銀の意志、金の翼 ◆VtbIiCrJOs


 それは本当に偶然だった。
 佐藤良美の最期を看取った後、我輩はひとまずこれまでの情報を持ち帰るべく帰路に着いていた。
 その矢先だった。

 銃声。
 怒号。
 悲鳴。

 我輩の後方よりその音が聞こえてきた。
「……我輩にどうしろと」
 何者かが襲われているのは間違いは無い。
 だから我輩はどうしろと――?
「くそ……っ」
 これは様子を見に行くだけ、
 そこから先は我輩の出る幕では無い……
 そう自分に言い聞かせ我輩は音がした方向に飛んで行った。

 そしてほどなく我輩の眼下に広がる光景、
 槍を振り上げた少女。
 大地に蹲る少女。
 槍を持った少女はつい先ほど佐藤良美を殺害した者。
 襲われている者は灰色がかった茶髪の少女。この島で初めて見る顔。

 我輩の役目は槍の少女についての情報を蟹沢達に伝えることだけ。
 我輩は鳥、人間のように道具を使う術は持たない。
 鳥風情が武器を持った人間に敵うわけが無い。

 ――だから見捨てろ。

 もう一人の自分がそう語りかける。
 鳥であるお前に何ができるのだ。
 お前に眼下の少女を救うことができるのか?
 できないのならお前にできることはただ一つ、その女の情報を持ち帰れ。
 他に目をくれるな。ここでお前が死んだら何のための偵察役だ。
 偵察役はいかに多くの情報を味方に伝えること、死ぬことは許されない。





「ふざ……けるなぁ……!」
 ここであの少女を見捨てる?
 我輩は決めたのではないか。
 この傷ついた翼を少しでも役立てようと! だから我輩はあの正義バカの朝倉純一と行動を共にしたのではないか!
 罪の意識に怯え何もしないままの卑怯者になるぐらいなら我輩は愚直な莫迦を選ぶッ!
 莫迦になれ土永!
 武器が持てない? 何を言ってるんだお前は。
 武器ならあるぞ。我輩に与えられた、人間が持ちえぬこの両の翼をな!

「風を友とし雲を寝床とす大空の眷属を舐めるなぁッ!」
 我輩は翼を広げ槍の少女に向かって急降下して行った。


 ※ ※ ※ ※ ※ ※


「瑛理子……あんたバカよ……バカバカバカ!」
 私は涙で顔をくしゃくしゃにしながらも走り続ける。
 安全な所へ、仲間の下へ。
 あの傷で瑛理子が助からないのはわかっていた。
 だから彼女は私を送り出し、私に希望を託した。
 わかってるよそんなこと……でもね……
「あんた頭良いのになぜわからないのよ! 残された私達の気持ちを……!」


 いつしか私は川の岸辺まで走ってきていた。
 島を南北に分ける川、左手遠くに鉄橋が見える。
 圭一は死んでしまったが他の仲間が病院に残っているはず。
 私はそう思って南の病院に向かおうとしていたが、その実逆方向の南西方向に進んでいたのだった。
「どうする……橋無しで向こう岸には渡れない、でも橋はあんなに遠く……」
 今から鉄橋に向かうとかなりの時間を消費してしまう。
 もし、あゆと良美が無事で進路を南に取った場合高確率であの近辺で遭遇する可能性がある。
「私は瑛理子を信じるわ」
 命を賭して囮となった瑛理子。
 彼女がケリを付けてくれていることを祈りながら、私は鉄橋に足を進めた。


 幸いにも私は無事に鉄橋から島の南部へと渡ることができた。
 森を貫く廃線路の上を私は歩く。
 極度の緊張から若干解放されたのか全身の筋肉が弛緩する。
 まだ休むには早い、仲間と合流するまでは緊張を保っていないと。
 やわらかな日差しが辺りを包む。
 こんな状況で無かったら寝転んでしまいたいほど穏やかな午前の光。
 私は線路を外れ東に向かって歩みを進める。
 そこで私は見てしまった。
 木々が多い繁る森の開けた場所、その中央に横たわるもの。
 鮮血で真っ赤に染まった巫女服を身に纏い、
 大地を紅く染めているそれ――
「う……そでしょ……?」
 信じられない、目の前の光景が信じられなかった。
 私達の前に何度も立ちふさがり、その謀略をもって数々の人間を欺いてきた悪魔、
 佐藤良美の無残な死体が転がっていた。

