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おとといは兎を見たの きのうは鹿、今日はあなた ◆tu4bghlMI


<<ASPECT⑤――ことみ>>


衛ちゃんから離れてすぐ、私は自己嫌悪で潰れそうになりながら病院を歩き回っていた。

……最悪、なの。

人気の無い廊下でランタンを照らしながら私はトボトボと歩を進める。
胸に湧き上がるのは後悔。そして強い自責の念。


私は何て酷い事を言ってしまったのだろう。
年下の女の子に向かって面と向かって"おかしい"や"変"なんて言葉を平気でぶつけてしまうなんて。
配慮に欠けていた、無神経だったと言われても間違いじゃない。
どうして衛ちゃんがあんな事を言ったのか、少し考えれば分かっただろうに。

あの子は――あんな発言が当たり前のように出来るくらい、沢山の死体を見て来たのだ。
この二十四時間で命の灯りが消えて、醜い肉塊へと成り果てる光景を何度と無く目の当たりにしたのだろう。
慣れてしまわなければ心が持たなかった。
少しエスカレートして考えればそうも言えるかもしれない。


靴音と水音だけが寂しく響く薄汚れた病院。
よく見るとそこら中の壁にひび割れや亀裂などが走っている。
やっぱり相当ガタが来ている。衛ちゃんの話だとハクオロや彼の仲間達はここを目的地としているらしい。

……なるほど、首輪を調べるのにここの施設を使うつもりだったのか。
衛ちゃんの様子を見ると、首輪のサンプルを持っていてもおかしくない。
それなりの技術を要したブレーンとなる人間が側に付いているのか。
ただ、コチラの方は駄目だ。ある程度のライフラインは残っているし、調べれば他の設備も使えるだろう。
だけど不安過ぎる。いつ建物が倒壊するか分からない恐怖は尚も拭い切れない。

ブレーカーを入れた瞬間に蛍光灯が一気に割れたり、どこで電気がショートするかもしれない。
病院故に、確実に自己発電設備がある筈。一部の主要な機械はまだ活動しているとは思うが……。
それよりもおそらく無傷のまま残っているであろう研究棟を念頭に入れて考えるべきか。


ボンヤリと光るランタンを持って水に濡れた床を歩く。
それは灯篭を灯しながらゆっくりと流れの穏やかな川を下っているみたいだった。
差し詰め私は夜の蛍。ふわふわと漂う一匹の虫。

……ああ、それにハクオロから貰った荷物も確認しなければならない。
拳銃だけは直接手渡されたが、他はまだ未開封。デイパックが三つも入っているせいで中身が見辛くて仕方ない。
万が一の事を考えてマガジンだけは新しいものに入れ替えたが……私にコレを撃てる自信は――


「あはははははははははははははッ!!! 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「あぐっアアアアアアアア!!!」
「え……!?」


凄まじい叫び声、ソレが二つ。心臓は加速する。頬に冷や汗。
振り返る。自分が進んで来た道を。
そんな……馬鹿な、この病院に誰か他の人間がいたというのか?
しかも衛ちゃんと離れてからまだ二、三分しか経っていないと言うのに。

それに……この声は学校で私達を襲って来た女の……。


「衛ちゃん――ッ!!」


私は急いで入り口へと踵を返した。
嘘、嘘。なんで、こんな……。私があそこから離れたからいけなかったんだ。
あんな酷い事を言って居た堪れなくなって、衛ちゃんを独りにして……。

「あッ!!」

濡れた床に足を取られて思いっきり転んでしまった。
前のめりで地面に倒れ伏す。ランタンがコロコロと廊下を転がる。
ボーリングの球のようにクルクル回りながら私の手元を離れたソレは数メートル先の壁にぶつかって止まった。
そして、火が消える。

