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知る者、知らざる者◆g8qXEEkC.6


急な石段を昇り切ると、そこは古ぼけた神社だった。
「アカサカ殿はまだいらしていない様だな」
無人の境内を見回しながら呟かれたトウカの言葉に答を返す物は無い。
彼女の同行者の一人である千影は顔を青くしながら頷き返し、
もう一人のオボロに至っては、ただ何かに憑かれたように黙りこくっているだけだった。
「ま、まあ、まだ約束の時刻までには時間があるようだからな……さ、千影殿、奥の社で休息をとりましょう」
続くトウカの言葉にも二人は同じ反応を示し、社に向かう三人の間には再び沈黙が舞い降りる。
(……まったく。千影殿はともかく、オボロはいったいどうしたというのだ?)
思えば、この島で再会した時からオボロの様子はおかしかったのだ。
千影殿と互いの支給品等について会話していた時も、何か心に引っかかる事でもあったのか、終始上の空な様子だった。
それに、最初にトウカの目前に飛び出した時にも感じたのだが、普段より彼の体のキレが鈍かったような気がしたのだ。
とそこまで考えて、つい数十分前に千影と交わしていた会話をトウカは思い出す。
(そうだ、我々の体には“制限”がかけられていたのであったな)
一定以上の『力』を持った者は主催者の手によりその力を封印されている。
それがこの神社に来る道中で千影が話した推論――否、結論だった。

赤坂衛と戦った際に感じた体の重さも、主催者のかけたという制限のせいだったのだろうとトウカは思う。
千影の言う制限がオボロのこの状態と関係はあるとは限らないが、それでも心に留めておいたほうがいいだろう。
(千影殿も魔法の力を制限されているそうであるし、某が気を引き締めねば……)
と、突然、風に乗って聞こえてきた異音が、トウカの思考を妨げた。
それは今まで聞いた事の無い乾いた音。あえて言うならば、右手と左手を思い切り打ち合わせたような音だった。
三度続いたその軽い音に、トウカは首を傾げた。
「今の音は一体?」
「……今のは、銃声だね。どうやら、近くの様だけど」
トウカの困惑に千影が呼吸を整えながら答える。
しかし、帰ってきた耳慣れない言葉にトウカは更に疑問を深め、オボロもまた困惑の表情を作った。
「そうか、銃を知らないのか……」
同じ表情を浮かべる二人に対し、千影は困った表情を返す。
やがて、本殿への歩みを再開しながら、彼女は銃についての説明を始めた。



「つまり、小さな鉄の矢を高速で撃ち出す武器という事か?」
そう確認するオボロの言葉に、本殿の壁に背を預けながら千影は首を縦に振った。
銃。それはオボロやトウカの住む世界には存在しない、未知の武器だ。
千影の説明によると、それはオボロが現在装備している物に吹き矢を足したような形状らしい。
しかし矢の速度は比べ物にならないほどで視認するのは困難であり、射程も倍以上ある物が多い。
その上、元来暗殺用であるはずの吹き矢とは違い、毒など塗らなくても相手を死に至らしめる可能性が高く危険な物体である。
そして、千影に支給された予備の矢を見る限り、この島には数多くの銃が存在している。
それが千影の行った銃器に関する簡単な説明だった。
「その銃を使った者が、敵か味方かはわからぬが……」
「確認をするにしても、今の俺達の装備では不安もあるか」
千影の行った銃の解説に、トウカとオボロは顔を見合わせる。
もし相手が銃という強力な武器を持っているのならば、襲われる危険性を考慮しても接触しない方が無難かもしれない。
しかし、その人物がどういう人間で目的地は何処なのか……
もしかすると、それが殺し合いに乗っていて、ここに現れるかもしれないという可能性がある限り、危険性は同じである。
「……俺が様子を見てこよう。そういう仕事は、俺の得意な領域だ」
少しの沈黙の後、オボロはそう言った。
無論、自身が得意だからというだけでは無い。
そう提案した理由の大半は、千影と同じ場所に居たくないという後ろ向きな思いで占められていた。
「速いと言っても、射線が曲がったりするわけで無いんだろう?」
オボロの確認に千影が頷く。
それならば問題は無いと、オボロは支給されたクロスボウを片手に本殿を出ようとする。
「少し、待つんだ」
不意に背後からかけられた少女の声にオボロは足を止めた。
呼び止めた千影は自らのデイバッグに手を伸ばすと、少し躊躇しながら支給品を取り出した。
「これを、君に……渡すのは五分の一だけだけど、役に立つはずだ」
そう言って千影はクロスボウの予備弾を渡す。
そして、それを見ていたトウカも自らの鞄から小さなナイフを取り出した。
「本来の得物には及ばぬであろうが、無いよりはマシだろう」
「すまない……」
二人から武器を受け取り、オボロは軽く頭を下げる。
そして、代わりにと言うように、自らの鞄から四角い物体を取り出し、千影に手渡した。
「これは俺に支給された物なんだが、使い方が解らん。お前がわかるなら使ってくれ」
そう言い残すとオボロは本殿の戸を開け、外へと向かい飛び出していった。