「なんで……」
 彼女の腕、肩、脚、胴体。
 顔以外のありとあらゆる所をメッタ刺しにされて良美は絶命していた。
 彼女の真っ赤に染まったお腹からは何本もの細長い物体が飛び出している。
 ああ、そういえば魚を捌いた時こんな物が出てくるよね。
 濃厚な血の臭い、内臓の臭い。
 それらが混じり合った死臭が鼻に突き……
「う、ぐ……ぉぇ……」
 私は胃の内容物を全て吐き出してしまった。

「はぁっ……はぁ……」
 胃液ばかりの吐瀉物が地面を汚す。
 口の中いっぱいに広がる酸っぱい胃液の味。
 情けない……私は双葉探偵事務所の美人助手だというのに……
 私はむかつく胸を押さえ、肉の塊と化した佐藤良美の身体に触れる。
 ……まだ温かい、ということはまだ死んでそれほど時間が経っていないということ。
 誰が彼女を殺害したか? おそらくここにはいないもう一人の人物。
 月宮あゆ。
 その名前を呼んで私は気がつく、良美の死体の衝撃に忘れていたもう一つの事実。
『此処であゆを倒す――それが私の役目。手負いの私に出来る、最後の役目』
 瑛理子の賭けは実らなかった。
 その事実を突き付けられ私の目に涙が溢れる。
「なによ……あんだけ啖呵切っといて……それでこれなら、あんた何のために死んだのよ……だから一緒に逃げようと行ったのに」
 違う、瑛理子は勝った。
 瑛理子の目的は私を逃がすこと、
 私がこうして無事でいることが彼女の勝利の印。
 だから泣いては駄目、瑛理子の死を無駄にしないためにも。

 私は立ち上がり、死体の側に放置されたデイパックの中身を探る。
 相手が相手とはいえ、死人の持ち物を漁るのは気持ちの良いものでは無いがそうも言ってられない。
 まずは武器になりそうな物を――彼女の荷物には一振りの刀と二挺の拳銃が収められていた。
「何よ……ほとんど弾入ってないじゃない」
 二挺の内、一挺は八発装填式のリボルバー。しかしその弾は弾倉に収められておらず、予備弾は三発しか残っていなかった。
 もう一つは五発装填式のリボルバー。弾倉には全て弾が入っていたが予備弾は無かった。
 さらにディパックを探ると予備弾が出てきたがどちらの銃にも使えない物だった。
 結局私は刀と五発装填のリボルバー銃だけを持っていくことにした。
 あとは……熊の着ぐるみのような物があったが特に役に立ちそうも無いので置いておくことにした。

「これでよし……と」
 私は良美の方へ身体を向ける。
 見下ろした私の視線の先に目を見開いたまま絶命している良美の顔を見る。
 数多の人間を欺き利用してきた女。
 結局彼女もまた自分を利用する者に殺されその最期を遂げた。
 私は彼女の見開かれた目を閉じてやる。
「私は絶対に生き延びてやるわ……あなたとは逆の方法でね」
 私は彼女にそう言い残し、その場を立ち去った。


 ※ ※ ※ ※ ※ ※


 木漏れ日が差し込む森の中を私は歩いている。
 落ち葉と土の匂いがふわりと鼻腔をくすぐる。
 ふう、と息を付く。
 私の頭から良美のことが放れない。
 頑なまでに仲間を信じて協力するという行為を拒否し、憎悪してきた彼女。
 結局最後までその理由はわからなかった。
 彼女は今際の際に何を想ったのか、ひたすら世界を呪いつつ逝ったのか。
 自分がやってきた行いをやり返されたことが世界の摂理だと歓喜に打ち震え逝ったのか。
 今の私には知る由も無かった。

 ふいに空気が変わったような気がした。
 どこが、と尋ねられても答えようがないがとにかく場の空気が一変したように感じられた。
 もちろん私に不思議な力が宿っているわけでも無い、私はいたって普通の探偵事務所の美人助手。
 そんな一般人である私でも肌で感じる空気。
 怖気。
 ざあっと静かな森を吹き抜ける凶つ風。

 それは幽鬼のように私の眼前にたたずむ赤い影。
 その身に返り血を浴びて真っ赤に染まった人間。
 幼い少女の姿をした死神が立っていた。

「月宮……あゆ」
 やはり彼女は生きていた。
 片手に一振りの槍を携え、宙を見つめている少女。
 初めて会った時のようなアールグレイの紅茶のように澄んだ紅い瞳はもはやそこに無く、
 ドス黒く濁った血のように赤い虚ろな瞳。
 その双眸が私の姿を捉える。

