忘れていた感情 ◆/Vb0OgMDJY
――――――次の放送で会えることを祈っているわ。』
鷹野の悪趣味な放送が終わった。
けど、そんなものはとっくに頭の中を素通りしていた。
禁止地帯とやらを記した地図を持ったまま、私は呆然と立ち尽くしていた。
けど、そんなものはとっくに頭の中を素通りしていた。
禁止地帯とやらを記した地図を持ったまま、私は呆然と立ち尽くしていた。
「…………詩音、……レナ」
私の最高の仲間たち――共に6月を越えたい思う友人たち――その仲間たちが――死んだ。
「……結局、私の望みは叶うものではなかったという事かしらね」
仲の良い友人達と共に毎日を過ごしていきたい、ごく普通の人生を歩んでいきたい。
そんなささやかな願いが、どんなに努力しても叶わないものだなんて、誰が思うのだろう。
百年近くも努力し続けて、結局私は理想の未来を掴むことは出来なかった。
私の最高の仲間たち――共に6月を越えたい思う友人たち――その仲間たちが――死んだ。
「……結局、私の望みは叶うものではなかったという事かしらね」
仲の良い友人達と共に毎日を過ごしていきたい、ごく普通の人生を歩んでいきたい。
そんなささやかな願いが、どんなに努力しても叶わないものだなんて、誰が思うのだろう。
百年近くも努力し続けて、結局私は理想の未来を掴むことは出来なかった。
―――そう「出来なかった」、既に過去形だ。ここに羽入はいない、つまり起こってしまった結果は変えられない、――つまり私は詩音とレナの存在しない未来を生きていかなければならない――という事だ。
「百年、なんとかしようと必死で努力した事も、どうしようもなくて妥協したりした事も全て無駄だったという訳ね」
どうにかして生き抜こうと様々な努力をした。何度頑張っても変えられない結果を受け入れ妥協したりもした、そうして少しづつ少しづつ生き抜く為のルールを理解していったというのに、最後に待っていたのは全く別のルールが支配するゲームだった。
どうにかして生き抜こうと様々な努力をした。何度頑張っても変えられない結果を受け入れ妥協したりもした、そうして少しづつ少しづつ生き抜く為のルールを理解していったというのに、最後に待っていたのは全く別のルールが支配するゲームだった。
――最初から古手梨花の望む未来など存在していなかったのではないか、私はただ絶望するためだけに百年を過ごしてきたのではないか――
「もう――終わりにするべきかしらね」
鷹野の悪趣味を満足させる為に生きる気はしない。励ましてくれていた羽入には悪いけど、もう幕を閉じるべきなのかもしれない。
理想の未来を掴めなかった以上、古手梨花の人生という長い物語は終わりにするべきなのかもしれない。
「圭一や魅音、沙都子が来るには時間があるだろうけど、レナや詩音とのんびり待つことにしよう。
鷹野の悪趣味を満足させる為に生きる気はしない。励ましてくれていた羽入には悪いけど、もう幕を閉じるべきなのかもしれない。
理想の未来を掴めなかった以上、古手梨花の人生という長い物語は終わりにするべきなのかもしれない。
「圭一や魅音、沙都子が来るには時間があるだろうけど、レナや詩音とのんびり待つことにしよう。
生きている間は仲良く出来なかったお母さんとも、向こうでは仲良く出来るように頑張ってみようかしら」
と、そう口にしてから気がついた。
「…………向…こう?」
「…………向…こう?」
――無意識に、深く考えずに、向こうと、口にした、けど、―――けど、向こうって、何??どんなところ??そんなもの、わかるわけがない、わかるはずが、ない。
いや、そもそも、
ソ ン ナ モ ノ ハ ホ ン ト ウ ニ ア ル ノ ?
いや、そもそも、
ソ ン ナ モ ノ ハ ホ ン ト ウ ニ ア ル ノ ?
