直ぐな瞳。
自らの手を血で染めた人間には到底見えない。


「正直に言います。私達が殺したのは……鳴海孝之さんと高嶺悠人さんの二名です」


宮小路瑞穂は真実をその可憐な口唇でもって語った。
……ああ、やっぱり。
その血と背徳の歴史を惜しげもなく、一片の嘘を交えることもせずに披露したのだ。
見れば分かる――あれは潤や圭一と同じ、理想と責任、覚悟を背負ったものの眼だ。
答えなんて聞く必要、なかったような気もする。

「……知ってたわ」
「え?」
「高嶺悠人が殺したのは三人。しかもつぐみを直接殺している。
 鳴海孝之は二人。彼は私の知り合いの友人を殺しているわ。
 そんな罪人を裁いたとしても、私はあなた達を決して責めない。それが……生き残るという事だから」

破顔一笑。表情と一緒に口調も崩して、笑いかける。
三人は私の不可解な言葉に苦笑いを浮かべた。


「私は古手梨花。あなた達を……信用するわ」



 ■


結局その後の情報交換で彼女達が、はっきりと信用に足る人物である事は確認出来た。
きぬやつぐみなどの、直接出会った人間しか知らないようなデータも幾つか所持しており、塔の情報も入手していた。
つまりそれは彼女達と極めて強い親交を結んでいた十分な確証。
私は心強い味方の存在に心を躍らせた。

「でも……このパソコンは凄いの。これ一台が何より強力な武器」
「ええ。これが無かったら、私はとっくに……死んでいたと思うわ」

ことみがノートパソコンの各種機能を確かめながら感嘆の声を漏らす。
彼女、一ノ瀬ことみは高い技術力を持つ才女だ。何しろ既に首輪を一つ、解体している。
実物を見せて貰ったが、中の構造は私にはまるで手の届かない分野であると再確認しただけだった。

「これが殺害ランキング……なるほど、だから梨花ちゃんは……」
「――あなた達を試すような真似をしてごめんなさい。
 でも、本当に皆が信用出来る人物かどうか、確かめる必要があったから……」
「いえ、梨花さんの取った行動は至極当然……こんな事態ですし。
 安全に安全を重ねるのは褒められこそすれ、文句を言われるものではありません」

瑞穂が優しげな顔で笑いかける。
全ての罪を赦し、何もかもを包み込む包容力。
彼女は今まで私が出会った経験のないタイプの女性だった。

だが彼女の顔色は険しい。
それはこの殺害ランキングの結果――この時間帯で多くの仲間が死亡した事実を知ってしまったからだ。
現在生き残っている参加者で確実に殺人鬼であると断定出来る人間は二人。
川澄舞に月宮あゆ、少なくとも彼女達が積極的に人を殺して回っている人間である事は間違いないようだ。

「あ……そうだ。支給品リスト……ってありますよね。その中に『フカヒレの~』と付いている道具を探して頂けませんか?」
「フカヒレ? ああ……きぬの」
「はい。実はある仮説を立てまして――」

彼女はその後、開いた口が塞がらなくなるような大胆な仮説を私に披露した。
コンドームや恋愛ゲームが脱出の鍵?
きぬの友人が超能力者?
いや、確かに説自体に筋は通っている。ゼロパーセントとは断定出来ないだろう。だが――

「……待って、瑞穂」
「どうしましたか、梨花さん?」
「――やっぱり。残念だけど……あなたの仮説は成り立たないわ」
「な……ッ!?」
「実際、見て貰った方が早いかしら。ほら、画面をよく見て」

私はノートパソコンの画面を支給品リストに切り替え、瑞穂に見せる。
つまり、


「二つしか、ない……!?」
「そう。『フカヒレの~』と名前がつく支給品はこの島には二つしか存在しないの」
「そ、そんな……馬鹿な――ッ!!」
「瑞穂さん……」


瑞穂は膝から地面に崩れ落ちた。ことみが気の毒そうな眼で彼女を心配そうに見やる。
手と膝を付き、瑞穂は「私にだって……わからないことぐらい……ある」と意味が分からない事を呟いている。
隣でアセリアが彼女をよしよしと慰めている様を見て「この三人は本当に仲が良いんだな」と感じた。

「……でも、あながち間違ってはいないかも」
「え?」
「見て」

私はペンと紙を取り出し、今思い出した情報を文章にして表す。

【役場にね。あるらしいのよ……『特別なゲームディスクを必要としているパソコン』が】
【それって……】
【ええ、試してみる価値はある……そう思わない?】

瑞穂の顔に一明の光が射した。
そう、私は潤から役場の妙なパソコンの存在を聞かされていた。
実物は見ていないが、何か重要な情報が隠されているような気がしないでもない。

【しかし……ここはC-5ですよね? 役場に向かうとなると南口とは正反対の方向に……】
【でも武さんは……ホテル経由なの。もうすぐ放送の時間。死者が発表されれば……】
【――確かに。武さんにとってはとても……辛い結果に、なってしまいますね】
【ただ、役場まではほぼ一本道。後回しにして、禁止エリアになってしまうのだけは避けたい所なの】
【……大急ぎで向かえばなんとかならないか?】
【いや、ですが……】