「ああ……沙羅さんじゃないか」
 まるで久しぶりに出会った友人のように語り掛けるあゆ。
 いつでも撃てるように私はデイパックの中の拳銃を握り締める。
「あんた……生きてたの……?」
「うん、ボクはこのとおりピンピンしてるよ。とは言ってもさすがにあの時は危なかったけどね」
「瑛理子は……どうしたのよ」
「決まってるじゃないかそんなこと、ボクが殺した。その胸を貫いて、その喉を貫いて。その時の瑛理子さんの表情知ってるかな?」
「し、知ってるわけないでしょ!」
「絶望」
 彼女は心底可笑しそうに、愉悦を交えた口調でその二文字を言った。
「命を賭けた瑛理子さんの策、切り札は見事に失敗しちゃった。瑛理子さんにもう少しだけ運があったら、ボクがもう少しだけ運が無かったら決まっていた切り札
 くすくすと唇を歪め哂う死神。
 気圧されるな、私。
 気をしっかり持て。
「ボクは『力』を手に入れた。『力』が無くて他人を利用することしか出来なかった人の末路を知ってるかな」
「佐藤……良美……」
「見ちゃったんだ。哀れな人だよね良美さんは。いきなり暴れだしたんで殺しちゃったよ。でもね、殺して正解だよ
あの人の言葉は人の心を縛る。いくら聞く耳を持たなくても言葉を耳にしたらそれは作用する、まるで魔法使いの言葉だよ。
ありがたくも良美さんは最期にボクに呪いをかけた。さすがだよ良美さんは……死んでもボクを苛立たせる
だから証明する。ボクはボクの意志でここにいる! 口先の魔術で人を惑わすしか能の無い良美さんとボクは違う!」

 その刹那、あゆの殺気が膨れ上がった。
 槍を構え一気に私に距離を詰める。
 駄目、この距離では銃よりもあゆの一撃のほうが早い!
 あゆが跳び大上段から槍を振り下ろす。
 私は咄嗟にさっき手に入れた刀を構えて一撃を受け止める。
 ガキィンと金属と金属がぶつかり合う音が響き火花を散らす。
「くぅ……!」
「苦しそうだね沙羅さん、じゃあボクが楽にしてあげるよ!」
「バカねあゆ、槍を使ってるくせにここまで距離を詰めてどうするつもりよ!」
 私は鍔迫り合いをしているあゆの腹目掛けて渾身の蹴りを放つ。
「ぐぅ……!」
 リーチの長い槍を使っているあゆは防御も回避も出来ずまともに私の蹴りを喰らい吹き飛ぶ。
 やはりあゆは槍の扱いについては殆ど素人同然。
 すぐさま私は武器を銃に持ち替え立ち上がろうとするあゆに狙いを定める。
 相手はもはや人間じゃない。此方にいながら彼方へ行ってしまった者。彼岸の住人。
 引き金を引こうとした瞬間、あゆの周囲に光の粒子が渦巻くのが見えた。
 あれは何?
 そんなこと気にするな目の前の目標を狙え!
 この距離で外すものか!

 森に一発の銃声が轟いた。

「なんで……?」
 探偵事務所の助手をやっている私はそれなりに銃器の扱いを心得ている。
 狙うは被弾面積の一番多い胴体。
 そこを狙ったはずだった。
「外した……!? 違う、避けられた!?」
 銃の射線を見切って避けたとでもいうの!?
 そんな反射神経人間が持ちえるわけが――

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
 あゆが跳んだ。
 先ほどよりも段違いのスピードで私に向かって突進してくる。
 さらに銃弾を放つが超反応で回避される。
 今度は横薙ぎの一撃。
 初撃とは比べ物にならないほどの速さ。
 回避は間に合わない!
 私は刀で防御しようとした。
「なっ……きゃあああああああああ!!!」
 段違いなのはスピードだけではなかった。そのパワー、重さは桁外れの威力。
 素人に毛が生えた程度の私が受け止められるレベルを遥かに超えていた。
 刀は弾き飛ばされ私の身体は宙に舞い、そのまま横に吹き飛び大木に叩きつけられる。
 口の中一杯に鉄の味が広がる。
 私は身を起こそうとするが……
「くぁ……」
 激痛が脇腹を刺す。
 まずい……これは肋骨にヒビが入ってる。下手すると折れてるかも。
 そんなことはどうでもいい、私は刀を探す。
 刀は幸いにも私のすぐそばの地面に突き刺さっていた。
 私は地面を這うようにそれを拾い上げようとするが――