「…………え?」
いや、待って、そう、確か、確か、死んだ人間はあの世ってところへと行く……はず。
――ジャアアノヨッテドンナトコロ――
それは、それは……、それは、それ……は……。
――ソンナモノナインジャナイノ――
そんな筈は、
――ジャアドンナトコロナノ――
いや、 待て、 落ち着け、 そうだ落ち着け! 落ち着け古手梨花!!
私は百年の魔女だ!!死なんかとうの昔に克服した!! そうだ! 落ち着け! COOLになれ!この百年数えきれないほどの死の山脈を越えてきたのだ!今更何を恐れることがある!死んだ後どうなるのかなんて考える必要もないくらい知っている!知って……いる??
私は百年の魔女だ!!死なんかとうの昔に克服した!! そうだ! 落ち着け! COOLになれ!この百年数えきれないほどの死の山脈を越えてきたのだ!今更何を恐れることがある!死んだ後どうなるのかなんて考える必要もないくらい知っている!知って……いる??
――ナラコタエラレルヨネ――
そうだ、答えはわかっている、雛見沢のみんなと、また、仲良く
「………………違う……」
そうだ、それは羽入の力で転生した結果だ。
私が知っているのは死の結果ではなくて、死を逃れて再び雛見沢に戻ったという結果でしかない。
死という状況、課程、感触、それらは鮮明に覚えている。
でも、その後の結果、死んだ後どうなるのか、その一番大事な事は何一つ……知らない。
私が知っているのは死の結果ではなくて、死を逃れて再び雛見沢に戻ったという結果でしかない。
死という状況、課程、感触、それらは鮮明に覚えている。
でも、その後の結果、死んだ後どうなるのか、その一番大事な事は何一つ……知らない。
「え? そんな……そんな、それじゃあ、ここで死……死んだら、私は……どうなるの?」
ワカラナイ
どんなところにいくの? ワカラナイ
みんなとはもう会えないの? ワカラナイ
そもそも、どこかへいけるの? ワカラナイ
死んだら……どうなってしまうの? ワカラナイ
ワカラナイ
どんなところにいくの? ワカラナイ
みんなとはもう会えないの? ワカラナイ
そもそも、どこかへいけるの? ワカラナイ
死んだら……どうなってしまうの? ワカラナイ
「そんな……こと……いや……違……でも……」
意味の無い言葉が口から発せられる、けど、そんなこと全く気にもならない。
私は――古手梨花は、恐怖、している。
慣れ親しんだはずの「死」というものに、どうしようもないほどの未知の恐怖を感じている。
私は――古手梨花は、恐怖、している。
慣れ親しんだはずの「死」というものに、どうしようもないほどの未知の恐怖を感じている。
―――その時梨花が持っていた地図が足元に落ちて「バサァッ」という音がした。――
「ひっ!!」
何?落ち着け?何でもない、今のはただ、ただ手に持った地図を落としただけ。
誰か、誰か?――が近くにいるわけじゃない。
私を■そうとする誰かが近くにいるわけじゃない。
誰か、誰か?――が近くにいるわけじゃない。
私を■そうとする誰かが近くにいるわけじゃない。
――ホントウニ?――
「あ……誰か……誰かいるのですか!?」
震えている。
私はもう、疑いようも無いくらい恐怖に怯えている。
だから、役に立つかもわからない指輪をつけた手を、もう片方の手でしっかりと握って、辺りを落ち着き無く見回していた。
震えている。
私はもう、疑いようも無いくらい恐怖に怯えている。
だから、役に立つかもわからない指輪をつけた手を、もう片方の手でしっかりと握って、辺りを落ち着き無く見回していた。
どのくらいの時間そうしていたのか、いつの間にか乱れていた呼吸が落ち着き始めた頃、ようやく何もなかったのだと頭が理解してくれた。
そうして、落とした地図を拾い上げた時、ふと、禁止地帯のことが頭に浮かんだ。
そうして、落とした地図を拾い上げた時、ふと、禁止地帯のことが頭に浮かんだ。
「……C-2?」
C-2、それは今私のいるA―1から割と近い場所だ。
近いからといって別に関係はない、関係ない?関係ない??違う!よく見ろ!
