どんなときでも、ひとりじゃない ◆UcWYhusQhw




『諸君らに大神の祝福あらんことを―――――』

「畜生! 間に合わなかったのかよ……」
純一は自分の拳を地面に叩き付けた。
なぜなら放送で探し人、前原圭一の名が呼ばれたからだ。
間に合わなかった、その事が悔しかった。

純一達は病院に向かってる途中のE-6で放送を聴いていた。
そこで呼ばれた圭一の名前。
その事で純一達はショックを受けていた。

「梨花ちゃん……独りになっちまったな」
「古手……大丈夫かよ……」

心配するのは梨花の精神状態だった。
あんなに会いたがってたのに。
あんなに心配されたのに。
そう思うととても居た堪れなくなった。

そして
「つぐみと悠人は大丈夫か? 病院に向かったはずだし」
「クラゲなら大丈夫だろ……たぶん」
そうつぐみ達の心配だった。
前原圭一が病院で死んだのだとすると病院に向かったつぐみたちが殺し合いに乗った人に襲われる危険性が高い。
戦闘能力が高い二人でもやはり心配だった。

もっとも今は
悠人は永遠神剣に呑まれ暴走し
つぐみは病院で最愛の人、武と戦おうとしていた。
その事に純一達が知る由も無いのだが。



そして純一達が放送を聴いている間に

「純一、今戻ったぞ」

回りを偵察にいっていた土永さんが帰ってきた。
純一達が放送についてメモをしてる間土永さんは偵察する事を提案した。
少しでも純一の役に立ちたかったからだ
翼も少し傷がよくなっていたのでリハビリもしたかったからだ。

純一は一旦考えることを止め

「ああ、お疲れ様。何か収穫は?」
「うむ、もう少し先に男女の2人がいたがどうする? 接触するか?」
「どうすんだよ、純一? お前が決めろよ」
「2人組みか……うーん、なら」

そして純一が下した判断は――






 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・





(また放送した人間が変わったかい……そんなにそっちは人材が豊富だって事を言いたいかい、鷹野?)

放送を聞いたあゆはそう思った。
また放送を行う人物を変えたのだ。

だがそこで疑問に思った事があった。
なぜ今更そんなに変える必要があるのかということだった。
そこで今回呼ばれた死者が少なかった事。
それと結びつけあゆが達した結論は

(殺し合いに乗った人間が減ってる事か。人数が減ったのも確かだけど、こんなに少ないさね。間違いないさ。それでわざわざ人材が豊富だっていいたいのか、脱出が無理だと言う為に)

その結論は殺し合いに乗ってないあゆにしては嬉しい事。
(でもまだ一ノ瀬は生きてる、甘い人間を騙して。だから絶対あの糞虫は殺す!)
でもまだ一ノ瀬ことみは生きている。
そのことがあゆを奮い立てていた。

そう思いハクオロに声をかけた。
「行くさ、ハクオロ。こうしちゃ居られないよ。一ノ瀬をさっさとやらないと……ハクオロ?」

しかしハクオロはそれを聞いていなくどこか上の空だった。

あゆはもう一度
「どうしたんだい、ハクオロ?」
「あ? あ、ああ何でもない。あゆ」
「大丈夫かい?」
「ああ何でもない」

ハクオロやっと反応し答えた。
彼を上の空にしていた事、それは
(大神だと? まさかウィツアルミネティアなのか? だとしたらヒエンなる者は私達と同じ世界の人間なのか? なぜ鷹野の元にそんな人間が居る? 分からないな)
ヒエンが発した「大神」という言葉。
それはもしかしたら自分達の世界の神「ウィツアルミネティア」の事だとしたらヒエンは自分達と同じ世界の人間だということである。
そうだとすると今まで自分達の世界と関りのなかった鷹野が関係があるということだ。