「ひっ……」
 喉元に突きつけられる冷たい金属の感触。
 見上げたそこには哂う死神の姿。
「見た? 沙羅さん、これがボクの『力』だよ」
「それは……永遠神剣……! でもなんであゆが――」
「コレを扱えるかって? さあねボクも知らないよ。使えるものは使えるんだからしょうがないよ。
ボクはドラマみたいにぐだぐだ喋って殺す相手に隙をあげるつもりは無いよ。だから――」

 バイバイ――

 あゆが槍を振り上げる。
 私にはそれがスローモーションのようにゆっくり見えた。
(ごめん……恋太郎……双樹)
 私は目を閉じ、訪れる死を待った。



「ぬぅぅぅぅおぉぉぉるぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!」



 声がした。
 野太い男の声。
 小さな緑色の影が高速であゆに迫る。
「―――――!!!」
 それはまともにあゆの脇腹に激突し、あゆはもんどりうって吹き飛ぶ。
「こっちだ娘よ!」
 私はその声に導かれ刀を拾い駆ける。
 今やるべきことは唯一つ、出来るだけ遠くに、あゆの下から逃げ出すこと。


 ※ ※ ※ ※ ※ ※


「よし……この辺でいいだろう、だが追いつかれるのも時間の問題か……」
 ある程度あゆから距離を離した私の頭上で声がした。
 そしてそれは翼を羽ばたかせ私の前に舞い降りた。
「なっ鳥……? インコ……?」
「インコではないオウムだ」
 何がなんだかわからない。
 私を助けてくれたのは鳥……人の言葉を理解して……首輪もついている。
 これも参加者だというの???
「娘、名は?」
「え、あ……? 白鐘沙羅」
「祈には敵わんが良い名だ。我輩の名は土永、近しい物からは『土永さん』と呼ばれている」
「は、はあ……」
「詳しい説明をしている暇は無い。沙羅、西へ向かえ」
 西へ向かえ。
 彼は言った。でも西に何があるというの?
「西には我輩達の仲間、蟹沢きぬと朝倉純一がいるそこへ行け」
 初めて聞く名前、それが彼の仲間……?
 その人達は私と同じ目的を持っているの!?
「決して振り返らずにまっすぐ行け、我輩もすぐに後を追う」
「後を追う……って、あんたどうする気なの」
「少し、あの娘の相手をしてやる。お前が逃げるまでの時間稼ぎをしてやる」
「はあ!? あんた何いってんの! あんた鳥でしょ武器も持てないのにどうするつもりよ!」

 いくら空が飛べて人並みの知能があるか知らないけど、所詮は鳥。
 武器を持った人間に敵うわけがない。
 だが彼は私の心配をよそに自身に満ち溢れた声で言った。

「我輩を舐めて貰っては困るな。我らを何と心得る。我らは鳥類、一億年もの昔大空を舞い、大地を闊歩しこの星を支配した暴君の末裔ぞ。
我らが祖の陰に怯えて生きるしかなかった哺乳類、しかもたかが数万年の歴史しか持たぬヒトに我輩が遅れを取るとでも?」

 彼は自身たっぷりに言い切った。
 それは翼を持ってこの大空を舞う鳥としての誇り。
 人間には図り知ることのできない想い。
「……危なくなったら逃げなさい。わかったわね!」
「言うに及ばず」

 私が駆け出そうとした時、ふいに声がした。声の主はもちろん土永さん。
「少し……話を聞いてくれ」
「そんな事してる暇なんてあるの? ……もしかして愛の告白?」
「我輩が人間の雌に欲情するものか。まあ告白であることは変わりはないがな」

 土永さんが語った話。それは彼が犯してしまった罪の告白。
 彼はこの島で生き延びるために多くの人間を惑わし、間接的に死に至らしめてきたこと。
 一人の少女を復讐鬼と変えてしまったこと。
 そして彼の罪を受け入れてくれた少年の話。