「嘘……火が……つかないの」

何度点火のスイッチを捻ってもランタンは何の動作も示さなかった。
極端に摩擦の少ない病院特有の床のせいで、膝の皮が嫌な具合に剥けてしまった事も気にならないくらい。

電気が通っていない院内において、灯りは重要である。
最悪、だ。確かにランタンの予備はまだ二つある。新しいものに代えれば問題は無い。
だけど今からデイパックを漁ってソレを取り出し、オイルをセットして着火させるまでに何分掛かる?
一分以内にその作業を終える自信は無い。おそらく……三分は必要。
無理……今は、一分一秒を争う事態。そんな時間を浪費している暇は無い。

「待ってて……衛ちゃんッ!!」

結局私は灯りもつけず走り出した。
膝小僧がズキズキする? 目の前がよく見えない? また転びそうで怖い?
そんな不安、あの子に比べれば。
完全な狂人と成り果てたあの少女に襲われている衛ちゃんの事を考えれば一瞬で霧散する。


 ■


「このッ!! このッ!!!」


――見つけた。
二階、血の跡を辿ってぐるっと回ってここまでやって来た。
血痕はナースステーションから始まり、そこら中に広がっていた。
女の声が目印代わりになるとは言え、崩れ掛けた院内ではソレほど声が反響しないらしい。
故にここまで辿り着くのに相当な時間を有した。

……中に、いる。

私は拳銃を構える。扉のギリギリまで接近、そして……。


「動く――え……」
「あれぇ……他にも、いたんだ……あはははははははははっ!!!」



それは地獄のような光景だった。構えていた筈の銃を取り落としそうになる。
胃の中から何かが込み上げて来た。
耐え切れなかった。だから、私は吐いた。体裁や今の自分が置かれている状況を考える余裕もなく。

神聖で、不侵で、何者にも汚されてはならない筈の病院の床に思いっきり吐瀉物をぶちまける。
鼻にツンと来るような臭い、胃酸が喉を焼く。涙が滲んだ。
笑い声は止まない。女は笑う、ケラケラと。ケラケラと。
俗に十代半ばぐらいの女子を箸が転がっても面白い年頃と言う。そうだ、彼女はきっと――人が死んでも面白いに違いない。


打ち壊されて部屋の中に倒れてしまっている扉の先、そこには鬼がいた。
その何かは全身を赤く染め、壁の方に向かって右手に持ったメスを振り下ろす。

ザクザクザクザク、赤い。
ザクザクザクザク、白い。

赤は血。白は骨。夜は黒。月は金。
目の前には解体された死体。つい数十分前までは生きていた人間。
血が付いている以外は何一つ傷の無い頭部がそこにはあった。
そして――肉。
赤と黄身を帯びた黄色、黒、ピンクと様々な色彩の肉細工。
ズタズタに切り裂かれた身体。切り離されたパーツ。

「楽しい、楽しいよぉ、あはははははっ、はははははははっ!!」
「い……や……」

女がコチラに何かを投げつけた。
完璧に近い軌道で飛んで来たソレは自らの血を辺りに振り撒きながら私の胸に当たった。
色は銀。それは輪っかだった。円形の……リング?

ああこれは――
首輪、だ。衛ちゃんの、首輪。
理解した瞬間、何かがプツリと切れたような気がした。
生理的な嫌悪なんて段階はとっくに通過している。私はカタカタと震えるだけの人形になる。

「あれぇ、あなたは……あのカトンボ? ふふふ……あはははははははっ!!」

女が立ち上がる。右手にはメス、そして左手で傍らに置いてあった槍を拾った。
こちらに向けて一歩、足を踏み出した。
そういえば彼女の制服には白い部分もあったのではないか、そんな事を思った。
トリコロールは崩された。いまや上から下まで一面の赤。青と赤が混じった髪の毛は一部茶色に変色している。

「たす……けて……嫌……なの、ああぁぁぁアアアッ!!」
「それだよ、ソレ!! 私は悲鳴が聞きたかった、泣き叫んで、命乞いをする無様な姿見たかったのっ!!
 いいよ……いいよぉ。あははは、ははははは!!」