なぜ、と疑問に思っているハクオロをせかすようにあゆが
「なら行くよ! 時間が惜しい」
「ああ、判った。だがその前に」

ハクオロは後ろに振り向き傍にある茂みに
「いい加減出てきたらどうだ? 私が分からないと思ったか?」

そうさっきから背後に気配を感じていたのだ。
何も起こさなかったので黙っていたがいい加減無視できなくなっていった。
それを聞いたあゆの顔にも驚きと緊張が走った。



その直後茂みの奥から
「だー! ばれちまったじゃねーかよ! お前がヘタレだからだろ! 純一」
「いや! それは絶対関係ねーって! ヘタレは関係ないし! しかもまたヘタレかよ!」
「我輩はお前ら2人が原因だと思うのだが……」
「「土永さんは黙ってろ!」」
「……理不尽だ」
という騒がしい声が聞こえてきた。

この瞬間あゆとハクオロは判断した。
絶対ゲームに乗ってない、無害だと。
そして凄まじく馬鹿で甘いということも。

ハクオロはそんなバカップルのような騒ぎ方をしている純一達の方を向きため息をつきながら言った

「……そろそろいいか? こちらは乗っていないが、そっちは……乗ってる訳無いか」
「あ、ああ悪い。俺達も乗っていない。俺の名前は朝倉純一」
「ボクは蟹沢きぬだ」
「我輩は土永だ」

3人はハクオロ達のほう向きそう答えた。
「……私は大空寺あゆさ」
あゆは唖然としつつも土永さんのほう向き
「鳥も参加してたのか? こいつ非常食かい?」
そういった。


「な!? 我輩が非常食だと」
「そんな訳ねーよ。第一こんな不味そうなの食べたくもないし」
「それもそうか、悪かったよ」
「な、な、……何だとー」
土永さん自分が悲惨な扱いを受けていた事にショックを受けていた。
そんな土永さんを華麗にスルーして純一はハクオロに

「それであんたはハクオロか? 悠人から聞いたんだ。変な仮面してるって聞いたから間違いないと思うが」
「ああ、そうだが。悠人とあったのか?」
「ホテルでな。確かに病院で合流すると聞いたけど」
「……ああ、色々あって変わったんだ」
「色々?」

純一の疑問にあゆが
「これは私が答えるさ、私が話した方がいい」
そう答えた。
そして全てを話し始めた。

一ノ瀬ことみに仲間だった亜沙を殺された事。
その後にハクオロと合流した事。その時、あゆが自分が一度乗ろうとした事は伏せた。
病院に行き、ハクオロの仲間だった衛を殺された後だった事。
そして遂にことみと出会い、またハクオロの仲間を騙していた事。
今はことみを追ってる最中だという事。
あゆは話した。
話してる最中にあゆは憎しみ隠し切れなくていくつかは怒声になっていた。

黙って全部を聞いていた純一は
「……それで、そのことみって奴見つけたらどうするんだ?」
そう言った。あゆは間髪入れず

「殺す! あの糞虫に生きてる価値なんか無い!」

その言葉にはただの単純な憎しみ。
それしか篭められてなかった。
それしか考えられなかった。

だが純一は黙っていなかった

「なぜ殺そうとするんだよ! 憎んでもいい! でも殺したって何にもなんないだろーが!」

あゆがやろうとする事は純一は信念に反していた。
また鷹野の思惑にはまって殺そうとしている。
止めたい。
ただその一心で動いていた。

だがあゆは怒りを爆発させ

「は!? 何言ってるさね! あいつは殺されて当然の行為をしたんだよ! それを殺すなだって!?」
「ああ! 俺はこの地獄のような島で決めた信念がある! 殺し合いに乗ってる人間を止め全員での脱出するって信念が!」
「この島で死んでいい人なんて居ないんだよ! 鷹野の様な人間に騙されるんじゃねーよ! 殺されたから殺して、殺したから殺されてという連鎖をしちゃ駄目なんだよ!」
「俺達が倒すべきは鷹野だ! だから、どんな憎んでも殺すべきじゃない!」