しばらくの間、紙を挟んで議論が行われた。
争点は仲間との集合地点が役場とは真逆の方向にある、という事。
下手にチームをばらすのはここまで参加者が減ってしまった以上、得策ではないと考えているのだろう。
北か南か。微妙に意見がまとまらない。

武、と言うのは圭一を殺した人間の名前だった筈だ。
だがH173を打たれ、雛見沢症候群に侵されているとは思いもしなかった。
もしも私が死んだら彼も発症するのだろうか―ーつまらない仮定だ。


【じゃあ、こんなのはどうかしら。北上してひとまずパソコンを調べる。
 その時に、ノートパソコンの現在地検索機能を使って彼の居場所を探して、南口にいるようだったら移動する。
 まだ到達していないようだったら、調査を続行……どう?】
【……それしかないようですね。梨花さん、道案内お願い出来ますか?】


返事を伝えようとした私の右腕が止まった。
そして、深く考える。強く思い出す。

命を落としていった親しい人達の顔を、声を、暖かさを。

瑞穂
アセリア
ことみ

彼女達は、私がなくしてしまったものを持っている。
暖かくて思わず笑顔が漏れてしまうような『仲間』という関係。
消えていったものがある。
掌から零れ落ちていったものがある。


でも、皆と築き上げた温もりを、絶対に私は忘れる事はないだろう。

グチャグチャに壊れ、塵になってしまった皆との思い出はまだ胸の中で息衝いている。ドクドクと脈を打ち、その存在を示してくれる。
散って行ったそのかけらを拾い集めた時、皆は、もう一度私に笑い掛けてくれるだろうか。

分からない。
だから、探しに行くのだ。
そして、私は必ず運命に打ち勝って見せる。


「任せて頂戴――そして、いきましょう。必ず……生き残るために」



【C-5 森(マップ上)/二日目 昼】

【女子四人】
1:役場へ向かう。

【備考】
※廃坑別入り口を発見しました(瑞穂たちのワープ先は『廃坑南口の反対、つまり北口に位置する隠し入り口』でした)
※殺害ランキングは梨花以外のメンバーは適当にしか見ていません。
※一通りの情報を交換しました。
※旧お姉さまチームは梨花の事をひとまず信用しました。


【古手梨花@ひぐらしのなく頃に祭】
【装備:催涙スプレー@ひぐらしのなく頃に 祭  暗号文が書いてあるメモの写し
     ヒムカミの指輪(残り1回)@うたわれるもの 散りゆく者への子守唄 】
【所持品:風子の支給品一式(大きいヒトデの人形 猫耳&シッポ@ひぐらしのなく頃に祭、風子特製人生ゲーム(元北川の地図) 百貨店で見つけたもの)】
【所持品2:支給品一式×2(地図は風子のバックの中)、チンゲラーメン(約3日分)、ゲルルンジュース(スチール缶入り750ml×3本)
     ノートパソコン、 ハリセン、バッテリー×8、電動式チェーンソー×7、出刃包丁、
     食料品、ドライバーやペンチなどの工具、他百貨店で見つけたもの 、コルトパイソン(.357マグナム弾2/6)、首輪探知レーダー(現在使用不能)、車の鍵 】
【状態:頭にこぶ二つ 軽い疲労、精神的疲労中、強い決意】
【思考・行動】
基本:潤と風子の願いを継ぐ。
1:ひとまず瑞穂達と一緒に行動したい
2:羽入を探す
3:きぬが心配
4:仲間を集めたい
5:死にたくない(優勝以外の生き残る方法を探す)

【備考】
※皆殺し編終了直後の転生。鷹野に殺されたという記憶はありません。(詳細はギャルゲ・ロワイアル感想雑談スレ2>>609参照)
※梨花の服は風子の血で染まっています
※盗聴されている事に気付きました
※鷹野を操る黒幕がいると推測しています
※塔の存在を知りました
※月宮あゆをマーダーと断定、警戒
※当面は病院を目的地にしていますが変えてもいいです。
 レーダーが使えなくなったので現在地検索機能を使って探す方法も考えています
 電池(単二)が何本必要かなどは後続の書き手に任せます
※羽入が今この島にいる事に気付きました。


【アセリア@永遠のアセリア -この大地の果てで-】
【装備:永遠神剣第四位「求め」@永遠のアセリア -この大地の果てで-】
【所持品:支給品一式 鉄串(短)x1、鉄パイプ、国崎最高ボタン、高嶺悠人の首輪、フカヒレのコンドーム(12/12)@つよきす-Mighty Heart-、情報を纏めた紙×2】
【状態:深い悲しみ、決意、肉体的疲労大、魔力消費中程度、両腕に酷い筋肉痛、右耳損失(応急手当済み)、頬に掠り傷、ガラスの破片による裂傷(応急手当済み)】
【思考・行動】
基本:ゲームには乗らない
1:ミズホとコトミと梨花を守る
2:無闇に人を殺さない(殺し合いに乗った襲撃者は殺す)
3:存在を探す
4:ハクオロの態度に違和感
5:川澄舞を強く警戒
【備考】
※アセリアがオーラフォトンを操れたのは、『求め』の力によるものです
※永遠神剣第四位「求め」について
「求め」の本来の主は高嶺悠人、魔力持ちなら以下のスキルを使用可能、制限により持ち主を支配することは不可能。
ヘビーアタック:神剣によって上昇した能力での攻撃。
オーラフォトンバリア:マナによる強固なバリア、制限により銃弾を半減程度だが、スピリットや高魔力の者が使った場合はこの限りでは無い)