まずは左。深々と女が持った槍が突き刺さった。
それは生まれて初めて刃物で身体を切り裂かれる体験だった。
痛い。灼熱の業火にその部分だけ焼き尽くされているような感覚。差し詰め流れ出す血はマグマか。
次に女は私を思いっきり蹴っ飛ばした。その靴先は見事に右胸にヒット。
彼女が同い年くらいの女子である事を疑いたくなるような物凄い力だった。
私は、飛ばされる。

「――ああああッ!!」

吹き飛ばされた私はもう一度廊下に送り返された。空、そして壁。
背後から思いっきり殴られたような感触に溜まらず餌付く。



背中の鈍痛、左肩の灼熱。暴力的な苦痛の中で私はぼんやりと考えていた。
撃てなかった。中に悪人がいる事は分かっていたのに。銃に不慣れだった、そんな言い訳も出来ない。
だってネリネに襲われてから私はずっとマシンガンを握り締めていたのだから。
……一発も、撃った事は無かったけれど。
やっぱり怖かった。明確に命を奪う、というその行動が。
どんなに気を強く持って自分を鼓舞しようと出来ない事は出来ない。そういうものだろう。

思えば似たような経験ばかりだ。
四葉ちゃんが殺されて恋太郎さんと亜沙さんと一緒にハクオロを探す決意を固めた。
だけどその後すぐ、ネリネや芙蓉楓に襲われた私は何をした?
ネリネと遭遇した時はまだマシだった。――だって側に二人がいたから。
二人がいたから私は強くなれた、必死に行動する事が出来た。

だけど楓、芙蓉楓と一対一で相対した時はどうだっただろう。
私は彼女の笑顔に押し潰された。
今思えば私は二人に守って貰っていたのだろう。
確かに恋太郎さんは目を怪我していた。それでも彼は戦った。盲目の恐怖の中でも勇敢に戦場へ降り立ったのだ。
亜沙さんもそうだ。フラフラになって、自分が気絶してしまう事も分かっているのに彼女は"力"を使った。
それは私達への深い信頼。それは深い絆。

一人きりになった時、私は何も出来なかった。
恋太郎さんに明確な危険が訪れている事も分かっているのに、楓を撃つ事が出来なかった。
精一杯の抵抗が"ハクオロ"の名前を出して当座の危機から逃れる事。そのために四葉ちゃんの死も利用したのだ。


……もう、死んでしまった方がいいのかもしれない。


未だ右手は銃を握り締めているのが不思議なくらい。
何かに縋り付いていたかったのだろう。
だけどその対象がどうせ撃つ事の出来ない拳銃、憎い相手であるはずのハクオロの銃なのは皮肉な話だ。


その時の私は気付いていなかった。
背負っていたデイパックの肩紐がずり落ちていた事に。
女は近付いてくる。
私は絶望する。
ゆっくりとデイパックの口が開いた。
中身が、飛び出した。
最初に飛び出したのはナイフだ、次にマガジン。そして続けざまに各種支給品が零れ落ちてくる。

「あははははははっ、なんで撃たないの? あなたは銃を持っているのに。撃てば死ぬのに、簡単に死ぬのにっ!!」

女は笑う。更に接近。
きっと彼女は分かっているのだ。私がどうせ銃を撃てない事を。
私が飛び切りの臆病者で、自分の命がどんなに危なくなってもマトモに銃も撃てない事を。
更に一発、女の蹴りが私の身体を真横に吹き飛ばした。今度は右肩だ。
吹っ飛ぶ私。完全にデイパックの中身が廊下にぶちまけられた。
滑る水音と笑い声。それは異様な光景だった。


ぶらつく意識、激しい痛み。私はボンヤリと手ぶれするカメラのような視界で女を見た。
赤い、女。それは鬼、殺しを楽しむ本物の狂人。

それでも、私は何かに縋り付きたかったのかもしれない。いや、ただの無意識な行動だったのかもしれない。
それは分からない。でも私は強く指を動かした。
右手――相変わらずソコには拳銃。役立たずの鉄塊。
左手――ここには何も……、