その純一の信念を聞いてあゆは
(殺し合いに乗ってる人間を止め全員での脱出するだって! 甘い、甘すぎるさ! まだこんな人間居たのかい!)
「はっ! 甘いね! そんな糞虫みたいな人間生かしておいてなんになる! 私は時雨を殺した奴となんか行動したくも無いさ!」
「おれだって恋人だった音夢を殺された! でも、ここで殺しても何の意味なんか無い!」
純一はそういい切った
だが純一は気付いていなかったが恋人という単語にきぬが過敏に反応していた。


互いに意見をぶつけ合う。
だがお互いに認める事は無い。
平行線のままだった。

それに見かねてハクオロが
「あゆ、少し私に任せてくれないか?」
「でもさ!」
「いいから」
「……わかったよ」
しぶしぶあゆが了解するとハクオロは

「さて、純一といったな。お前のその信念しかと聞いた。とても強く綺麗な物だな」
「そ、そうか?」
「だが、綺麗すぎる」
「え?」
「たしかにだれも死ななければいい。殺されたから殺してという連鎖なんかなければいい。でも実際はそんなに上手くいくものではないのだ。それにお前の考えは所詮殺さない人の立場でしか考えてない」
「人を殺す人間は全て悪いわけではない。護るべきの人のため、己が信念のため、散ってった仲間のため、そして生きるため戦っている。そして殺した人の思い、殺した罪も背負って生きているんだ」
「お前はそんな人間の立場を考えた事をあるのか? その事を考えてお前はその理想を言ってるのか? 今のお前は戦う覚悟無い様にしか見えない、ただに逃げてるだけだ」

ハクオロは国の皇である。
そのために戦争した事何回もある。
そしてそのたびに人が死ぬ。自分だって何人も殺した。
でも決して憎しみだけ殺してはいない。
兵士達も生きたい、国を護りたい。自分の大切な人を護りたい。
そんな思いで戦い殺している。
だから殺す人間の気持ちもわかることができた。

それ故に純一の理想はあくまで殺してない人間だから言えることでハクオロからしてみればその考えはとても綺麗すぎた。


「……でも、それでも、俺は殺す事を認める事なんか出来ない!」
でも純一はそれを認めることはできなかった。
認めたら信念がガラガラと音を立てて崩れるような気がして。

きぬが純一の手を握る。
「純一、大丈夫かよ?」
きぬはどこか怯えた様子の純一が心配だった。

だがハクオロは純一の必死の言葉にさらに反論し
「純一、お前の理想も正しい。だがもう少し現実を知った方がいいな」
「え?」

ハクオロが言葉を紡ごうとする。
きぬにはそれがなんだか怖かった。

「なら純一教えよう。お前の恋人、音夢といったな? 誰が殺したかわかるか?」
「い、いや」

純一が震えた。
これから続く言葉を聞きたくなかった。

「そいつを殺したのは私だ」
「「「「!?」」」」

ハクオロ以外の4人が驚く。

純一はのどが渇いてくのが判った。
震える声で
「どうして……なんで?」
「襲われたからさ。殺すしかなかったんだよ」


純一は必死に抑えた。
信念が砕けそうで。
音夢が乗っていたのも知っていた。死んだという事は誰かに殺されたんだろう。
それがまさか目の前の男だとは思わなかった。
憎い。
そう思ったが信念のためおさえた。

が、ハクオロはそれすらも打ち砕いた。
「まあ、殺す前に楽しませてもらったよ。中々よかった」

その言葉で純一は何かが弾けた。

ただ浮かぶのは憎悪。
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い、憎いっ!!