【宮小路瑞穂@乙女はお姉さまに恋してる】
【装備:ベレッタM92F(9mmパラベラム弾2/15+)、バーベナ学園女子制服@SHUFFLE! ON THE STAGE、豊胸パットx2】
【所持品1:支給品一式×9、フカヒレのギャルゲー@つよきす-Mighty Heart-、多機能ボイスレコーダー(ラジオ付き)、斧、レザーソー、投げナイフ5本、
 フック付きワイヤーロープ(5メートル型、10メートル型各1本)、茜手製の廃坑内部の地図(全体の2~3割ほど完成)、予備マガジンx2、情報を纏めた紙】
【所持品2:バニラアイス@Kanon(残り6/10)、暗視ゴーグル、FN-P90の予備弾、電話帳、スタングレネード×1】
【所持品3:カルラの剣@うたわれるもの 散りゆくものへの子守唄、竹刀、トウカの刀@うたわれるもの、ベレッタM92F(9mmパラベラム弾15/15+1)、懐中電灯】
【所持品4:単二乾電池(×2本)バナナ(台湾産)(1房)、ミニウージー(25/25)】
【所持品5:手術用メス、パワーショベルカー(運転席のガラスは全て防弾仕様)】
【所持品6:破邪の巫女さんセット(弓矢のみ10/10本)@D.C.P.S.、乙女と大石のメモ、麻酔薬、硫酸の入ったガラス管x8、包帯、医療薬】
【状態:強い決意、肉体的疲労中、即頭部から軽い出血(処置済み)、脇腹打撲】
【思考・行動】
基本:エルダー・シスターとして、悲しみの連鎖を終わらせる(殺し合いを止める)
1:ことみとアセリアと梨花を守る
2:川澄舞を警戒

【備考】
※一ノ瀬ことみ、アセリアに性別のことがバレました。
※他の参加者にどうするかはお任せします。
※この島が人工島かもしれない事を知りました。



【一ノ瀬ことみ@CLANNAD】
【装備:Mk.22(3/8)】
【所持品:ビニール傘、クマのぬいぐるみ@CLANNAD、支給品一式×3、予備マガジン(8)x3、スーパーで入手した品(日用品、医薬品多数)、タオル、i-pod、
陽平のデイバック、分解された衛の首輪(NO.35)、情報を纏めた紙】
【所持品2:ローラースケート@Sister Princess、スーパーで入手した食料品、飲み物、日用品、医薬品多数、】
【状態:決意、肉体的疲労小、後頭部に痛み、即頭部から軽い出血(瑞穂を投げつけられた時の怪我)、強い決意、全身に軽い打撲、
 左肩に槍で刺された跡(処置済み)】
【思考・行動】
基本:ゲームには乗らない。必ず仲間と共にゲームから脱出する。
1:ハクオロとあゆに強い不信感、でもまず話してみる。
2:アセリアと瑞穂に付いて行く
3:首輪、トロッコ道ついて考察する
4:工場あるいは倉庫に向かい爆弾の材料を入手する(但し知人の居場所に関する情報が手に入った場合は、この限りでない)
5:鷹野の居場所を突き止める
6:ハクオロを警戒

※ハクオロが四葉を殺害したと思っています。(少し揺らいでいます。)
※あゆは自分にとっては危険人物。
※瑞穂とアセリアを完全に信用しました。
※この島が人工島かもしれない事を知りました。
※i-podに入っていたメッセージは『三つの神具を持って、廃坑の最果てを訪れよ。そうすれば、必ず道は開かれるだろう』というものです。
※研究棟一階に瑞穂達との筆談を記した紙が放置。


198:Miyanokoujimizuho's Mistery Reportage 投下順に読む 198:小さなてのひら/第2ボタンの誓い(前編)
198:Miyanokoujimizuho's Mistery Reportage 時系列順に読む 198:小さなてのひら/第2ボタンの誓い(前編)
198:Miyanokoujimizuho's Mistery Reportage 宮小路瑞穂 201:ブルーベリー・パニック/決戦の幕開け~宣戦布告~(前編)
198:Miyanokoujimizuho's Mistery Reportage アセリア 201:ブルーベリー・パニック/決戦の幕開け~宣戦布告~(前編)
198:Miyanokoujimizuho's Mistery Reportage 一ノ瀬ことみ 201:ブルーベリー・パニック/決戦の幕開け~宣戦布告~(前編)
198:Miyanokoujimizuho's Mistery Reportage 古手梨花 201:ブルーベリー・パニック/決戦の幕開け~宣戦布告~(前編)







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