違う、何か柔らかい感触がそこにはあった。


ぼやけた視線でソレを眺める。ゆっくりと首を持ち上げる。
雨に濡れた窓から眺める世界のような視線の先にあったもの。
それは――クマのぬいぐるみだった。



 ■


思い出が蘇って来る。


綺麗な花で飾られた花壇、豊かな芝と中央に設置された真っ白いテーブルとイス。
懐かしい風景。お父さんとお母さん、まだ二人が生きていた頃の景色だ。
そして一度は失われてしまったものを取り戻してくれた一人の男性――岡崎朋也。

彼に出会う前の私は読んだ本をハサミで切り裂いたり、燃やてばかりいた。
それは憎かったから、そして追い付きたかったから。小さな頃亡くなった両親の見た世界に少しでも触れていたかったから。

思い出の風景が復活した少し後。
お父さんとお母さんの知り合い、私の後見人が家を訪ねてきた。

そして一つの古ぼけた鞄を差し出した。
そこに入っていたのは大人達が口々に「君のお父さんやお母さんよりも大切なものだ」と言っていた物理学の論文なんかじゃなかった。
入っていたのはクマのぬいぐるみ。お父さんとお母さんが私のために買ってくれた誕生日プレゼント。最後の贈り物。

そして同封されていた手紙の内容。


 世界は美しい。悲しみと涙に満ちてさえ。
 瞳を開きなさい。やりたい事をしなさい。
 なりたい者になりなさい。友達を見つけなさい。
 焦らずにゆっくりと大人になりなさい。

 おみやげ物屋さんでみつけたくまさんです。
 たくさんたくさん探したけどこの子がいちばん大きかったの。
 時間がなくて空港からは送れなかったから。
 かわいいことみ。
 おたんじょうびおめでとう。


全部忘れていた。
殺し合い、すぐ目の前にある死の恐怖。
全部消えていた、幸せな思い出と自分を切り離していた。
だから、私は弱かったのかもしれない。
いつの間にか朋也くんと出会う前の臆病で、自分の世界に閉じ篭った私に戻っていたのかもしれない。
おかしい、本当に変だ。朋也くんはもういない。
そして私はどう足掻いても昔の私に戻れないかもしれない、でも。
絶対に――思い出は消えないのに。

右手の指に力を入れる。それは、銃。今までの私にとってはただの恐怖の象徴だったもの。
視線を目の前の鬼へと向ける。そして……銃を構えた。
もっとぬいぐるみに触れていたい、そんな弱い逃避の感情を振り切る。

「あははははははははっ!! 撃つの? 撃てるの、あなたに? おかしい、あははははっ、面白いよ。
 腕はぶるぶる震えてるし、歯もガチガチ。当たる訳ないよ、絶対に……くくく、あははははははははっ!!!」
「私は――」

女の笑い声が絶頂を迎えた。ボルテージは最高潮。
窓が震える。水が揺れる。
本当に病院中に響いているんじゃないかと思わせられるような大声。
彼女は両手を広げる。そう、撃てるものなら撃ってみろという事。

どうしてこんなに時間が掛かったのだろう。
恋太郎さん、守れなくて御免なさい。
亜沙さん、迷惑かけて御免なさい
衛ちゃん、臆病で御免なさい。
私は変わってみせる。絶対に生きて、絶対に――


「もう……」
「あはははははははははははははははははっ!!」
「今までの、私じゃないの!!!!」


私はありったけの力を込めて引き金を引いた。
女の笑い声が瞬間、途切れた。
銃声。闇夜を切り裂く火薬の爆発音が全てを一瞬で無に還した。

生まれて初めて、銃を撃った感触は複雑だった。
それは重くて、悲しくて、だけど――。
これ以上無いほどの決意に満ちた振動だった。


 ■


衛ちゃんの死体は酷い有様だった。近くにあったシーツをその身体にかける。
シーツはすぐさま赤に変わった。私は必死に涙を堪えた。

全てが終わった。あの女は殺し、てはいない。
いや……無理だったのだ。

しっかりと中心に構えて撃ったはずなのだが弾丸は逸れて右肩に突き刺さった。
彼女は驚愕の表情を浮かべ、すぐさま撤退した。
私が銃を撃った、それはつまり自らの命の危険を察したのだろう。