きぬの手を乱暴に解き
「あああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
ハクオロに向かって突進した。

この男を殺す。
ただそれしか考えられなくて。
信念なんか考えられなかった。

ハクオロはそんな純一の攻撃を避け投げ飛ばした。


「所詮お前はそんなものなのか、純一? 言葉に惑わされ、憎悪のために理想を捨てたのか? お前の理想はそんなものか?」

純一は倒れたまま言った

「どういう……事だ?」

ハクオロは純一に向け
「悪いが試してもらった。お前の覚悟がどんなものかを。その信念を。」
「ため……す?」
「ああ、私はお前の恋人を犯してなんかいない。襲われたのは事実だが。仕方がなかった。仲間を助けるにはそれしかなかった。すまない」

ハクオロはそういい頭を下げた。

純一はクリーンな思考で考えた。
違ったのだ。
自分は憎しみにとらわれて信念を捨てた。
そう思った瞬間
「あ、ああああ……うああああああああああああああああああ!!!」
感じるのは絶望。
結局口だけだった。
自分には覚悟など無かった。
その理想を謳うには相当の覚悟が必要だったというのに。
それがなかった。
ただ憎しみにとらわれて。


「俺は、俺は、畜生ーーーーーーーーーーーー!!!!」

もう何も考えらなかった。


ハクオロが
「お前の覚悟、理想はそんなものなのか? 諦めるのか? 私はお前がどうなるか楽しみにしている」
そう言い放ち
「あゆ、行くぞ」
「あ、ああ。判ったさ」
あゆと共に去っていた。

残されたのは
「俺は、俺は何をしてたんだよ! 俺は! 俺は!」
絶望した少年と
「純一……」
迷う少女と
「何てことだ……」
惑う鳥のみ。





 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・








「なあ? ハクオロ、あれでよかったのかい?」
あゆは釈然としない思いを伝えた。
「正直、あんたの態度、きつすぎだよ。それに襲われて殺したのも嘘だろ?」
「ああ」
「なら、なんでさね?」

ハクオロは一息ついて
「そうだな。予防線って所だ」
「予防線?」
「ああ、もし純一が音夢を殺した人に会う可能性があった。もしそれでさっきみたいになったらどうする? 確実な死だ」
「それなら私が恨みを買った方がいい。私を憎めばその危険は無くなる」

あゆは嘆息した。
(何て、甘い、いや大きい人だね)
「そう、でもその前にあの男潰れないかい? あのままじゃきっと」

そんなあゆの当然の質問に
「ああきっと大丈夫だ」
「何故さ?」
「それは彼は独りではないからだ。傍に居たじゃないか。誰よりも彼を、彼の信念を信じ、付き添っていたパートナーが」
ハクオロは笑顔でそう言った





 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・







「畜生! 俺は今まで何をやってたんだよ! 俺は! 俺はぁぁぁぁぁぁ!!」
純一は拳を地面に打ち付けていた、ずっと。
まるで壊れた人形みたいに。
激しい絶望。
信念を打ち砕かれどうしようもなかった。


(純一……ボクはどうすればいい? このままみてる? いや違うね。ボクはこんな純一を黙ってみてられない。ならやる事は一つ)
(ボクが純一を戻す。恋人がいたって事で知ったこの想い。 諦めるのか? 違うね。絶対諦めない)
(ボクが惚れた純一はこんなじゃない。理想掲げ進む純一だ。だから絶対戻す!)
きぬは思った。
こんな純一は見たくない。
好きになったのは愚直なまでに進む純一。
だからやろう。
自分にできる事。

きぬはそっと純一に近づいた。
そしてきぬが後ろから抱きしめた。

「蟹沢!?」
土永さんが驚いた風に声を上げた。


そして言葉を紡ぐ。
「おい、純一。やめろよ。そんな事したって何にもなんねーぞ」
純一は拳を打ち付けるのをやめ
「……蟹沢、俺は何やってたんだろうな……覚悟もなかった、感情に任せて俺は……結局、無駄だったのか、俺がやってきた事は」
弱弱しく純一は答えた。