「もし、次にDの1か2が禁止されたら、ここは袋小路じゃない!」
そうしてから気がついた、そもそもこの場所はA-3かC-1を禁止された時点で、逃げ道は一つしかなくなってしまう場所だということ。
そして私は既に、槍を持った女に襲われて逃げてきたのだ。 あれがA-2、なら、私がこの危険地帯にいるということを知られてしまっている!
つまり一刻も早く私はこの場所から逃げ出さなければならないのだ!
そうでなければ私も■されてしまう。
C-2、それは今私のいるA―1から割と近い場所だ。
近いからといって別に関係はない、関係ない?関係ない??違う!よく見ろ!
「もし、次にDの1か2が禁止されたら、ここは袋小路じゃない!」
そうしてから気がついた、そもそもこの場所はA-3かC-1を禁止された時点で、逃げ道は一つしかなくなってしまう場所だということ。
そして私は既に、槍を持った女に襲われて逃げてきたのだ。 あれがA-2、なら、私がこの危険地帯にいるということを知られてしまっている!
つまり一刻も早く私はこの場所から逃げ出さなければならないのだ!
そうでなければ私も■されてしまう。
「のんびりしてられない。早く、そう、とりあえずD―2まで行ければ逃げ場は沢山ある」
そう、早く、逃げなければ。逃げて、逃げて…、逃げて……、どうするの?
そう、早く、逃げなければ。逃げて、逃げて…、逃げて……、どうするの?
……誰かに助けを求める。誰か、誰?仲間、そう仲間!
まだ圭一は生きている、刑事で頼りになる赤坂と大石もいる! そう、特に圭一、圭一だ!運命を切り開く力を持つ仲間、最も頼りにすべき仲間がまだいる!
圭一ならどんな運命でも打ち破ってくれる!
まだ圭一は生きている、刑事で頼りになる赤坂と大石もいる! そう、特に圭一、圭一だ!運命を切り開く力を持つ仲間、最も頼りにすべき仲間がまだいる!
圭一ならどんな運命でも打ち破ってくれる!
――どんな運命……でも?
既にレナと詩音が■されてしまっているのに?
そもそもかつてレナと■音を殺したのは圭一ではなかった?
既にレナと詩音が■されてしまっているのに?
そもそもかつてレナと■音を殺したのは圭一ではなかった?
いや、違う、あの時■されたのは■音だ!■音じゃない!!
それに圭一は、あの時のことを思い出すという奇跡を起こした!どんなことよりも素晴らしい奇跡!百年の中でも見たことの無い奇跡を!
それに圭一は、あの時のことを思い出すという奇跡を起こした!どんなことよりも素晴らしい奇跡!百年の中でも見たことの無い奇跡を!