でもこれで良かったのかもしれない、そう思う心も確かに存在はした。
衛ちゃんを殺した憎い相手……その筈なのに。


この建物にはもう居たくなかった。衛ちゃんの事もあるし、それ以前に状態が悪過ぎる。
いつ崩れるか分からない施設に留まりたいと思う馬鹿はいないだろう。
だが、ハクオロ達が病院に向かってくるのは確実。それも首輪の解析を行うために、だ。
彼らに状況を説明しなければならない。そして謝らなければ――衛ちゃんを守れなかった罪を。

首輪、今私の手の中にある銀色のリング。
研究棟の施設を使えば十分に解析が可能だろうか。相方となるような人間に出会えればいいのだが。


病院の入り口には『隣の研究棟まで来て下さい。話があります。 一ノ瀬ことみ』と書いた張り紙を貼っておく。
……一応、一回の出入り口には鍵でもかけておこうか。
私は荷物をまとめ、クマのぬいぐるみとi-podを抱きしめながら本棟を後にした。
そう、荷物の中にi-podを見つけたのだ。
その音楽再生機は私に思い掛けない幸せをくれた。


「朋也くんの声、なの」


何となく再生してみた白い機械から流れて来たのは久しぶりに聞く、大好きな人の声だった。
ただ、嬉しかった。内容なんか関係ない。
楽しかったあの日々が蘇ってくるようで、ただ涙が、泣き声が止められなかった。


……大丈夫、私は必ず生きてこの島から脱出してみせるの。
だから、天国から見守っていて欲しいの、朋也くん。
私を変えてくれて、本当に本当に……ありがとうなの。




【F-6 病院 研究棟/二日目 深夜】

【一ノ瀬ことみ@CLANNAD】
【装備:Mk.22(7/8)】
【所持品:投げナイフ×2、ビニール傘、クマのぬいぐるみ@CLANNAD、支給品一式×3、予備マガジン(8)x3、スーパーで入手した品(日用品、医薬品多数)、タオル、i-pod、陽平のデイバック、衛の首輪】
【所持品2:TVカメラ付きラジコンカー(カッターナイフ付き バッテリー残量50分/1時間)、ローラースケート@Sister Princess、スーパーで入手した食料品、飲み物、日用品、医薬品多数】
【状態:肉体的疲労大、腹部に軽い打撲、精神的疲労小、後頭部に痛み、強い決意、全身に軽い打撲、左肩に槍で刺された跡(処置済み)、全身びしょ濡れ】
【思考・行動】
基本:ゲームには乗らない。必ずゲームから脱出する。
0:首輪、i-podを解析する
1:ハクオロ達が来るのを待つ
2:ハクオロに矛盾した不信感
3:神社から離れる
4:工場あるいは倉庫に向かい爆弾の材料を入手する(但し知人の居場所に関する情報が手に入った場合は、この限りでない)
5:鷹野の居場所を突き止める
6:ネリネとハクオロ、そして武と名雪(外見だけ)を強く警戒

※ハクオロが四葉を殺害したと思っています。(ほぼ確信しています)
※首輪の盗聴に気付いています。
※魔法についての分析を始めました。
※あゆは自分にとっては危険人物。良美に不信感。
※良美のNGワードが『汚い』であると推測
※原作ことみシナリオ終了時から参戦。
※ハクオロの残りのランダム支給品はクマのぬいぐるみ@CLANNADだけでした。


 ■


<<ASPECT⑥――名雪>>


何で、何で、何で!?
意味が分からない。どうしてあの子が銃を撃てるの?
暴力から逃げ回るだけの、搾取されるだけの無力な肉では無かったのか?