きぬは少し怒って
「無駄なんかじゃねーよ! 純一が居たおかげで今のボクがいる。土永さんだっている。だから諦めらめんなよ!」
「……でも俺はもう無理だよ。信念は砕けたんだ。今の俺は絶望だけだ」
そう純一は言い放った。

それから2人は無言だった。
だが唐突に純一の首筋に冷たいものが当たった。

純一が振り向くとそこには涙を沢山溜めたきぬの顔があった。
そして
「こ……の、ヘタレ!……一人で抱え込むんじゃねーよ……ボクには純一の絶望なんかわかんない……どんだけ苦しいかもわかんねーよ」
きぬが抱きしめるのを強めた。
きぬがぼろぼろ泣いていた。
何故かそれが純一にとって温かった。
「ボクには……その音夢って人を失った悲しみもわかんねーけど……でも、ボクは解りたい……純一の事……苦しみも……悲しみも……憎しみも」
「それに……まだ信念は無くなってねーよ……純一」
「……え?」

きぬは一際強い声で
「覚悟が無いんだったら……すればいいいだろ……信念が砕けたなら……もう一度集めればいいだろ……お前が諦めなきゃ叶うだろ! 純一!」
「お前が……苦しかった時……悲しかった時……辛い時……ボクが助けるから……その音夢の代わりになるかわかんねーけど」
「だから……諦めんなよ! 純一! ボクも傍にいる! お前を助けてやる! お前は最後まで進まなきゃ駄目だろ! 純一!」
「純一……お願いだから諦めんなよ……ボ……ク……こんな……純一……見るの……やだよ……」

そういいきってきぬは泣き出した。
この想い、純一に届けと。


(蟹沢……俺は……馬鹿だな……音夢にも怒られちまう……前に思っただろ信念は一人のものじゃないって)
(考えろ! 朝倉純一! 今泣いてるのは誰だ? 何で泣いてる? 俺が諦めたと思ってるから)
(諦めるな! 朝倉純一! 覚悟が無い? 今覚悟すればいい! 憎しみが溢れる? 大丈夫だ! 傍にこいつが居る!)
(進め! 朝倉純一! 自分の為に! 音夢やさくら、ことりや散ってった仲間の為に! そして今俺のために泣いてる少女の為に!)

そう純一は奮い立たせ
「蟹沢……ごめん……本当に……ごめん、そしてありがとう」
振り向ききぬの方に向き
「俺は独りじゃないんだよな。忘れてたよ。誰よりも信じてくれる奴が居る事を」
「ありがとな。俺はもう絶望なんかしない」
「俺はもう諦めない! どんなに言われても俺は信念を捨てない! 諦めない! 蟹沢の為にも!」
「だから見てろよ! 俺は進み続けてやる!」
そしてそう誓った。
諦めないと目の前の少女に

きぬがもう涙でぐしゃぐしゃになった顔で
「やっと……戻りやがったな純一! もう……心配させじゃねーぞ、この……この……この!」
純一に近づき抱きしめた。
純一は驚きつつも
「はは……ただいま、蟹沢」
笑顔でそれを迎えた。


もう大丈夫。
もう絶望しない。
どんなに土台がなくなってもこの無垢な少女がいるから、きっと大丈夫。
俺は進めるから。
だから見てろよ、皆。
諦めないから、俺。






「お楽しみの所、申し訳ないのだが」
土永さんがそう声をだした。
その瞬間2人は
「「わ!」」
さっと離れた。
2人は顔を真っ赤にしながら
「別に楽しんでたわけじゃないもんね!」
「そうだぜ!」
そう反論した。
土永さんは嘆息しつつも
「もしや、我輩を忘れたわけではあるまいな?」
そういった。

2人は心の中で
( (あーごめん。居たの忘れてた。) )
そう思っていた。
それを悟ったのか話題を変えた。
「もういい! とりあえずこれからどうする?」 

純一は考えた。
信念を貫くならやる事は一つ。
「ハクオロ達を追いたい。みすみす、やらせる訳にはいかない」
ハクオロ達を止める。
もう迷わない。そう決めたから。


しかしきぬが反論した。
「でも、つぐみ達どうすんだよ? あのヘンテコ仮面が向かった先違うし」
元々病院で合流する予定だったつぐみ達の事だ。
確かに方向が違うし行き違いなるかもしれない。