「何で…そんな事を今更……。あんたがそそのかした坂上智代のせいで……間接的にだけど瑛理子は……私の仲間は死んだ」
「今更赦してもらおうなんて思っていない……だが……」
「ここであんたを責めた所でどうにもならないことぐらいわかってる……だから待ってる。
朝倉純一と一緒に待ってる。そこで山ほどあんたの謝罪の言葉を聞いてあげるわ。殴って欲しいのならいくらでも引っ叩いてあげる。
だから絶対生きて戻ってくるのよ。約束よ! 破ったら承知しないから!」
「すまない……」
「生きて罪を償うのよ!」

 私はそう言って走り出す。
 まだこの島で懸命に足掻いている仲間達がいる。
 命を呈して私を逃がしてくれた瑛理子に報いるためにも、
 複雑な想いはあるけど危険を顧みず殿を引き受けてくれた土永さんのためにも、
 私は絶対に生き延びなければならない。

 だから――希望に向かって走れ白鐘沙羅!



【E-6/二日目 午前】

【白鐘沙羅@フタコイ オルタナティブ 恋と少女とマシンガン】
【装備: ワルサー P99 (15/16)】
【所持品1:フロッピーディスク二枚(中身は下記) ワルサー P99 の予備マガジン5 カンパン30個入り(10/10) 500mlペットボトル4本】
【所持品2:支給品一式×2、ブロッコリー&カリフラワー@ひぐらしのなく頃に祭、空鍋&おたまセット@SHUFFLE! ON THE STAGE、往人の人形】
【所持品3:『バトル・ロワイアル』という題名の本、エスペリアの首輪、映画館にあったメモ、家庭用工具セット、情報を纏めた紙×12、ロープ】
【所持品4:爆弾作成方法を載せたメモ、肥料、缶(中身はガソリン)、信管】
【所持品5:地獄蝶々@つよきす、S&W M36(5/5)】
【状態:疲労大・肋骨にひび・強い決意・若干の血の汚れ・両腕に軽い捻挫】
【思考・行動】
基本行動方針:一人でも多くの人間が助かるように行動する
0:純一達と合流する
1:土永さんに複雑な想い
2:状況が落ち着いたら、爆弾を作成する
3:状況が落ち着いたら、フロッピーディスクをもう一度調べる
4:首輪を解除できそうな人にフロッピーを渡す
5:情報端末を探す。
6:混乱している人やパニックの人を見つけ次第保護。
7:最終的にはタカノを倒し、殺し合いを止める。 タカノ、というかこのFDを作った奴は絶対に泣かす
【備考】
※国崎最高ボタンについて、何か秘密があるのでは無いかと考えています。
※FDの中身は様々な情報です。ただし、真偽は定かではありません。
※紙に書かれた事以外にも情報があるかもしれません。
※“最後に.txt .exe ”を実行するとその付近のPC全てが爆発します。
※↑に首輪の技術が使われている可能性があります。ただしこれは沙羅の推測です。
※図書館のパソコンにある動画ファイルは不定期配信されます。現在、『開催!!.avi』と『第三視点からの報告』が存在します。
※肥料、ガソリン、信管を組み合わせる事で、爆弾が作れます(威力の程度は、後続の書き手さん任せ)。
※月宮あゆ、坂上智代が殺し合いに乗っている事を知りました。
※坂上智代マーダー化の原因が土永さんにあることを知りました。
※沙羅が持っていった良美の荷物は地獄蝶々とS&W M36だけです。他の荷物は良美の死体の側に放置しています。


 ※ ※ ※ ※ ※ ※


「さて、そろそろ来る頃合か……」
 我輩は木の枝に止まり、辺りの様子を探る。
 凄まじい殺気が森を覆いつくす。
 狩りの邪魔をされた獣の怒り。
 ただの人間には感じ取ることは出来ないだろうが我輩は鳥、動物として本能がその気配を捉える。
 ただの鳥ならばこの殺気を感じただけで逃げ出してしまうだろう。
 鳥としての本能が訴える恐怖なんぞ我が理性が消し去ってくれよう。
 我輩はただの鳥に非ず。ただのオウムに非ず。
「我は――土永なり」

 そして我輩は獣の前に舞い降りた。

「残念だがこの先は通行止めだ。ここから先は貴様のような下郎が進むべき場所じゃない。わかったらさっさと帰れ」
 我輩は娘と対峙する。
 圧倒的な殺気、翼が震える。
 白鐘沙羅はこんなモノと戦っていたのか。
 いや鈍感な人間だからこそ戦えるのだろう。
「誰がボクの邪魔をしたと想っていたら……あはははは! こんなモノがボクの邪魔を!」
 娘は哂う、けたけたと腹を抱えて哂う。
「そうだこんなモノに貴様は邪魔をされたのだ。ふはははははは」
「あははははは!」
「ふははははは!」
「あっはははははは!」
「ふはははははは!」