数分後。
戸を閉め切って薄暗くなった本殿の中で、千影は一人、休息を取っていた。
外ではトウカが見張りに立っており、緊張した空気が外から漂ってきている。
(オボロくん……無事に帰ってきてくれればいいが)
勿論、彼の事を完全に信用したわけでは無かった。
だがしかし、偵察に向かってそのまま死ぬ事を願う程、千影は非情では無い。
それに、もう一人の同行者であるトウカは、ここに来るまでの会話でも信用できると判断できた。
だからこそ、その彼女の仲間であるオボロにボーガンのボルトを(20本だけだが)譲ったのだ。
(彼が殺し合いに乗ってるかどうかは解らないけど、今は無事に帰る事を祈ろう)
オボロの無事を祈りながら、千影は長方形の形をした物体を弄んでいた。
偵察に出る間際のオボロから渡された物。
支給されたオボロやトウカが何に使うか理解できなかったそれを、千影はよく知っていた。
(それにしても、見た事が無い機種の携帯だね)
少し大きめのディスプレイと通常より多めのボタンがついているが、それは紛れも無く携帯電話だった。
もっとも、バッテリーが切れているのか何処を触ってもうんともすんとも言わなかったが。
(誰かに充電用の機器が支給されているのか、それとも……)
すこし思案したが、答えが出ないのは解りきっているので保留する。
その頑丈そうなボディを懐に仕舞いながら、千影は別の事を考え始めた。
(さて、オボロくんが帰ってきて、トウカくんの言うアカサカという人物と接触したら……それから、どうしようか?)
オボロやアカサカと合流し情報交換を行ったとしても、第三放送までにはまだ余裕がある。
体は少し楽になってはいるが、大事を取ってここで休息を取りながら待つか、
このエリアを中心とした一帯で妹達を探しながら折を見て神社に戻るか。
「それとも、他の永遠神剣を探してみるか……」
そう一人ごちながら、千影は現在までに確認できた二本の永遠神剣へと思考を移した。

時に干渉する力を持つ永遠神剣第三位『時詠』と、水を操る力を持つ永遠神剣第七位『存在』の二つの魔剣。
形状も能力も大きく異なるが、その名前が示す通りこの二本は同じ種類に分類できる物だ。
(おそらく、位階が高ければ高いほど強力な物という事なんだろうね)
第三位が時間を操る能力だとしたら第一位は何ができるのだろうかと、思わず身震いしそうになる。
しかし、第一位がこの島で誰かに支給されている可能性は限りなく低いだろう。
何故ならば、島に降り立つ者全てが殺し合いを行うわけではないからだ。
強力な武器は殺し合いを加速させると同時に反逆のリスクをも生む。
だからこそ、永遠神剣の第一位がこの場所に存在する確率は低い。
それどころか、ここにある永遠神剣でもっとも位階が高い物は『時詠』であると考えてもいいだろう。
(……逆に言えばあの金髪の女達――殺し合いの主催者は『時詠』に対抗する自信があるという事か)
確かに、一回使用しただけで極度の疲労を生むような物を使いこなすのは難しいだろう。
だが、その疲労を鑑みても『時詠』の時間に干渉する能力はまだ強力だ。
例えば『時詠』で加速した状態で首輪を無理矢理外して遠くに投げでもすれば、難なく首輪の解除が成功してしまう。
そうなれば全員の首輪を解除せずとも、もはや殺し合いをさせるという主催者の目的は頓挫する。
それだけのリスクを生む物を支給品に混ぜる事ができるという事は、少なくともその可能性に対処する方法があるという事だろう。
(あまりにもバカらしい方法だけど、殺し合いを止められるのなら考えてみるのも悪くは無いかな……)
古い壁に体を預けてまどろみながら、千影は殺し合いを止める方法について模索し続ける。
その鍵ともいえる物の一つが、自分の懐にある物だとは気付かぬままに。
その四角い形状の物体――PDA(情報携帯端末)が静電充電機能付、すなわち本体を振れば充電が行われる事に気付かぬままに。