――でも今いるここは百年の中でも見たことの無い場所。百年の奇跡ならまた百年の月日が必要なのではないのだろうか――
「そんなことはない!私は信じる!圭一は仲間だ!仲間は裏切らない!かつて圭一自身がそう言ったんだ!!」
消えることのない不安を打ち払う為に叫びを上げ、梨花は工場を離れ東へと進む。その胸に隠しきれない恐怖を抱えたまま。
彼女は気づかない、仲間達の疑心暗鬼を見続けていたため、自分自身がそれに囚われてしまっていることに。
彼女は気づかない、仲間達の疑心暗鬼を見続けていたため、自分自身がそれに囚われてしまっていることに。
【A-1 工場事務室/1日目 朝】
【古手梨花@ひぐらしのなく頃に祭】
【装備:催涙スプレー@ひぐらしのなく頃に祭、ヒムカミの指輪(残り3回)@うたわれるもの 散りゆく者への子守唄
紫和泉子の宇宙服@D.C.P.S.】
【所持品:支給品一式】
【状態:健康、疑心暗鬼(中程度)】
【思考・行動】
1)D-2へ移動
2)圭一を探す
3)死にたくない
4)赤坂・大石の捜索
【備考】
皆殺し編直後の転生
ネリネを危険人物と判断(容姿のみの情報)
疑心暗鬼に囚われはじめてます。雛見沢症候群の症状に酷似していますが、女王感染者の為、症状が現れる事はないはずです。(なんらかの外的要因か、症候群と無関係かは後続の書き手さんににおまかせします。)
【装備:催涙スプレー@ひぐらしのなく頃に祭、ヒムカミの指輪(残り3回)@うたわれるもの 散りゆく者への子守唄
紫和泉子の宇宙服@D.C.P.S.】
【所持品:支給品一式】
【状態:健康、疑心暗鬼(中程度)】
【思考・行動】
1)D-2へ移動
2)圭一を探す
3)死にたくない
4)赤坂・大石の捜索
【備考】
皆殺し編直後の転生
ネリネを危険人物と判断(容姿のみの情報)
疑心暗鬼に囚われはじめてます。雛見沢症候群の症状に酷似していますが、女王感染者の為、症状が現れる事はないはずです。(なんらかの外的要因か、症候群と無関係かは後続の書き手さんににおまかせします。)
※ヒムカミの指輪
ヒムカミの力が宿った指輪。近距離の敵単体に炎を放てる。
ビジュアルは赤い宝玉の付いた指輪で、宝玉の中では小さな炎が燃えています。
原作では戦闘中三回まで使用可能ですが、ロワ制限で戦闘関係無しに使用回数が3回までとなっています。
ヒムカミの力が宿った指輪。近距離の敵単体に炎を放てる。
ビジュアルは赤い宝玉の付いた指輪で、宝玉の中では小さな炎が燃えています。
原作では戦闘中三回まで使用可能ですが、ロワ制限で戦闘関係無しに使用回数が3回までとなっています。
※紫和泉子の宇宙服
紫和泉子が普段から着用している着ぐるみ。
ピンク色をしたテディベアがD.C.の制服を着ているというビジュアル。
水に濡れると故障する危険性が高いです。
イメージコンバータを起動させると周囲の人間には普通の少女(偽装体)のように見えます。
(この際D.C.キャラのうち音夢と杉並は、偽装体をクラスメイトの紫和泉子と認識すると思われます)
純一とさくらにはイメージコンバータが効かず、熊のままで見えます。
またイメージコンバータは人間以外には効果が無いようなので、土永さんにも熊に見えると思われます。
(うたわれの亜人などの種族が人間では無いキャラクターに関して効果があるかは、後続の書き手さんにお任せします)
紫和泉子が普段から着用している着ぐるみ。
ピンク色をしたテディベアがD.C.の制服を着ているというビジュアル。
水に濡れると故障する危険性が高いです。
イメージコンバータを起動させると周囲の人間には普通の少女(偽装体)のように見えます。
(この際D.C.キャラのうち音夢と杉並は、偽装体をクラスメイトの紫和泉子と認識すると思われます)
純一とさくらにはイメージコンバータが効かず、熊のままで見えます。
またイメージコンバータは人間以外には効果が無いようなので、土永さんにも熊に見えると思われます。
(うたわれの亜人などの種族が人間では無いキャラクターに関して効果があるかは、後続の書き手さんにお任せします)
宇宙服データ
身長:170cm
体重:不明
3サイズ:110/92/123
身長:170cm
体重:不明
3サイズ:110/92/123
偽装体データ
スレンダーで黒髪が美しく長い美人
身長:158cm
体重:不明
3サイズ:79/54/80
スレンダーで黒髪が美しく長い美人
身長:158cm
体重:不明
3サイズ:79/54/80
094:瞬間、心、重ねて/さよならの囁き(後編) | 投下順に読む | 096:彼女は眠らぬ山猫の様に、深く静かに休息す |
091:シャムロックを散らした男 | 時系列順に読む | 086:禁止区域侵攻――/――解放軍 |
071:未知との遭遇 | 古手梨花 | 104:来客の多い百貨店 |