「あははははは……この鳥風情がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 娘は槍を我輩に向かって振り下ろす。
 なるほど……なかなか良い速さだ。
 だがしかし、ヒト以上の反射速度を持つ我輩に避けきれぬ速さではない。
 我輩は翼を広げ空を舞う。
 その横を槍が通り抜ける。
「たかが鳥、されど鳥……我輩に翼があることを知らないのか?」
 我輩は槍の届かない高さまで羽ばたき彼女の上空を旋回する。
 仮に銃を持っていたとしても常に移動する目標に正確に当てることは難しい。
 こうしていれば沙羅が逃げるまでの時間を稼ぐのは容易だ。
 だがそれだけでは駄目だ。
 この娘は危険すぎる。少しでも手傷を負わせなければ。
 我輩が狙うのは彼女の眼、その一点にこの嘴を突き立て喰らう。
 我輩は勢いを付けるためさらに高く上がる。

 森の木々よりも高く我輩は昇る。
 眼下に広がる深緑の森、青い空、青い海。
 その美しい光景を一望した後、我輩は翼を広げ一気に急降下した。
 この速さにヒトは反応できまい!

 我輩は見た。
 右手に槍を持った娘の姿。
 娘を包む淡い光。
 左手に構えられた銃を――

「が、ぁぁぁッ……!」
 左翼に広がる凄まじい痛み。娘の放った銃弾は片翼を貫いていた。
 駄目だ体勢が維持できない……!
 我輩はそのまま地面に落下した。
「ぬぐぅ……たかが小娘如きに……」
 翼を動かそうとするが激痛に邪魔をされてまともに動かせない。
「まさか鳥相手にこの力を使うことになるなんてね……」
 力――? あの娘は何をした……
「これがボクが手に入れた『力』だよ」
 娘は槍を掲げ高らかに声を上げる。
 それは勝利の雄叫び。
 敗北者には死をもたらす死神の姿。
 死が鎌首をもたげ我輩に迫る。
「哀れな姿……飛べない鳥に意味があるのかなあ」

 この娘は何を言っている。
 我輩は一言も飛べなくなったとは言ってはいないぞ。


 たかが片翼に穴が開いただけではないか――


「ふ、ふははははははッ!!!」
「何が可笑しいのっ」
「これが笑わずにいられるか人間! 片方の翼に穴を開けたぐらいで何をいい気になっている!」
「何……」
「貴様は知らんのか? 片翼を失ってもなお飛び続け、無事に帰還した『鷲』の名を冠した翼をなあ! ヒトの造りし翼に出来て、我輩に出来ぬはずが無い!」

 まだ翼は動く。動く限り我輩は空を目指せる。
 左の翼がもげそうになる痛みをこらえ必死に翼を羽ばたかせる。
「ぐぉ……」
 普段の我輩にとって翼を動かし空を飛ぶことは当たり前の行為。
 ヒトが手足を動かすことと同じ。
 それが今や耐え難い苦痛となって我が身を襲う。

 ふわりと身体が浮いた。
 飛べた! 我輩はまだ飛べる!
 さあもっと高く! 高く飛べ! 高く空へ!
 そして我輩は一気に降下する。
 もっと速く、さらに速く! 風よりも速く!