【D-4 神社付近/1日目 午前】

【オボロ@うたわれるもの 散りゆくものへの子守唄】
【装備:クロスボウ(ボルト残27/30)】
【所持品:支給品一式、カルラの剣@うたわれるもの 散りゆくものへの子守唄
     果物ナイフ、エルルゥのリボン】
【状態:全身に擦り傷・中程度の疲労・困惑】
【思考・行動】
 基本行動方針:襲ってくる者には手加減無し。西へ向かうのは止めた。
 1:神社周辺の偵察
 2:敵意を持つ参加者の排除
 3:エルルゥを殺した犯人を殺す
 4:千影の扱いに迷い、彼女の妹を殺した事に対する強い良心の呵責(殺す意志は消失)
 5:ハクオロ、アルルゥと一度合流

※四葉を殺した事をいっそう後悔しています
※銃についての大まかな知識を得ました


【D-4 神社/1日目 午前】

【トウカ@うたわれるもの 散りゆくものへの子守唄】
【装備:舞の剣@Kanon】
【所持品:支給品一式、永遠神剣第七位『存在』@永遠のアセリア-この大地の果てで-、
     スペツナズナイフの柄】
【状態:精神的疲労】
【思考・行動】
 基本:殺し合いはしないが、襲ってくる者は容赦せず斬る
 1:周囲を警戒しつつ、赤坂衛とオボロを待つ
 2:アルルゥを探し出す
 3:ハクオロと早急に合流し守る
 4:オボロが心配
 5:千影を守る
 6:次に蟹沢きぬと出会ったら真偽を問いただす


※蟹沢きぬが殺し合いに乗っていると疑っています
※舞の剣は少々刃こぼれしています
※銃についての大まかな知識を得ました


※永遠神剣第七位"存在"
 アセリア・ブルースピリットが元の持ち主。両刃の大剣。
 魔力を持つ者は水の力を行使できる。
 エターナル化は不可能。他のスキルの運用については不明。
 ウォーターシールド…水の壁を作り出し、敵の攻撃を受け止める。
 フローズンアーマー…周囲の温度を急激に低下させ、水分を凍結させ鎧とする。


【D-4 神社本殿内/1日目 午前】

【千影@Sister Princess】
【装備:永遠神剣第三位『時詠』@永遠のアセリア -この大地の果てで-】
【所持品:支給品一式 バーベナ学園の制服@SHUFFLE! ON THE STAGE
     銃火器予備弾セット各100発(クロスボウの予備ボルトのみ残数80/100)、バナナ(フィリピン産)(2房)
     倉成武のPDA@Ever17-the out of infinity-】
【状態:疲労(大)、魔力若干消費、時詠使用による虚脱感、スカートに裂け目】
【思考・行動】
 基本行動方針:ゲームには乗らないが、襲ってくるものには手加減しない。
 1:休息を取りながら、赤坂衛とオボロを待つ
 2:四葉を殺した人間に強い恨み
 3:衛、咲耶の捜索
 4:永遠神剣に興味
 5:相沢祐一、北川潤、月宮あゆ、朝倉純一、朝倉音夢、芳乃さくら、杉並の捜索
 6:相沢祐一に興味
 7:魔力を持つ人間とコンタクトを取りたい
 8:『時詠』を使って首輪が外せないか考える


※第三回放送の時に神社に居るようにする(禁止エリアになった場合はホテル、小屋、学校、図書館、映画館の順に変化)
※トウカの事は信用できると評価しました。オボロへの警戒が緩んだわけではないですが、トウカの仲間なので少しは信じてみようかと考えています。
※時詠を使用すれば首輪を外せるんじゃないかと考えています(ただし可能性は低いと考えています)
※千影は『時詠』により以下のスキルが使用可能です。
 タイムコンポーズ:最大効果を発揮する行動を選択して未来を再構成する。
 タイムアクセラレイト…自分自身の時間を加速する。
 他のスキルの運用は現時点では未知数です。
 詳しくはwiki参照。
 またエターナル化は何らかの力によって妨害されています。
※未来視は時詠の力ではありません。
※銃火器予備弾セットが支給されているため、千影は島にどんな銃火器があるのか全て把握しています。
 見た目と名前だけなので銃器の詳しい能力などは知りません。

※倉成武のPDA
 情報携帯端末。簡単に言えばネット通信機能搭載の超小型パソコン。携帯電話も内臓されている。
 また、静電充電機能で身に着けて歩行などすれば充電可能。ちなみに完全防水である。


101:それぞれの出会い。 投下順に読む 103:星の館
101:それぞれの出会い。 時系列順に読む 103:星の館
091:シャムロックを散らした男 千影 104:武人として/鮮血の結末 (前編)
091:シャムロックを散らした男 オボロ 104:武人として/鮮血の結末 (前編)
091:シャムロックを散らした男 トウカ 104:武人として/鮮血の結末 (前編)






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