「うーん、困ったな」
純一が迷ってる所に
「なに迷ってる純一。我輩を使えばいい。病院までいって、つぐみとやらに伝えればいいのだろう?」
土永さんがそういった。
確かに土永さんが行けば伝えられるだろう。
しかし

「お前、傷大丈夫なのか?」
「まあ、少し痛むが休み休み行けば大丈夫だ」
「でも無理をしない方が……」
「何を言ってる。我輩は少しでも純一の役に立ちたいのだ。これくらいはしたい」

それは土永さんの本心からの言葉。
だから純一はこういった。
「解った。任せる。つぐみ達の容姿は……」

そして土永さんにつぐみ達の容姿など教えた。
「よし、わかった。もし疑われたらどうすればいい?」
そんな土永さんの疑問に
きぬはこう言った。
それはつぐみに言えばすぐに自分達とわかる言葉。

「クラゲって言えよ。一発で解るからよ」
そうきぬがつぐみにつけた渾名。
これなら自分達とわかるはずとおもって。


土永さんは満足そうに
「解った。では行ってくる」
そういい飛び立った。

こうして凶報を伝えた凶鳥は、情報を伝える鳥へと変貌を遂げた。



土永さんを見送った後純一達も出発する準備を始め
「よし、そろそろボクたちも行こうぜ」
「ああ、その前に蟹沢」
「なんだ?」
「ありがとうな。色々とさ」
「べっ別に、惚れた相手だし」
「え、今なんて」
きぬは顔を真っ赤にして
「何でもない、何でもないよー! ほら先行くぞ」
駆け出した。

(蟹沢が俺を? 俺は蟹沢のことどう思ってんだろう? なんかモヤモヤするな。)
だがそれを振り切って
「おい、待てよ、蟹沢」
きぬを追いかけだした。




【E-6 平原(マップ下部)/2日目 朝】


【土永さん@つよきす-Mighty Heart-】
【装備:なし】
【所持品:なし】
【状態:左翼には銃創(治療済み)、頭には多数のたんこぶ】
【思考・行動】
基本:最後まで生き残り、祈の元へ帰る
0:純一の為に自分に出来ることを考える
1:つぐみ達を探し純一達が西に向かった事を教える。

【備考】
※小町つぐみ、高嶺悠人の情報を得ました。




 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・







ハクオロ達は山のほう向かってちょうどD-7に入った頃、背後から

「おーい! やっと追いついた!」

と聞いた事がある声が聞こえた。
それは純一達。
最初ハクオロは構えたが純一の目がしっかりしているのを見て構えを解き
「何の様だ? 純一」
そう答えた。
もっとも追ってきた時点で大体は解ってはいたのだが。

「止めに来た。俺が信じる信念の元に」

そう純一は言い放った。
もう迷いはなかった。

ハクオロは意外そうに

「ほう、あの時言葉に騙され理想を捨てたお前がか?」
「ああ、もうあの時とは違う! 覚悟も出来た! 綺麗事と言われたって構わない! 俺は進むのやめない! 蟹沢と約束した!」
「覚悟、か。お前は私が憎くないか?」
「憎くないといえば嘘になるけど、でも、俺はその憎しみですら力にしてみせる! 俺は独りじゃない、俺が辛い時助けてくれる仲間も居る」

ハクオロはそれを聞いて満足した。
どうやら自分が望んだようになったようだと。
純一の理想、それは綺麗すぎる。だがこの島ではこの上の無い武器。
だがあの時の純一にはそれを行う覚悟も無いように思えた。
だから試した。
そして今、純一は強くなった。