私は血に濡れた身体を引き摺りながら自分がやって来た場所まで戻って来た。
病院には死体を運び出す為、またその他様々な用途に使われる勝手口がある。
放送より前に病院に達した私は既に院内を探索していたのだ。
そして、いくつか薬は手に入れた。
だけどコレはあの憎たらしい男や月宮あゆを殺すために温存しておいたのだ。

そう、月宮あゆ。彼女の名前は未だ呼ばれていない。
第三回の放送は聞き逃したが、四回目はちゃんと聞いた。
まぁ多分生きているだろう、生き意地だけは汚い女だ。私に殺される前に死ぬ訳が無い。
とりあえず撃たれた傷跡に麻酔薬を振り掛ける……うん、痛みが引いた。
同時に肩の辺りの感覚も無くなるが問題ないだろう。


デイパックからパワーショベルを取り出す。
入れようと思ったら普通に入ったのだ。不思議だ。
そして、思案する。
どうして負けた? 何故私は無様にも撤退しなければならなかったのだろう?

答えは簡単だ。油断したから。その一言に尽きる。
いや……解答はそれだけに留まらない。あの男も、学校で戦った男も殺す事が出来なかった。
つまり――

「けろぴーじゃ……足りない……の? でも、けろぴーから降りたらさっきみたいになる……」

もっと強い力が必要だ。でも大切なのは武器じゃない。
生身ではあんな小さなカトンボにすら状況を引っくり返される可能性がある。
ここで――私は思い出した。
あの殺した女、アイツが"千影"という名前を電話越しで呼んでいた事を。


「…………ああ、あったんだ……ふふふ、あはははははははははははははははっ!! こんなに最初のうちに、見つけていたんだ!!」

けろぴーじゃ足りない?
ううん、けろぴーは何度でも蘇る。絶対に負けないんだ。
もっと大きな機械がある。この島で最強の機械にとっくに私は出会っていたんだ。

「あははははははははっ!! 殺してやる、殺してやる……皆、全部、一人残らずッ!!!!!!」


笑い声が真っ黒い闇の中に木霊した。
ふぁいと、だよ。絶対に……殺してやる。



【E-6(線路上)/二日目 深夜】

【水瀬名雪@kanon】
【装備:槍 手術用メス 学校指定制服(若干の汚れと血の雫)けろぴーに搭乗(パワーショベルカー、運転席のガラスは全て防弾仕様)】
【所持品1:支給品一式x2 破邪の巫女さんセット(弓矢のみ10/10本)@D.C.P.S.、乙女と大石のメモ、乙女のデイパック、麻酔薬、硫酸の入ったガラス管x8、包帯、医療薬】
【状態:疲労中、右目破裂(頭に包帯を巻いています)、頭蓋骨にひび、左側頭部に出血、発狂、右肩被弾出血(麻酔で処理済)】
【思考・行動】
0:最強の機械を手に入れる
1:全参加者の殺害、一ノ瀬ことみ=カトンボに復讐する
2:月宮あゆをこれ以上ないくらい惨いやり方で殺す

【備考】
※名雪が持っている槍は、何の変哲もないただの槍で、振り回すのは困難です(長さは約二メートル)
※古手梨花・赤坂衛の情報を得ました(名前のみ)
※ハクオロという人物を警戒(詳細は聞いていないし、現在目の前にいるのがハクオロだとは気づいていない)
※千影の姉妹の情報を得ました(名前のみ、よって目の前にいるのが衛だとは気づいていない)
※乙女と大石のメモは目を通していません。
※自分以外の全ての人間を殺し合いに乗った人物だと思っています。
※パワーショベルの最高速度は55km。夜間なのでライトを点灯させています。またショベルには拡声器が積まれており、搭乗者の声が辺りに聞こえた可能性があります。
※また、防弾ガラスにヒビが入っています。よほど強い衝撃なら貫けるかも。
※第三回放送はまるで聞いていません。
※パワーショベルはデイパックに収容可能