「馬鹿な鳥……」
「地べたを這いつくばる人間には解るまい……! 空を手にした者の誇りをなぁッ!!!」

 娘が銃を構える。


 祈――我輩に力を――



 ※ ※ ※ ※ ※ ※



 一発の銃声が再び森に木霊した。
 銃を構えた少女、その足元に転がる両の翼を撃ち抜かれた一匹のオウム。

 あゆは無言で、土の上に倒れ付す土永さんに銃を向ける。
 さら乾いた銃声が二つ、土永さんの両の翼に穴が穿たれる。
「くっ、ふふふふふ。怖いか? 我輩が再び空を舞うことがそんなに怖いか」
「うるさい……」
「安心しろ人間、我輩は二度と飛べぬわ」
 あゆは不機嫌だった。
 オウム如きに神剣の力を使ってしまったこと、そして何よりも。
「どうして見ず知らずの人間を……沙羅さんを助けたの……!」
「仲間だからだ……と言ったらどうする?」
「ふざけるなぁッ!」
 あゆはさらに土永さんの翼に銃を撃ち込んだ。
 衝撃で土永さんの小さな身体がビクンと跳ねる。
「鳥ごときにまでが仲間仲間仲間仲間!!! 下らないよッそんな言葉!」
「ぐふっ……じゃあ言い方を変えてやろう……あの娘が貴様に襲われていた。それだけだ」
「それだけのために……そんなちっぽけな正義のために……ッ。どうしてこの島のルールを理解しない理解しようともしない!
どうしてどうしてッ! 奪う側か奪われる側、それがこの世界の現実、だからボクは奪う側に回った! なぜみんなその現実から目を背けるの!」

 あゆは感情を爆発させ一方的にまくしたてる。
 土永さんはあゆを冷ややかな目線で見上げていた。

「哀れだな……人間。万物の霊長と自負する者が出した結論がそれか、変わらんなこれでは」
「何が変わらない……!」
「世界の定めた摂理に従い自らが生き残るために他者を喰らう……まるで獣と変わらんな」
「黙れ……」
「何より滑稽なのが仲間を守るという鳥風情でも理解できる感情が人間の貴様に解らんとはな……これを滑稽と言わず何と言う? ふ、ふはは、ふははは――」


 ごりっと、肉と骨が砕かれる嫌な音がした。
 あゆの手にした槍の穂先が土永さんの胴体に深く食い込む。
 血塗られた魔槍を何度も何度も何度もその身に突き刺す。
 虹色の羽根が辺りに舞い散った。
「黙っててと言ってるでしょ……次喋ったら焼き鳥に――ああ、もう死んじゃったか」
 あゆは穂先に突き刺さってる土永さんだった物を引き抜き、無造作に放り投げた。
「なに鳥ごときにムキになってるんだろボク……バカバカしい……」

 気にすることはない、所詮は畜生の戯言。
 ボクはボクの信じた道を進めばいいだけ。

「はあ……沙羅さんに逃げられたのは痛かったなあ……ボクのことを他の人に喋られちゃうよ」
 まあいいや、とあゆは大きく深呼吸をした。

 良美さんとは違って誰かを利用して姑息に生き延びる弱い人間じゃない。
 皆殺し。
 それが力を得たボクの簡単な生き残るための方法。




【土永さん@つよきす-Mighty Heart- 死亡】


【E-6/二日目 午前】
【月宮あゆ@Kanon】
【装備:永遠神剣第七位"献身"、背中と腕がボロボロで血まみれの服】
【所持品:支給品一式x3、コルトM1917の予備弾25、コルトM1917(残り2/6発)、情報を纏めた紙×2、トカレフTT33 0/8+1、ライター】
【状態:服と槍に返り血、魔力消費中程度、肉体的疲労中程度、ディーと契約、満腹、首に痣、背中に浅い切り傷、明確な殺意、生への異常な渇望、眠気は皆無】
【思考・行動】
行動方針:全ての参加者を皆殺しにして生き残る
0:死にたくない
1:生き残るため皆殺し
2:可能ならば工場に行く(北上)


【備考】
※契約によって傷は完治。 契約内容はディーの下にたどり着くこと。
※悲劇のきっかけが佐藤良美だと思い込んでいます
※契約によって、あゆが工場にたどり着いた場合、何らかの力が手に入る。
(アブ・カムゥと考えていますが、変えていただいてかまいません)
※ディーとの契約について
 契約した人間は、内容を話す、内容に背くことは出来ない、またディーについて話すことも禁止されている。(破ると死)
※あゆの付けていた時計(自動巻き、十時を刻んだまま停止中)はトロッコの側に落ちています。
※次の目的地は他の書き手さんに任せます。



193:贖罪/罪人たちと絶対の意志(後編) 投下順に読む 195:覚醒、決意、そして……アサクラジュンイチ(前編)
191:世界で一番長く短い3分間 時系列順に読む 193:贖罪/罪人たちと絶対の意志(前編)
183:ファイナル・ミッション/奪う者、奪われる者(後編) 白鐘沙羅 198:小さなてのひら/第2ボタンの誓い(前編)
192:終着点~侵されざるもの~ 月宮あゆ 196:彼女の見解
192:終着点~侵されざるもの~ 土永さん







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