最後にもう一つ聴きたい事があった。


「最後に聴きたい事がある。お前は戦う覚悟があるか?」
「戦う覚悟?」
「ああ、もし説得不可能の相手がとあったらどうする?」
「……まだ、よく解らない」

ただと純一は付け加え隣に居るきぬを見て

「蟹沢だけは絶対守り通す。絶対に」

そういった。
まだ決められない。
でも自分の為に全力で尽くしたきぬだけは守り通したかった、絶対に。
それがどんな時でも。

ハクオロは頷き
「まあ、いいだろう」

そして
「勝手にするがいい。純一」
「ああ、勝手についてくるさ」

ハクオロは満足そうにしまた歩み始めようとした。
だが
「ちょっと待つさ! ハクオロ」
あゆがハクオロを止めむりやり自分の傍まで近づけた。

「どうした? あゆ」
「どうしたこうもないさね。あいつら連れてくってどういうつもりだい。まさか一ノ瀬を殺さないって言うのかい?」
「そんな訳が無い。ただお前もそうだろう?」

あゆが疑問に思い
「何が?」
「あんな甘い人間、ほっとけないだろ? お前、私にもそういっただろう?」
そう不適に笑いった。
「ああ、もう! そんな言い方されたら、無視できないさ、今回限りだよ」
あゆはしぶしぶ了承した。

(もっともそれだけではないのだがな。まあこれは伝えるわけにいかないな)
そうハクオロにはもう一つ意味があった。
もしことみとあった場合、ギクシャクして話し合いにならないだろう。
そしてお互いにすれ違いが多い。
だから客観的な視点が欲しかった。
そこに純一達を利用しようと考えたのである。
ただそんな事あゆに伝えれば憤慨するだろう。
だから伝えられなかった。

そして
「では行くか」
4人は進み始める。

己が信念の為に。



【E-6 平原(マップ下部)/2日目 早朝】



【大空寺あゆ@君が望む永遠】
【装備:S&W M10 (3/6) 防弾チョッキ 生理用品、洋服】
【所持品:予備弾丸10発・支給品一式 ホテル最上階の客室キー(全室分) ライター 懐中電灯】
【状態:生理(軽度)、肋骨左右各1本亀裂骨折、強い意志、左前腕打撲(しばらく物が握れないレベル)】
【思考・行動】
行動方針:殺し合いに乗るつもりは無い。しかし、亜沙を殺した一ノ瀬ことみと佐藤良美は絶対に逃さない。
1:一ノ瀬ことみを追う(当面の目的地は温泉)
2:二人を殺す為の作戦・手順を練る
3:ことみと良美を警戒
4:ハクオロをやや信用しつつもとりあえず利用する
5:純一達はとりあえずハクオロに任す
6:殺し合いに乗った人間を殺す
7;甘い人間を助けたい


【備考】
※ことみが人殺しと断定しました。良美も危険人物として警戒。二人が手を組んで人を殺して回っていると判断しています。
※ハクオロの事は徐々に信頼しつつあります。多少の罪の意識があります。
※支給品一式はランタンが欠品 。
※生理はそれほど重くありません。ただ無理をすると体調が悪化します。例は発熱、腹痛、体のだるさなど
※アセリアと瑞穂はことみに騙されていると判断しました。
※純一達についてはとりあえずハクオロに任す気です。





【ハクオロ@うたわれるもの】
【装備:なし】
【所持品:なし】
【状態:精神疲労、左肩脱臼、左肩損傷(処置済み)、背中に大きな痣、腹部に刺し傷(応急処置済み)】
【思考・行動】
基本方針:ゲームには乗らない。
1:ことみを追い、彼女が本当にゲームに乗った人間ならばあゆの代わりに手を汚す。
2:仲間や同志と合流しタカノたちを倒す
3:瑛理子が心配
4:悠人の思考が若干心配。(精神状態が安定した事に気付いてない)
5:武、名雪(外見だけ)を強く警戒
6:純一に期待、それと保護
7;自衛のために武器がほしい