 ■


<<APPENDIX――???>>


「主任、どうしたんですか? そんな悲しそうな顔して?」
「……私? え、何どんな顔してたの?」
「そう、ですね。長年連れ添った恋人を亡くしたような感じ……とでも言いますか」

部下の男がデスクにコーヒーを置きながら問い掛ける。
うん恋人か、中々いい線行ってるかもしれない。
でも……。

「……んな訳無いでしょうが。それに私の事、幾つだと思ってんのよ」
「ははっ、まぁ軽いジョークですよ。天才少女にそんな顔は似合いませんって」
「もう……うるさいなぁ、ほら早く仕事に戻りなよ」

しっしっと手で部下を追い払う。彼は笑いながら研究室を出て行った。
そして一人、私は一人になった。
ノートパソコンの特殊機能、今回はちょっと奮発し過ぎたかな。そんな事を思った。
こっちがわざわざあんな機能を付け足しているんだから、もう少し使ってくれてもいいのに……そんな戯言も生まれる。

溜息。
監視衛星と直通しているモニターの電源を落とす。そして三十五番の首輪の生存信号が停止したのをもう一度、確認した。
手元のカップを弄りながら思わず呟く。

「まぁ――大体は合ってたんだけどね」

一気に飲み干す。
久しぶりに飲んだコーヒーは苦くて、そして……少しだけ塩の味がした。



「あ、そうだ。主任!! "鈴凛"主任……ってアレ、泣いて――」

部下が不思議そうな顔をする。そして名前、を呼ぶ。
私は彼の言葉を遮った。

「ううん。何でも……無い。ソレよりどうしたの首輪の事? それとも塔で何かあった? ……何でも聞いて。全部……答えるよ」


まだ殺人ゲームは続く。
状況が変わらない限り、ずっと私はここで主任をやり続けないといけない。
だって契約者だから。
鷹野三四がいかに強力な組織を持っていようが、それは所詮昭和の技術。
そこで私に白羽の矢が立った。適当な主になる工学者がいない、そんな理由で。
他の妹を参加させない条件で私に協力を迫ったのだ。
そして技術自体は西暦2034年のノウハウを使って(まぁ、完成したのは自力でも十分作れる程度の簡単なものだが)――首輪を作った。

ディーは私に言った。
「参加者が脱出できる最低限の可能性を残せ」と――それが私の契約内容。
鷹野三四も契約内容は当然知らない。
概念として首輪を解除してディーの元に参加者が来られる可能性を残す、という事は通達されているはず。
とはいえ、彼女はそれを反故にしかけない。故の私だ。鷹野によって表立った関与は全て禁止されているが。

彼女の目的は……分からない。だけど参加者を極限まで減らした方が望ましいのだろう。
誰かの優勝、それこそが最も望ましい結果な筈。

反逆の――時は未だ来ない。




【??? 基地 第一研究室/二日目 深夜】

【鈴凛@Sister Princess】
【装備:鈴凛のゴーグル@Sister Princess】
【所持品:なし】
【状態:健康、深い悲しみ、契約中】
【思考・行動】
1:表向きは研究部主任として振舞う
2:何とかして参加者の脱出の手助けをしたい
3:出来れば富竹を救出する

【備考】
※鈴凛の契約内容は"参加者が脱出できる最低限の可能性を残す"こと。
 ただノートパソコンの機能拡張以外の接触は原則的には禁止されています。


174:また、来世 投下順に読む 175:クレイジートレイン/約束(前編)
174:また、来世 時系列順に読む 175:クレイジートレイン/約束(前編)
174:また、来世 千影 175:クレイジートレイン/約束(前編)
174:また、来世 坂上智代 179:戦う理由/其々の道(前編)
174:また、来世 川澄舞 186:牢獄の剣士
174:また、来世 一ノ瀬ことみ 181:うたかたの恋人(前編)
174:また、来世 水瀬名雪 175:クレイジートレイン/約束(前編)
鈴凛 190:CARNIVAL






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