【備考】
※オボロの刀(×2)は大破。
※あゆを信頼しました。罪は赦すつもりです。
※純一達を信頼しました。
※ことみの事を疑っています。
※衛の死体は病院の正面入り口の脇に放置。





【朝倉純一@D.C.P.S.】
【装備:釘撃ち機(10/20)】
【所持品:支給品一式x4 大型レンチ エルルゥの傷薬@うたわれるもの オオアリクイのヌイグルミ@Kanon クロスボウ(ボルト残26/30)
      ヘルメット、ツルハシ、果物ナイフ、昆虫図鑑、スペツナズナイフの柄 虹色の羽根@つよきす-Mighty Heart-】
【状態:若干の精神疲労・強い決意・血が服についている、左腕と右足太ももに銃創(治療済み)、横なぎに服が切られてますが胸からの出血は止まっています】
【思考・行動】
基本行動方針:人を殺さない 、殺し合いに乗ってる人間を止め全員での脱出
1:ハクオロについていきとめる
2:つぐみと蟹沢を守り通す
3:圭一、武の捜索
4:智代を説得したい
5:さくらをちゃんと埋葬したい
6:理想を貫き通す
7:きぬにたいする不思議な感情

【備考】
※純一の参加時期は、音夢シナリオの初キス直後の時期に設定。
※つぐみとは音夢の死を通じて絆が深まりました。
※北川、梨花、風子をかなり信用しました。 悠人もそれなりに。
※蟹沢と絆が深まりました。それと不思議な感情を持ち始めました。
※自分自身をヘタレかと疑ってます。
※佐藤良美をマーダーとして警戒しています。
※盗聴されている事に気付きました
※雛見沢症候群、鷹野と東京についての話を、梨花から聞きました。
※鷹野を操る黒幕がいると推測しています
※自分達が別々の世界から連れて来られた事に気付きました
※純一達の車はホテルの付近に止めてあり、キーは刺さっていません。燃料は軽油で、現在は約三分の二程消費した状態です。
※山頂に首輪・脱出に関する重要な建物が存在する事を確認。参加者に暗示がかけられている事は半信半疑。
※山頂へは行くとしてももう少し戦力が整ってから向かうつもり。
※悠人と情報交換を行いました
※ハクオロはそれなりに信頼。音夢を殺したと思ってます。
※あゆをそれなりに信頼。



【蟹沢きぬ@つよきす-Mighty Heart-】
【装備:拡声器】
【所持品:竜鳴館の血濡れのセーラー服@つよきす-Mighty Heart-、地図、時計、コンパス
     支給品一式x3、投げナイフ一本、ハクオロの鉄扇@うたわれるもの 散りゆくものへの子守唄、
     麻酔薬入り注射器×2 H173入り注射器×2、食料品沢山(刺激物多し)懐中電灯、単二乾電池(×4本)】
【状態:強い決意、両肘と両膝に擦り傷、左手指先に切り傷、数箇所ほど蜂に刺された形跡、首に麻酔の跡】
【思考・行動】
基本:ゲームに乗らない人間を助ける。ただし乗っている相手はぶっ潰す。
1:純一についていく
2:圭一、武を探す
3:ゲームをぶっ潰す。
4:よっぴーへの怒り
5:純一への恋愛感情
【備考】
※仲間の死を乗り越えました
※アセリアに対する警戒は小さくなっています
※宣戦布告は「佐藤」ではなく「よっぴー」と叫びました。
※つぐみを完全に信用しました。つぐみを椰子(ロワ不参加)に似てると思ってます。
※鷹野の発言は所々に真実はあっても大半は嘘だと思っています。
※純一と絆が深まりました。純一への恋愛感情に気付きます。
※ハクオロはそれなりに信頼。音夢を殺したと思ってます。
※あゆをそれなりに信頼。




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184:the end of infinity(後編) 時系列順に読む 186:牢獄の剣士
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